修学旅行 奈良公園
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8-99
名前: 修学旅行 奈良公園 1[] 投稿日:2005/08/24(水) 18:55:19 ID:tk5CO3Tl0
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修学旅行二日目は奈良に来ていた。ザジの隣に立つ千雨は、この異様な状態に身を強張らせていた。
「ザジ…なんか、怖いんだけど……」
「大丈夫。いい子だから」
そう言って、ザジは子鹿の頭を撫でる。
だが、鹿は一頭だけではない。二人の周りを百頭に近い数の鹿が埋め尽くしていた。二人は別に餌をばら撒いている訳でもない。鹿の方から次々と集まってきたのだ。
怯える千雨に比べて、ザジは落ち着いたものだ。どうやら、ザジには動物に好かれる何かがあるらしい。
「ちうにも触って欲しいんだって」
「そ、そうか…」
千雨は言われるままに手を伸ばし、小鹿の背に恐る恐る手を置く。小鹿は嬉しいのか、千雨の足に顔をこすり付けて甘える。
「はは、カワイイもんじゃないか」
恐怖心が消えた彼女は、膝を折って小鹿と目線を合わせる。すると、小鹿が舌を出してペロペロと舐めた。
「きゃっ、くすぐったいって」
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8-100
名前: 修学旅行 奈良公園 2[] 投稿日:2005/08/24(水) 18:55:51 ID:tk5CO3Tl0
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ほっぺたを舐められ、目を細めて笑う。千雨も小鹿を気に入ったようだ。
だが、それを見ていたザジの表情は曇る。
「(う〜、仲良くしすぎだよ〜……!)」
ザジは小鹿にまで嫉妬していた。彼女の千雨に対する愛情は、それほど大きかった。そして、思いもよらぬ行動に出る。
「私もちうと仲良くする――ッ!」
「どわーっ、何考えてんだよ!?」
ザジが千雨に飛び掛かり、地面に押し倒した。鹿の群れの中なので、周囲の人からは何も見えない。それをいい事に、ザジは千雨の頬を鹿のように舐める。
「ああっ、バカ、変なトコ舐めるな! そこはダメぇ! イヤあああっ」
触発された鹿も加わり、千雨はまるで暴漢に襲われているような声を上げる。だが、その惨事に気付く者は無かった。
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8-101
名前: 修学旅行 奈良公園 3[] 投稿日:2005/08/24(水) 18:56:42 ID:tk5CO3Tl0
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三十分後、千雨はむすっとした顔でお手洗いを探していた。顔から足まで舐め回され、ベタベタして気持ち悪い。早く洗い落としたかった。
その後ろには、しょんぼりとしたザジがついて歩き、さらにその後ろには、鹿が行列を作っていた。
お手洗いに入った千雨は、洗面所で汚れたメガネを外し、水道の蛇口を一気に捻る。
何度も顔を洗い、次はハンカチを濡らして体中を拭く。最後にメガネを洗い、かけ直す。
「あークソ…散々な目に遭ったぜ……」
ようやく一息つけて、文句の一言も口から出るようになった。これには、さすがの千雨も相当気分を害していた。
お手洗いから出た千雨を待っていたのは、下を向いたザジと鹿の群れだった。先程の惨劇を思い返し、額に筋を浮かばせる。
「おまえら、いい加減にしとけよ。次やったら鹿鍋にするからな」
傍から見たら、鹿に説教を垂れるという間抜けな光景だが、鹿は揃って頭を下げ、反省しているようだった。
次に怒りの矛先がザジに向かう。
「ザジ、言わなくちゃいけない事があるだろ?」
黙って俯いていたザジがピクリと肩を震わせ、小さな声で謝る。
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8-102
名前: 修学旅行 奈良公園 4[] 投稿日:2005/08/24(水) 18:57:29 ID:tk5CO3Tl0
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「……ごめんなさい」
「よろしい」
すぐに許してくれたと知り、ザジはハッと顔を上げる。そして、涙目で分かってもらおうとする。
「でもっ、みんなちうが好きだからやったんだよ? 私もだし、鹿のみんなも」
「わかってるよ」
そう言って千雨が微笑む。何だかんだ言っても、ザジには甘い千雨だった。感極まったザジは、その勢いのまま千雨に抱きつく。
「ちう、大好きっ」
「コ、コラ、見られたらマズイだろ――ってか、おまえらもか!?」
慌てる千雨の視界いっぱいに鹿の大群が飛び込んでくる。これでは、さっきの二の舞だ。
「だ…だから、おまえらっ、やめろって……ああん、そこはいけないんだってば。はああっ――」
結局、もみくちゃにされる千雨。人の話を何も聞いちゃいないザジと鹿の連中だった。
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8-103
名前: 修学旅行 奈良公園 5[] 投稿日:2005/08/24(水) 18:58:08 ID:tk5CO3Tl0
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帰りのバスに乗り込んだ3−Aは不思議な光景を目にする。
「わあ、お姉ちゃん、鹿さんがいっぱい見えるよ。見送りかな」
「そんなわけないって。たまたまだよ」
「そうでござるか? 拙者も見送りしてるように見えるでござるよ」
鳴滝姉妹と楓が見る窓の先には、別れを惜しむように3−Aのバスを見つめる鹿の群れがあった。
座席に着いた千雨もそれを見つけ、隣のザジに小声で話し掛ける。
「また一緒に来るか」
「(コクリ)」
そう言った千雨も、バスが発進して見えなくなるまで、鹿の群れを見続けていた。
おわり
また絵が付いてて感激しまくりです。
ザジがどんどん暴走気味に……
でも、このまま突っ走ってもらいますw
修学旅行 二日目の夜
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8-409
名前: 修学旅行 二日目の夜 1[] 投稿日:2005/08/27(土) 02:18:35 ID:EKoMgLTy0
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奈良から旅館に戻った千雨は、部屋でノートパソコンを開いていた。ホームページのアクセス数を保つ為には、頻繁な更新を欠かさないのが鉄則。だから、修学旅行中と言えども休めない。
もうすぐ就寝時間になろうかという時、班長のあやかが鼻息を荒くして部屋に戻ってきた。
彼女に何があったのかは知らないが、同室の全員が直感的にあやかを避けて部屋の隅へ逃げる。
興奮したあやかは、そんなのも気にしない様子で戦いの始まりを告げる。
「みなさん、このあと十一時から、3−Aは班対抗のゲームを始めます。ルールは簡単。ネギ先生のクチ…クチビルを奪うだけです。各班の代表は二名。さあ! 私と組むのはどなた!?」
当然のように、あやかが出場するのは標準仕様になっている。暴走した今の彼女には何を言っても無駄だ。
話を聞いたみんなは、すかさず逃げ道を探す。こんなゲーム、生活指導員の新田が黙っているはずがない。まずは我が身の安全確保が第一だ。だが、一人だけ逃げ遅れた者がいた。
「(ちうっ! 逃げて!!)」
ザジの心の叫びが向けられる先には、今もパソコンの作業に没頭している千雨の姿があった。彼女は周りの状況が全く見えてないようだ。そして、あやかの魔の手が迫る。
「千雨さん、あなたに決めましたわ」
「な、なんだよ!?」
キーボードを叩く手が突然掴まれた。驚いた千雨は振り向くが、その人物の気合の入りすぎた顔に言葉を失う。あやかはネギが関わると怖いくらいに本気になる。
「他の班への妨害も認められています。攻撃は枕を使えば大丈夫です。ネギ先生のために頑張りましょう!」
有無を言わせないゲーム説明が始まり、千雨はあやかに捕まった事を悟る。そのあやかの後ろには、じっとこちらを見つめるザジと、手を合わせて謝る夏美の姿があった。
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8-410
名前: 修学旅行 二日目の夜 2[] 投稿日:2005/08/27(土) 02:19:41 ID:EKoMgLTy0
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キス争奪バトルが始まったものの、超人揃いの3−Aで、帰宅部の千雨が戦うには分が悪すぎた。
拳法の達人クーが大暴れしだしたのを見て、千雨はさっさと引き上げる事を決断した。だが、それが裏目に出る。
「(ちうが新田の餌食に――ッ!!)」
部屋のテレビで観戦していたザジの呼吸が止まる。ゲームを抜けようとした千雨が、鬼の新田に見つかってしまったのだ。
ロビーに連行された千雨は、朝まで正座の罰を言い渡される。これでは、ザジと一緒に夜を過ごせない。
助けに行きたいところだが、相手があの新田では手も足も出ない。ザジは涙を呑んで千雨の勇姿を見届けた。
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8-411
名前: 修学旅行 二日目の夜 3[] 投稿日:2005/08/27(土) 02:20:20 ID:EKoMgLTy0
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千鶴は夜中にトイレで目を覚ました。そこで、テレビが点けっぱなしな事に気付く。この灯りを頼りにトイレに行こうと体を起こした時、テレビの前に座る人影を見つけた。
「ザジちゃん、もう遅いから寝ましょう?」
「(ふるふる)」
ザジは画面を見たまま首を振る。
何を一生懸命に見ているのかと、千鶴もテレビを見る。そこには、正座をさせられている3−A一同の姿があった。朝倉が設置したビデオカメラが、まだ生きていたのだ。
ザジは自分だけ寝るのは千雨に悪いと思い、テレビの前で同じように正座をしていた。
それを察した千鶴は、トイレで用を足した後、隣に正座で腰を下ろす。
「いい思い出になりそうだから、私もまぜてもらうわね」
「(コクリ)」
こうして、派手な騒動の裏で、新たな友情が芽生えたりしていた。
おわり
このスレで注目され始めたちづ姉を投入!(俺ってバカ)
修学旅行 シネマ村
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8-611
名前: 修学旅行 シネマ村 1[] 投稿日:2005/08/28(日) 21:50:46 ID:f+KdtJgs0
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修学旅行三日目は班別での完全自由行動日。ザジと千雨の属する三班は、観光施設のシネマ村を訪れていた。
シネマ村に入場してすぐ、朝倉が扮装の提案をする。彼女はいつも、ネタ探しのためには手段を厭わない。
「みんな〜、せっかくだから衣装を借りてから回らない?」
「私もしたいですけど、結構な料金を取られますよ?」
演劇部の夏美が現実的な問題点を挙げる。一万円前後の出費は、中学生には厳しいものがある。
しかし、そこは報道部の朝倉和美。しっかりと対策を考えてあった。芝居がかった口調で説得を開始する。
「その点はご心配なく。ここにイインチョと言う心の広いお方が居るではありませんか」
「ちょっと。私は皆さんのお財布代わりではありませんわよ」
「まあまあ、そんなふうに警戒なさらずに。私はみんなで楽しい思い出作りをしたいと思っただけでして。それに、普段と違う姿をネギ先生も見たがると思いますよ」
「ネ、ネギ先生がですか?」
「いいんちょが日本の美でアピールすれば、先生もイ・チ・コ・ロ…かもよ?」
朝倉は対あやか最強のカードであるネギを引き合いに出す。ネギに御執心の彼女には効果が絶大だ。
「ネギ先生が私にメロメロで……そのあとは、私と先生の愛の修学旅行が始まるんですわ――はぁん、先生、そんなことをなさってはっ」
妄想の世界に突入し、危ない腰つきで頬を染めるあやか。そう仕向けた朝倉が苦笑し、みんなが遠ざかろうとする中、千鶴だけはニコニコと楽しげに見守っていた。
「いいでしょう。みんなでこのシネマ村の住人になりきって、存分に楽しみましょう!」
「さすがイインチョ。話が分かるッ」
「ささ、皆さんで着替えに参りましょう」
あやかが興奮冷めやらぬ様子で承諾し、ザジと千雨も半ば強制的に扮装施設へと連れて行かれた。
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8-612
名前: 修学旅行 シネマ村 2[] 投稿日:2005/08/28(日) 21:51:18 ID:f+KdtJgs0
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あやか達がカタログの写真を見て衣装を選んでいる最中、千雨は震える手を必死に抑えていた。
「(耐えるんだ私! これはコスプレじゃない……コスプレじゃないんだッ!!)」
ネットアイドルちうのコスプレイヤーの血が騒ぐ。彼女はみんなの衣装選びに口を出したくて仕方がなかった。
禁断症状に苦しむ間に、他のみんなは次々と衣装を決めて更衣室へと向かう。気が付けば、衣装を選んでいないのは千雨だけになっていた。
どうにか自分を抑えられた彼女は、無難に明治の女学生を選んで着替えに向かった。
着替え終えた千雨は、みんなと合流して、そのはじけっぷりに唖然とした。
あやかは髪飾りでゴテゴテと飾り付けられたカツラと派手な着物で圧倒し、千鶴も負けじと華やかなドレスでシルクハットの貴婦人を装う。朝倉は女を捨てて浪人になっていた。
「(こいつらのこの潔さ。侮れねー……)」
妙な対抗心を燃やす間もなく、その後ろに居たザジを見て叫びそうになる。
「(ちょんまげッ!?)」
はじけるにも程がある。ザジは武士の服装で、頭のてっぺんの髪を束ねて立てていた。正確には「茶筅髪」と言うそうだ。
頭を剃ったカツラをしてないだけマシだが、女がする格好ではない。千雨はそれとなくザジの傍に行き、こっそり教える。
「それ、男の衣装だぞ」
「(コクリ)」
ザジは外国人なので知らないのかもしれない。そう思って教えたのだが、どうやら彼女も承知のようだった。
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8-613
名前: 修学旅行 シネマ村 3[] 投稿日:2005/08/28(日) 21:52:02 ID:f+KdtJgs0
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仲良く扮装した三班は、シネマ村を楽しく回った。各所で催されるショーを観て、休憩は茶屋で団子をほおばった。
途中、刹那と木乃香が加わってからは3−Aお決まりの大騒ぎが勃発し、千雨は自ら蚊帳の外へと出た。妖怪が団体で現れたりすれば、馬鹿らしくて相手にしたくもなくなる。
それが幸いして、ザジは千雨と二人きりになる事ができた。一緒に騒ぎを傍観していたザジが、隣に立つ彼女の手を取る。ビックリした千雨の肩が跳ねる。
「ザジか……。脅かすなよ」
「行こッ」
「どこへ?」
「デートへ!」
「デート!? って、おいっ、引っ張るな!」
ザジは握った手を強引に引き、人だかりの中から千雨と抜け出した。
二人は手を繋いでシネマ村を散策していた。ザジは終始ご機嫌のようで、千雨をリードするその足取りは軽い。それに対して、千雨の足取りは重い。人前で手を繋ぐのは、恥ずかしくて死にそうだった。彼女は半泣き状態で、前を歩くザジにお願いする。
「ザジぃ、手を離してよ。恥ずかしいから…」
「恥ずかしくないよ。今の私はお侍さんで男の子だし、ちうもかわいいよ」
どれだけお願いしても、同じような返事が返ってくるだけだった。手を振り払おうにも、ザジの細腕からは想像できない力強さを感じてできない。それ以前に、彼女の手を本気で振り払う事などできない。どんな理由があっても、好きな人を拒絶するのは難しい。
ザジが男の衣装を選んだのはこのためだった。男になりきって千雨とデートをしたかったのだ。彼女の目論見は見事に実現されていた。胸を張って千雨の手を引くザジは、男の子にしか見えない。そして、恥ずかしくて俯く千雨は、か弱い女の子にしか見えなかった。
「(ちうっ、本当にかわいいよ〜っ……!!)」
千雨が珍しく女の子をしている姿が、ザジの心臓を高鳴らせる。調子に乗ったザジは、人に見られないよう、建物の陰に千雨を連れ込む。そして、壁に千雨の肩を押さえつける。
「ザジ、今度はなんだよぉ…」
「キスしてあげる」
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8-614
名前: 修学旅行 シネマ村 4[] 投稿日:2005/08/28(日) 21:52:42 ID:f+KdtJgs0
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連れ回されて弱気になっている千雨は、大した抵抗ができない。今のザジには、それすら可愛らしく見えてしまう。彼女の眼鏡を外し、唇をムリヤリ奪った。
キスをしてすぐ、ザジの唇に冷たいものが流れ落ちてきた。目を開けたザジは、驚きでキスの感触も忘れる。千雨の閉じられた瞳から、涙がとめどなく溢れていたのだ。
ようやくザジは過ちに気付いた。どれだけ好きでも、相手の気持ちを無視していい理由にはならない。ザジは張り付いた表情で唇を離し、震えた声で許しを請う。
「ゴメンナサイ……」
千雨の返事は無い。彼女は壁に背を預けたまま涙していた。重苦しい沈黙が、まるでザジを責めているように思わせる。そして、彼女はその重さに耐えられなかった。
「ごめんなさいッ! 私は好きだから…ちうが好きだからしたの。でも、わかったの。こんなのは違うって。だから、嫌わないで! お願い……」
堰を切ったように弁解の言葉と大粒の涙が溢れ出す。肩をしゃくり上げて泣くザジは、何度も「嫌わないで」と繰り返す。
眼鏡を持った手で涙を拭っていた時、ザジの頭がふわりと暖かいもので包まれた。それは、千雨の腕だった。彼女はザジの頭を胸に押し当て、優しく言い聞かせる。
「嫌ったりしないよ。私もザジが好きだから‥‥」
ザジは千雨の胸で思い切り泣いた。嬉しいのか悲しいのか分からなくなるほど泣いた。千雨の心地よい温もりが、無条件で許してくれているような気がした。
ザジを子供みたいにあやした千雨は、彼女の肩に手を置く。そして、胸から離れられないでいる彼女の顔を上げさせてあげる。
「ほら、メガネを返してよ」
何も無かったかのように明るい声を掛ける。しかし、ザジは千雨の顔を正面から見れない。俯いて眼鏡を差し出す。受け取った千雨は、眼鏡のレンズを見てぼやく。
「あ〜、指紋と涙で汚れちゃってるな。水で洗ったほうが早いか」
「ゴメンネ……」
これだけで小さくなるザジを見て、かなり重症だと千雨は感じた。汚れた眼鏡を懐に仕舞い、今度は逆に、千雨の方からザジの手を取る。
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8-615
名前: 修学旅行 シネマ村 5[] 投稿日:2005/08/28(日) 21:53:26 ID:f+KdtJgs0
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「デートのつづき、しよっか」
千雨の口から出た意外な言葉に、ザジはやっと顔を上げる。そして、捨てられた子犬のような瞳で問い掛ける。
「許してくれるの?」
「だからデートに誘ってんだ。でも、人前で手を繋ぐのは無しだからな」
言っていて恥ずかしくなった千雨は、プイッと顔を背ける。女同士でデートをするなんて、簡単には吹っ切れない。それでも、千雨の優しさは十分すぎるほどザジの心に染み渡った。胸がじんとして瞳が潤んでくる。
「うんっ、人前では手を繋がない」
ザジは涙を指で拭い、元気な声で返事をした。そして、千雨が手を離してしまう前に、彼女の手を強く握り締めた。
「(これから先、どんな事があっても、この手を離さずに居られますように‥‥)」
ザジはそう願うのと同時に、この手を誰にも渡さないと心に誓った。
おわり
ザジ懲りてねえええ。愛は猛進ですよ。
修学旅行編のクライマックスとして、ちょっとシリアスにいってみました。
四日目も同じ班別自由行動みたいなんで、すっ飛ばして次で修学旅行を終わりにします。
修学旅行が終わって 前編
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9-35
名前: 修学旅行が終わって 前編 1[] 投稿日:2005/08/31(水) 23:58:20 ID:3MO7OH420
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京都から新幹線で帰ってきた3−Aは、麻帆良学園駅で点呼を済ませていた。最後に、しずな先生が解散の挨拶をする。
「修学旅行、お疲れ様でした。皆さん、気をつけて帰宅してくださいね。おうちに着くまでが修学旅行ですから、寄り道はしないように。それでは、解散」
挨拶が終わり、駅前広場で座っていた3−Aの生徒達が一斉に立ち上がる。解散と言っても、ほとんどの生徒が同じ寮に住んでいるので、団体行動をしているのとさほど変わらない。千雨とザジもクラスメイトと一緒に寮に向かった。
自宅に帰ってきた千雨は最初、窓を開けて空気を入れ替えた。部屋を五日空けただけで、その空気は何とも言えない辛気臭さを含んでいた。
そして、妙に懐かしくて安心する匂いも含んでいた。変わってない部屋の景色を見て、これで当然なのに、嬉しく思ってしまう自分を自覚していた。その感じ方は、千雨もザジも同じだった。
二人は休む間もなく、荷物の片付けを始めた。床に置いたカバンの口を広げ、洗濯物やお土産を分けていく。帰宅部で友達の少ない千雨には、人にあげるような物は無かったが……。
せっせと片付けをしている最中、ザジがお土産の一つを手に取って差し出した。しかし、千雨は意味が分からないので受け取れない。
「これ、ちうにお土産」
「おいおい……私も一緒に行ってただろ」
「いいの。ちうにもらって欲しいだけだから」
「じゃあ、私も何かやるよ」
千雨はゴソゴソとカバンを漁り、交換する物を探す。だが、適当な物が見つからない。彼女は無駄な物が嫌いなので、土産らしい土産は買ってなかった。キーホルダーとかは買っても使わないのがほとんどだ。仕方がないので、自分のために買った物を取り出す。
「こんなのしかないけど、いいか?」
「うん、かわいいねッ」
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9-36
名前: 修学旅行が終わって 前編 2[] 投稿日:2005/08/31(水) 23:58:56 ID:3MO7OH420
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千雨が出したのは超小型のUSBマウスだった。その大きさはゴルフボール並みで、見た目はかわいいが、小さすぎて却って使い難そうだ。修学旅行で何を買っているんだか……。それはともかく、ザジは嬉しそうに交換に応じた。
ザジがお土産だと言って渡した物は、丁寧にリボンでラッピングされた小箱だった。お土産にしては豪華すぎる。千雨も箱を見た瞬間からそう思っていたのだが、中を開けて見て頭が大混乱に陥った。
「(ちょっと待てっ!! ナゼ、指輪? コレ、指輪だよな!? シルバーか、プラチナか……いや、そんなのは問題じゃないッ――)」
箱の中にあったのは、どこから見ても指輪だった。ダイヤモンドらしい宝石が一つ乗っているシンプルな指輪だ。修学旅行でこんな買い物をする者など、そうは居ないだろう。
豪華なプレゼントの理解に苦しんだ千雨は、力無く笑いながら真意を探る。
「あはは…私の誕生日はとっくに過ぎちゃってんだけど……」
薄々その意図に感付いている千雨は、笑って冗談で済ませようとする。だが、ザジはそれを許さない。怖いくらいに真剣な眼差しで、千雨を真っ直ぐ射抜く。
「そのリングは私の偽り無い気持ち。ちう以外は考えられない、考えたくない。死ぬまでそうだって断言できるよ」
それは、プロポーズに等しい告白だった。「愛してる」とか「好き」とか言わなくても、ザジの言いたい事が千雨には解ってしまう。同じ感情を持っていれば当然だ。
その言葉の重さに、千雨は笑い飛ばす事もできない。春の強風が窓から吹き込み、千雨の肌を粟立てる。
千雨は突然の出来事に困惑を隠せない。ケースに収まった指輪を見たまま、動けずに時間だけが過ぎていく。
静寂を破ったのは、来客の陽気な声だった。
「チワ〜ッス、修学旅行の思い出をお届けに来ましたよッ」
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9-37
名前: 修学旅行が終わって 前編 3[] 投稿日:2005/08/31(水) 23:59:37 ID:3MO7OH420
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ノックも呼び鈴も無しに上がり込んできたのは朝倉だった。千雨は慌てて指輪のケースを閉じ、カバンの奥に押し込んだ。
「か、勝手に上がってくるなよ! なんか用か?」
「えーっとね。私は修学旅行で3−Aのカメラマンを頼まれてたんだけど、その写真を買ってもらおうと思って」
「いくらなんでも早すぎるだろ」
朝倉は班別行動の写真を中心にカメラマンを頼まれていた。しかし、帰った当日に写真を売りつけるのは確かにおかしい。
千雨は朝倉の来客で少し助かったと思っていたのだが、そうは事は進まない。
「特別な顧客には、それなりの対応をしないとね。こんな写真は販売サンプルに載せられないでしょ?」
そう言って朝倉がポケットから写真を何枚か出す。床に並べられた写真を見て、千雨は脳天をハンマーで殴打されたような衝撃を受けた。
写真は千雨とザジが二人で居る場面のものばかりだ。それだけなら別にいいのだが、その場面が駅でのアレや、旅館でのコレや、公園でのソレだったりするので、はっきり言わなくともシャレにならない。他にも危ない写真が何枚もある。
「いいい…いつの間に撮ったんだッ!? 盗撮したのか!? 私をゆするのか!? そうなのかあ!?」
秘密を握られた千雨は、パニックを起こして喚き散らす。同じく窮地に立たされたはずのザジは、無表情で写真を眺めていた。
千雨が今にも暴れそうな勢いで取り乱すので、朝倉はいち早く宥めに掛かる。
「私は商売人よ。顧客の情報は漏らさないし、口は堅いから安心して。今回も、いい写真が撮れたから売りに来ただけよ」
そう言って、何枚かの写真を摘んで千雨の眼前に突き出す。
「いい写真でしょ? こんなに表情が豊かなザジちゃん、初めて見たわ」
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9-38
名前: 修学旅行が終わって 前編 4[] 投稿日:2005/09/01(木) 00:00:26 ID:wDq1FtZL0
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朝倉は今の無表情なザジを見て、写真との違いを分からせようとする。
写真のザジは瞳が輝いて見えた。その瞳が向かっている先は、全ての写真で共通していた。
千雨は写真のザジの姿を見慣れているのだが、こうやって見比べると、改めてザジからの愛情を深さを思い知らされる。
「プライバシーに引っ掛かりそうだったんで、画像を消去しようとも思ったんだけど、貴重そうじゃない? 学校のアルバムでは絶対に見られないし、あんたらは写真とか残してなさそうだもん。せっかくだから、譲ってあげようと思ったわけよ」
全てを正当化した朝倉は、得意顔でニカッと笑う。盗撮しておいてこの根性。さすがはパパラッチと恐れられる女だ。
あっけなく言いくるめられた千雨は、憮然としながらも肩を撫で下ろす。そして、今まで動かなかったザジが、朝倉の肩を指で突付く。
「(ツンツン)」
「なぁに? ザジちゃん」
振り向いた朝倉に、ザジは手に持った財布の口を拡げて見せる。どうやら、写真を買いたいらしい。
「(買う気満々かよっ!!)」
千雨の心のツッコミが声に出る事は無かった。何故なら、彼女に購買意欲が無いと言ったら嘘になるからだ。完全にカメラを意識していないこの写真は、撮ろうと思っても難しい。盗撮にも利点はあった。
恥ずかしい写真が多いが、その自然な表情は残しておきたかった。それはザジだけではなく、千雨にも言えた。写真の彼女は、もう一人の自分であるネットアイドルちうにも劣らない魅力を見せていた。
彼女は人を馬鹿にしたような目しか他人に見せない。しかし、この写真の彼女は違う。ザジを見る目は柔らかく、愛情で満ちていた。これは、二人で居るからできる顔なのだろう。
「一枚百円よ。え? 全部欲しい? 毎度あり〜ッ」
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9-39
名前: 修学旅行が終わって 前編 5[] 投稿日:2005/09/01(木) 00:01:13 ID:wDq1FtZL0
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ザジは迷いもせず全ての写真を購入する。代金を受け取ってホクホク顔の朝倉は、これ見よがしに千雨に注文の催促をする。
「ちうちゃんはどうする? 特別にサービスするよ?」
その言葉にザジが反応してピクリと眉を寄せる。何やら不穏な空気を感じ取ったようだ。
千雨はやけに馴れ馴れしい朝倉に辟易しながら、ボソリと注文を出す。
「……全部クレ」
「え? 今なんて?」
朝倉がわざとらしく耳に手を当てる。千雨は廉恥と憤怒で拳を震わせ、次には開き直って大声で叫ぶ。
「全部クレって言ったんだよッ!!」
「わ、わかったから、サービスするから怒らないでぇっ」
怖がって見せる朝倉の目は、これ以上無いほどに笑っている。彼女は千雨を怒らせて楽しんでいるようだった。
嵐のような乱入者を追い返し、旅行荷物の片づけが終わった頃には、日も傾き、吹き込む風も弱く冷たくなっていた。
おわり
長いので、前後編に分けました。ザジの暴走も止まりませんが、私の暴走も止まりませんです。
イヤッホォォォオウ!!(ぶっ壊れ中)
修学旅行が終わって 後編
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9-135
名前: 修学旅行が終わって 後編 1[] 投稿日:2005/09/01(木) 22:41:01 ID:wDq1FtZL0
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夜遅く、千雨は一人で写真を眺めていた。机には修学旅行の写真が並べられている。昼に朝倉から買わされた物だ。
机に両肘を着いて顎を支えていた彼女は、唐突に大きな溜め息を漏らす。今の彼女は写真に目が行っていない。彼女の瞳に映っているのは、あの指輪のケースだった。
土産の交換の最中に朝倉が訪問したおかげで、うやむやのまま受け取ってしまったのだ。
千雨は顎を上げ、ケースを手に取る。蓋を開けた彼女は再び溜め息を吐く。
「ザジからのコレ、本気なんだろうな‥‥」
リングの内側には「Pt」と彫られている。プラチナの証だ。冗談で高価なプラチナリングは贈らないだろう。○が五個も並びそうな高価な指輪を遊びで買うのは、金持ちと道楽者だけだ。
何より、あのザジの真摯な眼差しを見てしまっては、疑う事自体が失礼に思えて仕方がない。
指輪を返そうかとも考えたが、千雨にはできなかった。それがきっかけで、絶対的な別れが訪れるような気がしてならないからだ。
だが、これを受け取ったという事は、ザジの想いを受け入れた事と同意義になる。彼女は生涯を懸けて千雨を想い続けると宣言した。
しかし、その想いに応える覚悟が千雨にはまだ無い。十四歳の少女では無理もない事だ。
思考が底の見えない螺旋階段を堕ちていく。疲れてどうにも考えられなくなった千雨は、そこから抜け出すために指輪のケースを閉じた。
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9-136
名前: 修学旅行が終わって 後編 2[] 投稿日:2005/09/01(木) 22:41:50 ID:wDq1FtZL0
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修学旅行明けの学校は、いつにも増して賑やかだった。登校直後から誰もがこぞって思い出話に華を咲かせ、まるで修学旅行の熱が冷めるのを恐れているようにさえ見える。
千雨はそんな中、普段の寡黙を貫き通していた。話し掛けられれば適当に相手はするが、基本的に人を見下している彼女なので、当然のように会話は続かない。
千雨は同じ境遇であろうもう一人を見る。だが、そこは予想と反して会話が弾んでいた。
「ザジちゃん、ソレどうしたの? カワイイじゃん」
「え? もらった? 誰から?」
「秘密って…教えてよぉ」
ザジは数人のクラスメイトに囲まれていた。いつものザジなら、こんな人気はありえない。
珍しいものを見た千雨は、その原因を知りたくなった。どうやら、ザジが持っている何かがそうらしい。注意深く見ていた千雨は、すぐにその正体を突き止めた。
「(ソレって、私があげたマウスじゃねーか)」
それは、修学旅行で買った極小USBマウスだった。だが、それはもうマウスではなかった。
通学カバンにぶら下がっているソレは、USBケーブルが切断され、代わりにキーホルダーのチェーンが装着されている。マウスとしての機能は死んでいた。
千雨はその変わり果てた姿にがっかりしたが、ザジも周りのクラスメイトも気に入っているようなので、これでいいような気がしてきた。
買い主にまで見捨てられたマウスに同情している時、最も会いたくない人物が気安く声を掛けてきた。
「ちうちゃん、おはよ〜」
「学校でその呼び方はやめろ」
千雨はそれだけ言うと、挨拶も返さないで無視を決め込む。朝倉も盗撮なんかしていれば、嫌われるのも当然だ。しかし、そこでめげないのが朝倉が朝倉たる所以。彼女は気にもしないで纏わり付こうとする。
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名前: 修学旅行が終わって 後編 3[] 投稿日:2005/09/01(木) 22:43:02 ID:wDq1FtZL0
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「どしたの? 元気ないねぇ。あ、もしかして、ザジちゃんと喧嘩したとか」
「なっ…おまえ!!」
他人が聞いてもどうと言う事の無いその言葉に、千雨は過剰に反応する。ガタンと椅子を鳴らして席を立ち、その減らず口を手で塞ごうとする。
「もぉ、ちうちゃんたら大胆っ。こんな所じゃイヤ……」
朝倉が面白がって妖しいリアクションをする。頬を染めているように見えるのは気のせいか。教室の中でアホな言動をするので、色事好きなクラスメイトの注目が一挙に集まる。
どこまでもふざける朝倉に殺意すら覚えながらも、千雨は手を離して席に座る。彼女としては無闇に目立つのだけは避けたかった。
顔を真っ赤にして座る千雨を見て、やりすぎたと朝倉は舌先をチロリと見せる。彼女でも良心はあるので反省する。
「ごめん。今のは悪かったよ。そんなつもりはなかったから、許して。ね? お昼に何か奢るから」
朝倉は手を合わせて一所懸命に謝る。彼女の言う「そんなつもり」は、秘密を盾に脅す事だ。彼女はそこまでするほど陰湿ではない。
千雨が遊ばれているのを、ザジは無表情でじっと見続けていた。だが、その瞳には強い意思の光を宿らせていた。
この日から、学校では朝倉と千雨が一緒に居る時間が多くなる。そして、それに対抗するように、ザジも一緒に居る事が多くなる。
千雨の学園生活は、今以上に大変なものになりそうだった。
おわり
あははは、修学旅行編で終わりにするつもりで好き勝手に書いてたら、こんな泥沼な愛憎劇になっちゃいましたよ。(もう笑うしかない)
ここまで読んでくれてありがとう。みんなの応援のおかげで、修学旅行編を乗り切る事ができました。本当に感謝です。
この先は麻帆良祭だけど、原作で長丁場になりそうなので、コミックを追うのはここで終わりにしようと思います。中途半端ですけど、これで最終回にしておきます。
次は違うカップリングも書いてみようかな……
最終更新:2007年07月29日 02:31