Judgement Of Kings 過去ログ5

―――青の国・街外れの橋―――


ナナ「♪~(背後に手を組んだまま夜の閑散とした橋の真ん中を歩いている。両手には紙袋が握られており、鼻歌を歌いながら、時折天に浮かぶ月を仰ぐ) 」

李劉冥「呵呵、白の国の・・・"女王"殿であったかな?(ヒュッとブラックコーヒーの缶をゴミ箱に捨て) 」

ナナ「ス…(李劉冥の声に反応し歩みを止める)……?……?? (「私のこと?」と言いたげそうに小首を傾げ、不思議そうに李劉冥を見る) 」

李劉冥「ん、そうだが・・・・?・・・・いや、人違いならすまぬ。気を悪くせんでくれ。 」

ナナ「…? ううん、いいよー。(はははと苦笑しながら)女王様かぁ~… えへへ、なんか嬉しいな。そう呼ばれるのは女の子の夢だもの。(ちょっぴり満足げに笑みを零す)…でも私にはなれないよ。だって、私、学生だもん。(優しいよ風で学生服のスカートが靡く) 」

李劉冥「(学生、・・・な)そうか・・・お主はここの国のものか?であるのなら、こんな時間に一人で出歩くなぞ、不用心ではあるな。 」

ナナ「うーうん、違うよ。私他所から来たの。 へえ、心配してくれるんだあ。でも…お兄さんも、ここの人じゃあ、ないよね…?(ふふふと悪戯っぽい笑みを浮かべ) 」

李劉冥「うむ、ただの観光客よ。最近は戦争続きでゆったりすることもなかった。職場に申請し、こうしてバカンスを楽しんでおるというわけじゃよ。 」

ナナ「へえ!お兄さん、兵士の方なんですか!?(わあと驚いてずいと近寄る)戦争…うん、確かに現在の世界は、争い事が絶えないね… お兄さんも、戦場で人を殺したこと…あるの…?(恐る恐る問いかけ) 」

李劉冥「――――どう見える?(あえて質問を質問で) 」

ナナ「えっ…? …んー……(眼帯で覆われた片目ではないもう一つの目でまじまじと見つめる) んー…わかんない。あ、でも…―――――なんだか血の臭いがする。 …やっぱ気のせいかな。(たははと苦笑して) 」

李劉冥「呵呵、仕方あるまいさ。兵士だものな。とはいっても儂の専門は年々デスクワークになっていっとるわ。報告書とか始末書とか始末書とか・・・。 」

ナナ「ふーんー… 見た目は立派な戦士なのに、結構インテリっぽいのね…(汗) お兄さんも大変なんだねぇー… 」

李劉冥「大変だよ?いっつも儂が書いてるのだ。どいつもこいつも書きたがらないから・・・いっつも儂が書いておる。 」

ナナ「でもでも、率先して行ってるなんてすごいことだよ。みんなお兄さんのことを見習うべきかもだね~!(腕を組んでうんと頷く) 」

李劉冥「そう、なのかなぁ。―――あ、すまん、引き留めてしまったかな?お主、今から帰りか? 」

ナナ「ぇ…? あ、うん、そうだよ。いつもこの国に来ては美味しい物を買って帰るんだ~。(うふふと嬉しそうに笑み、紙袋を大事そうに握る) 」

李劉冥「そうか。確かにここは美味いものが多い、きっと作物を育てるための水や肥料がよいのだろう。故にそれを食べて飲み育つ家畜達にも脂がのる。うむ、ここは優れた料理人も多いしな。それにはこの国の産物は欠かせんわけだ。―――して、お主はどこの国に還る? 」

ナナ「――――――――(李劉冥の問いに対し、平常を保ったまま無言する) 」

李劉冥「―――――呵呵、すまんすまん、見ず知らずの人間に話す気にはなれんな。申し訳ない、忘れてくれ。 」

ナナ「…… …… ……"お兄さんが知りたいのはそのこと"? 」

李劉冥「―――呵呵呵、なんのことだぁ?儂には・・・皆 目 見 当 が つ か ん な ぁ ? 」

ナナ「(少し強くなった夜風で髪が靡く)…実は私、なんでも見えちゃうんだ。例えば、箱の中に入ったお菓子とか。例えば、月の表面がどうなっているのかとか。例えば、時計の中の機械仕掛けとか。例えば、鳥の脈打つ心臓とか。例えば、暗い海底を遊泳する魚とか。例えば、人の頭の中とか。例えば、人が考えていることとか。例えば―――――"今日ここでお兄さんと出逢うことになる結果"、とかね。 」

李劉冥「ほう、それはそれは特異なモノを持っておるな。どうじゃ?儂と共に来ぬか?(ヘラヘラとうさんくささはそのまま) 」

ナナ「んー…それは無理かもしれないよ。だって――――――(眼帯をそっと外し固く閉ざされた瞳が現れる) 」


李劉冥は戦慄する―――――――――彼女にその"眼"を開かせてはなるまいと


李劉冥「邪ッッッッ!(咄嗟に隠し持った鳳斬布を槍のように長く鋭くナナに飛ばす) 」

ナナ「(目と鼻の先にその刃が迫った時―――)―――――― ク ォ ン ――――――― (開眼と同時に紅色の瞳が露わとなり、瞳の中に李劉冥を捉えた) 」

李劉冥「(ぬっ・・・・・・!?) 」


李劉冥の視界が停止する―――彼の目に映るのは真っ赤な空、真っ赤な掌、真っ赤な月、真っ赤な百合の花、真っ赤な歯車、真っ赤な羊、真っ赤なカーテン、真っ赤な雑踏、真っ赤な昆虫、真っ赤な泡、真っ赤な道化師の仮面、真っ赤な鈴、真っ赤な円卓、真っ赤な立方体、真っ赤な花畑、真っ赤な少年の後ろ姿、真っ赤な数字、真っ赤な巨城、真っ赤な片目、真っ赤な桜並木、真っ赤な少女の笑顔―――――――


――――それら、一色で染められた光景が走馬灯の様に、李劉冥の脳の中に流れ込んでいく。彼が目を覚ました時、幻術から解放されたかのように視界が元に戻る。しかしそこにはもう――――彼女の姿はなかった… 」


李劉冥「・・・今のは、一体・・・。 」



――― 某街 ―――


轟々と音を立てながら燃え盛る建物は、やがて泣き崩れるかのように倒壊する。真っ赤な炎と血で包まれた街は、まさに地獄絵図以外の何物でもなかった…


一般人男性「はぁはぁはぁ……―――― ぐあああぁぁっ!!!   ドサァ…ッ…!(恐れをなしたかのように何かから逃亡している最中、背にズブリと鈍い音を受けて吐血し、力なく倒れ込んだ)」

サングル(色欲)「……(男性が倒れることで姿が露わになる)ポタ… ポタ… (右の手には先程の男の物と思われる『心臓』が握られていた。定まっていない視線は、何も見ていないようで何かを見ているようで、奇妙な形相だった)」


ひぎゃあぁ…ッ…!!!(何処からか女性の悲痛な叫びが響く)


サングル(色欲)「……(男の遺体には視線を向けずに一蹴し、声のした方へ振り返る)」

サングル(嫉妬)「(火柱の中から小柄な少年の姿をしたサングルが現れ、色欲体のもとまで歩み寄る。頬を染める返り血を指で拭う)……用は終わった。後は場所を変えて『俺たち』を補うぞ。 ドッグン… ドックン…ッ…(覇気の感じられない無機質な声で色欲体に告げると、自分の胸部を裂いて中身を見せつける。小柄な体の中には二つの心臓があり、それぞれが鼓動していた)」

サングル(色欲)「行きましょう、『憤怒』が待っている。(そう言うと嫉妬体と共に揺らめく炎の中へ溶け込むように消え去った)」



――― 白の国♚Chess♛・城内・廊下 ―――


ナナ「(寝巻の格好のまま廊下を歩き、今にもすとんと眠りこけてしまうほどの睡魔に襲われていた)部屋…もうすぐ…?(閉じた右目と、眼帯で覆われた左目で前方が見えないようで、隣の人物に問いかける)」

エンペラー「……ああ。(がちゃりと鈍い金属音を鳴らしながらナナと並び歩いている)」


ガチャ…(ナナたちより前方に見える、両開きの大扉の片方が静かに開く)


召使い「(大扉の中から一人の女性の召使いが現れる)女王様、就寝の準備が整いました。」

ナナ「あ、うん。ありがとう。(寝ぼけたように返答して召使いに軽く手を上げる)じゃあ…エンペラー、私がいない間、後はよろしくね。万が一の事態が起きたら、全指揮権を貴方に委ねるから。」

エンペラー「承知した。今しばらく休まれよ。(声こそは無機質だが、何処か頼りがいのある雰囲気を醸し出し、ナナに対し軽く頭(こうべ)を垂れる)」

ナナ「(にこりと笑んでエンペラーに応え、静かに部屋の中へと入り込んでいった)」

召使い「ごゆっくりお休みください、女王様。(部屋に入るナナに深々と頭を下げ、彼女が完全に入室したのを確認すると頭を上げる)…ス……(エンペラーにも会釈すると、その場を後にしようとするが…)」

エンペラー「――――― 待て、貴様。(威厳を含んだ声で召使いを呼び止める)」

召使い「 ピク… (強大な覇気を持つ男に呼び止められたにもかかわらず、表情一つ変えることなく静止し、彼の方へ振り返る)」

エンペラー「……「サングル」だな。(フルフェイスの兜を被っているが故に表情こそは見えないが、睨みを利かせたような鋭い口調で問い詰める)」

召使い→サングル(強欲)「……――― グ ニ ャ ァ … ! (口元を歪めると全身が渦巻き、全く異なる姿へと変貌を遂げる)…気づかれたか、流石はエンペラー卿だ。(ニタリと不敵な笑みを浮かべる)」

エンペラー「…何をしていた。」

サングル(強欲)「別に何も。ただ私は女王様の就寝準備をしていただけだ。」

エンペラー「妙な真似はするなよ。貴様の命は、俺の掌の上にあるのだからな。(ナナの私室前故に覇気を放出することはできないが、その威厳の強い言葉はサングルに多大な圧力をかけていた)」

サングル(強欲)「おぉ… そうだったな…(表情を若干歪める)しかし、そうだとしたら、今のお前はただの《円卓の騎士》(エクエス)ではあるまい。たった今女王から全指揮権をいただいたお前は、実質この国の『王』となったわけだ。」

エンペラー「…それがなんだ。」

サングル(強欲)「この国にはもともと王がいたそうだが、今はどうだ。女王曰く、今は行方をくらましているようではないか。そうなれば、今すべての指揮権を得たお前は完全なる♚Chess♛の『王』(キング)になったと言っても過言ではあるまい。お前ほどの実力を持つ者が、何故今の今まで女王に代わって何もしてこなかった?"世界最強"の名を冠するお前には何かしらの野望があるのではないのか?お前は――――」

エンペラー「御託はその辺で良いか?(強大な重力を含んだかのような一言で制し、サングルを見下す)俺は女王に仕えるKnight。そこに上も下もなく、ましてや野望などありはしない。俺は生涯、女王に仕えるだけの騎士だ。貴様が思っているような、青い夢を見るだけの弱輩などではない。 」

サングル(強欲)「ぐっ…(その威圧感に思わず退く)…恐縮だ。これからは言葉を気をつける。(チッ…女王の犬め… 『皇帝』の名が泣くぞ。)(恐る恐るエンペラーを見上げて)」

エンペラー「…一つ問う。」

サングル(強欲)「…なんだよ。」

エンペラー「貴様…否、『貴様等』は何を企んでいる。先日の蒼秤総裁機構との戦いといい、Onyxis♞との戦いといい…他の者たちとは違い、『貴様等』は身勝手な行動が目立つ。」

サングル(強欲)「……(エンペラーから目を反らし沈黙する)」

エンペラー「ライヒトゥームは貴様の実力を称賛していたが、実際は奴も貴様の奇行には警戒を払っていた。元はと言えば貴様も俺と同じ《円卓の騎士》だったようだが、無色の集団に対する度を越えた暴力で称号を剥奪されたこともラティンから聞いている。貴様の行為には目に余るものがある。……答えぬなら、先程の質問に答えてもらおう。貴様、女王の部屋で何をしていた?」

サングル(強欲)「…… …… この俺を疑うか。ふん、それもいいだろう。…その質問に対して応えるならば、俺は本当に何もしてはいない。(横目で睥睨する様にエンペラーを見上げる)」

エンペラー「…… …女王が眠りについている間、事態が発覚した際にはこの俺が直々に懲戒処分を下す。命が惜しければ大人しくすることだ。ブワサ… ! (マントを靡かせ、鈍い金属音を鳴らしながらその場を後にした)」

サングル(強欲)「ああ… (……エンペラーめ… まあいい、目的は果たした。あとは『こいつ』を拝見して、真実を確かめるだけだ…)(エンペラーが消えたのを確認すると、ローブのポケットから日記帳を取り出し邪悪な笑みを浮かべた)」



――― 白の国♚Chess♛・城内地下・倉庫 ―――


サングル(強欲)「……(暗闇の倉庫をランプで照らし、古い机の上に置いて自らも座り込んだ)…さて…(ポケットから取り出した日記帳を開き、閲覧し始める)」

サングル(強欲)「(数分後、日記帳を静かに閉じる) ほう…こいつは…(歪に口角を上げ天井の一角を見上げる。ランプの光で浮かび上がるサングルの影は、悪魔の様に禍々しく、陽炎のように揺らめいていた)」


コツ… コツ… コツ…(倉庫に二つの影が現れる)


サングル(強欲)「……(足音のした方へゆっくりと振り返り、その影の主を見てニタリと嗤う) ――――― 準備は良いかお前ら。」

サングル(色欲)「(強欲体に対しこくりと頷く)…心臓は補充した。」

サングル(嫉妬)「(色欲体の隣に立ち強欲体を見る) 日記の内容は『全員』見たよ。これで僕たちの計画を始められる。そろそろ『本体』も目覚める頃さ。」

サングル(強欲)「(日記帳をポケットにしまい、席を立つ)―――― 行くぞ、『憤怒』のもとへ。」



――― 白の国♚Chess♛・城内地下・とある灰色の部屋 ―――


オゥン… オゥン… (真っ白な城内とは全く異なる空間――――薄暗く殺伐とした灰色の部屋にある7つのコールドスリープが一定の間隔で唸るような起動音を上げている。既に開かれているものが多いコールドスリープの中に、一つだけ閉ざされたものがあった)


――――プシャァ…ッ…… ! (閉ざされていた最後のコールドスリープが開き、中から一つの影がのっそりと身を乗り出すように現れる)


サングル(憤怒)「―――――― ギ ュ ン (開眼と共に全身が僅かに痙攣する)…『俺自身』が動く… この時を待っていた。(そう呟いて部屋を出る)



――― 白の国♚Chess♛・何処かの研究施設 ―――


コツ… コツ… コツ… (ダクトやコードがいくつも剥き出しになった殺風景な闇の通路に、誰かの足音が反響する)


Dr.Kill「(通路の先にある真っ暗なコンピュータールームで、モニターを前にキーボードを打っている。誰かの足音に反応したのか腰かけていた電動車椅子を回転させて振り返る) ケッヒヒヒヒィ… ついに…お目覚めか…(かすれたような声で足音の主を見て、口角を上げる) 」

サングル(憤怒)「(冷徹な瞳で狂気を含んだ科学者と向き合う)念のために確認をしておくが、今は女王の眼の休息期間だな?」

Dr.Kill「あぁ…そうだ… ちゃんと確認…取っていたからな…ケヒッ… 今この会話も、女王には聞こえていないだろう… ケヒッ、ケヒヒッヒッヒヒ…!(不気味な笑い声を零しながら、口元を拳で拭う)」

サングル(憤怒)「(納得したように頷く)貴様の予想通りになるとはな。やはり女王は蒼秤総裁機構の王と友好関係にある。俺の分身体が回収した日記によれば、どうやら幼馴染の関係にあるようだ。」

Dr.Kill「ヒヒヒ…ッ… それで、まさかとは思うが… 始める気か…――――謀反を。(ニタニタと怪しげな笑みを浮かべ)」

サングル(憤怒)「当然だ。(無機質な声で即答する)俺達の計画は、女王に代わりこの国の覇権を得ることだ。だが実力行使でそれを行うことはできん… 女王の持つ『眼』と、奴に従う僕共…特にエンペラー。それらの存在が妨げとなっているからな。」

ケヒヒ… 故に青の国の王を人質に女王を屈服させ、女王を裏から操り、我々の理想国家を創りあげる… ヒヒヒヒッ…!! 愉快なものよ…(口元を拳で拭う仕草を見せ)」
Dr.Kill「

サングル(憤怒)「女王の『眼』を掻い潜るには、半年に一度の眼の休息期間だけだ。その間(かん)、女王は俺たちの行動を監視することはない。僕共も女王の休息期間には国の防衛を徹底する… 誰も俺たちの目論見に気づく者などいない。」

Dr.Kill「用意周到な奴だ…ケヒッ、ケヒヒヒヒヒッ…!!」


コツ… コツ… コツ…(会話の途中で、大人数の足音が反響しているのが聞こえてきた)


サングル(色欲)「(コンピュータールームに入って来るや否や、憤怒体の背後に立つ) 『私たち』の補完は終えたわ。(背後には、先程任務を共にした嫉妬体を初め、過去の激戦で死亡したはずのサングルたちが並んでいた)」

Dr.Kill「心臓を得続けることで永遠に命を維持するか… 総出で行うとは…容赦を知らないな… やはりお前は"最凶"だよ。ケヒヒヒッ…ケッヒヒヒッヒッヒヒッッ…!!!(サングルたちを眺めて愉快そうに嗤う)」

サングル(憤怒)「(瞳を閉じる)時は来た――――世界平和を望む女王に代わり、俺たちが、"殺戮を肯定する世界"を創るのだ。(勢いよく開眼すると血眼が露わとなり、果てしなく広がる天井の闇を仰いだ)」





――― 青の国 蒼秤総裁機構・国壁外 ―――


ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ……(不穏な影と足音が、薄暗い木々を抜けていく)


サングル(憤怒)「バサバサバサ…(強風に煽られコートが靡く。背後に並ぶ6名のサングルたちの先陣に立ち、青国の国壁を仰ぐ)」

サングル(傲慢)「確認は…不要か。何故なら俺たちは"一にして全"。全うすべきことはただ一つ―――――(長髪を風に靡かせ)」

サングル(嫉妬)「青の王様を生け捕りにすればいいんだろ。言うこと聞かなきゃ痛めつけてはやるけど。(悪戯っぽく舌を出して)」

サングル(怠惰)「面倒くせぇなぁ… ひと思いに潰してそれで終わりでいいだろ。王様は誰かに任せる。(欠伸をする)」

サングル(強欲)「グズは雑用でもしていろ。俺が(王を)やる。(怠惰を一瞥した後、密かな闘争心を滾らせる)」

サングル(暴食)「王以外は食ってもいいんだろうな。遠慮なくいただくぞ。(涎の様な血を吐きながら)」

サングル(色欲)「四方から私が攻める。誰かエスコートをお願い。(小首を傾げながら可愛らしい笑みを浮かべる)」

サングル(憤怒)「これから起こす騒動に青の戦士共が駆け付けてくるだろう…だが処理は各々に任せる。まずは奴らをおびき出して始末し、手薄になったところで城を攻める。それと視野を常に共有しろ、必ず王を捕えるためにな。」

サングル(憤怒以外)『―――― コ ク ――――』

サングル(憤怒)「――――― 散れ。」


シュバババッ ! ! ! (憤怒体の合図でサングルたちが散り散りに移動した)


サングル(憤怒)「……ググッ…(国壁の目前に移動し力強く拳を身構える)  派手に殺るぞ。  グ ゥ ン ッ ! ! ! ―――――――― (そして拳を振り抜いた…――――)」



――― 青の国 蒼秤総裁機構 ―――


兵士(青国)「(賑わう街並みを横目に欠伸をする)退屈なものだな巡視というのは… 休憩時間に入ったらあとで街へ買い物にでも出かけるか…(腕時計を見やる)」

真紀「……ヒロ、飯だ(ある部屋に入り、食事を置く)……じゃあ(部屋を出ようとする) 」

ヒロ「あっ、真紀……(出ようとした真紀を呼び止め)……すまないな(弱々しくつぶやいた) 」

真紀「あぁ、いいよ。…少しずつ、立ち直ってくれればいいさ。……死ぬことだけは考えるなよ。…万が一ここまで攻め込まれることがあったら、いつでも死ぬことなんてできるさ(ヒロの方を向き) 」

ヒロ「……自ら死にはしないよ、あいつと約束したしな…… 」

美しい自然色で彩られた青の国は繁栄していた。国壁内で約束された安寧のもと、民人の各々が快適に生活し、自由を謳歌していた。そして人々は、こんな日常がいつまでも続くものだと思っていた…そう、いつまでも―――――――――


―――――――― ドグァアアアアアアァァァァァァンッッ ! ! ! ! ! (だが幻想は現実に犯される。突如として国壁南側にて凄まじい衝撃音が轟き、上空へ土煙が舞い上がった)


きゃあああぁぁぁーーーッ!!!  うわああああぁ!!な、なんだぁ…!!? ひぃ…!逃げろォーーー!! (突然の事態に国民は大パニックに陥り、一目散に逃げ出した)


サングル(憤怒)「ザ…ザ…ッ……(灰色の土煙から現れ出で、周囲を見渡す)―――――『やれ』。 」


――――ドグァアアアァァァンッ ! ! ! ! ズギャアアアァァァァーーーンッ ! ! ! ! ドオオォォォォーーーーン…ッ…! ! ! ! ! (南側だけでなく、東西南北あらゆる地帯で爆発や衝撃が走り、青の国の上空に煙が舞い上がる)


サングル(傲慢)「始めようか。グニュン… ザ キ ィ ―――― ン ッ ! ! (ズギャアァァッ ! ! ! )(腕を刃状に変化させ、建物を切断していく) 」

サングル(色欲)「“多重召喚”―――――『タオティー』 『チョンジー』 『フンダン』 『タオワ』(地面に掌を当てることで魔法陣を展開する) 」

タオティー&チョンジー&フンダン&タオワ『    ド   オ   ゥ   ン   ッ    』(一斉に四体召喚され、各々が東西南北に出現し、思うままに暴走し始める) 」

兵士(青国)『何事だ!? 侵入者です…!それも、各地に一斉に現れて…!な、なんだあの化け物は…ッ…!!?  すぐにこの事態を王に報告しろ!一刻も早く事態の鎮圧を―――――ぐぎゃああぁぁッ…!!! ひッ…あああぁぁぁッーーー!!!!』 」

サングル(暴食)「……あ、王の居場所を聞く前に食っちまったよ。(後頭部を掻きながら兵士たちの肢体を食している) 」

サングル(強欲)「……王を呼べ、話があるんだ。(一人の兵士の首を鷲掴み、強く持ちあげている) 」

兵士(青国)B「ぐッ…あ…ッ…… 誰が…お前たち、不届き者なんかに…(強欲体に掴みあげられ悶え苦しんでいる) 」

AS「―――予感は、昇華されてしまったか・・・(自室の金庫から、勾玉のようなものを取り出す)―――王は、この命に代えても守ってみせる・・・(自室を後にし、隣の王座の間へ) 」

サングル(強欲)「大人しく言うことを聞いていれば良かったのにな…――――――死ね。 」

兵士(青国)B「なっ―――― ブ シ ャ ア ァ ッ ! ! (強欲体に掴まれたまま全身の至る部位から血飛沫が上がり、地面に投げ捨てられる) 」

サングル(怠惰)「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛…ッ…!!!面倒くせえな゛ぁ゛…ッ…!!!(ド グ ゥ ア ッ ! ! )(持ち前の怪力で"建物を持ちあげ"、モニュメントにぶつけた)出て来い王様よぉぉぉーーーッ…!!!俺は貴様に会いに行くのが面倒くせえぇぇぇ…ッ…!!! 」

サングル(嫉妬)「うーん、歯ごたえのないこと…(護衛兵の死体の山の上にたち、遠い方角を眺めている)さきに城から攻めちゃおうかなー。 」

AS「(王座の間の窓から、外を見渡し『憤怒』を見る)―――禍根の中心は、あれか・・・ 」



青国兵士「住民たちは速やかに地下への避難を!急いで!!(逃げ惑う住民たちを誘導している) 」

ジェネラルブロス「(騎馬した武装の亀が、多くの衛兵を連れて現場に現れる)これより侵入者の殲滅にかかる!敵はまだこの中心街へは攻めてきていない。被害を最小限に抑え込むために、可能な限り侵入ポイントでの交戦に臨む。この私に続けぇい!!(高らかに剣を掲げ、馬を走らせる) 」

青国騎馬隊『うおおおおぉぉぉッ!!!』(ジェネラルブロスに続くように進撃する) 」

サングル(色欲)「コツ…コツ…(黒煙が上がる閑散とした街路を歩いている。その最中、目の前をジェネラルブロスの騎馬隊が横切っていくのを見た)……「そっちへ向かった」。(誰かに対し、呟くような声で) 」


ヒ ュ ォ ―――――――― ズシャアアアァァァァーーーン…ッ… ! ! ! !(ジェネラルブロス一隊の道を遮る様に空から黒い影が勢いよく落下した)


ジェネラルブロス「間もなくポイントに到着する!各自戦闘態勢に――――――ぬぉあッ!!?(突如目の前に落下した物体に仰天し馬を停止させる)な…なんだ…ッ…!?(土煙の中を覗き込む様に凝視して) 」

サングル(傲慢)「パラパラ…――――― フゥー…(晴れる土煙の中から悠然とした足取りで現れる)…『王』は何処だ?(ジェネラルブロスの一点を睨みあげる) 」

ジェネラルブロス「貴様…何奴ッ!?さては報告にあった侵入者だな!?(剣の切っ先を突き付ける)貴様ら不届き者に応えることは何もない。蒼秤総裁機構・第23隊騎馬隊隊長「ジェネラルブロス」に首を刎ねられよ!!(馬を走らせ、今にもサングルに切りかかろうとする) 」

サングル(傲慢)「スン ―――――(上半身を屈折させて斬撃を避ける)…もう一度問う。貴様等の『王』は何処にいる。(背後のブロスへ振り返らず) 」

ジェネラルブロス「ぬっ…――――(空ぶった後、馬を旋回させ再びサングルに狙いを定める)応えることは何もないと――――言っているぞッ!!! バッ ! (剣を振り上げ、背後から斬りかかろうとするが…) 」

サングル(傲慢)「…そうか―――――― な ら ば 朽 ち る が い い 。 」


―――ブシャブシャブシャァ…ッ… ! ! ! ! (刹那、ジェネラルブロスと彼の騎馬の身体中から血飛沫があがり、青空を赤く染め上げた)


ジェネラルブロス「――――――!!??…ゴ…ゴファ…ッ…!……ドシャァ…ッ…(馬と共に儚く地面に転がり倒れる) 」

青国騎馬隊『ぁ…な…っ…!ジェネラルブロス隊長ォーーーッ!!!』

サングル(傲慢)「ガッ…(足元に転がったジェネラルブロスの遺体を軽く蹴り飛ばし、騎馬隊兵士の元へ歩み寄る)ならば次は貴様らに問う…――――――この国の『王』は、今、何処にいる?(血走ったような赤い眼を開眼させ) 」

青国騎馬隊『ぎ…ぎさまァ…!よくも隊長をおおおぉッ!! かかれェーッ! うおああああぁぁぁぁーーーーッ!!!』(ドッドドドッドドッ)(各々が怒りの形相を露わにし、剣を握ったままサングルに突撃する)

サングル(傲慢)「…この国の人間は話が通じるものだと思っていたのだが―――とんだ誤解だったようだ。 」


――――― ブ シ ャ ア ア ァ … ッ … ! ! ! ―――――



その頃、別区域では…

青国兵士B「せやぁッ!!(鋭い斬撃を繰り出しながら、ある化け物と交戦している) 」

赤い疑似生物「グルルル…ッ…!(血液そのもので生み出された様な双頭の猛犬を模した化け物は、涎の様な血を口元から垂らしながら兵士に何度も喰らいつこうと襲いかかっている) 」

青国兵士B「はぁ…はぁ…ッ…!僕は…ここで退くわけにはいかない!民の為にも、国の為にも…戦わなくちゃいけないんだぁ!!…我が剣の…御心のままに…ッ!!(地面を蹴り上げ化け物を斬り裂く) 」

赤い疑似生物「 ズ パ ァ … ッ ! (兵士の一閃により真っ二つに切断され、そのまま地面の中へ溶け込む様に消滅した) 」

サングル(色欲)「コツ…コツ… ……ふぅん。(建物の陰から路上に出ると辺りを見渡し、兵士を発見する) 」

青国兵士B「はぁ…はぁ…ははっ、やった…兵団に入って間もないけれど、こんな僕でも戦えるんだ…すべては、この国の為―――――!(一息ついて安堵していたが、サングルの姿を視界に捉えるや否や瞬間的に距離を取って戦闘態勢に入る)…お前…見かけない奴だな。誰だ!! 」

サングル(色欲)「あ、あの…っ…!(敵対視する兵士に可憐な少女としての姿を振舞い、油断を誘おうとしている)すみません、私…よその国から観光に来た者なんですが…突然街中で騒動起こって、びっくりしていたんです…!(困惑したように兵士に歩み寄りながら) 」

青国兵士B「え…?(観光客…こんな時に、不運だな…)(目の前の少女をただの観光客だと認識し、剣を納めて歩み寄る)これは失礼しました…!しかし、ここは今大変危険です!避難所へ案内しますので、僕についてきてください…! 」

サングル(色欲)「あ、ありがとうございます…っ… ……あの、こんな時に聞くべきではないと思うのですが…実は人探しをしているのです。……この国の王様、その方にどうしてもお会いしたいのですが… 」

青国兵士B「王に…?いや、しかし、申し訳ないのですが…この非常事態では勘弁願います。事が鎮まり次第、上の者に相談してみますから… と、とにかく、今は避難を――――― 」

サングル(色欲)「…… ……そうですか…―――――― それは残念です。( ギュッ )(すると突然歪に口角を上げ、兵士に抱きついた) 」

青国兵士B「なっ―――― ぃ、一体何を…!?や、やめてください…早く避難しなければ…っ!(抱きつかれたことで混乱する) 」

サングル(色欲)「女性に抱かれて死ねること―――きっと貴方にとって本望でしょう。(クスッと蠱惑的な笑みを浮かべると自身と兵士の身体が強く発光する)―――― “セクスィラプション” ―――― 」


ドオオオオオオオォォォォォーーーーーーンッッ ! ! ! ! ! ! (サングルと兵士を中心に凄まじい爆発が起こり、上空に黒煙が上がった)


真紀「くっ……!奴らめ……一体どこに……!(別区域を駆け抜けている) 」


―――― ド ゴ オ オ ォ ッ ! ! ! (真紀が横切ろうとした建物の壁の中から巨大な黒い影が勢いよく飛び出て、そのまま彼女を突き飛ばした)

真紀「……あぐっ………!?(突き飛ばされる)…なんだ!一体!!! 」

サングル(怠惰)「 ズ ズ ズ ズ … ! ! (土煙の名から姿を現したのは真紀の倍の背丈を誇る巨漢だった)あぁ…曲がって進むのは面倒くせえ…建物全部ぶっ壊していくのが楽だ… …あ゛?(真紀の姿を捉える)…やっと人を見つけた…探すのめんどくさかった… おい、お前、ここの『王様』は何処にいるんだ。 」

サングル(憤怒)「(国一体で起きた惨状を高い建物の屋上から俯瞰している)…まだ誰も『王』に到達していないか。だが、このまま四方から攻め続けていけばやがて表に出てくるだろう。国が滅びるのが先か、『王』を捕えるのが先か… 」

真紀「ここの王様?………(こ、こいつ…でかい……!)し、知ってるとしても答えると思うか!(若干震えた声で) 」

サングル(怠惰)「答えてくれない…の、か…?はああぁぁぁ~~……めんどくせええぇ奴だなあお前。ああ、実に…とても、まったく、超… め ん ど く さ い 。(グゥオ… ! )(真紀に対し拳を振り上げる)さっさと答えてくれるなら良かったのになあ。めんどくさい奴だから、お前―――――潰す。( ゴ ゥ ッ ! ! )(真紀の頭上から剛速の拳が振り下ろされる) 」

AS「ダダダダダダダッ―――シュンッ!(地を蹴り、壁を蹴り、疾風の如く翔けて)―――王の御前での狼藉は、そこまでだ。(怠惰のサングルに、既に抜き放たれた『現』を、速度を殺さずに突き立てる) 」

真紀「………うわっ!!(振り下ろされた拳を後ろに飛びのいて避ける)……(速い……!!) 」

サングル(怠惰)「…なぁんだお前~…?まぁためんどくさそうな奴が来て―――ん…待て、お前、何処かで見たことがある様な…(ASを見て目つきを鋭くする)…くぁああぁ~…思いだすの、めんどくせえ。まあいいや、お前が誰だろうと、邪魔する奴は…とことんめんどくさいから、潰すだけだ。 …俺は"怠惰"の「サングル」。本体の命令で『王様』を探している…めんどくせえけどよ。居場所を教えてくれねえのなら…潰していくぞ…(緩慢とした動きで戦闘態勢に入る) 」

AS「我が王の膝下で、ここまでの邪智暴虐を働いた事を―――チャリ・・・(『現』に付いている勾玉が揺れる)ブォンッ!!!(地面を大きく抉る、衝撃波を放ち、)ダァンッ!!!(地面を蹴り砕きながら回り込み、サイドから刺突を放つ) 」


BGM♪



サングル(傲慢)「こいつは…(怠惰の視野を共有し、遠隔地にいながらASの姿を捉える)…その男は青の国で二番手の手練だ。 」

サングル(強欲)「…なら、俺が行こう。(傲慢の発言を聞いてASたちのもとへ駆けつける) 」

真紀「……あっ、あなたは……!(ASを見て)……わ、私も……!(鞘をチャキッと鳴らし、刀を構える) 」

サングル(怠惰)「ん゛ん゛ッ!(拳の一振りで衝撃波を正面から相殺する) ブシャァ…ッ…! !(ASの放った刺突が横腹にヒットし、鮮血を垂れ流した)…ああぁ…痛ぇ……痛ぇなぁ… …痛みを感じるのも面倒くさいなぁ…(刺された横腹を摩りながらゆっくりと退く)) 」

AS「赦されると思うなよ、貴様らはこの手で裁きを下してやろう。(退くサングルに向けて、『現』を構え)ザ ァンッ!!(一度刃を抜き放っただけで、瞬時に五重の斬撃を放つ) 」

サングル(怠惰)「ぐぶぇぁ…ッ…!(刻まれた身体の切り傷から血飛沫があがり、同時に吐血する)…くぁ…ああぁ…止めてくれ… これ以上、痛みを感じるのはめんどくさいんだ。(ゆっくりゆっくりと退きながら) 」

AS「ならば―――(ゆっくりと歩み寄り)今、楽にしてやろう(掲げた『現』を)ズドォォォォンッ!!!(振り下ろし、巨大な衝撃波を放つ) 」

サングル(怠惰)「 ド ゴ ォ ッ ! ! ズシャアアァン… ! !(今度は衝撃波を直撃し転がり倒れた)………あー…(ゆっくりと起き上がる。だがその最中で、数多の傷口が次々と閉ざされていった)…まったくなあ…めんどくさいんだよ、お前ら、何もかも―――― ヒ ュ ッ ――――なあ。(ズシャアアアアアアァァァァァァァアアアアアッッ ! ! ! ! !)(一歩の踏み出しと同時に刹那の如くASに突撃しそのまま建物を貫通していく。辺り一面に土煙が舞い上がった) 」

AS「む・・・ッ!(一瞬の空気を感じて突貫を察知、回避が不可能と判断するや否や、鞘と腕を盾にしながら踏ん張って衝撃を殺す)・・・強い気配を感じてはいたが、既に・・・かッ!!(素早く耐性を持ち直して、密接するサングルの腹部へ『現』を押し付ける) 」

サングル(強欲)「スタ…(ASたちのもとに現れる)力を求めるのも、強い奴との戦いを望むのも、"強欲"だよなあ。(自分を蔑むように嘲笑いながら歩み寄っていく)だがそれでいいじゃねえか…欲望に身を委ねていく様(さま)に一切の虚偽はねえんだからよぉ。(真紀に人差し指を構える)命が欲しいか、小娘。なら、キングの居所を教えな。そうすれば、お前の命は奪わないでやるよ。 」

真紀「……むっ、新手…!?(サングル(強欲)を見て刀を持つ手に力を込める) 」

サングル(怠惰)「ん゛…ッ…!?(腹部に『現』を押しつけられ) 」

AS「く、ぉぉぉぉッ!!(押し付けた『現』を突き通し、)―――ザァンッ!!!(振り抜くように、縦に引き裂く) 」

真紀「………誰が、言うか………!王の居場所を売るくらいなら………ここで死んだ方がましだ!!(ギリっとサングルを睨みつける) 」

サングル(怠惰)「ずぎゃあああぁぁッ!!!(断末魔と共に鮮血が空を赤く染め上げた)ひゃ…ぎ…あが…(ぐらりと怯みながらゆっくりと退行する)…い…でェ…なあ…――――あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!!(ドドドドシュアァッ ! ! ! !)(大きく裂けた腹部から鋭利な矛先を持つ血のベクトルが幾重にも解き放たれ、ASと周囲の建物を突き刺す勢いで襲いかかった) 」

AS「ガギッ、ギッ、キィンッ、カキィンッ!!(『現』の身で滑らせ、弾き、流して防ぐが)くっ・・・!(距離の近さが災いして、少なくはない被弾を許す) 」

サングル(強欲)「はん、そうか。まあいいさ。得たい情報が得られなかったなら、また何処かで得ればいいだけの話だ。ただ…他にも欲しいものを見つけた――――― お 前 の 命 だ よ 。(真紀に向けて掌をかざすと、謎の引力が働き真紀を強制的に引き寄せる) 」

銀閣「うぇえ・・・ただでさえ寝不足だってのに一体何事だ?(よろよろtp 」

サングル(色欲)「あはは、頑張ってるね、青い騎士さん。(いつの間にか怠惰の肩に腰かけ、ASを見下ろしている)次は私が相手をして上げる。(掌をかざすと上空に魔法陣が展開される) 」

チョンジー「――――ズシャアアアアアアァァァァァァーーーーンッ ! ! ! ! ! (魔法陣から現れASの目の前に落下する。土煙が晴れて姿を現したのは、黒い身体を持つ巨大な犬の化け物だった) 」

真紀「……な、なんだ……!?(なんで、引き寄せられ……!)(サングルの方まで引き寄せられる) 」

サングル(傲慢)「――――貴様に問う。(いつの間にか銀閣の背後にたたずみ、鋭い眼光で彼の背を突き刺していた)―――この国の『王』は何処にいる。 」

サングル(強欲)「 ニ ヤ ――――――ほらよ。( ド ゴ ォ ッ ! ! !)(真紀が目と鼻の先まで引き寄せられた瞬間、彼女の腹部にラリアットを炸裂させ建物の壁に激突させる勢いで吹き飛ばした) 」

真紀「うぐぉっっ………!!!(攻撃をくらい、壁に激突)……げほっ、げほっ……!(腹部を押さえながらえずく) 」

AS「・・・数は5、といったところか・・・それに似通った力の気配・・・敵は『お前達』だけか。(色欲のサングルを睨む)―――使役獣か、だが。(現れたチョンジーに向かって、猛然と突撃し―――)ダァンッ!!!(なかった、その真横をくぐり抜け、怠惰と色欲へ突っ込んでいく!) 」

銀閣「・・・それをゲロッたとして俺に何の特がある?いや、案外いいかもしれねぇなぁ・・・あの小僧のこれからを考えたらこういった困難を自力で乗り越えられる程の力を蓄えるためにあえてゲロるのも・・・。(う~ん、と真剣に考え始める) 」

サングル(強欲)「 ガッ (しかし起き上がる真紀の髪を強く掴みあげる)おらァッ!!(ズギャアァッ ! ! !)(そのまま真紀を地面に叩きつけた)ヒャッハハハハ!!王の為なら死ぬことも躊躇わねえんだろ!?死ぬことが怖くねえんだろ!?もっと、もっと見せてくれよ…欲望に抗うそのみじめな姿をよォッ!!!(邪悪な笑みを浮かべ) 」

真紀「ぐっ……!?(髪を掴まれる)…ぐああっっ!!(叩きつけられる)…くっ…!(……ヒロっ……!どうやらお前より先に、私は……)(プルプルと体を震わせながら起き上がろうとする) 」

サングル(色欲)「(チョンジーを潜り抜け、こちらへ向かってくるASを落ち着いた様子で見据えている)君のことは"見ていた"よ、AS君。前に『違う私』が言ったでしょ。『私たち七人』は全員の視野を共有しているってね。(小悪魔を思わせる愛嬌のあるウインクをする) 」

サングル(怠惰)「ぬがああああぁぁぁ!!めんどくせええぞお前ぇッ!!!(ズギャアアァンッ ! ! ! )(地面に拳による一撃を炸裂させ地割れを起こす。すると避けた地面から血の間欠泉が湧き出始め、真っ赤な血の洪水となって街中に流れ出した) 」

サングル(傲慢)「答える気になったか…どうなのだ。(鋭い目を保ったまま銀閣の返答を待っている) 」

銀閣「・・・ところで俺がゲロッたら、お前はどうするんだ?(ゆっくり振り向き傲慢と向き合う) 」

サングル(強欲)「 ズンッ… ! (起き上がろうとする真紀を踏みつける)…そうだよなあ、結局誰も欲望には抗えねえ。生きたいと望むも、死を拒むも、等しく欲望なんだよ。わかったか、小娘。(そう言うと怠惰の起こした血の洪水がこちらに迫っているのを確認し、真紀をその場に放置し自分は高台へと跳躍し避難する) 」

サングル(傲慢)「貴様には関係の無いことだ。(冷徹な瞳で) 」

AS「そうか、群にして個―――よく喋る口だな。(突き刺さるような、冷たい視線を返す)―――ほう・・・ガチッ、ガチガチガチッ!!(巨大な血の間欠泉に、『現』が鞘の中で震え出す)・・・既に共鳴を起こすか、ならば『拒め』、―――『現に出る夢より覚めろ』!!(血の洪水に対して、悍ましいオーラを放つ『現』を振るう・・・すると)―――ザ ンッ!!!!(溢れていた洪水が、強く拒まれるように・・・まるで現実が夢になるように霞んでいき、消え去ってしまう)―――疾ッ!!(そして、片手間ながらも正確無比に、強欲のサングルへ奇襲するような素早い衝撃波を放つ) 」

サングル(強欲)「―――――ッ!?(突如現れた衝撃波に驚愕を露わにするが―――) 」

サングル(色欲)&チョンジー「他所見しちゃ、めっ。 ゴッ――――ズシャアアアァァァンッ ! ! ! !(ASが強欲に急襲を仕掛けるのを先読みしていたのか、チョンジーに乗ってその衝撃波を相殺したのだった) 」

真紀「……?(薄れ掛けている意識で血の洪水を見る)………ま、まずい…避け、ないと……!(なんとか立ち上がり、洪水から逃れようとするが、先ほど叩きつけられた衝撃から体が思うように動かない) 」

銀閣「おいおい、せめて金一封とか、可愛いネーチャンたちとバカンスへーみたいなの無いんかい?そんなんじゃあモチベーションあがんねぇよ。(突如、鈴なりににた音がキンと響く) 」

AS「ダンッ!!(色欲と強欲が攻撃に対処する間に、地面を蹴って真紀の隣まで飛び)―――王を悲しませるな、お前達が死ねば誰が俺達の後を継ぐというのだ・・・ふんっ(真紀を抱えて)―――あの辺り、だな・・・せぇいッ!!(目測を付け、国内の池のある場所のど真ん中に向かって投げ飛ばす) 」

サングル(傲慢)「貴様はただ王の居所を吐けばいい。……(鈴の音を聞きより表情が鋭くなる) 」

サングル(強欲)「―――おいおいおい、欲張るのは結構なことだが、この状況下で随分悠長なことしてるじゃないか?(ASの頭上を跳び、真っ赤な刃状に変形した腕で斬りかかろうと襲いかかる) 」

AS「数が多いというのは―――(チャリ、と勾玉が揺れる)至極面倒だな、一体ずつ潰してやろう。(ノールックで、腕の間を縫うように『現』で刺突を仕掛ける) 」

真紀「え……っ?(わ、私が、後を………?)………ってうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!??(池の方へ投げ飛ばされる) 」

サングル(強欲)「 ガキィィ―――ン…ッ… ! ! (斬撃と刺突が空中でぶつかり合う)はっ!(ガキャアァンッ ! ! !)(鍔迫り合いになる前に圧倒しASを下方へ吹き飛ばす) 」

AS「ぬッ―――シャッ!!(吹き飛ばされる寸前に、鋼の糸を投げつけ)シャシャシャッ!!(糸が腕の刃に引っかかり、絡まっていく)お前も道連れだ。(そして、強く引っ張りながら下へ吹き飛ばされる) 」

銀閣「――――地獄で閻魔に聞いてこい。(秘剣、零閃。傲慢を穿つ) 」

サングル(強欲)「グン―――――!!(腕に絡まった糸に引っ張られ共に落下していくが…)―――悪ぃな。( ザンッ ! )(なんともう片方の手による手刀で糸が絡まった腕を切り落とし、自身はそのまま建物の屋上に着地した) 」

サングル(傲慢)「なんだと―――――ザキィィ――――ンッ――――(身体に一閃が迸り、上半身が音もなく崩れ落ちた) 」

真紀「ああぁぁぁぁっ!!!(バッシャーン!!(池に派手に落ちる)……派手にやってくれたなぁー…(池から上がり、服を絞る) 」

サングル(憤怒)「……(共有の視野で分身体たちと交戦している青の国の戦士たちの姿を一人一人捉えていく)…嫉妬、暴食。 」

サングル(嫉妬)「へいへーい、今から行きますよー!(憤怒の命令で焼け焦げた広場からASたちのいる街中へと向かう) 」

サングル(暴食)「ちょうど、食い足りなかったところだ。(腹部を摩りながら街の中へと向かう) 」

銀閣「居合相手ににそんな間合いで勝負するたぁいい度胸だ・・・。(裏とられるとは・・・俺も歳だな・・・。) 」

AS「それだけしてくれれば十分だ、礼を言おう。(サングルが絡んだせいで緩んだ速度を活かして、空中で体勢を整えて近場の建物を蹴って)シャァァァンッ!!!(サングルに向かって突撃し、『現』を抜き放って三連の一閃を放つ) 」

サングル(強欲)「はっ、俺と殺り合うか…それもいいだろう。王の為に剣を振うその姿もまた己の欲に従順ということだ。もっと見せてくれよな。(不敵な笑みを浮かべると手刀で一閃を相殺する) 」

サングル(色欲)「あーあー…傲慢ったら、また調子に乗ってるからすぐにやられちゃうんだから。(機能停止した傲慢体を見て特に憐れむ様子もなく飄々としている) 」

AS「見くびるなよ俗物が!!(『欲』という言葉に、相殺された一閃を追うように瞬時に五重の斬撃が襲う)その程度の下らぬ感情で、我が忠義を語るなッ!!!(そして、それを追うように更に八重の一閃と衝撃波が放たれる) 」

サングル(強欲)「ドッドドドッドッドドッ ! ! ! (ASが繰り出した苛烈な斬撃をすべてその身に受ける)…それでいい、悪くない…ハハハ…!…ドシャァ…ッ… ! ! (ASの言動、行動から何かを悟ったようなさも満足な笑みを浮かべながら、ぐらりと倒れ込んだ) 」

サングル(嫉妬)「スッ ――――…あー、なんだい、もう二人とも壊れちゃった感じ?(現場に到着し、倒れ伏した傲慢と強欲の遺体を交互に見つめる) 」

サングル(暴食)「ズンッ ――――― まずは腹ごしらえだ。(倒れている傲慢の遺体の傍まで歩み寄る) 」


BGM♪



サングル(色欲)「……(ありもしない方角を睥睨する)…「新手」が来る。二名…いや、それ以上かな。(その方角に視線を落したまま他の分身体に伝える) 」

ミリア「タッタッタッタッ、ズサァ!(街角から騒動にかこつけ、騎士団員姿の正装で、すでに細剣を手中に納めて現状を視野に納める)……ひ……酷い……(目も当てられない戦場に目元が一瞬霞むが、確かなる敵を前にそれは怒りに変わっていく)あなた達ですね、この現状を築き上げたのは…… 」

サングル(嫉妬)「…とりあえずさ、邪魔者が来る前にさっさと"補完"しなきゃだよ。(そう言って暴食にコンタクトを送り何かを催促する) 」

サングル(嫉妬)「ほーら言わんこっちゃない。もう来ちゃったじゃん。怠惰はまた何処かで油売ってるみたいだし~…じゃあ僕らで時間を稼ぐとしようか。(色欲と並び、参上したミリアを睥睨する) 」

サングル(暴食)「―――バリィッッ… ! ! ! ボリリィ…ッ… ! ! !(傲慢の遺体を大きな手で摘まむ様に持ち上げ、顎を地面まで落としてその遺体を平らげる。グロテスクな音を立てながら、時々血液と白骨らしき欠片を唇から零しながら貪り続ける。そして、背後に横たわる強欲の遺体に対しても、同様に平らげてしまう) 」

真紀「………あーー、まだ冷てぇ……(服を絞り終え、歩き出す)(着替え…と言っても取りに行ける状況じゃなさそうだし…)(城を見て)…!(そういえば、城の方は…どうなってる…!?) 」

ミリア「――(色欲、嫉妬の付近で蠢く死者の冒涜を目の当たりにすると、瞳が猫のように縮小し、「何しているんだ」と驚愕する)今の把握できている情報だけじゃ、その行動に意味は察れない……口を割ってもらいます!(サッと細剣を一振りし、二人を中心に駆け出す) 」

サングル(色欲)「 多重召喚 ――― 『フンダン』、『タオワ』。(パキィ――――ンッ !)(駆け出したミリアに合わせて両の掌を合わせる) 」

フンダン&タオワ『―――― ギャゴガギャアアアァァァァアアッ!!! ズギグバアァッ!!!(色欲体の魔法陣より召喚され、生命を畏怖させる悪魔の如き雄叫びをあげながら戦士たちの前に君臨する)』

サングル(嫉妬)「君たち小物に用はない。大人しく『王』の首を差し出してもらえば、それで事が丸く収まるんだから。(腕を束ねる少年が嘲るように首を傾げている) 」

ミリア「退きなさい!(右手に備える細剣を、左へと溜め込み)タッタッタッ……ギャキンッ!(地を力一杯蹴り上げ、召喚獣二体に飛び込みながら溜めきった剣を横一閃)パキィィ!(氷属性付属の衝撃波を盾に、突っ込んでいく) 」

サングル(暴食)「フゥー…(二人の遺体を食した後、満足そうに己の腹部を摩る)――――  パ  カ   ァ  ――――(前回の大戦同様、巨大な体の腹に大きな裂け目が生じる。その腹部内側から、二つの影がぬるりと姿を現した) 」

タオワ「ゾグルァッ!!!(ドギャアァンッ ! ! )(一歩先頭に出た白虎の成れの果てを思わせる化け物。その剛腕を振り回し、ミリアの斬撃をいとも容易く押し退けた) 」

サングル(傲慢)「フゥ…(暴食体から血液の様な胃液を纏って出てくる)無駄な足掻きだ…王が姿を現さないのであれば、すぐにこの国は陥落するぞ。(首の骨を鳴らし、痙攣する全身が和らいでいくのを感じ取るように何度も拳を握る) 」

AS「痴れ者共め、貴様達に我が王へ謁見する権利など無い。生きて返す事もない、首を晒すのも目に余る―――ここで惨たらしく果てろ(チャキリ、と『現』を構え、射殺すような視線を嫉妬体へ向ける)現れたな蘇生役<ヒーラー>、貴様に仕事はこれ以上させんぞ―――『此処に貴様の権能を棄てよ』(右目に手を当て、暴食体を睨み―――『等価放棄』で暴食体の『インベイジョン』を対象に取り、能力を破棄する) 」


ヒュォ–––––––––––  (遠方より飛来する風切り音、聴覚を掠めるそれを認識するとほぼ同時に)┣¨ガガッ(ミリヤが斬撃を退けた直後のタオワの脇に数本の矢が突き刺さる。怪物からすればかゆい程度の感触しかないダメージにすらならない攻撃)


サングル(強欲)「生死を堪能できるってのも、ある意味欲望的だよな…俺等。(首と腕を回しながら暴食体から顔を出す)さァて…欲しいもんはさっさといただいてしまおうぜ。( ジャキィンッ ! ! ! )(血液を凝固し生成した刃を右手に纏う) 」

青国弓兵部隊「–––––入ったか!」「いやダメだ浅い、物ともしませんッ!」「武器庫から根こそぎ持ってこい!我々に出来る全てを!果たすべき責務をッ!最善を尽くせッ!!」「騎馬隊は右翼より注意を引け!消耗戦だ、敵勢力幹詳細は不明!幹部達の戦力を温存させることに専念しろ!飼い猫共は我々で食い止めるッ!!」 」

サングル(嫉妬)「……?(タオワに突き刺さった矢に気付き、訝しむ様にその飛来元へ視線を向ける)…虫けら風情が。(弓兵部隊を睥睨した後、血溜りの地面を歩きながらゆっくりとその方角へ歩み寄っていく) 」

サングル(強欲)「お前のその能力―――(ASの背後へ瞬間的に旋回し)―――以前(まえ)の大戦で『 眼 』を通じて見ていたぜ?( ズ ァ ッ ! ! ! )(斬首する勢いで右腕の刃を振った) 」

青国騎馬隊「行けッ!行"け"ェ"ッ"!!」「見敵必殺、見敵必殺!我等が美旗に仇なす全てを、一刀の元斬り伏せよ!!!!」「ウェアアァァァァァァァア了ァァァアッ!!!!」(地鳴りそのものの行進、戦場へ繋がる城門をぶち破り、さながら一個生命体、地を這う龍がごとき騎馬隊の行進が声高らかに、刃と雄叫びを振り上げ、フンダン、タオワを数で飲み込まん勢いで斬りかかる) 」

サングル(怠惰)「( バ ゴ ォ ン ッ ! ! ! )――――んあぁ…見つけたぞ…オイ。(真紀の立つ背後の建造物の壁を突き破り、姿を表す) 」

ミリア「うっ!(体制を後ろに逸らし、ダメージはないものの後方に飛ばされ体勢を崩す)――(死体が再び……!?どうなっているの、一体!)くっ……(先ほどの一振りで単純な力の差を痛感すると、召喚獣相手にどう立ち回るべきか思考するが――)――ッ!(嫉妬が弓部隊へと近く様子を捉え、冷静さを欠いて向こう見ずに駆け出す) 」

サングル(色欲)「…私の召喚獣は"最強"にして"最凶"。人間が幾ら束になったところで、全てを無に帰してしまう。それが私の僕(しもべ)。(抗う兵士たちをよそ目に蠱惑的な薄ら笑みを浮かべる)―――― 終いにしようかしら。 」

サングル(嫉妬)「たくさん始末すれば、きっと王様も姿を出さずにはいられないよね。ククッ…(弓兵部隊に今にも何かを仕掛けようと血液を纏った片腕を広げる―――) 」

真紀「……(王は、無事か…!?)……!!(建造物が破壊された音を聞き、サングル(怠惰)の方を向く)き、貴様は…!(飛びのいて身構える) 」

弓兵部隊隊長「––––– !(その双眼にこちらへ迫りくる未知の恐怖、歩み寄ってくる悪意の具現のような存在に息を飲む。だが)––––– ハッ、虫けらか。ならここで一つ拾って行け、蟻の一噛みを、その痛みを!この国の傷みを……ッ(取り出すはなんの変哲のないクロスボウ。先にタオワへ射たそれと変哲のないそれを水平に構え、一切の震えもなく照準を定め)いざ、我が、刃の御心のままに!(それを嫉妬へ解き放った) 」

サングル(怠惰)「んぁぁ…ッ…お前たちがよォ…潔く王の居所を吐けばよォ…俺ァ面倒な思いをしなくて済むんだよなァ…―――――王は、何処だァ…ッ…!?(ズォッ――――ズシャアアアァァァーーーンッ ! ! ! )(片腕を振り上げ、巨大な掌で真紀を圧砕しようと振り下ろした) 」


――― ビュァ オ  ッ(隊長の放った一矢に続くように、陽光を浴び金の雨あられが如く、弓兵隊の放った矢が一斉に嫉妬一点へ集中放射される。矢、矢、矢、その"先端"はずべてただの刃でしかない)


サングル(嫉妬)「ドスッ―――ドスッ、ドスッ―――……スタ…スタ……(上空より降り注ぐ数多の矢が全身の至る部位に突き刺さるが、依然表情と態勢を変えず、尚も距離を詰めていく) 」

AS「甘い(腕を振り切る手前、強烈な鉄山靠を放つ)たかが背後を取った程度で利を取ったと思ったか?既に知っているから優位に立てると思ったか?(凛と揺れる、刀の頭に付けられた勾玉が輝き)王の膝下で剣を抜いた時点で貴様らにかける温情は一切なくなった(殺意の一切込められていない、純粋に―――鋭い刺突を強欲体の心臓に穿つ!!) 」

ミリア「駄目!逃げなさいッ!!(弓矢部隊へと懸命に声をかけるが、それは雨矢によりかき消され、ただの怒号に成り果てる) 」

真紀「っっ!(振り下ろされた掌を飛びのいて避けるが、地面に掌が叩きつけられた衝撃で若干体勢を崩す)ぜってえ言わねえ…!貴様なんかに教えてたまるか…!(強気な表情を見せるが、よく見てみると体が若干震えている) 」

サングル(強欲)「づッ―――!?(ASの一撃が心臓部を貫く)ごは…ァッ…!(激しく吐血しASの足元に大量の血が流れ落ちる)…ハ、ハハハ…ハハハハ…(ASの耳元で不気味に笑む) 」

青国弓兵隊隊長「にっ–––––––(物ともしないその有様を見据え、大粒の冷や汗を浮かべるも全くの屈折のない眼光で敵影を捉え)––––––我が生涯、我が一念に一切の矛盾、後悔もなし。陛下、今ここに……永遠の遑を頂戴致す……!先王、今参りましょうぞッ!!(何を思ったのか、取り出したのは一本の木の枝、否)ヒュガッツ(空を切り、油を塗った先端を床に打ち付け燃やす。松明をやりのように構え、嫉妬へ一直線に駆け出した)うおォォォオオォォォオオァァ––––––ッ!!!!! 」


ギギッ––––––– (違和感。ただの一矢であれば"重量感"などあるはずもない。だが嫉妬の肉体に刺さる兵士たちの放った矢の一部には"何かが釣り下がったかのような"重量感があった)


サングル(嫉妬)「――――死に絶えろ。( ド ヒ ュ ア ァ ッ ! ! ! )(“血銃”―――手に溜まった血滴を勢いよく投げ飛ばした。それは緩慢空間の中で徐々に速度を増し、音速を越え、鋼鉄をも貫く凶弾となって兵士等を蹂躙していった) 」

サングル(怠惰)「…ぁぁ…ああぁ…ッ…めん、どくせェ…お前みたいな…騎士道とか、忠誠心だとか…んな、めんどくさく、煩わしいもんが…いちいち邪魔に思えて仕方がねェ…!…もういいか…全部潰してェ…それで終わりにして、俺は床に就くぞ。(グググッ―――― ド ォ ア ッ ! !)(巨漢が砲弾の如き勢いで真紀に迫る) 」

AS「敵意で剣は振らない(そのまま強欲体を十字に斬り捨てる)殺意でも振らない(色欲体の召喚した四凶を目に捉え―――『現』がギリギリと唸る)一刀にて我が証を示さん、賊には死あるのみ―――嘗て振るった、殺しの刃で相手をしてやろう(『フンダン』へ強襲する) 」


―――┣¨  シュ ッ (音速を超える凶弾の余波は、ただその速度というだけで貫通した後にその質量を超える大穴を開ける。無慈悲に蹂躙する一撃一撃が、兵士達を悲鳴もなく細切れへと変えていった)


サングル(嫉妬)「ふん、粋がってるn――――!?(隊長の捨て身の核後、否…正確には、彼が手に持つ"火の槍"に表情が僅かに歪む)ダンッ――――― 死ねッ!!(血相を変えて自ら隊長に突っ込み、すれ違いざまに掌による斬撃を刻みこんだ) 」

青国弓兵隊長「  ズヴォァッ –––––––(攻撃を予見してか、大きく状態を反らしたがそれも虚しく、左半身を、消滅したかと錯覚させるほど綺麗に粉々に凶弾が消し飛ばし"絶命する")––––––……・・・・   フッ   (崩れ落ちるその直前、それは前のめりに倒れたからなのか、それとも絞りかす程度の命で放った最後の抵抗だったのか、嫉妬へ松明を投げつけた) 」


――― ジジ―――……  (命の灯火は肉片から松明へ、そしてそれは松明から)––––– シュヴォッ(兵士たちの放った嫉妬の体に刺さる矢、その中に紛れ込むようにくくりつけられた"手榴弾"に引火した)


サングル(強欲)「ブシャァッ、ズブシャッ、ズシャアアァァッ ! ! ! (ASの苛烈な剣戟により無残に斬殺される)――――― "強欲"にゃぁ気をつけな……ドシャァ…ッ… ! ! !(それだけを吐き捨て、血だまりに倒れ伏した) 」

フンダン「――― バ リ バ リ バ リ バ リ ィ ッ ! ! ! ! (色欲体の指示により、背面が帯電する。そして、雷神の如き凄まじい放電を四方八方に解き放ち、兵士もろともASに猛撃を繰り出した) 」

真紀「……!(王、そしてヒロ…!私が守らなくては…!)(迫ってきたサングルの懐へ瞬時に移動し、腹部から横に切りつける) 」

サングル(嫉妬)「――――!!!?(爆炎が広がるその瞬間、脳裏に様々な事が錯綜する。全身に感じる違和感。松明。王への堅い忠誠心―――― 自らが虫けらと嘲笑した青の国の兵士一人一人が取った行動が、自分の予想の範囲を上回っていた事を。だが、それに気づいた瞬間、真っ赤な双眸に猛光が突き刺さり―――跡形もなく爆散した) 」

サングル(怠惰)「ググァァアアァァッ…!!(悲痛な叫びと共に斬られた個所を手で抑え込む)ぁぁ…痛ェ…痛みを感じるのも…ああァ…めんどくせえェ…!!(再び真紀に突撃を仕掛ける。しかし、たださえ挙動の速い怠惰が繰り出した次の突撃は―――"豪速"だった) 」

AS「シャン―――(透き通った鈴の音が響き)今は遥か過去の神威、この世にあってはならぬ―――”散れ”(勾玉が輝き『現』が唸り―――一刀にしてフンダンの放つ雷撃を『まるで夢であったかのように』かき消してしまう)人機の世に、貴様ら神獣の住まう余地は無い。伝記の記述へ還るがいい!(唸る『現』が振り抜かれ、フンダン―――『伝説』に語られる神獣を、『あってはならぬ』と拒絶する―――『非現実特攻』が発動する!!) 」

サングル(傲慢)「…嫉妬がやられたな。Oh、shit…なんてな。(下らないジョークとは似つかわない冷淡な表情で、爆散した怠惰ではなくミリアを凝視している)…貴様に問う。王は何処にいる。 」


―――― パ  キ  ャ  ァ  ン  ッ ―――― (だがしかし、ASの"その能力"は虚無に消え去った)


タオワ「ズグギャゴォンッ ! ! !(能力が不発に終わり隙を晒したASを剛腕で薙ぎ払い、建物に激突させた) 」

ミリア「――(惨劇を見据えると、そこで起きた理に目を伏せようとするが、ここで心が折れてしまってはなんの為に彼らが散ったのか、無駄死にになってしまうと感じ入り)……あなたが王に会うことはありません…………死んでいただきます。せめて、あの勇敢な戦士達が寂しくならないように、死んでいただきます(細剣は震え、声は強張っている) 」

真紀「…(よし、決まった…!次は………!?)(怠惰の方を振り向き、第二撃を喰らわせようとしたが、豪速の彼は、その時既に彼女の眼前まで来ていた)…ぐはぁっっっ!!(突撃を受け、背後にあった建造物に叩きつけられる) 」

サングル(色欲)「(タオワとフンダンを携え、愉快そうに吹き飛んだASを見つめる)…貴方、強欲の私に何か言われなかったかしら?例えば…そう…――――「強欲には気をつけな」って。ふふっ。 」

サングル(傲慢)「…そうか。だが、生憎死ぬのは貴様等の方だ。…ス…――――(そう言うと跪いて静かに右手を地面に添える)――― さらばだ娘。"故郷と共に沈め"。 」


―――――  ド         ォ       ゥ       ッ  ―――――(刹那、傲慢体の前方にある街並みが一瞬で陥没する。ミリアが経つ足場が瞬間的にサイコロの様に分解され、街の一部分が奈落の底へ沈もうとしている)


サングル(怠惰)「ぬがあああぁぁぁッ!!!(ガシッ――――ズガガガガガギャアァァンッ ! ! ! )(その後彼女の全身を片手で掴み、そのまま隣の建物の壁に擦り付ける様に押しつけるという容赦なく追撃を仕掛ける) 」

法衣の男「ザ ン ッ―――(怠惰体が猛攻を仕掛ける最中、駆け抜けるようにして横から現れてその巨体を一閃する) 」

AS「パラパラ―――(煙の向こうから、付着した瓦礫を払い出る)・・・非活性を無理に俺が発動させているのが仇になったか、面倒だな。(ペッ、とつばを吐く)だが変わらない、貴様らは『処理』する。(ビリビリと、左腕が帯電する) 」

ヒロ「………(城内の自室の窓から戦況を見ている)戦いはどんどん激しくなって来てるな…もし城まで迫って来たら守ってやるからな、カズミ…(本来はそこにいるはずのない少女の名を発し、壁に向けて話しかける) 」

サングル(怠惰)「ぬがああぁぁぁ―――― ブ シ ャ ア ア ァ ァ ァ ッ ! ! ! (――――!!?)(突如として現れた男の辻斬りに、巨体から血が勢いよく噴射する)ぐ…ぉぁ…ッ…?グオオオォォォ…ッ…!!(痛みによろめき退行する)」

ミリア「――(私の力ではこの強敵に傷をつけることも不可能に近い……ですが……)私の魔力(マナ)を、とにかくありったけを【貴方】に注ぎます(拡散する大地に、わずかな怯えを見せながら、細剣全体から透明なオーラが発生する)ズォンズォンズォン……(剣から発生するような音ではなく、巨大なプロペラが犇めくような膨大な音が響き渡る)ヴォン!(ありったけを地面に叩きつけると、沈みかけていた街が)ズォォォ……(奇妙にも、静止する) 」

法衣の男「全く、彼を怒らせるなんて君達は無謀なことをしたね。(ため息をつき、右腕から強烈なフラッシュを放ち目眩ましを仕掛け)おかげで―――(そして、怠惰体へ流れるように―――ただ一振りで『同時に剣閃を二連』放つ!!) 」

真紀「っっ…(体を掴まれるが、先程の衝撃から身動きすら取れない)っ!うあぁぁぁぁぁぁ!!!!!(壁に押し付けられ、悲痛の叫びをあげる) 」

サングル(色欲)「貴方が他者の能力を無力化できる様に…強欲もまた同じ事が出来るの。死に際に貴方の能力の一つを潰してくれたみたいね。さあて…そう上手くいくかしらね?(パキィ―――ン !)(再び掌を合わせる) 」

プレザ「(城内の一室にて)……そんなに気になるなら、お仲間に入れてもらうのね。ボウヤ。(ヒロに) (CV‐佐藤利奈) 」

タオティー&チョンジー『―――ズシャアアアアアアアァァァァァァーーーーン…ッ… ! ! ! (上空に展開された魔法陣から更に残りの二体が召喚される。それぞれ虎と牛を思わせる化け物が現れ、ついに四凶が集合する―――)』

サングル(傲慢)「何っ……?(…俺の“インサルト”の脅威を回避したか…ただの小娘ではなさそうだな。)(ミリアに対する警戒心が強まったかのように目を細め、左腕が液状化する)…直々に葬ってやる。(ジャキィンッ ! ! ! )(液状化した左腕が刃状に凝固。爆発的な脚力で一気に間合いを詰め、ミリアにその刃を振りおろそうとする) 」

サングル(怠惰)「んぐぉぉぉおおッ…!!?(肉片が削ぎ落され、更に血飛沫が上がる)ご…ごが……おま゛…え゛ぇ゛…ッ…!!(巨大な掌を広げ、今にも男を握力で圧砕しようと襲いかかるが…) 」

ミリア「王が築くこの街を守るためであれば、私は命を投げ出す覚悟です(負けられないのです……!)ヴ ォ ン ッ ! 」


グギャアアアアアンッ!!(傲慢がミリアに振り下ろした刃は、彼女の正面上で壁にでも当たったかのような跳ねっ返りが起きる)


法衣の男「本当に、本当に久しぶりに―――僕が出る事になっちゃったじゃあないか。(流麗、止まることなく美しい剣閃を三連。微動だにせず放ち満身創痍の怠惰体を斬り捨てる) 」

ヒロ「ここを離れるわけにはいかないさ…ここで守らないといけないものがあるからな…(彼が見つめていた壁にある大きな木箱に目を向けながらプレザに)) 」

サングル(傲慢)「ッ…!?(見えざる障壁か…だが―――)(ブォンッ―――― パ キ ャ ァ ン ッ ! ! )(虚空を手刀で薙ぎ払うと、自らを遮るその見えざる障壁が打ち砕かれる)俺の相殺能力(インサルト)で抹消(け)せないものはない。そして、お前も―――(大地を一瞬で消滅させたあの右手を構え、ミリアの顔面を掴もうと襲いかかるが―――) 」

ミリア「【影の薄い巨人】(呟く程度の声量で、目の前に佇むサングルに顔を上げる)私の魔力を振り絞って、剣を伝って街の振動を止めました。剣は私の魔力を吸い尽くして起きながら、すぐに何処かへと魔力を放ってしまいました……代わりに”空気”に混在する魔力を頂くのです――空気のように透明にして莫大な魔力を啜る細剣。見た目は細くても……今あなたの攻撃が跳ね返ったのは……そこに”見えない私の剣”があるからです。あなたが今消し去ったその障壁―― 」

サングル(怠惰)「ぬ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ッ゛!!!( ズ ブ シ ャ ア ア ア ァ ァ ァ ッ ! ! ! )グラ―――― ド シ ャ ア ア ア ァ ァ ン … ッ … ! ! (ついに痛みに耐えかねた体から体内の血液すべてが溢れ出た様に強く噴射され、ついにその巨体は崩れ落ちたのだった) 」

真紀「(こ、こんな攻撃…避けられるはずがない…!あぁ、このまま私は殺されて……!?)ま、まぶしっ…!(法被の男のフラッシュに目を閉じる) 」


ズォンズォンズォンズオンズォンズオンズオンズオンッ!(サングルの四方に飛び散った”見えざる障壁”に残った魔力が、ミリアの剣に戻ろうと音を立て、サングルの背中から刃物となった空気が一斉に飛びかかってくる)


AS「確かに俺が”不活性状態の『現』”の力を”能力で引き出していた”のは確かだ―――ならばもう、札を隠す必要はないな。(ゆらり、刀の頭に付けられた勾玉を取り)能力は封じられた―――だが、この刀単体の力で使えれば、何の問題もあるまい。(そして、眩く輝く勾玉を『現』が取り込む―――) 」

ミリア「私が街を止めた魔力そのものです、返して頂きます!! 」

プレザ「……それが護るべきもの…? ……つまらないわね……本当に。(CV‐佐藤利奈) 」

法衣の男「さて、と。(真紀の前で膝を折り、応急手当を施す)すまないね、僕はあまり表立って戦える人員じゃないから・・・準備に手間取ってしまった。君はもう後方に戻るといい、後は全て『片付ける』から。(そして、颯爽と立ち去る) 」

ロゼ「  ジ ャ ラ ッ  (戦士達、英雄達、現役の悪徳。それらがひしめく戦場には似つかわしくない影が一つ)–––––シャバの空気だぁ。あれ、なんかまっずいぞぉこの空気(手枷、足枷。重厚な鎖の音。蒼秤総裁機構における"生かされた"唯一の囚人がそれらを引っさげ、白いローブ一枚羽織っただけの姿で花の根のような桜色の長髪をなびかせその場に颯爽と訪れる)–––––– あれ……。ああ、つまりそういう……(吉か凶か、どさくさに紛れ出所した彼は、偶然にもタオティー&チョンジーという二体の巨影の前に立ちふさがってしまった)やぁ、こんにちは。ご機嫌いかが? 」

サングル(傲慢)「なッ―――(しまった…ッ…他の分身体がやられ、『 眼 』の共有が追いつかな――――)――― グア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛…ッ…!!!(振り返る間もなく、その背に想像を絶する激痛が走る)…ッ…ぎ、ぎざま゛ぁ゛…ッ…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛――――― ブ シ ャ ア ァ ッ ! ! ! (全身が破裂し、傲慢体がいた個所を中心に血が拡散した) 」

チョンジー「ボアアァァァァッ!!!!(ロゼを視界に捕えるや否や口内から爆炎を解き放った。その豪火は次々と街々を焼き尽くし、天まで火柱を上げる) 」

ヒロ「つまらない、だと…!?貴様に何がわかる…? (キッ、とプレザの方を睨む) 」

サングル(色欲)「(…とうとう私だけになってしまったか…)…そっ。それなら私も教えてあげる。本体を除いた『サングル』の中で、色欲(私自身)が最も罪深いってことをね。(タオティーの頭部に移動。四凶を手繰り戦士たちの前に台頭する) 」

真紀「す、すまない……力になれなかった……(応急手当を受け)あ、ああ…(立ち去る法被の男を見て)…(確かに…今の状態で行ったところで……ただの足手まといにしかならない…か…!)(ふらふらとしながら後退していく) 」

フンダン「バジバジバギャアアアアァァァァンッ ! ! ! ! (背面から黒雷を前方に放出し、大地や街々ごと戦士らを焼き焦がさんと襲いかかる) 」

ミリア「……街を陥れようとした『傲慢』が、私のこのステルスタワーを発動させたのです……感情も抱かぬまま死に、勇敢な同胞と共に行きなさい―― 」

プレザ「あらこわい………そろそろ持ち場に戻るとするわ。(まるでからかっているかのような態度を示し、部屋をあとにする) (CV‐佐藤利奈) 」

ロゼ「不機嫌なようだね。じゃあ言葉はいらないかぁ、うーゎ(明る様嫌そうな顔をし眉間にしわをよせ) ト      ン  ッ   (たった一度の蹴り、それも素足で硬い床石を打つようなそれで一瞬にしてその巨体の頭上へ移動し、ふわりと髪を広げ薄く笑む)––––––じゃぁ仕方ない。ところで誰か足枷の鍵––––––ヴ ォンッ (そのまま空中で頭髪で円を描くように大きく一回転し、足枷にくくりつけられた巨大な鉄球を軽々とチョンジーの頭上へ振り下ろす)––––– はなくってもいいか!! 」

チョンジー「―――― ズ シ ャ ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ー ー ー ー ー ン ッ … !  !  !  !  (ロゼの鉄球が見事に脳天に炸裂。人類を慄かす怪物が、いとも容易く地に堕ちたのだった) 」

AS「―――ユラリ(無名刀『現』の刀身が、さも蜃気楼のように揺らめく)あらゆる神話は終わりを迎え、神々は世界から立ち去った。ならば貴様ら幻想は滅ぶべし、この地に住まう場所はもう無い(ビリビリと刀が震え、フンダンの放つ雷撃に触れる―――瞬間、その神威を『拒絶するように』霧散させる―――刀の秘められし力が解き放たれた)幻想は、幻想に再び還るのだ!(そして、そのままフンダンへ肉薄、振り抜く―――『非現実特攻』もまた、刀のみで発揮される) 」

フンダン「 ザ キ ィ ―――――――― ン … ッ … ! ! (振り抜かれし一閃。空間ごと斬り落とされた四凶の一体が消滅した) 」

ヒロ「フン、なんだアイツは…っとごめんな、ついバカにされてムカついてしまったからな…(プレザが部屋を後にした直後、再び壁に向けて話しかける) 」

タオワ「――――― ズ  オ   ッ   !   !   ! (フンダンが斬り落とされた瞬間、隙を突くかのようにASに突撃を仕掛けようと急襲するが…) 」

サングル(色欲)「…ッ……(こんなことって…っ…)(猛威を振う戦士たちの快進撃に狼狽の色が露わになる)――― 調子にならないでくれるかしら!? 」

タオティー「 ズ ォ … ―――――― バ シ ュ ア ア ア ア ァ ァ ァ … ッ … ! ! ! ! (色欲体の合図に口内から黒い息を吐く。その吐息は大地を腐食させ、地に横たわる兵士らの遺体でさえ瞬く間に骨となり、やがてその骸さえも溶けてしまうほどの凶悪なものであった) 」


ロゼ「ジャラッ   ┣¨ズゥン’(四肢の自由を制限されたままなんら不自由なく着地し、遅れて墜落して来た鉄球が床石に深いクレーターをきざみつける。その余波で髪が浮き彼の背にはチョンジーが崩れるが胃に止める様子もなく辺りをキョロキョロと見渡し)–––––"姫様"がいないじゃないか。ともすれば君たちは付いていない。僕は"鞘がない"剣だ、ただ美旗を真紅に、血染めに染め上げる刃であればよかったのだから(光のない虚ろで大きな水晶のような瞳をパチクリさせ、背越しに色欲に語りかける)––––– 八つ当たりにもならなそうだ、君は一方的にバラされる気配がない 」

AS「去れ、伝承の獣達よ。此処は貴様らが語られる時代ではない!(刃が蜃気楼の如く揺らめき、霧散―――散った霧から、刃がタオワの真横に現れる。当然、その刃は『伝承の獣』であるタオワを拒絶する特攻が発動する!) 」

ロゼ「––––– ああ、でもでも、不愉快だ。この有様を(兵士の骸、兵士の死骸一つ一つを悲哀に満ちたようで、彼らの死に悲しめない目を涙に揺らし)姫様は嘆くだろう。 だから、今の僕はただの剣だ、"僕そのものが刃であればいい"(四肢を封じられた囚人でありながらも頭髪一本一本を、草木のようにざわめかせ、踵を返しタオジーの放つ毒気に触れる寸前の距離まで歩を進める。彼は"狂えるオルランドゥ"ただの帽子屋であった囚人。"姫様"を緑の仮装国に屠られ、理性を失った剣そのもの) 」

タオワ「 バ ズ ン ッ ――――――― (四凶は断罪剣に喰われ、その身が朽ちていく) 」

タオティー「ゴギュルルル…ッ… ! ! (毒牙を光らせ、黒い吐息を零しながらロゼへと迫る―――) 」

ロゼ「 ト  ン ッ  (迫る毒牙に動じず、まぶたを閉ざし腰を屈め、地に掌を受ける)『呼び覚ますは母なる海の悲嘆、父なる大地の咆哮、英は罪悪、天は閉ざせり、我が友、我が隣人、ヒトの織りなすべからずは夢幻と返せり。故に我は–––––––』      オ ン ッ    ジャラァッ(そして彼の手に触れた地には一輪の巨大な幻影の花が咲く。そこより出でし無数に輝く花の根と共に空へ落ちるかのごとく飛翔し)『–––––– ノルド・エンデ<閉ざされし永劫の冬>』 」


キ" ュ   ァ     オ  ッ    ツ    (彼の言葉の通り、彼自身を軸に点を穿つかのように登った無数の花の根は束なり、一振りの刃へと昇華した。それは大気を切り裂き、金切り音とともに"ヒト"の織りなす倫理善悪法、全てを害と笑う災厄となってタオティーを含む色欲達へ向かって降り注ぐ)


サングル(色欲)「これは…―――――――――!!! 」

タオティー「―――――     ズ      オ      ッ     ――――――(純白の華弁の前に、混濁たる怨恨は昇華する――――) 」

サングル(色欲)「("色欲"として生まれたなら、最後は華々しく散りたいもの… やはり私は、この世で最も―――――――) 」


――――――         オ         ゥ         ン         ッ       ――――――



サングル(憤怒)「――――…コツ…コツ……コツ…… …… …… 」

サングル(憤怒)「……眼と心臓、そして血肉が失ったか。(城へ向けて歩みを進める最中、その足を止め瞳を閉じる) 」

サングル(憤怒)「…軽い気持ちで踏み入れたのが誤算だったか。…いや、そうではない。(瞼がゆっくりと開かれる) 」

サングル(憤怒)「…『女王』が眼につけたあの『王』の国であったからか。…なるほど。…考えてみればあの皇帝もかつてここにいた。 」

サングル(憤怒)「…だとすれば、この『国』は…『我等』に勝るとも劣らない…あるいは…――― 」

サングル(憤怒)「…… …… …… 」

サングル(憤怒)「……妄言はいいだろう。いずれにせよ、『女王』もこの国の『王』も、そしてこの世界そのものも…凡て俺が平らげるのだからな。 」

サングル(憤怒)「――― " 血 沸 き 肉 踊 る 刻 は 近 い " ――― 」






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最終更新:2019年06月26日 20:06