源内先生の妖魔講座(名前編)

源内先生の妖魔講座(名前編)


平賀源内
ん?私に何か用事だろうか
笠原綱信
物を訪ねるならばとこのお方と、友人の紹介を受け出向いた次第です
笠原綱信
つきましては、この若輩者に一つ教えを頂きたく存じますが、よろしいでしょうか?
平賀源内
勿論だ、だがそう言った向きの用事であれば私の事を先生と呼びたまえ
笠原綱信
別に構いませんが……それは何かの取り決めでしょうか?
平賀源内
雰囲気作りを目的とした取り決めだな、で、何を尋ねたいのかね
笠原綱信
私達が行動を共にする妖魔、についての疑問です
笠原綱信
人間のように個々の名を持つ者と持たぬ者が居るのは何故でしょうか?
平賀源内
確かにその辺りは線引きが難しく悩みを抱くのも仕方ないだろう
平賀源内
まず前提として、妖魔の多くは個々の名を持つとの概念自体を知らぬ者が多い
平賀源内
更にはその妖魔本人以外に同じ種族の物を持たない、単一の存在となる場合もある
笠原綱信
名乗る必要自体が無い場合も多いとの事ですね、なるほど
平賀源内
だが、妖魔の中にも共同社会を形成する者達は居る、私達狐妖もその一つだ
平賀源内
そうなってくると、個々を識別し定義するためには名前が必要となる
平賀源内
その時初めて、名を持ち名を与えられ名を名乗る事となるな
平賀源内
まあ、この辺りは人間達と同じと考えるべきだ、全ては必要に応じてだな
笠原綱信
ですが、狐妖の中にも名を持たない方もいらっしゃいます、四尾の狐殿です
平賀源内
彼女は特例さ、名を持たぬ事をよしとせず、ひまり君が与えた名を突き返したそうだ
平賀源内
何が彼女をそうさせたまでは分からないが、暇があるなら訪ねてみても面白いだろう

最終更新:2021年06月07日 20:56