Bloody Requiem 過去ログ10

大変お手数ですが真下よりご閲覧ください












レイジェ「――(傘は回収せず、開いたままそこに留めて置き、破れたコートを背負い空を見上げる)………サリー………(ビルのフェンスからその光景を目にし、彼女の名をそっと呟いた) 」 


NOAH「(落ちたままの仰向けで、目を細める)ーーー…晴れた…なんて、綺麗で、眩しい……。 」 


火愚病「・・・あー、逝っちまった。(もし、ご先祖さんに出会ったら・・・・まぁ仲良くやってくれ。) 」



サリー「………じゃあね。すこしの間…だったけど、私、幸せかったよ……あの娘じゃなくて『私』を見て、私にくれた温かな言葉…全部が………この世界に残して逝ける、かけがえのない………––––––(手を空へ翳し、一筋の光に解けて青白い光の粒子が舞い、ただ静かに果てて行く)…私の…生きた証––––––––––––……・・・・ ・ ・ ・ ・  ・ ・ ・ 」 




いつの間にか空を覆っていた青い雲は消失し、湯黄昏時の温かな日差しが差し込む 」 




レインド「……あいよ…… 」 


火愚病「(最初から・・・・か。) 」 


サリー「……(それを確かに見届け、そっと頬に触れた手の指先をレイジェの唇に当て、安堵したように笑む)…返して…あげて………もう、私の居場所は……最初から、どこにも無かったのだから… 」 


レイジェ「……(頷きもせず、無反応かのように見えるが、一度、深く瞬きをして頷くような応答) 」 


サリー「……ね、レイジェ……。君は、あの娘の事を愛してる…?私じゃなくて…あなたにとっての…本物を…(そっと最早冷たさすら無い解ける寸前の氷のような手をレイジェの頬に触れる) 」 


レイジェ「……(最早かける言葉もない、かけようともしておらず、その虚ろな目に応えるかのようで、何を考えているのかわからない黄色い眼光を送り続ける) 」 


火愚病「これが・・・・生前最期に言ってた・・・・"自分じゃないもう一人の自分"・・・・か。(サリーを見据えながら・・・。) 」 


サリー「……(全身が亀裂の入り、脆く、崩壊を始めた水晶に変質し、その腕を延ばして指先で傘に触れる)……ああ………そっか…。この下で君と…肩を並べてた…のは……NOAHや、マリーに…とってのサリーは……私じゃ…ない、ものね…(枯れ果てた笑みを浮かべ、もう見えているかもわからない虚ろな眼をレイジェに向ける) 」 


レイジェ「……(拳を引き抜き、寄りかかる彼女に手を添え、小さな拒絶を見せゆっくりと突き離す)……(それでも、彼女に視線を落としながら、ビル屋上階段の扉にたてかけた傘を拾い、勢い良く傘を差す)……許容もなく、慈悲もなく……(ゆっくりと腰を下ろし、倒れたサリーの側に差した傘を置く) 」 


火愚病「・・・・終わった、のか?(警戒はしつつも、レイジェとサリーの様子をうかがう) 」 


サリー「(ポセイドンが形を失い冷気が晴れて、レイジェの拳が身体を貫いて、彼に身体を重ね力なく崩れる姿が写る)……レイ…ジェ……–––– 」 




––––––生きて、目で見て、耳で聞いて、感じて…愛し愛されて……私には私の人生があった。まだ、やりたい事は、やるべき事はたくさん残っていた…そう、星の数程 




 バ ク ン ッ (ポセイドンが二人を冷気の中に飲み込み、姿が見えなくなり静粛が流れる) 




レイジェ「……フゥ――ッ!!(駆け出して来たサリーに対し、使用していない右腕を軽く揺らし)ギュッ!(強く拳を作り、我武者らに目の前にきた彼女の為か)ズドンッ!(小さく強くめり込むような拳を突き付ける) 」


サリー「ッ…NOAH……(優しい、君は優し過ぎるよ…こんな時でも、『止める』事をやめようとしないだなんて…)…うぁ…ぁぁ……!(ポセイドンの中から向かって来るレイジェの姿を瞳に納め、彼に向かって我武者らに駆け出す)ぁぁぁぁぁあアアアアアアアア––––ッ!!」 」 


火愚病「―――――バチン、バチン!(バックアップにより、防壁が張られており、何とか瓦礫を防ぐものの、狙いがまだ定まらない。)・・・・・・。(その間、彼の脳内で映写機によって映し出せれるかのように"ある思い出"が駆け巡っていた。―――自分とサリーが初めて会ったときのことから、自分が死に至るまでの記憶である) 」 


レイジェ「ドスドスッ!(初撃の氷結の塊が肩に突き刺さり)バギッ!バギバギバギ!!!(二段目からの氷結を左手を鞭のように撓らせ、範囲内の氷を砕きながらも前進していく)スッ…(砕いた欠片が頬や腕を霞め、微かに血飛沫をあげていく) 」 



パチ…バリィッ!バリバリッ!(NOAHが空中に残した電撃が、尚止めようとサリーに抵抗する) 」 



サリー「(手を翳し、上空のポセイドンが合図に応じて尾を振るい、立ち並ぶビルを砕いて凍り付いた瓦礫が火愚病に降り注ぐ)…(NOAH、私はあなたに救われていた…あなたをこの世界に残して逝けるというなら私は…)……君だって…そうじゃない……… 終 わ ら せ る よ (ポセイドンは鯨の形を成した冷気の塊、それがサリーを口に飲み込み、触れる全てを凍結、そして砕いてレイジェに向かって真っ直ぐに突っ込んでいく) 」 

レイジェ「しかし、なんだ……ここまでの姿になりはてても尚…”哀しい目”をしているな……行くぞ…!(ダンッと足踏みをした後、その巨体へと愚直に肩から体当たりするように駆け出す) 」 


レイジェ「……(突き放されたNOAHを横目に、長い一呼吸をしながら体の力を抜いて行く)…どう頑張っても乗り越えられない障害物にあたっちまった時は 頑固さほど役に立たないもんはねーよな、お互いさ(その巨体を目にし、この期に及んで冗談を含んだ笑みを見せ拳を握る)何、そろそろ終わらせようぜ 」 


サリー「(離れて行くNOHAの姿を見送り、どこか寂しげながらも『安堵』したように微笑んで頬に入った亀裂がより一掃深くなる)–––…もう、私も永くはない。このままこの肉体が滅びれば百の巡りが訪れるまで私は機会を待たなければならない。そうなる前に……この『ポセイドン』で、一人でも多くを『救済』してあげる。…–––––来なよ、これが貴方達にできる最期の抵抗なんだから 」


紅い眼を除くサリーの全てが青白く、薄い水晶に覆われたようになり、彼女の頭上の輪が大きく開い、水面をものの一瞬で氷の大地に変貌させ、吸い取った熱は青く染まり渦巻いて空を泳ぐ『鯨』のような形を成して圧倒的巨体を見せつけた 



NOAH「ーーー(突き飛ばされ、目を見開いたまま力無く落ちる)ーーそんな、サリー… 」 


火愚病「(権能バックアップレベル最大・・・・・一撃で、決める!!)――――――スゥ。(かつて。彼が生前時にサリーも見たであろうあの構え、『右片手平刺突』) 」

サリー「…!(火愚病の攻撃に備え手に魔力を集中させる) –––……もう、遅いよNOHA…レイジェの言う通り(眼を伏せより一掃熱の気化熱化を激しくさせ、切なくも不適に笑み片方の白眼が黒く染まる)私は貴方達の世界では相容れない事をした。そこに後悔は無いけど…もう後戻りはしない。私は貴方達を連れて行く…何を…してでも!(NOAHの触れた手に凍てつくような感触が伝わり、周囲が凍り付く前に彼女を腕で突き飛ばして離す)ごめんね…–––– 」 


レイジェ「語る所に今までの人生だとか、これからの事だとか、苦しみだとか何だとか、そんなどうでも良い事を引っ張り合いに出すんじゃあない……なんであれ、人を殺めた時点で既に悪い。簡単な事じゃねーか(展開させた羽などには目もくれず、余裕の無表情っぷりをわざと見せつけている) 」 


NOAH「ずっと側に居てあげるなんて、言いたくても言ってあげられないけど…(ゆっくりサリーに歩みより、そっと触れる)出来る限り、側にいるから……だから、ひとりぼっちになろうとしないで…失うことは、確かに怖い、けど……みんな、いるから 」 


サリー「……思い…出す…(ASの言葉がトリガーになったのかふらふらと立ち上がる)(––––そうだ、これは私だけの問題じゃない…造るんだ、もう誰も悲しまない世界を…!) ––––ッ(NOAHの投げかける一語一語の暖かみで氷で出来た身体が悲鳴を上げるようによろめく) これの何が悪い事だっていうのよ、この世界のあなただって生と死が別れているせいで苦しんで来たのに…(立つのがやっとという状態で嗚咽しながら冷気を纏った羽を展開させる) 」 


火愚病「(あ、これは想定外)・・・なんて思ってる場合じゃねぇぞ!!?(ヤバい・・・即死は避けられるだろうが・・・・どうするか・・・我ながらすげぇよ痛いよめっちゃかするよ!なんとか操作してるけど・・・しゃーない。こっちの予定通りに一遍やってみるか!!)―――(スラリと抜刀、それは長年彼が愛刀として使い込んだ無銘刀) 」 


レイジェ「よせ、すべてを拒むような首の振り方は(NOAHの演説のように熱のある弾けた台詞に首を振ったサリーに対して一語一語を慎重に息でくるむような口調で)……初めに言ったな、愛や人間は二の次だ……お前は、悪い事をしてしまったんだから。 」 


NOAH「(ぐっと泣きそうになる感情を抑え、目を細めてサリーを見据える)ダメだよ…本当に、サリーがひとりぼっちになっちゃうじゃない!そんなの良いハズがない!!…ひとりぼっちが辛いのは、私がよく知ってる…! 」 


AS「・・・忘れても、思い出す、何度だって、思い出すんだ、そう、何度でも、そうすれば、決してずっと無くなる訳では、ない。(ストッ、と地面に立ち、自らの模倣が霧のように散る) 」 


サリー「(素手を振り抜いて土煙を振り払い、亀裂が達した顔を上げてNOHAの声に対し耳を塞いで顔を横に振る)わかってた、そんなの知ってた……だから、だからお願い…これ以上増やさないで…私から離れて行くものを…! (レイジェを縋るような眼で見上げ、目尻に黒い涙を浮かべる)嫌だ…嫌だよレイジェ…こんなの君じゃない……!君が君で無くなる前に…殺しておけばこんな…! 」

レイジェ「スタッ(雨で濡れた床に、滑る事なく華麗に着地し、堂々と落としたサリーを見下ろす) 」 


火愚病の攻撃は言うなれば『完璧』だった。衝突した壁なら難なく砕いただろうがそれは火愚病を球体状に囲みその中で攻撃『軌道を捩じ曲げて』拡散し跳ね回り彼を追いつめて行く


NOAH「はぁ…はぁッ!サリー!!気付いて!あなたは一人なんかじゃない…!みんな、居るんだよ…!!すぐ側に!(殴り落とされたサリーに向かって叫ぶ) 」 


火愚病「まずはその・・・拒絶の壁から・・・ぶち壊す!!(七支刀を投擲、英神の時のように、七つの光刃が稲妻のような軌道を描きながらすさまじい速度で防壁を砕きにかかる) 」 


サリー「–––––…(アオが離れて行く様を呆然と見つめ聞き逃した言葉への僅かな期待からか集中が揺らぎ)……ッ!く…ァ…ァァ…!…うァ…アアアアァァァッ!!(レイジェの上乗せに対抗し押し返そうと歯噛みするも力比べでは叶う筈も無く) 来るな…(火愚病に対して眼による念力のみで生成した防壁を張り)ああ…ッ!う…あああァァ…!!(同じように両手が使えず密度の低い防壁を張るもASのレ連撃に追付かず水晶化した身体に亀裂が走り)来ない…で…来ないで…!お願いNOHA、あなたの光は、それは私には…!(痛いぐらい眩し過ぎるから–––)––––ドォォォンンッ(斬撃が身体を貫き抵抗しきれずレイジェに殴り落される) 」 


AS「(炎の中から、焦げ付きつつ出て、構え)霞は、ずっと、待ってくれている、ずっと、信じ続けてくれている、・・・だから俺は、霞の待つ『終わり』に辿り着くまで、輝く!(すると、ASの幻影、いや、ASそのものの模倣が二つ、左右に現れる)『幻影狂乱(ミラージュレイヴ)』!!(そして、三人のASがサリーへと分散し突撃、それぞれがそれぞれの隙を埋めるように、それぞれがそれぞれの範囲を補うように、それぞれが圧倒的速度を以ってして放つ、疾風怒濤の連撃を放つ) 」 


火愚病「恐らくないな?だが・・・時間稼ぎにはなった・・・。戦法は決まった!!(傷が修復するも体力は戻らない。しかし、それでもニタリと不敵に笑む)はぁああああああ!!!(両足に権能によるバックアップをつけ、ジェット機のような跳躍を見せる。その手にはあの七支刀) 」 


NOAH「サリィィィィィーーッ!!Thunder bolt 【SPEED】ッ!!(分散させた電撃と同化するように、高速で雷を纏った斬撃を放つ) 」 


レイジェ「グギギッ…!堕ちろォ!!(より一層歯を食いしばり、電撃による怯みで或る事には気づかない程必死に力を上乗せしていく) 」 


アオ「……ッツ…!!なら聞かせてあげるよ…彼女は、君に――――ッ…!!(しびれを切らしたのか、"伝言"を言い掛けた瞬間にサリーが離れ、風圧によろめく) 」 


サリー「ッ…!?(そんな…気化冷凍に熱が追付いて…)チィッ…何よ、たかだか一人失ったぐらいで何が…! 『読み』よあなたの事だから、このまま首がボトンなんてないんでしょう…) ––––(レイジェ…君までそんな眼をするんだね…母さんみたい。もうあの人を殺す事は叶わないけどせめて…)あああアアアァァァァァッ!!(大鎌を何度も巧みに回転させ、周囲の熱をより協力に吸収する効果を有させて斬り上げハンマーナックルとぶつけけたたましい金属音が響き押し合いになるガ)ッ……NOAH…!!(電撃により怯み徐々に推されていく) 」 


NOAH「ッハァッ!!(腕を振り、飛び散る水素を利用してサリーの周囲に電撃を分散させる) 」 


レイジェ「…(フンと鼻を鳴らし、歩を歩め、水を弾くように靴底を何度も床に叩き付けていく)行くぞ…ッ!(歯を食いしばり、脚をバネの様に弾ませ大きく跳躍)デリィヤァア!(目の前まで移動した所で、反撃を食らうことなども考えずに重力を利用した両手によるハンマーナックルをサリーの頭上目がけ繰り出す) 」 


火愚病「(ズブズブとツララを引っこ抜き、フラフラとよろめく)・・・なんだよ、じれったいなぁ?ならさっきのツララで仕留めりゃいいものを・・・・。いいぜ?こいよ?そのギロチン落としてみろ。だが・・・・シクってみろ?今度は俺の番だ。さすがにそこまで・・・・やさしくはなれなかったよ。 」 


サリー「違う、違う違うッ!!あなたなんかと私は違う!!失敗を繰り返した、何度救おうとしてもその手は離れて行った!何も知らないあなたとは… ”あなた達”とは…ッ!!(翼を羽ばたかせアオから距離を離しNOAH、レイジェに意識を集中して特大の氷柱を生成し放とうとするが)……!!(水素を伝う電撃により砕かれ動揺し隙が生じ、絶句してレイジェに視線を移す)……ッ!! 」 


AS「ああ、失った、俺は霞を失ったさ、だがな、俺は再び霞に会った、会って、ようやくわかったんだ・・・!(剣身を霧散させ、再構築、侵食する氷に自ら幻影の炎を出してそれを掻い潜り、強引に解凍する) 」 


サリー「そうやって一歩も動かず果てるつもり…?いいよ、どうせ皆最期はそこへ行ける、どうせ最期は一緒になる。それを望むなら––––苦痛も無く消え果てなさい(冷淡に囁き火愚病の今度は頭上にギロチンの刃が出現し停滞する、まるで反撃をまつかのように) …どうして…? わかりきった事聞くのね(胸ぐらを掴まれても反撃はせず目尻に涙を浮かべ瞳を小さくして見開き嗚咽の混じった叫びを上げる)私が!私が母さんを許せないからに決まってるでしょッ!?あの人は私になんて言ったと思う!?『お前さえいなければ』よッ!お前さえいなければ良かったって…怯えた眼で!! 」 


NOAH「できっこないんて、諦めてるからッ!そうやって卑屈になっちゃうんだッ!(手のひらから電撃を放ち、周囲の凍結を緩和させる) 」 


レイジェ「言いたい事たくさんあるだろうなぁ。お前も、そしてこいつらも(サリーの真正面で、堂々と、大きく、大胆に両腕を左右に広げる)だがお喋りはそこまでだ。口だけじゃあ俺達は混ざり合う事は決してない。決してな(大鎌の存在を認識しながら、コートから染み溢れる血液を強く振る雫に溶かしていく)だから、さっさと、その哀しみとやら、ぶつけてみろ(区切りをつけ、それぞれ挑発に近い形で強調した口調) 」

アオ「っ――――アンタはッ!!(瞳孔が開き、サリーの胸ぐらを掴みあげる)……っ……ッ…!!もう少し…自分を赦してよ…!彼女はもうアンタを赦してた、後はそう、少し…ほんの少し、君が君自身を赦してやればいいのに…ッ…どうして……!! 」 


サリー「無理よ、できっこない…!私は愚か、誰にも『救う』なんてできっこない…それでも向かって来るならッ!!(妖精のような羽を展開させ頭上の光の輪が周囲の熱を吸収し始め凍結させ向かって来るNOHAを睨む) そう、不確かじゃない…(水晶化させた左手の甲を刀身にぶつけ軌道を反らし肩を刻まれるも、瞬く間に剣は凍り付いてASへ浸食)尚更全て失うよ、君は!! 」 


火愚病「――――ッ!!(降り注ぐ氷柱に心臓部、腕、腹部、右大腿部を貫かれる。――――――その間、避けようともしなかった) 」 


サリー「…–––(レイジェの眼をじっと見つめ眉を潜めて自活気味にほくそ笑む)…ほら、結局そうなんるんだ。君だって…どうせ(水の塊を収束させそれを捩じ曲げて凍結化させて大鎌へ変化させる)–––結局最後は、離ればなれなんだ あの先代はね、あなたの一族の中で『あの人と同じ望まれなかった存在』だったの…だから、嘆く声が聞こえたから助け出したのにそれをあなたは…!(大鎌を軽く振るう、すると火愚病の頭上の空間が裂け機関銃のように氷柱が降り注ぐ) 」 


火愚病「(ぶっちゃけ言うと、俺はかなり迷ってる。今ここで戦うことは簡単だ。・・・だが、それは"本当にサリーを救ったことになるのか?"今のサリーは酷く心が不安定だ・・・そんな相手に、集団で叩き伏せにかかることは・・・果たして正しいのか?確かに、今の彼女に俺たちの言葉は届かないだろう・・・。だが、ここで彼女を打ち負かしてしまったら・・・・その魂に取り返しのつかない穴をあけてしまうような気がする) 」 


AS「心や思い出強くない、それは俺だって思い知った、一度と言わず、何度だって、俺は『生きる意味』も、『待っている』という事も疑った・・・『生かされている』、そうさ、俺は今までそんな不確かなものに、縋り付いて、生かされてきた・・・!(衝撃波の余波により、にわかに狙いがぶれた刺突を放つ) 」 


NOAH「知らないなら、教えてあげる!聞かせてあげる!絶対…救ってあげるんだから!!(ダッとサリーに向かって駆け出す) 」 


火愚病「・・・ッ!(尋常でない殺気を放つサリーの言葉に目を伏せ、そして・・・)そうかい、そいつぁ悪かったな。歴代もうれしかっただろうよ? 」 


レイジェ「……(耳から手を離し、ナイフのように鋭い風で髪が靡く最中、暗い中不気味に黄色く光る眼光をサリーへと向け続ける)……さっきからうるせぇんだよ、お前……(最早、サリーへと向ける言動態度ではなく、それは正しく彼が見下した『悪』への嫌悪) 」 


サリー「 ッ…(立ち向かって来るNOAHに気押しされ歯が削れる程に食いしばる)知らないよ…聞きたくもない…ッ どうせ皆私からは慣れる癖に…皆最期は私を残して逝く癖に…そうやって口々に…ッ! 」 


サリー「(火愚病を横目で見据え脳裏にキャスターの姿がチラつき三白目になって尋常ではない殺気を放つ)違う…”あなたじゃない”…許さない、私から苦楽を共にして来た…大切な友達を苦しめた方を許さないんだから…ッ! (母親と聞き眉がピクリと動きアオに向けかけた手を下げ、下手な作り笑いを浮べる)母親…母親…、ええそう…母親ね…私じゃなくて『彼女の方の』。伝言って何よ、なんなのよ…『あなたなんて生まれなければよかった』? それとも『私から本当の娘を奪った貴方を許さない』? 」 


火愚病「・・・・・。(そうか、彼女が恐れるのは"変化"。変わっていく環境、変わっていく人達・・・そして、変わっていく"自分"。その最果てに存在する終わり。サリーが最も恐れているもの・・・。おそらく、『孤独』・・・・及び、一人になる恐怖。・・・彼女には、その孤独や恐怖を一心に受け止めてくれる人が必要だった。もういるのかもしれないが・・・彼女のうちにあるそれが・・・今の泡のように、弾けてしまった。) 」 


NOAH「うっ…!く、ぅッ…!!(顔を歪め、耳を抑えながら、ゆっくり立ち上がり前進する)折れない…折れない!絶対に!!ねぇサリー!なんで私が…私たちの心が折れないか、分かる!? 」 


アオ「アンタの母親から、伝言を預かってる…ッ!!それを"彼"から伝えられるまでに、勝手に殺したり殺されたりなんか――――俺と"彼"が許さない…絶対だ……ッ!!(サリーの正面に立ち塞がり、剣を片手で握りしめる) 」 


サリー「(上空で尾を靡かせ電流を微量に纏った手、NOAHと順に視線を移し歯噛み)ッ…折れろ…折れろ……!折れろ……屈してしまえッ!折れろォォォォォォォッ!!(左目を赤く変色させ叫び、がむしゃらに念力を放って空間が歪ませ、NOHAの髪を霞めて彼女の背後のフェンスがひしゃげる)違う!そんなんじゃない…心や思い出は君が言うような強い物じゃない!時が建てば終わりに怯えて壊れて、砕けて、破片で自らを抉る。そんなもの…終わりなんてものがあるから…私はッ!(水晶化した尾で火花を散らし切り上げを打ち払い、三つの泡を出現させて幻影ASにあえて割らせ、その際の衝撃波で斬撃を相殺してしまう)今日までその嘆きを一身に受けて来た!あなたに何がわかるのよ、この『生かされている』という罪への背徳がッ!! 」 
」 


AS「そうさ、終わりは望むべくして訪れるものではない、その多くは望まれぬものだ・・・だが。(握っていた八本の刃を仕舞い、ミラージュブレイドを両手持ちする)終わりがあるから、あるからこそ、思い出は、生き物は、人は、その終わりまでに、輝こうとあれる!!(下からギリギリと地面を削りながら上に剣を振り上げる、送れて幻影が三連続で同じ攻撃を放つ) 」 


NOAH「ッはぁ……はぁッ…!(スタッと着地し、片膝を付く)折れないよ…こんな程度で、折れるハズがないんだッ! 」 

火愚病「(間に合ったぁ・・・・・!!!まだ交戦中か!!)(戦場まで脱兎の如く、駆け抜けサリーたちのもとへ) 」 


サリー「ええそう…終わりなんて無い方が良い…ッ!(貝殻のようなシェルターに自らを挟み斬撃を防御するが跡形もなく切断され頬に傷を負う…) っく…!?そんな…まともに精神を保っているなんて…!(電撃を諸に浴びせられるが身体を螺旋状に回転させ電撃を吸収させた水をばら撒いて脱出)ッ…!あり…えない…!心を引き裂く筈…なのに………!(自らを抱きしめるようにし前進を凍結化させ攻撃を耐え凌ぎ怯えた眼でアオを見据える)なんで立ち向かってくるの……!?

アオ「ザァッ――――(尾鰭とぶつかり合う剣の側へ既に回り込んでおり、宙で躍る剣を握り直す。その時、NOAHの声を聞いて少し笑う)だったら…レイジェさんにキツいお灸を据えてもらいなよッ!!(剣の柄でサリーの体を殴り抜こうとする) 」

AS「それは、終わりから逃げているだけに過ぎない!(スチャ、と構えを取り・・・)九刀流「魔人横行」!!(一瞬の元にサリーの背後まで走り抜け、走り抜けた後に幾多の強烈な斬撃が追いかけてくる!!) 」

NOAH「ぐ、うぅぅうッ…あああぁッ!!(頭を片手で抱えながらも、手のひらを向ける)くっ、ぅ…Thunder…bolt!!!(サリーの周囲ごと覆い尽くすような碧い電撃を放つ) 」

サリー「いいえ…終わらせない、出会ったまま…出会ったままの記憶が永遠に続けばいい!終わらせなんかしないッ!(泡が浮き輪のように形を変えてASを囲み、次第に泡そのもにの中にASを包もうとする) だったらその心を糧にして立ってみなよ!どうせ、打ち拉がれるだろうけどさ!(掌に出現させた泡を握り潰し絶叫をそのままNOAHへ向ける) っ…! やめてよ、私はもう…諦めたいんだよ!(尾鰭を振るい剣とぶつかり合って亀裂が走る) 」

NOAH「当たり前、だよっ…!! 」

アオ「ツッ……!!(絶叫に顔を顰めながらもサリーの隙のない注意を窺い知る)綺麗事で誤魔化す、か……。正直、俺は君のことをよく知らない。けれど…君だってきっと、きっとその綺麗事を望んでたはずだろ。予定調和、ありふれたお約束、皆で笑ってむかえるハッピーエンド…!『そんなもの、くだらないことだ』って一蹴されるかもしれない!だけど少なくとも、俺達はまだその綺麗事を諦めてない!!そうだろ皆ッ!!(剣をサリーへ投擲する) 」

NOAH「綺麗事でも、誤魔化してなんかもいない…っ!私は、今までそれを肌で感じて来たんだっ…!!(よろりと体勢を立て直し、再びサリーに向かって駆け出す)あああああああッ!! 」

AS「出会いがあれば別れがある、何かをしなければ何も起こらない、始まりが無ければ終わりも・・・無い。(九本の刃を、向ける) 」

サリー「(埃を払うような仕草をし立ち上がる)……皆よく言うよね…私にはそんなチンケな量のノイズなんて子守唄でしかなかったよ、こんなものじゃない、もっとたくさんの嘆きと、叫びをずっろ独りで、今日まで聞かされてきたんだ(両手をいっぱいに広げ水浸しになった町の至る箇所から同党のシャボン玉が無数に浮かんでくる)心が残る?終わりのないものなんてない?嘘だよ、全部嘘!死ねば残るのは傷跡!そこから生まれる悲しみに終止符なんてないッ!嘘つき、嘘つき!嘘つきッ!そうやって綺麗事で誤魔化すなんてもううんざりなんだよッ! 」

レイジェ「ほざけ…(家庭内暴力の一言にため息のような一言を呟き、ビルに叩きつけられたところで態勢を治すが)ーーッッ!!(割れたシャボン玉の絶叫を聞き、両耳を塞いで悶え出す ) 」

AS「だがな、終わりのないものなど、存在はしない・・・それに―――(右目が赤く光り、周囲の冷気に対して強い炎を出し、実体化させて蒸発させる) 」

NOAH「(小さく首を横に振る)私はもう、独りなんかじゃない!例えいなくなったとしても、『心』はずっと私の中に残るんだっ!!うっ、く…ゥ!!(音が耳をつんざき、身体が拒絶するように脚を止める) 」

サリー「(攻撃の対処をしながらもアオに視線を向け注意は怠っていない様子) だから…もうそんな思いをさせないためにこうしてるんじゃない!(砕かれた氷柱はドライアイス状に拡散しASを包んだまま固体化して行く、文字通り冷凍保存する気だ) そう…!だったら!そのいつかで独りになってずっとずっと、こうやって嘆いていなよっ!(シャボン玉の中身は【音】ガラスの割れるほどの絶叫が響き渡る) ッはは…家庭内暴力……!(尾鰭を曲げ咄嗟に腹部への直撃を避けるが衝撃で苦痛に顔を歪めビルに叩きつけられる) 」

レイジェ「グッ…!(尾びれの斬れ味を斬られるその寸前で判断し、即座に腕を引っ込めながら横に旋回してヒレから逃れる)(どんな尻尾持ってんだよ…"風圧"で切傷出来たぞ…)(コートの上にまで負傷した腕の血液が滲み始め、苦しそうな表情で回転しながら接近)せいやアァ!(回転の勢いをつけたまま、サリーの人間体である腹部へ裏拳) 」

NOAH「うん、こっちはこっちで…勝手にやらせてもらうよっ! …そうだね、きっとマリーさんも…槭だって、いつかは。でも、消させない…絶対に!(シャボン玉に向けて拡散しないように圧縮した電撃を放ち相殺する) 」

AS「繋いだ手が引き裂かれ、辛い想いをするのは・・・俺一人で十分だ・・・!(氷柱一本ずつを対処するに連れて、一本、二本、三本と持つ剣を増やしていき自然に九刀流となる) 」

サリー「あぁ…君ね、君も失ったんだっけ…どうかな、今すぐ合わせてあげようか!(踊り子のように手首を捻らせ一閃された水圧カッターを分散し大量の氷柱に変えてASに集中砲火) ねぇNOAH?マリーさんもいつかは消えちゃうんだっけ?でも大丈夫だよ、そんな悲しい未来…消してあげるから!(身長程の高さのあるシャボン玉のような光をNOAHに向けて放ちつつ滑走しあえてレイジェに向かっていく)そぉらッ!(凍結した尾びれを蹴りの要領で振るい火元であるレイジェの腕に思い切り振りかざす) 」

アオ「(剣を両手で握りしめ、皆とは一歩引いた場所で様子を窺っている) 」

レイジェ「後は勝手に避けろよ。ぜってー助けねーからな(NOAHに吐き捨て、サリーとの距離間は保ったまま、右方向へと半時計周りに走り出す)よっ!(所々に軌跡を作り上げる水圧カッターをキレのある動きで跳躍したり屈んだりと、回避していき、サリーから真横の位置で水を蹴りながら立ち止まり)燃えらァ!(体を覆う様な大きさの炎柱を腕の根元から発声させ、サリー目がけ発射) 」

NOAH「…―――!!(タンッと身軽さを活かして跳躍し、そのまま接近を試みる) 」

AS「それは、振り撒いてはならないモノだ!(唐突に現れ、水圧カッターを全てミラージュブレイドで一閃) 」

ヒロ「…なるほどな(同じくサリーを見上げる」

サリー「生きている限り必ず別れが誰かと繋いだ手を引き裂く、丁度……こんな風にねッ! (上半身を軸に下半身の尾びれをしならせ鞭でなぎ払うように振るい広範囲に渡る高密度の三日月の形を成した水圧カッターを飛ばす) 」

NOAH「(相変わらず水浸しだな…むやみに電撃は撃てないカモ、スタンドプレーにならないように気を付けなきゃ)……(静かにサリーを見据え、いつでも動けるように構える) 」

アオ「(瞬時にドライブを発症させ、一振りの蒼い剣で自分一人が通り抜けられる程度に波を切り破る) ………永遠、ね。退屈しそうな世界だ(変貌したサリーを見る) 」

棗恭介「 フッ…そうか。そいつは、よかったな…。  ……ハァ……ハァ…...(延々と雨にうたれていたからなのか、疲労が出始める) 」

レイジェ「…(その神々しい姿を見せても尚、サリーを見捨てた視線は変わる事はない)さぁ、この心の芯まで凍えそうな惨殺空間……(炎を一振りし、掻き消すと戦闘態勢の身構えをとり、動向を探る) 」

槭「いや、これは身を守るには適してないんだ……危ない事に変わりはない。でも……ギリギリまで、見届けたいんだ……遠くからでも… ……ありがとな……時が来たら、俺も動くさ。今は見だ、だけど……お前の言葉、勇気付けにはなったぞ ……!?(サリーを見上げる)なん、だ…………(綺麗だ、という言葉が頭に浮かぶが、そんな場合ではないと打ち消す) 」




VS サリー




サリー「────…(波が引くと頭上に三重に円を描いたような光輪を浮かべ、半透明の六枚羽を広げて飛翔し、人魚のように下半身を鮫の尾のように変質させたサリーが、水平線を背に摩天楼を見据える)……例外なんてない、永遠をくれてあげる。別れなんて存在しない世界を 」

棗恭介「 なら…全力でぶつかってやれ。人の想いというのはな…無限大だぞ。どうにでもなるさ。 」

NOAH「わ…(抱えられて少々驚く)…クス、うん、最初からそのつもりだったけど…ちょっと安心した(瞳と髪の先端を蒼く染め、腕を刃状にトランスする) 」

ヒロ「…そうか。…んでお前も危険だろ、逃げなくていいのか…いや問題ないなお前なら(槭が手に持っていたキューブを見て) 」

レイジェ「………(半歩後ろにいるNOAHをシャフ度気味に見下ろし、暫く硬直したが、押し寄せて来た波に反応してNOAHを脇に抱えて軽く跳躍)……(嫌いの言葉の重みをずっしりと受けながら、波の影響が消えたところでビルに着地し、NOAHを下ろす)……そう思うんだったら好きにしろ…(それだけNOAHに伝えると、再度炎が腕を覆い、波に飲まれたサリーの方向へと視線を傾ける) 」

槭「……すまん、俺にも分からない。……ただ、ここは危ないぞ あぁ……兄として、時には弟として……これ以上ないほど、愛してるさ。……この気持ちで戦いがどうにかなるなら、俺だって…… 」

NOAH「…っ(言われるまま半歩後ろに下がる)コレは、あなただけの問題じゃない…それは、分かってるよね?(レイジェに呟く) 」

棗恭介「 ……何を恐れている。結果がどうあれ……お前のあの子に対する気持ちは、本物のはずだろう。 」


── 大 ッ 嫌 い だ よ ──(摩天楼の高さを超える波が押し寄せ、サリーを跡形もなく飲み込んだ)


サリー「……ううん、皆…皆には聞こえてないよね、この無数の嘆きが、耳を滅茶苦茶に引き裂いてもまだ、私の魂に呼び掛けてくる声が。会いたいよ会いたいよって…今、生きてるあなたたちと離れて泣いてるこの涙は見えないんでしょ。私はずっとこの左目でそれにを独りだけで見てきた、死者の一人として…そしてずっとあなた達に呼びかけてきたんだよ?みんなの知っている【サリー】の中から…でもね、誰も気付いてはくれなかった、振り向いてはくれなかった………だから私は皆のコト────(両手を広げ、虹色の六枚羽を出現させる) 」

槭「…俺じゃどうにもならないんだよ……ノアを助けてやりたい、サリーを止めてやりたい……でも、足手纏いになるわけにはいかないんだ 」

レイジェ「下がってろ…(サリーに近づくNOAHの肩に手を添え、後ろにそっと引っ張る)ほざけ、死者と生者とかそういう関係のことなんざどうだっていい!俺はテメーとは交われねぇっ釣ってんだよ(石のように堅い口調と表情で言葉を放ち、炎はより一層、灼熱と化す)だから俺がせめて、終止符うってやるさ……かかってこいッ!!! 」

ヒロ「…なんだ、一体何があったってんだ…?(槭の後ろから声を掛ける) 」

棗恭介「 いずれにせよ……あの子(NOAH)に、ついていてやるべきじゃないのか。(槭に呟く) 」

NOAH「(サリーの元に登り、息を切らしながら見据える)サリー…! 」

サリー「(両手で顔を覆い指の隙間から除く衰弱した眼で屋上に集った面々を見回す)……────もういいよ…わかった、もういい……(顔を上げて赤く染まった目を誰にでもなく真っ直ぐに向ける)…【あの子】の中からあなた達を交わることなくただ眺めているだけなのは苦痛だった…所詮私は、死者。生者とは交われないんだね………。ねぇレイジェ? 」

ヒロ「…いったいなんなんだこの雨は…凍ってる人もいるし…(バシャバシャと音を鳴らしながら走っている) 」

槭「……畜生……(手に持ったキューブを握りしめる)俺はいつまで……見届けていられるかな…… 」

レイジェ「…(コートポケットに突っ込んだ手でコートを抑え、その砕け散った風圧でコートが靡く)男と女ってのは最後のゲタをはくまでわかんねぇもんだからよ…俺は何よりも根本的な悪に立ち向かう男だ、愛や人間は二の次、人を殺す事を許す愛なんざ最早それはただの虚飾だッ!それなら俺は大嘘つきでいい。テメーが正しいなら俺は間違ってでもいい… 」

アオ「バシャァ…ッ!(屋上へ到達し、水飛沫をあげる。この時、レイジェと対峙するサリーを見て苦い顔をする)(そうか…ついに始まったんだ。アイツが言ってた……そう―――サリエルの鎮魂歌が。) 」

NOAH「うん、大丈夫だよ…私は、『友達』として、出来ることがしたいの(釣られるように小さく笑む)それじゃあ、私先に行くね!(勢いよく駆け出す) …本当に、サリー?(思わず呟く) 」

棗恭介「─────行って、どうする…(いつの間にか槭達の後方)お前達の言葉は…決して届くことはないだろう。 」

槭「……"彼氏"の見せ場は、取ってやるなよ(こんな状況でも冗談っぽく微笑みを見せる)俺も……行かなきゃいけない状況になったら、行くよ。今じゃきっと、足手まといになるだけだ……アレだし、な(目前のビルが砕け散ったのを見てさすがに顔が引きつる) 」

サリー「(徐々に髪が青白さを帯び顔色は限りなく白に近付く、槭やNOAHに投げかけた視線はまるで別人のものだった) ……嘘、虚飾……っ?…は、はは…はははは…!うん、そうだね…そうだよ……否定しないって言ってくれたのにね?…この……大嘘付きッ!(歪められた愛情と憎悪の入り乱れた視線を向け叫び、周囲のビルの上層階が凍りつくだけでなく砕け散る) 」

NOAH「わかんない…わかんない、けど、、、行ってあげなきゃいけない気がする…(重たくなった髪を垂らしながら踏み出す) 」

レイジェ「……分かったところで俺は理解できない(ひと呼吸置き、肩を大きく回して振り向く)…それに、俺は理解しにここにきたんじゃあない……(炎が水に打たれ、そこからは水が蒸発する音がちりぢりと聞こえる)俺はただ、嘘と虚飾にまみれたこの関係を断ちにきた 」

槭「……そうなんだろ、状況から見てな。最近のアイツの事はさっぱり分からないけど……何か、あったんだ……(濡れて垂れる前髪をうっとおしげに掻き上げながら) 」

NOAH「(空が…水の量も、増えてく…!)槭…コレ、サリーが起こしてるのかな……(隣に立つ槭に不安気に) 」

槭「……ったく……どうして俺の妹達は、素直に幸せになってくれないのかね(雨に濡れた状態でNOAHの隣に並ぶ) 」

サリー「(立ち上がり駆け上がってくるアオの気配を察知し、NOAHを横目で見下ろし、思い切り靴底を屋上の床に叩きつけて、響き渡る衝撃が空の亀裂を更に広げる)……わかってないな、わかってないよレイジェ…大好きな人に痛めつけられる悲しみも、私がやっていることの本質も、何もわかってない 」

レイジェ「……(冴え冴えした眼光でサリーを見下し、斬撃の際に帯びた炎が右肩まで燃え盛る)テメーのしてる事よりかは可愛いもんだぜ…それにそんだけ便利な体してんだ。この程度慣れっこだろ…(コンクリートを踏みにじりながら、サリーが元々居たフェンスの方へゆっくりと歩を進め、フェンス越しにその世界を見据える) 」

NOAH「―――…!(再び視線を向ける)サリー…!? 」

棗恭介「 ならば、お前は……今がどんな時なのか、理解できているのか…… 」

アオ「(あれはっ―――)(凍結していくビルと青い光を見て、目を細める)見つけた…!!(ビルへと駆け込む寸前、ふとNOAHが目に入る)か、彼女は…NOAHさん……!? 当然さ、こんな時に黙ってなんかいられない!(恭介に言い、ビルの中へと駆け込む) (この怒号、間違いない……居るんだね、レイジェさん…!) 」

サリー「ッギィィーーン…(斬撃は突き飛ばされ尻餅を付き完全に無防備だったサリーの首筋に当たった…しかし金属音が雨音を無視して周囲に反響し)……ったぁーい…酷い、酷いなァレイジェェ…すごくすごくすーっごく痛いよ…(首から顎にかけて凍り付き冷淡な目付きでレイジェを見据える) 」

レイジェ「俺に触れるなアアアアァァァァァ!!!!(さきほどまでの落ち着き、哀愁漂う表情や口調とは一変、ただ怒号をあげ、サリーを振りほどき、振り向き様に十分間合いが空いた状態から斜めに手刀を振り下ろすと)ギャインッ!(降り注ぐ雨は勿論、その空間を抉り撮るような手刀の斬撃による一閃をサリー目がけ繰り出す) 」

棗恭介「 ………お前も…来たのか。(アオを一瞥) 」

サリー「……んー?(眉一つ動かさず顎を肩に乗せてレイジェの顔を除きこむ) 」

NOAH「(ふとサリーから視線を外すとアオが視界に写る)あっ…アレって… 」

アオの視界に下の階から凍結が侵食して行く高層ビルが飛び込む、そのビルの上空だけ雲に穴が空き青い光が差し込んでいた

レイジェ「――るな(声にならない、ほぼ聞き取れない声でサリーに振り向かず語る) 」

サリー「あはっ…だってぇ…(姿が水面に映る姿のように歪んで消え、背後からレイジェに抱きつくように腕を回す)こうでもしないと君、私をすぐに見つけてくれなかったんじゃない? それに…ここには友達も多いし 」

アオ「(空の亀裂、降り注ぐ滝のような水。そして凍り付く人を脇目に、緊迫した顔で水嵩が増した街を駆ける)(嫌な感じがする…元凶はどこだ……!) 」

NOAH「あれ……サリー、かな…?(遠巻きに二人の様子を見る) 」

レイジェ「あぁ…でもこんだけデカイプールには興味ねぇんだ(濡れた髪をかきあげ、元の髪型に一瞬戻るが、すぐに倒れる)…テメェ……どうしてこんな街に築き上げた? 」

サリー「(微かに青く染まった髪を靡かせて首を傾げ、微笑みをレイジェに向ける)……そう思うでしょっ、いい眺め…だよねー(くるりとその場で一回転し視界にNOAHを捉える)……お一人様? 」

NOAH「…普通じゃ、ないなぁ(事態を見て高所に移動する) 」

レイジェ「(階段扉を開いた途端、雨がコンクリートに打たれる音で一杯になり、開いた音は勿論、足音すら掻き消される)…(持って来ていた傘を扉の横に立てかけ、サリーよりも先に天海の暗さを目の当たりにする)……いい天気だな……雨は嫌いじゃあない…… 」



次第に都市部に降り注いだ雨の水溜りは瞬く間に嵩を増して行く、既に膝が水に浸かる程の高さにまで



サリー「(雨にも関わらず髪をふわりと靡かせて踵を返し音のする方を見据える) 」

秘書の言葉はそこで途切れる、普通の雨に混じって時折零れ落ちる青白く光る雫に触れ瞬きする間もなく凍り付いたのだった

コツコツコツコツ…(屋上へと繋がる階段扉の内側から、人がゆっくり足音を立てて昇ってくる音が雨の中を伝って屋上に響かせる)

(役職の人間と思わしき人物達がリムジンから下り空を見上げる)「ナンヤ、おまさん雨は愚か今日は花粉すら飛ばんて天気予報言うたやないか」「知事、濡れますのでどうか車内ご辛抱を」「ちゃうやろ、おまさんが外出て傘用意しろいうねん」「畏まりました、すぐ戻りま………──────── 」

レイジェ「……(雨に打たれ、水の重みで垂れた前髪の合間から暗い世界でそびえ立つ摩天楼を見上げる)…(数秒、目を細めながら見上げ、視線を入口にずらして中へとゆっくりと入って行く) 」

サリー「……(詩を止めて空を仰いだまま足場のない空間に波紋を広げ足を付け歩き出す) これでやっと、届くんだね…誰からも忘れ去られた多くの嘆きが、浄罪の涙となって 」

NOAH「(空を見上げる)雨だぁ… 」

空を仰いで捧げられる歌声が届いた時、空の至る箇所に亀裂が走り、そこから滝のような水が流れ出て都市部に降り注ぐ

サリー「(摩天楼の屋上、フェンスに腰を下ろし詩を囁き始めた) 」

夕方、賑わいのある都心に天気は晴れであるにも関わらず雨が降り注ぎ始める











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最終更新:2015年02月28日 14:56