レインド「進撃の巨人」

キルライフ後のお話

レインドが進撃の巨人の世界にいます


―850―

教官「心臓を捧げよ!!本日諸君らは「訓練兵」を卒業する」

教官「その中でも最も訓練成績が良かった者を述べる」

首席 ミカサ・アッカーマン

2番 ライナー・ブラウン

3番 ベルトルト・フーバー

4番 アニ・レオンハート

5番 エレン・イェーガー

6番 ジャン・キルシュタイン

7番 マルコ・ボット

8番 コニー・スプリンガー

9番 サシャ・ブラウス

10番 クリスタ・レンズ

教官「――に加え、特別訓練卒業生1名がいる。名を挙げられたら前へ」



特別兵 レイ・ローゼ



教官「以上11名」



レインド「……」ザッザ

レインド「(ついにここまで来た。今度は俺達が……俺達が巨人共をぶち殺す番だ)」





― 夕 食 ―


ガヤガヤガヤ……

エレン「分かってはいたけど、やっぱりミカサ達には勝てないか…」

アルミン「それでも上位5番内には入り込んでるんだ。凄いよエレン!」

エレン「ありがとなアルミン。そうだな、この成績で調査兵団に入れば、俺も前線で巨人共を駆逐できるようになる」

アルミン「エレンの頭の中って巨人と外の世界ばっかりだよね」

ハハハハ

エレン「そうだレインド、お前はどうするんだよ?」

レインド「…何が?」

エレン「特別兵って事は10番内と同じ待遇を得られるんじゃないのか、憲兵団に入る事だって出来そうじゃん」

アルミン「そうだよね、レインドの成績なら首席は確実だし、頭も回るから政党に混じった方がいいかもしれない」

レインド「座学はお前が一番だろうアルミン。それに特別兵ってのは既に配属は決まってるんだよ」

エレン「え?そうなのか。じゃあ何処なんだよ」

レインド「調査兵団だ」

エレン「本当か!?じゃあ俺と同じじゃないか。いやぁ、頼もしい同期が居てくれて良かった!」

ジャン「ほー、死に急ぎ野郎はもう一人居るって訳か、コイツは笑えるな」

エレン「なっ! ……ジャン、今のは俺達の事か」

ジャン「他に誰が居るってんだよエレン……憲兵団はともかく、駐屯兵団の選択権すらない特別兵に志願してんだぞそいつは」

エレン「ジャン、お前――」キリキリ

レインド「やめろエレン、ジャンの言う事は「ある意味」じゃ最もだ」

アルミン「よ、呼んだ?」

レインド「」

ジャン「……なんだ、その自分はある意味の類いに入ってないっつー言い方」

レインド「俺はお前の内地へ行きたいという目的が普通だと思ってるって事だよ、ごちそうさん」ガタッ

スタスタスタ…

エレン「お、おいレインド!ちょっと待てって!レインド!」

ザワザワ

ジャン「いけすかねぇ野郎だな…ところでマルコ、お前はどうすんだ?」



その後、食堂からはジャンの挑発に見事に乗ったエレンが調査兵団になる為の意気込みを論し、一部の訓練兵の闘気を実らせたようだった




―トロスト区 超大型巨人襲撃後―

ズバッ!ズドォォォォン…

レインド「刀一本で6体、上出来だろ…立体起動のガスもまだ余裕はありそうだ」スタッ

レインド「前衛部隊は総崩れ、特別兵の俺の周りを囲んでいた上官共は戦闘継続不可能……単騎で挑むにしても数が多すぎるだろ」

レインド「…ちっ、前衛部隊の援護につかないと…仲間を死なせる訳には行かない」バシュ

シュイーンシュイーン

奇行種「……」キョロキョロ

レインド「前方に巨人一体――ん!?」

奇行種「!!」バッ!ドォッ!

レインド「ありゃ奇行種か!?建物につっこみやが――!!」

トーマス「うっ……うっ……!」ミシミシ

エレン「ト、トーマス!!」

トーマス「うわぁ……クソ……!」

シュバッ!キュルルル

レインド「フンッ!」ズシャァ!

エレン「…レ、レインドが巨人を!」

レインド「おいトーマス、無事か!?」キュルルルル、カタッ

トーマス「あ、あ、あぁぁ…あぁぁぁぁ……」ドサッ

エレン「レインド、ありがとう。お前が居なかったら今頃トーマスは……」

レインド「当然の事をしたまでだ。トーマスは負傷者か……誰か連れてってやれ。俺は前衛の援護をしてくる」バシュ

エレン「お、おいレインド!待てよ!お、お前ら、トーマスを頼んだ!」チャキ

アルミン「あ、待って!エレン!斑行動が基準だ!勝手に動いたら危険だよ!」

エレン「でも、前衛は総崩れだ!アイツが加わったところで——」

アルミン「彼なら……彼ならきっと大丈夫だよ」

――――

レインド「レイ・ローゼ、前衛の援護に加わります!」シュタ

前衛兵A「話に聞いてた特別兵か!貴様、立体起動と討伐数の成績は!」

レインド「立体起動は首席、討伐数7、補佐無し」

前衛兵B「初陣でその成績か、こいつは調査兵団が喜ぶ人材じゃねぇか……」

前衛兵A「ローゼ、見ての通り前衛斑は壊滅、生き残りは目視できるもので15前後だ!貴様は俺達と中央で巨人を迎撃しろ、討伐出来れば討伐だ。無理なら足を切れ、お前なら出来るはずだろう。行くぞ」

レインド「ハッ!」バシュ

————

バシュ!ズダーーーン

レインド「くそ、もう一本鈍らになったか…!」ガシャン

前衛兵A「あの新人、一人で何体やった……」

前衛兵B「俺達が協力して倒すよりも、アイツの攻撃の方が速い…」

前衛兵A「希望が見えてきたな、俺達の生きる希望が、人類の希望が……」

前衛兵B「そんな事口にしてる場合じゃないぜ、後方から7m級一体!ローゼに近づけさせんなよ!」

前衛兵A「了解!」

レインド「(後方は先輩方がカバーしている…彼らが死なない限り、後ろは比較的安全だ)」チャキ

巨人「ズンズンズン」

レインド「気持ち悪い体つきだな本当……何を食ったらそんなにでかくなれる?」バッ

アンカーを住宅街に並ぶ煙突に刺し、立体起動で身体を浮かせ巨人の後ろに回り込む

レインド「ふんっ!」ズシャァアア

レインド「おらぁ!でりゃああああああああ!!!」ズバズバ、ズシャアア

レインド「よし…一気に捉えた」スタ

ゴーンゴーン…ゴーン

前衛兵A「住民の避難が完了したようだ、ローゼ、退却だ!」

レインド「はい!」

前衛兵B「これで何もなけりゃ酒にありつけ————まじかよ…」

巨人達「ズーンズーンズーン」

前衛兵A「どうやら前衛兵は俺達だけのようだな……巨人が集中して逃げられないぞ」

レインド「……俺が逃げ道を作ります。お二人はそこを——」

前衛兵A「まてローゼ、その役は俺達が引き受ける」

レインド「!? し、しかし」

前衛兵B「お前先輩に立てつく気かぁ?」

前衛兵B「俺達前衛兵は住民だけじゃない、後衛や中衛が退却出来る様に奮闘することが目的だ」

前衛兵A「前衛での生き残りは我々のみだ。貴様は含まれていない。これだけの数、一人が突破した方が都合がいい。避難しろ」

レインド「しかし!!」

前衛兵A「貴様は人類の希望だ。何、俺達も死ぬつもりはない。ただ少し、お前の奮闘を見て巨人を相手にしてみたいだけだ」

前衛兵B「先輩の俺達がお前に負けてちゃ、お話にならないっての。それに、あの壁の中にお前を待っている人間がいるだろ。」

前衛兵B「調査兵団も、お前を必要としてんだ。こんなところで死ぬ人材じゃないだろ」

レインド「……」

前衛兵A「安心しろ、俺達はローゼ程とは言わないが、堅い壁だ。巨人をここから先に行かせん」チャキリ

前衛斑B「覚えておけ、先輩っってのは後輩の前で見え張りたいもんなんだよ!」ジャキン

レインド「——ッッ!!前衛斑の健闘を祈ります!!!!」バシュ

前衛兵A「……さて、ついに二人だな」

前衛兵B「お前は嘘をつくのが下手だよな。何が死ぬつもりなんてねぇだよ。笑えねーっての」

前衛兵A「何体居る?」

前衛兵B「ざっと…数えるのも嫌になるな」

前衛兵A「そうか」

前衛兵B「ま、それでも、俺達はここで足止めしないとな」

前衛兵A「あぁ……俺達の希望の為にな」

巨人「ズン!ズン!ズズズン!」

————

レインド「巨人が前衛部位に集中している…………ありがとうございます、先輩……ん?」

男兵士「あーもう終わりだ終わり…」

レインド「どうした、何故地べたにいる」シュタ

男兵士「……ガス欠しちまったよ……俺とコイツ……」

女兵士「うっ…ひっく……」

レインド「補給塔へは行かないのか?」

男兵士「ここからは遠すぎる、走って着く頃には巨人共が寄って来て、俺達はどうせ死ぬんだ」

レインド「…ガスがあれば余裕は生まれるんだよな?」

男兵士「だろうな、もうないからどうしようもねーだろ」

ガシャンガシャン、キー

男兵士「…何してんだお前?」

レインド「俺のガスだ。使え」

男兵士「は!?何言ってんだ頭可笑しいんじゃねぇの!?」

レインド「いいから使えよ、元々俺には立体起動なんざ必要ないんだ」ガシャガシャ

男兵士「おま…何人の立体起動勝手に——」

レインド「もうこれで動けんだろ。補給塔までは余裕であるはずだ。そこの女連れてさっさと補給するんだ」

男兵士「……アンタ特別兵だな……なんだよいきなり」

レインド「時間がないんだろ、詮索は壁の中だ。会えたならな」タッタッタッタ

男兵士「ちょ! くっ、おい女ぁ!しっかり掴まれ、いくぞ!」



レインド「先輩はまだ前衛で戦っているだろうか…その意思を俺は護らなくちゃならない……」

巨人「ズンズン」

レインド「…巨人が此処にいる…か……ありがとうございます…前衛斑」

レインド「ここからは俺に御任せください」

レインド「俺は少なからずどんな壁よりも堅く、強い。貴方達が護ろうとしているこの後ろの世界の」

レインド「ウォール・ローゼになってやるよ」チャキリ

————

その後、前衛斑、レインド含むごく一部の中衛斑以外の兵士や住民は犠牲を出さずに避難が完了した

レインドはトロスト区の中央で二本の刃で幾多もの巨人を相手に奮闘し続け

刃が無くなれば拳で巨人に立ち向かい、人間とは思えない身体能力を発揮し、巨人のうなじを次々と素手で玉砕していったらしい

レインドはとても僕らと同じ人間ではない程の強さがあった。

そして、その力で僕たちを護ってくれた。彼があそこで戦ってくれなかったら

補給塔に巨人が入って僕たちはとてもじゃないが壁を越えることは出来なかったからだ。

彼は大量の巨人に囲まれた後、姿を消した。

あれだけの巨人を相手に、死んでしまったのかもしれない。

でも、それでも彼の起こした行動は、僕たち人類にとって希望となり、戦う覚悟を与えてくれた。

トロスト区は最早奪還出来ない。訓練兵は皆そのまま内地へと移動したが、壁の上でじっと光景を見ていた人物は覚えているだろう

大きな岩の破片がひとりでに動きだし、壁を塞いだ所を

レインドが起こした奇跡なんじゃないかって——

————

1ヶ月後

エレン「アルミン、行こうぜ」

アルミン「あ、あぁ。分かったよ」


僕たちは信じている


彼が


エレン「やっぱり相変わらず、見栄えがいいなこの銅像」

アルミン「そうだね」

彼こそが

アルミン「ね、レインド

僕らのウォール・ローゼなんだと

—Fin—

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最終更新:2024年04月11日 01:19