【名前】
 ノクト・サムスタンプ / Nocto Thumbstamp

【性別】
 男

【年齢】
 44歳

【属性】
 秩序・中庸

【外見・性格】
 褐色の肉体に複雑な紋様の刺青を彫り込んだ、虎を思わせる容貌の屈強な男性。
 闇色の短髪、紫の瞳、短く刈り込んだ髭、刺青を隠すような厚手のトレンチコート(実際には刺青は顔や手にも及んでいるため、全てを隠せてはいない)。

 獰猛な外見や気さくな口調とは裏腹に、極めて合理的な判断基準を有する人物。
 合理と理性を尊び、あらゆる物事を俯瞰的な損得で勘定し、判断には決して私情を挟まない。
 冷徹を基本とする世の魔術師と比してなお、根源にすら執着しないという点で一線を画した徹底的合理主義。
 ただし人情を理解しないわけではなく、あくまで「自分では用いない判断基準のひとつ」として他者の感情は十分に考慮する。
 何事も気負わず、執着せず、常に実現可能な範疇で目標を設定する諦念的楽観主義者。
 その魔術特性上、「契約」というものだけは強く重んじる。

【身長・体重】
 192cm/112kg

【魔術回路・特性】
 質:C 量:C
 特性:『契約による霊的取引の締結』

【魔術・異能】
 ◇契約魔術
 他者との契約を霊的・呪的に締結する技術体系。
 「使い魔」や「ギアス」などの基礎的な契約も高度に取り扱えるものの、その真骨頂は「幻想種との契約」による能力の授受。
 原理としてはシャーマニズムと呼ばれるような精霊魔術に近しいものではあるが、サムスタンプの契約はより合理的かつ長期的に交わされる。
 個人がその場で交わす契約ではなく、一族単位で長期的に結ばれた契約により、彼らはもはや生来備わった特性として契約の恩恵を受けられるのである。
 あくまで借り受けた能力であるために行使する神秘の規模に比して極めて燃費が良く、詠唱も短く、次代への継承も容易。
 代償として、幾重にも重なった契約事項を常に遵守して生活しなければならない。
 全身に刻まれた刺青は魔術刻印と癒着した契約の証であり、言わば肉体そのものが契約書となっている。

 サムスタンプ家は現在、『大気の精』及び『夜の女王』と呼ばれる二種類の幻想種と契約を結んでいる。
 契約内容については各代の当主が生涯に一度だけ交渉を行うことができるが、ノクトはまだどちらの契約についても交渉を行っていない(そもそもする気も無いようだ)。

 なお、理論上は契約内容次第で幻想種の直接使役も可能ではあるが、制御の困難さ等から一族はこれを禁忌としている。
 「相手の方が強いからお願いして力を借りてるってのに、そいつに首輪をはめようなんてゾッとする」とはノクトの弁。

 ◇妖精眼
 グラムサイト。
 後述する『夜の女王』との契約によって獲得した魔眼。
 現実の視覚とは焦点が「ずれて」おり、「世界を切り替える」ことで魔術の気配・魔力・実体を持つ前の幻想種などを把握できる視界。
 妖精眼としての格は低く、あくまで実体を持たない幻想種との交渉をスムーズに行い、また交渉のテーブルに乗せる眼の価値を引き上げるためのもの。

 ◇『大気の精』との契約
 大気の化身である幻想種との契約。
 ノクトはこの契約によって備わった風を操る魔術を戦闘に用いる。
 細々とした条項は多数あるものの、『大気の精』(以下、甲)とサムスタンプ家当主(以下、乙)の間で交わされた重要な契約は大まかに以下の通り。

  ・甲は乙に「大気を操る力」を与える。
  ・乙は七日に一度狩猟の儀を執り行い、成果物を甲に捧げること。
   ・乙が当項目に違反した場合、乙の眼球ひとつを甲に捧げた上で七日間の契約停止処分を執行する。乙が眼球を有さない場合、乙の心臓で代用するものとする。
  ・乙の遺体は樹齢120年以上の樫の木の根元に埋葬すること。
   ・乙の死後三日以内に埋葬が契約通りに行われなかった場合、甲は乙の遺体を眷属として変質させ、日中自由に使役する権利を有するものとする。
  ・所定の手順で乙が殺害された場合、殺害者は新たな乙と認められ、遺体の埋葬後に魔術刻印ごと契約が移譲される。
   ・甲はこの魔術刻印の移植に全面的に協力すること。

 ◇『夜の女王』との契約
 夜を支配する幻想種との契約。
 ノクトはこの契約によって夜間の行動に有利な補正がかかっている。
 細々とした条項は多数あるものの、『夜の女王』(以下、甲)とサムスタンプ家当主(以下、乙)の間で交わされた重要な契約は大まかに以下の通り。

  ・甲は乙に妖精眼を与える。
  ・甲は乙に「夜に親しむ力」を与える。
   ・夜に親しむ力とは、「夜を見通す力」、「夜に溶け込む力」、「夜に鋭く動く力」の三種を統合した呼称であるとする。
  ・乙は三十年に一度、一族の者を夜に捧げること。
   ・乙が当項目に違反した場合、甲は乙の魂を収奪する権利を有するものとする。
  ・乙は夜間に就寝を行わないこと。
   ・気絶などによる意図しない意識の喪失は該当しないものとする。
   ・乙が当項目に違反した場合、乙は三日間起床できず、起床後三日間の契約停止処分を執行する。
  ・乙の遺体は夜間、月の光を浴びた状態で埋葬すること。
   ・乙の死後三日以内に埋葬が契約通りに行われなかった場合、甲は乙の遺体を眷属として変質させ、夜間自由に使役する権利を有するものとする。
  ・所定の手順で乙が殺害された場合、殺害者は新たな乙と認められ、遺体の埋葬後に魔術刻印ごと契約が移譲される。
   ・甲はこの魔術刻印の移植に全面的に協力すること。

【備考・設定】
 魔術組織などに金で雇われて依頼を果たす、いわゆる「魔術使い」の傭兵。

 サムスタンプ家は古い歴史を持つ魔術師の家であり、長い歴史の中で幻想種を捜索し、交渉し、契約を結び、さらにそれを更新してきた一族である。
 己より格上の存在から契約によって力を手に入れることで位階を高めることを目的としてきた一族なわけだが、当代当主であるノクトはこの手法に先が無いと判断。
 世界から多くの神秘が失われ、幻想種の多くが「世界の裏側」へと去ってしまっている以上、もはや幻想種を頼っての根源到達は不可能であるというわけだ。

 この「合理的判断」により、ノクトは魔術師としてのサムスタンプ家を畳み、魔術使いの傭兵として活動するに至る。
 当時ノクト・サムスタンプ18歳。魔術刻印継承のため、父を殺害し埋葬した一週間後の声明であった。
 一族の者からは激しい反発を受けたが、幻想種との契約を行った当主とそれ以外の者とでは天と地ほどの実力差があり、この全てを制圧して黙らせたという。

 その後は名うての傭兵として活動してきたが、齢40を超えたあたりでそろそろ引退を考慮。
 ある魔術の名門に雇われて聖杯戦争に挑み、その莫大な報酬でもって隠居生活を送ることを画策していた。

 ……そして〈はじまりの聖杯戦争〉の中で、彼は運命に出会う。

 客観的に見て、最後まで生き残れるはずもない弱者。
 俯瞰的に見て、数合わせに巻き込まれただけの書割。
 合理的に見て、あまりに取るに足らないただの少女。

 損得を鑑みて時に手を貸した。
 利益を鑑みて時に罠に掛けた。
 危険を鑑みて時に命を狙った。

 その全てを、理不尽に不条理に非合理に踏み越える少女に――――その輝きに魅せられたことに、ノクトは最期まで気付かなかった。

 蘇ってなお、気付かない。
 彼の合理的判断は、恋に狂うなどというロジックエラーを否定する。
 己に潜む狂気から目を背けながら、彼は冷徹に聖杯を求めようとする。


 〈はじまりの六人〉、そのひとり。
 抱く狂気は〈渇望〉。
 ノクト・サムスタンプ。サーヴァントは、恋の虜囚。


【聖杯への願い】
 特に無し。
 契約通りに聖杯を持ち帰り、莫大な報酬を受け取り、悠々自適に隠居することが参戦の理由である。
 既に死んだ身、二度目の聖杯戦争――――このイレギュラーな状態で問題なく目標を達成できるかは怪しいところだが、合理的な判断として神寂祓葉を自分のものにしたい。


【サーヴァントへの態度】
 扱いづらい上に格も低い、あからさまな“はずれ”サーヴァントであるとみなしている。
 幸いにして正面戦闘であればかなりの馬力を発揮するとはいえ、それすらも不安定で信用に値しない。
 よって合理的な判断として、適当なところで他のサーヴァントに“乗り換える”ことを考慮している。
 相手は話の通じない狂人であり、ほどほどに話を合わせてやり過ごしているが、いつその刃がこちらに向くともわからないのだから。

 ……神寂祓葉に植え付けられた狂気によって、本来不可能なはずの意思疎通がある程度成立していることにノクト本人は気付いていない。

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最終更新:2024年08月07日 01:36