―幻影の巨塔 80層―
エリノラ一行が5層にてノートと対峙していた頃
80層ではまた別の組織が攻略を試みていた
「波動拳!」
「ぐはっ!!」
『CANIS』
シベリアンハスキー「やるじゃねぇかシバ」
シバ「強い奴と会い、その分強くなる。愚直に闘っているだけだ!」
ゴールデンレトリバー「相変わらず熱いな格闘家。な、ハスキーの旦那」
シベリアンハスキー「レトリバー保安官にはもうちっと熱くなってもらいてぇんだがな…」
それぞれの犬種が共に武器(拳)を交え共闘する組織
今まさにそこにいるのは
柴、シベリアンハスキー、ゴールデンレトリバー
シュナウザー「困った、困ったぁ……序層から常々感じてはいたがやはり光粒子となり物理的に消えてしまうこのシステムには実に困る」
シュナウザー「ワシの研究材料として十分な素質を持った輩が手にすら出来ずに消えるなど…嗚呼、嘆かわしくも神秘的!!」
ボーダー・コリー「博士ならその粒子すらも物質化できるさ。その賢い髭面がなんの為にあるのかよく考えようぜ」
シュナウザー「FOO!!これは体毛であるぞボーダー、仕方有るまい…」
シュナウザー「ドーベルマン、実験体としての依頼を請け持ってくれまいか」
ドーベルマン「悪いが依頼は選ばせてもらう」
三種だけではない。多数の犬種が集い、強力且つ厖大な力を持った”変わり者組織”
そのような組織が今、幻影の巨塔にて強敵と戦い続けていた。
―エントランス―
休憩風景
シバ「しかしここまでくると挙って強敵揃いだ……俺達の力を持ってしても苦戦するとはな。それでこそ鍛えがいのある幻影の巨塔だ」
シベリアンハスキー「強敵に会えて嬉しいってか?根っからの武道家ってのは分からねぇもんだな」
ゴールデンレトリバー「それを言うなら旦那だってそうでしょ。強弱関係なしに銃器ぶっ放すのが好きじゃないですか。火薬臭くって困っちゃいますよ本当」
シベリアンハスキー「保安官……テメーだって拳銃使ってんじゃねーかよ」
ゴールデンレトリバー「まぁそれ言うならさ、アッチにいってくれませんかね?」
キスケン「治安を乱すものは本官が射殺する!射殺!!!」
ゴールデンレトリバー「物騒なオマワリさんだろ?」
シベリアンハスキー「あれで居て俺達の味方とか本当に信じらんねぇよ……」
シバ「だが目指すべき位置は俺達と同じだ。最後まで共に戦い合える味方だろう」
シベリアンハスキー「いや、まぁそうなんだけどな武道家……マフィアの俺が言うのも変なんだが、あいつ背後から撃って来そうで集中できねぇんだよ。つか撃って来たじゃねーか」
ボーダー・コリー「ハスキーは案外臆病なんだな。形相とか雰囲気からして命惜しまず戦う感じだったんだが」
シベリアンハスキー「そいつはただの印象(イメージ)だろうが……まぁこの巨塔に関しちゃ、やられたってまた戻ってくる訳だしな。暫くは猪武者の如く戦陣きってやるさ」
ゴールデンレトリバー「頼りになりますね〜、旦那」
シュナウザー「FOO…」
シバ「——ッ!!」ミミピーン
ボーダー・コリー「どうしたシバ、飼い主でも見つけたか?」
シバ「いや……違和感、何か嫌な動きが感じられた」
ボーダー・コリー「へぇ、日本種は凄いな……巨塔に何か異変でも起こってるってか」
シバ「分からない。ただ、何かが俺達よりも先に行った。それも瞬間的に……」
シベリアンハスキー「そいつは気にくわねぇな。ならさっさと次の層も攻略しちまおう。今回の配はどうするよ。俺が行くなら自由陣形で行くぞ」
ゴールデンレトリバー「さっすが〜、シベリアンハスキーの旦那。自立性高すぎやしませんか?」
シバ「行きたい奴で行く。それで自由に戦えばいいだろう」
ボーダー・コリー「案外大胆っつーか、難しく考えないでいいな。ドーベルマン、今回の依頼も選ぶのか」
ドーベルマン「フッ、選ぶさ。選ぶからこそ私も行こう」
シバ「決まりだな。よし!行くぞ皆!」
ザッザッザ…
ビーグル「……」
ビーグル「……さてさて、俺達も行かないとね、ウッドストック」
これは、犬の形をした戦士の
僅かな隙間録である
最終更新:2019年05月12日 20:38