【名前】覚明ゲンジ(原児)/Genji Kakumei
【性別】男性
【年齢】16
【属性】秩序・中庸
【外見・性格】
北京原人のような容姿をしており、幼少時は彼の一挙手一投足に囀るような笑い声が遠巻きに渦巻いていた。
絶え間なく浴びせられた周囲からの嘲笑の声は、彼の人格形成に大きな影を落とした。
彼は極度の人間不信となり、感情を表に出すこともめったになくなった。
高校生となった現在、露骨に容姿を嗤われることは流石になくなったが、ここ数年、彼が人前で笑顔を示したことはない。
軽い離人症の傾向があり、自分の行いさえどこか他人事のように感じている節がある。
この聖杯戦争によって芽生えた異能は彼の人間不信を癒やすと期待できるものだったが、
巡り合わせの悪さから却って悪化させることとなっている。
【身長・体重】
155cm/70kg
脚が短く、腕と胴が長く、毛深い。体脂肪率10%以下の筋肉質。
天性の筋力に恵まれており、たとえば握力は両手とも100kgある。
【魔術回路・特性】
質:C 量:D
特性:<矢印>
【魔術・異能】
特性:<矢印>
視認している人物が何かに対して向けている感情・意識を、矢印と簡単な言葉で視覚化することができる能力。
要はその場にいる人物たちの相関図を即席で作ることができる能力である。
向ける感情が大きいほど、矢印は太くなる。
任意でオン・オフが可能かつ、対象を絞ることもできる。魔力等の消耗はきわめて小さい。
自分自身と、自分自身の従えるサーヴァントの発するものだけは視覚化することができない。
基本的に矢印の始点・終点の両方を視認していないと能力は発動しないが、
強力な感情の場合は、始点あるいは終点だけを視認していても矢印が視えることがある。
情報戦での有用性は大きいが、対サーヴァントの戦闘速度では無意味といっていい。
【備考・設定】
12歳の頃に両親の離婚を経験する。
その原因は父親の不貞であるとされるが、実際に不貞を働いていたのは母親の方で、
ゲンジの妹(当時6歳)は彼や父とはまったく似つかない容姿をしていた。
敏腕の弁護士に完璧にやり込められた父は、母親と別れた妹に毎月の収入の半分以上を養育費として払うはめになっている。
また、ゲンジと父ともども母と妹との面会は完全に禁じられている。
小学生の頃、ゲンジは柔道に励んでいた。
講師によればこのまま努力を続ければ日本代表も夢ではない、という素質を有していたという。
しかし、父の離婚に伴う経済的事情により、中学以降は柔道を諦めており、
父の民生委員としての仕事につきあわされていた。
ゲンジの父方の家系は岐阜県の山中で、占い師・あるいは祈祷師のような仕事をしていた。
あやかしの血を引く者として、人の心を読み当てることができたという。
近代化によってその生業は途絶し、ゲンジや、彼の亡き父も過去の生業を知る機会はなかったが、
今回の聖杯戦争で彼に芽生えた異能という形で、先祖の異能は限定的に再現された。
ゲンジはあるアイドルの密かなファンである。
あくまで密かに推しているため、ライブや握手会等イベントに参加することはなく、
少ない小遣いからグッズやCDを購入するのみであった。
異能に目覚めてからのある日、ゲンジと同じアイドルの推しを公言しているクラスメイトに
ゲンジが隠し持ち歩いていたグッズをぐうぜん目撃された結果、
そのクラスメイトの彼女への感情は『激推し』→『嫌悪』に変化している。
そのことをゲンジは深く悔やんでいる。おれの好意は呪いでしかないのか、と。
【聖杯への願い】
大前提として、勝ち残れる可能性があると思っていない。
それでももし勝ち残ることができたなら、人類に新たな寿命のシステムを実装させたいと考えている。
ある一定の年齢以上に達していて、プラスの感情を誰かに渡すことも受け取ることができなくなった時に
天寿を迎えるシステムである。
【サーヴァントへの態度】
到底勝ち残れるようなサーヴァントではないと踏んでいる。
それでもマスターである自分を守り従ってくれている点だけは幸運に感じている。
自分に付き従うような強大な存在を召喚したとしても、真っ先に自分が殺されるというのが、ゲンジの考えである。
おれは、あいつを、見た。
いつ、どこで、という記憶はすっぽりと抜け落ちてしまっている。
あまりに"あいつ"の様子が異常だったからだ。
白くて長い髪の女子高生が、頭のアホ毛を揺らしながら一人でにこやかにスキップしていた。
何がそんなに楽しそうなのかと、彼女を視界に入れて、<矢印>を起動した。
巨大な、あまりにも巨大な矢印が、何本も彼女に狙いを定めていた。
その矢印の太さは、スキップする彼女の身長を遥かに超えていた。2m以上は、ある。
ありえない、とそのときおれは思った。
常人の精神力で出すことのできる太さの矢印ではないからだ。
普通の人間が、本気で殺す、という感情で矢印を向けたとき矢印の太さが、マンガ雑誌の縦の長さくらいだ。
入れ墨じいさんに襲われた時がそうだった。
2mなどという太さの矢印を出せば、それが殺意であれば、今すぐ飛び掛からずにはいられないほどだろう。
恋慕であれば、今すぐ服を脱いで飛び掛からずにはいられないほどだろう。
そんな太さの矢印を向けられれば、おれのような常人なら恐怖で発狂している。
矢印に付属する文字の内容は読めない。恐ろしくて、読む、という行為に挑めなかった。
あの女子高生はそのクソデカ矢印の存在を知ってか知らずか、平然とニコニコしていた。
フィルターを切り替える。あいつに向かう矢印を消し、あいつから伸びる矢印を表示。
『楽しみ』
ありえない。あの女子高生は、クソデカ矢印の主に対して、そういう感情を返しているだけだった。
全員の矢印に気づいて返している訳ではないようだが、
ともかくあいつがクソデカ矢印に返しているのは、新作ゲームを買った時や、
テーマパークにでも向かう子供が発するような『楽しみ』という感情にすぎなかった。
おれの視界外からクソデカ矢印を向けて、それでも虎視眈々と機を伺うことのできるような連中。
天才として生まれ、英傑として育ったような、そんな精神力をもった連中だ。
あいつに矢印を向けるやつらは。
そいつらに向かって楽しみ、とは、いよいよもってイカれている。
ブラックホール。本物だ、老いて壊れたジジババと並べて形容するのはもったいない、
本物のブラックホールが現れた。銀河ひとつをまとめて引き付けぶん回す、超巨大ブラックホール。
おそらくこの聖杯戦争の中心に限りなく近い位置に、あいつがいる。
あるいは、あいつが聖杯戦争と無関係な人物だとしても、あいつに向かって聖杯が無理やり引きずり寄せられる。
いまあいつを襲えば、聖杯を獲れる――おれにはとても無理だ。
あいつにクソデカ矢印を向ける連中に、粉々にされる。あいつに指いっぽん触れられないままに。
それはきっと、さびしい。
それでもここが、おれの優勝の最大のチャンスだった。いまや背中を向けて去ってゆく、最大のチャンス。
おれはそれを、あえて見逃した。おれが優勝して叶える願いはきっと、大して重要なことではない。
今ここで、このくそったれな遊戯舞台から退場してしまうことが、たまらなくさびしかったのだ。
あいつと正面きって向かい合って、おれにも『楽しい』という感情を向けてほしいのだ。
そういう感情を、おれはついぞ受け取ることができずにいたのだから。
ああ、おれは、ずっと、さびしかったのだ。
――おれのおやじも、さびしかったのだろうか。
【マスターの追加情報】
1ヶ月の予選期間のいずれかで、
神寂祓葉を目撃しています。
場所・状況は後続の書き手に任せます。
最終更新:2024年08月07日 01:38