金星


金星の熱放射率の矛盾


大気が存在しないとき、
惑星の取る入射エネルギーは、太陽定数をS[J\cdot s^{-1}\cdot m^{-2}]、惑星半径をR[m]として、
太陽に面する断面積は半径Rの円と表せるから、
E_{in}=S\times \pi R^2[J/s]となる。

同じく大気が存在しないとき、
物体のの放射エネルギーは、その表面温度をT[K]とするとき、
ステンファン・ボルツマン定数\sigma =5.67\times^{-8}[J\cdot s^{-1}\cdot m^{-2}\cdot K^{-4}]を用いて、
E_{out}=\sigma T^4[J\cdot s^{-1}\cdot m^{-2}]とあらわされることから、
惑星の放射エネルギーは、惑星半径をRとして、惑星の表面積は4\pi R^2と表されるから、
E_{out}=\sigma T^4 \times 4\pi R^2[J/s]となる。

以上のことから、
(ⅰ)大気が存在しない場合、その表面温度は
S\cdot \pi R^2=\sigma T^4\cdot 4\pi R^2
\iff S=4\sigma T^4
\iff T=\sqrt[4]{\frac{S}{4\sigma}}

(ⅱ)大気が存在する場合、
太陽光のうち地表に届くエネルギーをa[\% ]
反射される熱のうち宇宙空間に逃げるエネルギーをb[\% ]とすると、
S\times \frac{a}{100}=4\sigma \times \frac{b}{100}\times T^4
と表されること。


ここで金星における太陽定数S_V
S_o=1366[J\cdot m^{-2}\cdot s^{-1}]より、
S_V=S_o\left(\frac{r_E}{r_V}\right)^2=2660[J\cdot m^{-2}\cdot s^{-1}]である。

金星の地表面の温度は約470℃であることから、T=740[K]
ここで、次の二つの仮定に基づいて、金星の熱反射率を求める。

(1)
金星では太陽光の78%が上層の雲で反射されることから、
受け取るエネルギーは太陽光の22%であると仮定する場合、
S_V\times 0.22=4\sigma \times \frac{b}{100} \times T^4
\iff b = \frac{22S_V}{4\sigma T^4}=\frac{22\cdot 2660}{4\cdot 5.67\cdot 10^{-8}\cdot 740^4}=0.86\%
したがって、放射されるエネルギーは0.86%程度である。

(2)
金星には大気上層の雲以外に、厚さ20kmにも及ぶ雲があり、これによって地表の明るさは
地球で言えば、雪の降る日の昼間程度の明るさにしかならない。
ベネラ着陸機のデータによると、地表に届く太陽光は最大で3%である。
したがって、
S_V \times 0.03=4\sigma \times \frac{b}{100} \times T^4
\iff b = \frac{3S_V}{4\sigma T^4}=\frac{3\cdot 2660}{4\cdot 5.67\cdot 10^{-8}\cdot 740^4}=0.11\%
したがって、放射されるエネルギーは0.11%である。

実際にはベネラ探査機のデータを用いるのが正しいはずだが、
現在の天文学ではエネルギー放射率0.11%は説明ができないため、
(1)の説が取られているが、こちらのデータを用いていること自体が矛盾である。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年08月21日 11:12
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。