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31-364

31-364 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/12(金) 05:40:14 ID:???

さよ 挨拶

涙には2種類あるといつか聞いたな、と。
昨日の出来事を浮かべつつ、さよはふとそんなことを思う。
悲しい涙ならこの長い長い学園生活で幾度となく流したけれど。
あのとき自然と零れたものはそれらとはまるで違う。
―――そう、あたたかかったな、って。
「私にまたお友達ができました・・」
呟いて、つい笑みになってしまう。
そんな自分を可笑しく思いながらさよは夜空を見上げた。

午前7時半頃、さよは亜子を待っていた。
亜子は毎朝大体この時間に登校していたのだ。
「亜子さんが来たら挨拶しなきゃ!」
ガッツポーズをしてそう決意する。

ガララッ
教室のドアが開き、次々と生徒達が入ってくる中に
ようやくさよは亜子の姿を見つけて駆け寄る。
「亜子さん!おはようございます!」
亜子に向けて挨拶をしてみたが、返事はなかった。
「あ、亜子さん・・?」
31-365 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/12(金) 05:44:09 ID:???
やはり返事はなく、まき絵と話すのを止める素振りすらない。
「あ、・・・聞こえてない、よね・・」
「私、幽霊なんだから・・」
さよは肩を落として呟く。
もう慣れたはずのことなのに・・・
溜め息をつきながら、さよは自分の体を改めて呪った。
何となく亜子の顔を見ていたくなくて教室を出る。
窓の外の空模様は、早朝の晴れ空が嘘のように曇り始めていた。

「私と亜子さんは違う・・」
世界樹前で沈む。
分かっていたことだ。
この60余年で嫌でも悟ったはずの現実という壁。
幽霊とそうでない彼らとの隔たりの深さ。
何落ち込んでるんだろう、私。
朝のHRの時間が迫ってきたようだ、とさよは歩き出した。
教室までの道程がこれほど遠く感じたのは始めてだった。
重い足取りで教室に着くと、すでにHR中で。
慌ててさよは席に着く。
が、ネギの話を聞く気になれなくて、俯いて机をボーっと見つめていた。
すると昨日までなかったはずの文字が目に入った。
31-366 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/12(金) 05:46:19 ID:???

[さよちゃんおはよう! by.亜子]

「亜子さん・・・」
先刻まで自分は何て愚かな勘違いをしていたのだろう。
壁なんてなかった。隔たりなんてなかった。
そこにいたのは臆病で弱い自分だけ。
ごめんなさい亜子さん。
そして、ありがとうございます亜子さん。
それからさよは、すぐに亜子の席に返事を書いた。

[おはようございます!亜子さん! さよより]

書き込みに気付いた亜子はさよに
それに応えてさよは亜子に
それぞれが持つ最高の笑顔を投げ掛ける。
曇りがかっていたはずの空には太陽が顔を出していた。

それは何でもないようで、でもとても大切なある朝の出来事。

31-371

31-371 名前:はぐれ先生暴走派[sage] 投稿日:2006/05/12(金) 11:12:18 ID:???
はぐれ先生暴走派3・1/33

398から続き

1/5

 いてもたってもいられない、っちゅーのはこのことやな。今のウチを動かすのは、ゆーなへの想いだけや。
ばぁん! と音を立て、ウチはゆーなの部屋に飛び込んだ。
「あれっ、今日は早いね?」
 ゆーなはもう起きとったみたいや。Tシャツ一枚にショートパンツ、っちゅーラフな恰好で玄関に出てきた。
「アキラ? あれっ、誰も居ない……?」
 誰も居ない―――。その一言が、ウチの心を貫いた。
「ウソ、やろ……?」

 ―――その言葉だけは聞きとうなかったのに。

「ゆーな……。ウチが、ウチが分からへんの!」
 ゆーななら、誰よりもウチの事を愛してくれとったゆーなならウチが見えるかも。
 そんな淡い期待が、脆くも崩れ去っていく。
 ゆーなはウチの横を通り抜け、開け放たれた玄関のドアを閉めるとリビングに戻ってゆく。
ウチの存在に気付く事なく……。
 これが、これが空気の辛さなんやね……。美空ちゃんはいつもこんな思いをしてたんやな……。
 ウチの頬を涙が伝い、ぽたりと落ちた。涙の粒はじわりと床に広がってゆく。
「うっ……、ひぃん……、ゆーな……、ゆーなぁ……!」
 絶望。そして孤独―――
 その重さに耐え切れず、ウチはその場に崩れ落ちた。
 存在。ウチの存在って何やったんやろ……。
「あはは。ウチはお医者さんなのに、自分の病気も治せへんやんか。藪医者もええとこやな……」
 ウチからゆーなを切り離してもうたら、只の問題医師やん。三度の飯よりたゆんが好きなヘンタイさんや。
 もうええ。もうどうでもええ。なーんも考えとうないわ……。

31-372 名前:はぐれ先生暴走派[sage] 投稿日:2006/05/12(金) 11:12:53 ID:???
2/5

 ゆっくりと立ち上がり、ふらふらとリビングに侵入する。
「ゆーな……」
 ウチは録画した番組のチェックをしとるゆーなの隣に座る。いつもの場所。ウチの特等席やった場所。
 番組に夢中になっとるゆーなにかまって欲しくて、ようたゆたゆしとったなあ……。
 ちらり、とウチはゆーなの胸に目線を送る。いつ見てもええ乳しとるわ……。なんやこう、触ってくれと
ゆーとるみたいや。

 たゆ。

 あ、無意識に触ってもーた。
「ひゃっ!?」
 ゆーながかわええ悲鳴を上げる。びっくりさせてもーたなあ……。けど、どーせウチが見えへんのやったら
たゆたゆしても意味ないやん。せやのに。
 せやのに、なんで―――
 なんで……?
 なんでウチはたゆたゆしとるんやろ―――?

 たゆんたゆんたゆんたゆん……

「きゃああっ! さっきから胸が勝手に……!! 何なのよ一体!!」
 どれだけゆーなが嫌がっても、ウチの手は止まってくれへん。ウチはもう諦めたハズやのに、ウチのカラダは
まだゆーなのおっぱいを忘れられへんのやな……。
 せやったらいつもの調子でたゆたゆしたる。お別れのたゆんたゆんや。
 たゆんたゆんたゆんたゆんたゆんたゆんたゆんたゆん……。
「やだっ、ちょっ、何この感じ……! ふあっ! だ、だめ…やぁん!」
 ウチの心に住みついていた存在。ゆーなという、かけがえのない存在。ゆーながウチにくれた気持ち。
その全てを返すように、ウチは一世一代のたゆんたゆんを敢行した。ウチが空っぽになる為に。
 ウチの抱いてたゆーなへの愛情。その想いを込めて、ウチはたゆんたゆんを続けた。
31-373 名前:はぐれ先生暴走派[sage] 投稿日:2006/05/12(金) 11:13:53 ID:???
3/5

 それは、奇跡であった。
 人の想い。その能力はどんな魔法をも凌駕する。
 例えば、長ネギ。千鶴の想いを込められた長ネギは、鋼鉄の貞操帯をも容易く貫く。
 例えば、エロノート。ハルナの想いが詰まったノートは、全てを具現化する能力を持った。
 そして今、奇跡の瞬間が訪れる―――

「んっ、はあっ……、こ、こんなに激しいのに、なんだろ……、すごく温かい感触……」
「えっ―――?」
 ゆーなの甘い声。けど、なんや違和感が……。
「カ、カラダが熱い……。あたし、どうしちゃったの……! た、たしか前にもこんな感じがあったような……」
「―――!!」
 ゆーなの反応に、ウチの心に新たな希望が芽生えた。ゆーな、思い出してきとるやん!
「ゆーなっ! ウチやっ! ウチの声が聞こえんか!!」
 ウチは必死に問い掛けながら、ゆーなのTシャツに両手を潜らせた。もっと刺激が必要や。その為には生乳や!
 たゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆ……!
 手早くブラのホックを外し、ゆーなの生乳をすっぽりと包み込んだ。ウチの手は自然と速う動く。
小刻みに、ギターの早弾きのように、ウチは魂のビートを与えた。
「ふああっ! こ、この感触、このビート……! ダメ、こ、これ以上は……、あああっ!!」
「せや! こないな芸当が出来るんはウチだけや! ウチの指使いを思い出してや!!」
 たゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆ……!!
「―――い、」
「『い、』?」
 ゆーなが呟く。そして、
「いい加減にしろおおおおおおぉぉーーーーーっっっ!!!!!」

 すぱこーん!!!

 ゆーなのスリッパつっこみが、ウチの頭に炸裂した―――
31-374 名前:はぐれ先生暴走派[sage] 投稿日:2006/05/12(金) 11:14:32 ID:???
4/5

「―――ったく、朝っぱらから発情しないのっ!」
 ぺしっ。
 呆然としとるウチに、ゆーなはお説教しながらでこぴんをお見舞いした。
「ゆ、ゆーな……? ウチが、ウチの事が分かるん……?」
「―――もしかして寝惚けてる? あんたは和泉亜子! この学園のセクハラ医師で、あたしの恋人でしょ!」
 呆れた表情で説明するゆーな。普段とおんなじ目でウチを見るゆーな。ウチの大好きなゆーな……!
「あはっ、あはははっ……!」
 思わずウチの口から笑い声が漏れる。そして、
「ゆーなああああっ!!!」
 ウチはぽろぽと涙を流しながら、ゆーなの胸に飛び込んだ―――

 同時刻。某所―――
「あーらら。勝手に空気解除されちゃったか。ま、もともと無理があったよねー。あの亜子先生が空気ってのはさ」
 美……じゃなかった、謎のシスターMはやれやれといった表情で呟いた。
「元々、想定外のアクシデントだったし。ま、いっか」
 何の未練もなく、シスターMはウイルスの内容を更新した。まあ、只の告知だが。

 Action:Virus_Misora【和泉亜子:空気設定を解除】

「しっかしまあ、自力解除とはねえ。愛の力は偉大だわ。『たゆんは世界を救う』、ってヤツかな?」
 などと独り言を呟きながら、シスターMは何処かに消えた―――

「―――ちょっ、どーしちゃったのよ一体?」
 先程からゆーなはしきりに戸惑っとる。ウチがいきなり大泣きして抱きついたもんやから、どうしていいか
分からへんみたいや。
「えへへ、ウチは今めっちゃ嬉しいんや! もう離さへんよ、ゆーなっ!!」
「あはは……。悪い夢でも見たのかにゃ?」
 夢。たしかに夢みたいな出来事やった。けど、これはホンマにあった出来事なんや。
31-375 名前:はぐれ先生暴走派[sage] 投稿日:2006/05/12(金) 11:16:30 ID:???
5/5

「せやな……。夢ん中で教わったわ。空気の怖さを……」
 説明するのも面倒やったから、ウチはてきとーにゆーなに話を合わせた。それより今はやらなアカン事が!
「ゆーな……」
 ウチはゆーなの顔に手を掛け、そっと口付けを交わした。ほんで……、
「たゆんたゆんやあああぁぁっ!!!」
「きゃああっ! こ、こらちょっ、また始めないでよっ!!」
「いややっ! 今日は学校サボって一日中たゆたゆするんや〜!!!」
 たゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆたゆ……。
「あたしの部活はどーなるのよおおおぉぉぉ……!」
 こうしてウチの災難は終わった―――

 エピローグ

 麻帆良学園中等部の保健室。そこにはちょっと性癖に難のあるドクターがいました。
「―――しっかしまあ、亜子も随分とぶっ飛んだ夢をみたねえ〜」
 保線室にはいつものように亜子先生と裕奈がまったりくつろいでいました。
「まあ、空気を大切に! っちゅー話やね」
 そう答えると亜子先生は美味しそうにお茶をずずず、と飲みます。
 あの事件から数日。亜子先生の存在はすっかり元の状態に戻っていました。しかし、
「さよちゃんのこと、どないしよ……」
 ぽつり、と亜子先生は呟きます。彼女の存在は空気のまま。さよさんを認識出来るのは二人しかいません。
「さよちゃん、って誰?」
 あれほどとり憑かれまくっていた裕奈ですら、この有り様です。空気って恐ろしいですね。
「さよちゃんかー。めっちゃええ子やで。あれでおっぱいおっきかったら最高なんやけど……」
 何といいましょうか、やっぱり亜子先生はひんぬーには興味がないみたいです。ああ、こんな人しか
たゆれない…ではなくて、頼れないさよさんの運命はどうなってしまうのでしょうか―――

(はぐれ先生純情派・おしまい)
 ・・・あれっ、タイトル変わっちゃってるよ?

31-376

31-376 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/12(金) 14:57:56 ID:???
亜子の悩み

亜子「なー、『おむすびころりん』って話あるやん」
まき絵「うん、知ってる」
アキラ「子供の頃に聞いたね」
ゆーな「にゃー」

亜子「弁当のおむすびを落としてしもたおじいさんが追いかけて最後に財宝もろて帰るやつ」
まき絵「たしかそういうストーリだったね」
ゆーな「にゃー」
亜子「せやけど『ころりん』になった時点でおむすびえらい泥まみれにならへん?
   おじいさんは単なるドケチやったんか、それとも当時もうすでに『3秒ルール』があったんかいな?」
一同「おぉ」
ゆーな「にゃー…」
アキラ「でも転がったんだから3秒じゃ間に合わないんじゃないのかな?」
まき絵「うんうん」
ゆーな「にゃー」
亜子「ウチが思うに、その辺は経験でカバーやで…つまり、1!2!2.1、2.2、2.3、2.4とか…
アキラ「ちょっと、その時代に小数点の概念なんてあるの!?」
亜子「せやから日本式に“何割何分何厘”てなるやんか!」
ゆーな「にゃー」

31-377 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/12(金) 14:58:27 ID:???
[おむすびころりん討議中]
アキラ「時代風景を考慮に入れたら、米が…
まき絵「それを言ったらネズミが結婚式って…
ゆーな「にゃー」
アキラ「そもそもこの昔話って何を言いたいのか…
亜子「だから3秒ルールが…
ゆーな「にゃー」
あやか「一体何の話ですの?」
まき絵「あっ、あやか。実はね…」

あやか「えっ、3秒ルール!?落としたものなんて普通食べないでしょう!?」
ピシッ
亜子「ブルジョワめ…」
ゆーな「にゃー」
結局話の収集はつかなかった。

31-379

31-379 名前:さよ 小さな知識[sage] 投稿日:2006/05/12(金) 17:02:13 ID:???
さよ 小さな知識


さよ 「こんにちは黄昏時のさまよい人、さよです」
新田 「服を着ない変態教師、新田である」
さよ 「変態なんですか?」
新田 「見たまえ・・・」
さよ 「見苦しいですね」
新田 「反応が薄いな、見慣れてるのか?」
さよ 「見慣れているって訳じゃないですけど・・・60年以上幽霊やってますから、変態ぐらいは見たことがあります」
新田 (´・ω・`)ショボーン

さよ 「で、今回の小さな知識なんですが・・・あの・・”きん●ま”についてです」
新田 (;´Д`)ハァハァ
さよ 「こ、これって別にえっちな言葉じゃないんですよ!!!」
新田 (;´Д`)'`ァ'`ァ
さよ 「飛鳥時代には生の玉(きのたま)とか生玉(きたま)と呼ばれ、これがあれば生きられると言った意味合いがあったそうです」
新田 !?(゜д゜)
さよ 「のちには厳し玉(きびしだま)と呼ばれ、切ったり打ったりすると死ぬくらい厳しいと言う意味合いで呼ばれることもありました」
新田 (((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル
さよ 「そして江戸時代ぐらいに”きのたま”や”きびしだま”が訛って”き●たま”になったらしいです」
新田 「そうだったのかね・・」
さよ 「大事にしてあげてくださいね」
新田 「そういえばおまえ(きんた●)はいつも頑張っている割に報いてやることがなかったな・・・風呂にでも入るか?」
さよ 「あの・・」
新田 「そうか、うれしいか。それなら行こうではないか。女風呂に突撃しようではないか!!!」
さよ 「あの・・」
新田 「ヒャッホウウゥゥゥ!!!!!突撃ィィィィ!!!!」
さよ 「行っちゃった・・」

31-396

31-396 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/12(金) 23:34:02 ID:???
ちょっと受けな明日菜を書いてみました。


君だけ居れば他は何もいらない…
そんなこと言えるわけないのに、そう思ってしまう。

「明日菜さん!聞いてますの!?」
「…あ」
そうだ、今日は小テストで1点しか取れなかったからいいんちょに教わってたんだ。
「聞いてるよ、早く終わらないかな〜って思ってただけ」
「それはこのテストで6点以上取ってから言うことですわね」
「はいはい、がんばりまーす」
いいんちょはいつも喧嘩ばかりしてるけど、実は私のことを大切にしてくれる。
それは私も同じだったりする。
そう思っているんだけど…

「早くしないと今日は一緒に帰ってあげませんことよ」
「分かってるって、えーと…」
あほくさ…贅沢な悩みだ。

「……6点、ギリギリクリアですわよ」
「うー、やった〜」
大きく伸びをする。
「それでは帰りますわよ」
「…悪かったわね、いつも遅くて」
「明日菜さん、それは減点1ですわよ」
え?
「いつも遅くまでいてくれてありがとう、でしょ」
「…バカ」
少し頬を赤くして一緒に帰路に着く私といいんちょ。
31-397 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/05/12(金) 23:34:37 ID:???
「今日はいつもより早く終わりましたわね」
確かに今日は早く終わったわね。
「そうね、だからさいいんちょ。ご褒美頂戴」
そう言って口を突き出す私。
「…///」
そっと私に近づくいいんちょ。そうやって行動で表現してくれるのはうれしいけど…
何か私が一方的に好きと思ってるみたい…

「…やっぱやめ」
そう言って私はいいんちょを遠ざけた。
「どうされましたの?」

「なんかさ…私ばかり好きだって表現してさ…それでいいのかなって」
そうやってうつむいてるといいんちょは私をそっと抱きしめた。
「いいん…」
「それはこちらの台詞ですわよ」
「嘘」
「嘘ではありませんわよ。だって、いつも私ばかり欲しがってますわよ」
そう、それは真実。自分のものにしたいっていうのは本当。
「口で言ったことがすべてではありませんわよ」
それは分かってる。自分の我侭だってこともすべて…
「…だったら、いいんちょも言って」
「明日菜さん」
「…私のこと欲しいって言って」
そう言うといいんちょは少し微笑んでくれた。
そっと耳元で欲しいと言った。

少し私の胸に引っかかってたものが軽くなったみたい。

31-402

31-402 名前:風香 甘えん坊将軍[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 01:40:36 ID:???
風香 甘えん坊将軍


1/8
むか〜し、むかし。あるところに将軍様がおられたそうな
しかしこの将軍様、ちょっと困ったちゃんだっだのです


さて、ここは麻帆良国内の西の方、ここには帝さんが住んでいます。ちなみに将軍様は東に住んでいます
麻帆良国は国の象徴として帝が、政治の運営は将軍様側が行っています
しかしこの帝さん、ちょっと困ったちゃんだっだのです


?? 「木乃香様、月詠です。入りますえ」
大広間、一段高くされたところに帝さんがいるようですが、垂れ幕がかかっていて姿を見ることはできません
木乃香 「月詠はんか・・・お入り・・・今日はどないしたんや?」
月詠 「はい、刹那先輩の居所がわかったんで報告にきましたんですわ」
木乃香 「せっちゃんが見つかったん!!!」
月詠 「はい、東の地、麻帆良城下におられますわ」
木乃香 「もう、せっちゃん。せやけどなんで帰ってけえへんの?」
月詠 「それなんですけど・・・どうやら記憶を失のうてるらしいんですわ」
木乃香 「なんやて!!」
月詠 「記憶を失のうて子供になっとるんです。せやから戻ってこんのです」
木乃香 「せっちゃんが・・・ょぅι ゙ょ!?」
月詠 「木乃香様?」
木乃香 「月詠はん、東の地へ向かうえ」
月詠 「それはあかんのでは?ウチが迎えに行きますさかいに」
木乃香 「なにいうとるん!!ょぅι ゙ょやで!?ハァハァや!!!」
月詠 「もう・・・困りますえ。そないなこといきなり決められても・・・」
木乃香 「東の将軍はんに連絡してや、今からそちらへうかがいますって」
月詠 「はぁ・・・わかりました」
31-403 名前:風香 甘えん坊将軍[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 01:41:56 ID:???
2/8
風香 「で、なにがあってそんなにいきなりなの?」
あやか 「さあ、ですが、帝が動くとなるとよほどの事であるかと思われます」
夏美 「今、お城の中は慌ただしいよ。何せお迎えしなきゃいけないからね」
風香 「ふーん・・・」
そして数日後、帝さんが来る日のことでした

あやか 「逃げたですってぇ!!」
夏美 「そうなの・・途中までいたはずなのに・・・籠から消えちゃったの」
葉加瀬 「大変ですぅ〜」
あやか 「今度は何!!」
葉加瀬 「将軍様が逃げちゃいました。身代わりにって、史伽ちゃんが縛られていました」
あやか 「はぅぅ・・・」
ばたん、とあまりのことにあやかさん、気絶してしまいました
夏美 「あやか姉!!!」
葉加瀬 「あやや・・・どうしましょう?」
夏美 「どうしたらいいの?」
夏美さん、あまりのことに、いまにも泣きそうです
葉加瀬 「仕方ありませんね、こちらで何とかしましょう。帝さんと将軍様が会見したと言うことにして・・・」
夏美 「うんうん・・」
葉加瀬 「後はみんなで探して捕まえましょう。二人とも」
夏美 「葉加瀬・・・お願いね・・」
葉加瀬 「では、帝さん側に連絡しましょう」
31-404 名前:風香 甘えん坊将軍[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 01:43:08 ID:???
3/8
ところは変わって、麻帆良の町
木乃香 「ここなんやな?」
月詠 「ここにおられます」
帝さんたちが来たのは和泉養生所、せつなちゃんがいるところです
月詠 「どなたかおられまへんか?」
月詠さんは門をくぐり、玄関にはいると大きな声で誰かを呼びました。すると・・
亜子 「なんやうるさいなぁ・・・」
眠そうな顔で玄関に出てきたのは亜子先生。もう昼前なのですがどうやら寝起きのようです。

月詠 「こちらに刹那はんがおられると聞いてきたんやけど・・」
亜子 「ん?せつな・・・あんたらせつなちゃんの家族か!?」
月詠 「そんなところです。で、刹那はんはどちらに?」
亜子 「まあ、あがってや。奥にいるんや」
月詠 「ほな遠慮無く。ささ、木乃香様・・」
木乃香 「失礼いたしますえ」

二人が通されたのは縁側、そこでせつなちゃんは裕奈さんと遊んでいたようです
亜子 「せっちゃん、お客さんやで!!!」
せつな 「おきゃくさん?」
亜子 「ほら、この人たちや」
せつな 「ふえ?」
しかしせつなちゃん、二人を見ても何の反応も示しません
31-405 名前:風香 甘えん坊将軍[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 01:45:21 ID:???
4/8
亜子 「知らない人なんか?」
せつな 「わかんない・・」
亜子 「そうか・・・すまんなぁ、せつなちゃん、記憶を失ってるんや。気を悪くせんといてな」
月詠 「わかってます。せやから・・・しょっく療法です!!」
それはいきなりでした。月詠さんはいきなり刀を抜くとせつなちゃんに襲いかかったのです
月詠 「せんぱい〜御指南お願いします〜」
大きく振りかぶり、月詠さんはせつなちゃんに斬りかかりました。しかし、すんでの所で刃は止められます。亜子先生によって・・・

亜子先生は二人の間に割ってはいると、柄を持つ手の部分を受け止め、月詠さんを睨みました
亜子 「いきなりなにするんや!!!ウチの家族に!!!」
月詠 「家族!?先輩はウチのもんやで?」
亜子 「なんやて!!!ゆるさん・・・乳天御剣流(ちてんみつるぎりゅう)!!乳翔閃(にゅうしょうせん)!!」
月詠 「な!?」
亜子先生は素早くしゃがむと、揉み上げるように手を下から伸ばして、乳をつかもうとします
しかし、月詠さんはさっとそれをかわしました

月詠 「その技・・・まさか乳天御剣流なんか?30年前まで帝はんを守護していたあの乳天御剣流なんか?」
亜子 「この流儀をしっとるとは・・・まさかあんたら帝はんの関係者か?」
月詠 「・・・答えられまへんな。それよりあんさん、あんさんこそなぜその失われた流派をしっとるんや?」
亜子 「ウチのお師匠はんにたたきこまれたんや。偏屈なお師匠はんやったけどな」
木乃香 「月詠はん、そこまでや。あんさん・・・連れが失礼いたしましたな」
亜子 「そう思うんなら剣を納めさせてほしいんやけど・・」
木乃香 「月詠はん、そこまでに」
月詠 「もう・・ひさしぶりなんに・・」
31-406 名前:風香 甘えん坊将軍[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 01:46:16 ID:???
5/8
亜子 「で、アンタは何者なんや?」
木乃香 「帝やけど・・・」
亜子 「そうか・・って帝!!!」
月詠 「そうです。このお方は帝の木乃香様や」
亜子 「そんな馬鹿な!!!帝はんがこないなところにおるわけ無いやん!!!」
木乃香 「せっちゃんにあいたくて逃げてきたんよ」
月詠 「もう・・・困ったもんです」
亜子 「そないなこと・・・あるんか?」

せつな 「みんなでなにしてるのかな?」
裕奈 「ふにゃ?」

亜子 「で、その帝はんがなんの用や?」
木乃香 「せやからせっちゃんに会いに来たんやゆうてるやん」
亜子 「せっちゃん・・帝はんの関係者なんか?」
木乃香 「ウチの婚約者なんや」
亜子 「こ、婚約者!!!」
月詠 「違いますえ。ウチのどれい・・やなくて、帝はんの護衛なんですわ」
亜子 「ご、護衛?退魔師やなかったんか?」
月詠 「表向きは・・・本当は帝の護衛なんですわ。まあ、それくらいの実力があるちゅうことなんですけど」
亜子 「し、しかしな、そないなこといわれても信用でけへんやろ」
月詠 「そうなんですけれども・・・」
そのときでした

?? 「ちあー!!!」
玄関の方から、誰かの声が聞こえてきました
亜子 「せっちゃん、ちょっとみてきてくれへんか?」
せつな 「うん。いこう、ねこさん」
裕奈 「にゃ」
31-407 名前:風香 甘えん坊将軍[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 01:53:27 ID:???
6/8
亜子 「どうやって信用したらええんや?そんなこと」
木乃香 「そうやなあ・・どうしようか?」
月詠 「このお人を消して、先輩を連れ去るちゅうんはどうでしょうか?」
亜子 「んふふ・・・ええ度胸や。この第13代 亜子清十郎 の名を継いだウチを消せるとおもとるんか?」
月詠 「13代・・・名を受け継いだちゅうことは先代は・・・」
亜子 「揉み倒したで・・この手でな。おかげで西にはおられんようになったけどな」
月詠 「ふふ・・しかし、しょせんは過去の流派。今、帝はんをお守りする神鳴流に勝てると思いますか?」
亜子 「乳天御剣流が帝の護衛を外されたのは、先代が当時の帝はんにたゆんしたからや。実力がなかったわけやない」
月詠 「戯れ言を・・」

木乃香 「月詠はんそれ以上は止めとき。第一そないな事をしたらせっちゃんが泣きそうや、な?」
亜子 「わかってくれるならええ、しかし、信用したわけやないで?」
木乃香 「困りましたな・・」

とたとたとた・・・三人が話し合いをしていると、誰かが近づいて来る足音が聞こえてきます。どうやらのお客さんのようです
風香 「ちあー!!!め組のお頭のお薬もらいにきた・・はうぁ!!」
楓 「こんにちはでござ・・・はうぁ!!!」
楓さん、とても珍しく両目を見開いて驚いています。将軍様も驚いています
風香 「な、何でここに帝さんが?」
楓 「いま、お城に向かっているはずでござる」
その言葉を聞いて、今度は帝さんたちが驚きました
木乃香 「将軍はんやないの!!なんでここに?」
月詠 「お庭番の楓はんまで・・ここはどういうところなんや?」
亜子 「将軍はん!?もうわかわからんわ!!!」

こうして事態収拾のために、将軍様の正体を知っていて、亜子先生の信頼のできる人物、め組のお頭が呼ばれたのです
31-408 名前:風香 甘えん坊将軍[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 01:55:37 ID:???
7/8
千雨 「帰りが遅いと思ったら・・・何でこんな事になってやがるんだ?」
亜子 「お頭・・風さんが将軍様っていうのはホンマなん?」
千雨 「ああ・・お城で謁見したから間違いねぇよ」
亜子 「し、失礼しました!!!将軍様とはつゆしらず・・」
亜子先生。あわてて平伏します
風香 「やめてよ。ボクは遊び人の風さん。ね?」
亜子 「それでいいん?」
風香 「そう呼んでくれなきゃやだ。あと普通に接してね」
楓 「拙者からもお願いするでござる」
亜子 「そういうことなら・・で、風さん、この人はホンマに帝はんなん?」
風香 「うん・・影武者でもない限りは本物だよ」
木乃香 「これで信用してもらえましかやろか?」
亜子 「はあ・・でもどうしたらええんやろ?」
楓 「これから先はせつな殿に決めてもらえばいいのでは?」
亜子 「なるほど・・・」

こうして亜子先生は、せつなちゃんにここにいるか、西に行くか聞きました
せつな 「わたしはここにいる。先生もいるし、ねこさんもいるし、アキラねえさんもいるから」
木乃香 「アキラ姉さん!!!抱かれたんか!!!その女に抱かれたんか!!!」
帝さん、いきなり興奮し始めました
亜子 「ちゃう、せつなと裕奈の世話をしてるのがアキラや。ここで看護婦をやっとる。今は使いにでとるけどな」
月詠 「また、競争相手ができてしまったのかとびっくりしたわ」

亜子 「アンタら・・・西でせっちゃんに何をしてたん?」
31-409 名前:風香 甘えん坊将軍[sage] 投稿日:2006/05/13(土) 01:57:30 ID:???
8/8
木乃香 「決めた。ウチはしばらくここにおることにする」
亜子 「なんやて!!」
月詠 「そんな・・・御所を空にするっちゅうんですか!?」
木乃香 「御所よりせっちゃんや、そういうわけでここに住ませてもらえんやろか?」
亜子 「そうはいってもな・・・帝はんをこんなところに住ませるわけにはいかんし」
風香 「じゃあウチに来ればいいよ」
木乃香 「将軍はんのお城に?」
風香 「こっちに来たらいつも泊まっているでしょ。ウチなら広いしさ」
楓 「あやか殿がなんと言うであろうかな?」
風香 「心配ないって、今頃は必死になって探しているところだと思うし・・・一緒につれて帰ったら喜ぶでしょ?」
楓 「さて・・・」
木乃香 「せやけど・・お城から出られへんようににされてしまうのとちゃうの?」
風香 「大丈夫、だってボクがこうやってでてるんだよ?まあ、目を盗んで逃げてるんだけどね」
木乃香 「なるほど・・・ほなら、お世話になりますえ」
月詠 「そんなに簡単に決めてもええんですか?」
楓 「そうでござる。大問題になるでござるよ?」

風香 「将軍様が決めたの」
木乃香 「帝も合意したんよ。何か問題でも?」
月詠さんと楓さんは心でこう思いました。”問題ありすぎ”と

こうして麻帆良の町にまた一人、問題児が生まれたのです。その名は”ふうてんのこのちゃん”


せつな 「きょうはおうちにいっぱい人がきて、にぎやかだったね」
裕奈 「にゃん」

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最終更新:2007年07月29日 02:25