スコーピオン

スコーピオン ~Scorpion~


基本スペックと定義



全長 220~250cm
重量 2.5~3.0kg
地域 イギリス
年代 16~17世紀


イギリスで生まれた、ビル(もしくはハルバード)の発展型の武器の一つがスコーピオンである。
どこと無く「蠍(スコーピオン)」を髣髴させるシルエットをしているため、この名が付いている。
同時期にイギリスでは、「ランカ」という別のビルの発展型である武器が存在している。
ランカは全体的なシルエットが酷似しているが、ランカは槍部分をベースに斧刃や鉤爪がついている点で違っている。
スコーピオンは穂先のフレーム部分をベースに、槍タイプの刺先、斧刃、複数の鉤爪が付いていると言う特徴がある。
また、ランカの穂先は60~100cmと大きめだが、スコーピオンは70~80cmで、ランカと比べるとやや小さい。
これらの相違点を前提に、スコーピオンについて解説していこうと思う。





部位別の呼称



穂先:スピアーヘッド(SpearHeads)
刺先:スパイク(Spike)
錨爪or鉤爪:フルーク(Fluke)
斧刃:アックス・ブレード(Ax Blade)
突端:ラグ(Lugs)
口金:ソケット(Socket)
柄舌:ランゲット(Langet)
止金
柄:ポール(Pole)
10 石突:バット(Butt)






時代背景



16世紀頃のヨーロッパでは、多用途に使えるビル(西洋で一般的な鉾)を必要としていた。
ビルを単に鉤爪の付いた鉾から、突きの機能や強力な切断力、更に有効な形状の鉤爪を付けるなどして、多機能武器へと変化させる流れが西洋全体に出てきた。
そういった必然から、イギリスにおいて独自のカスタマイズの末に完成したのがスコーピオンである。
ランカ以上に攻撃的なシルエットで、前述したように、どことなく蠍を髣髴するシルエットからこの名が付いた。
ランカと同様に、多少ハルバードの影響を受けている節があり、スコーピオンに至っては、ハルバードからの発展型と考える説も存在する。





使用用途



先端の槍部分で「突く」。斧刃で「切断する」。斧刃の反対側のフレームで「殴打する」。各鉤爪部分で「引き倒す」「かすめ切る」。
ビルやハルバードの発展型と言われているだけあって、実に様々な用途で使用することが出来る、極めて優秀な武器である。
ただし、多機能長柄武器の共通の宿命に漏れず、十分な訓練を積んだ正規軍隊の兵士ぐらいしか、使いこなすことが出来ない。





2008年 9月8日更新

参考文献



・文献

新紀元社        武器事典          市川定春      著
新紀元社        武器と防具 西洋編     市川定春      著
ダイヤグラム・グループ 武器―歴史、形、用法、威力 田島優 北村孝一 著






最終更新:2011年03月05日 18:35
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