a/祉炎



 蝗害の魔女は去った。
 この聖杯戦争にて、初めて経験した戦いが終わった。
 極度の緊張状態から開放された反動で、少女は暫くの間、立ち上がることも出来なかった。

 レミュリン・ウェルブレイシス・スタールは公園の芝生に尻もちをついたまま、茜色に染まる西の空を仰ぎ、深く息を吐く。
 生命の危機を脱した安堵と疲労感によって、足腰に上手く力が入らない。
 抜けていく力の流れに身を任せ、そのまま仰向けに倒れ込みそうになった、その寸前。

「おっと」

 背中を支えてくれる、逞しい手のひらの感触があった。

「大丈夫かい、お嬢ちゃん」

「ランサー……」

 こちらを覗き込む大男の姿に安心する。生き残ったという、実感を得る。
 なんだか情けないなあと思いつつも、今だけはその力強さに寄りかかってしまう。
 重くなる瞼を懸命に開きながら、己の生命を守り抜いてくれたサーヴァントを見ると、しかし意外にも、その表情は明るくなかった。

「どうしたの?」

「いや……俺は嬢ちゃんに謝らなきゃいけねえのかもなあ」

 言葉の意味が分からなかった。
 ランサーは今日も、昨日までもずっと、レミュリンを守ってくれた。
 守り抜いてきた。彼に感謝することはあっても、謝られる理由なんて、どこにもないはずなのに。

「ひょっとすると俺が、嬢ちゃんから大事な機会を取り上げちまっていたのかもなって、思ってさ」

 首を傾げるレミュリンに、ランサーはバツが悪そうに、視線を逸らしながら話す。

「3組だ」

「……?」

「昨日までの1ヶ月で、俺が撃退した陣営の数だよ」

 ああ、そういうことか、と。
 レミュリンもようやく飲み込んだ。

「別に後ろめたかったわけでも、英雄として間違った戦いだったわけでもねえ。
 それでも、嬢ちゃんにはできる限り、知らないでいてほしかった」

 その理由は明白だ。
 ランサーはやはり、守ろうとしてくれていたのだ。
 レミュリンの身体だけでなく、精神(こころ)までも。
 聖杯戦争という外側の戦い全てを引き受けて、レミュリンの心の中の戦いに専念できるようにと。

「けどな、さっきの嬢ちゃんを見て思い知ったよ。
 俺のマスターは勇敢だった。俺が思ってたより遥かに、強かった」

 だから彼が今、何を悔いているのかは理解できる。
 彼の庇護と気遣いが、ある意味でレミュリンに与えられるべき試練を遠ざけてしまったと。
 成長の機会を損なってしまったのではないかと。そう考えているのだろう。
 だからレミュリンは微笑みと共に、小さく首を振った。

「知ってたよ」

「……なんだって?」

「いつ、どこで、とか、わたしには分からなかったよ。ランサーは上手に隠してくれたから。
 だけど、いくら能天気なわたしでも、心のどこかでおかしいって、気づいてた」

 そう、気づかないふりをしていたのだ。
 日常の中の違和感に蓋をして、強いランサーに甘えていた。

 少女はいつも守られていた。
 その感覚は、聖杯戦争が始まるより以前から、ずっと抱えていたものだった。
 魔術師の家に生まれながら、家の魔術を知らされず、姉の魔道を知らず。
 何も知らされないことによって守られていた頃。熱を知る前の、安寧の日々。

 あの揺り籠の中。無意識の内に、ずっと抱えていた罪悪感。
 だけど今、進むと決めた今ならば、ちゃんと知らねばならないと思う。

「ねえ、その3組って……どうなったの?」

 たとえ傷つく事になったとしても。
 その、熱の痛みを。

「それは……」

「教えて」

 ランサーの脳裏には、脱出王から齎された言葉が巡っている。

『ただ――きみはちょっと、過保護が過ぎるんじゃないか?』

 真っ直ぐに向けられた少女の視線を受け止めて、槍兵はその結末を告げる。

「戦闘そのものは、いずれも撃退するに留めて終えている。
 だが、昼間遭遇した脱出王のサーヴァントの話を信じるならば。
 3組全て、既に脱落したそうだ。中には、俺との戦闘が直接の原因となった者もいるだろう」

「……そっか」

 レミュリンの表情に、隠せぬ痛みが走る。
 この聖杯戦争の舞台においては、一方的な被害者で居ることすら許されない。
 知ってしまったからには、否応なくその重みがのしかかる。

「分かってたけど、辛いね」

「そうだな」

 ランサーの心にも無念が浮かぶ。
 そんな表情をさせたくなかった。だから今日まで隠してきたのだ。
 そして出来ることなら最後まで、隠し通してみせたかった。

 少女の決意も、新たな力も、彼女の成長があってこそ。
 だが、それすら必要ないくらい、英雄(ヒーロー)が強ければ良かったのだ。

「ありがとう、教えてくれて。
 今日、凄く痛かったし、怖かった。
 だけど、ここはランサーがずっと居た場所なんだね」

 ランサーの心が伝わったのか、レミュリンはもう一度、にへらと笑ってみせる。
 それは弱々しく不格好ながらも、誰かを勇気づけるための、英雄に倣った笑顔だった。

「お姉ちゃんのことだけじゃない。
 魔術のこと、聖杯戦争のこと、わたしやっぱり、知りたいよ」

 真実を求めなければ、自由でいられた。
 誰かの、怒りに満ちた声が、まだ耳に残っている。
 だけど、それでも、知ってしまったから。
 もう、戻れないなら、進みたいと願う。

「わたしね、思ったんだ」

 レミュリンはようやく、自分の望みをカタチにすることができた。
 燃えるような、夕暮れの空を見つめながら。

「わたしの戦いに、ランサーはずっと寄り添ってくれた。
 だから私も、ランサーの居る戦場に、ちゃんと一緒に立ちたいよ」

 時刻は夕方、真っ赤に染まる雲と長く伸びる影。

「まだ、何を選べばいいのかも決められてない。
 自分の運命っていうものに、どんな決断を下せばいいのかも、分からない。
 何も出来てない、だけど……いま……やりたいこと、成し遂げたいことが、一つだけ出来たよ」

 近づく夜を前に、新たな決意を声に乗せる。



「わたし、ちゃんと、あなたの魔術師(マスター)になりたい」



 魔術師になりたい。
 その言葉は、もしかすると、引き金だったのか。
 少女の右腕が突如として炎に包まれていた。

「―――!?」

 先程までの赤紫(マゼンタ)ではなく。
 瞬間的に、青白い残り火が少女の腕から立ち昇る。

「嬢ちゃん――!」

 すぐさま、ランサーが氷の鞘を腕に押し当て鎮火する。
 しかし、その一瞬で気力を使い果たしてしまったのか。
 既に、レミュリンの意識は失われていた。

「…………」

 幸いにも、呼吸等の身体機能に異常は見られない。
 ただ気絶しただけのようだった。

 しかし、ランサーは安堵することなく、更に警戒を強める。
 このタイミングで、背後に気配があったからだ。
 蝗害の魔女が戻ってきたのか、あるいは新手か。
 いずれにせよ、マスターが完全に意識を失ってしまった以上、戦う選択肢を選ぶことはできない。

「―――誰だ?」

 すぐに離脱できるよう、レミュリンを抱え、跳躍の準備体制を整えながら。
 後方に槍を突きつけ、素早く振り返る。


「……その子……大丈夫ですか……?」


 はたして、そこに立っていたものは――――










「――知っての通り、魔術師の世界において『魔法』と『魔術』は明確に区別されるものだ」

「はーい! 先生! 現代文明の科学で実現不可能なものを魔法、可能なものを魔術という、ですよね?」

「その通り、どれほど荒唐無稽な経緯で為された現象であったとしても、結果が別の方法で実現出来るなら、それは魔術の域に留まる。
 例えば、指先から火を出現させる術式は魔術を知らぬ者にとって見れば奇跡だが、火を点けるという結果だけ見ればマッチ一本で叶ってしまうだろう。
 魔法とは結果を再現できない天外の理。現在のところ、魔術協会が認定している『魔法』はたったの5つのみだ」

 教卓の前に立つ、あだ名の多い長髪の教師が、もう耳にタコが出来るほど聞いた講義をしている。

「じゃあ先生、その5つって、どんな魔法なんですか?」

「残念ながら、それは公開されていないし、講義では軽々しく魔法の中身については扱わない。
 君等の家柄の中にはもしかすると、私以上に魔法に詳しい者がいるかも知れないが……。
 とにかく、私が言いたいのは、この魔法が魔術師の最終目標である根源の到達と、決して切り離せない概念であるということだ」

 教室の端で、窓際の席に座る私は黒板には目を向けず、流れ行く曇り空をぼんやり見ていた。

「魔法とは根源の渦に直結する神秘。根源への到達とは即ち魔法の実現であり、逆説的に魔法の実現とは根源への到達である」

 魔法の定義。根源の到達。
 魔術師家系の子にとっては常識中の常識、正直ってあまり傾聴に値する解説ではない。
 周囲を見ても、同じように退屈そうにしている生徒が大勢。だけど、それだけで終わらないのがこの教室の常だった。

「つまり科学が進歩するほど魔法が減っていって、結果的に根源が遠のくってことですか?」

「だからまだ質問は受け付けていないと……まあいい、良い角度の問いだ。
 確かに、文明の発展と共に魔法は減少し続けているとされる、この星が黎明期の頃、世界は魔法で溢れていたのだろうが。
 現在ではそれも5つきり。しかし根源が遠のくという視点は面白いな。
 魔法の到達においても、過去に為された過程(みち)は閉ざされるというが……」

 この時点で、既に数名の生徒が視線を正面に向け始めていた。

「あ、あの……」

 そして気の弱そうな1人の生徒がおずおずと手を上げて、

「では、その、例えば、タイムマシンが開発されたら。
 『時間旅行』が科学によって実現されてしまえば、また一つ魔法が減ってしまう、ということでしょうか?」 

 その問いを聞いた時、私もまた、まんまと視線を前に向けてしまった。

「……ふむ、君の質問は時間旅行が魔法に該当することを前提にしているね?」

「はい、えっと……違うのでしょうか?」

「いや、違うとまでは言わない。
 時間旅行――完全なる時間操作――は未だに現代文明が成し得ない奇跡だろう。
 実現できれば、それは魔法と呼ばれる可能性はある。
 しかし、単純に時間を動かすだけなら、少し微妙なところだな」 

 時間操作、その話題は、私にとって決して無視できないものだったから。

「魔法を現代文明との比較として考えたとき。
 科学によって時間操作がどの程度可能であるか、君らは知っているか?」

 科学的見地、他の教室の多くが侮り、歯牙にもかけぬ現代科学文明の強さを交えて語る教師。
 異端ながらも、それが彼の魅力の一つでもあるという。

「20世紀初頭、アルベルト・アインシュタインが提唱した相対性理論が予言する現象に、
 リップ・ヴァン・ウィンクル効果というものがある、極東の島国では『ウラシマ効果』とも呼ばれているな」

 そこで教師は、生徒の一人、赤い服がよく似合う黒髪の少女の方をちらりと見た。

「極簡単に言ってしまえば、『高速で動く物体に流れる時間は、静止する物体に流れる時間よりも遅い』という現象だ。
 現代科学の理論では、時間とは世界に存在しない概念。自然現象ではなく、人間が開発した発明品の一つと言ったほうが正しい。
 なぜなら時間の経過とはこの宇宙において平等ではなく、観測者の状況によって全く異なってしまうからだ」

 長髪の教師は、カツりと靴音を立てながら、教室内を歩き始める。

「時間は時空に包括される。
 いま我々は同じ教室、空間――つまり同じ時空で、同じ時間の流れを生きている」

 教室の中央で脚を止めた彼は、窓の向こう、霧と雲に覆われたロンドンの空を見上げた。

「しかし、この空の上、宇宙空間において高速で飛び続けるシャトルに乗った宇宙飛行士たちの時計は、我々のそれより少し遅い」 

 異なる加速度、あるいは重力下に置かれた時計は異なる時刻を指し示す。
 亜光速で飛ぶ宇宙船で、宇宙旅行に行ったパイロットが、地球に帰ってきたらとんでもない時間が経っていた。
 なんて、大昔からあるSF映画の定番だけど、この時間のズレ自体は現実に観測されている事象なのだ。

「乱暴な理屈であることは承知だが、ようするに未来に行くだけならば、『高速で移動し続ければいい』だけだ。
 それだけで『結果』が得られる」

 魔術においても、科学においても、亜光速で動き続ける技術が確立されたなんて話は未だに聞かない。
 だからこれはやはり極論だろうし、実現できたとしても、未来行きの片道切符にすぎないけれど。
 それでも、手に届きうる範囲の、時間操作には変わりない。 

「とまあ、時間についても、君らの中には私以上に専門分野がいるだろうし、恥を晒す前にこの辺りで話を切り上げようか」

 そのとき、彼が一瞬、私の方を見たのは、気のせいだろうか。 

「……随分と話が脱線してしまったが結局、私が言いたいのはこういうことだ。
 魔法の領域とは、そう簡単に到れるものではない。そして根源とは遥か遠く、人智の及ばぬ深淵の向こう。
 果てのない難題に挑むのが、君たち―――魔術師だ」





 場面が切り替わる。
 場所は教室のまま、だけど窓から落ちる光の色は白から赤へ。
 昼間あれほど沢山いた受講生達は何処かへ消え、夕暮れ時の教室には私と、時計塔のロードの2人きり。

「君の家のことは聞いている。その教育方針も。故に、私からあれこれと言えることは少ないだろう」

「お心遣いに、感謝いたします。先生」

 進路に関する面談。
 なんて言うと聞こえがいいけど。
 私について言えば、時間の無駄に他ならない。
 そんな無駄に、この人を付き合わせてしまっている事実に、申し訳なさが込み上げる。
 私の進路なんて、生まれた時から一本しかないのだから。

「貴重な時間を頂いてしまい。申し訳ありませんでした。それでは」

 だから、早々に席を立つ。
 つまらない茶番に、他人を付き合わせるわけにはいかないから。

「構わんさ。だが君こそ、いいのか?」

 なのに、彼は足早に歩き去ろうとする私の背に、声をかけてくれた。
 そのことは嬉しくもあり、悲しくもあって。

「もちろんです。私は、跡取りとして、その務めを果たしたいと思います」

 本心だ。
 この道を行くことに迷いはない。
 きっと後悔も。だけど、

「ならいい。君が心を決めているなら、やはり私に言えることはない。だが……」

 そこで彼は少し迷ったように言葉を切って。

「私には君が、常に何かを諦めているように思えてならない」

「……」

「いや、正確には諦めようと努めている、か」

 慧眼だった。
 だからこそ、私はもう、彼の目を見ることは出来なかった。

 私は、課せられた務めを果たしたい。
 この道を行くことに迷いはない。
 きっと後悔も無い。それは偽らざる本心だ。

「諦観を、君はずっと瞳に湛えているように見えた」

 だけど、その一本道が、どうしようもない破滅にしか繋がっていないとすれば。
 来たるべき日に、心残りが無いと、はたして断言できるだろうか。

「君の家の魔術については、聞きかじった程度のことしか分からないが……それでも、想像の余地はある」

 私は、彼の言葉に答えないまま、早足で出口に向かい。

「■■■■、……君は、自分の顛末(うんめい)を知っているんじゃないか?」

 逃げるように、教室から飛び出した。








 再び場面が切り替わる。
 今度は時間だけでなく、場所にも変化が訪れた。
 わたしにも馴染みのある生家の応接間、その入口の前で私は息を潜めている。

 向かい合わせのソファ、その片側に座る両親の後頭部を、私はドアの隙間からこっそり覗き見ている。
 扉に添えられた手の大きさから、この記憶が先程までのものより随分前の、うんと小さな頃のものだと分かった。

「昨日帰国したばかりだって言うのに、ごめんなさいね」

 聞こえた母の声は親しみに溢れたものだった。
 対面する人物を心から信頼しているのだと、今のわたしには分かる。

「気にしないでください。私も、スタール夫妻とは早めに話しておきたかったのです」

「もう、堅苦しいのは無しよ、オリヴィア。同じ教室で鎬を削った仲でしょう?」

「……ふふ、では、ちょっとだけ。力を抜かせていただきますね、先輩」

 対面、客人用のソファに座る人物もまた、その声音から母に親しみの念を寄せてくれているのが分かる。
 彼女が、いつか母が話していた、20年来の親友、なのだろうか。

「ミズ・アルロニカ。
 今日、貴女をお呼びしたのは他でもない。我々の研究についてだ」

 父もまた母ほどではないにせよ、彼女に一定の信を置いているのだろう。
 魔術師が他家に魔術の研究内容を語るなんて、よほど強固な関係がなければありえないことだ。

「時計塔からの通達は……もう聞いているとは思うが……」

「エミヤ家の件ですね、ついに跡取りまで亡くなられたと」

「ああ、彼は僅かに刻印を相続し、養子を迎えていたそうだが、直系でない者に相伝は成らなかったそうだ。
 ノリカタ・エミヤの研究がああいった顛末を迎えた以上、我々も改めて身の振りを考えておく必要があるだろうと思ってね」

「……あの封印指定からもう何年経ったかしら。
 理不尽なものね、根源を目指せと煽っておきながら、芽が見えれば摘みに来る。
 結局、腐敗しきった時計塔の連中は、彼の遺産をロクに扱えてもいない。
 嘆かわしい……私達の分野で最も進んでいた魔術師の成果が、これで露と消えたのよ」

 母の憤りを含んだ声、魔術師としての苛烈な一面が覗いている。
 幼い私に、彼らの口にする内容の意味は、殆ど分からなかったけど。
 この話の行き着く先に、自分が無関係でいられないことは分かっていた。

「そこはもはや今更言っても仕方ない。
 だが、ノリカタ・エミヤの成果が我々よりも先んじていたことは確かだ。
 ならば我々は、彼と同じ轍を踏むわけにはいかん」

「なるほど、それでこの節目に、同分野の私に共同研究のお声がけを頂けたと」

「そうよ、オリヴィア。エミヤの『体内時計』には及ばなくとも、貴女の『電磁時計』は傑作だった。
 そこに、私たちの『燃焼時計』の成果が合わされば、今度こそ……!」

 女性の手を取り、じっと目を見つめながら話す母は真剣な様子に見えた。
 とても大事な決断をもって、友に語りかけているのだろう。
 真摯な気持ちが伝わってくる。だけど、しばらくして、女性は緩く首を振った。

「ありがとうございます、先輩。
 ですが……この話は、お断りします」

「どうして?」

「理由は2つあります」

 女性は指を二本立て、目を伏せながら語った。

「一家のみで研究を進め続ければ、いずれ先達と同じように封印指定が下りうる。
 よって共同研究という形を取ってリスクを分散。理にかなってます。でも、私には分かってしまうんですよ」

「なにが……」

「お二人の研究にとって、私の役割なんて、もうない筈です。
 スタール夫妻、あなた方は既に道筋を見つけている。違いますか?」

「それは」

「よしんば本当の友情からなる施しだったとしても、それは必要ありません。
 私は、私に課せられた一族の使命に、私一人で、恥じることなく向かい合いたいのです」

 そのとき、女性の視線が僅かに動いた。
 一瞬、入口のドアの隙間へ、私の視線を捉えたような、そんな気がした。

「察するに、次代、というところでしょうか?」

 父も、母も、答えない。
 それは肯定と同じ意味の沈黙だった。

「娘さんの完成まで、あと何年です?」

「……十年程、十五か、十六の歳には、あれは初代(ウェルブレイシス)の域に至ると見ている」

「素晴らしいですね。
 そうですか……あの子、もう6歳になるんですか、最後にあったのは2歳の時でしたっけ?
 時間が立つのは早いものですね」

「下の子は4つよ。そういえば確か、あなたの子は……」

「うちの娘も今年で6歳になります。今日、連れてくればよかったかな。
 いつか私達の子も、私と先輩のような、いい友人になれるといいですね……」

「……もうひとつの……2つ目の理由って?」

 突然、何かを察したのか、弾かれたように顔を上げた母が、それを問う。

「ああ、それはですね」

 すると女性は、淋しげな表情で答えた。

「……時間が無いんですよ、私。
 十年どころか、あと一年も生きられないみたいでして。
 だからほら、一緒に研究なんて、できないでしょう?」

 今度の沈黙は、先ほどとは全く意味合いが違った。
 絶句した母へと、女性は朗らかに言葉を紡ぐ。

「病気なんですって。それも、手の施しようのない末期症状。
 まったく、魔術師の死に様として、実につまらないですよね」 

「どうにか……ならないの……?」

「私なりに足掻いてはみたんですよ。
 でも、どれだけ加速して時間を遅らせたところで、病の侵攻には間に合わなかった。
 実は先日、極東に渡ったのは昔の恩師に会うためでして。
 私の知る限り最も信頼できる医師であり、治癒術師なんですけど……はっきりと、言われてしまいましたね」

 低い声で、『手遅れだ、来るのが遅すぎる。この無能が』ってね、と。
 女性が少しふざけたように、その恩師のマネなのだろうか、厳しい顔つきを作りながら、そう話したとき。
 私には分かってしまった。

「あの人に言われたら、もう……どうしようもないんだなって、納得できたんです」

 この女性は、私と同じものを見ている。
 それは諦観の結末。
 どうしようもない、行き止まりの未来。

「では家督は娘さんに?」

「そのつもりです。だけど……あの子は……」

「なにか問題があるの?」

「いいえ、幸い、才には恵まれた子だと思います。
 でも、たまに迷うことがあるんです。
 あの子はきっと―――」

 深い悲しみを湛えた視線。
 向ける対象は全く別。
 だけど、発する言葉が、今の私の危惧に重なる気がした。

 そう、『あの子』はきっと、魔術師なんて―――

 ああ、だからこそ、私は―――

 私は―――

 わたしは―――?

 映像が乱れる。
 記憶の世界がカタチを崩す。
 浮かんでしまった疑問に、突如として自我が揺らぐ。

 『あの子』とは、誰。
 この記憶は、なに。
 そもそも、私は、いったい―――誰―――?







 3度目の場面転換を向かえ、いよいよ視界のノイズが無視できない。
 軋む頭を抑えながら周囲を見渡せば、そこはいつもの自室だった。
 実家の2階奥。温かなマゼンタの色で満たされた、私の部屋。

 首を数回振って、今日がいつなのかを思い出す。
 ああ、そうだ、これはきっと、最新に近い記憶。
 私にとって、人生で2番目に重要な出来事だ。

 今の私は十六歳、明日は大切な儀式の日。
 長年に渡る一族の悲願、両親の研究と私の研鑽が結実する、大事な大事な収穫の時だ。
 そんな人生の節目の前日に、私は何かを待っている。

 傍らの机に置かれた、この部屋でただ一つの時計を見る。
 それは溶けゆくロウソクの長さで時を測る、『火時計』、あるいは『燃焼時計』と呼ばれる代物だった。
 6世紀のイングランド七王国の一つ、ウェセックス国の王、アルフレッドも使用したとされる骨董品。
 灯る火の色は薄青(シアン)。私の嫌いな、蒼炎。

 この色を見る度に思い出してしまう。
 スタール家の魔術刻印を全身に刻んだ痛み。
 強烈な副作用に耐えながら、拒絶反応を無理やり抑え込む薬を飲み続けた日々。

 炎の指し示した時刻、伝えていた通りのタイミングで、部屋のドアが叩かれた。
 軽く返事をすると、おずおずと、緊張した面持ちで部屋に入ってくる少女がひとり。

「時間通りね―――レミュリン」

 そこでついに、致命的な矛盾が発生した。
 何故、どうして、私の目の前に、わたしが、いる?
 この記憶はなに? この身体はだれ? いったになにを、わたしは見ているの?

 自我がブレる。
 "私"の中に、ようやく"わたし"を認識する。
 わたしが混乱している間にも、記憶の中の"私"は話し続ける。

「お父さんとお母さんには、見つからなかった?」

 部屋の隅に置かれた鏡に映る私と、部屋に入ってきた『小さなわたし』、それはよく似た二人の少女。
 だけど、"私"の方が、"わたし"よりも、少し金髪の色素が濃い。

「うん、言われたとおり、内緒で来たよ……ジュリンお姉ちゃん」

 ここまで来れば、流石に察しの悪い"わたし"も理解できた。
 これは、姉の記憶だ。
 ジュリン・ウェルブレイシス・スタールの思い出。

 暫くの間、"私"は"わたし"と他愛もない話を続けた。
 将来のこと、両親へのちょっとした不満、クラスであった些細な事件。
 朧気だったあの頃の記憶が、少しずつ鮮明になっていく。
 そして―――

「お姉ちゃん……わたし……やっぱりお姉ちゃんと、同じ学校にいきたい……」

 ベッドに腰掛けた"私(あね)"の膝に14歳の"わたし(レミィ)"が抱きついている。
 それは姉に甘えていたいという我儘か。
 寂しがり屋がもらした弱音か。
 あるいは、心の奥底で感じていた罪悪感なのだろうか。
 まだ何も知らない"わたし"の頭を優しく撫でながら、"私"は寂しそうに言葉を紡ぐ。

「前にも言ったでしょ……やめときなさい。
 あんたは私なんか気にしないで、好きなことをやればいいの」

 ああ、その言葉は憶えている。
 だけど知らなかった。 
 あの日の、お姉ちゃんの気持ち。

「でも……わたし……」

 あの日の"わたし"が、"私"に送った言葉に。

「……お姉ちゃんみたいに……なりたいから」

「……そう」

 ―――"私(ジュリン)"は、嬉しいと思ってしまったから。

「じゃあ、そうね、明日のテストで95点以上を取ったら、お姉ちゃんが勉強してることを、少しだけ教えてあげる」

「ほんと!? 約束だよ!」

 ―――記憶を通して、"私"の思いが伝わってくる。

「ええ、約束」

 運命の日。"私"だけが予見している、破滅のとき。
 何が起こるのか、何が残るのか、それは最後までわからなかった。

 だけど、恐らく、私は残らない。
 もうすぐ私は、この子の隣にいられなくなる。
 両親はどうなるのだろうか。
 二人がいれば、レミュリンはスペアとしての資質を問われるだろう。
 私以上の苦痛に苛まれながら、強制的に魔道を歩まされる事になる。

 では、両親すら残らなければ。
 それもまた、悲惨な結末になるだろう。
 天涯孤独の身となるだけならまだしも、この子の魔術の才は、恐らく人並み以上。
 魔道の才は否応なく魔を引き寄せてしまう。
 庇護なく普通の人生を歩むのは難しいはずだ。

 私は、課せられた務めを果たしたい。
 たとえ運命が決まっていたとしても、この道を行くことに迷いはない。
 だけど、心残りが一つ、あるとすれば―――

「いい、レミィ。よく聞いて」

「なあに、お姉ちゃん」

 妹の頭を撫でていた手を、彼女の右腕に当てる。

「今から言うことは、今のあんたには意味が分からないことだろうけど。
 ただ、聞いて。そして、いつか、必要なときに、思い出して」

 私の腕が、ひとりでに燃え上がる。
 私の手を伝って、妹の腕に、蒼い炎が引火する。

「え、なに……!?」

「私の刻印を、ほんの一部だけ、あんたに移植する」

「熱い……怖いよ……お姉ちゃん……っ!」

「……今は……ぜんぶ忘れなさい、レミィ。
 あんたの為に、私も出来る限りのことはやっておく。
 でもね……結局、最後はあんたの頑張り次第だから」

 私は鏡を見つめながら、そう告げる。
 鏡面には、揺らめく蒼い炎と、寂しそうな瞳が映っている。

「叶うなら。あんたが一生、何も思い出さずに済むことを願ってる」

 "私"はもう、過去の"わたし"を見ていない。
 姉は鏡越しに、今の"わたし"にむけて話している、そう直感した。

「私にはもう、残すことしかできない。
 だから、何を選択するのも自由よ。全部、レミィが決めていい」

 記憶が、ゆっくりと燃焼していく。
 蒼い炎に包まれて、"わたし"の自我が、私の記憶から押し流される。

 まって、と声ならない声を上げても、その流れは止まらない。
 まだ聞きたいこと、知りたいことが沢山あるのに。

 あの日、本当は何があったの。
 お父さんとお母さんは何を研修していたの。
 どうしてお姉ちゃんはあの時計を持っていたの。
 お姉ちゃんは―――いったい、何を知っていたの―――?

 最後に、消えていくわたしの意識へと。
 ほんの僅かに、姉の残した言葉が届いた。

「進むべき道は自分の意思で決断しなさい。
 あんたが欲しいものは、いつだって、踏み出した先にしかないんだから。
 勇気を出して。そうすれば―――あんたはその時、一人ぼっちじゃないわ―――きっとね」





 そうして、少女は意識を取り戻す。

「……嬢ちゃん、気がついたか?」

 滲む視界には心配そうなランサーの表情。
 肩を支えてくれる腕の力強さと、頬に当たる春の風が、これが現実であると伝えてくる。

「うん、ごめんね。わたし、どれくらい寝ちゃってた?」

「ほんの数分ってところさ。立てるかい?」

「大丈夫、ありがと」

 首を傾けて周囲を見ると、未だ日は落ちていない。
 緩やかな西日が、公園の敷地に散乱した飛蝗の死骸と、草木の焦げ跡を照らしている。
 確かに、あまり時間は経っていないようだった。

 最初に、夢じゃなかったんだ、と思った。
 白黒の少女との戦い。
 あの蝗害を従えるマスターとの、生まれて初めて経験した、命のやり取り。
 そして、発現した、赤紫(マゼンタ)の炎。

「…………っ」

 不意に、ヒリつく感触がして、右の袖をまくると、何故かそこだけ、火傷痕が残っていた。
 先程のまで見ていた記憶のこともあるし、詳しく確認したいけれど。
 まず今は眼の前に、やるべきことがある。

「あの人達は?」

「君が気を失ってる間に、接触してきたマスターだ」

 正面、数メートル前方に立つ、一組の男女。
 どちらもレミュリンと年の近そうな、かつ真面目そうな、少年と少女だった。

「俺の方で少しだけ話したが、敵意は無いと主張している。
 どうやら彼らは蝗害を追っていたようでな。ここで何があったのか、情報交換をしたいそうだ」

 そして実際の交渉についてはレミュリンの意思を尊重するべく、意識の回復を待ってくれたのだろう。
 今までの彼であれば、主が知らぬ内に全部終わらせようとしたのだろうか。
 ほんの少し訪れた変化。レミュリンの言葉を受けて、従者は応えようとしてくれたのだろうか。
 そうであれば嬉しいと、少女は思う。

「どうする? まだきついなら、俺が引き続き交渉を続けるが……」

「ううん、わたしが話すよ」

 公園のベンチから立ち上がり、レミュリンは二人のマスターと向き合う。
 レミュリンにとって、他のマスターと相対するのは、これで3度目。
 しかし一度目は特異なる脱出王との邂逅。2度目は蝗害の魔女との相対であったのだから。
 正直な心境としては、他のマスターと関わることに、潜在的な恐怖心は拭えない。

「……あの……えっと」 

 本来は受け身で、姉の背中を追うばかりだった少女。
 しかし今、彼女は、過去からの言葉を思い出していた。

『進むべき道は自分の意思で決断しなさい。
 あんたが欲しいものは、いつだって―――』

 踏み出した、その先に、欲しいものがある。

「わたしは、レミュリン。
 レミュリン・ウェルブレイシス・スタール」

 隣にはいつだって、頼れるヒーローが見守ってくれている。
 彼と一緒に、答えを掴みたい。
 だから少女は、自らの意思で、新たな一歩を踏み出すことが出来たのだった。

「私は、琴峯ナシロだ」
「僕は……高乃河二」

 そうして、選択の結果が示される。

「高乃、やっぱり手当を優先しよう。この子、腕を火傷してる……」

「そうだな、戦闘があったばかりですまない。話は落ち着いてからでいい。
 君のサーヴァントと合意を取れるなら、こちらにも多少は治癒の心得がある」

 それぞれから返された返答に、レミュリンは予感した。

「ううん、わたしからも、お願いします。
 話を、させてください。生き残る為に、これからの為に」

『―――あんたはその時、一人ぼっちじゃないわ―――きっとね』

 きっと、これから何かが変わっていく。
 蝗害の魔女との戦いの中で、固めた決意。答えを掴むために伸ばした手。
 英雄(ヒーロー)の示してくれた光明に、応えられる自分で在りたいと願った。
 その決意とともに踏み出した先に、きっと、得るべきものがあると―――


「あれ、気がつかれたんですか? よかったあ……!」


 そこに、もう一つ、澄んだ声が響いた。
 二人のマスター、少年と少女の隣に現れた、もう一人。

「ランサー、この人は?」

「……ああ、彼女は、そこの少年少女よりも、少し前に現れたマスターだ。
 君の状態を見て、一旦、この場を離れていたのだが」

 たったいま、ペットボトルの水を抱え、草木の影から顔を出した人物。
 三人目のマスターは、二十代前半と見られる、スラリとした体型の女性だった。
 女性は、柔和な微笑みとともに、こう名乗った。

「はじめまして。
 わたし――蛇杖堂絵里っていいます」

 この日、決意とともに、少女は一歩を踏み出した。
 確かに、進んだ先に、掴んだものがある。
 目覚めた力、思い出した記憶、新しい出会い。
 しかし進む先では、得てして―――

「……よろしく、お願いしますね」

 新たな、試練が待っている。










【渋谷区・公園の広場/一日目・夕方】

【レミュリン・ウェルブレイシス・スタール】
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(大・治癒魔術で応急処置済)、決意
[令呪]:残り三画
[装備]:
[道具]:
[所持金]:6万円程度(5月分の生活費)
[思考・状況]
基本方針:――進む。わたしの知りたい、答えのもとへ。
0:目の前のマスター達と交流する。
1:胸を張ってランサーの隣に立てる、魔術師になりたい。
2:神父さまの言葉に従おう。
[備考]
※自分の両親と姉の仇が赤坂亜切であること、彼がマスターとして聖杯戦争に参加していることを知りました。
※ルーン魔術の加護により物理・魔術攻撃への耐久力が上がっています。
またルーンを介することで指先から魔力を弾丸として放てますが、威力はそれほど高くないです。
※炎を操る術『赤紫燈(インボルク)』を体得しました。規模や応用の詳細、またどの程度制御できるのかは後のリレーにお任せします。
※アギリ以外の〈はじまりの六人〉に関する情報をイリスから与えられました。

※右腕にスタール家の魔術刻印のごく一部が継承されています(火傷痕のような文様)。
※刻印を通して姉の記憶の一部を観ています。

【ランサー(ルー・マク・エスリン)】
[状態]:魔力消費(小)
[装備]:常勝の四秘宝・槍、ゲイ・アッサル、アラドヴァル
[道具]:緑のマント、ヒーロー風スーツ
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:英雄として、彼女の傍に立つ。
1:レミュリンをヒーローとして支える。共に戦う道を進む。
[備考]
予選期間の一ヵ月の間に、3組の主従と交戦し、いずれも傷ひとつ負わずに圧勝し撃退しています。
レミュリンは交戦があった事実そのものを知らず、気づいていません。
ライダー(ハリー・フーディーニ)から、その3組がいずれも脱落したことを知らされました。
→上記の情報はレミュリンに共有されました。

【高乃河二】
[状態]:健康
[令呪]:残り三画
[装備]:『胎息木腕』
[道具]:なし
[所持金]:それなり(故郷からの仕送りという形でそれなりの軍資金がある)
[思考・状況]
基本方針:父の仇を探す。
0:目の前の少女と交流し、蝗害の情報を得る。
1:同盟を利用し、状況の変化に介入する。
2:琴峯さんは善い人だ。善い報いがあって欲しいと思う。
3:ニシキヘビなる存在に強い関心。もしもそれが、我が父の仇ならば――
[備考]
※ロールとして『山梨からやってきた転校生』を与えられており、少なくとも琴峯ナシロとは同級生のようです。
※雪村鉄志から『赤坂亜切』、『蛇杖堂寂句』、『ホムンクルス36号』、『ノクト・サムスタンプ』並びに<一回目>に関する情報と推論を共有されています。

【ランサー(エパメイノンダス)】
[状態]:健康
[装備]:槍と盾
[道具]:革ジャン
[所持金]:なし(彼が好んだピタゴラス教団の教義では財産を私有せず共有する)
[思考・状況]
基本方針:マスターを導く。
1:同盟を利用し、状況の変化に介入する。
2:琴峯ナシロは中々度胸があって面白い。気に入った。
3:カドモスと会ってみたいなぁ!
[備考]
※カドモスの存在をなんとなく察しているようです。

【琴峯ナシロ】
[状態]:健康、照れ
[令呪]:残り三画
[装備]:『杖』(3本)、『杖(信号弾)』(1本)
[道具]:修道服、ロザリオ
[所持金]:あまり余裕はない
[思考・状況]
基本方針:教会と信者と自分を守る。
0:蝗害の情報を得たい……が、そのまえに目の前の少女の手当を優先したい。
1:信者たちを、無辜の民を守る。そのために戦う。
2:教会を応援に任せるのが心苦しい。
4:ニシキヘビ……。そんなモノが、本当にいるのか……?
[備考]
※少なくとも高乃河二とは同級生のようです。
※琴峯教会は現在、白鷺教会から派遣されたシスターに代理を任せています。
※雪村鉄志から『赤坂亜切』、『蛇杖堂寂句』、『ホムンクルス36号』、『ノクト・サムスタンプ』並びに<一回目>に関する情報と推論を共有されています。
※ナシロの両親は聖堂教会の代行者です。雪村鉄志との会話によってそれを知りました。

【アサシン(ベルゼブブ/Tachinidae)】
[状態]:健康、むかむか、歓喜
[装備]:少数の眷属
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:聖杯を手に入れ本物の蝿王様になる!
0:やったあああああああ!!!遂に眷属ゲットですよおおおおおお!!!(ズゴゴゴゴゴゴゴ)
1:ナシロさんが聖杯戦争にちょっと積極的になってくれて割とうれしい。
2:あんなチビっこ神霊には負けませんけど!蝿の王なんですけど!修行すらやぶさかじゃないですよむきーーーー!!!!
3:ナシロさん、らしくないなぁ……?
[備考]
※渋谷区の公園に残された飛蝗の死骸にスキル(産卵行動)及び宝具(Lord of the Flies)を行使しました。
 少数ですが眷属を作り出すことに成功しています。

【神寂縁】
[状態]:健康、『蛇杖堂絵里』へ変化
[令呪]:残り3画
[装備]:様々(偽る身分による)
[道具]:様々(偽る身分による)
[所持金]:潤沢
[思考・状況]
基本方針:この聖杯戦争を堪能する。
0:――さて、はじめようか。
1:楪依里朱に興味。調べて趣味に合致するようなら、飲み込む。
2:蛇杖堂寂句とは当面はゆるい協力体制をとりつつ、いつか必ず始末する。
3:蛇杖堂絵里として蝗害を追う集団に潜入し、目的を果たす(詳細は備考欄)。
[備考]
※奪った身分を演じる際、無意識のうちに、認識阻害の魔術に近い能力を行使していることが確認されました。
 とはいえ本来であれは察知も対策も困難です。

※神寂縁の化けの皮として、個人輸入代行業者、サーペントトレード有限会社社長・水池魅鳥(みずち・みどり)が追加されました。
 裏社会ではカネ次第で銃器や麻薬、魔術関連の品々などなんでも用意する調達屋として知られています。

※楪依里朱について基本的な情報(名前、顔写真、高校名、住所等)を入手しました。
 蛇杖堂寂句との間には、蛇杖堂一族に属する静寂暁美として、緊急連絡が可能なホットラインが結ばれています。

※赤坂亜切の存在を知ったため、広域指定暴力団烈帛會理事長『山本帝一』の顔を予選段階で捨てています。
 山本帝一は赤坂亜切に依頼を行ったことがあるようです。

※神寂縁の化けの皮として、マスター・蛇杖堂絵里(じゃじょうどう・えり)が追加されました。
 雪村鉄志の娘・絵里の魂を用いており、外見は雪村絵里が成人した頃の姿かたちです。
 設定:偶然〈古びた懐中時計〉を手にし、この都市に迷い込んだ非業の人。二十歳。
    幸は薄く、しかし人並みの善性を忘れない。特定の願いよりも自分と、できるだけ多くの命の生存を選ぶ。
    懐中時計により開花した魔術は……身体強化。四肢を柔軟に撓らせ、それそのものを武器として戦う。
    蛇杖堂家の子であるが、その宿命を嫌った両親により市井に逃され、そのまま育った。ぜんぶ嘘ですけど。

→蛇杖堂絵里としての立ち回り方針は以下の通り。
 ・蝗害を追う集団に潜入し楪依里朱に行き着くならそれの捕食。
 ・救済機構に行き着くならそれの破壊。
 ・更に隙があれば集団内の捕食対象(現在はレミュリン・ウェルブレイシス・スタールと琴峯ナシロ)を飲み込む。



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最終更新:2024年12月07日 05:47