氷冬「 ス … ――――― ダ ァ ン ッ ! (倒れ込む様な前傾から駆け出す最中、指間に挟んだ二刀を薙刀の様に持ち替える) ド ヒ ュ ン ッ ―――― ズ ア ァ ッ ! ! (空間を穿つような鋭い突きを繰り出し、そのまま腕を振ってもう一対の刃で薙ぎ払う)」
雛菊(六道)「……(――『 天 の 輪 廻 』――) ス ァ ン ッ、 ブ ワ ァ … ッ … ! (皮膚に掠れる寸前で刃を紙一重で避け、続く二撃を屈んで受け流す)」
アラモス卿「姿形が変わったのはただの見かけ倒しではなかったか。(雛菊の繊細な挙動に感嘆するように頷く)」
氷冬「はっ…!つっ…!(刺突、薙ぎ払い、回転斬りの隙の無い連撃を畳みかける)」
雛菊(六道)「 ス ァ ン ッ、 ブ ン ッ ! ! ス ッ … ガ キ ィ ン ッ ! ! (氷冬の四閃の鋭い軌道を凝視するように目視し、繰り出される刃を避け、受け流し、刀で弾き返し悉く退けていく)」
氷冬「―――――!(感覚が鋭敏になった……!?以前言ってたあの“佩”という足運び… いえ、少し違う…!)(刀を振い、かわされる度に僅かな動揺が走るが、冷静に雛菊の立ち回りを解析する)」
雛菊(六道)「 ニ ヤ … ―――――(不敵な笑みを浮かべ、刹那の内に突きの態勢に入る)」
氷冬「ッ…!(攻撃態勢に入られ反撃されると踏んで距離を置こうと退くが…)」
雛菊(六道)「―――“汝汪蜂”(じょうおうばち)―――( シ ュ ガ ガ ガ ガ ァ ッ ! ! ! ! )(荒れ狂うの様な刀捌きから無数の刺突が繰り出される。強かにして鮮やかな突きの矛先は無駄がなく、そのすべてが氷冬に向かれる)」
八頭身ギコ侍「ふむ…かの娘の"太刀"…某の「卍解」とは似て非なる力を秘めているでござるな。見事な太刀筋よ。(客席で団子の串を歯に銜えながら、観戦している)」
氷冬「くッ……!( ガキャキィキャギィガキャンッ ! ! ! ! )(高速刺斬に対し何度も刀を振って応戦し、矛先を叩き落としていくが…) ッ―――――(幾重の鋭い針が頬や衣を掠め、白い肌から赤い雫が滴り落ちる)」
スカーフィ「かぅ……(圧倒されていく氷冬を心配そうに見つめては固唾をのみ、祈る様に見守っている) 」
雛菊(六道)「……(本当に強いお方…だけど、私にも引けない覚悟がある。絶対に負けられない…っ!!)(互いの刀が交錯する最中、その瞳は真っ直ぐ氷冬に向けられた)スタァンッ――――ブォンッ、ガキィンッ、ズァッ ! ! ! (空へと翔び、虚空を歩く様な浮遊移動から何度も刀を振って撃退していく)」
氷冬「あッ…く…!(さっきよりも攻撃が重く、鋭くなった…見かけ倒しの変身なんかじゃない。…これが、彼女の――― "覚醒"…!)(上空から振り下ろされる刀とぶつかり合う度に、雛菊の強い意思が籠った"刀"を受け止める)スワンッ―――ズザザザァー…ッ… ! ! ! (バク転後退から距離を置き、従来の構えに戻る)」
たしぎ「すごい…!あんな態勢から曲芸みたいな斬撃できるなんて…並大抵の剣士には真似できませんよ…!(驚くあまりずれる眼鏡をくいっと上げる) 」
雛菊(六道)「スタン…―――― ド ヒ ュ ア ッ ! ! ! (着地と同時に砲弾の如き勢いで襲撃する)―――“風車”!!( ズギャアアアァァンッ ! ! ! )(螺旋斬撃波を解き放つ)」
氷冬「ザ キ ィ ィ ン ッ ! ! (四刀を地面に突き刺し…)―――“穿琉減惧”(ばるべく)!( ズ シ ャ ア ア ア ァ ァ ァ ッ ! ! ! )(そのまま螺旋を描く様に回転し、地面を抉り出しながら刀を振り上げ砂塵を捲き上げ衝撃を飛ばす。衝撃によって斬撃波は相殺される)」
雛菊(六道)「……!(前方より押し迫る衝撃と砂塵に目を細め、その刹那に一閃を刻み、断裂する)」
――― ザ ン ッ ! ! ―――(巻き上がる砂塵が霧払いの様に断裂されるが、そこに氷冬の姿はなく―――)
氷冬「 ボ フ ン ッ ―――――― “去霧照蛇”(さるむでるた)!!(ギュルンギュルンギュルン――――― ズ ァ ン ッ ! ! )(砂塵上空より現れ、縦回転しながら斬りかかる)」
雛菊(六道)「―――――!(いない……!そうか、これは――――) ! ! ! (氷冬の技巧に翻弄され、一瞬後れを取って上空からの斬撃を受け止めるが…)…ぁ…っ……!(頭上からの急襲という不利な状況から吹き飛ばされる)」
フーナ「氷冬が押し返した…!(安堵したように一息つく)」
氷冬「まだよ…!(吹き飛んだ雛菊へ追い打ちを仕掛けるべく、一度の踏み込みで瞬く間に距離を詰める)ッッッ!!!(真横から二刀で薙ぎ払う)」
雛菊(六道)「うっ……!(――『 人 間 の 輪 廻 』――) ガ キ イ ィ ィ ィ ン ッ ! ! ! (強靭化された刃で受け止める。受け止めた衝撃によって全身が1mmも微動することなく完全静止し、その状態から斬り払う)」
氷冬「―――!?(硬い…っ…!いや、硬く"なった"…!?)(斬撃の応酬で雛菊の刀の強度はある程度把握していたが、その強度が明らかに増しているのを瞬時に感じ取り動揺する)ッ…!(斬り払いから逃れように後退する)」
雛菊(六道)「(――『 修 羅 の 輪 廻 』――) ド ゥ ン ッ ――― ザギィンッ、ザギィンッ、ザギイィィンッ ! ! ! ! (斬り込めば斬り込むほどにその刀は徐々に重く、鋭く、速くなっていく)」
氷冬「……ッ…!!?(雛菊の刀による一撃が苛烈になっていくのを感じ取り、受け止める度に衝撃が全身を走り、時に跳ね上げられるように圧倒されていく)」
雛菊(六道)「 “一重三砕”…!(ひと思いに純粋な"力"で蹂躙するべく、破壊力を重ねた強烈な一撃を炸裂させる)」
氷冬「(この剣圧――――!!)(雛菊が繰り出す次の技にただならぬ危機感を覚え、こちらも両腕に力をこめる)――――“ 獅 子 王 ”(
レオン)ッ!!!(彼女の一撃に合わせるように、力いっぱい振った)」
――――― ガ ア ァ ン ッ ! ! ! ! ―――――(刀の斬響ではなく、まるで隕石が互いに衝突し合うかのように空間に轟いた)
ロックマンゼロ「…ッ……!(大気に迸る衝撃に目を鋭く細める) 」
雛菊(六道)「ッ…つ…ッ……!!!( ギ ャ リ リ リ リ ィ ッ … ! ! ! ! )(意地でも退かないと歯を食いしばり、拮抗する衝突に全力をかける)」
氷冬「ぐ…ぅッ……!!!( ズ ァ ギ ギ ギ ギ ィ ッ … ! ! ! ! )(尋常ではない重力の奔流に抗うかのように凄まじい鍔鳴りを響かせながら衝突し合う。刀が折れるか、腕の骨が折れるか、あるいは…衝突し合う二人が"折れる"まで、決して吹き飛ばされることはなかったが…)」
ガ ギ ャ ア ン ッ ――――― ズ シ ャ ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ー ー ー ー ン ッ ! ! ! ! ! (刹那――拮抗した二人は音速を越えて互いに吹き飛び、ステージ上の壁面に激突した)
氷冬「きゃぁ…ッ……!!(壁面に激突し、瓦礫に埋もれてしまう)」
雛菊(六道)「はぐぅ…ッ……!!(同様に壁に全身がめり込み、土煙に包まれる)」
キリギリス「こっ…これはすごい激突だああああああぁぁぁぁぁああああああーーーーーーーッ!!!!両者ともに弾け飛んだ!!!さあ、立つのはどっちだああああァァァァ~~~~ッ!?!?!?!?」
大剣使いの男「……実力伯仲だな…(頬に感じる二人の覇気に目を見張る) 」
氷冬「――――― ボ ゴ ォ ン ッ … ! (瓦礫を押し退け、ステージへと復帰する)はぁ…はぁ…ッ…(荒い喘鳴をあげ、先程の衝撃によって痙攣しかける両腕を鎮めようと自らを奮い立たせる)」
雛菊(六道)「――――― ボ フ ン ッ … ! (土煙から跳び出し盤上へ復帰する)はぁ…ふぅ……っ…(肩で息をしながら、先の激突によって刀身が…否、腕が僅かに震えているのを察知し、瞳を閉ざし呼吸を整えようとする)」
シグマ「人間にしては、その領域を遥かに凌駕しているともいえよう… ここまでの強者を、我はこの目にしたことがない。 」
雛菊(六道)「はぁ…はぁ……――――は…ぐ…ッ……(額に突き刺さる様な頭痛に表情が歪み、そっとその部位に手を当てる)」
――――「お前に帰るところなどないんだよ!失せろ、化け物…!!」――――
雛菊(六道)「はぁ…っ……はぁ…っ…―――― く…ぁ……!(脳裏に響き渡る罵詈雑言を払拭せんと、鉄の様に重い身体を持ち上げる様に奮い立たせる) はぁ……はぁ……(煩悩との戦い…『六道』によってかかる負荷はあまりにも… …… …… ……長くは続かない… 慈悲を与える暇もないほどに… 邪な記憶に魂を喰らわれる前に…決着を…付けないと…ッ…)チ ャ キ …――――(血相を変え、表情に焦燥が現れる。紫の瞳の奥で、赤い何かが渦巻いている)」
氷冬「ふぅ……ふぅ……――――― ス … (あの目…ええ、間違いない…―――― "本気"だ…)(雛菊の瞳の奥に潜む感情を汲み取り、四刀を振って身構える)」
雛菊(六道)「はぁ…はぁ……"ここ"まで…私を引き出してくれて……ありがとうございます…氷冬、さん……そして…―――――― 終わりにしましょう。( フ ォ ン ッ ! ! ! )(突然、全身から残像が剥がれ出て、雛菊と瓜二つの姿をした分身が二体出現する)……!(――『 畜 生 の 輪 廻 』――) ダ ン ッ ! ! ! (三人に増えた剣豪が、間髪いれず氷冬に襲いかかる)」
氷冬「――――!(残像剣…!?いや、それよりもっと上の…――――)くッ…はあああぁぁー…ッ!!!(真正面から三人の雛菊を迎え討ち、刀を強く振って扇状の斬撃波を解き放つ)」
雛菊(六道)「 フ ォ ン ッ ――― フ ォ ン ッ ――― フ ォ ン ッ ―――(斬撃波に直撃した瞬間、三人が陽炎の如く揺らめいて姿を消す)――― ズバァンッ、ザキィンッ、ザァンッ ! ! ! (そして、空間を突き破るように虚無から現出し、三方向から氷冬を斬り伏せる)」
氷冬「ッ―――!?(消えた――――)きゃふ…ッ…!!(全身に刻まれた三閃に苦悶の表情を浮かべ、痛みに耐えようと歯を食いしばる)」
雛菊(六道)「 フ ォ ン ッ ―― フ ォ ン ッ ――――― フ ォ ン ッ ―― フ ォ ン ッ ――――(空間を支配し、尚も高速移動を繰り返す三つの像が氷冬を攪乱する)……!!(――『 餓 鬼 の 輪 廻 』――)( ド ヒ ュ ア ア ア ァ ァ ッ ! ! ! )(鞘を失った蕨の刀身が瞬間的に伸縮を発動。遠距離、近距離、四方八方から鋭利な凶刃が氷冬を襲う。それはまるで、どんなに離れていても至近距離からとどめをさせるほどに、絶対的な神業だった)」
モララー「――――!(あいつ…刀の伸縮を自在にしやがった…っ…!)(雛菊の類稀なる剣術に思わず吃驚する)」
ヒロ「…………!!?(雛菊の連撃を見て)…まずいな、これ…ピンチじゃねーのか(氷冬を見て) 」
氷冬「ザシュ ――― ズバァンッ ―――― ザンッ ――――ズシャアァッ ―――(三人の雛菊、そして全方向より届く刃に成す術もなく切り裂かれて、衣服の切れ端や烏色の髪の毛、血飛沫が宙へと舞い上がる)」
フーナ「氷冬――――ッ!!!(一方的に攻め立てられる氷冬に酷く狼狽する)」
スカーフィ「やばい…やばいよ…っ… 負けちゃダメ…――――負けないで、氷冬あああぁーーーーーッ!!(声を震わせ、涙声で彼女に叫んだ)」
氷冬「―――――――――」
――― ああ…また…だ……私には、届かなかった… ―――
――― これが、本当の『世界』…一度踏み込めば、その力の強大さに呑みこまれていかれそう… ―――
――― 努力して、這い上がっても…報われないことはある… ―――
――― …ここが、私の"限界"だったんだ…… ―――
――― …… …… …… ―――
――― …… …… …… ―――
――― …… …… …… ―――
――――― 本 当 に ? ―――――
氷冬「――――――――――」
――― " 神様、彼女が帰ってきた時だけ、僕の贅沢を聞いてほしい。 " ――――
――― " 今まで、数百年何一つの贅沢をしなかった僕の、一つのお願いを… " ――――
氷冬「――――――――――」
――― …待ってくれている人がいる… ―――
――― そして私には… ―――
――― そ の 人 と の 『 約 束 』 が あ る ―――
氷冬「――――― ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ あ あ あ あ ッ ! ! ! !(雄叫びは痛みを、限界を、現実を越えて、今―――)」
――――― 斬 り 進 め 、 己 が "刃" と 共 に ―――――
氷冬「 で う ッ ! ! ! ! ( ズ ダ ァ ン ッ … ! ! ! )(強い踏み込みが大地を揺らし、嶄然と輝く刃を陽光に照らし、風となって駆け出す)」
雛菊(六道)「―――――!?(尚も斬撃を繰り返す最中、傷つきながらも立ち上がり、向かってくる氷冬に動揺を隠しきれない顔で見据える)」
氷冬「(行くんだ、『約束』の先へ…―――) グ ゥ ン ッ ―――(もう迷わない…見失わない!進むべき路(みち)は、いつだって―――――)―――――“ 明 路 彫 走 ”(あくろほりす)!!」
ギ ャ キ ィ ン ッ ―――― ギ ャ キ ィ ン ッ ――― ギ ャ キ ィ ィ ン ッ ――――― ! ! ! ! (空間を牛耳る斬撃の嵐を"吹雪"が掻い潜る様に吹きつける)
氷冬「 ヒ ュ ン ッ ―――――はああああぁぁぁーーーッ!!!(直角に高速移動しながら突き進み、瞬く間に雛菊本体との距離を詰め、一撃特化の刺突撃を繰り出した)」
雛菊(六道)「―――――ッ!?(早すぎる…っ…!!)――― きゃあああぁぁ…ッ…!!(強烈な一撃が腹部に炸裂し上空へ跳ね上がる)」
フーナ&
スカーフィ『――――止まるな(止まらないで)っ!!氷冬っ!!!!』
氷冬「――― “ 錐 卍 射 路 ”(きりまんしゃろ) !!!―――( ズ グ ァ ア ア ア ア ア ァ ァ ッ ! ! ! ! )(大気を貫く真空衝斬波を解き放った)」
雛菊(六道)「くぁ…ッ……!(宙で吐血し、それと共に頭痛の様な激痛が彼女の精神を蝕んでいく)……!(お願い… 私はまだ…こんなところで……!)…… 三 千 ――――― 世 界 ッ!!!!(強烈な居合抜きを炸裂させ、真空斬撃波を相殺する)スタン……はぁ…はぁ…ッ……!(着地後、肩で息をする度に心臓を握り潰されそうな痛みが走り、表情にも限界の色が浮き彫りになり始める)」
大剣使いの男「…凄まじい接戦だ……だが…(互いに限界が近づいてきているのを察し、その行方を静かに見守る)」
雛菊(六道)「はぁ…はぁ…!……わかり、ますよ…っ……氷冬さん… あなたにも、決して退けない覚悟がある…っ… その強い意思が、刀に伝わって…刀から、私に伝わって…感じ取れましたから… です…が…ッ……お分かりでしょう… 私にも、その『覚悟』があるということ…っ… 絶対に…負けられない覚悟が…はぁ…はぁ……!」
氷冬「ふぅ…ふぅ…っ……ええ、言われなくても、分かるわよ… 雛菊、貴女は"強い"… 貴女の刀が、それを教えてくれたから… …ふふっ…どう、やら… お互いに、頑固なところはそっくりね…(苦しそうに息をしながらも、不敵な笑みを窺わせる)」
雛菊(六道)「はぁ…はぁ…はぁ…… ええ、ふふっ…… …こんなに…純粋に刀を振ったのは…本当に久しぶりです… こんな…楽しいこと…ほんとは…終わらせたくありません… ……でも…っ…――――」
氷冬「…ええ……決着は、しっかりつけないとね…っ……!…スゥー……ハァー……(がくんと頭が垂れる度に弾ける汗。赤熱を帯びた陽に燃え盛る身体を鎮める様に、深く、深く、息を吸って深呼吸する)」
雛菊(六道)「……(……貴女と出会えて…本当に良かったと、今なら感じられます… ……だから、見せてさしあげましょう…私の…全身全霊の"太刀"を……!) ス ァ ン ッ ! (杖代わりに突き刺していた蕨を抜き取り、天高く掲げ、虚空を斬り払う)」
―――――― 『 地 獄 の 輪 廻』 ――――――
雛菊(六道)「 ド ッ グ ン ッ ! ! ! ! ! ! (強大な何かが全身に乗り移った様に、大きな異変が生じる。紫瞳の奥で渦巻く赤いものが瞬く間に瞳を染め上げていく)」
氷冬「(まだ、強くなれるのね…っ……)……ふ…ふふ…なんだろう……恐怖とか、興奮とか…そんな、ものじゃない… この体の震えは…―――――(…そうか、これが…武者震い…て奴ね… もう、既に…何度も体感したことじゃない…)(対峙する雛菊の強大な覇気に、呑まれるわけでも慄くわけでもなく、ただ…まだ見ぬ強者との"語り合い"に期待するかのように、無邪気な瞳を輝かせる)」
雛菊(六道)「はぐ…ゥ…ッ… …ぁ…が……っ……!("地獄の門扉"を開いた自身への負荷はあまりにも大きく。開門と共に、彼女の脳裏に忌まわしき過去が輪廻する)」
―――「出ていけ、この人殺し…!」「ここにはお前の居場所なんてないんだよ」「消えろ、目障りなんだよ…!」「道場の面汚しが…!」―――
―――「 お前は、『師範』に恩を仇で返したんだ。恥を知れ。」―――
雛菊(六道)「―――― う わ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ー ー ー ッ ! ! !(悲痛な鬼哭が天を裂く)」
氷冬「ッ――――!?(先程までとは雰囲気が打って変わる雛菊の様子に、思わず目を見張る)」
スカーフィ「……!?…かぅぅ…何だろう…あの人…すごく、悲しそう…(一変した雛菊を見て)」
雛菊(六道)「 ォ ン ―――――― ズ ォ ッ ! (音もなく消えた直後、瞬く間に氷冬の懐にその凶刃が迫った)」
氷冬「ッ―――――!!?(間一髪その軌道を逃れるが、髪の毛が僅かに斬り落とされる)……ッ…!(雛菊……っ…?)(豹変した彼女に只ならぬ雰囲気を感じ取る)」
雛菊(六道)「ふぐぅ…ッ…あ…ぐ……ッ……!(『お師匠様』……私…わた…は……ッ…――――)(目の前の景色が、真っ暗になっていく…) くあああああああぁぁぁぁぁーーーーッ!!!!(その場に留まったまま刀を縦横無尽に振り抜く)」
ザ ア ァ ン ッ ! ! ! ザ ア ァ ン ッ ! ! ! ザ ア ァ ン ッ ! ! ! ザ ア ァ ン ッ ! ! ! ザ キ ャ ア ア ァ ァ ン ッ ! ! ! ! ! (雛菊に切り裂かれた空間が文字通り"裂け"、断裂された空間から見えざる凶刃が幾重にも放たれ氷冬を襲った)
モララー「ッ……!?(なんちゅー…無茶苦茶な攻撃だよ…おい…!!)」
氷冬「 ! ! ! ? (研ぎ澄まされた“
アンビション”によって見えざる刃を感知するものの、空間を喰らうその獰猛な獣の牙の如き刃を掻い潜るのに必死で、二の足を踏んでしまう)……ッ…!(攻撃が…荒々しすぎて…これじゃあ、何処から飛んでくるのか予測しきれない…!!)」
プルスト「何ですか…今のは……!?(愕然とした様子でステージ上にでき上がる深い爪痕に戦慄する)」
シグマ「むっ……!(あの女から…荒れ狂う者の気を感じる…!?奴め…剣豪と呼ばれるに相応しい器の持ち主だったはずだが…何故…あのような…)(雛菊の豹変に顔をしかめ、冷や汗が滴る)」
ヒロ「………まずいな………(錯乱した雛菊を見て)……まともな精神状態じゃなくなってる……!? 」
雛菊(六道)「はぁ…はぁ…ッ… っ……ぁ…くぁ…ッ……!(流れ出た血涙が衣を紅に染め上げていく。その様は何かに酷く怯えている幼子の様で、『罪』に囚われ苦しみもがく人間そのものだった)」
氷冬「…雛菊…っ……(今の雛菊に、かつて対峙した
クロリアーが重なり、居た堪れない表情で彼女を見つめる。その最中でも、見えざる刃によって体の至る部位に次々と掠り傷ができ上がっていく)……(…貴女がこの試合に負けられない理由が…ようやく分かった気がする…)(惨状の中、懐に忍ばせていた一通の手紙をそっと抜き出し、それに一瞥を与えた後に深くしまい込んだ)」
氷冬「…そして雛菊…貴女も…『罪』に囚われた人間の一人だったのね…(
クロリアーとの邂逅、激突、和解が走馬灯の様に思い出され、自分が取るべき行動を考え、そしてその答えを導き出す―――)……AS、貴方から教えてもらった『剣』…ここで使うよ。 縊鬼にいの一番に披露したかったんだけど…ここで使わなきゃ、彼女も救えないし、倒せない。スゥーー………(ゆっくりと瞳を閉じ、深く息を吸う)」
大剣使いの男「……っ…(大いなる力は暴走を引き起こす… いくら肝の据わった剣豪でも、例外ではない……)……?(何をする気だ…氷刀…)(幾重の爪痕が刻まれる中、瞳を閉じた氷冬を訝しむ) 」
たしぎ「ちょ…あの人、一体何を…!?あのままじゃ、攻撃の餌食に…!(苛烈な斬撃がステージを喰らう最中、平然と瞳を閉ざした氷冬に驚愕する)」
氷冬「―――――(深く…深く…より深く……―――――)(尚もゆっくりと息を吸い続ける)」
―――― ザキィンッ、ザキィンッ、ザキィンッ ! ! ! ! (交錯する幾重の不可視の斬撃が、氷冬に襲いかかる―――)
氷冬「(深く……深く……深くまで――――――)―――――!(そして、解き放て――――)」
――――― ≪ 八 舞 ≫ ―――――
最終更新:2018年02月24日 13:05