ヤンデレの妹に死ぬほど愛されて夜も眠れない隊長

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兄さん、まだ起きているでしょうか?
……すみません、兄さん。こんな時間に。
どうしても外せない用事がありまして、兄さんの補佐にあまり付けず……

「気にするな、アリシア。私は大丈夫だ」

いえ、気にしますとも。私と兄さんは一心同体、二人で一つでありますから。
常に通信だけ繋げておくというのも考えましたが、兄さんの相手を片手間でするというのも……失礼ですし、私もそんなことしたくありません……
大丈夫です兄さん、明日からはしっかり兄さんのサポートに付きますから。
兄さんのことが嫌いになっただとか、そういうことは一切ございませんよ。本当ですよ?
どちらかと言いますと……フフ、いえ、その、なんでもありませんよ。
ああ、そうだ。今日兄さんに渡した新ガジェットはどうでしたか?
既存の武装やデバイスと組み合わせての運用を想定していましたが……

「ああ。中々よく動いた。変な使い方もしたが……便利だったよ」

はい。想定通り動作したようで何よりです。便利でしたか?それは良かった。私としても一安心です。

「お前は会社の経営や管理だけでも仕事をしているんだ。細かいことは私に任せてもいいんだぞ?」

……いえいえ、そんなことは気にしなくてもよろしいのですよ。家族なのですから…ね?
それに私たちは一心同体。貴方のサポートをするのは私の義務であり、使命ですから……
兄さんがいつも私を支えてくれる分、私も頑張らねばならないと思いまして。ね?

……ところで兄さん。今回本社に帰投した際、現地で補修してきたようですが……
その際破損箇所を覆っていたこの布は誰のものでしょうか?
ああいえ、付着している皮膚情報で分かりますよ。プラチサイアのモノですね。
大丈夫ですか?怪我は。

「ああ。ああ見えて機械弄りもやれるタイプだ。魔術的処置も踏まえて処置してもらった」

良かった。プラチサイアは隊長陣の中でも優秀な方ですからね。大した傷ではなくて良かったです。

……兄さんの循環液が付着している。後でここだけ切り取って保管しましょう。何かの間違いで流出してはいけませんから、いけません……

「……? どうした?アリシア」

……ああいえ、なんでもありませんよ。独り言です。本当にただの独り言。

そういえば兄さん、最近は私と過ごす時間が少なくなっていますね。
お互い忙しいのもありますが……

「ああ、私は最近機構制御部隊-γの面倒を見ていてな……お前と一緒にいてやれない、駄目なお兄ちゃんだな、私は」

ほう、機構制御部隊-γの面倒を……ああ、機構部隊-γというより、エリィ・スピリアでしょう?

「ん、まあ…‥そうなるな」

……アレの面倒を見るなんて、大変ですね。一応あの熱意を見て隊長職を任せてはいますが……正直言って力不足ですよ、彼女は。一般隊員の方がまだ……兄さんがわざわざアレの相手をする必要なんかありませんよ、兄さん?

「だが……私は隊長だから……」

……兄さん。昔は、本当に昔は私と兄さん二人で物事を進め……暇な時は私の話を聞いたり、遊んだりしてくださいましたね……
ですが今はあまり聞いてくれませんし、遊ぶこともなくなりました……
最近はアッシェや滅といった仲のいい隊長陣と連んで……

……あんな人たち、どうせ兄さんの何も分かっていないんですから!!!
兄さんのことを世界で一番理解しているのは私です!!!他の誰でもない、私です!!!

「……アリ……シア……その……」

……ああ、すみません。
つい怒鳴ってしまいました。私らしくもない。
兄さんがそういうところ鈍くて大雑把なのは私が一番理解しているのに。
ところで兄さん、今回私がサポートしていない間、簡易メンテナンスは誰に?

「ん、ああ。自分で、やったよ」

自分で?そうですか。兄さんは優秀ですからね。
……でも嘘は下手ですね。修理ついでにプラチサイアや先央にやらせたのでしょう。
カリスタやアッシェの匂いもしますよ。
嘘つき。
何故ですか。
何故そんな嘘をつくんですか、兄さん。
私以外に身体を許した上に、何故それを隠すんですか。
そうですか。やっぱり彼女らに。兄さんの身体を。あぁ、それは良かったですねぇ!!

「……待て、アリシア。彼女らには手伝ってもらっただけで……」

兄さんは強く、優しく……ですが何処か大雑把で鈍く、流されやすいことは理解していました。しかし兄さんは私の兄ですから。決して裏切らない。そう思っていました。だって私の兄なのですから。
……それが、それなのに、私に隠し事を、私以外に身体を許したことを、素直に言ってくれなかった、兄さんが、私に!!!
理解できません、私と兄さんの関係だというのに、兄さんには私がいるというのに!!
やはり奴らのせいなのですね。兄さんは優しくて面倒見がいいから、部下だからって、優しくされてたらつけ上がって……結局は赤の他人なのに……!!
あんなのに私の兄さんを渡すわけにはいきません。例え霊にでも何にでもなって出てきたとしても、いくらでも対処法を見出して始末してしまえばいいだけです。

「……おい、アリシア……その台詞、どういう意味だ……」

はい?どういう意味って……そのままの意味ですよ、兄さん。
貴方に擦り寄ってくる卑しい女はもう皆この世にはいません。
エリィ・スピリア、アレはそもそも無能ですから元々必要ありません。先央とプラチサイアの能力は貴重でしたが、私がいれば問題なし。替えの効く人材です。カリスタは戦闘能力だけ残っていればいいので、肉体だけ残して自我は引き裂きました。あのレベルの戦力を失うのは流石に厳しいですからね。
ご安心ください、兄さんにも同性のご友人は必要でしょう、そちらは残していますよ。

「どういうことだ、アリシア!何故……!!……奴らは、私の大切な部下で……」

ええ、まあ、はい。
奴らの始末で忙しくて、兄さんを相手にする時間が削れてしまったのは本末転倒ですが……
何故って……彼女らは不要だからです。今までは見逃していましたが……
改めて、兄さんのパフォーマンスを低下させるものだと認識したので、「解雇」したまでです。
兄さんを守れるのは私だけ。兄さんは私だけを信じていれば良いのです。それが最高の幸せなのですから。兄さんもそれは理解しているはずですが?私は何も間違わないことを。

「……いや、今のお前は間違っている。どうしたんだアリシア、何か故障したのか、悪いところでも?お前は今絶対におかしい……!!大丈夫だ、お兄ちゃんが今助け……」

……何故。
何故そんなことを言うのですか?
兄さんは、兄さんはそんなことを言いません。
私を否定するようなことは絶対に言いません。
そんなの兄さんじゃありません!!!!

アリシア……!?」

ああ、分かりました。
奴らがメンテナンスの時兄さんを……
兄さんをおかしくして……!!
大丈夫ですよ、兄さん。
今、戻して差し上げますから……

「やめろ、アリシア。どうしたんだ……いや、何も言わなくていい……私が、兄さんが、お兄ちゃんが、今からお前を直して、治して………」




プツン

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最終更新:2023年10月22日 02:49