ホットココア

《ホットココア》


これは…ほろ苦くも甘い、温かな愛を感じた青年と猫の話。


+ 過去ログ
~寄宿舎前の公園~


制服の少女「にゃ~……(誰もいない、街灯の光だけが差し込む夜の公園のベンチに野良猫…否、黒い制服の少女が横になっている。彼女は何かに苛まれているかのようにうなだれていた) 」

ヒロ「………(寄宿舎から出てきて公園に入る)……?(猫の声?) 」

制服の少女「うにゃ~……(よく鳴くが張りのない声が園内に微かに響く。ベンチの上でだらしなく舌を出し、その小さなお腹を静かに撫で回している。どうやら空腹に苛まれているようだ) 」




ヒロ「………?(制服の少女に気づく)……もしもし?一体どうしたんだ?(制服の少女に) 」

制服の少女「にゃ~……クンクン……!(ブロンドのおかっぱに、黒いフードで僅かに覆われた碧眼をした少女。彼の接近を察知してその瞳をゆっくりと開けると身を起こし、彼の体に鼻を突きつけ匂いを嗅ぎ始める)……にゃにゃにゃ!(彼の体から「食べ物」の匂いを嗅ぎ分けた少女は、彼に何かを強請るように手をくいくいさせる) 」

仙狐「 (寄宿舎前で清掃中)…うんにゃ? ……?(猫のような声を頼りに公園のほうへ)……! 」

ヒロ「………え?なんだ?腹空いてるのか?(ポケットからフードパックに入ったハンバーグを見せる) 」

制服の少女「ピコーン ! (アホ毛が逆立ちその勢いでフードが脱げる)はむはむ…っ…(彼の手にあるハンバーグにおもむろに食らいつく)……んにゃ~…♪(口にケチャプが付いた顔で満面の笑みを浮かべる) 」

ヒロ「お、美味しいか?それは良かった………お腹すいてたのか? 」

仙狐「 うにゃ、おぬし……!ど、どうしたのじゃ、このようなところで寝ておって……風邪をひいてしまうではないか。(制服の少女に) 」

制服の少女→ココア「にゃーん。(ヒロの言葉に応えるように、猫の鳴き声のような返事をする)……(ふと、じっとヒロの顔を見つめる。よく見るとその首輪に、「ココア」と幼い字で書かれた認識票(ドッグタグ)がぶら下がっていた) 」

ココア「にゃー…?(仙狐さんに小首を傾げ、ふるふると首を振る)っ~~~!(両腕をぐぐっーと伸ばし、一つ欠伸をする) 」

ヒロ「ん、そうか。まだ食いもんはあるからたくさん食ってくれな(おにぎりとかパンとか入ったレジ袋をココアに)………?(認識票を見て)ココアちゃん…それが、君の名前か? 」

仙狐「 お、おぉ、起きたかの。……お腹が、空いておったのか。……そうじゃ!ゴソゴソ(自分の懐を探り)あったあった…ほれ、おぬしにこれをくれてやろう。(ココアちゃんに油揚げを差し出す) 」

ココア「……!(レジ袋の中にあるたくさんの食べ物に目の輝きが更に増し、涎も垂れ流す)にゃっ、にゃっ…!(否応なしにがっつきだす。何でもおいしそうに食べるその様は、可憐な少女にはに似つかわしくなかったものの、それを感じさせないほど幸せな顔をしていた)にゃー……?(食べかけの食べ物を両手に、ヒロに傾げる) 」


「ココア」―――――その名前を目にした時、ヒロの中で何か懐かしい思い出が一瞬よぎる。しかしそれが何の思い出だったのかは、すぐに思い出すことができなかった。


ココア「にゃー♪(仙狐さんからいただいた油揚げにも目移りし、次々と口の中へと放り込んでいく)んにゃぁ~♪(=´∇`=) 」

ヒロ「お、美味しそうに食べるなぁ~、幸せそうに食べる子は、俺は好きだぞ!(ニコニコしながらココアに)(…なんだ?なんか、懐かしいような感覚が…?)…お、仙孤さん。こんばんは!(仙孤に) 」

仙狐「 おぉ~、随分と美味しそうに食べるのう~♪(ココアちゃんの満足げな顔を見て連鎖的に仙狐さんも満面の笑み) おや、おぬしは確か……比呂じゃな!(ヒロに) 」

ココア「にゃ~…(空腹を満たされ、満足そうな笑みを浮かべてしばらくした後…)……(再びヒロの顔を見つめる。とても透き通った碧い瞳に人間とは思えないほど整った美顔。しかし、それ以上にヒロには彼女に何か感じるものがあった。)にゃー…(突然のヒロの頬に人差し指でぷにっと突く) 」

ヒロ「…………(ココアの顔を見て)…(何だ…?この、感じ…?俺はこの子に対して…何か特別な感情がある…?)うぉっ、ど、どうした?(頬を突かれ) 」

ヒロ「…まぁ、好きな感じでいいさ。なんかかっこいいしな…どうしたんだ?そんなところで?(仙孤に) 」

ココア「うにゃにゃにゃにゃ(=`・ω・´)っ(これでもかというくらい彼の頬をぷにぷに突く)……にゃっ♪(=^ω^=)(まるでヒロに懐いているようで、彼の反応を見ては面白そうに笑っている) 」

ヒロ「……やったな、お返しだ~!!!(ココアの頬を両手でスリスリする) 」

仙狐「 別に、どうしたというものでもないのじゃが。そこの…寄宿舎の清掃をしていたら、何やら子猫のような声が聞こえてきたので気になって来てみたのじゃ。(ヒロに) おっ?おぉ…♪おぬしは人気者じゃのぅ~♪(ココアちゃんを見て、ヒロに) 」


―――― ダメじゃないか「ココア」。勝手に抜け出したりしちゃあ。




ココア「にゃ~ん…!(=`ω´=)(頬をすりすりされ怒っているのか笑っているのか判断しづらい表情を浮かべる)――――ビクゥ ! (ヒロと仙狐のものではない、第三の声に突然体が跳ね上がる) 」

Dr.@「(その声の主は、いつからそこにいたのか、滑り台の上からヒロたちを見下ろしていた) まったく君という子は…いつもいつも勝手に何処かへ飛び出して…ほんとーに悪い子だ。――――お仕置きが必要かな?(月光を背後に、銃型注射器「シリンゲス」を取り出し悪魔の如き形相で嗤う) 」

ココア「にゃぁ……(ヒロの背に隠れ、彼女に酷く怯えるように体を震わせている) 」

ヒロ「んー、なるほど。ココアちゃんの鳴き声を聞いてきたわけだな?…ん、どうやら…そうみたいだな。(ココアを見て仙狐に)おいおい、怒ってるのか~?ごめんごめん(ココアの表情を見て)………なんだ?あんたは!(Dr.@に気づき) 」

ヒロ「…………しばらく、俺の後ろにいるんだ。君は守るから(自身の背に隠れたココアに対し) 」

仙狐「 ……!な、なんじゃおぬし…… ……!? 。。。(この子供……怯えておる……!) なっ、何をする気じゃ!?(銃型注射器を見てDr.@に) 」

Dr.@「その娘はねェ~、私のかんわいぃ~「ペット」なの。だーいじなだーいじな、ね?(「よっ」と飛び降りる)でもね、ただのペットじゃないのよ。なぜならその娘は…私の薬によって――――"人の姿に変えられちゃった"にゃんこ、だから。人の言葉を話さないのはそのためなんだよね。 」

ヒロ「………元は猫だと言うのか?それを無理やり人にした…?(Dr.@の話を聞き) 」

仙狐「 ……!人に、変えられたじゃと……っ?人の言葉を、話さぬ……猫……!では、先程聞いた猫の鳴き声は……(ココアちゃんを見て) ………のぅ、比呂よ……これは……わらわでも、何となくは解る。………〝人体実験〟の類じゃ。格好からして……その道の者。つまり………エゴの塊なのじゃよ。(ヒロに) 」

Dr.@「そっ。この世界では見ない猫種だったから、気になって調べたみたんだ。すると驚いたことに、その子には驚異の生命力が備わっていることが分かった…つまり"歳を一切取らない"んだよ。原因はおそらく、この世界に漂う「混沌」…または「エーテル」によるものかもしれないが、いずれにせよ興味深い実験材料だったから拾ってみたのさ。 」

Dr.@「そして、人間になってもその生命力が維持されるかどうかも研究するために、擬人化してしばらく観察した。すると驚いたことに、人の姿になってもその娘は永遠に成長しない、すなわち彼女は"不老不死"の体現に成功したんだよ。 」

Dr.@「こんな素晴らしい実験体を手に入れた私はね…また一つ思いついたんだよ。私が考えた『究極のプラン』…その実験体としても利用できるのでは?ってね。 」

ヒロ「…………人体実験………!そ、そんな、ことを平然とやるような奴だってことか…!?(仙狐の話を聞いて)…き、貴様!!!何が目的だ!!!!(Dr.@を睨む) 」

ヒロ「…………彼女と同じように不老不死の存在を………増やそうと言うのか!?(Dr.@に) 」

仙狐「 あまりに突然な事すぎて、わらわも正直まいりそうなところじゃが………解せぬ。生きとし生ける者達の尊き生命〔いのち〕を……こうも蔑ろにするとは……!(怯えるココアちゃんの姿を見て、怒りが込み上げてくる) 」

Dr.@「不老不死の生命の量産…それも面白いけど、かつてそれをやろうとして失敗した組織があったね。事例があるからわかる。それは計算上不可能だって。だから私は違う方向性に至った。…君たちは知っているか?この世界で、最も強大な力を有する戦闘民族がいることを。彼らは世間一般では『マイテイ人』と言われている。私は彼らの底知れない力の源に興味を抱き…そして閃いた。それは…――――ただの人間を、彼らと同じようにできないかと。 」

Dr.@「そこで考えたプランこそ…『マイテイプロジェクト』。一般人類を戦闘民族「マイテイ人」に進化するプラン。純粋な種族の遺伝子物質を対象者に注入することで…人工的に生み出すことができるってわけ。 」

Dr.@「もっとも、口では簡単に説明できるけれども…その成功率は極めて低い…だからこそ、驚異の生命力を持つ「ココア」を利用するんだよ。実験に実験を重ね…結果、やはり私の計算通り、彼女は初の『量産型マイテイ人』…その先駆者として完成したんだ♪あっははは♪ 」

ココア「にゃぁ……(ヒロの背後で、尚も彼女に怯え続けている) 」

ヒロ「……………マイテイ人…聞いたことある……あんたは、その量産型マイテイ人で…………どうするつもりだ!?(Dr.@に)………(背後で怯えているココアを抱きしめ、安心させる) 」

Dr.@「マイテイ人の量産を行い…私が思い描く理想の世界…その世界に住まう新人類を生み出す。マイテイプロジェクトはそのための一環に過ぎない。(そしてココアの方へ視線を向ける)…まっ、完成したとはいえやはりプロトタイプ…副作用もある。だから定期的に催眠薬を注入しないと、彼女はマイテイ人の血に目覚められない。…君たちも味わってみるといいよ。史上初の量産型マイテイ人―――(刹那、ヒロたちの前にいた彼女の姿は消え)―――その圧倒的な"力"をね。(瞬間的にココアの背後へ出現し、彼女の横腹にシリンゲスによる投薬を行った) 」

ココア「んに゛ゃ゛ぁ゛ッ…!(――― ド ッ ク ン ッ ! ! ! )(薬品を注入された直後、彼女の体に異変が発生。碧眼の瞳が赤く変色、赤く発光しだす)――――ンニャァッ!!(そして、突然ヒロに強烈な猫パンチを繰り出し、彼を強く殴り飛ばした) 」





Dr.@「ははははっ♪お仕置きにかなりキツめの薬をぶちこんじゃったから、もう私の手に負えられないかもね★(テヘペロ)(そう告げると不敵な笑みを浮かべながら夜の闇に消え去った) 」

仙狐「 聞いておれば……先程から自分勝手にベラベラと………黙らぬか!フシャァァァッ!!(Dr.@に猫科の如く威嚇)おぬしがたとえ、いかなる志を抱き、いかなる理由であろうとも…………人の世を脅〔おびや〕かしてまで得るべき平穏など……ありはせぬ!(Dr.@に) ……っ!?あっ…ああぁっ…!!(暴走してしまったココアちゃんを見て) 」

ヒロ「!?…ぐぁぁぁっ!!!!(殴り飛ばされる)こ、こいつ…!彼女に何を…!(ふらふらと立ち上がる)……下がってるんだ!!!!ここは危ない!!!(仙狐にそう叫び、ココアに向かう) 」

仙狐「 うっ……じゃが、おぬしは…!(下がるように促され、ヒロに) 」

ヒロ「俺は闘う……彼女を放ってはおけない!!!(土で銃を生成させる) 」

ココア「フシャアアァァァ!!(それはもはや子猫の可愛らしい威嚇とは違う、猛獣の咆哮。すさまじい闘志と殺意を含んだ赤い瞳でヒロを睨みつける)―――― シ ュ ン ッ !(ヒロに対し、圧倒的な速度で駆け出し)――― ド ゴ ォ ッ ! ! ! (圧倒的な速度から放たれる強烈な正拳突きがヒロの腹部に炸裂) 」

仙狐「 なっ……!(ヒロの土能力を見て)お、おぬし……その、妙な力は…… 」

ヒロ「ぜってぇ、目を覚まさせてやる!!!ここであんな奴に利用されたままで終わらせてたまるかよ!!!(2つの拳銃を生成させ、弾幕を張るようち乱射) 」

ヒロ「……ぐはぁぁぁぁ!!!!(正拳突きを喰らう)くぅっ!!!!(正拳突きをかました腕を掴む)………俺に与えられた能力だ。土を自由自在に操れる。硬さも自由に調整できる…! 」

ココア「ヒュンッ―――ヒュンッ――ヒュンッ――――(疾風の如く駆け抜け、土の銃弾をその身に受けることなく軽々と回避していく)ガッ…グルン―――ドゴォッ ! (ヒロに腕をつかまれるが、軽い身のこなしでそのまま彼の頭上へ弧を描くように飛びあがり、回し蹴りを炸裂させ蹴り飛ばした) 」

ヒロ「……くっ、腕を掴んでも…ダメっ…かぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!(回し蹴りが直撃し、地面に叩きつけられる) 」

ココア「 シ ャ キ ィ ン ッ ! ! ザッ…ザッ……(猫の手から鋭い爪を突出させ、ヒロへとじわじわ接近する) 」

仙狐「 そなた……人の子では、なかったのか……!(雑念を振り払うかのように顔をぶるぶる振る)ならば、わらわは………わらわの持てる、最善の力を以ってして挑むとしよう!(自らの周りに蒼い狐火を出現させ)――――――――ゆけっ!(蒼い狐火をココアちゃんのほうへ向かわせて纏わりつかせる) 」

ヒロ「……人の子ではないといえば違うというべきか…彼女とは逆さ。人だったのが人じゃないものにさせられた…というべきか(仙狐に)………死ぬなよ…!(爪には爪をと言わんばかりに、両手の指先から土で生成された爪を生やす) 」

ココア「―――!ン゛ニ゛ャ゛ア゛ァッ!!(全身から溢れ出す闘気が猫の姿形となり、仙狐が放った蒼い狐火に合わせて、こちらも同じ数の猫型闘気を放ち相殺させる) ガ キ ィ ィ イ ン ッ ! ! (ヒロの爪とぶつかり合い、鍔迫り合いになる)フゥーッ……!!!(以前勢いの劣らない殺意を込めた表情をヒロに剥き出すが…) 」


再びヒロの脳裏に何かが過る。色褪せた光景。見慣れた風景。何処かの街。何処かの家。何処かの部屋。一人の少年と、一匹の子猫。


ココア「 ニ ャ ア ッ ! !(拮抗中にヒロを水平に蹴り飛ばす)シュンッ――――(その後、足音一つ残さずその場から消え失せる。園内を凄まじい速度で駆け抜け、ヒロと仙狐を翻弄する) 」

ヒロ「………くっ……!!!絶対、君の目を、覚まさせ……!!!(脳裏によぎったものに対し、動揺した表情を見せる)(なんだ…?なんだってんだよ…!? 」

仙狐「 むむっ…!むぅ……やはり、わらわの力では、こんなものか……(狐火を相殺されてしまい、自分の手のひらを見つめながら) 」

ヒロ「くっ……!!!(水平に蹴り飛ばされる)………なっ……!消えやがった…!?(凄まじい速度で駆け抜けられているため、動けずにいる) 」

ヒロ「………!(仙狐の様子を見て)…下がっているんだ!ここで君がやられたら………この後誰が俺を甘やかしてくれるというんだ!!!!(ぉ(仙狐に) 」

ココア「 ド ッ ギ ン ッ ! ! ! (高速移動中に“アンビション”をその両腕に纏い、黒く変色する)――――ニャアァッ!!( ド ゴ ォ ッ ! ! ! )(大地をもかち割る強大な一撃をヒロに炸裂させた) 」

仙狐「 わっ…!な、今度は何じゃ……!? これは…………――――――――――――(その場でそっと目を閉じ、瞑想に入る) 」

ヒロ「ぐ、ぐおおおおあああああ!!!!!(強大な一撃を喰らう)……(今だ…!)(自身とココアの足元を見る) 」

ココア「――――!(ヒロにつられ、自分のその足元を見つめる) 」


シュルルルルッ………!!!(その瞬間、地面から蔓のようなものが出てきて、ココアの両足に絡みつく)


ココア「ンニャアアアアァァァッ!!!(蔓によって両足を拘束され、自慢の脚力を駆使した高速移動を無効化される) 」

仙狐「 ん……?(目を開ける)……!お、おぉ、動きを抑えたのか! 」

ヒロ「どうやら、捕まえた様だな……ここが公園で良かったぜ、何もしなくても辺り一面土だからこういう芸当ができるからな…引っ張ろうが無駄だぜ、この蔓はここの地面全体と完全に同化してるから……(拳を構える)…あんまこういうことすんのは好きじゃねえがしょうがねぇ…………どうか……目を覚ましてくれ!!!(ココアに向けて拳を振りかぶる) 」

ヒロ「…ある意味、この力と地形を最大に活かした戦い方とも言えるな…(仙狐の方を見て) 」

ココア「―――――! 」


(To ヒロ L or R ?)  L:ココアにトドメをさす  R:ココアを抱きしめる


仙狐「 まっ………待たぬか!!(拳を振るおうとしたヒロの前に立ち塞がる) 」

ヒロ「………!!(立ち塞がった仙狐を見て拳を止める)……!そうか、ここで暴力に訴えても、意味はない……のか…?(仙狐が立ちふさがったことで、冷静になる)………優しさ、それが…応えか?(R:ココアを抱きしめる) 」


ココアをそっと優しく抱きしめたヒロ。その時、彼の脳裏に度々過ったあの光景が、再び蘇る。それは彼が混沌世界に誘われる前、すなわち彼がまだ地球にいた頃のこと――――


おーい、「ココア」ー。ご飯の時間だぞー。


にゃー!


はははっ…お前は何でもよく食べるな。近いうちに大きく育つかもな。


にゃーん…!


彼女に触れて、彼はようやく気付きだす。ある日突然失踪した愛猫「ココア」…―――同じ名前を持つ目の前の少女こそが、彼が共にしていた「家族」だということを。


BGM♪



ココア「……(彼女を纏っていた殺伐とした闘気が浄化され、赤く染まった瞳が元の紺碧色に戻った)………にゃー……っ…(か細い声で呟く様に鳴きだす。少女の瞳に透明の雫が溢れ出し、頬から彼の体へと伝わっていく) 」

ヒロ「…………!!!コ…コ…ア………!!(ココアを優しく抱きしめる) 」

仙狐「おぬしよ………この者(ココア)の……あのような、幸せそうに生き抜こうとする顔を……そなたは忘れたわけではあるまい…。初めて目にした我らの姿を、少しも物怖じもせぬほどに、純粋な……まるで……〝我が子〟のようじゃ。(ヒロに)比呂………もしも、おぬしがここで、その拳を振るってしまったら、それは………危うく〝あの者の思うつぼ〟になるところであった。……よくぞ、踏み止まってくれたの。……近う寄れ。(ヒロに) 」

ココア「にゃぁ…!(じわりと視界が滲みだす彼に抱きしめられる力が強まる度、温かな安心感が溢れ出していく)――――(それに呼応するように、自分の体から光の粒子が零れ、それは天へと吸い込まれるように上昇していく)にゃーん。(実態あるその肉体はやがて幻影のように、少しずつ薄れ始める) 」

ヒロ「………あんたのおかげだ、もし、あの時止めてくれなかったら…俺は過ちを犯してしまうところだった……!(仙狐の方に近づこうとしたところ、薄れていくココアの姿を見る)………!?お、おい……なんの、冗談だよ…!? 」

仙狐「 ……!あっ…な、何じゃ…!?いったい、何が起きて…… き、消えてしまうぞ!お、おい!おぬし!!ゆくな…ゆくではない!! 」

ココア「――――― にゃー! ――――――(満面の笑みを浮かべた少女は最後に「猫」の姿となって、ヒロたちの前から光となって消滅した) 」

海東大樹「(ココアが消滅した直後、その場所に通りすがる)―――― 「彼女」は、彼女が意図しない形で『天命』を遂げたんだ。この世界に誘われたものは皆、誰もが知らずのうちにその何らかの『役目』を与えられる。そしていつかその『役目』を達成させたとき、彼らは元の世界へ戻る…この世界で過ごしたすべての記憶を失う代償と共に… 」

海東大樹「それこそが『天命』…そして彼女はそれを成し遂げた。いったい「何が」その鍵となったのかは、本人以外…いや、その本人ですら、知る由はないだろうけどね。(それだけを告げると、青年はその地より通りすがっていった) 」

ヒロ「コ…コ………………ココアァァァァァァァッ!!!!!!!(消えた少女の姿を見て、地面に手をついて泣き始める) 」

ヒロ「こ、こんなのって……こんなのって…また、一緒に過ごしたいって…願ってたのに……!! 」

仙狐「 ぁ………! …………………笑っておった…。あやつ………笑って、おったぞ……!笑って……(涙を溜めた目をしてヒロに) (泣き叫ぶヒロの姿を見て、そっと歩み寄り)………よく……頑張ったのぅ。(ヒロの頭を、母が子を愛するが如く優しさを込めて撫でる) 」


ヒロの足元で何かが光っている。それは、かつてヒロ本人が書いた「ココア」のドッグタグ―――この世界での役目を終えた彼女が、最後に彼に残していったものだった。


ヒロ「…これで、よかったんだよな…?(ドッグタグを拾い、胸ポケットにそっとしまう)きっと、あの子も……最後は…幸せに……う……う……うぁぁぁっ…!(仙狐に頭を撫でられ) 」

仙狐「 (ヒロの頭を優しく撫で撫でしながら母親のように優しく抱き寄せる)………ヨシヨシ……。そなたは本当に………手のかかる、子供じゃのう。 」

仙狐「 ………今日は、疲れたであろう。帰ったら……今宵は、思う存分、甘えるがよい。そなたの悲しみは…………わらわが全て、受け止めてやる。 」

ヒロ「………ありがとうな…甘えさせて、もらうよ… 」

仙狐「 ………うゆん…。 ……………………―――――(抱擁していてヒロの視界から外れた仙狐の瞳が一瞬だけひっそりと〝赤〟に変わると、すぐに元の色に戻った) 」



黒ウォズ「 (真っ黒な空間にて) ……各地を放浪する1人の平凡たる少年、その名はヒロ。彼はある時、1人の少女と出会う。しかし……運命とは時に、残酷なもの。突然現れた謎の科学者〝@〟により、その出会いは哀しくも…わずか小指1本ほどという僅かな波紋により打ち砕かれてしまうこととなった。だが、少年ヒロは、見事なまでに試練を乗り越え、再び彼女との出会いを手に入れたのである。 」

黒ウォズ「 少年と少女……この出会いは、果たして偶然か…はたまた必然か…。それは、誰にも断言することのできない、たったひとつの歴史。そう………〝彼〟以外には。 たとえ出会いが偶然によるものであれど……彼自身が築き上げた現実こそが、何よりも、必然であることの…証明となりうるのだから。 …パタンッ(本を閉じる) 」

黒ウォズ「 さて……次はいったいどのような歴史が待ち受けているのか。それは………君たち次第!(カメラ目線で指を差す) カチャンッ(何かが転がってくる)おや………… 」

黒ウォズ「 (転がってきたものを拾い上げる) これは………………フッ……フフフh…おっと失礼。 」

黒ウォズ「 ――――此処に今、ひとつの〝ウォッチ〟がある。……『吾輩はウォッチである。名前はまだ無い。』 このウォッチはいったい何者か……『シノビ』か、はたまた『クイズ』か、或いは『キカイ』か……。私の手にあるこのウォッチがどういうものになるかは………………おっと、今はまだ、私の口からは言えない。 」

黒ウォズ「 といったところで…スーパーアラスジタイムはこのくらいにしておくとしよう。 」

黒ウォズ「 では………またの歴史をお待ちしております。(深くお辞儀をしてフェードアウト)  \ ギャラk... ゲシッ!! /   」



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最終更新:2021年02月19日 20:30