暗黒の歴史

強張った表情でシンは、六人に向けてこう話してくれた。

この世界には創造神がいる。それは当り前のことだと流石に六人も納得する。
しかしその人物が二人いるとしたら?その片方がとんでもない思惑を考えていたとしたら?六人は「?」を浮かべる。
世界が戦いの渦に陥っていくこの時代、創造神の一人である混沌の女神こと「カオスメイド」は、その時代に終止符を打たんと荒れ狂ったこのケイオスを…
完全消滅させ、新たな世界を創り出そうという…リセット計画、即ち“理想郷計画(アルカディア・スキーム)”を始動させた。


カービィ「それって…この世界が一度滅んじゃうってこと…!?」

スカーフィ「そんな…っ!」

氷冬「乱世の幕引き…それが叶わぬ野望だと知り、ならばいっその事星ごと一掃するという考えね。スケールがでか過ぎる…。」


シンは更に続けた。
女神の軍団はこれまでにない力を有していた。力と言うのは即ち、並み外れた計画性の事。
力で全てをねじ伏せるような傲慢意思の強いその辺の輩とは異なり、全て、あたかも先の事を知っているかのような動きで世界を翻弄する組織なのだということ。
フーナ達は聞いていて気味が悪くなって体の震えが止まらなくなっていた。約一名、恐れを知らぬ陛下を除いては…。


デデデ「ドゥハハハ!創造神たる女神が、自分等で創った星を壊すなんて馬鹿げているゾイ。結果が見えているのなら初めから創らなければいいんだゾイ!」

エスカルゴン「しかし陛下、歴史書にも記されていましたでゲスが…彼女等はあくまで星を創造し、生命を誕生させただけ。後に成長し、荒れた大地を作り上げたのは人間たちでゲス。それでその女神様とやらは、人間共の犯した事を自分の失態だと考え、リセットせざるを得なかったんだと思うでゲス。」

カービィ「神様も大変なんだね。」

氷冬「それでも…なんで女神自身が手を下すことがあるんだろう?人間で犯したことは人間で始末をつけたらいいじゃん。神様は人が乗り越えられる壁しか与えないってフーナが言っているんだよ!?現神様の、フーナが…!」

スカーフィ「そうだよ!それなのに…神様が直接手をつけたら意味がないじゃん。フーナの言っていることと…つじつまが合わなくなる!ボクは、フーナのが正しいと思う!」

フーナ「氷冬…スカーフィ…。」


込み上げてくる思いを抑えきれず、フーナはまぶたを強く閉じてきゅっと堪えた。


シン「それはもっともなことだ。だが…混沌の女神の考える事は、俺たちには分からない。」

レイナ「誰もその真実を知らないの。私たちは…謎を残したまま、奴等と戦い世界を救ったのだから。」

チルノフ「あまり関わってはいないんだけど…恐ろしいお方だとしか思わない。居場所を奪われるなんて…考えるだけで怖い。」

林檎姫「そうだよね…私たちは結局、“戦ってそれで終わり”にしたんだもんね。」

エスカルゴン「ふむ…通りでげしたか。」


エスカルゴンはいつの間に分厚い書物を持ち、顎を摩りながら目を通していた。彼がよく所持している歴史書と言う物だ。


カービィ「どうしたの?」

エスカルゴン「いや、その女神関連の歴史書にいま目を通していたのでゲスが…確かに謎だらけでゲス。全ての発端は「ナナ・カイルン」っていうある一人の少女から始まるのでゲスが…いつ、混沌の女神(カオスメイド)になったのか。共に同盟を組んでいたと謎のクッパ軍団を操っていた影、「ダークソウル」の存在意味。カオスマスターとカオスメイド、創造神同士の関係……他にも謎が多くて、唯一この書物内では歴史が纏まっていないんでゲス。」

デデデ「ぬわにぃっ!?そんな歴史があっていいのかゾイ!?」

エスカルゴン「旧石器時代や江戸時代なんかで完全に明らかとなっている訳じゃないのに…あっても可笑しい事じゃないでゲスよ、陛下。はぁ~、これだから頭が悪いんだからもう。」

デデデ「なんか言ったかゾイ?」

エスカルゴン「うぐっ…空耳でゲス。」


ロイゼ「ともかく、知らないお前たちに分かりやすいように言えば…今俺たちは、その女神のいた時代にタイムスリップしてしまったという訳なんだよ。」

フーナ「―――――!!」

スカーフィ「え…そ、それじゃあさ、エスカルゴンが言っていた謎も…僕たちで解き明かせばいいんじゃないかな?」

デデデ「おおっ!それはグッドアイデアだゾイ。ここでワシが一肌脱いでその女神の謎とやらを解き明かせば、ワシもきっと歴史に刻まれるんだゾイ!」

スカーフィ「シャーロックホームズみたいに有名な探偵として歴史に残るよ、大王ー♪」

デデデ「ドゥハハハハッ!!その通りだゾイ。助手はスカーフィ、特別にお前にしてやるゾイ。」

スカーフィ「わーい、やったぁ~♪」


相変わらず浮かれた二人に呆れ顔しか出てこない。


氷冬「ま、まあ…それは置いておいて、スカーフィの言う通りなんじゃない?確かに謎で包まれた歴史なんて気味が悪いよ。しかもそれが近代の事なら尚更ね。」

フーナ「私たち自身で歴史を覗き見る……私たちをここへ連れ出したあの本は、きっとそれを伝えたかったんじゃないのかな…?」

伊達政宗「うむ…分からなくもないな。ワシも気になることが山の様にある。」

チルノフ「時代を探索する旅かぁ…面白そうですね!」


チルノフはデデデから貰った温いカルピスの二杯目を飲みながら興奮していた。


リョウ「僕がここにいる限り、ダースベイダーの“暗黒ギンガ帝国”も生まれないね。」

シン「それはどうだろうな、リョウ。ここは過去だ、過去のお前がダースベイダーとなって各地で暴れているかもしれないぜ?」

リョウ「あ、そっか…。じゃあ僕自身で落とし前をつけに行かないとね。」


デデデ「全ての謎を解き明かし、ワシが第一発見者となるんだゾイ!」

エスカルゴン「はいはい、勝手にするでゲスよ。」(汗)

カービィ「あはは…僕も頑張るね。」(苦笑)


フーナ「それじゃ…私たちの行く末は決まったね。」


全員はテーブルを中央に円をつくり、互いの顔を見合せる。


フーナ「行こっ、みんな…!」



『おおおぉぉーーっ!!!!』




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≪本編のとの違い≫
『理想郷計画(アルカディア・スキーム)』について
本編ではただの「リセット計画」だと称されていたが、アナザー版ではこのようにちゃんとした名称がつけられた。
だが中身は変わらない為、普通に流してもらっても構わない。

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最終更新:2012年07月03日 19:13