罪剣事件の後、私たちは戦いの傷を癒す為に各々に休息の一時を過ごした。
翌日、私は神界政府へ戻り、罪剣事件の概要を
デイリンさんに報告した。
プルストさんが証言してくれたこともあって、この事件は公にならず無事解決してほっとした。
今回の罪剣事件に大きく貢献してくれた
メタナイトさんは、別れた後にまた何処かへと飛び去っていった。きっと、次に起こり得る事件の解決に臨むんだと思う。
風の様に現れ、消えていった
レインドさんは、今何処で何をしているのか分からない。でも、きっと世界に何かが起きた時、また救いに現れることを信じている。
そして氷冬は…刀剣武祭が復興するまでの短期間、ASさんとの修行に励んだ。氷冬はもっと強くなって帰ってくる。もう二度と、負けないために。
その時私と
スカーフィは、氷冬と初めて出会った時のことの思い出話で盛り上がっていた。いつかは氷冬も交えて三人で語り合いたいな。
あれから二週間後が経った。そして、十刀剣武祭が再開された―――――
――― West・D・Land 十刀剣武祭 会場 ―――
キリギリス「――― レディースアァーンドジェントルメンッ!!!長らくお待たせいたしましたァッ!!十刀剣武祭のぉ~~~~――――再開だああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーッ!!!!!!」
うおおおおおああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーッ!!!!!!!(会場一帯に大歓声が響き渡る)
シグマ「フン…(この際だ。最後まで見せてもらうぞ…人間の、限界を越えた力とやらを。)(客席に居座る)」
キリギリス「この度はみな皆様方に多大なご迷惑をおかけいたしましたことを、深く…深くッ!深くお詫び申し上げます!!我々刀剣武祭運営陣は、伝統あるこの大会の存続のために!そして、数多の刀剣者たちの夢を叶えるために!!これからも精進いたしますッ!!!」
エゴ猫「ゴルァ…まったくだ。おかげで俺様重傷だぜ…(全身を包帯で覆っている) 」
エー「英雄に轢かれるなんてすごい奇跡なんですよ、エゴさん。よかったじゃありませんか。でも私は嫌ですね!。(ドーンッ!)」
エゴ猫「エゴハァーンッ!?!?!?Σ(゚Д゚ ; ) 」
キリギリス「さあ、それではさっそく…始めましょうかァッ!!!第六試合!!氷冬 vs 雛菊だあああああああぁぁぁぁぁッ!!!!生まれ変わった刀剣武祭に華を咲かせるのはこの二人!!これは間違いなく、白熱した激戦になるだろうッ!!選手はステージへどうぞォッ!!!」
氷冬「スゥ…ハァ…―――――― よし。(深呼吸をひとつ。眦を決してステージへとゆっくり駆け上がる)」
スカーフィ「かぅ!!氷冬、来たよ…!!(彼女の登場に歓喜し興奮する)」
フーナ「……!ふふっ…(氷冬…また強くなったね。)(より強かに、凛とした瞳をした氷冬を見て不敵に微笑んだ)」
雛菊「 フ ワ ―――――(麗しい碧の長髪を靡かせると淡い碧光が零れる。威風堂々たる足取りでステージへと駆け上がる)…この時を…ずっと待っていました。(ステージ上で再び彼女と対峙し、喜びに満ちた表情で微笑みかける)」
ヒロ「…ほぉ、おもしれぇ…あの二人が対戦とはな…(雛菊と氷冬を見て) 」
氷冬「ええ、雛菊。お互いに悔いの残らない試合にしましょう。(緊張も不安も淀みもない、澄んだ瞳で真っ直ぐに見据える)……(AS…私に付き合ってくれたのはこの為だったのね…礼を言うわ。もう、何も恐れない…―――――)――――― ス … (四刀の内の一本に手を添え、戦闘態勢に)」
AS「さあ―――お前の行き着く境地を、見せてみるがいい。(氷冬に、見守るようで、期待するような視線を向けている) 」
モララー「待ちわびたぜ、この時をな。…楽しませてくれよな。(観客席でにししと笑んで)」
眼鏡の女性「ふわわっ…!すごいですね…この歓声、熱気!世界の強い剣士たちが集いに集っている…!こんな大会があったなんて、驚きました…!(モララーの真横の席で興奮し、眼鏡を輝かせている)」
モララー「んあ…?(なんだこいつ…関わるとめんどくさそうだな…)(やや退き気味に女性を睥睨し、手にしたうまい棒(マヨネージ風味)を銜える)」
眼鏡の女性→たしぎ「おや…?可愛い猫さんですね♪(モララーに気付き、可愛いものを見て興奮する少女の様に目を輝かせる)私は「たしぎ」と言います。本大会の噂を聞きつけ調s…いえ、見物にきました!よろしくです。(モララーに微笑んで)」
モララー「ん、ああ…よろ…(…こいつも剣士、なのか…)(たしぎの腰元にある刀を一瞥する)」
雛菊「悔いの残らない様に…そうですね…(まるで自分自身に言い聞かせるように、そう呟いて手を胸元に添える)それなら、出し惜しみはしません。…全力でお相手いたします。チャキ…(愛刀「蕨」を鞘に納めたまま身構える)……(――― 見ていてください、お師匠様…)」
キリギリス「それでは両者構えてェ~…!! 試合 ―――――」
氷冬/雛菊『―――――――!(互いに睨み合いながら姿勢を低くし、抜刀態勢に入る)』
キリギリス「――――― 開 始 ィ ィ ア ッ ! ! ―――――」
氷冬「 タ ン ッ (先制したのは氷冬―――雛菊へと駆け出す最中に一刀を音もなく抜き出し、風を切るような疾駆と共にその軌道が僅かに凍結を帯びる) ス ァ ン ッ ! (一刀を横一文字に振り抜いた)」
雛菊「……!( ザ キ ィ ン ッ ! ! )(彼女を迎える様に、垂直に構えた刀から抜刀した半身で斬撃を防ぐ)はっ…!(納刀、旋回、不可視の高速居合抜きで反撃に回る)」
氷冬「 ス ン ッ ――― はっ!( ズ ァ ッ ! ! )(仰向けに反ってその刃の鋭い軌道を避け、懐から刀を振り上げる)」
雛菊「フ ォ ン ッ ――― ブォン、 フォン、 ズァッ ! !(流れるような動作から攻撃を受け流し、隙の無い三段斬りを繰り出す)」
氷冬「ガキィンッ、ガキィン、 ガキャァンッ ! ! (繰り出される三閃を退け、回転からの突きと袈裟斬りを浴びせる)」
雛菊「キィンッ ! ! フォンッ… ! (突きだされた刀を弾き返し、続けて繰り出された斬撃を屈んで避ける)フォンッ―――(瞬間的にその場から姿を消す)」
フォンッ、フォン、フォンッ―――― ! !(雛菊の鮮やかな残像が、刀を振った軌跡の様に描きながら氷冬を覆う様に翻弄する)
氷冬「……!(早い…でも――――)(落ち着いた表情でを瞳を閉ざし、風を感じるように感覚を研ぎ澄ます)」
雛菊「 フ ォ ン ッ ――――(氷冬の背後に出現するや否や、その死角から刀を振い上げる)」
氷冬「―――― そこッ!!(振り返ることなく刀を背後へ回し凶刃を防御する)はああぁっ!!(そして回転斬りで反撃し、更に雛菊との距離を詰めながら刀を振い続ける)」
雛菊「―――ッ!(読まれた―――柊木さんとの試合以来だ…!)く…っ……!(繰り出される苛烈な斬撃を後退しながら弾き返していく)はっ、せいっ…やぁっ!!(早蕨、蕨、花蕨と、納刀と抜刀を高速的に繰り返しながら変幻するように伸縮する斬撃で圧倒していく)」
大剣使いの男「参刀流の剣技…やはりその太刀筋は見えん…(雛菊独特の剣術に目を細めて頷く)」
たしぎ「……!(雛菊が手にしている刀「蕨」に目を光らせる)彼女の刀…納刀と抜刀を繰り返す度に刀身が伸縮している…!?(刀の変幻…まさか彼女は…――――)」
モララー「……(…初見であの刀のからくりを見抜くか…こいつ、ただの眼鏡じゃなさそうだな。)(腕を束ね、隣のたしぎに一瞥を与える)」
氷冬「っ…!(初めて対峙した試合がフラッシュバック。伸縮自在の刀に翻弄されていた当時を思い出す)……!(刀と剣士の一体化によって成せる剣技… やっぱり強い…でも…!)ズザァァ-…ッ… ! ! (一刀で受け止め、吹き飛ばされるのを踏みこんで反動を和らげる) 一刀流…“天神”から“轍”まで、斬撃技混成接続…!!( ザギィンッ―――ズァンッ、ズァンッ――ズッ、バァンッ ! ! ! ! )(鮮やかにして強かな刀捌きで次々と剣技を叩き込んでいく)」
雛菊「(―――!) “脆巧三昧”…!(押し寄せる斬撃の嵐を、高速剣技で迎え撃つ)」
ガキィンッ、キャギィンッ、ギャキィンッ、カンッ ! ! ! キィン、カキャァンッ ! ! ギィン、ギィンッ ! ! ガキィインッ、カキィンッ ! ! ! (音速を越えた刀の衝突によって火花が煌めきながら咲き誇る)
雛菊「 ス ン ッ ――――― ド ゴ ォ ッ ! ! ! (隙を突き、納刀したままの刀の柄で氷冬を上空へ殴り飛ばす) タ ン ッ ――――(そして自らも飛翔し、空中へ身を投げ出した)」
氷冬「あぐ…ッ…!(腹部に感じた打撃の痛みに表情を歪ませる)――――!(この状況…まさか……!)」
シグマ「(空中での居合を可能にするということは、空中での剣戟も可能だということだ…) あの女(雛菊)…地の利を突いたか!(空中へ翔んだ雛菊を見上げる)」
氷冬「……いいえ、それでも私は―――― やってみせる…ッ!(宙で身を翻し、もう一刀を振り抜く)――― " 飛 出 " ―――(二刀を翼の様に羽ばたかせ、下方から迫る雛菊をしっかりと見定める)」
雛菊「……!(空中で刀を身構えた氷冬に目を見張るも、すぐに不敵な笑みを浮かべ、彼女に応えるように空中で居合の態勢に入る)――― ス ワ ン ッ(更に虚空を蹴り、氷冬のもとへ飛翔する)―――“ 華 蝶 風 月 ”―――(かつて氷冬に敗北の二文字を刻んだ最強剣技を炸裂させる)」
氷冬「(誓ったのよ、『彼』と再び―――"語り合う"ために!!)(縊鬼の像が過ったその時、二刀で大きく薙ぎ払い―――) ガ キ ィ ィ ン ッ ! ! ! (雛菊の“華蝶風月”をいなした)」
雛菊「―――――!!?(弾き返された閃撃に驚愕を露わにするも…)……!はああぁっ!!(再び虚空を踏みこみ、次なる斬撃を繰り出す)」
氷冬「はっ!( ガ キ ィ ン ッ ! ! ギ ャ キ ャ ン ッ ! ! ! )(足場の無い宙で、強く羽ばたく鳥の様に刀を振って拮抗する)」
剣士「嘘だろ…!?あ、あいつら…あんな所でも戦えるのか…!?(空中でぶつかりあう二人を見て仰天する)」
ロックマンゼロ「……!!(何より驚いたのは、あの"華蝶風月"と空中で渡り合っている雪女の剣士だ。もはや百刀剣武祭の時とは違う。あの女…明らかに、急激な成長を遂げている…!)」
ヒロ「ど、どうやったら、あんなとこで戦えるってんだ…!?なんか道具でも使ってるってのか!? 」
破龍皇帝・グランドジークフリート「蝶の様に舞う可憐な剣豪と、鳥の様に羽ばたく純潔な剣士… なるほど、もはや大地に立つ時は終わったのだ。娘たちは更なる高みへと翔んでいくのだ…! 」
AS「好いな、上等だ。もっと羽ばたけ、そのために俺は・・・(二人の剣戟に、微笑みを向けている) 」
氷冬「 ガ キ ャ ア ン ッ ――――― タ ン ッ (斬撃を退け華麗に着地する。そして雛菊が降りてくるタイミングで駆け出し、彼女の頭上へ跳躍) ブ ォ ン ッ ―――― (頭上から二刀を振り下ろした)」
雛菊「っ……!!( ガ キ ィ ィ ――― ン … ッ … ! ! )(頭上より迫る二閃を水平に構えた刀で受け止める)っは…!(そのまま背後へ受け流し、踵を返すと同時に薙ぎ払う)」
氷冬「スタンッ、クル―――― キ ャ ギ ィ ン ッ ! !(雛菊の頭上を越えて彼女の背後で着地。反撃が回ってくるのを予測し、
アンビションで硬化した一刀で受け止める) “鳳凰”!!( ズ ア ア ア ァ ァ ッ ! ! ! )(刀身が火炎を帯び、その燃え盛る二刀を力強く振り抜く)」
雛菊「 “火蜂”!!( シ ュ ド ド ド ァ ッ ! ! ! )(高速抜刀による摩擦発火を帯びた刀身で高速刺斬を繰り出す)」
ガ キ ィ ン ッ ! ! ! ガ キ ィ ン ッ ! ! ! ガ キ ィ ン ッ 、 ガ キ ィ ン 、 ガ キ ン ッ 、 ガ キ ン ッ 、 ガ キ ィ ン ッ ! ! ! ! (焔を纏う剣舞が、閃の祭典で鮮やかに、強かに、己が"刃"の叫びを放つ)
たしぎ「凄い…!凄すぎて…息を呑むのも忘れてしまいそうです…!(そう言い、ずれた眼鏡をかけ直し激戦を見守る)」
氷冬「ふぅー…ふぅー……!(斬撃の応酬から退き、肩で息をしながら雛菊を見据える)ふぅ…(苦手な炎の剣武で挑んだことにより、熱気によって汗が滴る)」
雛菊「はぁ…はぁ……(口元を拭い、表情を崩さずふふっと笑みを零す)流石です…本当に強くなられましたね。驚きました…!(柄を強く握りしめたまま激励し)」
氷冬「当然よ。貴女を越えられなきゃ…『世界』は越えられないんだから…!(ススス…―――― ス チ ャ ン )スゥ…ハァ……(二刀を鞘に戻し、深呼吸一つ。そして…) ジ ャ キ ャ ァ … ッ … ! ! ! ! (矢庭に四刀を振り抜き、雛菊に構える)」
スカーフィ「かぅ、氷冬が本気を出すよ…!(刀四本を抜き出した彼女に興奮する)」
大剣使いの男「出たな、四刀流…!(感心するようにその構えを見つめる)」
AS「目の前の強敵に見せてやれ、お前の・・・お前だけの剣<じぶん>を。(四刀を手にした氷冬を見て、呟く) 」
氷冬「それに、成長したのは私だけじゃない。(そう言うと、両腕を広げて四刀を広々と展開する。目を閉じると全身から迸る強かな覇気が鼓動から胸に、胸から腕に、腕から刀へと伝わっていく)」
氷冬「――――『 春 颯 』(はるはやて)―――― ( ビ ュ オ ワ ア ァ ァ … ッ … ! ! )( 旋風が詠う )」
氷冬「――――『 夏 椿 』(なつつばき)―――― ( ボ ォ ア ア ァ … ッ … ! ! !)( 火炎が唸る )」
氷冬「――――『 秋 霞 』(あきがすみ)―――― ( ガ キ ャ ア ァ ン … ッ … ! ! ! )( 鋼鉄が軋む )」
氷冬「そして…―――『 冬 芽 』(ふゆめ)――――( ヒ ュ ア ア ァ … ッ … ! ! ! )( 吹雪が鳴く )」
春夏秋冬の四刀が、氷冬の意思に呼応するように変幻し始めていく―――――
たしぎ「―――――!!?……ぁ…あれは…(―――…ま、間違いない…!) あれは…あれは…――――(変幻する氷冬の四刀を目にした時、尋常ではない驚愕の色を露わにする。そして、確信したようにあることを呟き始める―――)―――――『 刀 剣 覚 醒』( リ ベ リ オ ン) … ッ … !!!」
モララー「……!(なんだ…?刀が…みるみると変わって…)あん…?なんだそれ…?(いぶかしむ様にたしぎを横目で見つめ、耳にしたその名を繰り返すように呟く)」
たしぎ「…一部の剣士たちの間で、こんな伝説があります… "刀剣を愛し、愛される者にしか芽生えない『力』がある"と…!」
たしぎ「この世界では、刀剣は生み出された瞬間から"心"という潜在的な力を持っています。その力を呼び起こすには所有者と刀剣、互いの心が共鳴し合う必要があります。覚醒した刀剣は本来の姿形と名前を取り戻し、特有の能力を顕現できるんです…!それが――――」
――――― 『 刀 剣 覚 醒 』( リ ベ リ オ ン ) ―――――
剣士「な、なんだ…!?なんだなんだ…!!?奴の刀が…変化したぞ!!」
たしぎ「所詮は伝説上の出来事だと思っていました…ですが、今なら、確信できる…!この十刀剣武祭には強者たる剣士が集う。強い剣士は実力での強さだけじゃなく、"刀剣に認められた"ということ!あの『力』を顕現できた二人は…間違いなく、刀に愛された剣豪…っ!!すごい…本当にすごいです!!本物の刀剣覚醒を、そしてそれを顕現する真の
実力者をこの目で見られるなんて…!!」
モララー「ほーん……(つまるところ、めちゃくちゃすげえってことだけはわかった。それには確かに頷ける。あいつらの目を見れば…モノホンの強者だってことをな。)(口角を上げて不敵な笑みを浮かべ、再びステージ上の二人を見据える)」
氷冬「私とこの子たちは一心同体。私が強くなれば、当然この子たちも強く輝く。――――― " 四 刀 流 の 氷 冬 " ――――― 押して参る!!!(天衣無縫の四閃が覇の路を刻み、激震する)」
雛菊「――――――!(強烈な覇気を感じる…っ… ただでは感じ得られることのない…そう、『剣豪』を相手にしたような感覚を…!)(氷冬から迸る覇気に圧倒され思わず驚嘆する)…ふ、ふふ…っ… 見違えました、氷冬さん。今の貴女は、まさに、剣の頂点に立つ者と同じ気を羽織っている… それなら、私も認めなくてはいけない。(蕨を両手に握りしめ、その柄を額にそっと当てる)」
大剣使いの男「…氷冬と言ったか。
クロリアー暴走時でもはっきりと感じたが、奴は進化を遂げた。……だが…(一方で不思議な構えを取った雛菊を見る)…"華蝶風月"は簡単には落ちんぞ。(あの構え… まさか、奥の手とやらを隠し持っているのか…)(体が硬直したように戦慄が走る)」
雛菊「(額と密着した蕨が淡く発光し、その光が全身へと伝導する)天の空、人の傾、修羅の路、畜生の末、餓鬼の腹、地獄の扉… 魂魄は廻り廻って輪廻する… 断ち切れ――――」
雛菊「――――― ≪ 六 道 ≫ ―――――」
―――――― ド オ ゥ ッ ! ! ! ――――――(雛菊の全身に大きな異変が発生する。彼女の身を包んでいた光が爆発し、弾け飛ぶ。そして、弾け飛んだ碧の光は吸い込まれる様に彼女の額へと集結していく)」
プルスト「くッ……!(雛菊から発せられた眩い光に目が眩む)……!(魂魄の力…あの雛菊という女性から、霊力に近いものを感じる…!) 」
ソードプリム「こ…今度は何だ!!?」
雛菊(六道)「 ヒ ュ ォ ォ ォ … ッ … (炸裂した光が徐々に消滅する。そこに姿を現したのは、神々しい光の衣を纏い、仄かに蒼白い発光を帯びた麗しい碧髪をした、変貌を遂げた雛菊の姿。周辺に浮遊する六つの勾玉を取り巻き、その右手には…鞘を失った刀『蕨』がしっかりと握られていた)」
氷冬「…ッ……!(迸る衝撃に表情が歪み、吹き飛ばされまいと強く踏み込み耐え忍ぶ)…… …… ……!!!(徐々に目を開け、そこにいる変わり果てた雛菊の姿に大きく目を見張った)」
雛菊(六道)「……(ゆっくりと瞳が開かれる。その紫瞳の中に、銀河を閉じ込めた様な神々しい輝きが煌めいている)…この力を解放するのは、本当に久方ぶりです。ですが、以前発動した時に比べると…完成されたこの力は、ついに洗練されたみたいですね。…正直、私自身も驚いています。だからこそ、感謝しています…氷冬さん。貴女に出会えて私は…更なる"限界"を見出せたのですから。」
たしぎ「な…ッ…!?な、ななな…なんですか、あれ…!!?(変わり果てた雛菊の姿に思わず目を奪われる)」
モララー「なんだ、刀に精通しているあんたなら、大凡のことは理解できるんじゃねえのか。…あいつ…"覚醒"しやがったんだ… あんたが言っていた『刀剣覚醒』なのかどうかは、わかんねえけどな。(感じるぜ…あれは間違いなく、"強い"…!)(鋭く細めた眼に雛菊を捉える)」
氷冬「……(やっと届いたと思えば、限界突破… 私が上を目指せば目指すほど、彼女もまた上へと上り詰めていく… ……これが『世界』の本当の実力…っ…)………だけど…(小さく呟いて、変幻された四刀を構え直す)ここで退いたら剣士の名折れ。剣士はただ、己よりも強い者に惹かれ、強くなっていく…!(そう、ずっと…これはずっと不変だった。銀閣とも、ASとも、そして、縊鬼… かつて剣豪と刃を交わした時から、私の気持ちは何一つ変わっていない…――――)」
氷冬「――― "強くなれ、その為なら、強くあれ"。自分を信じて、刀を信じて…勝利を信じる。雛菊…――― 私は貴女を越えていく…ッ!!( ド ヒ ュ ア ア ア ア ァ ァ ァ ッ ! ! ! ! )(四刀が虚空を裂き、覇気を纏う猛吹雪が吹き荒れる)」
雛菊(六道)「……(この方には、確固たる強い意思がある… でも、意思の強さなら…私も負けない。)――――― 閃劇・第二幕の開演です、氷冬さん。(自らも己の勝利を頑なに信じ、刀を振って氷冬を迎える)」
最終更新:2019年02月20日 16:20