双眸 ~紺碧の哀 > 紅蓮の愛~過去ログ Ⅱ

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大監獄インフェルノ襲撃事件より、2週間後―――


――― Central・A・Land 聖なる国『コスモス』 ―――


ワイワイ… ガヤガヤ… (聖国の城下町―――美しく広大な街並みに民の嬉々たる歓声と共に色鮮やかな風船や紙吹雪が舞いあがる。その様は宛ら盛大な祭… そう、今日は世界で最大の式典が開催されようとしていたのだ)


コツ…コツ…(透き通るような青い海が見渡せる港にて、一隻の豪華客船が到着。ハッチ式の足場が展開され、船内から豪華な衣装を身に纏う男女やその護衛人が次々と現れる)


漁師「おーおーおー!今年"も"来たな…!(豪華客船とそこから現れる錚々たる顔ぶれにあっと驚かされる) 」

肉屋「ああ…!なんたって今日は、5年に一度開かれる『首脳会議』だからな…!各国の王族たちがこの国に集う盛大な式典だ…!この日の為だけに、各国から大勢の民人が見物しに来るくらいだ。今日は儲かりそうだ…! 」

政府軍兵士&黒服の役人(C.P.)『ザッザッザッ…(船から城下町へと歩み行く王族たちの進路を開くべく、多くの役人が列を成して壁を作る)』 」


BGM♪



ローブの少女「…わぁ、すごい… 綺麗な人…たくさん…(港に集う大勢の見物者の群れの背後から、船から現れる面々を背伸びしながら眺めている)…みんな、何処かの国の王様やお姫様…なのかな…(小汚いローブを握りしめながら、自分とは住む世界の違う彼等に憧憬の眼差しを向けている) 」

黒い蜘蛛「(港が賑わう一方、その様子を遠くの路地裏から観察する怪しい影が二つ―――)…予定通りの時間に到着したな。 」

新次郎「………(ふーん、これが祭り、ねぇ)(政府軍の兵士として、壁を作っている) 」

黒い蝙蝠「(蜘蛛と共に不気味な笑みを浮かべている)ああ。…何せ今年は『首脳会議』開催の年だ。各国の王族や世界政府上層部どもが集い、世界が抱える大問題について討論し合い、今後の指針を決める国際会議…――――それが『首脳会議』だ。 」

黒い蜘蛛「俺たちが政府から盗んだ情報によりゃあ…今回の首脳会議には、銀の国・王妃『レイア』、トピア国・国王『ベロニカ』、火の国・22代国王『アルセニオ2世』、ポポポプノ王国・王子『ワタガシ』、機械国・国王『メーデルセン』、ディーヴ王国第一王女『キュウカ・ミリダルア』、第二王女『ディーヴ・ミリダルア』…そして、レゼリア国・国王『アルミナ・ロウ=レゼリア』および王女『サキエル・ロウ・ナイル』などなど…他にも、各国より名だたる王族が出席するようじゃねえか。(タブレットに映る名簿リストと思われる画面に視線を落とし) 」

黒い蜘蛛「過去には屈強と名高いマイテイ国やゴルドニア国も参加していたらしいが、前者は反乱軍による革命で事実上崩壊… 後者は度を越えた圧政により首脳会議への参加を拒否された。つまり、武力に秀でた参加国が少ない今、首脳どもを守護するのは政府上層部のみってことさ。…っと、みな。噂をすれば…(そう言い再び港の方へ視線を送る) 」


ゴゥンッ…ゴゥンッ…―――(豪華客船に続き、政府の軍艦が何隻か到着する)


セイン「わ、わぁ~~……マジで下っ端も召集されるんですね『首脳会議』……。土下座大安売りしそう、やべっ……も、戻しちゃいそうなんですけど誰か、誰かエチケット袋ロロろろろ(高台といった特定のポイントから隊列、及びその周囲を監視する班。その中でうだつの上がらない青年がその圧"プレッシャー"になすすべもなく敗北する)\ウワキタネー!!/\マタオマエカー!!/ 」

カタシロ「 コ ツ … コ ツ … ――――(軍艦より先に現れたのは、正義を重んじる巨大組織を統べる"元帥"――― 名を、『カタシロ』。) 」

政府軍兵士「………ちょ、落ち着いてください曹長、今からそんなんじゃどうするんすか(レジ袋をセインに差し出す) 」

ハクライ「……(続いて現れるは政府軍が誇る最大勢力"大将"のその一角―――"白虎"。新調されたかのように真新しさを醸し出す軍服をきっちりと着こなし、厳格たる表情で港へと踏み込む) 」

黒い蝙蝠「あれが…世界政府本部・元帥『カタシロ』、および世界政府本部・大将の一角『白虎』…ッ… 実物を目にしたのは初めてだぜ…(距離感を度外視したようなその圧倒的な存在感に思わず身が竦み域を呑む)… この二名に加え中将等十数名、そしてC.P.をはじめとする関連組織の参加も確定しているんだよな… 」

ヒロ「…なっかなかおもしれぇ連中ばっか現れんなぁ(船から現れる面々を見ながら呟く)俺みてぇな一般庶民とは生きてる世界が違うんだろうなぁ 」

政府軍兵士「(その頃船内…)ヴェルゴ中将…!もう目的地に到着しています!ただちに聖地への同行をお願いします…!(慌てた様子で懇願しながら) 」

ヴェルゴ「…ヴェルゴ"さん"だ。(頬に付着した食べかけのステーキではなく口元をナプキンで拭き取り、その場を後にする) 」

政府軍兵士「(おい流石に今回ばかりはまずいだろあのハンバーガー……!お前言ってこいよ!)」「(やだよ俺出世したいもん)」「(ちくわ大明神)」 」

ローブの少女「また、大きな船…今度は…政府の人…なのかな…(みんな、大きく見える…王族の人たちと、違うものを感じる…) 」

伊世「コツ……(『梟』は配置に着いた。まさかこの場においてことを動かすほど"ホシ"も暗君ではなかろうが––––––)–––––配置につけ。"撃つ"と認識した瞬間には対象を排除するよう心掛けろ(ノールックで通信を終えると傍の部下に無線を手渡し、隊列へ続く) 」

ガタル「デュフwデュフフフhwww (まさかのこのガタル様が護衛を任されることになるとはな…!俺様もついに上層部に認められたってことかもしんねえなぁ…?)まっ、どんな不届き者が現れようと、この俺様の六式体技で蹴散らしてやるわ!デュフフフフww(隊列の中で不気味に笑っている) 」

レイヴン(TOV)「……ここまで大掛かりな集会を見るのは……はて、何年ぶりかね。(民衆の中に紛れている) (CV‐竹本英史) 」

エディ「(なぁぁーんで非正規雇用まで駆り出されるんですかねって聞くまでもなく伊世何だろうなぁ……––––––)––––––– (隊列から周囲の建物、見守る住民、隊列そのものとくまなく視線を動かし肩を竦める)(幾ら何でもないっしょ、今回ばかりはいくらギガンテスでも) 」

セロ「 ブ ワ サ ッ … ―――(別艦隊から現れたのは全身白尽くめに白いシルクハットを被った糸目の男。その胸には世界政府の紋章が施されている) ンッフフ…御苦労さま。(擦れ違いざまに兵士の一人の肩を叩いていく) 」

ピカマン「(登場からコンマ1を待つ間も無く顔面あざだらけでピーポくんに連行されている) 」

政府軍兵士「は、はっ…!(今のが…最上級諜報機関――― 『 C P - 0 』(サイファーポールイージス〟ゼロ)の『セロ』さん…ッ…!なんという、存在感だ…ッ…)(飄々たる彼の表情の奥底に潜む巨大な「何か」に戦慄し、思わず全身が痙攣する) 」

ヒロ「うっへぇー、政府軍の連中かぁ…やっべ(周りを見て) 」

キュウカ「(豪華客船より優雅な足取りで現出)…はぁ…(ディーヴったら…初めて出席する会議に緊張してお腹を下すなんて…王女たる風格が問われるわ…)(やや呆れたように額に手を添える) 」

アルセニオ「シャランラー(顔のつくりは淡麗だが空虚な自信、及び過信が透けて伺える得意げで鼻につく笑みを浮かべ前上を軽く払う)–––––ご覧よロクスウェル。かつて、代々にわたってこの首脳会議で僕らがこうして大衆に迎え入れられたことがあったかい。いいやないね、偏に人徳さ。民に寄り添い、民に近しい目線で、親しみやすく絵に描いたような良き友のようなこの僕の人徳があってこそヴォルカノクスは初の首脳会議へ招かれたわけさ。そうだろうロクスウェル 」

ロクスウェル「左様でございます、全くおっしゃる通りで( 真 顔 ) 」

新次郎「………(ヴォルカノクス……あいつらが、首脳か…)(アルセニオとロクスウェルを見て) 」


カタカタカタカタカ……(豪華な馬車が一台到着する)


黒い蜘蛛「見ての通りだ。政府のあの厳重な防衛態勢を崩すことは常識的に考えて不可能。…だが、歴史上、先の加盟国どもが消えたことで、今回ほど"脆い"ものはない。 」

ヘンシェル「何をなさるのです閣下!まかりなりとも民草の面前で!いやほんと!ねぇちょっと閣下!イケメンなら許されるとかそういう世界じゃないんですからね閣下!?ねぇちょっと閣下!!(王族が列をなし歩を進めるその場において唯一床に腰を下ろしうずくまるその人物のマントを引っ張る女性が一人) 」

女性記者「……!あっ…見て!各国の王たちの最後部に、レゼリア国王女様が…! 」

ギュスターヴ「いいじゃんもったいないし。しかし大陸の民草は食に恵まれていようなヘンシェル。ちょっと今から夢の山に発掘に行かない。妾行きたい(燃えるような赤の長髪を讃え、シルクのマントに身を包むその青年、『森の国 -ヴァルトゥーラ-国王 ギュスターヴ・アーウィン』。彼は床に転がるフランクフルトの残骸などを拾い満足げに貪っていた) 」

政府軍兵士「……(バカな君主もいたもんだな)(新次郎の横でヘンシェルとギュスターヴの姿を捉える) 」

王女「 コ ツ … ――――(世間一般では「サキエル・ロウ・ナイル」の名で有名なレゼリア国・王女。錚々たる王族たちに続く様に最後に現れる) 」

黒い蝙蝠「なるほど…だからこのタイミングであの教祖様って奴を救出したってわけか… あの『サングル』って奴、なかなか抜け目がねえな。 」

アレクセイ(TOV)「―――――――――(豪華な馬車から高貴そうな姿が現れる) (CV‐小杉十郎太) 」

黒い蜘蛛「(あれが名高いレゼリア国のお姫様か…そして、今回の「標的」…――――)(最後に現れた姫に舌舐めずりする)だからこそ、奴から任務を受け持った「俺っち」たちの責任は重大だ。この『計画』はもう既に始まっている…しくじらないように行こうぜ、相棒。ズズズ…――― 」

黒い蝙蝠「おうよ。ズズズ…――――(相方の蜘蛛と共に影に溶け込む様に消える) 」

徒紀姫「––––––カッ  パタパタ(和傘を持ち後に控える従者を連れ、煌びやかにして贅を尽くした和装に身を包む幼い童女が王族の最後部に続き)パタッ––––––(口元で仰いでいた扇子を動かす手と足取りを止め、一瞬踵を返す)––––––スコリ(”住民達”とその遥か向こうに聳える"影<蜘蛛>"の方へ妖艶にして奥ゆかしい微笑みを向け、再び列に戻った。その少女、合島国レサーティア 代表。夜舞代の帝・徒紀姫) 」

ロダム「……成程、確かに……過剰とも言えない体制の様ね(名立たる精鋭達が立ち並ぶ中、そこに佇むだけでその強さを誇示するかのように……『ロダム・クリンプ中将』が、堂々と王達の近くを歩いている) 」

ローブの少女「とても…きれい…(最後の姫君に乙女心を擽られ、興奮したように頬を赤く染める)……(なんだろう…不吉な予感… 政府の人、たくさんいる… でも…この心のざわつき…変……)(胸中に突如現れた不可思議な感覚に目を細める。その場から離れ、別ルートから王族たちと同じ方向へと走りだした) 」


そして場面は変わる―――聖国の中央にそびえ立つ荘厳たる巨城。各国の王族たちと政府上層部たちのみが入場を許可されるこの城を、多くの衛兵が取り囲んでいる。外部からの侵入は決して不可能の金城鉄壁を誇る防衛態勢であった。


ザ ッ … ! ! ! ! ! (王族たちの入場を確認された後、衛兵たちは武器を身構え防衛態勢に入る)


――― 聖城・王の間 ―――


ォ ォ ォ ォ ォ … ッ … (王の間―――輪状の席に各国の王族たちが腰を据える。彼・彼女らの背後には、護衛として政府上層部が堂々たる風格で身構えている。)


「全世界」が一堂に会する首脳会議開始時刻まで、あと―――15分。


政府軍将校「……(初めて王族直属の護衛を任されたのだろうか、緊迫した空間に圧倒され息を呑む) 」

キュウカ「……(ディーヴ…結局合流できなかったわね。他の国の方々も揃っているというのに、あの子ったら…これでは、ディーヴ王国の恥さらしとなってしまいますわ…)(あまりの居た堪れなさに思わず両手で顔面を覆う) 」

セロ「…ふむ……(あと10分ですか…)(腕時計に視線を落とす)……(しかし妙ですね。本来ならばここでセオと合流予定だったのですが。…連絡も着きませんし…―――)(糸目の瞼が薄らと開かれ、鋭い眼光が露わとなる) 」

ハクライ「……(石造の如く微動だにしないで目を瞑り、腕を束ね、仁王立ちで「その時」まで待機している) 」

徒紀姫「 パタンッ (扇子を広げ口元を覆い目を伏せ、誰かが言の葉を紡ぐその時を待つようにして沈黙を守る) 」

カタシロ「(昂然たる姿勢で王族たちに並び腰を据えている)…間もなく首脳会議開始時刻が迫る。これより我々「世界政府」以外の護衛の方々は速やかなる退出を願う。 」

王女「……(四方八方から感じる重圧に、若さ故の恐縮も感じられる。しかしその宝石の如き双眸は一国の王女としての確固たる意思が秘められている) 」

アルセニオ「パッチンッ★(指を鳴らし『よく部下を訓練している』アピールをし側に列席するロクスウェルへ合図を送る)ドヤァァァ 」

ロクスウェル「––––––(『不安しかない』)閣下、くれぐれも発言には細心の注意を(一礼をし退室) 」

執事「(カタシロの発言に深々とお辞儀をし、前方にいる王女の元へ歩み寄る) サキエル嬢、ひとつお耳に入れておきたいことがございます。(そう呟き彼女との距離を更に詰めていく…――――)―――― ガ バ ッ ! (突然の出来事だった。執事が取った行動…それは背後から王女の首へと腕を回し、そのまま強引に引き寄せたのだった) 」

王女「――――!?(突然の出来事。一瞬自分の身に何が起こったのか理解できない唖然とした表情で、その背後の執事へと困惑の視線を回そうとしている) 」

カタシロ「―――――!(執事の突拍子もない行動に目を見張る)…何の真似かね。(さも人質を取る態勢に入ったその男を厳かな目つきで睨む) 」


―――――  ザ  ッ  …  !  !  ! (その時、張り詰めていた緊張状態に更なる悪化を遂げる。世界政府最高勢力の精鋭たちが一斉に身構える。その様子に各国の王族たちは驚愕し、困惑し、または冷静に俯瞰するように、各々の視線が王女と執事に集中した)


BGM♪



レイア「何事ですか。(執事に叱責するように声を荒げ) 」

執事「…ヴァ……ヴぁれ…バ…れ…は…(壊れかけのブリキ人形のように不規則に首を動かしながら喋り出す)…ば…わ……われ…われ、ワれ、ワレ、わ…ワ…わわわワわわワ―――(不規則な動作と共に乱れる服装、荒ぶる双眸、口元からだらしなく滴る唾液…そして、定着しない口調…)――――『我々』は、この王女を頂きに来ました。(それらすべてが静止した時、そこに執事の面影は完全に消えていた。人の皮を被った『何か』は王女を人質にそのまま輪状の席のど真ん中へと移動。部屋中の者たちの視線を四方から浴びたそのものは、愉快そうに口角を上げていた) 」

ハクライ「 ピ ク … ――――(鬼の如き形相をした石像が開眼)―――それを『我々』が見逃すと思うか。(執事を視界に捉えるや否や束ねていた腕の「人差し指」を上げる) 」


―――――   ゴ     ゥ      ッ     !     !     !   (世界を牛耳る巨大組織の最大戦力。その一角が"指を上げた"だけで空間に衝撃が迸り、王の間のステンドガラスが一斉に激しく揺れ出す)

キュウカ「……!(まさか…あれは…憑依式の魔術…!?)(執事の只ならぬ姿に邪な魔術を感知したのか、王女救出のために思わず身を乗り出そうとしたその時―――)きゃっ…!(王室一帯に迸る衝撃に思わず身を伏せる) 」

アルセニオ「(この間一秒、彼の指揮がその圧に耐えられるはずもなかったと後にレッセk敷いていた王は語る) 」

カタシロ「……くれぐれも王女を傷ものにしてくれるな。(ハクライに対する"絶対的な信頼"に、行動を"許可"する) 」

アレクセイ(TOV)「ぬぅ、これは…… (キュウカの様子を横目に)…御一同、くれぐれも不用意に動かないように。(CV‐小杉十郎太) 」

ロダム「(口元の小型マイクに小声で)護衛兵全員に通達なさい、”術者を特定し、逃がすな”…と(ハクライの発する圧倒的な”圧”にも怯まず、淡々と話す) 」

ハクライ「 ス ス ス … ―――― ジ ャ キ ィ ン ッ ! ! ! (軍刀を勢いよく抜刀。揺るがない正義の眼光がその標的を確実に捉える)――――――――(音を越えた紫電が空間を迸る。瞬間的に執事との距離を詰め、明らかなる殺意を込めた一刀を振り下ろそうとするが―――) 」


ズ ァ ン ッ ―――― ズ シ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ン ッ ! ! ! ! (ハクライの紫電一閃が執事もろとも王室に炸裂したと思われた。部屋一帯に立ちこめる白煙が徐々に晴れた時、一同は更なる驚愕を覚える―――)


サングル「 グ グ グ ッ … ―――(執事とハクライ、両者の間に瞬間的に現れたのは憎悪をむき出した黒服の青年。ハクライの軍刀を足で抑え込み、彼と対峙するように睨み合う)――――邪魔をしてくれるな、「猫」が。 」


フ ォ ン ッ ―――― ス タ ン … ッ …(刹那。白煙に隠れていて視認することはできなかったが、王室の天井に歪な空間歪曲が発生している。その空間内部から更にもう一つの人影が落下。)


セールスマンの男性「ほぅ…間一髪…でしたねえ。(サングル、そして執事の元へ現れたのは…アタッシュケースを片手にスーツを着込んだ商人と思わしき男性だった)へぇ…これはこれは…初めまして、政府の皆々様方。そして王家の皆々様方。(緊迫状態の最中、悠長にも礼儀正しくと深々とお辞儀をする) 」

ハクライ「 ブ ォ ン ッ ―――(一度後退し軍刀で虚空を斬り払う)…貴様等、何者だ。(やにわに出揃った三人に、依然微動だにしない表情で対峙) 」

ヴェルゴ「ほう…あの面々…見覚えがある。(興味深そうにサングルとセールスマンを見つめ顎元を摩る。ステーキはまだ頬に付着したままだ) 」

チャオス「あれは…レサーティアの軍艦襲撃事件…および先日の大監獄襲撃事件の主犯ではないか。それにもう一人は…貴様、懸賞金18億の特S級犯罪者―――『グラムバッハ』だな?(セールスマンの男に詰め寄る) 」

政府軍兵士「おいおい、なんか中が騒がしくねぇか…?(ハクライの攻撃による音を聞き) 」

セールスマンの男性→グラムバッハ「おや、私のことをご存知で。これは恐縮千万…(ハット帽の鍔を摘まんで目深に被り、その内側で不敵な笑みを浮かべる) 」


――― "死の商人" グラムバッハ・ノーベル ―――


執事→ヴェドリー「ヴヴッ…ヴゥン…ッ…――――(執事の顔面にノイズが走り、その顔から分裂するように別の顔が姿を露わにする)ハハハ…どうも、世界のみなさん。ご機嫌麗しく… そうさ、この僕こそ――― この世で何よりも美しいヴェドリー・ギロングスさ。(王女を腕に抱いたまま、執事の身体から抜け出す。抜け殻のように倒れ伏した執事は意識を完全に失っていた) 」

カタシロ「(未だかつて一切の侵入もテロも許さなかった首脳会議の防衛策―――それを始めて、見事に出し抜かれ並々ならぬ憤りを顔面に露わにする)貴様等…何が狙いだ。(将校たちには「手を出すな」とコンタクトを送り、目の前の三人から視線を逸らさないようにしている) 」

キュウカ「……!(あれは…噂に聞く異能力者の力… なら、ここは"時を止めて"――――)(密かに詠唱準備に取り掛かろうとする) 」

セイン「う”ー……やべぇやべぇめっちゃ吐いた。あれ、なんか地震とかきてないですかこれ……お、おぉえ……?(ビクビク) 」

黒い蜘蛛→カゲッチ「―――― ッ エ ー イ ! !(キュウカの"影"から現れ、複数の肢で彼女を拘束する) 「俺っち」たちの情報収集能力を舐めないでくれよなー!お前が時を司る女神だってことも織り込み積みさ。悪いけど、一緒に来てもらうぜ~?準備はいーかーい、バリバット!? 」

黒い蝙蝠→バリバット「(更にキュウカの陰から抜け出すように現れる)おうよ、相棒。"仕掛け"はもう済んださ! 」

キュウカ「むぐぅ…っ!?(カゲッチの急襲に身動きを封じられ地面に横たわる)(ま、魔物…!一体この城にどうやって…これだけのテロリストが…!?)(下手に抵抗意思を示さず、大人しく事の成り行きに従う様に辺りを静観する)……!("仕掛け"…?……まさか――――) 」

新次郎「………(中にいるのは…相当の能力者だな)…大丈夫ですか(セインに) 」

サングル「貴様等に語ることなどない。 …行くぞ、目的は果たした。(政府の役人や他の王族たちには目もくれず、天井に開いた空間を仰瞰する) 」

ヴェドリー「そろそろ頃合いだね。(サングルに釣られる様にその異空間を見上げる) 」

グラムバッハ「それでは皆様方、御機嫌よう。(一礼をし、不気味な笑みをひとつ浮かべる) 」

カゲッチバリバット『ゲェーーヘッヘッヘッ!!(キュウカを差し押さえた二体は、そのまま彼女と共に影となって地面に溶け込む様に消え去った)』

キュウカ「んーーーッ…!(ディーヴ…貴女だけは…無事でいて―――――)(成す術もなく影に取り込まれていく) 」


ギ ュ オ ア ァ … ッ … ! ! ! (天井の空間歪曲が更に歪みを帯びていく。空間は三人と王女の姿を"分解"し、そのまま吸引し跡形もなく消滅したのだった…)


政府軍将校「…… …… ……!!…こ、これは由々しき事態だ…ッ…――――― 王女たちが誘拐されたッ!!! 」

アレクセイ(TOV)「……! あぁ……何ということだ……!(CV‐小杉十郎太) 」

セロ「……(嵐の様に過ぎ去っていった前代未聞の大事件を静かに窺っていたその時、スマートホンに連絡が入る)…セオですか。私です。何度も連絡を入れたはずですが…何が起こったのです。…… …… ……ええ… …ええ… …… ……それは、本当です?(一瞬、表情が"歪む") 」

ハクライ「スチャン…ッ…(軍刀を納め、更に研ぎ澄まされた眼光の奥に憤りを越えた感情が逆巻く) 」


―――――   ド   グ   オ   オ   オ   オ   オ   オ   オ   オ   オ   オ   ォ   ォ   ォ   ォ   ン  ッ  !  !  !  (突如、城内にて激しい衝撃が走った)


チャオス「――――ッ!?(突然の爆音とその衝撃に足元がぐらついた)何事だ…ッ!!? 」

政府軍兵士「バタンッ… ! ! !(王室に傾れ込む)ハァ…ハァ…!緊急事態です!!1階大広間にて、突如爆発が発生!!幸いにも負傷者は出ておりませんが、城を支える柱数本への被害損傷は甚大です!!崩壊の可能性があるため、みなさん速やかに脱出してください!!! 」

政府軍将校「衛兵どもを呼べ!!!王族たちの避難誘導を最優先だ!!急げェッ!!! 」

カタシロ「……(王族たちが避難を開始する最中、一人席に居座ったまま形容し難い顔つきで虚空を眺めている)……有り得ないことだ。いや、もはや有り得ないことが平然と起こる時代になったということか。 」

セロ「失礼します、元帥さん。(背後から声をかけ)…今…お取り込み中のことかと存じますが…更に一大事が重なった模様です。 」

セロ「先程、CP1から緊急の伝達がありました。……―――― 司法の島『デッドエンド』が落された、と。 」

カタシロ「―――――!!?(衝撃の告白に驚愕の色を露わにする) 」

ハクライ「…CP-0。それは真か。(背後に腕を回しセロに問いかける) 」

セロ「はい。主犯格およびその目的は不明…ですが、凡そ予想はつきます。なにせ"このタイミング"においては―――――」

カタシロ「――――― バ  ァ  ン  ッ  !  !  ! (机を思いっきり叩いて立ち上がる)……(やられた…ッ…!!"そういうこと"か…!!!) 」

カタシロ「……首脳会議に政府の最大勢力が集中することで、司法の島の防衛が手薄になる。その隙を突かれ、襲撃を許してしまったということか… …目的が読めたぞ。先の王女誘拐は"囮"だ。奴らの本当の狙いは司法の島…そしてその最下層にある『』だ…! 」

セロ「…例の『石』についての情報は、我々上層部以外には決して外部に漏れることのない超極秘情報です。決して露見されることはありません。…原因がどうであれ、それが暴かれたということは…――――超法規的措置も辞さないかと。 」

カタシロ「…我々は今、前代未聞の大問題に直面してしまった。もはや一刻の猶予もない…――――― "全勢力"を司法の島へ…!我々も直ちに現場へ向かう。 」


続き

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最終更新:2018年06月02日 18:42