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—街ー
ガヤガヤガヤガヤ…ドゴォ!(ある街、歩道の一部を封鎖する様な人だかりが出来ており、その人だかりの中央では怒号と鈍い音が響く)
肌が青い男「オラァ立てや!(人だかりの中で、一人の女性を相手に暴行を銜えている) 」
女性「す、すい、ま……せん…! 」
坊主のサラリーマン「こりゃひでぇ……ありゃ魔物じゃねーか…最近噂には聞いてたが街に本当にいやがったんだな… 」
メガネのサラリーマン「するってーと…アレか、魔王様の手下ってことかな…あぁ、あの女ターゲットにされちゃったんだな…可哀想に 」
坊主のサラリーマン「俺達が手出したら、間違いなく魔王様の逆燐に触れちまう。この街も終わっちまうからなァ…あの女の子は気の毒だが…ここは大人しくこうしてもらわねぇと… 」
肌が青い男「ヒャハハ!誰も助けてくんねーのなァ!そりゃそうか魔王がバックについてりゃこうなるわなァ!!(ついには爪が変形し、獲物を狩る為の爪となる) 」
女性「だ、だれか……誰か助けてくださいッ…!!(顔にはいくつ物を顔が出来ており、服装の繊維も一部千切れ汚れている) 」
肌の青い男「ヒャハハハ!叫んでも誰も助けにこねーよ!!ここで死んじまいなァ~~~!!!!(大きく腕を振り上げる) 」
フードを被った青年「(肌が青い男の後ろから近づき、軽く肩を叩く) 」
肌の青い男「ぉぉ?(振り上げた腕を止め、顔だけで振り向く) 」
フードを被った青年「(振り向いた男の顔面目掛け、強烈な左ストレートを打ちこむ) 」
肌の青い男「ブファッ!!(左腕が頬に埋めり込み、地面に叩き付けられるように転がり店の看板を巻き込んで倒れ込む) 」
街人「あ、あいつやりやがったで……」「すげぇかっけぇぞ…!」「あかんて…あんなん助けたら魔王様が… 」
おいコラ!うちの看板壊すんじゃねえ!(店主の怒号) 」
女性「…(ポツンと倒れ込んだままで、その光景を見ておりポカンとした表情で固まっている) 」
フードを被った青年「(吹っ飛んだ男を横目に)…大丈夫ですか、怪我は? 」
女性「だ、大丈夫です……あの―― 」
肌の青い男「テメェ…俺が誰だか分かってんのかァ~……(殴られて変形した顔のまま、爪をちらつかせて立ち上がる)テメェ~~……俺は魔王様の手下だぞ…こんな事してただで済むと思ってんじゃあねぇだろうなァ…!!!(その表情、形相は魔物のソレと全く同じ) 」
フードを被った青年「気にしないでください、大丈夫ならそれで良いので ……来い、悪党(男に向き直り、右手を突き出して構える) 」
肌の青い男→魔物「ケケケケ…いや魔王様に言うまでもねぇ……てめえ終わりだああああああああ!(爪を最大限にまで伸ばし、素早い動きで青年へと飛びかかる) 」
街人「魔物だ…!もうダメだァーー!あの爪に一本でも襲われたらきっと終わっちまう!! 」
フードを被った青年「ああ、終わりだよ(右手で爪の軌道を逸らし、魔物に距離を詰め……顔面、先程と同じ箇所に左ストレートを打ち込む) 」
魔物「ヒャッ――!!(見事なまでに拳はクリーンヒットし、飛び込んだ勢いに応じて首が一気に捻曲がり道路線に出るように倒れる) 」
街人「お、おぉ…やりやがったぜアイツ…!魔物を素手で倒しやがった!」「すげぇぜ!アイツの強さは並大抵のもんじゃねーぞ……」「だけどこれじゃ『魔王』が…… 」
フードを被った青年「何が魔王だ、悪党が……俺は英雄になる、なってやる… 」
警察官「はいどいたどいた!……こ、こりゃ……!(道路沿いで顔面崩壊した魔物を視界にいれた後、青年を注視する)君…が、やったのかい? 」
フードを被った青年「そう、俺がやりました。 ……見過ごせなかったから 」
警察官「…(周囲のガヤを聞き、少し空気に嫌気がさすような表情で青年に寄り肩に手を置く)とりあえずきてくれ…大丈夫、罪状とか、そういうんじゃあない… 」
フードを被った青年「………大体の事情は分かりますよ、俺にも 」
警察官「それじゃあそれなりの演技だ。さぁ(街人から通路を作り、青年を誘導するように歩き出す) 」
フードを被った青年「……そう、ですね(さらに深くフードを被り、警察官に着いて行く) 」
―ケイオス警察課 尋問室ー
警察官「こんな狭い部屋しかなくて申し訳ない、取調室は使われてたみたいだからね(尋問室に鍵をかけ、白いテーブルに備えてある片方の椅子に腰かける)座っていいよ 」
フードを被った青年「(警察官に軽く会釈し、椅子に座る) 」
警察官→ニック「俺は『ニック』だ。見ての通りここ(ケイオス刑事課)の者だ。さっきも言ったが捕まえる気はないからリラックスしていい…いや既にしてるか…君は? 」
フードを被った青年「ええ、今は……落ち着いてますよ、大丈夫(フードを脱ぎ)俺は…レオニールです 」
ニック「レオニールか、善い名前じゃないか……君が相手したの、まぁ見て分かると思うけど魔物……アレを素手で倒したんだよね?武道かなんか? 」
フードを被った青年→レオニール「……そんな所ですよ、怪しいかも知れませんけど……おかげで、あんな奴に負けないぐらい強くなれた 」
ニック「そっか………さっき街人の一人が言ってけど女性を助けたそうじゃあないか。それで英雄になるとかって… 」
レオニール「ああいう悪党が許せないんですよ、俺は…英雄にね、ずっと憧れてた、あんな風に、戦いたかった……今の俺には、それが出来るから 」
ニック「アレが『魔王』の手下の魔物であったとしても…かい……… 」
レオニール「…戦って見せますよ、俺一人でも 」
ニック「なんというか、若いのに渋いね君(苦笑しつつ頭を掻き、少し態度を崩す)一応、僕はこの街を護ってる義理として、一般人も護らないと行けないんだけどね、まぁ君一般人じゃないけどさ、強さが……あの魔物がやられたって事は、きっと魔王はカンカンだろう。凄く怒ると思うよ。街を破壊するかもしれない 」
レオニール「………俺の事は、気にしないでください。今は、戦える立場なんです。 ……あんな奴等に、好き勝手させない。こっちから打って出てやりますよ 」
ニック「……凄い心構えだね…(鼻で笑って立ち上がる)それじゃあ君には…この街を護る『伝説』になって貰わないとね……レオニール……魔王が何処にいるかは分からないが、笑っちまう程近くにいるかもしれない。とりあえず君とはまた今度話しがしたい…(連絡先の書かれたメモをレオニールの目の前までテーブル越しに飛ばす)打倒、魔王…そんな人この課に誰も居ないからね…… 」
レオニール「望むところですよ、俺は…俺は戦えるんですから。近くに居るのなら、話は簡単になる……だけの話ですよ(メモを受け取り)何かあったら、連絡させてもらいますよ。 俺が魔王打倒を、遂げて見せますから 」
ニック「あぁ、思わぬ人材に巡り会えて良かった…好きに帰っていいよ(尋問室の扉を開ける) 」
渡辺「おい、ニック……こんなところにいたのか…早く机仕事するぞ……(扉を開けると偶然) 」
ニック「あーごめんなさい渡辺さん!ちょっととある事件の大事な尋問があって――(渡辺と共に事務室方面の廊下を歩く) 」
レオニール「………ええ、それでは(ニックと渡辺を見送った後、とびらから出る) 」
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―西国 町外れ―
ニック「……フゥー…(折れた駐車禁止の標識の残った部分に寄りかかり、タバコを吹かしている) 」
レオニール「……どうも(ニックを見つけ、歩いてくる) 」
ニック「…どうも(レオニールの姿を確認すると、接待のような笑みを浮かべてタバコを缶の中へと放り込む)わざわざこんな所まで来て頂いてありがとうございます…しかし凄いですよね、この標識……見事なまでに折られてる(レインドVSゼウルス戦で使用された標識を見て、若干苦笑気味になるが、すぐレオニールへと視線を向ける)覚悟は元より出来ていた、という感じですね… 」
レオニール「……明らかに、普通の人間が普通の手段できるようなことじゃありませんね…… ええ、出来てますよ。最初から 」
ニック「…よし、じゃあ早速、行こうか…(砕けた口調へと代わり、フッと笑って経路を歩きだす)以前、君が倒した魔王の手下。まぁその手下からの内通を貰った。この待ち合わせ場所からすぐ歩いた所に案外あったみたいなんだ…”魔王の城”が… 」
レオニール「内通……意外と簡単に漏らしたんですね……それもそんな近くに 」
ニック「その手に通ずるというか…拷問の天才が俺の『先輩』にいたからね…表向きには見えないが、非情に立派な城らしい……(生い茂る森の中へと入りこんでいき、青い警察服が汚れ始める)俺は戦闘手段が殆どないから、牽制程度だけどさ、レオニールのあの武術があればどんなモンスターでもイチコロだよな(ハハハと笑いながら) 」
レオニール「近場とはいえ、隠れてはいるわけですか……なるほど、見つからない訳だ… そう、かもしれませんね… 」
ニック「頼りにしてるよ……(耳に当てた無線機に手を添え、一旦立ち止まって茂みに身を潜める)…なぁ、レオニール。君はドラクエとか、そういうゲームはやった事あるかな? 」
レオニール「……昔、少しだけ。どうしました?(ニックの横で身を隠す) 」
ニック「魔王の城に行く為には幾つかの試練が必ずあった……この世界でもそれが適用されているんだね…ま、単純な話ーー 」
ジークフリートド「……(森の中でも、拓けた場所で斧を地面に突き刺し、柄に両手を置く形で仁王立ちをして戦士は待っている) 」
ニック「門番を倒せば魔王に会えるって事(ジークの姿を見つめ、冷や汗を含んだ苦笑い)行けるかい? 」
レオニール「……やってみます、隠れてて下さい(茂みから出、戦士の前に立つ) 」
ジークフリード「 其方が冒険者…(態勢はそのままで、兜越しにエコーのように響く声を唸らせる)魔王の逆らい、尚も戦いを求むか…(斧を抜き、土をバラまきながらもその見て分かる程の重さの斧を軽々と掲げる)問う!何故魔王に逆らう 」
レオニール「……望むさ、戦う為にこ来たんだ(静かな怒気を放ち、口を開く)平気で人を傷付ける様な奴等が、許せないからだ……お前達の様な連中が……!(脚を開き、静かに左手を突き出し、構えを取るを) 」
ジークフリード「 それが其方の正義か……皇帝と闘う資格有りッ!(斧を一振りし、周囲の空を断斬)行くぞ冒険者ァ!!(その巨体に似合わず、送球を追うような勢いでレオニールへと駆けていき)スラッシュブレードッ!(水を帯びた斧による縦の斬撃を繰り出す) 」
レオニール「あの斧……空を切っ…ッ!(身を捻って斬撃を躱しつつ、ステップで側面に回り込み…右ストレートで戦士を狙う) 」
ジークフリード「 ドンッ!(右ストレートは胴へと直撃するものの、厚い武装で囲まれた体は拳による攻撃の衝撃を吸収)ブォン!(攻撃を仕掛けて来たレオニールに間を置いてから斧の峰で薙ぎ払う) 」
レオニール「ただ殴っても鎧は通せないか…!(即座に構えを直し、柄の部分に左の拳を叩き付け、圧し折りにかかる) 」
ジークフリード「回避に転じぬとは…ッ!(斧はへし折れ、使い物にならなくなった柄を捨てる)その体でこの鎧を貫けるか、冒険者…貴様の正義を見せてみろ!(握り拳を造り、両腕でレオニールの頭部と腹部を左右から殴りぬけるように振るう) 」
レオニール「(勝った……これで武器は…!?)があっ!(油断した所に拳での攻撃を喰らい、のけぞりながらも距離を取る)……なるほど、素手でも戦えるのか… 」
ジークフリード「”キングアワりんのエンハンス” 私のこの拳は本来の三倍の力を持つ、其方の骨共砕こうぞッ!(青いオーラが渦巻きだし、精神統一)行くぞォ!(レオニールへと闘牛が如く勢いで駆け抜け、鎧越しに肥大した腕を顔面目がけ振り抜く) 」
レオニール「小細工出来る相手じゃない……乗ってやる……正面からぶち抜いてやる(右手に碧い筋が入り、微かに煙を放つ)三倍がどうした、お前に勝てずに……後ろの連中に勝てるか…!(大きく振り被り、振り上げられた拳に右ストレートを叩き込む) 」
ジークフリード「 正面からの戦いに挑むその勇姿は褒め称えよう!いざァ!!(拳が重なり、腕部位の鎧の部分が砕け散る)な、なにっ!?私の鎧がーー 」
レオニール「(左手で露出した腕部分を掴み、捻り上げる)もう一発くれてやる……悪党が…!(逃げられない状態となった戦士の顎先を狙い、アッパーカットを打ち込む) 」
ジークフリード「 ――ドンッ!(アッパーカットは鎧共、顎を砕き、巨体は宙に浮いて戦場のど真ん中に岩盤をつくる勢いで崩れ落ちる) 」
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―KILL LIFE Ⅲ LEONEIL 3―
ニック「魔王の城っていうのは俺のイメージだと、断崖絶壁にあるものだと思ったけど……どうやらそんな事ないみたいだな。さっき倒した戦士(ジークフリード)の示す通りだ。明らかにそれらしい城がある…(森の木々を抜け、開けた平地に立つ) 」
レオニールの前にそびえ立つ城は、文字通り魔王の住む城そのものが森の中央に建設されていた
レオニール「分かりやすい場所にわかりやすく建ってるって事ですか、らしくもない… 」
ニック「まるで「かかってこい」って言わんばかりの立ち方だ…裏門とか、そういうのはないだろうね…それに…… 」
ベルゼブブ「 ひぃふぅみぃよぉ……イッヒヒヒ!(魔界の紙幣の枚数を数えながら、魔王の城の門の前で悪魔らしい口角を全快にあげた笑顔で「誰かをまっている」) 」
ニック「…レオニール、行けるか?あれはさっきの皇帝戦士とは違う…本物の悪魔だぞ…(ピストルの弾倉を確認すると、レオニールに不安気な視線を送る) 」
レオニール「……行けます、最悪援護があれば (ニックに告げ、悪魔の前に立つ) 」
ニック「ずいぶんと気の強いこと…(アハハと苦笑をすると、スライドして待機) 」
ベルゼブブ「 よぉ、待ってたぜ~…(目の前に立つレオニールに視線は向けず、紙幣を何処かへとしまい込む)…お前か、ジークちゃんぶっ倒した拳自慢って奴はよ… 」
レオニール「そうだよ、次はお前だな(悪魔に向かい、距離を詰めて行く) 」
ベルゼブブ「 ヒヒヒ…そう焦るなよ…(紫の仮面に手を添え、軽く笑む)あんた……ヴァンちゃん…魔王様が悪だって、そういいてぇんだろ? 」
レオニール「違うのか? ……少なくともお前らはそうだろうが 」
ベルゼブブ「ヒヒヒ!!否定する方が野暮だよなァァァ~~~!!だったらテメェは正義って訳だ!!気に入ったぜヒャッハァ!弱くて媚びる奴ぶちのめすよりも、てめぇみたいなぶっらきぼうで真っすぐな野郎ぶちのめす方が何億倍も面白ェ!!!!手加減はなしだ!全力でぶっつぶしてやるぜヒャッハァァァァアアア!!!(闇の波動が高まり、レオニールめがけ猪突に突っ込んでいく) 」
レオニール「うおっ、避け……!?(右ストレートを避けられた事で反応が遅れ、ベルゼブブのタックルをまともに喰らう) 」
ベルゼブブ「 オラオラオラァ!(隙の出来たレオニールに連続で爪による斬撃を数度繰り返し、締めに回転蹴りを首筋にかます)どうしたどうしたァ~~!ジークちゃん倒したその腕を見せてみろよ人間! 」
レオニール「ぐうっ…(後退し、腕部分を受け流しつつ爪攻撃を回避するが、回転蹴りを避けきれずに喰らう)があっ…! 」
ベルゼブブ「 『くらいやがれっ!』(攻撃を休めることなく、レオニール目がけ重力を利用した爪による切り裂きを試みる) 」
ニック「ダンッ!(陰から一発、ベルゼブブのマスクに凶弾をぶち当てる)レオニール!反撃しろ!! 」
ベルゼブブ「 ドッハァ!!(マスクに球があたり、笑みは変わらないが体全体の隙が微かにできる) 」
レオニール「(ニックに呼応し、即座に体勢を立て直してベルゼブブとほぼ密着する程…ゼロ距離まで前進)この距離なら…!(ベルゼブブの顎目掛けショートアッパーを放つ) 」
ベルゼブブ「 いぃッ!?ガッ!!(ショートアッパーが顎を砕く勢いで炸裂し、マスクに皹が入ると同時に後方に3回転しながら仰向けに落下)カ、カッハァ…て、テンメ……ッ!(紫の血を吐きながら、相変わらずの口角でゆっくりと立ち上がる)本当に人間か…なんだよその馬鹿力……ッ!! 」
レオニール「(吹っ飛んだ所を追い掛け、立ち上がった瞬間に右ストレートを放つ)……たまたま強くなっただけの、人間だよ 」
グシャァ!!(見るに耐えない顔の形となり、そのまま錐揉み回転しながら門の目の前に放り捨てられる) 」
ニック「ヒュー…すげぇや…(髪を掻き上げ、レオニールの側に寄る)怪我ないかい?奴の爪、かなり鋭かったが……いや、心配するのは……あっちの方だったか(大の字になったベルゼブブを遠目で確認して、一つため息)…次は場内か… 」
レオニール「……なんとか、避けきれました…危ない所でしたけど… ええ、次は中です 」
ニック「サクサクいこうサクサク!今の君の拳を見る限り、負けなんて字、全然感じないからね(ニッと笑むと、城門をあける)…行こうか、レオニール! 」
レオニール「……(右手を見)ええ、どんどん進んで、早くケリを付けましょう 」
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