Silent Siren 過去ログ③ Ⅱ

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黒いティンクル族「ぽてぽて……!(至る所で揚がる黒煙を潜り抜けながら、ある場所へ向けて駆け出している) 」


ド グ ゥ オ ン ッ ! ! ! (また何処かで爆音が轟く。広がりゆく黒煙が晴れると、その中にいた一つの影の姿が徐々に露わとなっていく)


黒いティンクル族「……!(突然起きた爆音に飛び上がり尻餅をつく。そして、その爆煙の中に潜む影を見て戦慄が走り、わなわなと体を震わせる) 」

命令者「 ド ン ッ (煙と共にローブを後ろに払いのけて現れる)…まったく、すこぶる機嫌が悪い。再び生を受けてこの地に舞い戻って来たと思えば、見えざる者の駒として利用されるためだけに転生されたのか。嗚呼、胸糞悪いことだ。天に立ったあの時の高揚感を、また味わいたいものだ―――――貴様には、到底理解はできまいが。(一人ごとを呟いた後、視線に入ったティンクル族を蔑む様に見下す) 」

黒いティンクル族「……!!(身の危険を察知しその場から逃げだそうとするが、蛇に睨まれた蛙のように足がすくみ、身動きが取れないでいる) 」

命令者「愚民よ、哀れな愚民よ。その短い生涯を終えるくらいなら、せめて我が手となり足となって終えよ。どうせ酔生夢死に生涯を閉じてしまうなら、有意義なことだとは思わないか?なあ…愚民よ。我が兵力となり、我を操る者を断罪せよ。さァ―――――(ティンクル族に手をかけようとした、その瞬間だった―――) 」


―――……おいおい、機嫌が悪いのはわかるがね……そんな小さい奴に敵意を向けるのは、情けないんじゃねえのか?(声が響く) 」


命令者「ピク…―――――何者だ。 」

ヒロ「(土から出てきて、命令者とティンクル族の間に割って入る)……弱いものイジメは良くねぇ、あんたも戦士ならんなこたぁわかってるはずだ(命令者の腕を掴む) 」

黒いティンクル族「……!(ヒロの登場に驚き、じっと彼の背を見上げている) 」

命令者「……(ヒロに掴まれた腕を振り払い、彼と対峙する)…「戦士」だと?フッ…フフフハハハハ…!我は戦士ではない。戦士は時として誰かの命令に動くもの。それは他人であり、己自身でもあり…身を乗り出してまで目的を成し遂げようとする者だ。しかし私は違う。私は何者にも縛られない絶対存在…言うなれば、そう、「王」(キング)だ。…この我に触れたな愚民よ。ただでは、済まさんぞ。(怒りを含めた落ち着きのある言葉を投げかける) 」

ヒロ「キング?……お前がキングなら俺は挑戦者。……キングを蹴散らす挑戦者の戦士だ(悠然と命令者に). 」

赤コートの人物「(一方カナンのとある場所で…)…敵の第一軍が進行を始めましたか… しかし…フフフ…あの場所には『彼』を配置している… とある英雄と相討ちとなって消えたお方… 故にその力は、"単純に強い"…!…このままでは、あの方の言うとおり…私の首も取られかねませんねぇ…フッフフフ…!(フードの内側で不気味な笑みを零す) 」

命令者「気に入らない目をしている…まるで、いつぞやこの我を討った『あの男』に似た目だ…――――よかろう、手始めに貴様の首を刎ねる。斬首刑に処す…カオスソード「アクロ」。(拳で胸を打つと体から透明の三又槍型のカオスソードを取り出した) 」

黒いティンクル族「…… ……ぽてぽて…!(その場をヒロに任せ、自分は何処かへ再び走っていった)」


BGM♪



ヒロ「……はねれるものなら、はねてみな……(土を浮きあげ、二本の刀を作る) 」

命令者「我が名は「命令者」。この世を統べる絶対存在なり。( ビ ュ オ ァ ッ ! )(槍型のカオスソードによる高速一点突きを繰り出す) 」

ヒロ「………くっ……!!?(槍の突きを二刀流の刀で弾き飛ばさんと突き出す) 」

命令者「 ガキャァンッ ! ! ズゴンッ ! !(槍による刺突を弾かれてもすぐにその隙を突くかのようにヒロの腹部に水平蹴りをめり込ませ、大きく蹴り飛ばした)…ぬるい。 」

ヒロ「……ぐぅっっ!!(蹴り飛ばされ、うずくまる)………チッ…隙が見えちまった……!(ヨロヨロと立ち上がる) 」

命令者「こうも容易くては欠伸が出る。我が"力"を使うまでもない……“メル” ―――――― ヒ ュ ォ ッ ! ! (一歩の踏み出しでヒロとの間合いを一気に詰め、目にも止まらぬ速さで連続突きと蹴りの連撃を炸裂させる) 」

ヒロ「……メルっ……!?(連撃に対抗するも、対抗しきれずに攻撃を食らっていく)…負けてたまるかよっ……!!そこに守るものがある限り!負けるわけにはいかねえんだよっっっっっっ!!!!(土を波の様に大きく浮きあげさせる) 」

命令者「……!(これは…)(ヒロの能力に一驚し) 」

ヒロ「…貴様は何としても倒す!土に埋れて地獄で後悔するといい!!(巨大な土の波を命令者に向けて繰り出す) 」



一方、カナン最深部付近では…


モララー「(青々とした結晶の丘を駆け上がっていく)…やっぱり間違いねえ…『あの日』と同じだぞこれ…!(カオスホール襲撃事件時、ロングとの一騎打ちがフラッシュバックする)……(今度は人気の無いところで、被害者はいないみたいだが…一体何が目的だ… …とにかく今は先に進むしかねえ。この先に、はっきりと感じる…二つの「覇気」が、黒幕で間違えねえだろ。) 」

赤コートの人物「(モララーの様子を水晶玉を通じて閲覧している)…流石は英雄のモララーさん。もうそこまで来たのですね。このままではラプンツェルさんのところまで追いつかれちゃいますね…――――― ク、フフ…ッ…♪いよいよ大詰めといったところですか… ならば、英雄に相応しい『とっておきの駒』を繰り出しましょうか。―――― パ キ ィ ィ ー ー ン … ッ … ! ! (両の掌を合わせる) 」


メキメキメキィ…ッ…―――――― ボ ゴ ォ ン ッ ! ! ! (モララーの前方に漆黒色の棺桶が出現する)


モララー「―――ッ!(突如立ちはだかるように現れたその棺桶に驚き停止する)…またか…ここまでの道中で散々見てきたが… 誰が来ようがぶっ飛ばして――――――……? …… …… ……ッ…!?(その時、目の前の棺桶に驚愕する)……"違う"……(…なんだ、こいつぁ……今までのとは、明らかに違うものを感じる…) 」

赤コートの人物「…再びこの地に降臨せよ…――――」


カ ァ ァ ァ … ッ… ―――――――――  ド   オ   オ   オ   ォ   ォ   ゥ   ン   ッ   !   !   !  (棺桶の表面に『 W』の蒼い紋章が浮かび上がると、紋章はそのまま棺桶を包み込むほどの激しい光を放ち、爆発した。土煙が辺りに漂う中、その煙の中に、一つの『強大な影』の姿があった――――)


――― 四皇帝 "W"の紋章を持つ者 ―――


Wの紋章を持つ男「――――――ザッ!!!(棺桶から出ると共に地面を踏みしめ、目の前にいるモララーを見据えて)地上の空気は久しいな…。…そして、ここに来て一番最初に目にする姿がお前だとはなぁ……。コイツも運命ってヤツかぁ…?――――デュエルマスターのライバルさんよぉ…!! 」

モララー「……(立ちこめる煙の中、その中に潜む影を決して見逃さないように目を細めて様子を窺っている)……!(『デュエルマスター』…だと?まさかこいつ、『アイツ』を知っているのか…それに俺の事も知っている…)……テメェ、なにもんだ。(靡くマフラーに手をかけ、男と対峙する) 」

Wの紋章を持つ男→ワイズ「…おっとぉ…。そういやぁお前とはそんなに関わって無かったなぁ……。…いいぜ。冥土の土産にしっかりと聞いときな!四皇帝の一人、"W"の『ワイズ』の名をなぁ!!(額に刻まれた『W』の紋章を光らせつつもモララーに) 」

モララー「……!その紋章…それにその名前…(見覚えのある紋章、聞き覚えのある名前に驚き、脳裏を巡らす。光の速さで過去の記憶を辿り、『ある人物』の像と直面する。黒銀の鎧を着こみ、星を震撼させる大剣を携えた、あの『最強の男』を…)……フッ…(そして何やら嬉しそうな笑みを零して再びワイズを見やる)…なるほどな…テメェも、『アイツ』と同じ組織の奴か… 確かにテメェの言うとおりだ、こいつは運命かもしれねえ。(湧きあがる昂りにどこか懐かしさを感じ、拳をそっと強く握りしめる) 」

ワイズ「お前にこれと言って恨みはねぇが……長い間地獄にいて暴れられなかったから暴れ足りなくてなぁ!…久々に楽しませて貰おうか…!まず手始めにお前を血祭りにあげてから……憎きデュエルマスターのヤツをぶっ殺してやるぜぇ!!(邪悪に満ちた笑みと共に"四皇帝"の名に相応しき強大なオーラが全身から溢れ出る) 」

モララー「……!(この覇気…やはり俺の感は正しかったな。こいつは死人、なのにこれほどの覇気を出せる奴は今までいなかった。…めんでくせえことになった…けど――――悪くねえな。)(ワイズから醸し出される圧倒的な覇気を前にニィと口角を上げる)俺もテメェには恨みはねえ。だが…テメェのその先に行かなくちゃならねえんだよなあ。ぶっ飛ばしてやるからな……覚悟しろよ。(一方こちらは闘争心があるかのような不敵な笑みを浮かべているが、それに相当する"気"を出していない。まるで、内にその"気"を秘めているかのように…)――――――― 行 く ぞ ぁ ッ ! ! ! 」


~地獄・フロア0~


ディガロ「…これは…いったいどういうことだ……(巨大な椅子に腰かけ、巨大な机の上に肘をついて困惑の表情を浮かべている)」

白鬼「でぃ、ディガロ様~~~っ!!(慌てふためきながら走ってくる)た、大変…大変…大変態なのです!!」

ディガロ「ワシの顔を見て変態と言うなっ!(汗)……もしや…"またか"…!?」

白鬼「はっ… ……フロア3の囚人たちの失踪数が…ついに8割を越えました…!(青ざめた顔で)」

ディガロ「ぐっ…(ダンと机上を強く殴りつける)何故だ…何故囚人たちが次々と行方不明となる…!?あの一件(スカーフィたちによる暴動)以来、脱獄阻止を徹底強化したはずだ… それに…もしも囚人が脱獄するならば、出入り口のあるこのフロア0を絶対に通るはずだ… なのに誰もここを通過していないとなれば…」

ヘニー「(秘書席で囚人リストをぺらぺらとめくりながら閲覧している)脱獄…いえ、今回は失踪というべきでしょうか。各フロアの囚人たちの何名かが突如姿を消した… 牢獄の鍵は閉ざされたまま、配置した番人たちの数も増やしているはずですが…」

ディガロ「しかし地上では現に今、地獄にいたはずの囚人たちの気をはっきりと感じるぞ。……このようなことが起こる場合…―――――!(閃いた様に頭を上げ)――――…"死霊使い(ネクロマンサー)"の仕業か…!」

ヘニー「ですがディガロ様、現在のケイオスには地獄の死者を蘇生させるほどのネクロマンサーは存在しないはずです。精々死体を操る程度… 彼らの存在は神界も熟知しています。死者を現世に転生することのできる人物なんて…」

ディガロ「ああ、その通りだ。でなければこの地獄の存在意義を疑うことになる。いくらネクロマンサーとはいえど、地獄に干渉するほどの"力"を持つ者など―――――!!(その時、全身に戦慄が迸った)……いや…人物ではなくとも、"術"なら存在する…!」

白鬼「え゛っ゛…!?」

ヘニー「……!それはいったい…?(ディガロを見上げる)」

ディガロ「…もう大昔の話だ…ワシがまだ神になりたての頃に聞いた恐ろしい事件のことだ。当時の神界では崇高な魔術の作成実験が頻繁に行われていた。現代の魔法とは次元を異にする、文字通り崇高な魔法ばかりが誕生した時代だった… しかしある時、そんな強大な魔法の中でも一際目を見張るものが誕生した。(顎元を摩る)」

ディガロ「―――その魔術の名は【 蘇 生 魔 法】。文字通り、死者を蘇らせる魔法だった。しかしその魔法による業深い輪廻を理由に、神界に抹消され、それを機に崇高魔術の作成実験も未来永劫中止された。史上最厄の禁術魔法『蘇生魔法』…それこそが、地獄という神の領域さえも干渉し、死者を現世に転生できる唯一の方法だ。しかし神界に消された今、誰もその存在を知る者はいない…神の中でも、知る者ぞ知る黒歴史だ。ありえないできごとかもしれぬが…否、既にあり得ない出来事が起こっているからこそ可能性は否めないだが!今回の事件…もしやするとその禁術が再び目覚めたのやもしれん。」

ヘニー「そんなことって…!(絶叫し)で、ですが…その禁術が誕生したのは大昔の出来事なんですよね?それに、あの強大な組織神界政府に消され焚書となったものが、現代になって再生するとは思えませんが…!?」


―――― いいえ、閻魔さまの言っていることは、あながち間違ってはいないでしょう。(フロア0の門扉が鈍い音を立てながら開く。その奥から一つの黒い影がのそっと現れる)


ディガロ「貴様は…―――――「エクロシア」か。」

エクロシア「ただ今戻りました。現在地上と地獄で起こっている死者の蘇りについて、私の知り合いの女神様と共に調べてまいりました。閻魔様、貴方のご察しの通り…あの焚書を再生し、その上解読した者が現代に存在したようです。」

ディガロ「―――――!!?ば…馬鹿な…ッ!?数億という大昔に消されたものだぞ…!?それに、神が創りだしたものを解読する者が現代にいるとは思えん…!エクロシアよ…それは真なのか…!?」

エクロシア「はい…本当にその禁術かどうかは定かではありませんが。ですが、地上のある場所では既に多くの死者が転生されているのを確認しました。閻魔さまもご存知でしょう?この事件…何も今回が初めてではないことを。」

ディガロ「………ああ、そういえば…以前から少数の囚人が失踪していたことは気になっていた。あの時は地上でプルストが始末してくれたから大事にはならなかったが……まさか、あの事件も今回と何か関係があるというのか?」

エクロシア「可能性は高いです。恐らく同一犯ということも考えられるでしょう。もっとも、今回はスケールが前回の比ではありません。大量の使者を蘇生する力を持つ者…禁術を再び手にした者が現れた以上、もはや我々も黙っているわけにはいきません。」

ディガロ「わかっておる。"生死"を覆すことは絶対に許されぬ行為だ。なんとしてでも事態を阻止せねばならん。」

エクロシア「現在地上では女神…混沌の女神様も全面的に協力するとのことで現場に向かっているところです。これより私もそちらへ急いで合流します。」

ディガロ「混沌の女神か…フッ、粋なことをしてくれる。そっちは任せるぞ。…我々はこれ以上の転生を阻止するために、これより囚人たち全員に封印術をかける。」

ヘニー「……!ディガロ様…それを使っては神界から――――」

ディガロ「非常事態だ、止むを得ん。それに…これは我々だけが抱える問題ではない。ケイオスの者たちにも危機が迫っておる。これ以上…あの者たちに面倒事をかけるわけにはいかん。……エクロシア、お前も分かっているな?」

エクロシア「はい。現在地上では、ケイオスの戦士皆様方が現場で死者と交戦中とのことです。戦況はケイオス側が優勢のようですが…敵もゲリラ戦を続行しているようで、長期戦に持ちこまれるかと。死者は倒されても何度でも蘇ります。このままでは、ケイオス側が圧倒されるのも時間の問題かと…」

ディガロ「ならば尚のこと、再び地獄に堕ちた瞬間に封印術をかけるしかあるまい。いくら大昔に誕生した禁術とはいえど、神が創りだしたものだ。対抗するには神の力でなければならん。神の創作物…この、符獄『執行幽預』を使ってな。(手元にある禍々しい瘴気を放つ札を見つめながら)」

エクロシア「では、私は地上へ戻ります。事態の鎮圧が完了次第、再びここへ戻ってきますので。」

ディガロ「うむ。混沌の女神にもよろしく伝えておいてくれ。」

エクロシア「はっ。では…(踵を返し巨門の中へと消えていく)」

ヘニー「(去り行くエクロシアに深々と頭を下げる)……しかし、その禁術を手にした者とは一体…」

ディガロ「わからぬ。だが…ケイオスには恐るべき存在が潜んでいたということだ。この機を虎視眈々と狙っていたのかもしれん。まるで…悪夢の始まりを謳うように―――――――」



~カナン・とある場所~


赤コートの人物「ジャラジャラ……(手中にある駒を転がしながら、盤の上の駒たちを静かに見つめている)」


ゴト…  ピシ…ッ… (盤の駒の中には独りでに動くものもあれば、亀裂が生じているものもある)


赤コートの人物「…フフフ… 数多くの出来事を体験してきたケイオスの皆々様方、ご苦労様でした。貴方がたが残してきた『歴史』のすべては、すべてこの私の中にある。(フードの内側で眼鏡が歪な輝きを帯びる)いよいよですねぇ…この私が、いまだかつてない新たな『歴史』を創る時がやってくる… 「メフィレス」様、「シルヴィ」様、「サカキ」様、「ダークマスター」様、「混沌の女神」様、「追跡者」様、「大覇王クッパ」様…そして、「未来軍」の皆々様方に続き、今度はこの私『      』が…ッ…!クックックッ…ハハハハ…―――― アッハハハハハハッ!!!」


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最終更新:2016年09月30日 00:23