飽和蒸気圧

容積一定の空間内に少量の水を入れる場合


以下、温度常に一定の値T_oとする。
また、条件から内部の全圧は常にP_oである。

大気圧をP_oとする。
初め、体積V_o、温度T_oとする。
この温度の時の水の蒸気圧はP_wである。
この中に、水を物質量n_wだけ入れる。

ここで、仮に水が飽和していない(全て水蒸気になっている)とすると
水蒸気について、
pV_o=n_wRT_o\iff p=\frac{n_wRT_o}{V_o}
このとき、p<P_wが成り立てば、
この仮定は正しいということになる。よって、

(ⅰ)p\le P_wのとき、
水蒸気はすべて飽和しておらず、
p=\frac{n_wRT_o}{V_o}
(ⅱ)p> P_wのとき、
計算上水蒸気圧を超えているので、矛盾。
よって、水は飽和している。
よって、p=P_wであり、

水蒸気が物質量n'だけ存在するとすると
水蒸気について、
P_wV_o=n'RT_o\iff n'=\frac{P_wV_o}{RT_o}
より、水蒸気は物質量\frac{P_wV_o}{RT_o}だけ存在する。

自由ピストン内に少量の水を入れる場合


以下、温度常に一定の値T_oとする。
また、条件から内部の全圧は常にP_oである。

大気圧をP_oとする。
初め、体積V_o、温度T_oとする。
このとき、ピストン内部の空気の物質量n_aは、
P_oV_o=n_aRT_o\iff n_a=\frac{P_oV_o}{RT_o}
この中に、水を物質量n_wだけ入れる。


ここで、仮に水が飽和している(液体の水が存在する)とすると
水蒸気の分圧は飽和水蒸気圧P_wであるので、
今、空気の分圧はP_o-P_wであるので、
この時の体積をV'として、空気について状態方程式を立てると、
(P_o-P_w)V'=n_aRT_o\iff V'=\frac{n_aRT_o}{P_o-P_w}

このとき、物質量n'(\le n_w)の水蒸気について
P_wV'=n'RT_o\iff n'=\frac{P_w}{P_o-P_w}n_aが成り立つ。

ところで、(i)の条件が成り立つのは、n'\le n_wのときである。
これを満たすのは、n'=\frac{P_w}{P_o-P_w}n_a\le n_wのときである。
以上より、

(ⅰ)
n'\le n_w\iff n_w\ge\frac{P_w}{P_o-P_w}n_aのとき、
V'=\frac{n_aRT_o}{P_o-P_w}

(ⅱ)
n'> n_w\iff n_w<\frac{P_w}{P_o-P_w}n_aのとき、
投入した水n_wはすべて気体になったので、内部の全圧について、
P_oV'=(n_a+n_w)RT_o\iff V'=\frac{(n_a+n_w)RT_o}{P_o}
となる。




…したがって、上記の2パターンのように、
(1)水が飽和しているとして、p=P_wとして代入して求め、
 気体の物質量n>n_wであれば矛盾するとして、n=n_wとする型と、
(2)水が飽和していないとして、気体の物質量n=n_wとして代入して求め、
 蒸気圧p\ge P_wであれば矛盾するとして、p=P_wとする型がある。

つまり、
「水が飽和している」\iff p=P_w,n\le n_w
「水が不飽和である」\iff n=n_w,p<P_w
ということである。

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最終更新:2012年07月03日 09:31
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