LaSt wAr【光明】編 最終章 最終話 過去ログ

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―――――――――傲と独に駆らた虚飾の輪廻を迎る―――――――――









キセル「…か……さて…そろそろ…だ。(帽子を目深に被り直し何処かへ歩いていく)」


キセル「手間を掛けたな。ズォォォォオ…ッ…!!(シャルの遺体が右の蒼い瞳に吸い込まれていく) ゾッ (シャルを完全に吸収すると全身が痙攣し、やがて瞳の色が碧へと戻った)……フゥ……フゥ………フゥ…」


キセル「(シャルの遺体を前にする) キィイィンィンインィンィィン (右の瞳の色が碧から蒼へと変色し、瞳孔に*状の記号が浮かび上がる)」

























………………『ミシェル』…。


























………ごめんね……


……ごめん…


ごめん………


…ごめん…


ごめん…


" キ ミ を 殺 し て し ま っ た こ と だ よ "


…それは……


でも、それ以上にもっと許せない理由(こと)がある


ボクのせいで、ぜんぶ壊れちゃうんだ


でもボクは、今でも自分が許せない


なんて考えようとしたら、悲しむキミの顔が浮かんだからやめた


ねえ、もしもボクが生まれていなかったら…今頃この世界はどうなっていのかな…?


…もう、どうすることもできない…


" ア イ ツ " は世界を滅ぼす


" ア イ ツ " はボクの命なんか欲しくない


きっと " ア イ ツ " はボクを許さない


償いきれないほどの大きな罪を犯してしまった


…ボクは、愛したこの世界を殺してしまった


…ボクは家族を護れなかった


…ボクは友達を護れなかった


恩を仇で返してしまった


なにもかも、ボクのせいだ…


きっと " ア イ ツ " はキミと彼女を連れて、世界を消そうだなんて、思わなかったはずなのに…


…もしもあの時ボクが、" ア イ ツ " の存在に気づいていなければ…


でも今は悲しいよ


嬉しかったよ


キミと、彼女が、名の無いボクを受け入れてくれたから…つい昨日まで疑っていた自分の存在を、忘れることが出来たんだよね


「キミはボクたちの友達であり、そしてかけがえのない家族の一人だ」ってね


…だからキミは、ボクに優しく笑んで、受け入れてくれた…


だけどそれは、キミも同じだったんだよね


母と父のぬくもりを感じたことはなく、そもそも家族なんてものはなかった…


……生まれた時から、ボクはキミの分身だった……








シャル「か――――――――」


ズブシャァ…ッ…!!(キセルの背後で血飛沫があがった)


キセル「 チャキンッ (納刀)」

シャル「―――――――ッ!!(しまった…!逃げられ――――――)」

キセル「他人の能書きを垂れる暇はあるようだな。(いつの間にかシャルの背後に立っており、黒刀を抜刀していた)」

シャル「…! 永劫…回帰……(全ての次元を、運命を、覆し…思うままにする… 腑に落ちないが…今目の前にこいつがいるということが、それを顕著に示しているのか…。)つまりお前は…ボクの禁術から逃れたんじゃなくて、"禁術を受けるという運命"を回避した…!……そういうことか…?」

キセル「――――“永劫回帰(エテルネル)”――――― 人とは、生き物とは、あるいは存在するすべてのモノとは、生まれながらに定められた運命がある。だがこれは、"その定められた運命に幻術をかける"ことで、運命を意図的に覆す、言わば業深い能力だ。」

シャル「!!! な……じゃあ…じゃあ何故お前が!何故お前がこんなところに!!?」

キセル「分身などではない。」

シャル「(瞬く間に絶望感に浸った表情に陥る)……な、な…なな……何故、お前が…ッ…!(弱弱しい足取りで退く)ぃ、どういうことだ…“アポカリプス”から逃れられることなんて…!?…ありえない…ッ!!……まさか、さっきのは分身…!!?」

キセル「    ┣¨   ォ    ン     (彼の背後に立っていたのは、消されたと思われた人物だった)」

シャル「………………へ……(歓喜に満ち溢れた表情が一変し、引き攣った顔のまま背後へ振り替える)」





―――救われたかな?―――





シャル「――――――生きてる…っ!し、信じられない…(両腕を天高く掲げ、目に輝きの火が灯る)…やった……やったんだ…! …ボクは奴を狭間へと葬り…そしてボクは生きている!! こ、これで…これで世界は救われ―――――――――――」

シャル「 !? …違う…こ、ここは… 見たことある風景… …ここは……カオス界…? (立ちあがる)ま、まさか…ボクは……!(自分の両の掌を見つめる)」

シャル「……夜空が…ある… ……ここが…狭間… ………蛙の声が…心地よ―――――――――!!!(がばっと上半身を起こし、辺りを見渡す)」

シャル「……………ん……(瞼が力なく上がる)」


…はは… ……もうすこしだけ… みんなと一緒に… ……いたかった… な ……あぁー……… ……世界が …眩しいや…… 眩しすぎて… ……眩し… ……まぶし…………


……感覚が…薄れていく… ……そうか… …これから ………消えていなくなるんだ…





シュバァァンッッ!!!!!(そして、空間は勢いよく弾け飛び……世界は眩い光に包まれた)


切り取られた空間は真っ黒な四角形■(この摩訶不思議な空間内で唯一原形を留めている)と成り、それはゆっくりとゆっくりと、中心へ凝縮していく。


バシュンッ!!!(キセルを閉じ込めた檻が切り取られた)


シャル「(流石の奴も…これで、お終いだ…!ボクと共に……世界の狭間に堕ちろ!!!)――――――――“アポカリプス”――――――」


ガキィンッ  ガキィンッ  ガキィンッ  ガキィンッ  (キセルが居たと思われる空間に四つの一閃が迸り、それは原形の無い彼を閉じ込める檻となった)


シャル「(“アンビション”…!)(空間内ではキセルの居所が目で認識できないため、アンビションを纏うことで彼の気を感知しようと試みる)……!(そこか…!)(その場で刀を自棄になったかのように乱暴に振り回す)


―――――――――ォオォォオォォォオォォオォォオォオォォオォォオォォォォ――――――――――――(空間はうねり続ける)


シャル「がぁ……ぁ…ッ…!!(無論自身も婉曲し始め、やがて人としての原形を失っていく)(……ま、まだだ…ッ…!まだ、奴は『この世界』に居る…!)(楽刀「鏐」(原形が留まっていない為確認不可)を取り出し抜刀し、何処に何があるのかも解らないものにその切っ先を向ける)」

キセル「ギュォォォォォオオオオオオオオオ―――――――――――(シャルの目の前にいたキセルの姿は、もはや跡形もなく婉曲しており本人も身動きが取れない模様)」


ギュォォォォォオオオオオオオオオ――――――――――――――(空間が激しく婉曲し、徐々に螺旋状の摩訶不思議な空間が構築される)


シャル「……ハァ…ハァ………ハァ……!(……絶対に…生き延びてくれ…… ……『    』…!そして、今まで出会ってくれた…最高の友達よ…!)   パキィーーンッ!!   (両の掌を勢いよく合わせる)」

シャル「ハァ……ハァ……(…“これ”を使えば…もしかしたらもう此処にはいられないかもしれない…。けれど、中にいる『彼』を奴の手に回ってしまえば…この世界、いや…すべての万物は完全に消滅する!ならボクの命なんて安価なもんだ。)(緊張のあまり重苦しい息が出る)」

キセル「………!(シャルのとった行動を見て歩みが留まり、"今までにないほど驚愕した眼差し"で彼を見つめる)」

シャル「(……なら、残された術は―――――)………!!(…あったぞ…!ひとつだけ、ひとつだけ“あの技”があった…!)……ザッ  バサァ  (後退する歩みを留め、ローブを払って両の掌を前に突き出す)……。(生まれた時から、何故か持っていた“これ”を…こんなところで使う羽目になるなんて。…いや、この時に為に使われる運命だったんだ、“これ”は…!)」

シャル「……。(逃げることはできない…だからといって、この男と戦うことは無謀すぎる…。いや、" そ も そ も 誰 も 戦 え な い "! )(キセルに合わせて一歩ずつ退ける)」

キセル「……。(シャルを白眼視し、一歩ずつ距離を縮めていく)」

シャル「だけど、お前の思惑通りにはならないよ、ボクは。『彼』をキミの手に渡すものか…!」

キセル「……。」

シャル「……知っていたんだね、『彼』がボクの中に居ることを…。(睨みつける)」

シャル「!!!(早い…!もう、逃げる隙すら与えてくれないのか…。)(口元は不敵に笑んでいるようだが、滴る冷や汗が尋常ではない)」

キセル「―――――――――――――――何処へ行く。(すでにシャルの背後に回り込んでいた)」

シャル「――――――ッ!!!!(やはり感づかれていたか…っ!!)(踵を返し逃走を図る)」

キセル「ザク(歩みを留める)麁品の器に興味はない。俺は――――(シャルの胸部を指す)――――器の『中身』が欲しいだけだ。」

シャル「ま、まさかこんなところでキミに出くわすとはね…何か用かな?言っておくけど、風来坊のボクには金目のものなんて持ってないよー?(苦笑しながらジョークをかますが、目は笑っていない)」

キセル「……。(足跡の主で片手に黒刀を握ったままシャルの方へと歩んでいる)」

シャル「(足音のする方へゆっくりと振り返る)………。(見つかって…しまったか……。)」


何処からともなく、白皚皚の絨毯を踏み鳴らす足音が鳴る


シャル「ん……?(雪か…もうすぐ春だというのにまだ降っていて―――)………!!いや、違う…ッ…! これは…まさか……!!(周辺を見渡す)」


夜空から、的礫と光る雪が降る


シャル「(とにかく事態は一刻を争う。早く、早くこの乱立した世界からみんなを解放しないと…)(地図と新聞紙をカバンにしまい、ある方角を見据える)まずは協力者を集めないと…。」

シャル「………。(七神衆の彼(サングル)を止められなかったせいで、一人の少年、いやそれ以上の人々の命までもが奪われた…。ボク一人の力じゃ…勢力を阻止することはできない。)」

シャル「(いくつもの赤い×印がついた地図と、新聞の見出しを交互に見比べている)ボクが眠っている間に…ここまで被害が拡大していたなんてね。ひとつ、またひとつ…犠牲の場が広がっていくばかり…。」


~某地~

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最終更新:2014年03月04日 20:50