基本スペックと定義
全長 | 70~80cm |
重量 | 1.4~1.8kg |
地域 | ヨーロッパ |
年代 | 17~19世紀 |
広刃剣と呼ばれている刃の広い剣の総称を、ブロードソードという。 日本では太刀を意味する段平(だんびら)とも呼ばれている。 派生型としてヴェネツィアのスキアヴィーナ、ドイツのカッツバルゲル、ベルギーのワルーンソードなどがある。 オーソドックスなブロードソードの定義は以下の通り。
・両刃の打ち切り用刀剣であること。 ・刃の広さの比較対照はレイピア。 レイピアと比べて広い刃なので、ロングソード等とさほど幅は変わらない。
つまり、レイピア等が全盛だった時代の刀剣の中では幅が広いものだったから、この名が付いたのである。 この頃はガントレット(金属製の小手)を装備しない時代だったので、護拳が発達し、様々な形状のものが付いていた。 今回は様々な種類の中から、スパニッシュ・カップ・ヒルト(スペイン式半球護拳付き柄)を画像化し、使用している。
部位別の呼称
1 | 剣身:ブレイド(Blade) |
2 | 切先:ポイント(Point) |
3 | スペイン式半球護拳付き柄:スパニッシュヒルト(Spanish Cup Hilt) |
4 | 鍔:ガード(Guard) |
5 | 握り:グリップ(Grip) |
6 | 護拳:ナックルガード(Knuckle Guard) |
7 | 柄頭:ポメル(Pommel) |
時代背景
レイピア等の細身の刺突剣が全盛だった頃、様々な武器破壊の方法が考えられていた。 そんな中、細身の刀身を叩き折ってしまおうというコンセプトが考えられ、一世代前のロングソードのような刀剣が考案された。 それがブロードソードである。 打ち切りに優れた武器であったため、19世紀のナポレオン時代には騎兵のほとんどが装備していたと言われている。
使用用途
歩兵として使用するなら、振り回して打ち切る。 騎兵として使用するなら、すれ違いざまに殴るように切りつける。 片手用騎兵武器であるため、確実に敵を倒すためには、手数と正確さを併せ持った攻撃を与えていくテクニックが必要である。
また、ものによって護拳の種類が違うので、それに対応して防御手段が変わっている。
・弓形護拳(図のようなタイプ。ナックルボウという。主に攻撃を受け流す。) ・籠状護拳(バスケットヒルトという。刀身を絡め取ったり受け流す。) ・半球護拳(画像のようなカップガードという。鍔の部分が半球になっていて、そこで受け流す。)
広義の意味が強い剣
上記のように、広義の意味が強く、各部のバリエーションも非常に多い。 もっと広義の意味になると、サーベル、バイキングソードもブロードソードになり、更には中国の青龍刀もブロードソードの一種に含まれる。 検索して調べた中では、~ブロードソードという名称がついていたのは以下の通りである。 ・ワルーンソードタイプ ・カッツバルゲルタイプ ・スキオヴァーナタイプ ・ナックルボウ ・バスケットヒルト ・スパニッシュカップガードヒルト ・モースアリィヒルト(バスケットヒルトとナックルボウの中間的なもの) ・スウェプトヒルト(レイピアによく使われる複雑な護拳) ・スコティッシュハイランダーオフィサーズ(ハイランダーの警官が使用していたタイプで、モースアリィヒルトに近いタイプ) 以上のように非常に種類が様々であり、同時にそれだけ多くの人々に使用された武器とも言える。
参考文献
・ウェブサイト wikipedia
・文献
新紀元社 | 武器事典 | 市川定春 著 | ||
新紀元社 | 武器と防具 西洋編 | 市川定春 著 | ||
新紀元社 | 図解 近接武器 | 大波篤司 著 | ||
ダイヤグラム・グループ | 武器―歴史、形、用法、威力 | 田島優 北村孝一 著 | ||
幻冬舎コミックス | 図説 武器だもの | 武器ドットコム 著 |