398から続き
1/5
いてもたってもいられない、っちゅーのはこのことやな。今のウチを動かすのは、ゆーなへの想いだけや。
ばぁん! と音を立て、ウチはゆーなの部屋に飛び込んだ。
「あれっ、今日は早いね?」
ゆーなはもう起きとったみたいや。Tシャツ一枚にショートパンツ、っちゅーラフな恰好で玄関に出てきた。
「アキラ? あれっ、誰も居ない……?」
誰も居ない―――。その一言が、ウチの心を貫いた。
「ウソ、やろ……?」
―――その言葉だけは聞きとうなかったのに。
「ゆーな……。ウチが、ウチが分からへんの!」
ゆーななら、誰よりもウチの事を愛してくれとったゆーなならウチが見えるかも。
そんな淡い期待が、脆くも崩れ去っていく。
ゆーなはウチの横を通り抜け、開け放たれた玄関のドアを閉めるとリビングに戻ってゆく。
ウチの存在に気付く事なく……。
これが、これが空気の辛さなんやね……。美空ちゃんはいつもこんな思いをしてたんやな……。
ウチの頬を涙が伝い、ぽたりと落ちた。涙の粒はじわりと床に広がってゆく。
「うっ……、ひぃん……、ゆーな……、ゆーなぁ……!」
絶望。そして孤独―――
その重さに耐え切れず、ウチはその場に崩れ落ちた。
存在。ウチの存在って何やったんやろ……。
「あはは。ウチはお医者さんなのに、自分の病気も治せへんやんか。藪医者もええとこやな……」
ウチからゆーなを切り離してもうたら、只の問題医師やん。三度の飯よりたゆんが好きなヘンタイさんや。
もうええ。もうどうでもええ。なーんも考えとうないわ……。