◇
―――およそ1時間、時計の針を巻き戻す。
◆
b/運命論
「〈救済機構〉……デウス・エクス・マキナ、ねぇ?
その子供(キャスター)の言ってることは信頼できるのかい?」
「普通のサーヴァントじゃ知り得ない陣営の状況をやたら細かく知ってたし、ある程度信頼できると思うけど?」
合流を果たしたその主従は暗い部屋の中で向き合っていた。
「でも一番の根拠はやっぱ、この時計かな」
「ふむ……確かに、素晴らしい魔力炉だ。ペテン師が戯れに渡したにしては、あまりに規格外(オーバースペック)だな」
キャスター・オルフィレウスより永久機関を貸し与えられた天津甕星の出力、魔力総量は急激な上昇を見せている。
彼女の主たる存在、今は細身の若い女性の姿をとった〈支配の蛇〉は、戯けたように小さな拍手を送りながら、ぺろりと舌を出した。
「う~ん、仮に僕が今の君を食べようとしたとして、一飲みとはいけなくなってしまったねえ」
常にそういう尺度で私を見てたのかよと、天津甕星は嫌悪感に鳥肌を立てながら話を続ける。
「あんたの言ってた神寂祓葉の名前も出てた。ほぼ間違いなく、アレがその祓葉ってやつのサーヴァントよ」
「なるほどねぇ。いよいよ催しの全体像が見えてきた。返す返すも惜しいなあ。
あの子をもっと早く食べていれば、今頃僕の中でどんなふうに育ったのだろうね」
「あんたのキモい後悔とかどうでもいいから、私にいちいち聞かせんなっての。で、どうすんの?」
一秒でも早く不快な会合が終わるよう、自然と早口になってくる。
彼女にしてみれば、この気持ちの悪いマスターと交流している時間は短いほどいい。
先程までの、凍原の女神に追い回される体験も散々だったが、異常なる存在の身の毛もよだつ蠢きを見せられるのも、耐え難い苦痛だった。
「一旦信じて、乗ってやってもいい。僕の方で調べてた状況とも合致するしね。
僕が調べていた蝗害のマスターを追う、善き者たち。彼等は僕を探してる。
その上、彼等の中に黒幕の警戒する存在がいる。ははあ、確かに、見事に利害は一致している」
「やるってことね。なんなら今すぐ、奴らの拠点に一発ぶち込んでもいいけど」
だから、なるべく端的に話をつける。
戦うなら戦うで、余計な議論を廃し、突き進むのみ。
天津甕星はそれを望んでいた。
「いやあ、でもそれじゃあ、ちょっとつまらないだろ」
しかし蛇はニヤニヤと、整った女性の表情を邪悪に崩しながら、彼女の提案を一蹴した。
「"蝗害のマスター(楪依里朱)"と"救済機構(デウス・エクス・マキナ)"、どうせなら、どちらも喰ってみたい。
せっかく余所行きのガワも整えたんだ。使わなきゃもったいないしね」
「どういう意味?」
「会いに行くのさ、彼らにね。そして内側に滑り込んでみよう。
彼らの仲間の内に救済機構は存在し、彼らの向かう先に蝗害のマスターがあるなら。
最終的に全部、僕の胃の中に収まるってことだろう?
蛇杖堂のオーダーも、黒幕のオーダーも、綺麗に平らげてしまおうじゃないか」
面倒くさい話になってきたことを、天津甕星は予感した。
男が陰惨な外道なのは承知しているが、付き合わされる側はたまらない。
であれば彼女は男の策略の結実まで、慎ましく控えているしかないのだろうか。
想像するだけでも途方もない疲労感に襲われてくる。
しかし意外にも、蛇は事もなく言ってのけた。
「君は今まで通り、君なりの方法で動けばいいよ。
僕と一緒に連中をだまくらかすも良し。
単独で動いて、救済機構とやらの破壊に拘るもよしだ。
僕の食事の邪魔さえしなければ、"今は"、自由を味あわせてあげよう」
蛇への嫌悪感と警戒心を思えば、喜んで単独行動と行きたかったが、それを許さない場面もある。
必要であれば、蛇のサーヴァントであることを利用することも、彼女は選択肢に入れているのだから。
外道の同類に落ちようと、手段を選ぶつもりはない。今はただ進む。いつか至れなかった空を目指して。
「あっそ、じゃあ好きにするけど」
「それにしても……どいつもこいつも、滑稽だねえ。そう思うだろう?」
「はあ? なにが?」
「蛇杖堂の御老体も、祓葉ちゃんを見出した黒幕とやらも、みぃんな、僕のことを"使える"と思っているようじゃないか」
蛇は笑みを深くする。
雪村絵里の魂を熟成させて作り上げた様相が、美しき顔貌が強烈な悪意によって歪み、捻れていく。
「僕をコントロールできると、支配できると、そう思ってるんだよ。彼らはね。この僕を、だよ」
捕食した魂を舌の上で味わい、侮辱し弄ぶ外道の本領。
コレクトした人格、身体、能力、無数の可能性を手中に収めた男は尚も、貪欲に求める。
次の、獲物(かのうせい)を。
「別にいいさ。少しでも僕の正体を捉えた報酬に、オーダーには応えてあげよう。だけどね」
その様子を見て、天津甕星は改めて、確信するのだった。
「彼等は理解しているのかな。"支配"は、僕の専売特許なんだよ?」
―――こいつは、悪だ。
「僕も報酬はきっちり受け取ろう。
最後にはちゃあんと、全員、平らげてあげるとも」
―――ただ悪であることを絶対の基準とするならば、おそらくコレに比肩する存在はない。
◆
ガタ、ゴト、と。車輪の進む音が聞こえる。
硬い感触に背中を預けながら、空間の揺れと振動を感じている。
琴峯ナシロは立ちかけのシートにもたれつつ、周囲の様子を見回した。
見渡す限りの空席だった。
帰宅ラッシュの時間にはまだ早いとはいえ、都内を走る列車としてはありえないほど閑散とした有り様。
この車両の中にはナシロを含め二人しかいない。
蝗害の侵攻によって、一部に壊滅的な被害を被った世田谷区は人の動きが減る一方。
とくに北西部は一時期立入禁止に陥り、他の区へ逃れる人が急増している。
過疎化。この一ヶ月、ナシロがこうして公共交通機関を利用して移動する都度、それは表面化していた。
つい、と前に視線を動かすと、そこにはもう一人の乗客の姿。
前髪を右に流した、怜悧な表情の少年。
流石、武道を嗜んでいるだけあって、視線には敏感なのだろうか。
高乃河二の、他所に向いていたその目線が、ナシロのそれを捉える。
「どうかしたか? 琴峯さん」
「いや……別に……」
電車が発車してからずっと、なんとも言えない空気だった。
気まずいわけではない。しかし会話が発生しない。発生しても長く続かない。
別にナシロも話好きではないが、しんとした空間に長く二人きりともなると、多少は居心地の悪さを覚えてしまう。
夕飯という形式を取りながらの作戦会議を終え、三陣営同盟は動き出した。
単独で動くことになった雪村鉄志の出立を見送った後、ひとまずチームで動く事になったナシロと河二は方向性を話し合った結果。
日課であったアサシン(ベルゼブブ/Tachinidae)の修行を行い、並行して蝗害の調査を行う、という流れになったのだ。
そんな経緯で現在は、いつもより少しだけ足を伸ばし、電車に乗って移動中。
いつもの日課。教会の激務を終わらせ、残された貴重な時間を使って続けてきた修行。
夕方、人気のない場所を探し、地道に行っていた訓練も、今回は高乃河二とそのサーヴァント、エパメイノンダスという監督役の存在によって質の高いものになるだろう。
と、まあ、それはいいのだけど、
「……そうだ、高乃。おまえ、楪に会ったことってあるか?」
「……楪?」
「楪依里朱、クラスメイトだよ。さっき教会関係の知り合いの人から電話があって、少し聞かれたんだが」
「ああ、確か、いつも空いている席の人が、そんな名だった記憶がある。直接会ったことはない」
「そのくらいだよな、いや、悪い。それだけだ」
「そうか」
「ああ」
「……」
「……」
会話が続かない。
昼の『課題』に続けて、ナシロが振った学校の話題も、そろそろ品切れだった。
そもそも、と。ナシロは思う。
自分は何を気にしているのだろう。
河二が気まずそうにしている様子はない。
今も落ち着いた表情、自然体で窓の外を眺めている。
実際、ナシロが一人で気を使って空回りしているだけなのかもしれない。
先程まで6人(匹と機を含む)で食卓を囲んでいたものだから、その落差に落ち着かないのだろうか。
あるいは、本当に考えなければならないことを、答えを出さなければならないことを、決められていない。
そんな、すわりの悪さが、平時の落ち着きを失わせているのだろうか。
――両親の素性。
――その死の違和感。
――ニシキヘビ。
雪村鉄志がもたらした膨大なる情報と疑義。
中にはナシロの精神の地盤を揺るがしかねない、汎ゆる前提を崩しかねない物すらあった。
父が何かと戦っていたあの夢は、夢ではなかったのか。
父と母は、事故で亡くなったのではなかったのか。
雪村鉄志と高乃河二の家族に降り掛かった『悲劇』は、ナシロの背景と繋がるのか。
もし、何らかの大きな真実が、本当に隠されているのなら、自分は、どうしたいのか。
二騎のサーヴァントもこの場にはいない。
姿を表さないことが戦略の一つとなっているアサシンが霊体化しているのは当然として。
電車に興味津々のランサーが他の車両を見て回っているのも、静けさの大きな要因となっている。
「それにしても、人がいないな」
答えの出ない問題との対峙に疲れ。
結局口から溢れたのは雑談以下の、殆ど独り言のようなため息だった。
にもかかわらず、僅かに反応を示した河二の様子をみて、それを察する。
「高乃、おまえ、ひょっとして魔術で人払いしてるのか?」
「結界まで張ってはいないし、ほんの少し違和感を生じる程度の、非常に簡易的なものだ」
「それでも……遠ざけてはいるんだな」
「安全のためだ」
一瞬、率直に反感を覚えてしまった。
言わんとしていることは分かる。
限られた空間で、多くの他人と同居を強いられる電車内という空間。
他の乗客を追い出してでも安全を確保するのは、殺し合いに臨む者として自然な行いだ。
しかし、そのために一般の人々の生活を蔑ろにしてしまうようなら、それはナシロの望む戦い方ではない。
もやもやするが、ずれているのはナシロの方なのだろう。
それはわかっている。だから、ナシロはその不満を飲み下そうとして。
ふと思った。本当に、自分は彼の意図の全てを理解しているのだろうか。
「安全っていうのは、私達の、って意味か?」
「それもある」
「それも……ってことは、他にもあるんだな」
彼は視線を逸らした。初めて見せた、気まずげな動きが物語っていた。
つまりは、こういうこと。
自らの身の安全と、もう一つ、電車という移動し続ける鉄の塊は、内外からの攻撃に際して逃げ場がない。
戦う手段を持つマスターであれば自分の身だけなら守れるかも知れないが、巻き込まれた一般の乗客はひとたまりもないだろう。
人を遠ざけるのは、無関係な人間の安全のためにこそ。
「だったら、なんで」
そう言わないんだ、と言いかけて、ナシロは声を飲み込んだ。
それこそが彼の気づかいだったとすれば、全てしっくりくる。
同盟の中で、市井の人達を、『そういうこと』を、もっとも気にするのが誰か。
最も、魔術師の感性から離れた感覚で生きているのは誰か。
彼は分かっているのだろう。だから、彼なりに推し量って、義理立てようとしていたのだ。
しかしそれを言ってしまえば、貴女に気を使ってますよと当て擦るようなもので。
「いや、なんでもない、悪かった。ただ……さっきみたいな言い方は、やめたほうがいいぞ」
「そうだろうか?」
「ああ、よく勘違いされるだろ、おまえ」
まったく生真面目で不器用な奴ばかり集まったものだと、自分を棚に上げつつ、ナシロは思う。
思えば、あの探偵もそうだったなと。
つい先程の別れを、思い出しながら。
◆
「じゃあな、お前ら。死ぬなよ」
「それでは皆様。またお会いしましょう。同盟者として無事に再会できることを、当機は心から望んでいます」
あっさりと、しかし確かな重みの伴う言葉を残して、彼等は教会から出立した。
「貴女も、修行の成果を楽しみにしてますよ。おチビさんのアサシン」
「言われなくとも……って、あーーーーー!!?? なんかさっきより見下されてる思ったら!!
この姑息なおチビ神!! 〈自己改造〉でさり気なく身長伸ばしてやがります!!
キィーーーーーーーーーーー! レギュレーション違反! レギュレーション違反で負けですよね!?」
「のん、スキルも実力の内です。悔しかったら貴女も、その〈魔王〉やら〈無辜の怪物〉やらを駆使して――」
最後まで、わあわあとじゃれるサーヴァント達に軽くツッコミを入れながら。
鉄志は別れ際、少しだけナシロと話したいと言った。
「これ、持っとけ」
ぶっきらぼうに手渡された物は名刺と、数本のボールペンだった。
内訳は黒いペンが3本、赤いペンが1本。
私立探偵としての雪村鉄志の名刺。
意図は明確だ。分かれて行動することになっても、電話等で情報共有や合流を試みることになるだろう。
そのための連絡先が書かれてある。後で高乃河二にも共有するつもりだった。
しかし、もう一方、ボールペンの意味が分からない。
「露骨に、なにこれ? って顔すんな。"杖"つってな、俺が前職で使ってた礼装だよ。
魔力を通して先端からガンドを射出する暗器だ。
使い捨てだし、本職の魔術師が使うやつに比べりゃちんけなもんだが、威力は保証する。
直撃すれば魔術師でも気絶、本気でかませば殺しかねない。扱いには気をつけろ」
「これって元警官が拳銃を横流ししているようなものじゃないのか?」
「それはその通りすぎて反論できないんだが……」
「なぜこれを私に?」
「護身用だよ。"黒鍵"だけじゃ、対応しきれない状況もあるだろ。
あの剣を十全に扱うには、相当の訓練が必要と聞くしな。それに……」
鉄志はナシロの手元を見ながら言葉を続ける。
「投影魔術。俺も詳しくは知らねえが、可能ならレパートリーを増やしとけ。
そいつなら礼装つってもそこまで複雑な作りじゃねえ。
できなくとも、挑戦するだけでも見えてくるもんがある筈だ』
なるほど、と腑に落ちた。
彼はナシロにむけて、彼なりのアドバイスを送っているのだ。
「俺はエパメイノンダスみてえな本職の軍人じゃない。
戦争ってジャンルにおいては大した助言もできねえだろうが。
一般人上がりの魔術使いが魔術師に対抗する方法なら、俺にも一家言あってな」
尖らせろ、と彼は言った。
自らの輪郭をよく見て、鋭利な部分を見つけて、研ぎ澄ませ。
それを唯一の武器として、魔神の喉元に届かせる刃に至るまで磨くのだ。
「どうして、私にそんな話をするんだ?」
「琴峯には借りができちまったからな。返す機会があったら、それ使って呼べよ」
先の同盟が結成される際、風向きを変えたナシロの発言。
結果的に、エパメイノンダスを絆し、締結に至る大きな切っ掛けとなった言葉。
ナシロにして見れば同盟を組む前提として当たり前の話をしただけなのだが、同盟発案者の鉄志は"借り"だと認識しているようだった。
「1本だけ渡した赤色のボールペンは、公安時代の作戦中に異常発生を知らせる信号弾だ。特別製のガンドが装填されてる。
お前だけで解決出来ない状況に陥った時、電話してる余裕もないくらいの緊急事態が発生したとき。
迷わず使え。これは同盟とは関係ない、俺とお前の協定だ。一度だけ、必ず駆けつける」
鉄志の理屈は理解できた。
それでも、未だ、不可解な部分がある。
しっくりこないというか、単純に、理由に比べて手厚すぎる。
「正直、まだ少し納得できてない。
借りがあったとしても、釣り合ってない。
あんたが、私にそこまでする理由が飲み込めない」
「そうか? じゃ、こういうことに、しといてくれよ」
不意に手渡されるロザリオ。
「シスターさまの教義に感動し、心洗われたのさ」
それをつい受け止めたナシロを見ぬまま、去りゆく男は語った。
「むかし、お前と同じようなこと、言った女がいてな」
―――主は預言を残して我々を見守ってくださっているが、我々を直接お救いくださることはない。
―――なら、主に仕える私たちぐらいは人々のために頑張らないと、神を信じる甲斐ってもんが無いだろう?
「お前の言葉を聞いて、あいつが何を言いたかったのか、今になってようやく、少しだけ分かったよ」
―――神様もさ、それは悔しいんじゃないかな。
―――何とかしたくて、今も頑張ってるのかもね。だからさ、あたしたちも頑張らないと!
何のために、頑張ってきたのか。
かつての自分が、何のために戦おうと思ったのか。
それを、少しだけ、思い出せたと。
「だからこいつは、その礼だ。けどま、悪いが今更、入信は出来ねえぞ。
俺があんたらの神を、心から信じられる日はもう来ねえだろうし。
それに、俺はそこの小さな神様の、信徒第1号らしいからな」
「……それじゃあ、このロザリオは?」
「雪村美沙って女の遺品だよ。そいつは昔、教会のシスターをやっててな。
旧姓、来道美沙。聞き覚えは?」
「いいや……でも教会の親戚筋に……そういう苗字はある……でもまさか、そんな偶然」
「琴峯、お前、運命って信じるか?」
「さっきから何が言いたいんだ」
「なんで、ここに来ちまったんだろうな。って、考えた事はあるか?
実のところ、一ヶ月の間、俺はずーっとそれを考えてた」
「偶然、懐中時計を拾って――」
「そうだな、偶然。偶然による不幸な悲劇だ。偶然、変な時計を拾っちまって。
偶然、お前らと出会って、偶然、3人とも、同じような喪失を抱えてる。
これでもし、さっき言った俺の与太物語(ストーリー)が、お前らの悲劇に関わっていたとすりゃ。
いったいどんな確立を引き当てた筋書きになるのかね」
そして、高乃河二の求めに従うように、彼の仇そのものが、聖杯戦争に参加しているとすれば。
はたしてそれは、偶然の域に留められる符合なのか。
「もしも俺らが、"なにか"よってに選ばれたんだとすれば」
導かれるように、ナシロはその続きを口にする。
「理由(なにか)が、大小に関わらず、運命―――人と人との"縁(つながり)"だとすれば」
「それを辿ってった先に、この聖杯戦争の"中心"があるのかもしれねえ。
……ってのが、妄想に取り憑かれた無能探偵の、仮定に仮定を重ねまくった、荒唐無稽な推理だよ」
最後は、いつも通り、自嘲気味に草臥れた表情を浮かべ、男は教会を去っていった。
◆
ガタ、ゴト、と。車輪の進む音が聞こえる。
硬い感触に背中を預けながら、空間の揺れと振動を感じている。
高乃河二は立ちかけのシートにもたれつつ、周囲の様子を見回した。
見渡す限りの空席だった。
帰宅ラッシュの時間にはまだ早いとはいえ、都内を走る列車としてはありえないほど閑散とした有り様。
この車両の中には河二を含め二人しかいない。
理由は、蝗害侵攻による過疎化だけが理由ではなく。
ほんの少し人払いの魔術を流し、新たに乗り込む乗客が他の車両を選ぶよう誘導している。
すっ、と前に視線を動かすと、そこにはもう一人の乗客の姿。
黒髪短髪のシスター、厳格な表情で景色を眺める少女。
琴峯ナシロは河二の視線には気づかず、澄んだ瞳に茜色を映している。
しかしその目にはどこか、迷い、不安、そして僅かな動揺の揺らぎがあるように見えた。
本人は平静を維持できていると思っているようだが、対面者の機微に聡い河二には分かってしまう。
先ほど別行動となった雪村鉄志も察していたのだろう。去り際に、なにやら声を掛けていたようだった。
彼女が動揺するのも無理はない、と思う。
両親の死、乗り越えた筈の痛みに、悲劇に、もう一度、違う角度から向き合う必要に駆られている。
それがどれほどの試練であるか。
声をかけるのは憚られた。
彼女が動揺し、悩んでいる事は理解できても、その苦悩に釣り合う言葉を持ち合わせていない。
だから、せめて、余計な話で彼女の気持ちを波立たせないよう、静かに傍に立っていようと努めていたのだが。
先程から、あまり空気がよくない。
というより、ナシロの側が一方的に気を使って、ギクシャクしていた。
そして先程、人払いの魔術がバレてしまったことを切っ掛けに、少々雰囲気が悪くなりかけ。
後は互いに無言のまま、現在に至る。
河二は、電車に乗り込む少し前、道中での会話を思い出す。
夕方の道、アサシンを霊体化させる前だったのも手伝って、今より随分賑やかな空気だった。
「あ、ナシロさん、ナシロさん。そういえば私、ちょっと気になってたことがあるんですけど」
駅に向かう坂道の途中、ヤドリバエはナシロの袖をひっぱりながら声を上げた。
「あのデンシャという車の中って、どうして真下に物が落ちるのでしょう?」
「そりゃ物を落としたら真下に落ちるだろ」
「そうではなく! デンシャって常に横に移動してるじゃないですか。
だから何と言うか、普通は横に流されません? え~~~と……」
「つまりヤドリバエちゃんの言いたいことはアレか!
なぜ動き続ける箱(デンシャ)の中でジャンプしても、壁に叩きつけられないのかっていう」
「そう! そういう話です!」
エパメイノンダスのフォローを受け、ヤドリバエは身を乗り出している。
前を歩く河二は会話には直接参加しなかったものの、いつかの授業で習った理屈を思い出していた。
「ああ、そういうことか。急に子供っぽい、というか見た目相応の疑問を出してきたな。
真性悪魔の知識はあるのに、理科の授業で習うようなことは知らないのか」
「あのですねえ! 悪魔はそもそもこの世界と異なる法則下にある別世界の存在ですよ!
地球のパンピー法則なんて知るわけないじゃないですか」
「いや、だとしても、おまえは偽物だろ」
「ちなみに俺もよく分かっていないぞ!
聖杯も聖杯戦争に関連する知識以外は細かく教えてくれないからなあ。
しかし言われてみれば不可解だ、理屈が気になってきたかもしれん。コージ、お前は説明できるかい?」
自らのランサーから話の水を向けられ、河二は歩みながらも端的に答えた。
「慣性の法則……だったか。
物体は外から力を加えられない限り、静止している物体は静止状態を続け、運動している物体は等速直線運動を続ける」
「アイザック・ニュートンの運動の第1法則、とも言うな」
河二の言葉を引き継いで、ナシロが説明を始める。
「簡単に言うとだな。電車の中に乗ってる人を、電車の中から見れば、全員止まってるように見える。
けど、電車の外から見れば、常に横方向に動いて見えるだろ」
移動する電車の中で、常に物は横方向の移動を継続している。
電車の中で物を落としても、物は真下には落ちていない。
真下に落ちているように見えているだけで、実際は下方向の移動に加えて横方向の移動を継続しているのだ。
「ジャンプにしたって、電車の中だと垂直に飛んでいるように見えるけど、実際は山なりに動いてることになる。
電車も身体も、同速で横に動き続けているんだから、飛んだ時と同じ床に着地できる。
イメージできてきたか?」
「う~ん、なんとなくですけど」
「つまりだ。ジャンプした瞬間に電車がとまったら、危ねえってことで合ってるかい?」
「その通り、電車は急停止したのに身体は横移動を継続することになるから、まさしく壁にぶつかって怪我するかもな」
「馬が急に止まったとき、前につんのめる理屈も、それで説明出来るってわけか」
「あーちょっとイメージできてきました」
握り拳を手のひらの上にポンと落とし、ぺかりと納得するヤドリバエ。
しかしナシロの目は、冷ややかに細められていた。
「ふむ……戦闘訓練だけじゃなく、勉強もさせたほうがいいか……」
「え゛?」
「身体を鍛えるだけでは足りていなかったか。確かに、力をつけてもそれを扱う頭脳がないと意味がない」
「いや……その……英霊というものはですね。
座に帰るとですね、記憶がキレイさっっっっぱりと、リセットされてしまうわけでして。
あんまりお勉強とかそういうのは、意味がないかな~といいますか」
「そうなのか?」
「おっと、大丈夫だぜ、ヤドリバエちゃん。
確かに英霊の〈記憶〉は座に持ち帰ることは出来ねえが、ちゃあんと〈記録〉として座にしっかりと保管される。
学んだことが無駄になることはねえさ。良かったな! わっはははは!」
「へえ、だったら、お勉強の価値はあるな。さっそく、今日は帰ったら簡単な学力テストを解かせてみるか」
「余計なことを~~~~~~~ッ!!」
約束されたスパルタ勉強会を予見したヤドリバエの、膝から崩れ落ちる様子が印象的なやり取りだったが、
河二はそれよりも、少し間を開けてナシロが呟いた言葉が耳に残っていた。
「でも、改めて考えると不思議だな。人は自らの、『本当の速度』を絶対に自覚できないわけか」
動き続ける電車の内側では、周囲が静止して見えるように。
囲われたまま動き続けるものが、箱の内側から速さを認識することはできない。
いや誰しも、動いていること、そのものを自覚できていない。
この地上に、真の意味で静止している物体は一つもない。
地球が自転を続ける限り、何もかもが流動を強いられている。
だが、それを感じ取れる者は存在しないのだから。
「どこかに向かって運ばれているのに、流れに気づく事もできない」
それは時間の概念に似ているなと、河二は思った。
「大きな流れに乗せられているのに、その速さも、行く先も、何が待っているのかも―――」
あるいは、運命と、呼ばれるものに。
「高乃……」
河二の父親の復讐、ナシロの両親の真実、鉄志の娘の行方。
どれも大きな流れの中にあり、渦中にいる彼等は、その速度を知るすべを持たない。
「おい、高乃!」
聞こえた声に、意識を現在に戻す。
車内で正面に立つナシロの目が、真っ直ぐこちらを見ていた。
「視線どころか、呼びかけに気づかないなんて珍しい。考えごとか?」
「ああ……少しだけ」
考えていたことならば、確かにある。
「なんだよ。悩みがあるなら聞くぞ。一応、これでもシスターだからな」
言うのは少し憚れたが、この実直な少女から、正面から問われてしまったものだから。
では、話してみるか、という気になった。
「……そうか、では一つ」
「言ってみろ」
「琴峯さんは、大丈夫か?」
「はい?」
河二が気になっていたのは、結局それだった。
「雪村さんから君の両親の話を聞いて、そのあとずっと浮かない顔だ。
いつもの落ち着きが全く無い。
いや、いつもの君を語れるほど、僕が君を理解できているなんて奢りも無いが……」
なまじ人の機微に聡い分、その動揺と迷いに気づいてしまう分。
そしてそれを悟らせまいとする心まで、分かってしまうものだから。
彼女の意思を尊重して、触れずにいるべきか、立ち入るべきか。
どう接するのが適切か分からず、河二は困ってしまった。
「僕はこのとおり、気を使うのが下手な性分だ。
さっきもそれで失敗して、君を不快にさせてしまったかも知れない。
つまり……謝罪したいというか、これは言い訳にすぎないのだが……。
僕らは同盟関係だ。抱えるものがあるなら、共有できる」
最終的に何が言いたいのか、いまいち不明な言い方になったと自覚はしていた。
やはり話すのが下手くそな自分に軽く嘆息しながら、彼はナシロの答えを待つ。
対して、彼女は少しショックを受けた様子で。
「そうか……私……全然隠せてなかったんだな……」
「というより、そもそも……あんな話を聞いて平静で居られるわけがないと僕は思う。
だが君は、ずっと平静な体裁で居ようとしているものだから」
「……困るよな……そりゃ。これは私が悪い。随分気を使わせたみたいだ」
そうして、彼女は目を伏せ。
くしゃりと前髪をかき上げながら、ようやく話し始めたのだった。
その、心の内を。
「正直言って、まだ少し混乱してるし、頭が痛いよ。
ヤドリバエにツッコミ入れたり、忙しなく動くことで気を紛らわせようとしてた。
でも、静かになるとどうしても……な。考えてしまうんだ、考えたって答えが出ないことなのに」
両親が代行者だったなら、どうしてナシロには一言も告げなかったのだろう。
死後にいたっても、何も情報が無かったのだろう。
なにか事情があったのか。
それとも告げる前に逝ってしまったという、それだけのことなのか。
そして、両親の死因が、事故ではないとすれば。
もしもそこに、何らかの思惑が働いていたとすれば。
それを知ったナシロは何を思うのだろう。
どれも、確証のない予想。
鉄志の言葉を借りるなら、仮定に仮定を重ねた推理以下の妄想。
だけど考えてしまう。答えの出ない自問自答を繰り返してしまう。
それほどに、彼等は今でも、ナシロにとって大切な存在なのだから。
「……そうか」
河二は思う。
結局、彼女の本音を聞き出して。
それが正しかったとも思えない。
河二は彼女に、かける言葉を持たないから。
「一つ、聞いてもいいだろうか?」
だから、河二が本当に聞きたかったのは、この先だ。
「もし仮に、君の両親の死が、何者かに仕組まれたモノだったとして。
その仕組んだ何者かが、僕達と同じ場所にいるとしたら―――」
問答の向かう先が何につながっているのかは、誰の耳にも明らかだ。
仇、という。河二とナシロに、共通するかも知れない、一つの要素(ファクター)。
「そうだな……今はまだ、分からないよ。
両親のことだって、今の時点ではっきり分かったのは、魔術を知らない人間じゃなかったってだけだ。
何かを知って、私がどう思うかは、その時になってみないと」
少女は未だ、揺れている。
迷っている。今すぐに答えの出ない問いに、思い悩んでいる。
「それでも―――仮に、そうだったとしても―――」
だけど、今の時点でも決めている事はあった。
「高乃、私はきっと……おまえと同じ結論(けつだん)には至らない」
復讐を望みの到達点に選ぶことはない。
「いや、まだ何も分かってないくせに……断言なんて不誠実か。
そういう結論は選びたくない、っていうべきだろうな」
それを選ぶ自分には、なりたくないのだと。
少しバツが悪そうにしながらも、ナシロははっきりと言い切ったのだ。
「気を、悪くしたか……?」
間接的に、河二の決心を否定する言葉だったのかもしれない。
それでも思いを正面から伝えることが誠実だと、彼女は信じているのだろう。
少年はその心を受け止める。
「実を言うと少しだけ、良かったと。そう思った」
「どういう意味だ?」
河二は復讐を、残された者の義務だと思っているわけでは無い。
ただ彼は許せなかった。納得することが出来なかったのだ。
父の命、子に注がれた愛情、それを奪った悪意、それらに正しき応報を与えられない摂理に。
「兄さんは……復讐なんてやめろと、無意味だと、言っていたよ」
「おまえ、兄弟いたのか」
「兄さんは僕とは違う結論に至ったし。母さんだって納得していた。
だけど、悲しいとは思わない。それと同じだ」
あくまで、自らの心の在り方の問題だと理解している。
彼は自分の選んだやり方で願っている。
受け取った父からの愛に、どうか報いが有りますようにと。
だけど、愛への報い方は、なにも一つきりではない。
「君の戦う理由は、もう聞いた。僕はそれを、とても綺麗だと思う」
―――この世界は作り物で、私ら以外の住民も本物じゃないってのは、私もわかってるんだがね。
この街に生きる人たちの為。
話し合って決めた、蝗害を追うという一旦の方針も、その意向があったからだ。
―――あの人たちを見捨てちまったら、私はもう私じゃなくなっちまう。
「君の在り方には、率直に言って好意を覚える」
復讐は、必ず成し遂げる。
河二は今更、やり方を変えることなんて出来ない。
彼女のように考えることは出来ないし、同じように生きることは決して、出来ないと知っている。
だけど、自らに真似できない、その殉教の在り方を、あのとき、尊いと思ったから。
―――せいぜい、うまく使われてやるよ。
それが復讐にとって変わられるのは、少し嫌だなと、そう思ったのだ。
「僕にこのやり方しか選べなかったように、君にしか選べない方法があるのだろう。
当然のことだ。だから、君が僕と違う答えを出すことに、異議がある筈もない」
善因善果。善き行いには善き報いを。
そして善き願いには、善き結末があってほしいと思う。
たとえ己の道と、けして両立し得ない願いであったとしても。
いつか来る、彼等の分かれ道。
分断の時を理解して。
「それでも僕らは今、こうして同盟関係として肩を並べている。
聖杯戦争という舞台の上、お互いに違うことを、最後まで同じ道を歩めないことを。
全て分かったうえで、今は、できる限り支え合いたい。
所詮、僕には、話を聞くくらいのことしかできないが……」
それが、この実直な少女に返す、河二なりの誠意だった。
「そうか……つまり、ようするにおまえ、励ましてくれてるんだな」
「いや……」
「そういうことにしとけよ」
「分かった。そう、いや、そういうことに、なるのだろうか?
すまない。あまりこういうのは……慣れていない」
「そりゃもう十分に伝わったよ」
呆れたような、深いため息を一つ。
ややあって、ナシロはそっぽを向いて、小さく口にした。
「……ありがとな」
それは少女を知るものにすれば、落ち込んでいる様子よりも珍しい。
少し照れの入った仕草だった。
「ただ……やっぱり、さっきみたいな言い方は、やめたほうがいいぞ」
「そうだろうか?」
「ああ、よく勘違いさせるだろ、おまえ」
具体的にどこが駄目だったのだろう。
後学の為に詳しく聞いてみようかと、河二が言葉を発しようとして。
『取り込み中に悪い。マスター、警戒しろ』
「ナシロさん! あれ! あれ!」
エパメイノンダスからの念話。
そして突如霊体化を解いたヤドリバエの興奮した声が割り込んだ。
河二も、隣に立つナシロも、同時に気持ちを切り替える。
車窓のむこう、東の空、そこに異常が滞留していた。
新宿公園の上空に黒き軍勢が集結している。
追っていた蝗害、その本隊の位置が、期せずして目視できたのだ。
『どうする、マスター?』
エパメイノンダスはサーヴァントとして、マスターに判断を問う。
雪村鉄志からは、蝗害の本隊を見つけても、正面からぶつかるなと忠告されてはいるが。
「とにかく接近しなければ、手がかりもないだろう。行こう」
『了解だ』
こうして、彼等は丁度停車した次駅で下車し、災厄の震源地へと急行したのであった。
◆
『結果、僕達は一足遅く。公園では蝗害の本隊及びそのマスターとの接触には至らなかった。
しかし代わりに、蝗害と直接戦闘を行っていた別のランサー陣営と遭遇している』
相変わらず冷静沈着な調子の少年の声が、スマホ越しに聞こえてくる。
雪村鉄志は通話を継続しつつ、駅前の喧騒の中を歩んでいた。
「話が聞ける状態なのか?」
『マスターの少女が負傷していて、今は治療中だ。
相手のランサーの言葉が本当なら、かなり非交戦的なマスターらしい。
恐らく蝗害についての情報は多く得られる筈だ。ともすれば、新たな同盟関係を結べるかもしれない』
「そうか、ヤドリバエの仕込みは?」
『少量ながらも。公園内に未だ消えずに残っていた飛蝗の死骸に、寄生を試みているらしい』
声の奥から、アサシンの甲高い歓声が聞こえた気がした。
出立前に打ち合わせていた試みの一つが、結果を出そうとしているらしい。
「そっちの幸先は良さそうだな。こっちはまだ移動中だ」
『もう一つ。僕達の他にも、騒ぎを聞いて公園に現れたマスターがいる』
「……素性は?」
『若い女性だが、ランサー陣営と同じく、これから話す。
こちらも非交戦的なスタンスを主張している』
「分かった。また時間が出来たら共有を頼む。
とはいえお互い、仮にドンパチが始まっちまったら、電話してる暇もねえだろう。
そっちはエパメイノンダスもついてるし、状況判断については信頼してるが……」
『分かっている。僕も警戒は怠らないつもりだ』
「頼んだ。こっちも、また進展があったら連絡する」
『了解した』
端的な応答を最後に、電話が切れる。
高乃河二との通話を終えると共に、雪村は改札を抜け、沈みゆく夕日の下に踏み出した。
河二とナシロ、行動開始した二人の方では、早々に動きがあったようだ。
状況の加速は続いている。
雪村もまた、捜査を進めなければならない。
蝗害の調査を選んだ二人に対し、彼の選択肢は3つほどあった。
赤坂亜切から齎された情報と、今日までの独自調査によって得た情報。
蛇杖堂記念病院の実体確認、半グレ抗争の調査、独居老人の連続行方不明案件の洗い出し。
あるいは、それ以外の手がかりを追うか。
無数の選択肢、はたしてその内のどれが、彼の求める真実に続いているのか。
答えは未だ見えぬまま。
夜の迫る針音の舞台へ、小さな機巧の神を連れ、探偵は進んでいった。
【???/一日目・夕方】
【雪村鉄志】
[状態]:健康
[令呪]:残り三画
[装備]:『杖』
[道具]:探偵として必要な各種小道具、ノートPC
[所持金]:社会人として考えるとあまり多くはない。良い服を買って更に減った。
[思考・状況]
基本方針:ニシキヘビを追い詰める。
0:さて、なにから調べたものか。
1:今後はひとまず単独行動。ニシキヘビの調査と、状況への介入で聖杯戦争を進める。
2:同盟を利用し、状況の変化に介入する。
3:〈一回目〉の参加者とこの世界の成り立ちを調査する。
4:マキナとの連携を強化する。
5:高乃河二と琴峯ナシロの〈事件〉についても、余裕があれば調べておく。
[備考]
※赤坂亜切から、〈はじまりの六人〉の特に『蛇杖堂寂句』、『ホムンクルス36号』、『ノクト・サムスタンプ』の情報を重点的に得ています。
【アルターエゴ(デウス・エクス・マキナ)】
[状態]:健康
[装備]:スキルにより変動
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:マスターと共に聖杯戦争を戦う。
1:マスターとの連携を強化する。
2:目指す神の在り方について、スカディに返すべき答えを考える。
3:信仰というものの在り方について、琴峯ナシロを観察して学習する。
4:おとうさま……
5:必要なことは実戦で学び、経験を積む。……あい・こぴー。
[備考]
※紺色のワンピース(長袖)と諸々の私服を買ってもらいました。わーい。
【???/一日目・夕方】
【アーチャー(天津甕星)】
[状態]:健康、気疲れ(大)
[装備]:弓と矢
[道具]:永久機関・万能炉心(懐中時計型)
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:優勝を目指す。
1:当面は
神寂縁に従う。
2:〈救済機構〉なるものの排除。
[備考]
※キャスター(オルフィレウス)から永久機関を貸与されました。
・神寂祓葉及びオルフィレウスに対する反抗行動には使用できません。
・所持している限り、霊基と魔力の自動回復効果を得られます。
・祓葉のように肉体に適合させているわけではないので、あそこまでの不死性は発揮できません。
・が、全体的に出力が向上しているでしょう。
※神寂縁と共に集団に合流するか、単騎で救済機構を追跡するかは後続にお任せします。
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最終更新:2024年12月15日 01:16