――― 聖国コスモス・城前 ―――
政府軍兵士『王族たちは無事か!? はっ、現在負傷者の報告は上がっておりません! お怪我はございませんか!? 城内で地響きがしたぞ!お前たちも早く避難しろ!(城内外では一時大混乱が発生していたものの、政府の迅速な対応により僅か数分で鎮静化している)』
レゼリア国衛兵「あ…ぁ…!あの…!サキエルお穣様は…!?あの方はご無事なのですか…!?(外部で待機していた衛兵の一人が政府の役人に縋りつく)」
ガーレット「っ…(縋る衛兵への表情に困っている)……(レゼリア国の姫は…)(「誘拐された」――― とてもではないが言えない真実に躊躇っている。政府の万全な態勢をとっても尚、一国の姫すら救えなかった自分たちの無力さを告げることは、兵士一同同じ気持であったのだ)」
王女「―――― 私はここにいます。(一同の前に姿を現したのは、先程確かに誘拐されたはずの王女。泣き縋る衛兵に安堵を齎そうと優しい微笑みを浮かべる)」
ガーレット「―――!?(あれは…ど、どういうことだ…っ…?あの方は先程誘拐されたはずでは…ッ…!?)(何事もなかったかのように現れた姫に驚愕の眼差しを向け、思わず退く)あ、貴女は…レゼリア国王女、サキエル・ロウ・ナイル様ですね…?よ、よくぞご無事で…!(慌てて歩み寄り、彼女の身体の隅々を確認する)……!(…間違いない…本物だ…!しかし何故…)」
ハクライ「王女の前で見っとも無い姿を晒すな。(王女の背後から現れガーレットに一喝を飛ばす)」
ガーレット「ッ…!?は、珀礌大将…!(狼狽して敬礼)」
ハクライ「彼女は3階の女子トイレで身柄を確保した。…もっとも、王室にいたあの『偽物』との関連性は不明だが…(王女と向き合う)…詳しくお聞かせ願おう。貴女は何か知っているのであろう。」
王女「……はい…―――――」
――― 数時間前 ―――
バリバット「…カチャカチャ…(首脳会議開始時刻が刻国と迫る中、城内の人通りの少ない通路にそびえ立つ幾つもの柱に何かを設置している)…これでよし…ウケケ…!」
ローブの少女「ん…しょっ…(庭から城内へ侵入) ここなら 誰もいない…?(偶然見つけた蝙蝠の背後に就き様子を窺う)」
バリバット「あとは王女の誘拐後、すぐに起爆してやれば…奴らの慌てふためく姿が目に浮かぶ…ウケケケ♪」
ローブの少女「(お姫様 誘拐… 爆発… 悪い予感が 的中…)…あっ…(更に耳を傾けようと足を進めたがその拍子で転倒してしまう)」
バリバット「ゲッ!?(バレたか――――)(物音に反応し振り返るが、そこにいた者の姿に呆然となり、そして滑稽そうに嗤い出す)ケケケケッ…♪誰かと思えば、迷い込んだ子ネズミちゃんか。そんな小汚い形(なり)で…なーんでこんなところにいるんだぁ?(小馬鹿にするような態度で)」
ローブの少女「汚くても…いい… でも それはあなたもいっしょ… 何か企んでいるなら…やめておいたほうが…」
バリバット「チッ…やっぱ聞かれちまったか……だが――(少女の姿を見て、思わずニヤリと不敵な笑みを浮かべる)…ああ、そうさ。「俺たち」はレゼリア国のサキエルお穣様って奴を誘拐しに来たのさ。一部じゃ「
ホタル」とかいう庶民的な名前も持っているらしいが…ま、そんなことはどうでもいいさ。」
ローブの少女「あの 綺麗なお姫様…(港で見たホタルの姿を思い出す)お姫様を誘拐して どうするの 身代金…国の乗っ取り…?」
バリバット「はんっ!そんな小さい野望で、こんなちまちまと慎重な事やってられっかよ。すべてはある壮大な『計画』の為さ。お姫様はその計画実現のために必要な、いわば「囮」ってわけさ。」
ローブの少女「もっと ひどいこと 考えている… でも 思うようにはさせない…(じりっと詰め寄る)」
バリバット「ウケケッ…喋りすぎちまったか。けどよ~、俺たちの目的を知ったところで、今のお譲ちゃんに何がでっき♪るっ♪かな~っ♪(愉快そうに嗤う)そもそもここから上の階は一般人はおろか、各国の護衛ですら入場を許可されていない。つまり、居るのは各国の王族どもと政府の上層部だけだ。それ以外は…ましてや俺たち食み出し者なんて見つかれば即追放だぜ?事実を告げようとしても、誰もお前の耳に傾けようとはしねえ。誰も俺たちの計画を止められるものはいねえんだよ。ウケケケケッ♪」
ローブの少女「それでも…それでも とめてみる… お姫様は 私が守る… あなたたちの野望も…とめる…」
バリバット「やれるもんならなぁ!!ケーーーケッケッケッ!!(ブワッ――― ズ シ ャ ア ア ァ ッ ! ! !)(翼を勢い良く振り払い鎌鼬を巻き起こす)ケ~~ケッケッケッ…――――(その後すぐに柱の影へ溶け込む様に消え去った)」
ローブの少女「……っ…!(空気を裂く鎌鼬を紙一重で退ける)…はやく とめないと…何もかも 手遅れになる…」
おい、今あそこで何か音がしなかったか?(通路の曲がり角から複数の足音が聞こえてくる)
ローブの少女「……!(ここだと見つかる… まずはお姫様を探さないと…)(急いで柱から柱へと蹴って移動し、更に上へと逃げ込んだ)」
王女「ふぅ……(会議が開かれる王の間付近の広間。椅子に腰かけ静かに待機している)」
執事「間もなく首脳会議のお時間ですね。(王女の傍に立ち懐中時計を見つめている)」
ローブの少女「(女子トイレの出入り口にある壁に身を隠し、辺りをそっと見渡す)(なんとか上の階に辿り着いた… あっ…)……!(偶然にも、見渡し先に王女の姿を発見する)(気付いて…!)(周りに人がいないことを確認し、王女に気づいてもらおうとやや大胆に手を振ってみせる)」
王女「ええ… ……?(少女の存在に気付き、明らかに自分に何かを伝えようとしている姿に目をぱちくりさせる)…あの、会議が始まる前にお手洗いに行ってもいいですか。」
執事「ええ、どうぞ。(そう言い王女と共にトイレへと向かう)私はここで待っていますので。(にこりと微笑みトイレ前で足を止める)」
王女「ありがとう。(女子トイレへ入り込む)」
衛兵「ザッ…ザッ…ザッ…(王女がトイレに入ってしばらくし、執事のもとに一人の衛兵が姿を現す)…――― 失礼いたします。(グギュ…ズギュ…―――)――― グ バ ア ァ ッ ! ! (痙攣発作の様な不気味な挙動から、怪しい影が飛び出す。影は瞬く間に執事を覆いかぶさるように襲いかかった)」
執事「へ―――!?」
王女「…私を呼んだのは…君…?(トイレの奥で、小声で問いかける)」
ローブの少女「うん… あの…お姫様…私 王族の人でも…政府の人でもなくて…でも 貴女にどうしても伝えたいことがある… 聞いて…ほしいの…」
王女「うんっ。(王族たちの前では見せなかった、純粋な女の子としての微笑みを浮かべ少女と向き合う)」
王女「……そういうことが…(少女から告げられた事実を聞き、驚きの余り口元をそっと手で覆う)」
ローブの少女「うん… だから あなたを守りたい。お姫様や…多くの人たちが…これ以上悲しい思いをしない様に… パ ア ァ ァ … ! (そう言うと全身が眩い光に包まれる)」
ローブの少女→王女(ローブの少女)「―――……私を、信じてくれますか…?(光の消失と共に現れたのはもう一人の王女。姿形、声、仕草までもが完璧に瓜二つだった)」
王女「……!(鏡に映る自分を見つめているかのように、その瓜二つの自分自身にわっと驚き出す。少女の瞳をずっと見続け、そこに嘘偽りなどなく、誰かの為に動こうとしている彼女の強い覚悟を汲み取った)―――…うんっ、君を、信じるよ。」
王女(ローブの少女)「…ありがとう…」
王女「だけど、無茶はしないで…!私も、君を見捨てたりなんかしないから。後で、必ず君を救い出すよ。(目の前の自分…いや、少女をぎゅうと抱きしめる)」
王女(ローブの少女)「お姫様…わっ……(いい香り…それに…あたたかい…)(王女のぬくもりを感じ取る。それは、これから彼女に代わり自らが体感するであろう恐怖さえも拭い去ってくれるほどに、少女の心を満たしていった)」
王女(ローブの少女)「……(女子トイレから出てくる)お待たせしました。行きましょう。(…お姫様…あとは、私に任せて…―――)(執事と共に王室へと向かう)」
執事「はい…―――――― ニ ヤ (王女の背後、黒縁のメガネが妖しく輝き出す)」
ハクライ「―――…なるほど…それが真実か。」
王女「はい…(どこか悲しげに目を伏せる)」
ハクライ「とにかく、貴女の無事が確認できたことが何より。とはいえ、代わり玉となったその少女…そして
ディーヴ王国第一王女のキュウカ・ミリダルアの二名が誘拐されたことは紛れもない事実だ。一刻も早く救出せねばなるまい。…情報提供を感謝する。(踵を返す)これより我々は司法の島へと向かう。そこに彼女たちも連れ去られたに違いない。貴女は一刻も早く王国へと戻り、念のために護衛を強化したまえ。必要とあらばこちらからも精鋭≪エージェント≫を動員する。 …船を出せ!我々は直ちに現場へと向かう!(その場を後にする)」
ガーレット「はっ!!(再び敬礼し、急いでハクライに続いた)」
王女「……(少女のことを心配そうに、胸の前で祈る様に両手を組み、青空を仰いだ)」
聖国「コスモス」で起きた首脳会議襲撃事件―――
例の事件勃発より10分前、ある島でも襲撃事件が引き起こる――――
ウ ゥ ー ー ー ッ ! ! ! (突如、島全体にサイレンが轟いた)
ダ ッ ダ ッ ダ ッ ダ ッ … ! ! (サイレンに駆り立てられるように、島の中央にそびえ立つ塔の内部より黒いスーツを着込んだ役人たちが次々と出現し、島の出入り口となる大きな橋へと直行する)
C.P.(サイファポール)『デッドエンドに不法侵入者の報告あり!門番たちを殺害し、内地へと進行中とのこと!ただちに奴らを迎え討て!(拳銃や刀を武装した黒服の役人たちが一斉に駆け出している)』 」
コ ツ … コ ツ… コ ツ … (喧騒が渦巻く島―――その橋の上を悠然とした足取りで進む三つの影がある。影が残した足跡は"赤"を描いていた―――)
ネロ(旧名:
ブラックレミリア)「……(「うるさいのが来た。」)(スマホでメッセージを打ち込みながら目前より迫る役人たちを冷淡な目つきで見据える)ポタ…ポタ…(真っ黒な両手…その方手が赤く染まっており、指先から赤い雫が尚も滴り落ちている) 」
ポイゾーネ「(服に付いた赤い染みを、ハンカチで拭きながら)やだ、取れませんわ………血反吐を吐いてのたうつ様な毒にしなきゃ良かったかしら……… あら、そんな事言ってる間に騒がしくなってきましたわね………どうしましょうか?(迫る役人達を見て 」
シング「カチャッッ――――――(自動拳銃の弾倉に、弾を装填し)こいつらは俺が残らず片づける、お前らは―――――― (前方に見える中央の教会を指さして)あっちを落とせ………出来るよな? 」
C.P.(サイファポール)『侵入者三名を捕捉!奴らを捕えろぉーーッ!!!』
ネロ「……( 「了解。」 ) ズ ズ ズ ズ ズ … ――――(自身とポイゾーネが影に吸い込まれようにその場から消え失せる) 」
ポイゾーネ「………ウフフフ……… 承りました♪(黄色い小瓶と、毒針を手に持ち、ネロと共にその場から消える 」
C.P.(サイファポール)『撃て撃て撃てぇーッ!!!(ダァンッ、ダンダンダァンッ ! ! !)(銃撃隊がシング一人に集中射撃)』 」
ヒ ュ ン ―――― ヒ ュ ン ――― ヒ ュ ン ―― ヒ ュ ン ――――(緩慢化された世界の中、螺旋を描きながら虚空を貫く幾つもの銃弾が真っ直ぐに、シングへと襲いかかるように飛んでいく)
シング「………さて………(赤いゴーグルを着用し、2丁の拳銃を構えて)――――――やるか。 ヒュバババババッッ――――――(真っ直ぐに襲い掛かる銃弾を、たった一瞬の内に全て回避し、役人たち目がけて猛スピードで突っ込んでいく 」
C.P.(サイファポール)『標的二名の消息はどこだァ!? 構うな!目の前の敵に集中せよ! ば、馬鹿な…ッ!?銃弾を目視で回避しただと…!? 怯むな!任務遂行を全うせよ! くたばれ侵入者ァッ!!(刀を携えた者たちが連携を組みながら、猛スピードで迫るシングに刃を振るおうと駆け出した)』 」
シング「―――――雑魚が。(笑みを浮かべ)チャッッ――――― バシュバシュバシュバシュッッ!!!!!(刀を携えた役人たちの心臓部を的確に狙い、瞬時に撃ち抜いていく 」
C.P.(サイファポール)『ぐぁぁああああッ…!! ぐは…ァ…ッ!! 一旦退避!銃撃隊前へ!! (ダンダンダァンッ ! ! !)(再び銃弾の嵐がシングに襲いかかる。しかし、もはやその軌道は目視ではなく、本能で回避できるほど…彼にとっては"退屈な動き"だった)』 」
C.P.(サイファポール)『本部からの増援は!? それが…本部の勢力のほとんどが、現在開催されている首脳会議の最重要護衛に回されており…すぐに駆けつけるには時間がかかる模様…! 本部が駄目なら支部からでもいい!!とにかく増援を!敵は何かの能力者だ!我々だけでは手に負えん!!!』 」
シング「………はぁ………それで狙ってるつもりか? ―――ヒ ュ ン ――― ヒ ュ ン ――― ヒ ュ ン ――――――(弾丸を紙一重で避けて行き)そんな程度の力で、よく守れる気でいるなぁ――――― ズギュンズギュンズギュンッッッ!!!!!(前方から迫ってくる弾丸を、全て、的確に、二丁拳銃の弾丸で相殺する 」
ぎゃふぁ…ッ…!!や、やめろォ…ッ…ぐあああああぁぁぁぁッ!!! ブシャアァッ ! ! ! ド シ ャ ア ァ ッ … ! ! ! (悪に立ち向かう正義が崩れ落ちる。やがて多勢で攻め込んだ彼らは物言わぬ人形となって地面に転がり、喧騒の橋に沈黙が訪れる)
糸目の男「――― あー、あー…派手にやってくれましたねぇ。(その沈黙を遮るかのように現れ、転がる屍の道を軽い足取りで過ぎ、シングと対面する)…随分散らかすのがお好きなようで。これは掃除に困りますねえ。(ふふふと不気味な笑みを浮かべて現れたその男は、目深に被られた帽子の鍔に手を当て)…おや、貴方の顔…何処かで見覚えがありますねえ… (顎元を摩り、首を傾げながらシングの全身を見つめる)」
シング「カシャッッ―――――――(二丁の拳銃を、ホルスターにしまって)………あ?………何だ、まだ残ってたのか………気持ちよく決まったと思ってたんだがな………。(糸目の男を見て 」
糸目の男→セオ「……まあ、いいでしょう。いずれにしても、未だかつて暴動など起きず…ましてや一切の侵入すら許さなかったこの司法の島に訪れたあなたがたを、ただで帰す訳にはいかないのですから。ゴキッ…ゴキンッ…(歪に口角を上げ、両の手を合わせず骨を鳴らせる)――――― 速 や か な る 粛 清 を ! ( ダ ッ ! )(前傾から大気を貫く勢いで駆け出した)」
シング「そうか、じゃぁ俺達……… スチャッッ――――――(素早くコートの中からショットガンを取出し)――――――結構凄い事やってんじゃね!? ズ ダ ァ ン ッ ッ !!(向かって来るセオに狙いを定め、発砲する 」
セオ「“鉄塊”(テッカイ)――― ガ キ ィ ン ッ ゴ キ ィ ン ッ ! ! (鋼鉄の如く硬化した肌身で銃弾を受け止める) シ ュ ゥ ゥ ゥ … カ ラ ラ ン …(受け止めた銃弾が橋の上に転がり落ちる)…あまり褒められるようなことでもないですがねえ!“嵐脚”(ランキャク)…!( ズ ッ バ ァ ン ッ ! ! )(脚を振り上げ、巻き起こされた鋭い鎌鼬をシングに飛ばす 」
―――― ズ バ ァ ン ッ ! ! ! (鎌鼬により橋の鉄柱が何本か切断され、その一部が倒壊する)
シング「!!(速い――――!)ヴオンッッ―――――― バシュゥゥゥゥッッ!!!!!!!(瞬時に魔法障壁を展開し、鎌鼬を防いで)なら……… スチャッッ(大きなマグナム銃を取り出して)これなら、どうよ――――――― ズ ダ ァ ン ッ ッ !! バ シ ュ ゥ ッ ッ !!(倒壊する鉄柱に向け、マグナムから黒煙を纏った弾丸を射出して、鉄柱を粉砕し、ショットガンからは、追尾能力と威力増加の魔法を付加した弾丸をセオに向けて放つ 」
セオ「……(ただの散弾銃なら“鉄塊”でも十分に防げますとも。しかし…それを纏ったとはいえ…ちょっと効きますねえ…あの銃、何か仕込んでいるのでは…――――)(先程受け止めた片手に感じる僅かな痺れに眉をひそめたのも束の間――)おっとと…これは…!(地面を蹴りあげて跳躍、頭上より落下する鉄の残骸ひとつひとつの上に飛び移りながら回避し) 」
セオ「―――“紙絵”(カミエ)( フ ォ ン ッ ――― グ ォ ン ッ ―――)(まともに被弾する訳にはいかないと判断し回避に専念。獰猛な獣の如く襲いかかる銃弾を文字通り紙のように受け流していく) ガ ッ ――――― ふんッ!( グ オ ン ッ ! ! ! )(落下の最中、足元の残骸を掴み上げそれを地上のシングめがけ豪快に投げ飛ばした) 」
シング「!!(こいつを避けるだと………野郎、とんでもねぇ手練れと見た………!)―――――ズ ド ォ ン ッ ッ !!(残骸が至近距離に来たところで、魔力を込めたショットガンの弾丸を撃ち込み、粉砕する 」
ガ シ ャ ア ア ア ァ ァ ァ ァ ー ー ー ー ン … ッ … ! ! ! (橋の残骸が雪崩のように落下し、辺り一面に煙が舞い上がる)
セオ「スタン…―――“剃”(ソル)!( シ ュ オ ン ッ ―――)(着地後、音速を越えてシングの背後へ旋回)これから重要な任務に向かわなければならないというこんな時に…困ったものです――――よ!( ド ッ キ ゙ ン ッ ! ! )(“鉄塊”を纏い硬質化した腕で背後から殴りかかろうとする) 」
シング「―――――――ググ…… ズ ブ シ ャ ァ ッ ッ !!(シングの背中から、拳銃を持った黒い腕が4本、コートを突き破って表れる)お前が手練れなのはよーく分かった、だがな―――――――― 俺は、お前よりもっと手練れのつもりだ。(そう呟いた直後、黒い腕が一斉に引き金を引く 」
セオ「――――ッ!!(拳を振り抜いたその一瞬、戦慄が走る。それは種としての本能によるものであり、数秒先に体感するであろう"それ"を肌身が感じ取る)―――ガンッ、ガンッ、ガキャァンッ… ! ! ! (予感は的中――腕に纏った“鉄塊”を瞬時に全身に拡張し、全弾を鋼鉄の身体で受け止めながら後退する)…フッ、フフフ…いやいや…驚かされました…いろいろとね。(全身から上がる煙の中で、冷や汗をかきながら不気味に苦笑する)このような聖地に攻め込むとは、一体何が目的なんです?(問いかけた直後、何かを察知したかのように表情が若干強張る)…… …… ……もしや…あなたがた…――――――― 」
シング「………お?もしかして、俺達の事を知ってたりする?(黒い腕を引っ込め、セオの方に振り向いて)俺達は、この世界を闇に染める為、幾度となく戦い、そして………敗れ去って来た………もう次こそは、復活なんてしないと思ってただろ?ヒヒヒ……残念――――――― 気が変わっちまったんだよなぁ、これが……。(狂気を孕んだ笑みを向けながら 」
セオ「…なるほど、思い出しました。癖者たちが横行する時代の水面下にいたあなたがたが、いよいよ"この機会"を窺い動き出した…ということですか。…ちょうど今この瞬間、ある国にて各国の王族たちが集う首脳会議が開かれていいます。我々政府が誇る最大勢力…本来この島の管轄を行っている彼らも、護衛の為に現場へ向かわれました。…貴方がた、それを知って強行に乗り出したというのです?いやはや…冗談でも笑えないですよ。フフフ…!(と言いつつ笑っている。しかしこの笑みに普段の愉悦などない。これは焦燥からなる苦笑、自身ですら感じ得た事の少ない焦燥感が走っているのだ) 」
ネロ「――――― ズ ズ ズ … (シングの傍らに、ポイゾーネと共に再び姿を現す) 」
シング「……冗談かぁ………俺も、前はよく言ってたもんだな………ちょっとした、ユーモアって奴?俺のジョークはよくウケたもんだよ、仲間によくせがまれたっけなぁ……… でも、今はそう言う事言ってふざけるつもりは毛頭ないんだよねぇ……?(そう言って、傍らに現れた2人を横目で見て)………おかえり、どうだった? 」
ポイゾーネ「(シングの傍らに立って)………ウフフフ……… 大成功、余裕でしたわ♪ 」
ネロ「……( 「邪魔者は削除。人質用の裁判官は全員生け捕り。すべて計画通り。」 ) 」
セオ「……(彼の傍らに現れた二人に視線を落とす)―――――狙いは『 石 』ですか。 」
シング「フン、流石だな……よくやった。(ネロとポイゾーネに)………分かったところで、もう手遅れだよ……… テメェら全員、残らず消えてもらうぜ――――― パチンッッ(指を鳴らして 」
ポイゾーネ「ウフフ、承りました―――――― キュポンッッ…… ブ ワ ッ ッ(黒い小瓶を開け、中から羽の生えた小さな球体状の物体を野に放ち)――――――――私の可愛い子供達、この島を美しく塗りつぶして差し上げなさい!!!(両手を広げ、高らかに叫ぶ 」
セオ「……!(何を――――) 」
ブワァァァン――――――(小さな球体たちは、島の上空へと一気に飛び上がって行き、そして―――――) ―――――プ チ ッ ッ・・・ ブ シ ュ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ッ ッ !!!!(何かが潰れたような音がしたかと思うと、舞い上がった球体達が一斉に爆発し、上空が瞬く間に紫色の煙で染まっていく)
セオ「(天へと舞い上がる「それ」を仰ぎ見る)――――ッ!(不味い…これは――)(物体が上空で弾け、中から得体の知れない煙が散布したのを確認。それが"害悪"だと察知し、糸目が僅かに見開いた)―――“剃”ッ!!( シ ュ オ ン ッ ! ! )(帽子を抑え、その場から退避するように消え失せた) 」
C.P.(サイファポール)『ぐぅ…(その時、先程の戦闘で重傷を負った者たちが徐々に立ち上がろうとしていた)くそォ…一体…何が……! セオさんは、あの方は何処へ…!? お、おい…なんだあれは…ッ……!』
天からの煙が地上の島を包み込む様に降り注ぐ―――――
C.P.(サイファポール)『…っ…っ……??が…ぁ…な、なんだ…ァ…これ゛……ッ…!!? ハァ…ハァ……あ、ああぁぁ…ッ…! …ぐる゛じぃ゛…ッ…!だ……だれ…か……――――――ぐ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ ッ゛ … ! ! !』
ポイゾーネ「フフフフ……… ッハッハッハッハッハッハッッ!!!!!(高らかな笑い声をあげて)降れ……降れ………降れぇぇぇぇっ!!!そして、鬱陶しい害虫達を腐らせてしまいなさい!!!!(そう叫ぶその顔は、以前の彼女からは想像もつかない程、凶悪で、歪んだ、悪魔の様な笑顔だった――――― 」
シング「……おー、怖い……前よりも、良い顔しやがって……… 良いじゃん、その調子でもっともっと染まっちまいな……♪(ポイゾーネを見て 」
ジ ュ ワ ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ … ッ … ! ! ! (やがて地上に到達した煙は海にまで浸食。青く透き通った海面がどす黒く変色し、気味の悪い気泡が弾け飛ぶ)
セオ「(島から遠く離れた土地に立つ木の上に出現)……(禍々しい色の煙に包まれた島を神妙な表情でしばらく眺めた後、スマホを取り出し、誰かに連絡を行う)……こちらセオ。最悪な事態が発生しました。」
――― 司 法 の 島 が 落 と さ れ ま し た ―――
――― 司法の島『デッドエンド』・地下 ―――
オ ォ ォ ォ ォ … ッ… ――――(暗く、寒く、そして固く閉された無機質な地下空間―――天井よりうっすらと差す照明と漂う冷気。通路を隔てた両側に、幾重の保管庫らしきものが壁一面にある)
中に何が保管されているのかは分からない。しかし、そんなものはシングの眼中にはない。彼が本当に追い求めるものは、その先にあるのだから―――
コツ… コツ…コツ……――――――(足を進める彼らの先に次の部屋への扉が現出。厳重に閉鎖されたその両開きの扉は、生半可な能力者の攻撃にも耐え得るであろう金城鉄壁を誇る)
ネロ「……( 「任せて。」 )(シングに代わる様に前進しその扉の前に立つ)―――― ス ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ … ッ … ! (足元より伸びた影が自然の摂理に反するようにうねりながら動き出す。影は扉の表面を満遍なく覆い尽くした)」
ネロ「――― “暗幕”(ディ・ライブ) ―――」
ギ … ギ ギ ィ … ッ … ギ ギ ギ ィ … ッ …―――――― ズ ア ア ア ア ァ ァ ッ ! ! (漆黒に染まる扉が一点に凝縮されていく。やがて見えない何かに吸い込まれる様に、扉は完全に消滅した)
シング「お前たちはここにいろ。(ポイゾーネとネロを差し置き、ひとり前進する)…さァ…いよいよご対面だ。(好奇心に胸躍る少年心の様な、はたまたその皮を被った悪魔の狡猾な笑みにも捉えられる不気味な表情を浮かべ、その絶対領域へと踏み込んだ)
彼が踏み入れるは灰色の小さな空間。その先にある階段を上っていくと、燭台を思わせる豪華な台の上に「何か」が怪しく浮遊している。
それはこの世の物とは思えないほどの神秘的で、狂気的で――― 赤く、不気味に輝く魔性の石…
―――――――― 『 賢 者 の 石 』 ――――――――
シング「(階段を駆け上がり、その唯一無二と謳われる石と対面を果たす)…こ、これが…っ…!まさか…本当に実在していたとはな… 俺が長年求めていたもの… 錬金術師なら誰もが喉から手が出るほど、その身を犠牲にしてまで手に入れたいと強く望んだ… 神が創りし石…―――――『 賢 者 の 石 』かァ……!!(不気味な輝きを帯びるその石を両手で包み込む様に我が身に引き寄せる)
シング「…は…ははは…… ハハッ、ハッハハハッ……―――――― ヒ ヒ ャ ハ ハ ハ ハ ハ ァ ッ ! ! ! (無機質な空間に悪魔の嗤い声が残響する) や っ た ッ ! やったぞォ…!!これがあれば… ついに、ついに俺の悲願が達成できる…ッ!もはや俺の敵はいねえ!この世界に絶対君臨するのは――――― 俺 だ ァ ッ ! ! !(賢者の石を片手に、天を貫く勢いで拳を振り上げた)
彼の姿は、宛ら天の光を受けた英雄であり、または世界を牛耳る権力者であり、または時代に変革を齎す革命家であり、または――――
――― 最凶最悪の"魔王"そのものだった ―――
最終更新:2018年07月12日 19:22