【クラス】
 ランサー

【真名】
 ギルタブリル/天蠍アンタレス

【属性】
 秩序・中立

【ステータス】
 筋力 B 耐久 B 敏捷 B 魔力 D 幸運 C 宝具 EX

【クラススキル】
対魔力:A
 事実上、現代の魔術師では、魔術で傷をつけることは出来ない。

【保有スキル】
ガイアの怪物:A
 隠匿されたスキル。
 ルーラーも含めて、通常の手段ではこのスキルの存在を感知することは出来ない。
 意図的な隠匿ではなく、あまりにも英霊にはありえないスキルであるため、認識できないと言った方が近い。
 また、このスキルが隠蔽状態にある限り、「天蠍アンタレス」の名もまた隠蔽された状態にある。
 例えば、赤とサソリという点からの連想で、サソリ座の蠍を思い出すようなことは出来ない。

 この隠蔽が解かれる条件は2つ。
 実際に彼女の毒針を身体で受けた際、および、「天蠍アンタレス」の名を耳にしたとき。
 確率で真相を直感することができる可能性があり、判定に成功すれば隠蔽は解除される。

 抑止力の使徒として具現化した存在。
 与えられた「使命」の遂行に直結する判定において、プラスのボーナスを得る。
 また構造からして人類とは異質であり、いくつかの精神攻撃を無効化する。

神性:B
 天蠍アンタレスとしては、死後に天に上げられた逸話から来る補正。
 ギルタブリルと信じる者から見れば、ティアマト由来の神への近さに見える。
 事実上、他の者の「神性」スキルとそれによる補正を相殺する効果をもつ。

傲慢の報い:B
 相手の油断と増長、傲慢さにつけこみ、その報いを与えるスキル。
 具体的には、誰が相手であってもそれぞれ一回だけ、回避や防御の判定を行わせない、必中攻撃の機会を得る。
 この攻撃は、相手が傲慢であればあるほど、増長していればしているほど、成功率が飛躍的に高まる。

 そして……自信と傲慢さは紙一重。
 武芸によって、あるいは功績によって英霊の座に上がった存在は、何かしらこの手の感情を抱いているのが常である。


【宝具】
『英雄よ天に昇れ(アステリズム・メーカー)』
ランク:EX 種別:対英雄宝具 レンジ:1 最大捕捉:1

 天蠍アンタレスの真骨頂にして、ガイアの怪物としての権能。
 相手の『存在そのもの』を過剰なまでに強化する薬毒を、その蠍の尾の先より注入する。
 望まぬ者に強要するドーピング剤。

 相手が英霊の場合、その英霊が「どれほど可能性を残しているか」によって起きる挙動が変わる。
 例えば道を極め尽くした達人が老境の姿で召喚されたのであれば、もはやそれ以上の伸びしろはほとんど残っていない。
 ゆえに注がれた力に耐えきれず、すぐに爆散する。
 反対に、俗に「リリィ」と呼ばれるような、若い頃の姿で召喚された英霊の場合、強化の恩恵が強く前面に出る。
 相手によってはむしろ強化してしまう可能性もある、結果の読みづらい宝具。
 とはいえ、毒針を刺したまま、毒液を送り込み続ければ、どこかでいつか許容量を超えて爆散に至る。

 相手が人間の場合、その者が「どれほどの可能性を秘めているか」によって起きる挙動が変わる。
 英霊にもなりうる器であったならば、英霊にも相当する力を。
 神にもなりうる器であったなら、神に匹敵する力を。
 それぞれ強制的に与え、発現させる。
 こういった器ではない者にとっては、これはただの毒である。そのまま死ぬことになる。

 そして、英霊や神に匹敵する存在が、定命のヒトとして地上にあり続けることは、世界のルールが許さない。
 そうなってしまった者は、その瞬間からすべての運命と偶然が牙をむき、必然として生命としての死に至ることになる。

 なお、この宝具の使用は義務ではなく、赤い槍をただの毒槍として振るうこともできる。
 その場合、赤い槍は、ただ激しい痛みと熱感をもたらす毒を備えた槍として機能する。

【weapon】
 赤い槍。
  先端があたかも蠍の尾の先のような形をしている。
  それに見合う毒も帯びており、宝具として使わずとも、かするだけで焼けるような痛みを与える。
 赤い甲冑。
  胴鎧、篭手、脚甲、肩当、顔を隠さない兜、いずれも金属光沢を帯びた赤一色。きわめて硬く頑丈。
 腰の後ろから生えた3対6本の虫のような長い足。
  これらは自在に動き、移動の補助に使えるほか、武器として使える鋭さを持ち、剣と打ち合えるほどの強度がある。


【人物背景】
 バビロニア神話に見られる蠍人間、ギルタブリル。
 かつてティアマトが産んだ11の魔獣の一柱であり、人の上半身、蠍の尾、鳥の足を持つとされる。
 一方で当時広く知られていた聖獣の一種でもあったようで、別の場面では男女一組のギルタブリルが神話に登場している。

 そのギルタブリルが、反英雄として少女の姿で召喚された姿。
 いかなる解釈によるものか、蠍の尾はそのような形をした毒槍として出現している。
 蠍の足は本来はハサミも含めて5対10本であり、人間の手足に加えて3本6対の足が余計に生えた姿をしている。
 これらの足や槍を駆使して、変則的な戦闘を行う、ある意味で分かりやすいランサーである。

 ……というのが表向きの話であり。
 実際そのように英霊の座を欺くことで今回の異例の召喚を果たしている。

 実際には違う。
 彼女はそれとは異なる、しかしそれよりも有名な、とある神話の蠍そのものだ。
 本来ならば、こんな所に召喚されるはずのないものだ。

 蠍座の蠍。

 英雄オリオンを刺し、それを死に至らしめた地母神(ガイア)の使い。
 オリオンが星座に上がってなお恐れ逃げ続けるモノ。
 その功績をもって天に上げられた後、天上での暴走を恐れて、射手座が常に矢を向け続ける程のモノ。

 ただしオリオンの最期についての伝承は錯綜しており。
 女神アルテミスの放った矢によって死亡した、とする説は根強く。
 実際に「英霊としてのオリオン」の実物と触れた者たちは、そちらの説が真実としか思えないような話を聞かされている。

 実在も功績も不確かな、個体名すらも記録に残らぬ、しかし、星座になるほどの、蠍。

 その正体は――ガイアの抑止力。

 知られざるガイアの怪物の一種。
 地上にあり続けるにはあまりに強すぎる存在に対して発動し、むしろさらに存在の強度を強めることで地上から放逐する猛毒。
 神に、英霊に、星座に、相手を無理やり押し上げることで、逆説的に定命種としての運命を終了させる強精(ドーピング)剤。

 実際には他にも複数の発動条件があるのかもしれないが。
 現存する神話と歴史において、事例がただひとつしか記録に残されていない、あまりにも希少なガイアの怪物である。

 オリオンの死においても、オリオンに反応して出現した『蠍』が、彼を刺して「英霊の座に上がる運命」を確定させた後。
 実際に彼に生命としての死を与えたのが、アルテミスの矢の誤射であった。
 あまりにも不幸な事故。
 しかしそれは、蠍の『毒』の前には、必然でもあったのだ。

 本来であれば英霊召喚の形で世に出てくるような存在ではない。
 どんな手を尽くしたとしても、人為的に狙って召喚することなど出来ぬ存在である。
 だが今回、ありえぬ形の二回目の聖杯戦争に対し、新世界創造の脆弱性を突いて、抑止力が変則的な形での介入を果たした。
 すなわち。

 神寂祓葉は、もはや、地上にあり続けるべき存在ではない。
 彼女自身が望むと望まざるとに関わらず、「より上の位階」に向けて放逐されるべき存在である。
 そう、この惑星が判断した。

 そのために召喚された名も無き蠍に対し、召喚者は歓喜すると同時に、便宜上の名前を与えた。
 アンタレス。
 本来それは、蠍座に光る赤い一等星の名である。


【外見・性格】
 やや小柄な少女。波打った赤い髪に、赤い瞳。そして人ならざる余計な3対6本の虫の足。
 しかし外見に反して力は強く、重装備の甲冑姿でも軽々と跳ね回ることができる。

 どんな状況でも鉄面皮で、およそ表情と呼べるものを浮かべることはない。
 怒りや恐怖といった感情も希薄で、マスターに命じられたことを淡々と行う。
 ただ感情の起伏は小さいが、知識でしか人間社会のことを知らず、好奇心旺盛。
 任務や命令を忘れるほど愚かではないが、機会があればつまらないことでも質問するし、知ろうとする。

【身長・体重】
 145cm/46kg (腰から生えた3対6本の脚を含む)

【聖杯への願い】
 なし。
 聖杯など心底どうでもよく、神寂祓葉を「刺して」「強制的に上位存在にしてしまう」ことが大事な使命である。
 ただし大事な使命であるため、慎重に確実を期して行いたい。
 ついでに、人間社会への興味も満たせれば上等。

【マスターへの態度】
 少し意地悪ではあるが、任務のためのパートナーとしては申し分ない。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2024年08月07日 01:28