火星


バイキング着陸機の矛盾

大気圧による抵抗力は
大気密度\rho [kg/m^3](=[g/L])
東映面積S [m^3]
質量m[kg]
重力加速度g[m/s^2]として
次のようにあらわされる。
F(v)=\frac{\rho S}{2}v^2

したがって、落下する物体の終端速度は次の式によってあらわされる。
F(v_f)=mg
\iff v_f=\sqrt{\frac{2mg}{\rho S}}

ここで、火星の大気圧は8hPaで、
そのうち95.3%がCO_2であるから、
100%CO_2として考えても、
この計算における有効数字の範囲では影響はない。
また、気温は-80℃から-10℃程度であるから、
昼間であつことと、地上より上空の方が気温が低いことを考慮して、
T=-43℃=230Kとして計算する。
したがって、
PV=\frac{w}{M}RT
\iff \rho =\frac{w}{M}=\frac{PM}{RT}=\frac{8\times 10^2\times 44}{8.31\times 10^3\times 2.30\times 10^2}\simeq 0.0184[kg/m^3]
(ちなみに、厳密に計算すると、CO2 95.3%,N2 2.7%, Ar 1.6%より、
 d=\frac{PM}{RT}=\frac{8(95.3*44+2.7*2.8+1.6*40)}{RT}=\frac{8\times 4332.8}{8.31\times 10^3 \times 230}\simeq 0.0181
となり、有効数字2桁で求める範囲においてはなんら問題はないことがわかる)

パラシュートの半径は7.5feet~8feet≒2.35m程度であるから、
S=\pi r^2=3.1416 \times 2.35^2\simeq 17.35[m^2]

パラシュートの質量がわからないので、仮に20kg程度として、
着陸機本体は534kgであるから、仮に
m=550[kg]
とする。実際にはこれよりかなり重いと考えられる。

最期に、重力加速度はg=3.712[m/s^2]である。

以上より、
v_f=\sqrt{\frac{2mg}{\rho S}}=\sqrt{\frac{2\times 550\times 3.712}{0.018\times17.35}}\simeq 114[m/s]

NASAの発表によるv_f=60[m/s]よりもだいぶ大きい値が出た。
ここから安全に着陸することは困難であると思われる。


ここで、実測値から逆算をする。
パラシュートをつけてから45s後に速度は60m/s であったとあるから、
終端速度は60m/s 以下である。

今、大気圧をP[Pa]、質量をm[kg]として、
\rho (P)=\frac{PM}{RT}=\frac{P \times 44}{8.31\times 2.3\times 10^3}
よって、
v_f=\sqrt{\frac{2\times m\times 3.712}{\frac{P\times 44}{8.31\times 100^3\times 230}\times 17.35}}\le 60
\iff P\ge \frac{2\times3.712\times8.31\times2.3\times10^5 M}{60^2\times 44\times 17.35}\simeq 5.163M[Pa] \ge 5.163\times 550 \simeq 2840[Pa]

以上のことより、火星の大気圧は、28hPa以上となる。
それほど大きな大気圧ではないものの、NASAの発表データに矛盾が生じたことは確かである。

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最終更新:2012年08月16日 11:26
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