【名前】
 蛇杖堂寂句 /Jajoudou Jakuku

 語呂が悪いこともあり、よく使われる愛称は「ジャック先生」。灰色のジャック。

【性別】
 男性

【年齢】
 90

【属性】
 混沌・善

【外見・性格】
 とても90歳には見えない偉丈夫。長い白髪のみが年齢相応だが、それでも50-60代に見られる。
 衰えを知らぬ身体は筋骨隆々としており、よく柔道選手やラガーマンに例えられる。
 春先でも灰色のスーツに灰色のコートを着込んでおり、遠目にはくすんだ白衣を着ているようにも見える。

 慢心してもおかしくない程の才能を持つとはいえ、自分以外の全ての者を愚か者と見做している。
 魔術師らしい傲慢さを備えた人物。

【身長・体重】
 177cm/92kg
 なお体脂肪率は低く、ほとんど筋肉からなる。

【魔術回路・特性】
 質:B 量:B
 特性:『節操のない、ありとあらゆる流儀にまたがる治癒魔術』

【魔術・異能】
 ◇治癒魔術
 洋の東西や流儀の違いを問わず、治癒魔術の類に限って、ほぼあらゆる治癒魔術の知見を持ち、実際使いこなす。
 もともと蛇杖堂の家はこれらの術や理論を収集する家であり、彼はその家が産んだ天才である。
 さらに近代科学による現代医学すらも高いレベルで習得している。
 これにより、どんな状況においても最善の治療法を選択することができる。
 ただし、その多くは準備が必要であったり、状況を選んだりするため、必ずしも常に役立つものではない。
 本人曰く、「多少は現代医学で出来ないことも出来る程度の救急箱」「呪詛の類にも効く薬箱」。

 ◇呪詛の肉腫
 前述の治癒魔術を、裏返して応用した、邪悪な攻撃魔術。
 彼が直接相手の身体を掴むことを条件として、掴まれた部位に腫瘍を発生させる。
 掴み続ければみるみる大きくなるし、振り払われればそこで腫瘍の成長は止まる。自然に消えることはない。
 この腫瘍そのものは大した悪さをしないものの、骨を置換すれば折れやすくなるし、喉を圧迫すれば窒息もする。
 何より見た目が悪い。

 腫瘍は本来そこで増えるべきではない細胞の増生である。
 本来増えるべきではない細胞をあえて治癒魔術で強化することによって、腫瘍を発生させる。
 医学知識と、それに基づく治癒魔術の精密な操作によって成される、事実上彼にしかできない攻撃手段。

 ◇偽りの霊薬(フェイクエリクサー)
 蛇杖堂の家が数百年かけて蓄積してきたささやかな奇跡の集積。あまりにも無力な偽りの奇跡。
 たった一本きりの万能薬。

 ありていに言って、今回の聖杯戦争中でたった一回だけ、彼は『致命傷すらも瞬時に癒せる傷薬』を使うことができる。
 対象は1人。同時に状態異常の類も全て回復させることができる。
 既に完全に死亡した相手には効果がない。あくまで『このままでは死に至ることが確定する傷』を治せるというだけである。
 再生産も不可能。

 蛇杖堂家の悲願を想えば、あまりにも微力な、現時点での彼らの限界点である。

 彼は前回、この貴重な奇跡の薬を、他ならぬ神寂祓葉に対して使用した。
 策を重ね、自らのサーヴァントが千載一遇の好機を見事に掴んで負わせた致命傷だったにも関わらず、自らそれを台無しにした。

【備考・設定】
 表社会と裏社会の双方で医業、傷や病の治療に関与する蛇杖堂(じゃじょうどう)家の長。

 表社会の身分としては、医師免許を所持する医師であり、都内にある民間の総合病院の名誉院長。
 医師としての現役時代には凄腕の外科医だった。
 ただし今の立場はほぼ名誉職で実務はなく、聖杯戦争に全力を注ぐことができる。
 直接、間接の協力者を広く医学界に持っており、およそ都内の病院で起きていることで把握できないことはない。

 裏社会では、魔術師の一族である蛇杖堂家の当主であり、魔術師の社会では変人の鼻つまみ者。
 根源を目指さず、ただ治癒の術で傷を治して代価を得ることを選ぶ「魔術使い」の宗家と見られている。
 実際にそのようなことを行っている分家は多い。
 時計塔や魔術協会とはほとんど接点を持たず、しかしあえて積極的な敵対もせず、独自の道を進んでいる。

 元々、世界の各地でそれぞれに治療の術を磨いていた家が、それぞれに流れて極東に辿り着いて合流したものであるらしい。
 蛇杖堂の名は戦国期から記録に残るが、その名前からはアスクレピオスとの関係も疑われている。
 江戸時代にはとある藩の藩医をつとめ、明治維新の際に主家が華族として東京に移住するのに従って蛇杖堂家も東京に移った。

 魔術師には珍しい、表社会での科学や医学も学ぶ一族。
 漢方医学を中心に、早い時期から蘭学などにも手を出し、現代では近代医学を学んでいる。
 むしろ彼らに言わせれば、「神秘の力抜きでも起きる現実を知らずして、いかに神秘を学ぶというのか」。
 ただし、魔術と医学の二刀流はあまりにも習得が難しく、分家を増やしてでも優秀な人材を求める動機ともなった。

 蛇杖堂寂句は、そんな蛇杖堂の一族の中で久しぶりに出た天才であった。
 現代医学と魔術の双方を高いレベルで修め、どちらの世界でも結果を残した異才。
 元は分家の出だったが、本家にすくい上げられ、跡継ぎに選ばれ、長となった。

 蛇杖堂の一族が密かに目指す、根源接続への願いは「全人類の死の克服」。

 そして彼は、一度目の聖杯戦争で、そんな使命すらも吹き飛ぶような、あってはならぬ存在を見てしまった。


 〈はじまりの六人〉、そのひとり。
 抱く狂気は〈畏怖〉。
 蛇杖堂寂句。サーヴァントは、蠍座の火。


【聖杯への願い】
 全人類の死の克服のために聖杯を求める――というのは一回目における彼の願い。
 もはや聖杯そのものはどうでもよい。
 一族の悲願もどうでもよい。

 神寂祓葉は、もはや地上にあってはならない存在である。
 それがそこに居るだけで、自分のような天才すら狂う。
 人の世界から遠ざける。そのためなら「なんでもする」。「なんでも捧げる」。
 順番が入れ替わってすらいるが、そのために聖杯の奇跡が使用できるのであれば、彼は迷わずそれを願うだろう。


【サーヴァントへの態度】
 あまりにも都合のいい、まさに神寂祓葉を放逐するための英霊と巡り合えたことに感謝している。

 そのため、サーヴァント自体が愚鈍で、くだらないことに興味津々でも、比較的広い心で許している。
 どうせこの世のほとんどの者は彼よりも愚かで能力がないのだ。
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最終更新:2024年08月07日 01:28