異化


嫌気呼吸

嫌気呼吸によって、発酵と腐敗が起こる。
いずれも微生物の嫌気呼吸(嫌気的な分解)によるものである。
分解物 生成物
発酵 グルコースなどの炭水化物 有益な物質
腐敗 タンパク質のような有機窒素化合物 アンモニアなどの有害物質

種類 生物 反応式
アルコール発酵 酵母菌 C_6H_{12}O_6\rightarrow 2C_2H_5OH+2CO_2+2ATP
乳酸発酵 乳酸菌 C_6H_{12}O_6\rightarrow 2C_3H_6O_3+2ATP
酢酸発酵 酢酸菌 C_6H_{12}O_6\rightarrow CH_3COOH+H_2O+Energy

解糖

動物の組織(特に筋肉)において、無酸素状態でグリコーゲンorグルコースが
ピルビン酸を経て乳酸に分解し、エネルギー(ATP)を生成する働き。
反応過程は乳酸発酵と全く同じである。

嫌気呼吸の仕組み

エタノール側の経路がアルコール発酵であり、
乳酸側の経路が乳酸発酵・解糖である。

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図中では省略されているが、
グリセルアルデヒドリン酸をピルビン酸にする過程で使われたNADは
酸を酸化して(水素原子を奪って)NAD・2[H]となり、
これがピルビン酸から乳酸に変化する際に、
或いはピルビン酸からアセトアルデヒド(+CO2)を経てエタノールに変化する際に
これらの物質の還元剤として使われる。

解糖系

解糖系では、グルコースははじめに1分子あたり2ATPを消費して活性化される。
その後、脱水素酵素によって水素[H]が奪われ、補酵素である水素受容体(NAD)と結合し、
NAD・2[H]が生成する。その後の過程で4ATPが生成されて、ピルビン酸になる。
差し引き2分子のATPが解糖系で生成されたことになる。

[解糖系] C_6H_{12}O_6\rightarrow 2C_3H_4O_3 + 4[H] + 2ATP

好気呼吸

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好気呼吸は三段階を介す。

第一段階

解糖系であり、細胞質基質で行われ、
グルコースが2分子のピルビン酸($$C_3H_4O_3)に分解される過程。
嫌気呼吸との共通部分であり、酸素は用いられない
C_6H_{12}O_6\righarrow 2C_3H_4O_3+4[H]+2ATP

第二段階

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クエン酸回路であり、ミトコンドリア内のマトリックス(基質)で起こる。
2分子のピルビン酸は、脱水素酵素によって20原子の水素と6分子の二酸化炭素に分解される。
これを、脱水素反応、脱炭酸反応と呼ぶ。
水素はNADとFADのしそ受容体と結合して電子伝達系に運ばれる。
ATPが2分子生成される。
2C_3H_4O_3+6H_2O\rightarrow 6CO_2+20[H]+2ATP

第三段階

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電子伝達系であり、ミトコンドリアの内膜にある。
シトクロム(鉄原子を含むタンパク質)など構成される。
解糖系とクエン酸回路で生じた[H]は、水素イオン(H^+)と電子(e^-)になり、
電子はシトクロムの間を次々に伝達され、エネルギーを放出する。
このエネルギーによってATP合成酵素が働き、多量のATPを生成する。
最終的には酸化酵素の働きによって
電子を受け取った酵素が水素イオンの結合して水(H_2O)を得る

24[H]+6O_2\rightarrow 12H_2O+34ATP

以上の三段階の反応を合わせると、次のようになる
C_6H_{12}O_6+6O_2+6H_2O\rightarrow 6CO_2+12H_2O+38ATP

呼吸基質と呼吸商

呼吸基質

好気呼吸や嫌気呼吸で分解されるもとになる物質で、
最も良く用いられるのはグルコース・グリコーゲンなどの炭水化物である。
炭水化物のほかに脂肪やタンパク質も呼吸気質となり、
生物の種類によっておもに用いられる呼吸器室は異なる

呼吸商

生物が放出する二酸化炭素と外界から吸収する酸素との体積比(物質量比)を呼吸商(RQ)という。
RQ=\frac{CO_2\ to\ emit}{O_2\ to\ absorb}
理論上、炭水化物、脂肪、アミノ酸の純粋な反応では次のようになる。
呼吸基質 反応式 RQ
炭水化物 C_6H_{12}O_6+6O_2+6H_2O\rightarrow 6CO_2+12H_2O 6/6=1.00
脂肪 2C_{57}H_{110}O_6+163O_2\rightarrow 114CO_2 +110H_2O 114/163=0.70
アミノ酸 2C_6H_{13}O_2N+15O_2\rightarrow 12CO_2+10H_2O+2NH_3 12/15=0.80

なお、C_{57}H_{110}O_6はトリステアリン、C_6H_{13}O_2はロイシンである。
これらの結果より、呼吸基質と呼吸商には次の関係がある
呼吸基質 呼吸商
炭水化物 1.0
脂肪 0.7
タンパク質 0.8

動物による違いは次のとおりである
動物 食性 呼吸商
ウマ 草食性 0.96
イヌ 肉食性 0.79
ヒト 雑食性 0.89

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最終更新:2013年03月24日 14:53
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