若き退魔師の悩み

若き退魔師の悩み

退魔師 真理亜
やはりおかしい、この状況はおかしい……
ひまり
どうした真理亜よ、そんな苦虫を噛み潰した顔などしおってからに
退魔師 真理亜
鈴門の退魔師は吸血種を滅する一族、それが奴らを生活を共にするのはやはりおかしい
ひまり
ルトガーやらモーラの事か？
退魔師 真理亜
はい、私も事を荒立てるのは本意ではありませんので、今日この日まで黙っていましたが
退魔師 真理亜
いい加減限界なのかもしれません、奴らを狩らずに野放しにしておく事が
ひまり
わしから見れば鈴門の退魔師も吸血種も共に重要な家臣であるからのう、同士討ちは困る
ひまり
しかし、それほどにおぬしが悩んでおったとはのう
退魔師 真理亜
実を言えば、悩みと言うよりも困惑が先に立ってはいるのです
ひまり
と申すと？
退魔師 真理亜
忌むべきはずの吸血種だと言うのに、何故かあの者達を見ていると心が和んでしまうのです
退魔師 真理亜
確かに、一族の中には吸血種と人間の混血となる者は居ます
退魔師 真理亜
ですが吸血種その物を前にしてあのような感情を抱くなど……私はどうなってしまったのかと
ひまり
駄目亭主(予定)と気立ての良い妻(予定)であるからな、奴らは見てても飽きぬな
ひまり
まあ、おぬしの言い分も分かるが、何もかもを判で押すような考え方は良く無かろう
ひまり
何者も変化が訪れし時には困惑するもの、それが心境の変化となれば尚更じゃ
ひまり
じゃが必要以上に構える事は無い、あれはあれ、これはこれともっと気楽に考えてみよ
退魔師 真理亜
確かに……退魔師の中にも久瀬派や斉藤派と言った穏健派も存在はします
退魔師 真理亜
私も以前から考えを改め、軟化させるべきだとは考えてますが、それも難しく……
ひまり
何かと真面目なおぬしには敷居の高い事かも知れぬが、頑張ってみるのじゃぞ

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