― 西国 町外れ ―
レインド「……どうだ、痛むか?(太陽下の中、
ゼウルスの斬撃部位への処置が終了し、ゼウルスと対面する形で胡座をかきながら視線を合わせる」
ゼウルス「だからこそ生きている(眼鏡は外しており、半裸包帯姿)……貴様も怪我をしているというのに、何故平気なんだ 」
レインド「怪我ァ?…あぁ、鉛玉の事か…大した事じゃないさこんなの…まだ銃弾、いくつか体内に残ってるが、支障はないんだ 」
ゼウルス「それでこの俺と対等に戦った……か……とんだ化け物だな。俺のあの技は一つの気弾で惑星を塵に出来る技だ。怪我持ちで蹴り一発、それで弾き返すとは化け物だな(ため息をつきながら、笑う) 」
レインド「人間、やりたいようにやってみりゃ案外何でも出来るもんだ。アレはなんか…運が良かったんだろ(困った様な笑い方をしつつ、自分の傷跡に手を添える)それで、アンタはこれからどうするんだ? 」
ゼウルス「そうだな……貴様の話の中で出て来た
リチャード…奴との敵対勢力に当たってみようとは思う…ま、会えればの話しだがな 」
レインド「敵対勢力……居れば、会えばって感じだな、本当……アイツは腐っても政治家、それも大総統だ。テロ組織ぐらいしか反対勢力はいないんじゃあないか 」
ゼウルス「フッ、らしくないな。それを探すといっている(ゆっくりと立ち上がり、何かを思い出したかのように眼鏡をかける)…お前に会わせたい奴がいる…… 」
レインド「…(フッと笑い、こちらも立ち上がろうとしたところで「会わせたい奴がいる」と聞き、動きをいったん止める)会わせたい奴…?今からか? 」
ゼウルス「あぁ……貴様と会い、本来は俺が貴様を倒し、トドメを刺させてやろうと連れて来たのだが……まだ近くにいるか………おい!(近くの茂みに声をかける) 」
ガサガサ…(茂みから数回草木の擦れ合いが聞こえると、一人の男性が影の中からゆっくりと出てくる)
クロ「…………レイ・ローゼ………(以前とは風変わりした顔の傷に、以前まで強大だった筋肉も劣化している)
レインド「――(大きく見開き、驚愕の表情を隠しきれずにゆっくりと口を開く)……クロフォード…… 」
クロ「……変わったのか、変わっていないのか……分からない奴だな……(ゆっくりと歩みよっていき、ゼウルスの横に腰かけ、以前のように睨む様な視線ではなく、一人間として、対等の人間を見る瞳でレインドに視線を送る) 」
レインド「……アンタ……牢獄に居たんじゃ……(先ほどまで立とうとしていた姿勢を崩し、再度胡座でクロと対面) 」
クロ「フッ…訳あってな……その事はいい……それよりレインド(レインドにた真剣な視線を送る) 」
レインド「…(返事はせず、ただ真っ直ぐ無表情でクロに目を向ける) 」
クロ「……(ゆっくりと頭を下げ、お辞儀)…感謝する……… 」
レインド「……(表情には出していないが、驚いたようにクロの行動を見つめ、黙ったまま硬直) 」
クロ「貴様は、私との約束を護ってくれていた…(顔を上げ、優しげな表情でレインドを見つめる)そして、全てを失い、命をも捨てようとした私を…救ってくれた…今まで言えずに牢で暮らし、悶えていたのだ…… 」
レインド「………クロフォード……(無表情のまま小さく名前を呟く) 」
クロ「神妙そうな顔つきだな…お前があの時手榴弾を蹴り飛ばさなければ、私はこうして貴様に礼も言えずに居たのだ……だが、私はこれから先、きっと光を浴びる事は出来ないだろう。貴様と私は似た者同士だ… 」
レインド「……あぁ、似た者同士だ――だがな、人間しがみついでても這いつくばってでも 生きる事に価値がある。光を浴びるか浴びないかなんて、まだ分からない事うだうだ言っててもしょうがねぇだろ? 」
クロ「……あぁ…そうだったな……(フッと笑って自分の頬の傷を擦る)…改めて感謝する、レインド…ここまで単純に頑張ろうと思えたのは久々だ… 」
レインド「そうかい…(表情が崩れ、こちらも小さく笑いながら頭を掻く)ただ、アンタら地球人には申し訳ないが、ここを譲るつもりはサラサラねぇぜ。その辺分かってるよな? 」
クロ「貴様のいるこの世界を奪おうなど、考えはしないさ…そんな事したら、またこっちがやられちまう、ハハハ…とにかく、レインド…俺もリチャードについて調べよう。政治のつながりは多少は分かるからな… 」
レインド「わかってんじゃあねーか(ハハハ)…あぁ…だが無茶だけはするんじゃあないぞ…情報なんてなくても、俺はリチャードの元へ向かえるんだからな 」
クロ「あぁ……俺はゼウルスと共に行く…達者でな(ゼウルスと共に歩いて行く) 」
レインド「……(クロ達を見送り、ゆっくりと立ち上がる)…似た者同士か…確かにな…(ボソリと呟き、キャンプを立てた人気の少ない林へと姿を消す) 」
最終更新:2014年06月06日 22:15