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名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2005/08/25(木) 22:12:24 ID:i7uRoFOw0
「『If you smell what the ROCK is cookin'!』。これはですね、意味は……」
英語の時間。教壇に立ち、教鞭を振るうネギ。そんないつもと同じ風景。
そんな中、裕奈はぼんやりと考え事をしていた。その内容は、部活のバスケットボール。
ハッキリ言って弱い。
それなりに練習してるし、チームワークも悪くない。クラブとしても和気藹々と活動している。
となると、考えられるのは、個々のポテンシャルが低いのだ。
(何か良い練習方法とか無いかなぁ……)
「それじゃあ、ゆーなさん! 今の質問に対する答えとその訳をお願いします!」
「えっ!? ちょ、ちょっと待って! ええと……」
突然指され、慌てて立ち上がって教科書を見る。しかし、何処を見ればいいのかわからない。
チラッと、左隣の千雨を見る。千雨は何処噴く風と、離れた席のザジを見ていた。
止む無く、あまり話したことの無い、右隣の茶々丸の方を見た…。
「『I am the GAME and I am that damn good!』。意味は『私はゲームの支配者、私こそが最高の人間だ!』です」
「はい、正解です! ゆーなさん、パーフェクトです!」
笑顔で拍手するネギ。そして、それに釣られて拍手するクラスメイトたち。
裕奈は愛想笑いをしながら、ホッと胸を撫で下ろして席に着いた。
「さっきはどうも。ありがとう、茶々丸さん」
「いえ‥」
裕奈はさっき、英語の解答を教えてくれた茶々丸に礼を言った。
「でも、茶々丸さんって凄いのね。英語ペラペラだし」
「私めが翻訳可能なのは六十有余万言語でございますよ、ユーナ様」
茶々丸の言葉に呆気に取られる裕奈。
「ほんのジョークです‥。お気になさらずに‥‥‥。それでは失礼します」
頭をペコッと下げると、茶々丸はその場を後にした。
今まではほとんど会話も無かった二人だが、茶々丸の思いがけないジョークを見て、裕奈は和んだような気分になった。
8-956
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2005/08/31(水) 20:30:09 ID:dxVRJtuN0
「へぇ〜。お茶にも色々と作法があるんだー」
「ええ‥。ユーナ様も一度、御茶会に来てみてはどうですか?」
あの日以来、裕奈と茶々丸は少しずつ話をするようになった。とは言っても、2〜3言葉を交すだけだが。
それでも、朝と帰りの挨拶しかしなかった今までに比べれば、良好な関係だと裕奈は考えていた。
(ただ、何でユーナ様なんだろう……?)
色々、疑問に思う部分のあるけれど、深く考えるのは止めておこう。
さらに数日後経ったある日。裕奈はスターブックスでスポーツ誌を読んでいた。
目を通してる記事は、『格闘技特集』だった。
今までは格闘技にあまり大した興味はなかった裕奈だった。
しかし、最近は『古武術とバスケットボール』など、球技にも格闘技の体の使い方などが応用されていた。
同じバスケットをやる人間として一皮剥ける為に、色々と資料を集めて考えていた。
「でもなぁ…」
一口に格闘技と言っても、種類は様々。柔道、空手、剣道、中国武術、ボクシング、テコンドー、etcetc…。
実際にやってみるにしても、どれをやれば自分に向いているのかが、さっぱりわからない。
試しにいつものメンバー(まき絵、アキラ、亜子)に話を持ちかけてみた。そうしたら、まき絵は――
「お色気たっぷりのビキニ空手なんか、いいんじゃない?」
ブン殴ってやろうかと思ったけど、思いとどまった。バカに意見を求めた自分が愚かだったのだ。
アキラと亜子は裕奈にそれなりの意見を出してくれたけど、やはり格闘技には詳しくなかった。
「となると…」
クラスでその手に詳しいのは、剣道部の刹那か、中国武術研究会のくーふぇか…。
(でも、くーふぇはバカだから論外…。となると、刹那かな?)
詳しくは知らないが、刹那は剣道の他に古流剣術もやっているというのを耳にしたことがあった。
「それじゃあ、明日あたりにでも聞いてみようかな…?」
「こんにちは、ユーナ様‥‥」
結論に達し、コーヒーに口を付けようとした時、通りの方から茶々丸が声をかけてきた。
9-179
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2005/09/02(金) 07:54:05 ID:6wd50V0T0
「あっ、コンニチワ、茶々丸さん」
通りからスターブックスにやって来た茶々丸に声をかける裕奈。
「ここに座ってもいいですか‥? どうやら、他は満席のようなので‥‥」
「ああ、気にしないで座っちゃって。ひとりでいるのも退屈かなって思ってたから」
「そうですか‥。それでは、失礼します」
裕奈の言葉に、相席する茶々丸。裕奈はスポーツ誌に目を通し、コーヒーに口を付ける。
「格闘技特集ですか?」
裕奈が読んでいるスポーツ誌を見た茶々丸が尋ねる。
「うん、そう。ちょっと興味が湧いてね…。茶々丸さんは格闘技に詳しいの?」
裕奈が逆に尋ねる。意外にこういうことにも詳しいのかもしれないと思ったからだ。
「はい。一通りの知識は持ってますけど‥」
「ホント? それじゃあ、実際にやってるのとかあるの?」
裕奈は声を上げる。詳しいのであれば、いろいろと話を聞いてみたい。
茶々丸は裕奈の問いかけに対し、席から立つ。
「以前も申しましたが‥‥」
裕奈が見てる前で、ビシッと武術的な構えを取る茶々丸。呆気に取られる裕奈。
「私めが翻訳可能な言語は六十有余万言語、もちろん肉体言語も含まれているのでございますよ、ユーナ様」
おそらく空手の“型”であろう動作を綺麗に決めた後、再度ビシッと構えを取る茶々丸。
「プッ……、アハハハハハ〜。茶々丸さん、それなんて、スターウォーズ〜?」
茶々丸の言葉に笑い出す裕奈。前に言われた時は何のことだかわからなかった。
暫くして、スターウォーズのDVDを見たとき、C3POが同じようなセリフを言ったのを思い出した。
「イ イエ、そういうつもりではないんですが‥‥。その‥、マスターが最近良く見るので‥‥」
表情は変わらないが、どことなく照れくさそうな茶々丸。
「えっと、笑ってゴメンなさい。茶々丸さんって思ってた以上にオチャメな人なんだなって思って」
コーヒーを飲んで気を落ち着け笑顔で話す裕奈。
「それじゃあ、肉体言語も翻訳可能な茶々丸さんに色々聞きたいんだけど、いいかな?」
「ええ、構いません‥‥」
再び席に着く茶々丸。そして二人は和やかムードで話し始めた。
9-901
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2005/09/08(木) 09:30:45 ID:O1IgT1O00
「私も格闘技、ちょっとやってみようかなって思うんだけど、どんなのがいいかな?」
「そうですね。ただ、質問はアバウトなので、もう少し具体的に言っていただくと助かりますが‥」
「あ、そっか。うーん…、そうだなぁ…」
茶々丸の言葉に、少し考える裕奈。どういう目的で、どんなことをやりたいのか。
「そうね…。まずはバスケットに応用できそうなのかな?」
やはり、まず第一にこれだった。
「バスケットボールへの応用となると、最近注目を集めている古武術、他は合気道の体捌きなどが有効になると思います」
「うーん、合気道か…。別に否定するわけじゃないんだけど、武道とか、その堅苦しいのはちょっとね」
「そうですか‥」
裕奈の言葉に、考える茶々丸。それに申し訳無さそうに口を開く裕奈。
「何か、折角聞いてもらってるのに、わがまま言ってゴメンね」
「いえ、お気になさらずに‥。それでは、どういう感じで取り組んでみたいと考えてますか?」
再び腕を組んで考える裕奈。
「うーん、派手なヤツ? やっぱり運動能力とかアップしたいから、多少疲れてもいいから、色々できそうなの」
「わかりました。そうなると、テコンドーやカポエイラ‥‥、また中国武術の長拳などがよろしいかと思われます」
裕奈のニーズに合わせて、格闘技を挙げていく茶々丸。
「あっ、カポエイラは知ってる。あのダンスみたいなヤツだよね? 結構、アクロバチックに激しい動くヤツ」
「そうです。舞踏としての要素もある、蹴り技を主に闘うブラジル発祥の格闘技です」
裕奈の言葉に頷く茶々丸。
「カポエイラのアクロバットな動きや、回転をして行う動作などは、バスケットボールにも活用できると思います」
「ああ、そうか…。じゃあ、カポエイラでもチャレンジしてみよっかな? でも、麻帆良で習えるところってあったかな…」
「もし宜しければ‥‥、私がお教えしましょうか?」
「え? いいの!?」
茶々丸の言葉に驚く裕奈。教えてくれるなら、こんなにありがたいことはない。
「ええ、私は構いません。何時でも、と言うわけには参りませんが‥‥」
「ううん、オッケーオッケー! ありがとう、茶々丸さん!」
笑顔で茶々丸の手を握る裕奈。それに対して、どことなく微笑んだような顔をする茶々丸だった。
9-934
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2005/09/08(木) 20:13:34 ID:kKCIEQUm0
「マスター、今日のご予定は?」
「いや、特に無いぞ」
「わかりました‥‥。それでは、参りましょうか」
朝のエヴァンジェリン邸、学校に登校するエヴァンジェリンと茶々丸の姿があった。
「ん? 何だ、そのバッグは?」
「何カト大荷物ダナ。ソレニ、何処トナク嬉シソウダ」
エヴァンジェリンとチャチャゼロが、大きなスポーツバッグを抱えた茶々丸を見る。
「まあいい。それじゃあ、行くぞ」
「タマニハ真面目ニ勉学ニ励メヨ、御主人。ケケケケ」
「黙れ、役立たず! 茶々丸、行くぞ!」
チャチャゼロに見送られながら、エヴァンジェリンと茶々丸は学校に向かった。
「あー、いい天気」
暖かい日差しが包む公園で、裕奈は思い切り伸びをした。
今日は茶々丸にカポエイラを教えてもらう、最初の日だった。
辺りを見ると茶々丸はまだ来ていない。いるのは野良猫たちだけだった。
教室から一緒に来ても良かったが、何となく照れくさいものがあった。
どこぞのおバカが騒ぎ立てるのは目に見えてたし、茶々丸自身も寄るところがあるらしい。
「はーい、おいでおいでー」
軽く体を動かしてウォーミングアップしたが、少し手持ち無沙汰になったので野良猫と遊ぶ裕奈。
野良猫たちは、ノドを鳴らして裕奈に近づき、首を摺り寄せてくる。
「ハハハ、随分と人懐っこいな〜。お前ら、人間が怖くないのか?」
裕奈は寄ってきた野良猫ののど元をくすぐる。くすぐられた猫はゴロゴロとノドを鳴らす。
「可愛いなぁ。今度、ご飯かなんか持ってきてあげようかな?」
「お待たせいたしました、ユーナ様」
声をかけられて振り返る裕奈。そこにはスポーツバッグと買い物袋を持った茶々丸が立っていた。
10-460
名前:以下、名無しにかわりましてモナーを取り返します[] 投稿日:2005/09/14(水) 21:20:27 ID:K8PyaHym0
「あっ、茶々丸さん」
茶々丸に声をかける裕奈。
「なるべく急いで来るようにはしたのですが、待ちましたか‥?」
「ちょっとだけね。でも、この子たちの相手してたから、気にならなかった」
「そうですか‥」
裕奈は笑顔で猫たちを見る。その様子にほっとした表情の茶々丸。
「では、もう暫くお待ち下さい。この子達にご飯をあげますので‥‥」
茶々丸はスポーツバッグを下ろすと、買い物袋からネコ缶を取り出した。
「何か、色々入ってるみたいね」
茶々丸は猫たちにご飯をあげた後、スポーツバッグから色々と取り出す。
そして、その様子を後から見ている裕奈と猫たち。
「まずはこれを‥」
茶々丸はスポーツバッグから、ジャージのようなズボンを取り出して、裕奈に渡す。
「これは?」
「カウサです‥。カポエイラで使用するユニフォームと思っていただければ、結構です」
「へぇー」
裕奈はカウサを受け取り、広げて眺めてみる。
ローライズになっていて、色はブラジル国旗に準じてる。太もものところに猫のアップリケがあった。
「次はこれを‥」
今度は黄緑色の帯と言うか、紐を裕奈に渡す茶々丸。
「これは?」
「コルダです‥。空手や柔道での帯にあたり、この黄緑色は白帯に相当します」
「へぇー。何だか、ちょっと本格的ね」
「はい。どうせ行うのならば、楽しみながらも真剣にやった方がよろしいと思いまして‥‥」
「うん、そーだね。それじゃあ、着替えてこよっか」
裕奈と茶々丸は、荷物を持って公園から一番近くにある更衣室(?)に向かった。
続く
最終更新:2007年07月29日 02:31