スタリ、と男達が着地した頃には、新国立競技場はもう彼方の光景だった。
血を吸った見たいに真っ赤なコートは、気障という言葉を具現そのもの。これを嫌味なく着こなす、上半身を裸にした銀髪の男性。
夜の闇を鋏で裁断したような、黒いマントと学生服を着用した、鋭いもみ上げの美青年。
そして、その学生服の青年の周りを、懐いた文鳥かインコみたいに飛び回る、年齢にして十歳かそこらの少女。但し、ただの少女ではない。飛び回ると言うのは文字通り、青年の周りを飛行していると言う意味であり、その浮力は、長く伸ばした後ろ髪を翼の形にして羽ばたかせて得ているのだ。間違っても、人間の少女ではありえなかった。
「なぁ少年……。アレが世に言う、液状化現象、って奴か?」
振り返りながら、コートを纏う男性の方が、傍らに立つ学生服の青年に問いかけた。コートの男の名は
ダンテ、学生服の青年はライドウ、と言う。
「違う」
ライドウの返事には、ユーモアの欠片もなかった。ただ事実だけを、短く率直に述べる。明快ではあるが、とっつき難い語り口だった。
場所は、<新宿>は市ヶ谷に居を構える大企業、大日本印刷の本社ビル。
魔震の影響によって跡形もなく倒壊した旧社屋の残骸が撤去された後当企業は、当時に於いては最先端を往く耐震・耐火・耐風構造を兼ね備えた、超高層ビルと変貌。
今では<新宿>の『顔』の企業としての地位を欲しいがまま、高層ビルが立ち並ぶ市ヶ谷のビル街にあって一際の高階層を誇るその建物は、宛ら貴族か王侯のようだった。
ダンテとライドウは、先程まで自分達が血で血を洗う死闘を演じていた場所。即ち、新国立競技場の方面に目線を向けていた。
端的に言えば、競技場全体が、『沈んでいる』。ダンテが液状化、と言う言葉を用いたのも、頷ける。
黒いタール状の何かに、競技場と言う一個の建物が、底なし沼に沈没するように引きずり込まれているのだ。
建物だけが、ズブズブと沈んで行く。その光景を齎しているであろう、あの黒いタールのようなものが、あの場に最後に乱入して来たサーヴァント。
ランサー・
高城絶斗――或いは、ベルゼブブか――の宝具によるものだとは、ライドウもダンテも理解している。
「モー・ショボー。お前はベルゼブブがあぁいう化身を用いる事があるのは、知ってるか?」
ライドウは自らが使役する悪魔の一人。
モンゴルの民間伝承に伝わる、人の命と精気を吸い取る凶鳥であるモー・ショボーに問いを投げかけた。
ベルゼブブは魔界に於いてルシファーに次ぐと称される程強壮な力を誇る魔王であり、その力たるや一つの神話体系の主神に迫るか超える程なのだ。
強大な力を持つ悪魔と言うのは概して、人間の世界で活動する場合や隠密活動を行う際、その世界で行動するに相応しい化身と言うものを幾つも持つ。
ライドウはベルゼブブがそう言った化身を持っていて当たり前だと判断しているが、あんな年端も行かない少年の姿の化身で活動するベルゼブブと言うのは、彼としても聞いた事がない。だから、同じ悪魔であるモー・ショボーに彼は問うたのだ。
「うーん……わかんない。昔聞いた話だとね、女性の姿で行動してた世界もあったらしいんだけど……」
それは、別に珍しくない。
悪魔は誘惑する事も仕事の内であるのだから、当然、美しい女性としての姿で行動する者もいる。勿論その逆、美男子として行動する者だって。これはライドウがデビルサマナーとしての教育と訓練を経た、『里』の知識だ。
「少年、俺の目にはあのハエ小僧……自らの意思で魔界からやって来た、ってタマには見えなかったぜ」
これはライドウも、ダンテと同じ意見だった。
単純だ、ライドウはタカジョーを見た時、ステータスが視認出来たのだ。言うまでもなく、サーヴァントとしてのステータス、である。
これが意味する所は非常に大きい。サーヴァントとしてこの世界に顕界していると言う事は、必然、『サーヴァントとしての霊基に縛られている』事を意味する。
サーヴァントと言う存在は、ライドウからすれば『弱い』存在だった。無論、サーヴァントが持つ宝具や身体能力、異能の数々は、ライドウであっても油断出来ない。
それとは異なる意味。つまり、在り方が弱いのだ。マスターから供給される魔力が太い生命線、命綱……その癖、選ばれるマスターはランダム性が強く、
魔力が全くないのは勿論魔道の知識を欠片も有していない者がマスターに選ばれる。要するに、存在を維持出来るソースの供給元が事実上一つしかないから、弱いのだ。
サーヴァントをこの世からパージしたいのなら話は簡単で、マスターを殺せば問題は解決である。
無論これは、少し頭が働く者であるのなら参加者全員が想到する結論であろう。しかしこれは真理であり、完全な対処・防御は不可能を極める。
マスターはサーヴァントより弱いと言うのは当たり前の帰結であり、後者の方から積極的に攻撃されれば、マスターとしては成す術もない。
そもそも、下手なサーヴァントならダンテの力を借りずして葬り去れるライドウの方が、聖杯戦争の参加者として異常なのだ。大半のマスター側の存在は、抵抗を許さぬまま殺されてしまうのがオチであろう。
「ベルゼブブ程の悪魔がサーヴァントとして縛られているのなら、これ程あり難い事もない」
「殺せるからだろ?」
「ああ」
相変わらずおっかないガキだ、と零すダンテ。剣呑な笑みが、その表情に張り付いていた。
化身や分霊にまで落魄しようとも、ベルゼブブと言う悪魔は凄まじく厄介である。
魔術や異能を発動させるのに適した、霊長とは根本的に異なる構造の身体。人間などには及びもつかない深淵たる魔道の知識。
そして其処から繰り出される恐るべき魔術の数々。単純な身体能力の面でも人類など遥かに超越しており、戯れに腕や羽を振るうだけで、死体の山を築く事だって造作もない。
これに加え、複雑怪奇な魔界の政界で磨いた権謀術数と話術の腕前は、人のみならず同じく『舌』で高い地位を築いた悪魔ですら惑わされてしまう。
魔界のNo2、ルシファーに次ぐ魔界の副王たる地位は、決して飾りではない。一神話体系の主神に匹敵、或いはそれをも上回る強壮たる悪魔は、ライドウであっても苦戦を免れない。どころか、本気で倒そうとするのなら虎の子である仲魔の一匹二匹、犠牲に入れる事すら彼は視野に入れるだろう。
そんな悪魔が、マスター……即ち人間の儚い命にその存在の有無が左右されているのだ。
そう、見方を変えればあのランサー……高城絶斗は、マスターを殺されるか否かによって、生殺与奪を握られているに等しい。
これは、ライドウにしてみればあり難い事この上ない。何せ、『マスターを殺せば自動的にベルゼブブ程の悪魔がこの世界から退場する』のだ。
マスターとサーヴァントの関係は、一蓮托生。これは、ライドウと言うトップマスター、ダンテと言うトップサーヴァントの関係にですら、同じ事が言えるのだ。
ベルゼブブよりも遥かに弱いマスターを殺せば、かの蝿王を魔界に叩き返せる。そんな考え方を、人は非情だと思おう。しかし、その考えは厳とした事実であるのだ
無論、ライドウとて血の通った人間だ。マスターを殺してベルゼブブを退場させる方策は、最終手段だと認識している。
だが同時に、その最後の手段に踏み切らねばならないと判断した時、この男は一切の迷いを抱かない。
あの悪魔のマスターが例え年端もいかない、それこそ、ライドウの齢の半分も生きていない少年少女であろうとも、愛剣たる赤口葛葉の鋭い剣身を閃かせるだろう。
「だがそう上手くいくかね、少年。下の毛すら生えてないガキの姿だったとは言えよ、ベルゼブブはベルゼブブだぜ? お前と同じ程度の強さのマスターだったら如何するんだ?」
それは、ライドウも当然視野に入れている。
ライドウはこれだけ極まった強さを持った男でありながら、まだ、自分より格上のマスターがいるのではないかと言う疑いを捨てきれない。
彼は警戒心が強い。だから聖杯戦争の舞台である<新宿>に呼ばれた時から、その思いを抱き続けていた。
その疑いが補強されたのが、先の新国立競技場で戦った、
ザ・ヒーローと言う男との戦いである。
強かった。恐ろしく、強かった。
きっとあの青年は、自分のように、『戦う事を生まれた時から宿命付けられていた存在ではなかった』のだろう。ライドウはそう思っていた。
ライドウは生まれた時から、平安の時代より伝わる葛葉の本流四家の一つ、葛葉『ライドウ』を襲名する事を宿命付けられていた。
その宿命の故に課せられた、彼の幼年期の生活ぶりは、人権の意識と言うものがまだまだ未熟であった大正時代の世に於いても、常識外れのそれであった。
母元から離されたのは齢三歳の頃、紙を丸めてチャンバラ遊びに興じるのが普通であろう四歳の頃には、重さ一kgを超える真剣を握らされていた。
その翌年には剣術の鍛錬の他、古くは安倍晴明の時代より連綿と伝わる陰陽道の秘儀、神道の極意を叩き込まれていた。
正邪を問わぬ、人がその人生の全てを賭しても学び切る事など不可能な程の量の魔道の知識を、ライドウはものの二年で会得。
人の命など何とも思わぬ悪魔が跋扈する異界の世に、一月もの間放り込まされ、見事生還を果たしたのは十歳の頃。歴代で最も若い頃だった。
『
葛葉ライドウ』と言う名に課せられた宿命の故に、ライドウは強く在らねばならなかった。
名の故に、強くなければならない。常人ならば当の昔に発狂していてもおかしくない、過酷な鍛錬、膨大な量の座学を、彼は難なく克服、乗り越え今に至る。
最強、最優の座を目指す為には、決して逃してはならない『時期』がある。その座を勝ち得るには、どれだけ若い年齢で、その座を意識出来るかがつとに大切なのだ。
その時期を逃してしまえば、もうその人物は最強足り得ない。同じ才能を持った者が同じだけの質の努力を経た場合、その努力を相手より前の時期に行っていた者が勝るのは、当然の話なのだ。
剣を交えれば、ライドウは手に取るように解ってしまうのだ。相手がどの時期に、鍛錬を積んだのか如何かが。
ザ・ヒーローは、『遅い』。最強、或いは最優……。その何れをも目指すにも、遅すぎた位だろう。にも関わらず彼が見せた、ライドウを瞠若させた強さの源とは何か?
最強を目指すのに必要なファクターに、時期という物は確かに重要である。だが、世の理は葛葉の里で課される鍛錬よりもずっと残酷だ。
ある者が十年の歳月を経て獲得した力に、たった一年同じだけの努力を積むだけで容易に到達するどころか、軽々と上回ってしまう『才能』と言う物が、確かにある。
そしてその才能こそが、実を言えば葛葉の名に於いて最も重視される。ライドウが強いのは、才能も桁外れな上に、その才能を伸ばすのに費やした時間の量が膨大だからなのだ。
きっと、ザ・ヒーローと言う青年は、己の秘められた才能に気付いてなかったのだろう。気付かない方が良かったのかも知れない。
サマナーの才能とは殺しの才能と紙一重。市井に生きる一般人ならば、そんなもの、気付くどころか厳重に蓋をして封印するべきなのだ。
だが何処かで、ザ・ヒーローは、その才能を開花させざるを得なかったのだろう。そして、開花するだけじゃなかった。
アレだけの強さを育ませるだけの環境にも、恵まれた事は容易に想像出来る。ライドウであっても、予想も想像も出来ない死線の数々を、あの男は潜り抜け生き残ったのだ。
弱いなどと、ライドウは欠片も思わない。ザ・ヒーローが手にしていた大業物・ヒノカグツチの剣を見れば、元々は彼は悪魔を使役して戦う事ぐらいお見通しだ。
悪魔を使役して戦っていれば、殺されていたのは自分だったかも知れない。そう言うifを、ライドウは冷静に分析する。
あんな強さのマスターが居ると解れば、余裕などかましていられない。自分が最強のマスターなどと、自惚れられる訳がない。
当たり前の様に、自分より強いマスターの存在を意識する。その隙のない姿勢こそが、ライドウを強者足らしめる所以なのだ。
「俺でも勝てぬ程強いのなら……」
「強いのなら?」
「心胆で補う他あるまい」
結局は、其処に行き着く。
才能、努力、そして培ってきた経験。戦闘に於いてはそう言ったファクターが蓋し重要な、決め手になる事は間違いない。
だが、戦う者が人間である以上。戦闘と言う行為そのものが、不確定要素に左右される水物としての要素が強いものである以上。
最後の最後で決め手になるのは、当の本人のメンタリティ。即ち、『気合と根性』なのだ。泥臭い精神論は、精も根も尽き果て、絞る油すらなくなったその時に、覿面の効果を発揮するのだ。それこそ、パワーバランスの大小を、引っ繰り返しかねない程に。
「……。まぁ……それが決め手になるのは否定しないがね」
「? 何だ、歯切れが悪い」
「気合と根性に重きを置いた究極形と、直近で戦ったばかりでね」
「気合と根性って、タチの悪いカンフル剤なんだなぁって思ったね。キメすぎると馬鹿になる。お前はそうならんように気をつけるんだな? 少年」
「肝に銘じておこう」
言うやライドウは、大日本印刷の超高層ビルから見下ろす事の出来る、<新宿>の姿を眺めながら。
胡坐をかき始めたのである。いや、胡坐ではない。仏教やヨーガの僧侶が、修行や鍛錬の際に用いる座法……結跏趺坐だ。
葛葉一族は、平安の時代に晴明が編み出した悪魔召喚の術を子々孫々に受け継がせる事と同時に、その技術をより高みへと昇華させる事を重要な使命の一つとした。
故に、外来の技術は積極的に取り入れもした。古くは仏教、密教、修験道の一門と交流親睦を深め、彼らの業と修行法、思想を、一族のルーチンに取り入れた。
其処から時代は下り、戦国時代や安土桃山時代にキリシタンと、密航していた海の向こうのデビルサマナーからも、技術を会得した事もある。
……尤もそちらの方は、穏当に、とは行かなかったが。幾許の血を、葛葉もキリシタン・デビルサマナーも、流す事になったのだが。
今、ライドウが行っている結跏趺坐も、斯様な歴史の中で一族が取り入れたモノの一つ。インドの地において、ヨーガと呼ばれる修行法の応用だ。
独自の呼吸を以って体内のチャクラを開門、それを続ける事によって得られる効果は、魔力の回復と言う極めてシンプルなもの。
しかし、その効果はシンプルにして極めて有効的。特に、魔力の多寡が勝敗を分ける聖杯戦争に於いて、この技術の有無は凄まじく大きい。
なにせ、原則聖杯戦争が開催してしまえば事実上回復の手段は存在せず、目減りが続くだけの魔力(≒生体マグネタイト)と言うソースを、回復させる事が出来るのだ。
とはいえ、この技術にしたって、生半な者が行ったところで、サーヴァントを維持し続けるだけに必要な魔力以上の回復は出来ない。
強いて言えば、サーヴァントの自然消滅を遅れさせる程度に過ぎないだろうが、達者であるライドウにはそれはない。
トップサーヴァントに値する強さのダンテの維持以上に必要な魔力を、ライドウはこの結跏趺坐でカバー出来るのだ。デビルサマナーとして培った技術が、活きる瞬間だった。
腕を組み、彼方を眺めるダンテ。
彼は滅多な事で、胸中を他人に図らせる事はさせない。生涯の殆どを悪魔の殲滅に費やした男は今。
英霊として召し上げられたその身で世界に呼び起こされ、何を考えているのか。時に、ライドウですら推量しかねる所がある。
だが今なら、何となく彼が考えている事が解るのだ。彼自身が兄と呼んでいた、アーチャーの英霊。
弓兵の名を関するクラスを宛がわれながら、太刀の扱いを飛び道具以上に得意とする異端のサーヴァント、
バージルの事を、考えているに相違ない。
考えているのは、これからの事か。それとも、殺し方の事か。
どちらにしても、出会った瞬間殺し合うような間柄である。血の臭いが香るような未来を幻視出来ようヴィジョンを、思い描いているのかも知れない。
「……やれやれ、落ち着く暇もありゃしないな、少年」
「そうだな……」
半目の状態から開眼に移るライドウ。そして、不敵な笑みを浮べて、上空を見上げるダンテ。
良い空だった。<新宿>が例えこんな陰惨な地獄に変貌したとて。地上がどれ程血で汚れ、死肉の塵に塗れようと。
空の蒼だけは、汚し得ぬ普遍の美を保っているかのようだった。それは王者の蒼だった。古の昔より、天空を統べる神こそが最高の神であると定義した神話は数限りない。
それも、どれ程手を伸ばそうとも届く事は有り得ない高みと、腕をどれだけ広げようと抱えきる事等不可能な広大無辺さを天空が誇る以上、詮無き事であった。
地上数百mの高層ビルの頂点に立とうとも、未だ空の高さの果てには及ばない。
人は、築き上げたテクノロジーなしで、空を飛ぶことは勿論、数秒間の浮遊すら行う事は出来ない。
然るに――今、地上から何百mも高い場所に居るダンテ達から見て、また更に数百mを上回る高さを飛んでいるあの黒点は、この世の王か何かなのか?
千里眼とも形容されるダンテの視力が、その黒点を人間だと認める。いや、厳密に言えば、人間の姿をした何か、か。
そしてその人間が、ついさっきまで同じ場所にいた人物そのものだとも、彼は認めた。成程、ベルゼブブの魔の手から、逃げ果せたらしい。大した嬢ちゃんだ、ダンテは笑みを強めながら、此方目掛けて流星宜しくの勢いで急降下する女性を歓迎した。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
大日本印刷に着地しようとした
チトセ・朧・アマツを熱く迎え入れたのは、ダンテが懐から引き抜いた白い大型拳銃、アイボリーから放たれた弾丸だった。
軍属として飽きる程目の当たりにしてきた、馴染み深い代物。チトセにとっての拳銃とは正しくそれだったが、眼下三〇〇m先の銀髪の男が構える拳銃は、
一言で言えば奇形そのものだった。何を如何考えれば、拳銃をあそこまでデカく出来るのだ? 拳銃の利点である携帯性と軽量性、その全てをアレはかなぐり捨てている。
何と、戦う気なのだ? 戦車と戦う為の拳銃だと言われても、チトセには理解出来るし納得も出来る。それ程までの、気違い染みたサイズだった。
その銃口の照準が確実にチトセの方に向けられるや否や、白鍵の名を関する大型拳銃は、花火のような火柱を銃口から吹き上がらせながら、必殺の弾丸を放っていた。
放たれた弾丸は一発限り。しかし、その一発に秘められた威力は、星辰奏者が発動する星辰光の攻撃的な力に、勝るとも劣らない。
つむじ風が、チトセの身体に鎧われた。無論、目には見えない。不可視の鎧だ。荒れ狂う風の鎧に、アイボリーの弾丸が触れた瞬間、弾自体が意思でも持ったかの如く、急なカーブを描いて弾丸がチトセから逸れて行く。飛び道具の防御方法としては実に単純だが、これが実に、有効的。チトセはこの防御法があるからこそ、生前は、銃など全く恐れていなかった程であるが……流石に今回ばかりは肝が冷えた。風に、弾丸が触れた時、本気で、撃ち殺されると思ったからだ。それ程までの、ダンテの弾丸の威力よ。
急降下のスピードを一切減速させる事無く、チトセは、大日本印刷のヘリポートに着地する。
衝撃は、膝にも足にもない。高所からの落下に備え、軍靴の靴底に圧縮した空気を用いて生み出したエアクッションを配置させていたからである。
この措置の故に、直ぐ攻撃態勢に移行出来る。チトセはダンテの方を振り返った。位置関係は、ダンテ達から見て十m程後ろ。
彼の背後を取れるよう着地位置は狙ったが、そんな浅知恵はお見通しであったらしい。チトセが振り返り、彼女の傍にサヤが実体化を始めた時には、既にダンテとライドウは此方に銃口を向けていたのだ。
「随分あわてんぼうな登場のしかただな、ネオナチ・ガール。トイレが近いんだったらあっちから下に降りなよ」
階下へと繋がる出入り口の方角にしゃくりながら、ダンテが言った。
品のないジョークに眉をしかめるどころか、怒気を飛ばすのはサヤ・キリガクレその人だった。両足に力を込め、チトセの命令一つで何時でも飛びかかれる様な状態に移行する。
「生憎と……ガール呼ばわりされる程の歳でもなくてね。挑発のつもりで言ったのだろうが、素直に褒め言葉として受け取ってやるよ」
と言うより、チトセからすれば、ダンテの方がずっと若く見える。
新国立競技場が、ダンテと言う男との初邂逅の場であったとは言え、あの時は状況が状況であった為、その場に居た全員の容姿を具に観察する事は出来なかった。
一対一の今の状況下なら、冷静に頭を働かせてその容貌を眺める事が出来る。チトセからすれば、隣に居るライドウとさして歳も変わらぬ子供だ。
贔屓目に見ても、ダンテの年齢など二十代前半程度だろう。ボーイどころか、ガキとすら言えるような顔立ちと肌のハリを持ったその青年がしかし、年齢に対して余りに不相応な、殺しの技術と戦いの天稟を誇る事は、新国立競技場でチトセも理解している。なまじその強さの源が不透明な以上、星辰奏者や魔星よりも、遥かに厄介な相手であった。
「そうかい、じゃあ言い方を変えるぜ、ネオナチ・レディ。しかしその服装、かなり危ねぇな? ユダ公のナチハンターに叱られちまう前に服装を変えた方が良い。この国じゃマイクロビキニが婦女子の指定制服らしいぜ?」
「そんな国滅んでしまえ」
チトセの言葉のその部分については、ライドウも賛同していた。サヤは……言及を避けておこう。少なくとも、かなり欲望駄々漏れの笑みを浮べていた。
「何しに此処に来た」
ダンテの傍に佇むライドウがそう言った。
物怖じ一つせず、チトセの方をジッと見据える黒衣の学生に、この類稀な星辰奏者は、死神の姿を見た。
雰囲気も佇まいも、書生のそれではあり得なかった。実直そうな雰囲気の中に、危険な程に鋭く研ぎ澄まされた、恐るべき死の輝きを宿すこの男に、
チトセは、ダンテと同じ程の脅威を確信する。どんな修羅場を潜り抜ければ、こんな雰囲気を、しかも、この年代で醸し出せるというのか?
戦士を育て上げるのは古の昔から、弾丸が飛び交い、剣槍が林の如く立ち並ぶ戦場であると相場が決まっている。ライドウから静かに放射される殺気の質は間違いなく、命の重みが紙より軽い戦場で磨かれたそれであった。
「偶然……と言って信じてくれるのなら、話は早いのだが」
「この地において、最早必然と偶然の境は曖昧だ」
「まぁ、当然の物言いだな」
サーヴァントなる、奇跡と神秘を操る超常の存在が跋扈する魔都<新宿>において、そのサーヴァント自身が、お前の下にやってきたのはたまたまだ。
そんな事を言って、誰が信じると言うのだろうか? 必然性があって、足を運んだ。誰もがそう考えるであろう。
例えチトセとライドウの立場が逆であっても、彼女は、必然性の方を信じたであろう。しかし、タチの悪い事には、今回は偶然の方が正しいのだ。
新国立競技場を虚無に叩き落した、タカジョーのディープホールから逃れるのに、チトセは必死だった。
大気の操作と言う極めて広範な事象を操ると言うチトセの星辰光の都合上、彼女の能力は凄まじく万能である。
気流操作によるルート調節と、圧縮した空気の噴出を利用すれば、空への飛翔は訳はない。但しこれは相当に無茶苦茶な応用の仕方なので、チトセとしても消耗する。
可能な限り緊急の回避手段としてしか使いたくなかったが……あの時は、こんな緊急時にしか使えないような無理なやり方を連続して使わなければ、到底逃げ果せなかったのだ。
げに恐るべきは高城絶斗。少年の皮を被った、残虐なる死蝿の王。
そう言った存在から逃走する以上、チトセであっても本気にならざるを得ない。
彼女がどれだけ必死だったかなど、ゼファーに抉られた右目の代わりに嵌められた、星辰光の増幅装置をむき出しにしている現状を見れば窺い知れよう。
そう、普段以上に魔力と体力を消費する方法で必死に飛び回っていたものだから、チトセとしても、着地場所を確かめる余裕がなかった。
大日本印刷を選んだのも、本当に偶然。たまたま新国立競技場から離れてなく、かつ、自分が着地するのに適した高さのビルだったから選んだ。それだけなのだ。
――その屋上に、ダンテとライドウがいる事に気付いたのは、もう着陸の姿勢を移行し終えた、高度五〇〇程上空地点であった。
今更軌道の修正も出来ない事、そしてダンテの方が急降下しつつあるチトセの姿に気付いたのを認識した時、彼女は腹を括った。
此処で進路変更する方が、悪手と考えたのだ。斯様な理由で、こうしてチトセは、この大日本印刷屋上に足を運んだと言うわけなのだった。
「ねぇ、どうするニンゲン? サツリクするの?」
ライドウの傍を飛び回る少女が無邪気にそう口にする。
飛び回る、と言っても、ジャンプしながらとかそう言う意味ではない。文字通り、空を飛んでいる。
長く伸ばした後ろ髪を鳥の翼の様に固めさせ、それを羽ばたかせて空中を浮遊しているのだ。無論、そんな航空力学やら何やらを無視した飛行法を実践出来ている時点で、その少女、モー・ショボーが人間ではない事は明白であるし、それを使役するライドウもまた、通常の人間ではあり得なかった。
「まぁ待て、早まるなよ鳥頭。少年もな? ……っても、少年の場合は理解してるか」
「無論」
鳥頭呼ばわりされてカンカンになってるモー・ショボーの抗議を無視しながら、ダンテは、チトセの方に目線を投げかけた。
やはり、改めて見ても、恐るべき戦士だった。ライドウの使役する、あの正体不明の少女もまた油断出来ない敵だったが、ダンテの場合は、桁が違う。
銃口を、此方に向けて警戒している。姿勢としてはそう言う所だが、その姿勢から、チトセを殺しに行けるルートが銃弾を放つと言う行為だけではないのだ。
ダンテは其処から、ありとあらゆるルートでチトセを殺す方法に持って行く事を可能としている。銃をしまって、背負う大剣で斬り殺すも、拳で殴り殺すも、
彼程の男であるのならば自由自在。今この状況で、ダンテが如何動くのかが解らない。チトセが選べるカードに比して、ダンテの選べるカードは、膨大であった。
意気軒昂を維持していたサヤの身体に、緊張が走るのをチトセは感じた。責められない。チトセ自身も、言いようのない緊張感を感じているからだった。
「アンタが敵じゃない、と信用する手段が、ない事もないぜ。ネオナチ・レディ」
「それはありがたいな。操に関わる事以外なら、その手段に従うのも吝かじゃない」
「ハッ、アンタが良い女なのは認めるが……ベッドでリードする気風が強そうに見えるのは、ちょっとな。俺の好みじゃねぇからパスだぜ」
不敵な笑みを浮べたまましかし、瞳だけは冷たい殺意を帯びさせながら、ダンテは言った。
「こっちから要求するのは二つだ」
「欲張りだな、坊や。二兎を追うものは一兎も得ず、と言う故事を知らんか?」
「昔からケーキの切り分けの時にチョコのプレートが乗ってないのを渡されると暴れちまう性格なんだ、すまんなネオナチ・レディ」
「一つ目」
「お前のマスターは何処だ?」
「此処にいる女がそうだと言ったら、如何する?」
言ってチトセはサヤの方を指差す。緘黙しながら、サヤはダンテの方を睨めつけていた。
「嘘だな」
即座に反論したのはライドウの方だった。
「そう思った根拠は、何故かな? 黒衣の美男子殿」
「其処の女は余りにも実体的な存在感が希薄だ。肉を伴った存在ではない。魔力だけで編まれた者だろう」
「正解だ。大した目を持っている」
率直にそう言ったチトセの嘆息は本当だった。
ライドウの指摘の通り、サヤはそもそもがチトセのマスターでもなければ、本当の意味での人間ではない。
彼女なるはチトセというセイバーが保有する宝具だ。生前のサヤ・キリガクレ同様の性格と姿形、行動原理と本質を兼ね備えた、動く自律兵器である。
しかもサヤは、彼女自身が消滅しても、チトセと言う存在には何らの影響を与えない。要は通常の聖杯戦争みたいに、マスターが死ねばサーヴァントも死ぬ、と言う事がないのだ。無論、チトセが死ねば彼女の宝具であるところのサヤも、消滅は免れないが……。
「彼女は私の従者……ああいや、宝具とも言うべき存在でね。厳密に言えば、人間ではないよ」
「比翼連理の片割れが宝具になったようなものか」
ライドウの言葉に、一瞬であるがチトセは苦い顔を浮べてしまう。生前のしがらみや縁を、思い出してしまったからだ。
「で、本題に答えて貰おうかね、レディ。お宅のマスターは何処でアンタをオペレートしてんだ?」
「その質問にはこう答えるしかない。私は天涯孤独の一匹狼、マスター不在の身の上だ。とね」
チトセの言葉を聞いた瞬間、ダンテは不敵な笑みを一瞬、真顔のそれに転じさせる。
真意を、測りかねているのが見て取れる。普通なら……つまり、聖杯戦争の常識に照らし合わせるのなら、チトセの発言は妄言虚言の類でしかない。
マスターに活動リソースのほぼ全てを依拠して貰っているサーヴァントにとって、マスターのバックアップがないと言う事は消滅を意味するのだ。
そう言う現状を理解しているのなら、通常、彼女の台詞等信じて貰える筈がないのだが……?
「どう見るね、少年」
「嘘ではない、と思う」
意外な事に、ライドウは、チトセの言葉を信じていた。無論、全てを全て、と言う訳ではなかろうが。
「お前がマスターなしで行動出来るのは、セイバー。貴様が受肉しているからだと言う事実に関係しているのだろう?」
「詳しい原理の諸々を、説明出来る訳ではないが……。私が普通のサーヴァントとはちょっと勝手が異なる身体であるらしい事は、理解している。恐らくお前の言った事が概ね正しいのではないか? 黒衣の」
自身の成り立ちについて、無責任極まる発言であるが、これが事実であるのだから仕方がない。
チトセは自分自身が、魔力によって形作られている所の、通常のサーヴァントとは全く異なる、確かな実体を持った受肉したサーヴァントであると言う自覚はある。
そしてそれが、自身がマスターという楔なしで活動出来る最も大きなファクターである事も、何となくではあるが理解している。
だが、それだけ。理論理屈だけは頭では理解しているものの、それが果たして正しいモノなのかがチトセには曖昧なのだ。何せ彼女には、正真正銘正式なサーヴァントとして使役された記憶なぞない訳だ。今回の受肉したサーヴァントの感覚こそが、彼女の初めてのそれなのだ。魔力のみによって形成されたサーヴァントだった時の感覚と、比較する事等出来ないし、そもそも彼らの悩みや思いなども、共有出来る筈もないのだ。
「成程ね、レディ自身も良く解ってないわけか。ま、それはそれで構わない。それは良いんだが、もっと踏み込んだ質問をさせて貰うぜ」
ダンテの方を見据えるチトセとサヤ。意に介した様子もなく、ダンテは言った。
「アンタ、如何言う経緯で<新宿>に居るんだ?」
やはり聞かれる事だろうな、とチトセは思った。当然の事、彼女にして見れば予測された質問の一つである。
彼女自身、全くイレギュラーな方法論で此処<新宿>に召喚され、イレギュラーな法則によって成立している人物である事は、この身を以ってよく理解している所だ。
ならば必然、こんな疑問が湧いて出るだろう。この招かれざる客は、如何なる理由によって、この地に呼び寄せられたのか? と言う疑問だ。
欺く必要性もない、だからチトセは隠す事もなく、自らの身の上を詳らかにした。
メフィスト病院によって、ドリー・カドモンなる神秘のアイテムを依代にする事で顕現した特殊なサーヴァントである事。
そして、この身を<新宿>に召喚せしめた人物が、メフィストと言う名の白衣白皙の美魔人と、ブラックスーツを纏った金髪の美青年であった事。
その事情を説明し終えた時には、ライドウもダンテも、押し黙ったままだった。嘘だ、と一蹴するには、妙なリアリティがある。
それに二人の目は節穴じゃない。悪魔との交渉で鍛えた眼力と、生涯通して悪魔との死闘に身を捧げた事によって得られた直感が。チトセの発言を嘘じゃないと認識しているのだ。
「ドリー・カドモン、ね……」
チトセが説明した事項の中で、特に気になった単語の名を、ダンテは口にした。
「一神教の逸話に曰く、神が物質世界に顕現するのに相応しい、土で出来た至高の人形(ヒトガタ)の事を、アダム・カドモンと呼ぶ。それに関係するのか?」
ライドウの言葉に、肩を竦めるチトセ。
「関係するのか? と聞かれても困るのが私としての正直な感想だな。神とも悪魔とも無縁の世界からやって来たのでね。神秘学には疎いのだよ」
「羨ましい世界だね、宗教対立とは無縁のさぞや平和なんだろうさ」
「そうでもないさ」
神や悪魔が観測されてない世界ではあったが、宗教そのものはしっかりと、チトセのいた世界では極東黄金教と言う形で息づいてた。
尤も、アレはアレでロクな物でもなかったが……それは今、チトセの語るべき所ではないのであった。
「セイバー。お前以外に、ドリー・カドモンに固着されたサーヴァントはいるのか?」
ライドウの質問。
「間違いなくいる。それが何体居るのかは私としては知る由もないがな。だが間違いなく、私だけじゃないのは確かだ」
「いやに断言するな、レディ。根拠でもあるのかい」
「そうと思しき者と直近で争ったばかりでね。その者が私と同じ証拠を示せと言われれば出来ないが……戦っていて、『これは間違いない』、そう思ったんだ」
チトセが言っているのは、新国立競技場で戦った黒のアーチャー、
魔王パムの事だった。
あの場所で目の当たりにした様々なサーヴァント達。彼らから感じた情報を統合するに、パムだけが、やけに異質だった。
存在感が非常に明瞭でクッキリしていたと言うのだろうか。他のサーヴァント達は皆不明瞭と言うか、ぼんやりとしたものが何処か感じられるのに対し、パムについてはそれがない。確かにこの時代に生きる、一個の人間の風に思えたのだ。
「<新宿>での今後を考えるに、考慮すべき材料だろうな。受肉したサーヴァント連中も……メフィスト病院も」
元より、メフィスト病院はライドウ達にとって、最も警戒するべき施設の一つであった。
あからさまに怪しいからである。その名の胡散臭さもそうだが、真に恐るべきは施設そのもの。
聖杯戦争本開催前のインターバル期間、ライドウ達は当然の如く、メフィスト病院を視察に赴いた事がある。
加えて、ロビーと其処に隣接する患者以外でも立ち入り出来る区域だけとは言え、内部に足を踏み入れた事も。
あの白亜の大宮殿を見た感想としては、魔界そのもの、であった。見掛けは二十一世紀、当世の現代的な機能の数々を兼ね備えた病院そのもの。
であるのにも関わらず、内部のテクノロジーのほぼすべてが、当世の技術水準のそれを二~三世紀先を軽々に上回るそれ。
それだけならまだしも、一階のロビー部分だけで、ライドウですらが舌を巻くレベルで大掛かりな魔術の仕掛けが、
ライドウが注意深く観察しなければ認識も出来ない程巧妙に隠されていたのだ。
葛葉の里ですら、メフィスト病院の内部に比べれば、行楽地にあるような忍者屋敷見たいな子供騙しの代物にしか見えない程だった。
あんな場所に無策で足を踏み込もうものなら、それこそ、ライドウ達の主従ですら、生きては帰れないだろう。
何れは攻略する施設。そうとライドウらが認識していながら、攻略を後回しにせざるを得ないなど、恐るべしメフィスト病院。これを魔界と呼ばずして何と呼ぶ。
――そして今ライドウ達は、このメフィスト病院と言う名の施設と、其処の主たるサーヴァントとそれを操るマスターに対する警戒値を、極限の閾にまで引き上げさせていた。
――ブラックスーツに金髪の男、か……――
勿論メフィストなる存在や、彼が生み出したとされる不特定多数の受肉したサーヴァントも、警戒するべき存在達である。
だが、真に警戒するべき存在は、他に居る。それこそが、今ライドウが思案している人物。チトセが語っていた、メフィストのマスターであると思しき男。
アバドン王事件に際して、水面下で暗躍していた男の特徴と、事件以降方々の悪魔から得られた証言の数々から得た情報と、符合する。
その男こそ、今ライドウとダンテが、今回の聖杯戦争に際して聖杯以上に追い求めている存在である可能性が高い。
だが、追い求める、と言う事の方向性が違った。男達は、メフィストのマスターを、抹殺・排除対象として見ていた。
『大魔王・ルシファー』……。もしも、メフィスト病院と彼の大魔王が繋がっていたのであれば、これ程厄介な物はない。
ルシファーの計画は大胆かつ綿密、大掛かりな上に要点をしくじった際の保険の数も多い。
そしてそれで居て、計画の立案者であるルシファーは、プランの要点に全く絡まない。故に、計画の全貌が掴み難い。
しかし、そう言う計画の常として、掛かる時間とコストは恐ろしく膨大だ。幾らルシファーとは言え、空手の状態で<新宿>にやって来て、
全くの無の状態から大掛かりな悪巧みを誰にも悟られず練り上げられるのか、と言われれば疑問符が浮かび上がる。恐らくは困難を極めよう。
だが、その困難も、メフィストと彼が操るテクノロジーにかかれば、一切合財帳消しとなる。現に、後付で聖杯戦争に新たなサーヴァントを召喚すると言う反則的な手法を、いとも容易く実行出来てしまっているではないか。ルシファーが有する悪魔の頭脳と、メフィストが有する脅威のテクノロジー。ライドウにとって、合わさってこれ程悪夢的な組み合わせもなかった。
「オーケー。一つ目の質問については、概ね納得の行く答えが得られた。これについてはもういい。……んで、だ。俺としてはこっちの方が聞きたいんだよな」
「む……?」
怪訝そうに眉を上げるチトセに対し、ダンテは、声を低くにこう言った
「クリストファー・ヴァルゼライドについて教えて欲しい」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ヴァルゼライド総統閣下について……?」
サヤが思わず、そう零した。
ヴァルゼライド。その名は、星辰体が地上の法則を侵食、支配した後の新西暦のアドラー帝国民にとっては、畏怖を以って語られる名であった。
チトセとサヤが没する頃には、ヴァルゼライドと言うキャラクターは、神話の世界の住民と同じだけの神韻と光輝を放つ固有名詞だった。
彼が生前行ってきた武勇伝に尾鰭や脚色が付いたエピソードが無数に生み出され、最終的には英雄のようだと言う同じ意味の、
『ヴァルゼライドのようだ』と言う形容詞が新しい言葉として文壇の世界でも使われ始めた程には、彼の名前はあの世界にとって凄まじい意味を持っていた。
神話の世界に名実共に足を踏み入れてしまったあの男はそれこそ、彼の反目に回り、敵対する道を選んだチトセ・朧・アマツを上司とするサヤレベルであっても。
今彼と敵対していると言う事実を忘れさせてしまう。無意識の内に『総統閣下』と呼んでしまう位には、その症状は深刻だった。
「かのバーサーカーは現状俺達が最優先で抹殺するべき対象だ」
ライドウの言葉に、チトセとサヤは反応する。サヤは驚いたような顔をしていたが、チトセの表情は、疑いの色が強かった。
「勝てるのか?」
チトセの言葉は、嘲りの意味合いは一切なかった。
純粋な興味だった。ヴァルゼライドの強さは、チトセと言う女性は良く知っていた。
英雄、閃剣、光刃、煌刀、雷神、獅子の如き者、勝利を齎す者。アドラー帝国の住民及び同盟国から呼ばれた肯定的な字の数は、優に数百は超える。
魔王、凶剣、羅刹、狂人、破壊者、戦場の餓狼、魂の賊、混沌を齎す者。一方で、敵対者から呼ばれて来た悪罵や忌み名の数も、容易く千に届く。
呼ばれた異名の数は、そのままヴァルゼライドの強さだった。取るに足らぬ者は、此処までの羨望と憎悪を掻き集められない。
英雄として齎した功績が大きすぎるから。時の寵児或いは風雲児として集めた憎悪が凄まじすぎるから。そして何よりも、強過ぎるから。
打ち立てた諸々の事実は歴史となり、時を経た歴史が、伝説へと昇華されるのだ。そのヴァルゼライドを、殺す。ライドウはそうのたまった。
彼と同じ時代を駆け抜けた者の一人として、チトセは、本当に気になったのだ。それが出来るのか如何かがだ。
「惜しいところまで追い詰めたんだが、引っ繰り返されてね。たいした腕白坊主だったよ」
軽い調子でそう言うダンテだったが、歯噛みするような思いが言葉からは感じ取れる。大物を仕留め損なった狩人さながらの態度だ。
そして、その言葉の内容は嘘ではなかろう。現にチトセが、新国立競技場でヴァルゼライドを目の当たりにした時には、既に彼の身体は死に体であった。
全身血塗れであるのは言うに及ばない。勿論その血はヴァルゼライド当人の物であるのは間違いなかった。
生きているのが不思議な程に傷だらけで、遠めで見ても有り得ない程傷ついていたのが良く解る程。そして極め付けに、その傷から露出した内臓が見えた位である。
身体のどこかを小突けば死ぬであろう程消耗していた、クリストファー・ヴァルゼライド。その仕掛け人がダンテであったとしても、チトセは驚かない。この男なら、倒しても不思議ではなかったからだ。
「交戦したセイバーが一番、奴の強さを理解しているのは間違いないだろうし、俺自身、彼のバーサーカーが如何言う戦い方をするのかを見たから解るつもりだ」
ライドウは言葉を其処で切った後、射抜かんばかりの真っ直ぐな目線を、チトセに投げかけてから、口を開いた。
「だが、所詮は見ただけに過ぎん。本物の知識とは呼べない。だからこそ、お前に聞きたい。セイバー。奴について詳しく教えろ」
チトセとしては、しらばっくれると言う態度を取る事も出来たのだが、得策ではないのでやめた。
簡単な話だ。ライドウ達は新国立競技場のフィールド部分で、チトセとヴァルゼライドが旧知の間柄を匂わすような会話を交わしている場面を、目にしている。
こんなものを見れば、誰だとて思うであろう。チトセとヴァルゼライドは、生前は同じ世界同じ時代を生きた人間であったのだと。そしてそれは、疑いようもない事実なのだった。
「教えるのは構わないが……何を知りたい?」
「馬鹿みてぇな威力のビームを発射する事と、ファイティングスピリッツとガッツに溢れた馬鹿だってのは理解してる。だが、それだけじゃないだろう」
「と、言うと?」
「どんなマジックにもカラクリがあるって事だ」
マジック……と言うと、星辰光(アステリズム)の事だろうかとチトセは判断する。
事情を知らない人間が、星辰奏者が能力を発動する様を見れば、成程確かに、マジックかトリックの類だと疑ってしまうであろう。
だが何かを説明しようにも、ヴァルゼライドの能力は、誰ならんダンテが言った通り。超高威力のビームを超高出力、超高速度で放つだけなのだ。
当たれば必殺、掠れば致命傷。ビームそのものも特徴も、これ以上説明のしようがない程シンプル。正直、此処から先更に踏み込んで説明しようにも、チトセには、説明出来る自信がなかった。
「何度斬っても、何度撃っても。あのバーサーカーは死ぬ事は勿論、倒れる事すらなかった。寧ろ、こっちが追い立てれば追い立てる程、その強さと脅威が増してる風に見えた」
ダンテは、語り続ける。
「手負いの獣は凶暴だ、って言うのは解るが、アレはそう言う次元を超えてる。内臓をこの手でぶっ壊しても、動いてたぐらいだからな」
ジッと、チトセの目を見据えながら、ダンテはこう言った。
「あんな戦闘続行能力、ファイティングスピリッツだとか気合と根性だとかじゃ、とてもじゃないが説明出来ねぇ。気持ちだけじゃ超えられない位のダメージを負わせてたんだからな。だから俺は、あのヴァルゼライドって言うバーサーカーは、驚異的なタフネスを保障する何かしらの肉体的特質か、宝具を持ってるんじゃないかと推察してる。それを、教えてくれや」
ヴァルゼライドと言うサーヴァントの素性も過去も知らぬダンテからすれば、そう思うのは当たり前の話だった。
超常と異常の見本市のようなサーヴァント達ではあるが、その強さと異常性には、明白に理由と言うものがある。
龍の血を浴びただとか飲んだだとか、半神だったり半魔だったりだとか、神から授かった武器や防具を持っているだとか、何でも良い。
人間を逸脱した強さには、何らかの理由が伴ってなければ説明がつかないのだ。これについては、ライドウもダンテも同じ意見である。
ライドウが今の強さを得れたのは、筆舌に尽くし難い鍛錬と実戦経験を積んだと言う過去があるからだ。
ダンテが悪魔狩人として名を馳せたのは、魔剣士スパーダと言う最上位の格(グレード)の悪魔を父に持ち、その上で実戦経験を重ねて行ったと言う過去があるからだ。
強さだけならば、成程ただの訓練の積み重ねで得られるものではあるだろう。だが、身体的な特質は鍛えるだけでは得られない。
ダンテは、ヴァルゼライドが見せたおぞましいまでの戦闘続行を、後天的に得たか付与されたかの特異性。
或いは、親に相当する何かから遺伝された形質だと判断していた。そうでなければ、説明が付かない。まさかあんなタフネスが、何の理由もなく付いてくる筈がないと、考えていたのだ。それは、確かに正しい推理だろう。……ヴァルゼライド以外であったなら。
――……そんな宝具ありましたっけ? お姉様……?――
――……知らんぞそんなの――
チトセとサヤは、果てしなく困っていた。如何説明すれば良いのか。そして、説明したとて納得してくれるのか? その筋道が、全く立てられない。
ダンテの見立て通り、チトセとサヤは、ヴァルゼライドの事を一から十まで全部説明出来る。
生い立ちから使用する星辰光、行動理念から何まで。全て具に教える事が可能だ。だからこそ、本当にダンテは受けいれてくれるのかが不安だった。
『ヴァルゼライドの戦闘続行能力は別に体に再生能力が備わっているとかそんなのではなく、自前の気合と根性の賜物だ』、など。頭で理解してくれるのだろうか?
ヴァルゼライドの死後、彼が辿った足跡と、携わっていた諸々の研究計画を、チトセは徹底的に洗った。
彼が聖戦と呼んでいたと言う、実践しようとした計画の内容は到底許容出来る物ではない。
しかし、聖戦を成そうとしていた過程で考案された諸々の技術そのものについては、罪はない。
ヴァルゼライド主導下で生まれたテクノロジーや成果物をサルベージし、今度はアドラー帝国の平和の為に利用しようとチトセは考えたのだ。
が、ヴァルゼライドと言う男は、後々に自分の計画について尻尾を掴ませない為に、日記やメモ書きの類を一切残さなかった。
それこそ、彼が傍に置き、絶大な信頼を置いていた副官の彼女にすら、その仔細を一切教えていなかった程である。
計画の為に成すべき事、計画達成の為に必要な研究の過程や成果の、あれやこれ。ペーパーに換算すれば何万枚など優に下らぬ密度の内容を、
ヴァルゼライドは全て頭の中に記憶していたのだ。全ては、彼が本当に成したかった事を隠し通す為に。
結果、チトセ達はヴァルゼライド当人の方面から、その足跡をあらう事は不可能だった。余りにも彼自身が残した物的な遺産が少なすぎたからである。
尤も、追跡不可能だったのはヴァルゼライドの方面からだけだ。
帝国の頭脳部であり、ヴァルゼライドの計画の要であった、星辰奏者及び星辰光、そして様々な新兵器の研究と開発機関。
つまり、アドラー帝国の軍人や官僚が言う所の、叡智宝瓶(アクエリアス)の方面を徹底的にチトセは絞り上げた。
ヴァルゼライドに対しどの様な強化措置を施したのか、だとか、あの男が指示した内容は何だだとか。
兎に角、チトセが疑問に思った事、ヴァルゼライドが携わった事。全て、根掘り葉掘りに詰問した。
だから、解る。クリストファー・ヴァルゼライドの能力は、一般的な星辰奏者の枠内に納まる程度の力である、と。
確かに彼は、死のリスクが極端に高い、星辰奏者への改造手術を複数回にも渡って行い、自己の能力を極限まで高めていた。
だがそれにしたって、強化されるのはあくまで行使する星辰光(アステリズム)だけであって、新しい身体的な特徴が付与される訳ではないのだ。
ヴァルゼライドを英雄たらしめていたのは、星辰光ではない。況して、埒外の再生能力だとかそう言う類のものでもない。
程度の大小こそあれ、ヒトならば誰もが有しているであろう、気合と根性。それこそが、星辰光以上の彼の武器なのである。
「……気合と根性の可能性とやらを、お前達は何処まで信じる?」
「決め手の一つにはなるだろう」
ライドウは即答した。戦いはメンタル面が兎角重要となる。だから、泥臭い精神論は、全く馬鹿に出来ない。それどころか、ライドウの言うようにチェックメイトを決める最後の一手にすらなり得る。
「だが、物理法則を無視する程の物ではない。それこそ、臓腑の全てを破壊されれば、どんな気合も――」
「その気合と根性で、総統閣下は動いているのだぞ?」
不機嫌そうに、ライドウの顔が歪んだ。言葉尻を奪われたからと言うよりも、チトセが嘘を吐いた……と思っているが故の表情だろう。
「お前達は到底認めないし信じもしないだろう。だが安心しろ。奴と同じ国家に生を受け、同じ国家とその国民に共に忠義を誓った私でも、馬鹿らしくて信じられん」
「――だが」
「それでもやはり、事実なのだ。お前達が望んでいるような答えはない。ヴァルゼライドのタフネスは、正真正銘自前の気合と根性のみに拠るもの。それだけだ」
ダンテもまた、鋭い目つきでチトセとサヤを交互に睨めつけていた。
優れた戦士の眼力には、独特の、磁力とも魔力とも言える圧力が内在される事をチトセは知っている。
目の前の気障な紅コートの青年もまた、その圧力を、極限に近いレベルで保有する男だった。この目で睨まれれば、悪魔ですら震え上がるであろう。
「……困ったな。如何するよ少年。このレディ、嘘吐いてる風に見えないんだが」
ややあって、溜息を吐いてからダンテはそう言った。眉間を指で押さえながらの、呆れたような態度であった。
「奇遇だな。俺も、真実を語っている風に見える」
ライドウの場合は仲魔を用いた読心術がある為、その者が嘘を吐いているのか否かがすぐ解る。
だが、ライドウのような稼業に従事している者は往々にして、仲魔の読心術が使えないケースに遭遇する事がある。
それは、読心術そのものを封印されている事もあるし、心を閉ざしたり無意識を維持したりと言う風な方法で無効化する事もある。
そう言った時には、ライドウは自分の目と経験で、人間を判断せねばならないのだ。そしてライドウは、多くの悪魔と接したり騙されて行く内、目も経験も洗練されていった。故に解る、チトセは、嘘を吐いていない。いや、吐いている風には見えないと言うべきか。
「お姉様が虚言を吐くような御方に、一瞬でも見えたとでも?」
「可能な限り嘘であって欲しかった……と言いたいが、まぁ、もしかしたら本当はそうなんじゃないかとは思ってたよ。あの馬鹿のタフネスについてはな」
「ヤケに総統……ヴァルゼライドに御執心じゃないか」
湧いて出た疑問を、率直にチトセは口にする。
「アレは私達も追っている獲物でね。理由は……まぁ、お前達からすれば下らない私怨だよ」
「けど、レディ達にすりゃ殺すに足る意味があるんだろ?」
苦笑いをチトセは浮べる。
「私怨の怖さは稼業柄よく知ってるよ。痴情のもつれ、金やビジネスチャンスの横取り、縄張り争い。そんなこんなの恨みつらみで、殺しを依頼される事もあってね」
「引き受けたのか?」
「当店はコンプライアンスを遵守し誠実な運営をモットーとしてるんだ。週休六日の、何処に出しても恥かしくないホワイトとクリーンさがウリだ、断ってるよ」
ライドウの言葉にダンテは流暢にそう返したが、逆の意味でライドウの呆れと軽蔑を買っていた。目線が冷たい。
週休どころか年休十日もないレベルで働き詰めだった事があるチトセとしては、想像も出来ない程怠惰な世界であった。
「前世からの縁。綺麗な言葉で着飾るのなら、私がヴァルゼライドを追うのはそう言う事だ。お前達は何だ。令呪か? それとも、やはり恨みか?」
ヴァルゼライドがこの<新宿>で、ルーラーから睨まれた結果、令呪。
つまりサーヴァントの活動リソースであるところの魔力の塊を報酬に設定されたお尋ね者になった事は知っている。
嘗て、登り詰めるところまで登り詰め、誰しもが認める絶頂期のまま壮絶な最期を遂げた男。生前英雄と呼ばれ、死後神とすら扱われた男。それがヴァルゼライドだ。
そんな男がこの世界では、指名手配されたお尋ね者、しかも生死問わず(デッドオアアライブ)と言うレベルなのに、払われる報酬がケチなリソース一つと来ている。
笑ってしまうような転落劇だが、同時に、欲に目が眩み思考が利得に蝕まれた程度の主従に、アレが遅れを取るとは思えない。悉くを返り討ちにするだろう。
だが、目の前の男達ならば或いは? ともチトセは思うのだ。思うのだが……この主従は令呪だとか私怨だとかと言う確執とは、一線を画した所に立っていて、その観点からヴァルゼライドを殺そうとしている風に見えるのだ。
「義務だ」
チトセの疑問にライドウは即答した。ライドウの語り口は解りやすい。簡潔明瞭で、長々とした会話を好まない。そう言うクチだった。
「指名手配されたから狙うのではない。こんなもの、ルーラー側の匙一つで、それこそ俺だってされかねない。討伐令を敷かれたからと言って、全てが悪とは限らん。が――このバーサーカー達だけは明確に邪魔だ」
目線を一瞬、<新宿>の街に向けるライドウ。
高度な建築技術が齎す高層ビルディングの数々。東アジア随一の名に偽りなしの人々の活気。
都会である。建築物の数でも、店の数でも、行き交いする人間の数でも、交通の便でも、流通する金の量でも。この街は、都会の要件を最高に近いレベルで満たしている。
ライドウやチトセの時代からは、信じられない程大都会であった。この光景を見ても何の感慨も湧かないのは、生まれた時代が近しかったダンテだけである。
ライドウにとってこの世界は、彼が生きていた大正十五年から順調に文明のレベルを上げて行き、その末に到達した未来だった。
そしてチトセにとってこの世界は、写真や文献の中でしか存在を確認する事が出来なかった、亡国アマツの在りし日の光景だった。本の中で綴られていた世界は嘘ではなかったと。<新宿>の街を歩く度に、彼女は何度も思ったのだ。
「帝都を守護する事は俺の任務だ。故にこそ、己の勝利と目的の為に、無秩序で、非生産的な破壊を、邁進の過程で生み出す奴らを生かしてはおけない」
「それが、ヴァルゼライドを殺す理由か?」
「不足に思うか?」
「まさか。十分過ぎる程だ。寧ろ、お前の気持ちは良く解っている側だと言う自信すらある」
ライドウらが今居る場所から眺める<新宿>の風景は、見事なまでの都会の絵図だった。
このありきたりな、メトロポリスの姿はしかして、誰が見ても異常としか言いようのない姿を見せつけていた。荒廃である。これは、数百m規模の高層建築の屋上から見たら特に顕著だった。
まるで其処だけ、原子爆弾でも炸裂させられ産み出された爆心地のようなところになっている場所がある。
それが元は家だったと判別など出来ようもない、見るも無惨な瓦礫の堆積が広がるその様子は、家主からすれば地獄か悪夢としか映らないであろう。
アスファルトで補強された道路が、滅茶苦茶になっている所がある。どんな力をどんな方向から、そしてどのような形で以って訴えかけたのか?
トラックの運転にすら耐え得るアスファルトは粉々で、ライドウ達であっても、如何なる手段で破壊したのかの想像を不可能にさせている。
他にも、目に付く目に付く。破壊の痕跡、崩れた建物。
その全てが全て、ヴァルゼライドの手によるものだとはチトセも思っていない。しかし、これらの破壊の内何割かは、彼が関与してると言う事は理解している。
と言うより、彼の宝具が多くの建造物を破壊し、人の命を奪って行ったのを、此処<新宿>でチトセは真実目の当たりにしている。
彼が精練潔癖であるとは欠片も思ってない。こんな破壊のザマを見せ付けられてしまえば、チトセはライドウに同意せざるを得ない。
仮にこんな大層な暴れ方を、母国アドラーでされようものなら、彼女とてライドウ同様、下手人を生かしてはおかなかっただろう。それは、力ある統治者の義務としての行動であたt。
――だが
「この世界は、お前の生きた場所ではなかろう。何故義務を押し通そうとする?」
知識としてではあるが、<新宿>における聖杯戦争、その参加者であるところのマスター達は皆、偶発的にこの地に呼び出された事は知っている。
呼び出されたと言うのは手紙やメールや電話などと言った連絡手段を介してから、ではない。
契約者の鍵なるものに触れた瞬間に、時間や空間の制約を越えてこの地に呼び出されると言う、強制的なやり方だったそうじゃないか。
その者にとってこの<新宿>が未来、過去の姿である者もいるだろう。現にチトセにとってこの<新宿>は、遥か古、それこそ御伽噺のレベルで昔の時間軸の姿なのだ。
ライドウにとって<新宿>……つまり東京が、未来のそれなのか過去のそれなのかはチトセも解らない。だが、強制的にこの地に招かれたのだろう事は想像に難くない。
ならば、義理を通す必要など、ないのではないか。義務やモラルは時として枷となる事はチトセも知っている。
ライドウならば、その桎梏から解き放たれれば、今以上に強くなれるのでは? ならばそうするべきだろうと、暗にチトセはそう言っていた。強制的に招かれて、殺し合いを強要されているのなら。思う所の一つや二つは、ある筈だろうに。
「例え此処が俺が守護すると決めた帝都でなかろうと、其処が、帝都の未来の形の一つである以上。あり得た姿の一つであるのなら、俺はその責務を全うする義務がある」
迷う素振りすら、ライドウは見せない。彼の言葉は鋼のような確かさを持っていた。
紋切り型の定型句にしか聞こえないような言葉はしかし、決して嘘偽りも、建前もない。本当の言葉である事が伝わってくる。
「違う世界なのだから、守護の責務も違うものだと解釈する。そんな選択肢は俺にはない。奴らがやりたいように破壊と死を振り撒くのなら、俺もやりたいように奴らに報いを与えるだけだ」
「真面目な男だなぁ、お前は」
降参、とでも言わんばかりに諸手を挙げるチトセ。
カマかけのつもりだったが、どだい、そんな物が通用しない手合いだと今ので良く解った。
これ以上は鉄の塊に木の釘を打ち込むようなものだろうと判断し、即刻これ以上の問答を諦めてしまった。
「マスターの方にも、ヴァルゼライドと戦う覚悟があるのかを問うては見たつもりだったが……無駄な質問だったな。これでは私が恥をかいただけだ」
「どのような意図があっての事かは知らないが、下らない事をしたな。俺達は機会があればあのバーサーカーを殺すぞ」
「獲物を先取りされたからと言って、逆恨みするような真似はせんよ」
その点については、チトセは本心を語っている。聖杯戦争は想像以上に、参戦しているサーヴァントのレベルが高い。
これならば誰かしらが、ヴァルゼライドの首を獲ってもおかしくない程の魔境だ。横取りされたからと言って、憤る事もない。……とは言え、新国立競技場でヴァルゼライドを魚雷で爆殺しようとした、あのアーチャーについては如何にも、許そうと言う気にはなれないのだが。
「おっと……オイ、少年。銃声を聞かれちまったからかね。人の気配がこっちまで上がってくるぜ」
何かに気付いたような顔でダンテが言った。
考えてみれば、当たり前の話……と言うより、今までが遅過ぎた位である。ダンテの持つ拳銃は、サプレッサー(消音器)の類も全く装備されていない。
いやそれどころか、つけた所で意味など欠片もない程、馬鹿でかい銃声が響き渡る、文字通りのモンスターガンである。
そんなものを、特に何も防音措置を施してない、野外の真っ只中で発砲すれば必然、人が集まってくるのは当然の話だ。
銃声を聞いて上へと向かっているのは、恐らくはこのビルの持主である会社に雇われた、警備の者であろうか。
「構わん。どうせそのセイバーが来た時点で、河岸は変えるつもりだった。良い頃合だろう」
ほう、とチトセは考える。 ダンテもチトセも、空を飛ぶと言う手段を有してはいない。
やろうと思えば出来ると言うだけで、鳥類のように生物学的に飛べて当然の特徴を持っている訳でもなく、簡単に飛べるメソッドを確立させている訳でもない。
魔力と言うリソースを潤沢に使って、空を飛ぶ真似事をしているだけなのだ。実際にこれは普通に目的地に歩いたり走って移動するよりも、
余程非効率的で、魔力の燃費も悪く、最悪次の敵と戦う頃にはガス欠だって引き起こしかねない、無駄なやり方なのである。
チトセとサヤから見て、高城が生み出した黒泥から逃れる為に用いたダンテ達のやり方は、その無駄な物に該当すると見ていた。
あんなもの、何度も連発して行う物ではなかろう。ライドウも、そう思ってるに相違ない。ならばどうやって、此処から脱出するのか。これが見物だった。まさか飛び降りる事はあるまい。この周辺は<新宿>の中でも人通りは多い。そんな事をすれば、悪目立ちするだけだ。
「……あそこだな」
「了解」
と言ってライドウは、此処から概算百と三〇m程の距離を離した所にある、高層ビルに目を留める。
高層と言っても、今ライドウ達が佇んでいるビルよりは高さは低い。世間一般的に見て、高層のカテゴリに分類される程度の高さ、と言うだけだ。
……今、自分達がいる所よりも、『低い』ビル。それを事実とした認識した瞬間、チトセはハッとした。
「……正気か?」
「ヘイ、ネオナチ・レディ。お前さん、あのイカレバーサーカーを自分達だって殺すんだ。そう言ったけど、秘策はあるのか?」
チトセが思い描いている事を実行に移す前に、ダンテがそんな事を聞いてきた。これはダンテのみならず、ライドウとて気になっている所だった。
これまでの話を統合すると、ヴァルゼライドと言う戦士の最大の骨子は、『シンプルに強い』と言う点に集約されると二名は判断した。
超々高威力のレーザーを放ち、そのレーザーの持つ熱量をそのまま刀に纏わせる白兵戦。そして、多少の傷など物ともしない気合と根性。
それだけで、喰らい付いてくるサーヴァントだ。泥臭いが、それが同時に危険でもある。凝った能力は脆い所がある。
凝っている、複雑な能力。そう言うものはそれだけ、能力を発動するのに必要な工程が多いと言う事を意味し、そのプロセスの何処かを挫けば失敗に終わる事が多い。
ヴァルゼライドにはそれがない。余りにも戦闘スタイルがシンプルで、無駄がないからだ。シンプルとは単調であると同時に、完成もされているのだ。
その通り、ヴァルゼライドの戦い方は完成されていた。その単調単純な能力すらも、彼の戦いにとっては弱点足り得ないどころか、重要なパーツとして構築されている。
防御など意味を持たないレベルで極限威力の攻撃を持った男が、不死身のタフネスで戦闘を続け、隙を見せたら必殺の一撃が叩き込まれる。
その単純で、それ故に攻略が困難を極める戦い方を相手にするのが至難の業である事は、ダンテをして殺しきれなかったと言う事実を鑑みても明らかだ。
その、これ以上となくシンプルで、であるが故に究極の強さを持つヴァルゼライドを、チトセは狙っていると言う。
生前からの縁とか、因縁があるだとか。そんなものは如何でも良い。殺すのならば、どうやって? が重要になる。
当然全盛期のヴァルゼライドを知っているのなら、その強さだって無論周知している筈だ。
となれば、自分達に語っていないだけで、必勝の秘策があるのだろう。ライドウもダンテもそう考えたのだ。無策で挑む程、目の前の女傑は馬鹿じゃない。口にこそしていないが、これはライドウもダンテもチトセに対して抱いている共通の見解だった。
「……気合と、根性かな」
不敵な笑みを浮べてそう言ったチトセに対し、ダンテは肩を竦めた。ライドウの方は、もうチトセの方を見向きもしていなかった。
ライドウは屋上の縁の部分に立て付けられた、転落防止のネットフェンスに向かって、抜刀。
チトセですら視認が難しい程の速度で抜き放れた佩刀は、フェンスの一部を切断。切り離されたフェンスの網目部分を掴み、それを内側に引き倒させた。
「そのセリフがブラフな事を祈るぜ。誰だって気合と根性で動き続けられるんだったら、この世界は終わりだからよ」
この言葉を最後に、ダンテもチトセから目線を外した。言い切る頃にはライドウは、先程切り離したフェンスから十m程離れた所にまで移動をしていた。
それまで、ライドウの周りを飛行していたモー・ショボーは、彼の背中におんぶの要領で抱きつき始め、それを契機に、ライドウが走った。時速、五十km。
十mの助走距離のうち、五mを切った段階で、彼は自らに可視化された緑色の魔力光……もとい、マグネタイトを纏わせ、その状態で、先程開けたフェンスとフェンスの間を抜けた。
空の世界に身を投げるかと思いきや、ライドウもダンテも屋上の縁の部分で膝を屈ませ――脚部のバネを一気に解放。
すると、まるでカタパルトから放たれた岩石めいた勢いで、跳躍が始まった。瞬きをする頃には、既に二名は豆粒の大きさだった。
本当にこんなやり方で、遥か先のビルの屋上まで向かって行くとは思わなかった。しかも魔力を無意味に燃やしている様子もない。彼らからすれば効率的なやり方だ。
「……つくづくデタラメな主従でしたね」
もう呆れて物も言えない様子らしく、サヤは、ライドウが切り離したフェンスと、彼らが去って行った方角を交互に見つめながらそう言った。
「お姉様。やはり総統を相手に策など……」
「凝ったものは用意出来ない。だから、先程あのセイバーに言った事は嘘ではない。最終的には根比べの様相を示すだろう」
この世界に於いて、生前のチトセの最も大きいアイデンティティの一つだった、アマツの血筋から来る強い権力、と言う長所は何の意味もない。
従って、金と権威に物を言わせた仕掛けは何も用意出来ない事を意味する。あり合せの物と、彼女の有する機転と要領の良さで、足りぬ物を補うしかない。
その補うと言う行為にしたって、ヴァルゼライドとの戦いでは、何らの意味も成さないだろう。
例え、もしこの世界でもチトセの権力が有効に働いていたとしても、その権力で用意した様々な罠や策謀を踏み越えて来るだろう。
そう言う小賢しい策略を全て乗り越えて来たから、生前のヴァルゼライドは英雄なのである。今更そんな物が通用するとは思えない。
能力にしたってそうだ。ヴァルゼライドの能力は帝国は勿論他国にも知れ渡っていたので、当然の事としてチトセもそれを知らない筈がない。
だが、チトセにしたって元は帝国内では上から数えた方が遥かに速い程に高い位置(グレード)にいた女だ。無論ヴァルゼライドもチトセの力は知っている。
自分の能力の本質も、それを基にした応用の数々も、全部理解していると見て間違いない。そしてその全てを、気合と根性で踏み越えて来るのだ。
「全く、弩級の阿呆を敵に回したものだよ」
苦笑いを浮かべ、くつくつと笑い始めるチトセ。
「……たとえお姉様が、総統との戦いを避ける。そう仰っても、私は従う所存に御座います」
「綺麗な言葉を使うのだな。逃げる、ではなく『避ける』とは」
押し黙るサヤ。
「そう言う、賢いやり方が出来る程頭が良くないのだよ。残念な事にな」
普通――。
二度目の生を偶然とは言え授かって。しかも、生前に振るっていた能力も、やや格落ちしているとは言え問題なく行使出来る。
そうと決まれば、普通人はどう生きる? 慎ましやかに生きるのもアリだろう。道徳に反しているが、その能力を振るって魔王の如く君臨するのも、理解は出来る。
チトセはそれをしなかった。ヴァルゼライドが、此処にいたからだ。いたとて、無視すると言う選択肢もあっただろう。
知らぬ存ぜぬを貫いて、市井に生きる、チトセ・朧・アマツとして振舞う事だって、容易だった筈。それを、彼女は蹴った。
惰弱ながらもしかし、確かにまともでささやかに生きる術を自らかなぐり捨ててまで。この女は、血に塗れた茨で舗装された、地獄への道を駆け抜けようとしているのだ。
「ク、クク、ククククク……」
眼帯を押さえ、不気味に笑う、憧れの人を、サヤは困惑気味に見つめていた。
「なぁ、サヤ……。今更ながらに気付いたのだが……」
ほぅ、と一息吐いてから、チトセは、広がる青空を見上げ、こう言った。
「馬鹿も、厄介な風邪と同じで、うつりやすいものであるらしい」
全く、つくづく総統閣下は罪な奴だと思いながら。
チトセは己の能力を部分的に解放、大気を操り、光の屈折を操り、ステルス迷彩を自らとサヤに発動させ、透明化。
その一秒後で、屋上へと繋がるペントハウスが勢い良く開け放たれ、さすまたや警棒を持った警備員達が現れた。
誰もいない事を訝しむ彼らを眺めながら、チトセ達は、透明化を維持したまま、ライドウ達が此処を去る為に斬り離したフェンス、その先から飛び降りた。
去り際に聞いたのは、フェンスが切り取られている事に気づいた警備員達の、慌てた声と、駆け寄る音であった。
【葛葉ライドウ@デビルサマナー葛葉ライドウシリーズ】
[状態]健康、魔力消費(小)、廃都物語(影響度:小)、アズミとツチグモに肉体的ダメージ(大→中)
[令呪]残り三画
[契約者の鍵]有
[装備]黒いマント、学生服、学帽
[道具]赤口葛葉、コルト・ライトニング
[所持金]学生相応のそれ
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争の主催者の思惑を叩き潰す
1.帝都の平和を守る
2.危険なサーヴァントは葬り去り、話しの解る相手と同盟を組む
3.正午までに、討伐令が出ている組の誰を狙うか決める(現在困難な状態)
4.バーサーカーの主従(
ロベルタ&
高槻涼)を排除する
5.バーサーカー(ヴァルゼライド)の主従も最優先で排除
[備考]
- 遠坂凛が、聖杯戦争は愚か魔術の知識にも全く疎い上、バーサーカーを制御出来ないマスターであり、性格面はそれ程邪悪ではないのではと認識しています
- セリュー・ユビキタスは、裏社会でヤクザを殺して回っている下手人ではないかと疑っています
- 上記の二組の主従は、優先的に処理したいと思っています
- ある聖杯戦争の参加者の女(ジェナ・エンジェル)の手によるチューナー(ラクシャーサ)と交戦、<新宿>にそう言った存在がいると認識しました
- チューナーから聞いた、組を壊滅させ武器を奪った女(ロベルタ&高槻涼)が、セリュー・ユビキタスではないかと考えています
- ジェナ・エンジェルがキャスターのクラスである可能性は、相当に高いと考えています
- バーサーカー(黒贄礼太郎)の真名を把握しました
- セリュー・ユビキタスの主従の拠点の情報を塞から得ています
- セイバー(シャドームーン)の存在を認識しました。但し、マスターについては認識していません
- <新宿>の全ての中高生について、欠席者および体のどこかに痣があるのを確認された生徒の情報を十兵衛から得ています
- <新宿>二丁目の辺りで、サーヴァント達が交戦していた事を把握しました
- バーサーカーの主従(ロベルタ&高槻涼)が逃げ込んだ拠点の位置を把握しています
- 佐藤十兵衛の主従、葛葉ライドウの主従と遭遇。共闘体制をとりました
- ルシファーの存在を認識。また、彼が配下に高位の悪魔を人間に扮させ活動させている事を理解しました
- 新国立競技場で新たに、バージル、セイバー(チトセ・朧・アマツ)、アーチャー(八意永琳)、アーチャー(那珂)、アーチャー(パム)、ランサー(高城絶斗)、ライダー(大杉栄光)、アサシン(レイン・ポゥ)の存在を認知しました。真名を把握しているのはバージルだけです
- アサシン(レイン・ポゥ)の本性を、モコイの読心術で知りました
- ランサー(高城絶斗)の正体に勘付きました
- 現在<新宿>上空を、使役する悪魔モー・ショボーの神風で飛行中です。着地地点は次の書き手様にお任せします
- キャスター(タイタス1世)の産み出した魔将ク・ルームとの交戦及び、黒贄礼太郎に扮したタイタス10世をテレビ越しに目視した影響で、廃都物語の影響を受けました
【セイバー(ダンテ)@デビルメイクライシリーズ】
[状態]肉体的ダメージ(中)、魔力消費(中)、放射能残留による肉体の内部破壊(回復進度:小)、全身に放射能による激痛
[装備]赤コート
[道具]リベリオン、エボニー&アイボリー
[所持金]マスターに依存
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯の破壊
1.基本はライドウに合わせている
2.人を悪魔に変身させる参加者を斃す
3.バージルとタカジョーを強く意識
[備考]
- 人を悪魔に変身させるキャスター(ジェナ・エンジェル)に対して強い怒りを抱いています
- バーサーカー(クリストファー・ヴァルゼライド)の異常な耐久力を認識しました
- 宝具『天霆の轟く地平に、闇はなく』が掠めた事で、体内で放射能による細胞破壊が進行しています。悪魔としての再生能力で治癒可能ですが、通常の傷よりも大幅に時間がかかります
※現在主従共に移動中です。移動場所は後続の書き手様にお任せします
【セイバー(チトセ・朧・アマツ)@シルヴァリオ ヴェンデッタ】
[状態]肉体的ダメージ(中)、魔力消費(中の大)、実体化
[装備]黒い軍服
[道具]蛇腹剣
[所持金]一応メフィストから不足がない程度の金額(1000万程度)を貰った
[思考・状況]
基本行動方針:バーサーカー(クリストファー・ヴァルゼライドとの戦闘と勝利)
1.余り<新宿>には迷惑を掛けたくない
2.聖杯を手に入れるかどうかは、思考中
[備考]
- 現在<新宿>の何処かに移動中。場所は後続の書き手様にお任せします
- 新国立競技場で新たに、セイバー(ダンテ)、アーチャー(バージル)、アーチャー(八意永琳)、アーチャー(那珂)、アーチャー(パム)、ランサー(高城絶斗)、ライダー(大杉栄光)、アサシン(レイン・ポゥ)の存在を認知しました
- アーチャー(八意永琳)とそのマスターには、比較的好意的な考えを持っております
- サヤ「あのアーチャー様は、お姉様には本当に僅差には劣りますが、美しい方でしたね……性格も宜しいですし」
- サヤ「泥投げて来たあのクソガキ殺す!! 絶対殺してやる!!」
- サヤ「お姉様の服装にナチス要素はありません」
時系列順
投下順
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Character name |
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| 48:明日晴れるかな |
葛葉ライドウ |
[[]] |
| セイバー(ダンテ) |
| 48:明日晴れるかな |
白のセイバー(チトセ・朧・アマツ) |
[[]] |
最終更新:2021年03月31日 17:57