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全長 | 70~150cm |
重量 | 1.0~1.5kg |
地域 | 南アメリカ |
年代 | 12?~16世紀 |
マクアフティル、もしくはマクアフィテルはアステカ人が用いた刀剣であり、意味は「刀剣」そのものである。
西インド諸島の言語であるタイノ語の刀剣を意味する言葉「マカナ(macana)」にその影響を留めている。
片手でも両手でも使うことが出来るよう、握りが長く作られており、長さの4分の1ぐらいあるものが普通である。
アステカ人は鉄などの金属を知らなかったため、刃に当たる部分に黒曜石の細片をはめ込んで刀剣としていた。
この黒曜石の刃はサイズも形状もまばらであることが当時では普通だったが、時代が進むにつれて研磨され、均一化されていく。
横長の刃のものと牙のような形状の2種類が主に使われ、全て横長のもの、全て牙形状のもの、両方を混ぜ合わせたものと、刃のタイプには大きく3種類のパターンがある。
また、先端には何もない場合が多いのだが、牙形状のものを3~4つつけたり、円形状のものを取り付ける場合もある。
フレームに当たる木材はオークの木で作られており、身幅はだいたい5~10cmとされている。
フレームの表面には、様々な模様や彩色がされることもマクアフティルの大きな特徴である。
(今回は省略したが、ポメルやフレーム部分の紐に、鳥の羽根を装飾として飾りつける場合もある。)
この模様は非常に様々であるが、部族別に違うのか、固有の文化に基づくものなのかはハッキリしていない。
近年、マクアフティルのレプリカがいくつか作られており、まるで最近の携帯電話のようにカラフルな彩色を施されたものも作られている。
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1 | 剣身:ブレイド(Blade) |
2 | フレーム(frame) |
3 | 握り:グリップ(Grip) |
4 | 柄頭:ポメル(Pommel) |
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製鉄技術が発達した時代の中、鉄を知らないアステカ人が作った武器であり、限られた戦士の武器でもあった。
特に最高位階級である2つの戦士団、テスカトリポカ神に仕える「ジャガーウォーリア(豹戦士)」、太陽神に仕える「イーグルウォーリア(鷲戦士)」が有名である。
彼らを初めとしたアステカの戦士達は、マクアフティル、投槍とそれを補助するスピア・スローワー、テポストピリー(槍状のマクアフティル)で武装していたと言われる。
また、丸い盾を持っていたり、長槍兵は「イチェカウィピリ」という矢を防ぐ胴衣を着ていた。
そんな彼らも1521年8月13日、スペインにより侵略され、滅亡することとなる。
基本的には叩き切るという用途になるが、素材的な意味からしても決して重さで切っているものでもないし、黒曜石もそこまで硬いものではない。
黒曜石の刃は攻撃すればするほど欠けていき、頻繁に取替えが行われていたと思われる。
また、先端に牙状の刃がある場合は突きも可能ではあるが、黒曜石の強度自体が持たないため、そこまで威力には期待は持てないだろう。
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実はマクアフティルには長柄のタイプのものもある。
槍状のものはテポストピリーというものがあるので、また別の名称があるのかと思いきや、特に名称はない。
長さは最大6.4mもあり、穂先に当たるブレード部分も最大1.5mある。
上記CGはだいたい3mぐらいのものを作ってみたのだが、これだけでも十分な長さと言える。
ただ、これを見て筆者が思ったことがある。
「これ、穂先の重さで折れるんじゃね?」
2010年 2月7日更新
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