（1）性犯罪が付帯しない
・刺し傷以外にいたずらされたような痕跡はなく、 産経05-12-5
・遺体には犯人の体液が付着していたことが・・・分かった。捜査本部はいたずら目的の犯行と断定し、 ZAKZAK05-12-6
・（４）薬物を使った形跡や、いたずらされた跡はない 産経05-12-7
・衣服は着けていなかったが、いたずらされた形跡はなかった。 読売06-11-30～追跡 今市事件（９）動機
・遺体は血を洗い流され、性的ないたずらの跡はなかった。 産経06-11-30
・さらに有希ちゃんの遺体には、性的にいたずらされた形跡もなかったことが分かっている。
（下野特集 闇に潜む犯人 今市事件１年（中）)
・しかし今回、司法解剖やさまざまな鑑定で性犯罪を示す明確な結果は出ていない
(毎日新聞 2006年12月1日 今市殺害事件１年：／上 捜査の現場から 見えぬ動機 ／栃木)
・性的いたずらの跡もなかった。
（（毎日新聞） - 2006年11月25日 ニュースプリズム：栃木女児殺害から１年 両県警、捜査態勢維持懸命の捜査 ／茨城）
■（コメント）
ZAKZAKの記事は思わせぶりが過ぎる。捜査本部は断定などしていないし、遺体に「精液」が付着していたわけでもない。元記事に当たれば、その辺をぼかし、体液=精液風に、扇情的に書いてみただけの文章とわかる。
ZAKZAKとは、SankeiWebBusiness .ZAKZAKSANSPO.COMで「産経」系だが、元ネタはサンスポだとしてもふざけた記事だ。
多くの「性犯罪ではない」との断定的報道は、たとえば広島「あいりちゃん事件」での性犯罪についての曖昧な報道などとは質を異にしている。あいりちゃん事件では、その状態を伏せられた「外傷があった」とされている。実は、それが性的な傷だったのだが。
広島小１殺害：遺体に傷 ランドセルは紙袋に入れる（毎日新聞 2005年11月24日 15時00分）
http://www.asyura2.com/0510/nihon18/msg/171.html
性犯罪はあるが、それが報道されていない可能性を視野に入れ、考えを展開しているサイトもある。しかしこの事件に関するかぎり、少なくとも性犯罪の跡が存在しないのは事実だろう。
「いたずらされた形跡はない」ということは、性的な外傷・皮膚などへ痕跡がないことはもとより、「いたずら」に結びつくような唾液、精液などの痕跡もないことを意味するはずだ。
（2)連れ去り現場
・警察犬による捜査で、有希ちゃんのにおいが通学路の丁字路付近で途切れていることも判明。 読売05-12-3
（★通学路の丁字路とは、三差路の先120mほどのところ）
・警察犬の反応が、Ｙ字路を左に進み、１００メートルほど行った雑木林の無舗装路の入り口の手前で消えたという。 朝日05-12-3
・有希ちゃんのにおいを追跡した警察犬の反応が、同級生と別れた三差路近くのアパート駐車場でとぎれていることが （毎日05- 12-4）
・捜査本部は警察犬を投入して付近を捜索。三差路から百二十メートル行った砂利道に曲がる前の場所で有希ちゃんの痕跡が消え、警察犬が反応を示さなくなった。 産経05-12-4
・二日に実施された警察犬を使った捜査では、約二㌔の通学路の中ほどにある今市市土沢の三差路から数十㍍自宅寄りの路上で、警察犬が追跡をやめていたことが判明した。 茨城新聞05-12-4
・警察犬を使って捜索したところ、女児が一人になった場所から西へ数十メートルの道路沿いで痕跡が途絶えたという。 下野05-12-4
・有希ちゃんは、同級生と別れた三差路から約１２０メートル離れた丁字路付近で行方が分からなくなった疑いが強まっている。 読売05-12-4
・有希ちゃんは１日午後２時５０分ごろ、今市市木和田島のアパート駐車場で連れ去られたとみられる。 毎日05-12-5
・捜査本部が８日、通学路で検問を行ったところ、下校時間の午後１時から３時までの２時間に通過した車両はわずか１０台 読売 05-12-10
・バイクの男性が「市道を一人で歩く女児とみられる女児を追い抜いた後、間もなく猛スピードで白い乗用車が自分を追い越して走り去った」などと・・・証言していたことが・・・
男性は同日午後三時前、市道を西へ一人で歩く女児のわきをバイクで通過。間もなく携帯電話が入ったためバイクを止めた際、後ろから白いセダンタイプの乗用車が猛スピードで追い越していったという。 下野05-12-31
・三差路で同級生と別れた後、約１２０メートル先の丁字路角にあるアパート付近で、別の人物に目撃されていたことも分かった 読売 06-6-1
・捜査本部が得た女児の最後の目撃情報は、三差路の西約百二十メートルの通学路だったという。 下野06-6-1
・「午後三時以降、近隣住民ら数人が有希ちゃんとみられる女児を目撃した。連れ去り現場は、三差路の西四、五百メートルほどの路上だった可能性が高い」。 下野06-11-27闇に潜む犯人・上
・三差路から自宅方向へ２００～３００メートル入った路上付近の可能性が高い 毎日栃木06-11-30
・その後、この三差路から数十メートル離れた地点で、車で連れ去られたとみられている。 産経【衝撃事件『未解決』の核心】「ＮＡ」追う 今市女児殺害捜査 2008.12.27
■（コメント）
初期の報道は不要だろうが、一応。警察犬の追跡地点すら、各社各様。
会見発表ではなく「リーク」による記事群であることを示している。
最後の産経の記事は軽率だろう。他の報道と合わない。
（3）遺体発見状況
・２日午後２時ごろ、茨城県常陸大宮市三美の山林で、野鳥を捕獲する下見に来た男性３人が女児の遺体を発見 読売05-12-2
・有希ちゃんは口から血を流しており、左側を下にした横向きの状態 読売05-12-2
・二日午後二時ごろ、常陸大宮市三美の山林に・・・女児の遺体があるのを野鳥捕りの下見に来た男性三人が見つけ 茨城新聞05-12-3
・遺体は全裸で・・・遺留品が見つかっていない。 産経05-12-3
・「最初は、マネキンと思ったが、よく見ると人間の女の子に見えた」 産経05-12-3
・左側を下にした状態になっており、胸に複数の刺し傷があったほか口から血を流していた。 下野05-12-3
・遺体は口から血を流しており、胸部に複数の刺し傷があった。横向きに倒れており着衣はなく、靴や眼鏡を含め所持品も見つかっていない。 毎日05-12-3
・遺体を発見した男性３人は、捜査本部の調べに「マネキンと思って近づいたら、人だった」と説明した 朝日05-12-4
・遺棄現場は、・・・下草や雑草は少なく土が露出している。・・・林道からの見通しは良く、車で現場を通りかかった第一発見者の男性３人は車内から遺体に気づいた。 読売05-12-7
・遺体は背中を林道側に向け、ひざを折り曲げた状態だった。 読売05-12-10
・「有希は亡くなっても目を開けたままの状態でした」 中日新聞06-1-25
・遺体は斜面にそっと置かれたとみられ 下野06-1-31
・斜面に横向きに寝かされていた。 産経06-11-30
・発見者となった男性の一人は、「１～２メートルぐらいまで近づいて、人間だと分かった。」 読売・追跡 今市事件（06年11月30日～12月29日）（９）動機
・体の左側を下にして、ひざをやや曲げたような格好だった。「捨てられたのではなく、そこに置いたと見るのが自然だ」 読売・追跡 今市事件（06年11月30日～12月29日）（１１）殺害・遺棄時刻
・木の根元に横たえるように遺棄されていた 下野06-11月28日（特集ー闇に潜む犯人（中））
■（コメント）
発見状態についての各報道には特に矛盾はない。
男性３人は車内から遺体に気づいた。（読売05-12-7） というのは意外に重要な事実かも知れない。
93事件でも、ちょうど同じように、林道脇の斜面に放置された全裸遺体が、通りかかった車内から発見されている。
野鳥とりの下見に来た爺さんたちは、車から、ヒノキが2ｍほどの間隔で植えられた左手斜面の下10ｍほどのところ、１本の木の根元に、マネキンが棄てられているのを見つけた。林のそのあたりは下草がなかったので、白い「マネキン」の背中は妙に目立った。違和感を感じ、車をおりて見に行く。裸の小さなマネキンは、頭を左にして脚を折り曲げて横たわっていた。１～２メートルぐらいまで近づいて、突然、マネキンの質感は人間の女の子へと変わった。思わず覗き込んで見ると、女の子が目を開いたまま死んでいた。口から少し血を流し、胸にはぶつぶつと刺し傷があり、いくらか流血の跡も見えた。
…こんな状況だったのだと思う。爺さんたちは悲鳴を上げ、腰を抜かしたかもしれない。警察への報告も少し遅れている。混乱ぶりを物語る。
しかし、犯人はなんでわざわざ斜面を10ｍ降りたのだろうか。遺体を隠すつもりもないのに。
