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全長 | 70~90cm |
重量 | 0.7~1.4kg |
地域 | 日本 |
年代 | 室町~江戸(14世紀~19世紀) |
打刀とは、室町時代以降「太刀」に代わって使われた、いわゆる「刀」そのものをいう。
打刀と太刀の違いはその携帯方法。
太刀は鞘についている紐で腰からぶら下げ、刃は下向きに収めている。(一般的にこれを「佩く(はく)」という)
対して打刀は、そのまま腰帯に差して持ち歩き、刃は上向きに収める。(一般的にこれを「差す」という)
これに伴って、打刀は反り(刀身の湾曲具合)を抜刀しやすいように計算されて作られた。
京反りという刀身中心部で最も反りが大きいものを採用していて、抜刀術、居合い抜きに非常に適している。
打刀の基本定義として、刃長2尺(60cmほど)以上のものを打刀という。
これ以上小さいと「脇差」になり、逆に大きいと「野太刀」もしくは「大太刀」となる。
刀身の部位
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1 | 柄(つか) |
2 | 柄頭(つかがしら) |
3 | 柄巻(つかまき) |
4 | 目釘(めくぎ) |
5 | 縁(ふち) |
6 | 鍔(つば) |
7 | 刀身(とうしん) |
8 | はばき |
9 | 刃(は) |
10 | 峰(みね) |
11 | 切先(きっさき) |
鞘の部位
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1 | 鞘(さや) |
2 | 鯉口(こいくち) |
3 | 笄櫃(こうがいひつ)小柄櫃(こづかひつ) |
4 | 栗形(くりがた) |
5 | 返角(かえりづの) |
6 | 鐺(こじり) |
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太刀が戦場の主流だった頃、次第に「野太刀」「大太刀」といった大型武器が登場していった。
そのとき、腰に差していた腰刀が主力武器の巨大化に伴って、太刀と同じぐらいの長さになっていき、今日の打刀が生まれた。
差すだけでいい便利さと抜刀のしやすいことから、太刀に代わって上級武士の腰に差されるようになった。
しかし、室町から江戸時代にかけての戦国時代では、槍、弓、鉄砲が主力武器だったため、打刀だけで戦場に赴くことはあまりなかったという。
その後、幕末から明治維新の間には打刀が非常に多く使われ、中には「勤皇刀」と呼ばれた豪壮な刀も好まれたという。
だが、明治維新後にはその実用期を終え、美術品として海外に輸出されたりしたのであった。
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一般的に刀は斬ることに優れている。
真っ直ぐ斬り下ろす「唐竹(兜割り)」、斜めに斬る「袈裟斬り」、真横に斬る「薙ぎ払い」といった、すべての斬撃に対応できる。
斬撃の威力を向上させるために計算された「反り」を設けてあることもあり、軽装の対人戦ではその切れ味を如何なく発揮できるだろう。
この「反り」は居合い抜き(抜刀術)においても鞘から抜きやすいよう考えられていているので、居合い抜き(抜刀術)にも非常に適している。
また、時代ごとの「突き」の必要性に応じて、切り先が長くなったり短くなったりしているため、刺突にも対応できる。
…と、ここまで読むと無敵の万能兵器と思えるが、いろいろと欠点もある。
切れ味を追求するためカミソリのような刃になっているので、硬いものを斬ればすぐに刃こぼれが生じ、駄目になってしまう。
更に、斬るものに対して直角に斬ることで最大の威力を発するものなので、少しでも角度がずれれば著しく威力が減少し、刃こぼれもしやすくなる。
もちろん、刃自体が真っ直ぐになっていないといけないので、製作する職人の腕もかなり問われる武器と言える。
つまり、耐久性・高い技術力の必要性・熟練の刀鍛冶の必要性という、3つの問題点があるのだ。
逆に言えば、これらの問題点をクリアすればその絶大な切れ味を発揮できるのだが、技術を磨くことは特に難しいことは覚えておこう。
剣の道を究めるということは、いつの時代も非常に難しいことなのである。
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打刀や太刀は、多くの名刀が存在しており、それにまつわる伝説や逸話が非常に多い。
そのため、雷が切れるとか、鬼の首を一撃で飛ばすとか、卍解するとか真偽が入れ混じった性能が一人歩きしている事実がある。
では実際はどうなのだろう?
まず有名どころで「兜割り」があるが、実際に近年の実験で鉄板4枚重ねの武将がつけていたのと同じ防御力の兜の鉄板部分までは切断している。
(兜を真っ二つにしたわけではない)
江戸時代には、刀の格付けをするために「試し斬り」…罪人の死体を重ねて、それを斬ることで威力を図る…というものがあった。
この試し斬りで、酒天童子の首を斬ったと言われる伝説の太刀「童子斬り安綱(童子切り安綱)」は伝説通りの凄まじい威力を実証している。
6人の死体の胴と、それを置いた土台まで一刀両断するという、信じ難い記録を出したと伝えられている。
(この「童子斬り安綱」をはじめとした、桁違いの威力の刀を「天下五剣」と言う)
また、某テレビ番組の実験では、素材を超合金にした打刀なら車のドアすら真っ二つに出来たことを実証していた。
別の番組では、45口径の弾丸を真っ二つにしたり、ウォーターカッターの水を受け流すように真っ二つにしたりしていた。
検証結果を見てみると、数々の伝説や逸話が非常に真実味を帯びてるんじゃないかと信じるに足りる能力があると言える。
創作の世界ではこの威力検証を元に、もっと無茶な設定で描いたりしてもいいかも知れないと筆者は思う。
2007年 11月5更新 2011年 4月 8日 追記
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