作ったものまとめ【短編小説】

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コンクール最優秀賞『朱炎の終焉』青峯 春逸


2012年8月27日月曜日。全国高等学校アメリカンハットボール選手権大会決勝戦。
試合開始が1時間前だったから、まだ終わっていないはずだ。僕はラジオをつける。
「――おっと、天望実業が最後のタイムを取るようです。さぁ、ゲームも大詰めとなりま
した! 126対128で外舞高校2点リードしています。ここで、試合を振り返りまし
ょう! 組み合わせは天望実業対外舞高校。風光る中で始まった一戦。全国制覇が目前に
迫る両校に――」
部屋に実況が響く。本来なら、あの地に立っていたのは僕たちなのに。ラジオから聞こえ
る、実況、歓声、応援。すべてが不快だ。耳に障る。
「――プッシュも両チーム使い切り、残り7分を戦います。タイムもそろそろ終わるよう
です。7分後には、すべてが決まります! 勝利の女神はどちらのチームに微笑むのか? 
もう結果は神のみに――」
実況なんて無駄だ。何も分かっちゃいない。勝利は神が与えてくれるものじゃない。自分
たちで手にするものだ。もし神が与えてくれるとしたら、それは僕たちだ。誰よりも練習
した。汗も流したし、涙も流した。神なんて、いたものじゃない。いくら耳をふさいでも、
あの日の余韻が響く。いくら目をつむっても、あの日の光景がまぶたに映る。
「――ホイッスルが鳴りました! まずは外舞高校レイダ・速水君がハットを手にフィー
ルドを駆け抜ける! キャントを行いつつ、突き進む! しかし、天望実業――」
速水。これから、一生忘れることのない名前だろう。お前は僕の夢をつぶした。
「――残り5分にて天望実業がイーグルロスを決め、逆転! 131対128! このま
ま逃げ切るか、天望実業。それとも、追いつけるか――」
接戦だ。僕たちは違った。終了2分前には214対73と圧倒していたのだ。しかし、速
水がプッシュを宣言。イーグルアイを決めてプッシュ成功、214対146になった。
「――なんと、逆転! 外舞高校、21フィートのロングラッキーサム! 再びリードは
外舞高校! 131対136で5点リード――」
あのときもラッキーサムだった。214対146から、速水は倍プッシュを宣言した。サ
ムポールから14フィート地点、センターラインすぐのところからアメリカンハットは飛
んだ。僕たちの頭上を越え、サムズハンドにかかった。214対296。残り35秒で逆
転された。為す術がなかった。僕は、高くハットを投げた。皮肉なことに、ホイッスルと
ともにハットがサムポールにかかった。224対296。僕たちは、負けた。
「――ついに、残り2分を切りました。天望実業アンチ・寺西君がフィールドを駆け上が
る! 超攻撃フォーメーションだ! 同時にレイダが駆け抜ける! 外舞高校レイダ・速
水君、寺西君に阻まれセンターラインを越えられない。ここで、ハットが放たれる! サ
ムポールまでの距離、17フィート! 外舞高校のレイダとキーパがジャンプします。レ
イダ・速水君の手がハットにかすめた! ハットがそれる! しかし、ハットが曲がった
ぁ! 天望高校、計算の内だったぁ! そのまま、サムポールへ一直線だ! キーパ、ブ
ロックできるか? できない! ロングハッピーサム! 141対136でさらに逆転で
す。まさに、シーソーゲームとなっています。時間は残り42秒。時は止まらない! 外
舞高校このまま――」
寺西。ごめん。約束していたのに、会えなかった。僕は最後の最後で負けた。本当にごめ
ん。だから、勝ってくれ、負けるな、寺西。
「――点差は5点、イーグルロスで延長、ラッキーサム以上で逆転です。ここで逆転すれ
ば勝利は確実でしょう。外舞高校はフォーメーションを変えずに攻めるようです。想いを
背負い、ハットを託されたのは速水君です。きました、速水君が天望実業レイダを抜き去
る! 待ち受けるは天望実業アンチ・寺西君です。とうとう、両校のエース対決! 最後
はエースがぶつかる! 速水君、寺西君のもとへ一直線! ハットが放たれたのは、サム
ポールから9フィート! 2人の間はわずかに2フィート! 同時に寺西君が跳ぶ! し
かし、届かない! すべてはキーパに託された! ハットが落ち、キーパのブロック範囲
内! キーパが跳んだぁ! だが、ハットは大きく外へ曲がる! アテフィールドを越え、
ホームを避けるように曲がる! これは、イーグルロスか? それでも、判定はジョナサ
ンだ! ハットがホームにかかっていた! ホイッスルが鳴り、試合終了! 141対1
39、よって天望実業勝利! 全国大会優勝の栄光を手に――」
僕は、ラジオをけす。どうして、勝てなかったのだろう。あれだけ泣いたのに、まだ涙が
出る。
「くそっ、どうして。もっと頑張れば・・・うぅ、くっそぅ。なんで・・・勝ちたかった。
うあぁぁん、なんでだよぉ。ぐぞ、ぐぞ、ぐっぞう!」
僕たちの夏が、終わりを告げる。


講評

朱炎の終焉は、アメハトの専門用語が入っていてアメハトを知らない人にとってはわかりづらい話だったのではないかと思うが、
短文小説にもかかわらず、主人公の悔しさや、練習の辛さ、がんばりなどがきっちり表現されていて、内容の濃い作品だった。
ラジオでの試合の描写も、まるでラジオを聴いているかのような臨場感が得られて、試合の状況が手に取るようにわかる、素晴らしい作品だったと思う。
また、タイトルも韻を踏んでいて面白いと思った。


コンクール優秀賞『センタク』原作:ジョー・M・イップス 翻訳:永作 和子


「教授、人は何のために生きるのでしょうか。」
私は、訊いた。
「立花さん、座りなさい。」
私は、思わず立っていた。
「はい。」
私は、静かに座った。
「立花さん。あなたはどうしてその疑問を抱いたのか、説明しなさい。」
教授は、冷たく言った。
「集合的無意識における元型、つまり、魂についての講義、大変感慨深いものです。」
みんなが、講義室中の全員が、私を見る。
「では、人の最も深層的な部分にある、普遍的無意識はどのようなものでしょうか。」
教授の白い眼は、変わらない。私は、さらに、教えて下さいと続ける。
私は、白眼視されている。水面下で、眼の攻防を行う。冷戦。
「身をもって知りなさい。」
私は、心理の海に潜り、溺れ、足掻くこととなる。

(んっ、ここは・・・?)
私は、何か暗く、奥深い場所にいるようだった。
「問います。」
っ!! 急に、頭の中に囁きかけてくる、声。
「あなたは、何人の家族がいますか。」
私は、深く考えることなく、答える。自然に、整然と、当たり前のように。
「3人、両親と弟がいます。」
まるで、心の中にいるように。
「問います。」
声が、頭の中に響く。囁く声だったが、先刻とは、違う。
「A、もしくは、Bを選択しなさい。A、自殺。B、他殺。」
意味が、分からない。自殺? 他殺? 意味が、分からない。
単語の意味からして、Aは自分を殺す、Bは他人を殺す、ということ。問いになっている
ことからして、選択肢の価値は等しい。自分と等価値の、他人。他人とは、複数か。しか
し、問いかける者は、第三者。自分や他人に持つ価値観は、自分。視点が、違う。第三者
からして、自分も他人も無価値、ゆえに等価値。他人とは、単数。答えが、決まる。
「B、他殺。」
即答。人は、危機的状況になると、こうなるものだ。
「問います。」
再び、頭の中に囁きかけてくる、声。
「A、もしくは、Bを選択しなさい。A、自殺。B、他殺。」
寸分狂わない、無機質な、声。
意味が、分からない。まったく同じ問いに、違う意味を持とうとする。言葉が、詰まる。
答えが、間違っていたのか。しかし、愚問だ。出題者、つまり、第三者でもない限り、A
は無い。答えが、決まる。
「B、他殺。」
間違っていない、はずだ。
「問います。」
またもや、頭の中に囁きかけてくる、声。
「A、もしくは、Bを選択しなさい。A、自殺。B、他殺。」
間違っていない、はずだ。いや、間違っていない。なのに、どうして。
意図が、分からない。3問続けて、同じ問い。裏に、意図がある、絶対。3問? いや、
違う。問います、を聞いたのは4回。1つめは、家族の人数。3人、問いも3問。第六感
が、警笛を鳴らす。虫の知らせ、か。でも、自分の命には、換えられない。答えられない。
沈黙、か。
「速やかに選択しなさい。A、自殺。B、他殺。」
意味が、分からない。どうして、どうして? 生きる理由、それを知ろうとしたからなの
か。でも、気になるものは仕方がない。
私は、不幸せだ。12年前、母が、いや、正しくは乳母が、倒れた。脳梗塞で、入院を余
儀なくされた。それから、少しして、父が、壊れた。毎日のように酒を浴び、罵声を飛ば
し、物を壊した。そして、忘れもしない1月19日、家が燃えた。原因は父の煙草の不始
末、らしい。その後、父が、蒸発してしまった。時を同じくして、乳母が、この世を去っ
た。34歳と、とても長いとは言い難い人生、だった。それから、2年の間、独りだった。
弟とともに孤児院に入れられ、2年を過ごした。私たちは、孤児院から出た。父が、母を、
いや、また正しくは、継母を連れて、帰ってきたのだ。本当は、嬉しいのか。心の中では、
嬉しいのか。こんなでも、父は、父だ。嬉しくないはずが、無い。けれど、私の心には、
嬉しいなんて気持ちは、微塵も無かった。かといって、憤慨していたか、というと、そう
でもない。どんな気持ちだったのか。今も、分からない。だから、こうして、大学では、
分析心理学を選択したのだ。私は、何のために生きているのか。生きる意味が、無い。意
味が無ければ、価値が無い。私の人生に、価値は、無いのだ。私は、不幸せだ。
「B、他殺。」
どうしてだろう。自然と、出てきてしまった。口から、言葉が。同じくして、眼から涙が。
これが、私の深層心理、なのだろうか。景色が滲み、眩む。

気づけば、私は、講義室に立っていた。
空が、黄昏に染まっている。まるで、心に、孔があいたようだ。無言で、支度をし、講義
室を出る。私は、歩を進め、気づけば家の前にいた。
大丈夫だ、何も変わらない。普通で、普通な、普通の、はずだ。戸を開けば、いつもの、
3人が、いる・・・。
私は、戸を開く。どこかで、分かっていた。たしかに、分かっていた。
私は、まだ、何のために生きるのか、分からない。

講評

生命の分岐路である「センタク」は、不可避で残酷な現象である。
「センタク」はどんなに無価値、無機質であろうと、私たちを思考という絶対的存在に束縛し続ける。
皮肉なことだ。無慈悲な暴力に苦しむ「私」が転機となった日は1月19日――実証科学の風景を180度変えてしまったホライゾン定理が生み出された日であるとは。
重要な「センタク」は透明で、私たちの前を通り過ぎてしまうとは。
だが、その苦悩を通してこそ、仏陀による「センタク」を受けることが可能になるのであろう。


コンクール優秀賞『The last tennis』暮木 歩前


「お願いします。出させてください。」
私は監督に懇願する。ソフトテニス都大会決勝戦ラストのS3。私は任された試合を全う
しなければならない。自分が壊れてでも、関東大会への切符を手に入れる。私の使命なの
だ。約束だ。

一昨日のこと。試合に向けて、コートで最終調整をしていたとき。ラケットを振ると、右
肩に異変を感じた。過去の経験からして、異変を感じたときはすぐに休めるのが一番効果
的なのだ。
「監督、今日は早めに帰ってもいいですか。」
返事を聞く前に、更衣室に向かった。ストレッチを終え、バッグを背負う。背負った瞬間、
また痛みを感じた。
(疲れてるのかな。)
バッグを左肩に持ち替え、コートを後にする。家に着き、体を休める。2日後に決勝戦を
控え、調子が狂っているのかもしれない。この大会は高校3年間の集大成になる。2年前
は、惜しくもレギュラーから外れた。1年前は、S2を任されたが準決勝の壁に阻まれた。
やっと、決勝戦までコマを進めた。負けるわけにはいかない。体に興奮を残して、床に就
いた。

そして、昨日。朝、起きたときから違和感があった。肩が思うように上がらない。
(大丈夫かな。)
いつも通りアップをしてからコートに入り、ラケットを持つ。素振りをしようと、腕を振
り上げる。すると、肩に筆舌に尽くしがたい激痛が走る。声にならない叫びをあげ、その
場に倒れこんだ。
気づけば、医務室に運ばれていた。横で監督が心配そうに私を見つめていた。
「大丈夫か? 急に倒れてどうしたんだよ。」
「大丈夫です。少しめまいがしただけですから。」
「そうか。じゃあ肩の腫れはなんなんだ。」
「見たんですか? これは、ただの打撲です。」
「そうか。選手登録、どうする? 前日までなら交代できるぞ。」
「大丈夫です。試合はでます。」
「それは、キャプテンとしてチームを想ってのことか? それとも、ただの意地か?」
「キャプテンとして、といえば正しくありませんが、嘘ではありません。私はチームを想
っています。」
「そうか。チームもお前のこと、想っているぞ。必ず戻ってこいよ。」
監督はそれ以上なにも言わず、医務室から出て行った。
私は帰り支度をして、コートを出る。
(約束する。絶対に。)
家に帰り、病院に向かうことにした。本当は行きたくないけど、現実から逃げたくもない。
病院で診察をしてもらうと、検査を受けることになった。あまり良い予感はしないけれど、
あえて深く考えないでおいた。
「では、翌朝にもう一度来院してくださいね。」
「先生、大丈夫ですかね?」
「結果が出ないことには分かりません。が、なにか焦る事情があるのですか?」
「明日、試合なんです。大事な試合なんです。」
「テニスの、ですか。また、来て下さい。」
先生は神妙な顔で言って、後ろを向いた。私は何も言わず、診察室を出た。
(決勝戦の開始時刻には間に合わないかも。)
S3まで回ってこなければ、私の出る幕はない。でも、第六感が言っている。試合の出番
がある、と。肩の痛みをこらえながら、夜を越した。

今朝、起きてすぐに病院に向かった。そのときの足取りはどのようなものだったのかは覚
えていない。
「先生、結果はどうでしたか。」
「テニスはもう、やめた方が良い。」
「え? 試合を、ですか。」
「いや、もうテニスなんて出来る体じゃない。これから、ずっとだ。」
「そ、んな。」
「試合に出ようものなら、テニスどころか日常生活までまともに送れなくなる。」
「嘘、ですよね。」
「嘘じゃない。テニスはもう、残念だろうけど。」
それ以上、何も聞かず、何も言わず病院を飛び出した。腕時計は決勝戦開始の時刻を指し
示していた。私は立ち止まって、嗚咽をした。

「お願いします。出させてください。」
足は知らぬ間に、試合会場へと動いていた。そして、監督に頭を下げていたのだ。
「お前は、テニスのために、たった1試合のために人生を捨てるのか?」
監督はすべてを見透かしているようだった。
「はい。これは、キャプテンとしての意地です。」
「そうか、自分の全てをかけた奴を止める術を、俺は知らないな。行ってこい。後始末は
任せろ。」
「ありがとうございます。監督。」
私は目にこみあげてくるものをこらえて、コートに向けて走りだした。

自分の全てをかけた奴は、強い。これは監督の言葉だ。その言葉は正しかったようで、私
は試合に勝った。夢のように体が軽く、4‐1と圧勝した。
しかし、私の体は持たなかった。意識は保ちながらもコートに倒れこんでしまった。
(やっぱりテニスは楽しい。関東大会出たかったな。)
担架に乗せられながら、私は思う。ベンチではみんなが声を掛けてくれた。約束は果たせ
た。そうして余韻をかみしめながら、私は静かに目を閉じた。

講評

高校生の作品とは思えないほどの文章力で、試合に出られないことへの無念さや、悔しさなどがよく伝わってきた。
チームのための勝ち、約束を遵守するという姿勢は大変素晴らしいものである。
一試合のために一生をかけるというのはとても大変な決断だったのではないかと思う。どうかこれはフィクションであってほしいと心から願う。


コンクール灌腸特別賞『一輪車』露弑爾 直


「肩持ったらバランス取れないでしょっ!」
舞はいっつもこうだ。出来ないとすぐ人のせいにする。
「あ~、もう怒った。後は自分でやれ! 俺は知らん。」
俺は冷たく言い放って、後ろを向いた。
「嘘だよぉ。ねぇ、ごめんってば。祐樹ぃ、お願いだから手伝って。ね?」
一輪車から降りて、俺の体に抱きついてくる。俺が投げだすと、すぐにこうやる。昔に比
べて何にも成長しない。唯一成長しているのは体ぐらいのもんだ。胸や尻がでかくなり、
全体的に丸みを帯びた。こうして抱きつかれている間も、胸が背中に当たっている。幼馴
染相手にこんなことを考えるのもあれだが。
「大体、なんで俺が一輪車の練習に付き合わされなきゃいけねえんだよ!」
舞の手をほどく。小さいころから困ったことがあるとすぐ俺に頼る。
「だってぇ。」
振り向くと指をもじもじさせてうつむいていた。
「だって、なんだよ?」
正直、めんどくさい。すぐに弱音を吐いてやめたがる。舞がデブでブスだったら教える気
すら起こらない。でもスタイルは良くないことないし、顔も可愛くないと言えば嘘になる。
「来月から体育の授業でやるんだもん。みんなは乗れるって言うから、1人だけ乗れない
のはいやだなぁって。」
上目づかいでかわいい顔をするのは卑怯だ。
「しょうがねぇな。ほら、早く乗れよ。」
一輪車を取って舞を乗せる。舞の顔は嬉しそうだった。
「祐樹、ありがとう!」
うん、だから反則だ。舞の体を支えるために肩を持つ。
「だから、肩持たないでってばぁ。脇腹のところ持って!」
結局わがままに走る。
「ふざけんなよ。どうせ脇腹持っても『くすぐったいよぉ』とか言うんだろ?」
舞は少しの間、黙っていた。
「分かった。くすぐったいとか言わないから手伝って! 我慢するから。」
仕方なしに、脇に手を挟んで支えた。
「んっ。」
舞の口から声が漏れる。我慢してるのか、それ以上は何も言わない。我慢されていると思
うとこっちもやりづらい。なんでこんなことをしてやらないといけないのか。この体が悪
いんだろうが。苛立った俺は後ろから胸を鷲掴みにした。
「んぁっ。」
少しだけ声を漏らして、後は反応しない。不思議に思った俺は手を包み込むように動かす。
「くぅっ。」
また少し声を漏らして、やはり後は反応しない。我慢、しているのか。さらに激しく胸を
揉む。体がビクッと動くが、何も言わない。手は胸を揉みしだいていた。舞が一輪車から
落ちる。目の前に四つん這いの体勢になった舞がいる。理性ではやってはいけないってこ
とは分かってる。けど、感情を理性で抑え込むなんて無理だ。俺は一輪車をどけて舞に覆
いかぶさる形になった。
「えっ、祐樹どうしたの?」
俺は無言で舞を持ち上げ背面座位の形にする。続けて、胸を愛撫する。舞は小さく声を漏
らしている。
「祐樹ぃ。んっ、こんなところでしてたら人に見られちゃうよぅ。」
長い間弄られてそんな気分になったのか、かなり乗り気だ。
「大丈夫だって。」
右手で胸を揉み、左手で秘部を愛撫する。舞の体は手の動きに合わせて大きく反応する。
「ん、あっあっあんっ。」
小声で言うのがまた可愛い。少しずつ服を脱がし、乱れさせる。秘部は十分すぎるほどに
濡れていた。ブラとシャツ以外はすべて脱がす。手をシャツの下に入れ、ブラの中に滑り
込ませる。手の動きとともに、舞が大きく反応して声を出す。
「舞、好きだぜ。」
静かに言って、口を合わせた。舞の秘部に俺のブツを挿入する。しばらくの間、舞の喘ぎ
声が響いた。
「あっ、あんっ、あっああ、んあっ、ゆ、祐樹ぃ、もっとぉ!」
舞が叫ぶ。またしばらくして2人はいた。
「もう、どうするのよ!」
舞が言う。いっつもすぐ怒る。
「何がだよ。」
分かっているが言わない。ここは言わせる。
「い・ち・り・ん・しゃ!」
やっぱり。でもさっきまでの顔を思い出すと、怒ってても怖くない。
「分かったよ。来月までにできたらいいんだろ?」
舞は怒った顔から一変して破顔一笑する。
「練習手伝ってくれるの?」
怒ってても、笑ってても可愛い。幼馴染とか気にせず可愛い。
「仕方ねぇけどやるしかないだろ。」
めんどくさい。またこんなことしないといけないのか。そう思うと少しだけ気が軽くなる。
「祐樹、ありがとう!」
舞が笑う。俺も笑う。

講評

幼馴染に一輪車を教える最中に発情し、性的接触を行うという誰もが経験する非常にありふれた題材で、うっ…このような文章表現と会話表現を交えた文によって非常にリアルに描写されており、
私の若いころを思い出すようであった…ふぅ。この小説を読んだことにより3か月ほど寝たきりだった息子が元気になったのでよかった。
また、主人公の一人称視点で描かれており、…うっ…感情の起伏がよくわかる作品だった。…ふぅ

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最終更新:2012年03月06日 19:40