悪夢の序章

見たことのない森を抜け出すのは案外簡単だった。
新世界の森林に比べ自然の数が少ないから、早く抜け出せたのかもしれない…
と、フーナは思いながら急ぎ足で草原を歩行していた。
後ろの方ではみんなが氷冬とチルノフに陽の日差しが当たらないよう物で影を作りながら歩いている。
二人の呼吸は荒くなるばかり。早く何処かの建物に行かなければと辺りを見渡すと、丘の方角に何やら小さな建物が見えた。
背後のみんなにそれを指して一斉に駆け出す。
近づいてみると、それは展望台だった。ちゃんと屋根の付いていて、高い位置に建っているだけあって下方より断然涼しかった。


氷冬&チルノフ『いきかえるぅ~…。』


展望台の円状テーブルにベターと倒れ込む二人を見てみんなは少しだけ吹いた。


カービィ「わぁ~!みてみて、海が見えるよー♪」


どうやらこの展望台は海に面しているらしい。下方からは丘が高くて全然見えなかったが、ここから見渡す景色は美しい蒼の世界だった。


伊達政宗「ほう、結構いいところじゃのぉ。」

林檎姫「伊達さん、今度ここへデートしにいきませんか?」

伊達政宗「む、むぅ……。」(赤面)


デデデ「全く、メタナイトワドルディも惜しい奴らだゾイ。こんな楽しい冒険を楽しめないんだからな。」

エスカルゴン「私としては奴等は来なかった方がよかったと思いますでゲスが…。」

デデデ「何ゾイ!?まさか貴様、この楽しみにを一人占めにしようと企んでおるなっ!?」

エスカルゴン「んなわけねえでゲシょうが!あくまで二人の為を思って言ったんでゲスよー!ていうか、んなこと陛下に言われたくないで―――アゲェーッ!!」


シン「やれやれ…っと。」


シンは空いている木製の椅子に座り込んだ。
ふと下の方を見ると、隣の空席の上に新聞紙が畳まれて放置されていた。


シン「誰かの忘れ物か?ちょうどいいや。」


新聞に手を伸ばし、広げて記事に目を通す。


シン「どら――――――!!!」

リョウ「あれ?シン君その新聞どうしたの?」

シン「…リョウ、それよりもこれ…。」

リョウ「なになに~……え――――――ッ!?」

レイナ「ちょっとちょっと二人とも、なにしてるのよ――――!!…嘘……。」


新聞に目を通した三人の表情が一変した事を異変に気付いたフーナは彼らの元に近寄った。


フーナ「どうしたの…?」


そう言って彼女も記事に目を通す。
ニュース記事には【殺し屋の神の軍団 完全崩壊 混沌の女神による裁きか?】と大きくその事が取り上げられていた。


フーナ「混沌の…女神?」

シン「おい、そう言えばさっき…今この世界の日付は5月14日って言ってたよな…レイナ。」

レイナ「ええ…確かにそう言ってたわ。」

フーナ「…?」


話の内容が全く理解できないフーナは小首を傾げて不思議に思うばかりである。


シン「……ヤバいぞ、これは。」

リョウ「そんな…じゃあ僕たちは今、あの頃に戻って来たって言うの…!?」


伊達政宗「何じゃ?ワシにも見せてくれよ。」

林檎姫「伊達さん、先ずは私から見えるんだからね。」

ロイゼ「何だよ、俺にも見せてくれよ。」


やがて殆どが「新聞を見てみたい」と言ったのでシンはテーブルの上にそれを広げた。
やはり、記事を見て表情が一変する人が殆どだった。


デデデ「ん、何ゾイこれは?」

カービィ「殺し屋の神……?何だか物騒な組織名だね。」

エスカルゴン「おや…これは確か、歴史書で見た事があるような…。」

氷冬「…?」

スカーフィ「かう…?」


フーナを含むこの6名だけ、どうやら記事の内容に関しては無知だったようだ。


シン「……リョウ、“奴ら”が動くぞ。」

リョウ「殺し屋の神の軍団が潰れたんだもんね…“僕たちによって”。」

レイナ「殺し屋の神たちよりも“ヤバい組織”がね…。」

チルノフ「これって…確か“世界を変えよう”とか何だの言っていた…。」

ロイゼ「俺たち…“奴らによる革命”が起きる時代に来たって言うのか…っ!?」

伊達政宗「……“バンプ”…。」

林檎姫「混沌の……女神…。“世界が滅ぼされかけた”あの日に…。」


フーナ「ちょ…ちょっとみんな、どうしたの?」

スカーフィ「そうだよ~、なんだか顔色悪いよ?」

デデデ「ドゥハハハハ!!熱中症で頭でもイカれたかゾイ?」

エスカルゴン「んな訳ないでゲシょうが!」(汗)

カービィ「うーん……。」

氷冬「……もしかして、私たちは…。」

フーナ「…氷冬?」

氷冬「あの人たちだけが知る時代に来てしまったのかもしれないわね。新世界、或いは別世界にいた私たちが知る由もなかった時代に。」

フーナ「それって……。」

スカーフィ「ねえねえ~!なんのことなの?みんな教えてよぉ~!」


スカーフィは手を振って新聞の周りに固まっている彼等に向けて言った。
するとシンが一人…彼女に顔を向けた。


シン「知らねえなら……全てを話そう。」


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最終更新:2012年03月23日 13:34