(26)土地勘
・通学路は普段人通りが少なく、遺棄現場も人気のない山林で、犯人は両現場に土地勘があったとみて、調べている。 朝日05-12-3
・合同捜査本部は・・・今市市・・・常陸大宮市の現場がともに地元の人以外は通行しないことから、2つの現場周辺に土地勘のある人物の犯行との見方を強めている。 茨城新聞05-12-4
・連れ去り、遺棄の両現場は樹木がうっそうと茂り、薄暗い場所。人通りもほとんど皆無で、住民も「よほど土地勘がある人しか通らないのでは」という。 産経05-12-4
・行方不明になった現場と遺体遺棄現場のいずれも、まったく知らない人物が近づける場所ではなく、犯人は両県の道路事情に詳しいとみている。 読売05-12-5
・本部内では「犯人は、より茨城の方に土地勘がある」との見方が大勢を占めているという。
小学校を探そうとすれば、カーナビでも簡単に行ける。山林ではそうはいかない」と話す捜査幹部もいる。 毎日05-12-9
・捜査本部は、・・・連れ去り現場と、・・・遺棄現場に注目。いずれも・・・土地勘がなければ選ばない場所とみられ、犯人があらかじめ双方の犯行現場を決めていた可能性もあるとみて 下野05-12-9
・林道の入り口は信号や標識はなく、相当な土地勘を必要とするルートだ。 毎日05-12-13
■(コメント)
犯人は遺体を夜間に遺棄した。このことは犯人が遺棄現場を探してうろうろしたのではなく、当然殺害現場からそこに直行したことを意味するだろう。この視点からも、遺棄現場付近で事件当日の夜半に目撃された不審車は無関係ではないかと推定される。不審車については(28)にまとめた。
(27)凶器
・凶器は刃幅がかなり狭く、アイスピックに近い鋭利な刃物だったことも判明。 東京新聞05-12-4
・凶器は刃渡り十センチ強の細身の刃物で、果物ナイフ様のものとみられる。 産経05-12-5
・肋骨(ろっこつ)は折れていないことが分かった。このため捜査本部は、細身の鋭利な刃物が使われたとみて 茨城新聞05-12-6
・凶器とみられる刃物は、竹で虫かごを作ったり、木の表面のささくれを取り除いたりする際に使う特殊な刃物の可能性が高いことも判明。 共同05-12-7
・刃幅2センチ以下の刃物だったことが7日、分かった。・・・「くり小刀」のような小刀類の可能性もあるとみて特定を急いでいる。 時事05-12-7
・犯行に使用された刃物は包丁など一般家庭で使うものではなく、刃の幅が広いところでも2センチ程度と極めて細いものであることもわかった。
朝日05-12-7
・傷口の大きさなどから凶器に使われたのは、刃幅が2センチに満たない先の細い鋭利な刃物とみて 毎日05-12-7
・凶器は幅2センチ未満の鋭利な刃物とみられている。 読売05-12-8
・木工細工などで使われる特殊な刃物の「くり小刀」を使った可能性が高く、 日刊スポーツ2005/12/8
・傷の形状から繰り小刀、ダガーナイフ、バタフライナイフなどが考えられる。 毎日05-12-9
・凶器の刃幅は一-二センチ程度だった。 産経05-12-10
・傷痕から刃幅は2センチ程度とみられ、専門店によると、工作用の「繰り小刀」や「切り出し(ナイフ)」、戦闘用の「ダガー(ナイフ)」などが該当するという。 朝日05-12-11
・凶器は、刃渡り十数センチ以上、刃幅十数ミリという細長いもの 読売05-12-12
・傷口に残る「つか」の跡が見られず、凶器は、刃渡り十数センチ以上、刃幅十数ミリという細長いもので、 読売05-12-15
・凶器は「幅2センチ以下で刃先が三角形ではない刃物」とみられる 毎日05-12-31
(★イメージ不能…)
・長さ十数センチ、刃幅約一・五センチの「ペティーナイフ」(調理用の小型ナイフ)の様な細身で短めのナイフだった可能性が高い 下野06-8-5
・調理用などの「ペティーナイフ」様のナイフが凶器だった疑いが強いとみて 下野06-8-5
・片刃で刃先が反った・・・和式ナイフだった可能性が高いとの見方を強めている。
(1)凶器は片刃のナイフ(2)刃渡り10センチ以上(3)刃幅約2センチ(4)刃の厚さ5ミリ以下・・・西洋式ナイフには片刃はごく少なく・・・鋼など硬度の高い金属製の刃物 毎日 06-11-28
・刃物は渓流刀などの和式ナイフが使われた可能性が高い 毎日06-11-29
・凶器は幅約1.5センチの鋭利な片刃ナイフで、刃渡りは十数センチとみられる 時事06-11-29
・外国製や国産の峰のある片刃のナイフだった 下野06-11-30
・凶器のナイフは、刺し傷の形状や深さから長さ十数センチ、刃幅約一・五センチとみられていたが、肉の解体などに使われる外国製や国産の小型の牛刀やブッチャーナイフ、フィッシングナイフなどが推測される・・・しかし特定には至っておらず
下野06-11-30
・凶器は牛刀やブッチャーナイフ、フィッシングナイフのほか、小柄などの片刃で幅1・5センチ、刃渡り十数センチの細身の刃物と推測される。 産経06-11-30
・「刃渡り十数センチ、刃幅約1・5センチ、厚さは数ミリ、片方は峰で片方だけに刃がついてる。そんな刃物ってありますか?」 読売・追跡 今市事件(06年11月30日~12月29日)(12)凶器
(★何度も出てくる「片刃」だが、この記事では峰に対して刃が片方についているというイメージになっている。しかし、片刃とは刃の部分の表裏を研いでいるものを両刃というのに対し、片面だけを研いでいるものを言うのではないのか。上の毎日 06-11-28を読むとそうなるが。「片刃」の意味くらい確定させてくれや)
・いくつかの候補を列挙・・・食肉処理用の牛刀や、キャンプ用のフィレナイフ、護身用のスチレットナイフ、日本刀の付属品である小柄(こづか)などだ。ただ、牛刀などは「新品では刃幅が広いため、研ぎ減りしている必要がある」などの“条件”が付く。・・・かなり特殊な形状であるだけに、捜査本部には「自作したのではないか」(幹部)との見方も根強い。 読売・追跡 今市事件(06年11月30日~12月29日)(12)凶器
・見立てとは全く違う刃物が使われた事件もあった」と、傷口から刃物を特定する危うさを強調したうえで 読売・追跡 今市事件(06年11月30日~12月29日)(12)凶器
・片刃で幅1・5センチ、刃渡り十数センチの細身のものと推測され、「牛刀」か「フィッシングナイフ」「ブッチャーナイフ」などが想定される。 産経07-12-29
■(コメント)
大量の報道があるが、凶器は特定されないという、例によってネガティブな結論。「片刃」の意味さえ確定しない。
このほかに08-8-1のテレ朝のニュースで「凶器はペティナイフ」の可能性が高いとの報道があったようだが、大勢に影響はないと思われる。刃幅1.5cmの「ペティナイフ」など存在しないだろう。「ペティナイフ」の様な、ということならわかるが、そうした報道はとっくになされている。
凶器のおよその輪郭は推定できる。
刃幅は1.5cm程度としていいのではないか。遺体の傷口の最大の径が2cmだったということだろうから、実際の刃幅はそれより細くなるはず。刃渡りは、女児の胸の厚さ10cmを貫通しているのでそれよりも長く、10cm超。まあ、十数cmか。峰がある。非常に細長い刃物だ。これだけ細長いと、ある程度厚みがあるかよほど硬度がないと、ふにゃふにゃするだろう。
特殊な刃物であるのは間違いない。
(28)不審車
・連れ去り現場に近い有希ちゃんの通学路では、一週間ほど前から不審な車が止まっているのが何度も目撃されていた。産経05-12-4
・有希ちゃんが行方不明になった現場周辺でも事件前、通学路上に白い車が止まっているのを近所の人がしばしば目撃していた。 毎日新聞 2005年12月5日
・沢インターチェンジ(IC)入り口の料金所のビデオカメラに、有希ちゃんとみられる女児と男の乗った白いワゴン車が映っていたことが4日、わかった。 読売05-12-5-03:00
(★有名な読売のガセ報道)
・大沢インターチェンジ(IC)料金所のビデオカメラに、有希ちゃんの姿は映っていなかったことが6日、栃木、茨城県警合同捜査本部の調べで分かった。 毎日05-12-7
・通学路付近では・・・有希ちゃんが連れ去られたとみられる時間帯に、通学路をスピードを出して走り去る黒っぽい乗用車の目撃情報があった。この車と似た乗用車は、有希ちゃんが連れ去られた約10日前にも、付近で3回にわたり目撃されており 日経05-12-7
・一緒に下校していた同級生が、女児と別れる直前に「泥で汚れた白い車に追い越され、車はすぐに戻ってきた」と・・・証言している・・・証言によると、1日午後2時15分ごろ、女児と同級生3人の計4人が一緒に下校。学校近くの通学路で、泥で汚れた白い乗用車に追い抜かれた。さらに数百メートル歩いたところで、Uターンして戻ってきた車が再び、横を通り過ぎた。 共同05-12-19
・学校近くの通学路で、泥で汚れた白い乗用車に追い抜かれた。さらに数百メートル歩いたところで、Uターンして戻ってきた車が再び、横を通り過ぎた。 Uターンしてきた車とすれ違ったのは、女児と3人が別れた三差路の直前。運転席に人影は見えたが、太陽光がフロントガラスなどに反射して、運転者の様子はよく分からなかったという。
日刊スポーツ2005/12/19
・Uターンしてきた車とすれ違ったのは、女児と3人が別れた三差路の直前 日刊スポーツ05-12-19
・同級生が目撃した白い車は、有希ちゃんが一人になって歩いていった後を追うように、東から西に向かって行ったという。 読売05-12-20
・女児が同市木和田島の市道三差路で同級生と別れた一日午後、バイクの男性が「市道を一人で歩く女児とみられる女児を追い抜いた後、間もなく猛スピードで白い乗用車が自分を追い越して走り去った」などと・・・証言していた
・・・男性は同日午後三時前、市道を西へ一人で歩く女児のわきをバイクで通過。間もなく携帯電話が入ったためバイクを止めた際、後ろから白いセダンタイプの乗用車が猛スピードで追い越していったという。 下野05-12-31
・連れ去り現場と遺体の遺棄現場付近で最も多く目撃された不審な車は白色セダンの国産乗用車だった 下野06-5-31
・合同捜査本部は、有希ちゃんを連れ去った車は、目撃情報から、ほぼ白色と断定した。 読売06-6-1
・特に白色セダンは、有希ちゃんと一緒に下校していた同級生が目撃。泥で汚れた旧型車で、「通学路を行ったり来たりしていた」という。黒のステーションワゴンは通学路から、有希ちゃんの自宅付近の通称「新里街道」に、速度を上げて進入して来たところを住民が目撃した。いずれも男が運転 毎日06-11-30
・捜査幹部は「3台を有力視しているが、事件と関係がない可能性もある」と打ち明ける。 読売 追跡 今市事件(06年11月30日~12月29日)(6)目撃情報
・目撃された車のうち、所有者や通行目的が特定できなかったのは、〈1〉通学路を行き来していた泥で汚れた白いセダン(千数百cc~2000cc)〈2〉付近に駐車していた、ぬいぐるみを載せた白いワゴン車〈3〉通学路から県道に出てきた黒のステーションワゴン――の3台だったという。 読売06-11-30
・「不審な宇都宮ナンバーの白のセダン」・・・目撃した女性によると、セダンは事件当日の午後11時40~50分ごろ、常陸大宮市の県道を走行し、有希ちゃんの遺棄現場に向かう「三美入り口」を通過、約100メートル先の民間会社の駐車場に入ると、Uターンして止まった。 産経07-12-29
・当初、不審車としてリストアップされていた黒いステーションワゴンは、目撃時間などから、関係が薄いと判断したという。 読売07-11-30
・同級生が見た「ぼろっちい」車は、その後の調べで、白い中型セダンと判明した。読売06-11-30~追跡 今市事件(6)
・不審車両は発生当日の午後2時から約1時間の間に目撃。三差路近くで有希ちゃんらを追い越した白の汚れた古いセダンと、三差路付近に止まっていた複数の縫いぐるみが後部座席の窓にぶら下がった白のワゴン車 産経07-11-30
・不審車を2台に絞り込み、・・・
2台は、泥で汚れた白いセダン(千数百cc~2000cc)と、車内にぬいぐるみを飾っていた白いワゴン車。いずれも、有希ちゃんが連れ去られた12月1日午後2時半から午後3時ごろの間、通学路で複数の人に目撃されていた。
セダンは男が運転し、後部がへこんでいた。有希ちゃんと歩いていた同級生が、いったん通過したこのセダンが引き返し、走り去るのを覚えていた。同じ時間帯に、有希ちゃんと同級生が最後に別れた三差路の先でも、目撃されている。
ワゴン車は三差路近くに止まり、近くに男が立っていた。事件当日以前にも付近で目撃され、後部両側の車内のカーテンレールに、たくさんのぬいぐるみがぶら下がっていた。
(読売07-11-30)
・捜査本部は三十日、事件発生当日に同小近くの連れ去り現場付近で目撃された不審車両二台のイラストを公開した。また事件発生当夜、茨城県常陸大宮市の有希ちゃんの遺体遺棄現場付近でも不審な宇都宮ナンバーのセダンが目撃されていたことを明ら
かにした。 下野07-12-1
・不審車両の目撃について
◆目撃された日時 平成17年12月1日 午後11時40分~50分の間
◆場所 常陸大宮市三美地内 主要地方道常陸大宮御前山線上
◆目撃された状況 常陸大宮市国道118号線上町交差点付近から低速走行していた車両が、三美入口を通過して約100メートル進行した地点で急ブレーキをかけ、進行方向右側の中崎建材前駐場内に入りUターンし同駐車場内で止まった。
◆不審車両
宇都宮ナンバーのセダンタイプの乗用車
乗車人員不明 塗色不明
(茨城県警察がネットに公開している情報)
・「宇都宮」ナンバーの不審なセダン車を公表し、情報提供を求めてきたが、この不審車に関する情報は1年間で1件もなく、今も色や車種が特定できていない。 読売08-11-29
■(コメント)
最終的に、拉致現場での不審車は、汚れた白セダンとぬいぐるみワゴン、遺棄現場では宇都宮ナンバーの塗色不明のセダン。ただ、それぞれについて犯人の車とするには疑問な点がある。
汚れた白セダンは実に不審な動きをしていて、これが本命かも知れない。このセダンは、読売05-12-20などにあるが、有希ちゃんが三差路で友達と別れて1人で歩いていった後を追うように走って行ったことが、杉の樹幹ごしにクラスメートによって目撃されている。ところがこの車は有希ちゃんを追い越して行ってしまう。なぜなら、三差路の先120m先の家でも有希ちゃんは目撃されているし、1人で歩く有希ちゃんを、3時前にバイクの男性が追い越している。(下野05-12-31)有希ちゃんの後ろに車の姿はない。止まったバイクの男性は後ろから来た猛スピード白セダンに追い越されはするが、有希ちゃんの目撃はその後3時過ぎまで続いているという。(「連れ去り現場」下野06-11-27闇に潜む犯人・上 参照)その時点では汚れた白セダンはとっくにいない。この車が犯人車だとすると、もう一度戻ってきたことになる。
ぬいぐるみワゴンの(茶髪の)運転者は「車外に立っていた。」のが目撃されている。(読売07-11-30)しかし、遺体に証拠をほとんど残していない犯人が、堂々と身を晒しているのは不自然だ。
「宇都宮」ナンバーの不審なセダン車は、栃木方面から来たとするなら、走る方向が逆。犯人には明らかに遺棄現場に土地勘があるが、この車の運転者には土地勘がない。遺棄現場への入り口を探しての低速走行だったとすると、常陸大宮市街地から低速走行するのはおかしい。・・・などの疑問がある。
・捜査幹部は「3台を有力視しているが、事件と関係がない可能性もある」と打ち明ける。 読売 追跡 今市事件(06年11月30日~12月29日)(6)目撃情報
という、読売得意の最後での「ぼかし」のようなことになるかもしれないが、汚れた白セダンとぬいぐるみワゴンどちらかしかない、という場合は、「白セダンが戻ってきた場合」になるだろう。