元港湾労働者への退職者年金を一方的に減額したのは不当とする判決が最高裁で確定したのに、確定後も規約を変えずに減額したままの年金支給を続けているとして、元港湾労働者7人が20日、年金を支給する財団法人「港湾労働安定協会」(本部・東京)を相手取り、減額分計約72万円の支払いと将来も減額しないことを求める訴えを神戸地裁に起こした。
訴状によると、年金は港湾運送事業者の業界団体と、港湾労働者の労働組合の全国組織の合意で作られた「港湾年金制度」に基づき、60~75歳の元港湾労働者に支払っている。しかし00年6月、同協会は年金の年額を30万円から25万円に減らすとの通知を原告らに一方的に送って支給額を減らしたため、原告らは減額分の支払いを求めて神戸地裁に提訴し、08年10月に最高裁で原告側の全面勝訴が確定した。だが、判決確定後も同協会は規約を変えなかったため、口頭弁論終結後にも減額されたままの年金が支払われた、としている。
同協会の松井晃常務理事は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。【吉川雄策】
〔神戸版〕
毎日新聞 2009年5月21日 地方版