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13-61
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2005/10/08(土) 08:12:15 ID:Vcu9lpVg0
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綾瀬が部屋に来てから数日。私の周りの環境は、僅かながらも変化が生じていた。
あの後、綾瀬は自室に戻ってから同居人に頼んで、ビブリオンのビデオを観せて貰ったようだ。
本人が朝イチで直接言ってきたから間違いない。のめり込んでいる様子は見受けられないが、
彼女の中での評価は確実に高まってきているらしく、最近学校にいる間はそっち関係の話題が
大半を占めている。仏像だのはたまに耳にする程度になってきていた。
あと、綾瀬と一緒にちょっとしたオマケが付いてきた。早乙女ハルナ。綾瀬にビブリオンを観せ
てと頼まれたとき、彼女はまさに狂喜したという。ルームメイトが自分と同種の趣味を持ってくれ
たことがかなり嬉しかったらしい。似たような境遇の奴は意外と近くに居るものだ。灯台下暗し
とはこのことか。このことがあってから、こいつとの会話率が飛躍的に上がった。むしろ綾瀬より
話している。
これらは、私にとってプラスの変化。
逆に、マイナスの変化もある。
ザジの機嫌は、未だに直ってくれていない。理由は判らない。とにかく私を一方的に、且つ露骨
に避ける。かなり嫌われているようだ。私はそれが嫌だから、何とか修復出来ないものかと
考えている。少しでも解決に繋がればと、部屋でも学校でもザジに話しかけている。
でも、全く反応は無し。私の言葉はザジの耳をさらりと通り抜けてしまっているらしい。それか
強固な壁に阻まれているか。どちらにしても、無視されていることに変わりは無い。そんな状況
なので、部屋の雰囲気は最悪もいいとこだった。
―――そういえば、最近ホームページ更新してないな。ことの発端はそれのはずなのに・・・。
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13-419
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2005/10/13(木) 21:10:31 ID:sKtfBk1h0
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私は今日も、夜のコンビニに居る。
同室のザジを説得するのに疲れ、相手にコミュニケーションの意志というものが皆無ならば私
も諦めざるを得なかった。今では、授業が終わってから寮に帰らずに適当な所で時間を潰し、
帰るのは寮の門限ギリギリである。
完全な冷戦状態に陥っていた。
「くそ」
一人ごちる。こんな風になった理由が解らなかった。私が一体何をしたというのか。
原因が私にあるなら、とっくの昔に頭を下げている。許してもらう為なら、多分何でもやるだろう。
いや、絶対。
というか、原因が判ってなくても、もう既に何度も謝罪した。何回謝ったか判らないぐらいだ。
日本がこれだけ韓国に謝れば、流石に捏造止めるだろうというほど。でも無理。反応すら無し。
だからもう諦めた。
ザジ=レニーデイは大切な人だ。親友の域なんか遥かに超えた所に在る人だ。そんな人と縁が
切れるなんてのは本当に辛い。実際三日間ぐらい泣いた。でも、私が出来ることはどうやら何も
無いようで、それを悟ったとき、私は諦めたのだ。で、今のまるで逃避行のような生活を送って
いる。
その生活も今日ではや一週間目。慣れたことは慣れたが、いかんせん暇だった。当然といえば
当然だが。それに、寮に戻ったらさっさと寝てしまうので、ホームページの更新が滞ってしまって
いるのも問題だ。そのせいで、学校で子供教師に余計な心配を掛けさせる羽目になってしまって
いる。
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13-420
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2005/10/13(木) 21:15:06 ID:sKtfBk1h0
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ネットアイドルランキングは、今どれくらいだろう。そんなことをぼんやり考えていたら、いきなり
肩をどつかれた。
「ッ・・・!何しやがるいきなり・・・!!」
「よー、ちうちゃん!何やってんの、こんな時間にこんなとこで」
「こんばんはです、長谷川さん」
犯人はすぐ特定できた。
「てめえか、このゴキブリ頭!喧嘩吹っかけて楽しいか!」
「んな!ゴキブリ頭とは何よ!ちょっと軽く叩いただけじゃない」
「何が軽くだ!あれが軽いって言うなら、お前の顔を軽くひっぱたいてやろうか」
「もー、何怒ってるかなちうちゃんは。ネットアイドルがそんなんで良いのかな〜?」
「・・・!てめっ、人前でそう呼ぶなって何回・・・!!」
「あの、二人とも」
リアルファイト寸前の私達に、綾瀬が冷静に言い放った。
「静かにするべきです。周りの人達の視線が気にならないなら別ですが」
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13-542
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2005/10/14(金) 19:54:21 ID:yveOJCG70
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現時刻、午後7時。門限まであと1時間。
コンビニから退散した私達は、近くの公園に来た。近くに人家はあるが、人影は殆ど見えない。
夕食時だしそれはそうか。
「全くー、どっかのネットアイドルさんのお陰で恥かいちゃったよ〜」
「何を!そっちが先に手を出したからだろ!」
「・・・二人とも、止めるです。いくら人が居ないとはいえ、近所迷惑です」
再び鎮められ、黙る眼鏡二人、内片方は私。
私の隣に居る眼鏡と、前にいるちっこい奴、早乙女ハルナと綾瀬夕映。ここ最近私は、専ら
彼女らと話す。早乙女はこれでもかというぐらいに私と趣味が被っているし、綾瀬もそこそこの
知識はある。話題には事欠かない面子だ。そういえば、図書館組ってもう一人いた様な・・・?
「ゴメンねー、夕映」
「本当だな。二度も自分から仕掛けるとは、学習能力の無い奴だ」
「・・・まだ言うかな、この人は」
「いや。私は疲れたから、煽りはこれで止めとく」
「誰のせいで疲れたのかしらねー?」
「・・・・・・・、二人のせいだと思うです・・・・・・・」
窘め役はもうグロッキー状態だ。早乙女とは趣味は被るが、何故か口喧嘩が多い。その都度
綾瀬が止め役として入る。
まあ、楽しいから良いんだが。
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13-543
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2005/10/14(金) 19:54:51 ID:yveOJCG70
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「それにしても、困ったなー」
唐突に早乙女が言う。
「何が」
「私達、まだご飯食べてないんだよね。コンビニで買おうとしたらあんなコトになっちゃったし」
「・・・何で私を見る」
「いい加減にするです、二人とも。何でそんなに仲悪いですか」
「ん〜〜。解ってないな〜、ゆえ」
早乙女がくるくると回りながら言う。何故に顔がにやけているのかは、あえて突っ込まない。
しかし、華の無い奴だな。
「何をですか?」
綾瀬の問。まあ、正常な疑問だろう。当事者の私ですら解らんからな。
「決まってるじゃん」
回ってて目を回したのか、ふらつきながら答えている。受け狙いのつもりか。
「仲が悪いなんてとんでもない。私とちうちゃんは、固い固い友情で結ばれて」
「ねーよ」
あ、なんかこけてる。
「ちょ・・・、そんなあっさり否定するー?いくらなんでも酷いよそれはー」
「何を言うかね、こいつは。私はお前から害しか貰ってないよ。傍に居るだけで不幸になる。
話は合うけどな。それだけは認めてやる」
何か偉そう〜・・・とか言ってきたけど、無視した。
「そうですか」
「ん?何だよ綾瀬。今ので納得出来たのか?」
「まあ、です」
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13-544
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2005/10/14(金) 19:55:29 ID:yveOJCG70
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・・・解らん。時折こいつは理解し難いことを言う。まあ納得したならいいか。そう考えて、思考を
切り替える。元の論点は飯問題だ。
「ふーん。まあ今はそれより、夕飯をどうするかが先決なんじゃないのか。よく考えたら私も
食べてないんだ」
「あ、そうなの。もう適当にその辺で買って食べようよ。それでいいじゃん」
何で問題提起した奴が、こんなにお気楽に締めようとしてるんだ・・・。あ、まずい震えが・・・。
とはいえ、他に手段も思いつかない。ちなみに、部屋で何かを作って食べるという意見は一応
出したが却下された。理由は面倒だから。同意はするけども、何か釈然としない。
とにかく、決定に従って食料確保に出掛けることになった。
「早くしないとな、門限まで40分切ってる」
「あの、ちょっと待つです・・・」
そこに待ったをかける者一人。
「ん?どしたのゆえ」
「あの・・・っ、ちょっとトイレに・・・」
ふむ。内股の格好で、全身が微妙に震えている。この上なく解り易い我慢の仕方をして、綾瀬が
潤んだ目で私たちを交互に見ていた。子犬のようだな。
「いーよ。急いでね」
早乙女がそう言うと同時に、子犬は駆けて行った。幸いトイレはすぐそこにあるし、漏らす心配は
無いだろう。しかし心配だ。やけに必死だし。後姿だけでもそれと判るぐらいだ。微かに「もる
ですー・・・!!」という声が聞こえる。
「大丈夫か、ありゃ」
「んー、多分大丈夫。夕映はこーいうの慣れてるから。夕映とオシッコは切っても切れない関係
にあるからねー。それに、」
からからと笑う友人。冷たいな、というか人間である以上誰もがそういう関係だと思うんだ。
「漏らしたら漏らしたで面白い。ネタになるし」
・・・冷たい。というか非道い奴だ。これでよく友人を名乗れるな。そういう状況でもネタを探そう
とする意識は凄いが。流石同人作家といったところか。
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13-545
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2005/10/14(金) 19:55:59 ID:yveOJCG70
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早乙女は近くのベンチに腰掛けた。
「まあ、漏らすなんて何か偶然でも重ならなきゃ無いよ。でもあの子トイレ長いからなあ。ご飯
買いに行く時間があるかどうか。取り敢えずちうちゃんもここ座んなよ」
「遠慮しとく。あとその呼び方は止めろ」
「いいじゃん、誰も居ないんだし」
けらけらと笑う。人気の無い公園に、その声はよく響いた。
「―――・・・」
会話が途絶えた。此処で趣味丸出しのトークを展開するわけにはいかないし、する気も無かった。
黙っていたい気分だった。この沈黙は歓迎したい。多分向こうも同じ気持ちな気がする。
ふと、辺りを見渡した。当たり前だけど真っ暗。所々にある街灯の灯りが、静寂な雰囲気を
更に醸し出す役割を果たしているように見える。BGMは近くのご家庭から聞こえてくる電化製品
の稼動音、だろうかこれは。無機質な音が、やけにこの場に似合っている。
「ねえ、長谷川」
・・・びくりと体が震えた。アノ名前で呼ぶなとは言っても、急に苗字で呼ばれると何か戸惑う。
「・・・何だよ、いきなり。しかも苗字で呼ぶなんて珍しい」
「ん、ちょっとね。真面目な話みたいな」
「真面目・・・?」
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13-560
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[何かわけわかんなくなった・・・] 投稿日:2005/10/14(金) 23:41:25 ID:yveOJCG70
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訝しげに訊いてみる。自然と心が警戒モードに入った。
「そ、真面目。いや、ちょっと違うかな?んー、でも真面目といえば真面目かな」
「はっきりしないな。そんなに言い難いことなのか?それなら別に今じゃなくても」
「駄目」
はっきりとした声が通った。声色が多分1オクターブくらい上がっていた。
「今じゃないと。恥ずかしいから、夕映には聞かれたくないし」
「聞かれたくないって、そりゃどういう類の話だよ」
さっぱり意図が掴めない。私の知る限り、綾瀬と早乙女はかなり仲が良い筈だ。想像だが、
隠し事とかも無いに等しいんだろう。
そんな関係にあるだろう綾瀬を差し置いて、私に話を持ちかけるとは。何か裏があるのか、
それとも―――。
「悪いことじゃないのよ。何て言うか・・・」
どうやら裏は無さそうだ、なら何を―――?
「お礼が言いたくてさ」
あー成程、お礼か。お礼ね、お礼・・・、って何を言ってるんだこいつは。
「何についてのお礼だよ。私は特に何もやってないよ」
「うん、あんたは何もやってない。私が勝手に受けた恩、とでも言うのかな。私自身のことと、
夕映のことで」
恩?こいつだけじゃなく、綾瀬まで?
まるで話がわからない。表情が判ればまだ推測できそうなものだが、今こいつは私に背を
向けた状態で座っている。ヒントは何も無かった。
早乙女がゆっくりと話し出す。
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13-561
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2005/10/14(金) 23:41:51 ID:yveOJCG70
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「まずは私のことからね。・・・おかしな言い方かも知れないけど。同じ趣味を持っててくれて
ありがと」
「・・・はい?」
何なんだこれは。情報が出れば出るほど不可解さが増してく・・・。
「自分でも何言ってんのって気がするけどさ。やっぱり嬉しいんだよね、自分と1から100まで
趣味が被ってる友達が居ると。夕映を通じて私はあんたの趣味を知ったけど、良かったよ。
卒業するまでにこういう関係になれて。あと、夕映をこっちの世界に引き込んでくれたことにも
感謝ね」
「ふーん・・・、・・・どうも」
返したものの、未だによくわかっていない。礼をするほどのことなのだろうか。
「んー、予想通りの返事だね。これが私の分。オマケ程度に考えてくれていいよ」
逆に、早乙女は随分とすっきりしたようだ。声で判る。これじゃあただの自己満足じゃないか。
私はむしろストレスが増した感がある。
早く綾瀬帰って来ないかなー・・・とトイレを見たが、音沙汰は無い。小ついでに大も出している
んだろうか。って、何考えてんだ私は?
「じゃあ、次は夕映の分。こっちがむしろ本題なんだけど」
相変わらず考えも表情もわからせてくれないまま、早乙女は話を続ける。
「夕映の友達の視点から言うわ。あの子、最近明るくなった気がするの。それは多分、長谷川
のお陰だよ」
「え?何でだよ」
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13-562
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2005/10/14(金) 23:42:22 ID:yveOJCG70
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「夕映があんたと話し始めたのがいつ頃からかはもう忘れたけど、その時の夕映は明らかに
違ってた。多分あんた用だったんだろうなあ、仏像やら神社やらのパンフとか本とかを、毎日
寝る前に準備してたもん。すっごい嬉しそうな顔しながらさ。正直嫉妬したなあ、その相手には。
あんな夕映、私達も見たこと無かったから。それがあんただったんだけどね。それがわかった
時は、私あんたを少し凄いなあと思った。夕映の心をここまで動かすことが出来たんだから」
私は何も言わずに早乙女の話を聞いている。つーかなあ・・・、買い被りすぎというか、勘違い
の可能性すらあるような気がするんだが。私は綾瀬の話を聞いてた(受け流していた)だけで、
何もやってないよ、本当。
そんな私の心中なぞお構いなしに、早乙女の話は進む。
「で、そうかと思ったら今度は夕映をアニメ好きにしちゃったでしょ。もう驚いたよ、夕映が帰って
来るなり『ハルナ、ビブリオンのビデオを観たいのですが』って言った時は。私も結構勧誘したん
だけど、全く興味無しだったのに。ほんの数日で夕映の信頼を得ちゃったんだからねー。恐れ
入るよ、うん」
な・・・!これこそ買い被りもいいとこじゃないか!私はただ単に、綾瀬を洗脳しようと思って
やっただけなのに・・・!
一体何だこいつは?さっぱり訳がわからん。私が今まで適当にやってきたこと、或いは私自身
の為にやってきたことを、全部綾瀬の為にやったことだと思っている。どうやったらここまで思い
違い出来るんだ?こいつの頭の中には全ての事象を自分の都合よく解釈するフィルターでも
入ってんのか?
「これらの事から、夕映が明るくなったのは長谷川のお陰。解った?」
解るわけがねえーーー・・・と突っ込みたかったが、口が動いてくれなかった。あれか。こいつの
妙な迫力に圧倒されているのか、私は?
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13-563
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2005/10/14(金) 23:43:17 ID:yveOJCG70
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「だから、ありがとう。で、友人として、あんたに頼みたいことが一つ」
・・・早乙女が私に背を向けて座っているのは、私の意見など全て無視して自分の意見を強引に
押し通そうとする為の作戦なんじゃなかろうか?
そして、暴走気味の私を、早乙女ハルナは更に加速させてくれた。
「これからずっと夕映と、親友でいてあげて欲しい」
「――――――。・・・・・・・・・・、?」
今まで何度も言っているが、今度こそ訳がわからなくなった。
何処をどうしたら、そんな台詞が捻り出されるんだよ・・・。
「・・・ちょっとマテ。いや、もうかなりマテ。お前、一体何を―――」
「私が見る限り、あんたと夕映は最高の組み合わせだと思うの」
―――あの、すいません。そろそろパンクしていいですか。
「だから、夕映にはあんたが必要だし、あんたにも夕映が必要だと思う」
―――何を、言ってるんだ、こいつは。
「夕映とはこれからも親友を超えた関係でいて欲しい。それが二人の幸せの為だから」
―――私が、何時、綾セと、親友以ジョウの、カンケイに、
「あんたを見込んで言うわ。夕映の将来をあんたに任せたいの」
―――ショ、ウラ、イって、何ヲ、マカせる、ッテな、ニ、
「引き受けて―――くれるわよね?」
―――――――――ああ。
駄目だ。もう限界―――――――――――――――――――――――――――――――
「任せとけ、うん」
その後、私はどうやって部屋に帰ったのか覚えていない。
夕飯をどうしたのかも覚えていない。
ただ。
ザジとの関係が修復不能になってしまったということは、とてもよく理解できていた。
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15-133
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2005/10/20(木) 08:10:59 ID:bGXYvM/Q0
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目を覚ますと、私は床に転がっていた。
床は板張りだから、体の節々が痛む。結局ご飯も食べなかったみたいだし、挙句風呂にも入って
いない。頭はボサボサで、服装も昨日のまま。着ている制服は皺くちゃだった。
軋む体を起こし、立ち上がる。取り敢えずシャワーでも浴びようかと思ったが、時計を見て考えが
変わった。
「・・・ち」
8時10分前。のんびりしていたら、遅刻は確定してしまう。簡単に髪型を整え、鞄の中身を入れ替
える。制服は・・・無視するより仕方が無い。
靴を素早く履いて、廊下に飛び出す。全力で走れば、ギリギリ電車に乗れそうだ。というか、逃し
たら、やばい。
何年振りかの全力疾走。体のあちこちが痛む気がするが、今はそんなことを考える余裕なんて
無い。そろそろ脚の一本ぐらい外れるんじゃないかとか思い始めた時、漸く駅に着いた。どうやら
電車は出ていないらしい。定期を使って改札をくぐり、車両に滑り込む―――成功。座席は当然の
如く占領されていたが、今はそんな贅沢は言うまい。ベルが鳴り、ドアがぷしゅうと閉まった。その
お陰で出来た壁にもたれる。
切れ切れになった呼吸を整える。見たとこ、同じクラスの連中は見当たらない。その事実に何故か
ほっとして、私はウォークマンを取り出そうとし―――あれ。
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15-134
名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2005/10/20(木) 08:11:23 ID:bGXYvM/Q0
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「忘れた・・・」
急いでいたせいだろう、こういう状況で必需品のウォークマンが鞄の中に見当たらなかった。
それを知った途端、腹の虫が鳴った。当たり前か、昨日の夕食と今日の朝食、計2食抜いてるし。
幸い周りの連中には聞かれていなかったらしい。今は耐えろ、我慢だ、昼になれば美味しい弁当
が―――て、あ。
「弁当、持ってきてない・・・」
何故気付かないのか・・・。今朝あんなに慌てて、弁当作ってる余裕なんか無かったろうに・・・!
財布を開いて、所持金を確認してみる。・・・・・・。
「50円って・・・」
よく考えたら、最近のザジとの冷戦のせいで夜は殆ど外食、そのせいで手持ちの金は底をついて
いたんだった・・・。結構悲惨な生活してるな、私。
とにかく、これで計一日分の食事を摂れないということが確定してしまった。
何だ・・・、今日はやけについてない気がする。何かの前触れでなければいいんだが・・・。
私にはただ、それを祈ることしか出来なかった。
最終更新:2007年07月29日 02:33