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全長 | 200~280cm |
重量 | 3.5~9.0kg |
地域 | ドイツ |
年代 | 13~17世紀 |
ドイツ生まれのトゥハンド・ソードをツヴァイハンダーと呼ぶ。
大分類ではトゥハンド・ソードなのだが、その刀身の根元にリカッソと呼ばれる刃の無い部分があるのが特徴。
リカッソは鞘に入れれるサイズではないツヴァイハンダーを運搬するために、革紐を括り付けるための部分としても使われたという。
また、攻撃のバリエーションを増やすためにも使われたが、それに関しては後述で詳しく説明する。
西洋の武器の中では長さも重量も最大級の刀剣であり、破壊力も絶大だが、その大きさと重量の為に非常に使う人間を選んだ武器でもある。
屈強な傭兵たちに好んで使われたことから、彼らの武器を扱う技術力と筋力は凄まじいものだったと推測できる。
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1 | 剣身:ブレイド(Blade) |
2 | 切先:ポイント(Point) |
3 | リカッソ |
4 | 柄:ヒルト(Hilt) |
5 | 装飾リング:リング(Ring) |
6 | 鍔:ガード(Guard) |
7 | 握り:グリップ(Grip) |
8 | 柄頭:ポメル(Pommel) |
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金属鎧が全盛期だった頃、「鎧ごと断ち切る」目的で作られた両手剣の一つ。
片手剣では金属鎧にロクにダメージが与えられなかったので、両手専用の強力な剣が求められ、その結果ドイツ地方で生まれたのがこの剣である。
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・持ち方と威力検証
長く重い剣のため、バランスを取るために柄を握ったときに手と手の間を2、30センチほど離して握る必要がある。
ガード(鍔)部分に大きなリングがあるが、これを右手で握り、グリップを左で握ると、結構いいバランスで持つことが出来る。
また、ツヴァイハンダーは前述したように刃の根元にリカッソと言う部分があり、この部分を片方の手で握ってバランスを取ることも可能である。
リカッソを活用することで刺突しやすくなり、振り回したときにも威力を上げることが出来るのが、ツヴァイハンダー最大の強みと言える。
なお、海外サイトで見つけた威力検証動画による「突き」の威力の比較は以下の通りである。(薄い金属板に対しての比較。片手グリップのみの威力:5~10cm貫通を威力1として計算)
右手 | 左手 | 威力 |
グリップ | グリップ | 2 |
リング | グリップ | 2.5~3 |
リカッソ | グリップ | 3~5 |
これで分かるように、リカッソを用いた「突き」の威力は絶大である。
振り下ろすときにおいても、リカッソを使用すると破壊力は1.5倍ほど増すので、ツヴァイハンダーにとって非常に重要な部分であると言える。
・戦闘時での使用方法
戦闘時においては、基本的には両手剣は片手剣のように素早い連続した斬撃は不可能なので、必然的に全力で振りかぶることになる。
非常に重い剣なので、馬上で扱うことは不可能であり、完全に歩兵専用の武器である。
ツヴァイハンダーはその重量から、思い切り脳天めがけて振り下ろすことが最大のダメージを与える攻撃になるのだが、これには大きく隙が生じてしまう。
よって振り下ろしは、周りに他に敵がいない上に、完全に止めが刺せるという保障があるときだけ使ったほうがいい。
イメージ的に「決闘用」に見られがちなのだが、1対1の戦闘よりも、戦場で多数の敵にめがけて突撃していき、一振りで複数を攻撃することに向いている。
1対1では、いかにリカッソを使って小回りを利かせたとしても、歩兵戦用に特化されたショートソード系の刀剣の扱いやすさには勝てないだろう。
あくまで「敵陣切り込み専用」、最前線を突っ切る戦士たちの武器であることは忘れないでおこう。
トゥハンド・ソードとツヴァイハンダーには、上手く使いこなすために段階的なレッスンが存在している。
・攻撃編
まずは正しく両手剣を持ち、軽装の状態で練習台を輪切りにすること。
次からはチェインメイル装備状態で同じことをして、最終的にはフルプレートメイルで同じことが出来るようになるまで昇華する。
練習台もパワーアップしていき、最終的には二枚重ねのものを切断できるまで訓練を行う。
基礎が終わったら、振り回し(斬撃)、刺突を覚え、最後にはチャージ攻撃を習得する。
両手剣のチャージ攻撃とは、相手に反撃の隙を与えないほど猛烈に攻撃を撃ち込む連続攻撃を指し示している。
・防御&反撃編
防御手段としてコンパクトな振りをすること。
反撃手段として刺突によって相手の気勢をそらし、隙を突く。
これらは攻撃編がしっかりと見についた者でないと実践できないため、習得には攻撃編がしっかりと習得することが第一条件となる。
・熟達編
身体的欠陥がないこととか、五感が優れているか(特に視力と聴覚)という基本的な健康状態の維持も大事な必要条件である。
あとは、武器を使いこなせる筋力を常日頃鍛えること=両手剣を使うことに関して、道を極めることが、最後になる熟達編である。
どんな世界でも、一つの道を極めるために日々精進すると言う精神は大切だと言うことなのである。
2007年 9月26日更新 2008年 9月19日 画像差し替え+追記
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