CMWC NONEL COMPETITION内検索 / 「ミステリーの醍醐味」で検索した結果

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  • ミステリーの醍醐味
    CMWC NONEL COMPETITION6 ミステリーの醍醐味 作:嵩宮鈴子 「書けない。」 ため息とともに大きな声で私は嘆いた。 腕を伸ばしてのけぞると、年期の入ったリクライニングチェアは激しくきしんだ。 今日は連載原稿の〆切日だ。〆切日とは小説家にとってまさに窮地と言える。推理作家である私、愛知和夫の信用にかけて〆切に遅れるなどとは決してあってはならない状況なのだ。 「今回のスペースに穴を開けたら、次回の連載の話は頓挫するぞ。」 声ががらんとした部屋に響いた、思わず自分のわざとらしさに咳払いをしてしまった。 しばらく考えて受話器を取り上げた、とりあえずは時間稼ぎだ。 「あっ、もしもし愛知だが。ああ編集長どうも。実は今日の最終回の原稿の件だがね、こっちのメールの調子がイマイチ良くないんだよ。そう、もう書き上がってはいるんだが、データが送れそうになくて。それで...
  • 競作6 終了
    ...頼により削除 3.ミステリーの醍醐味  作:嵩宮鈴子 4.生き返った男  作:有沢翔治 5.アンハッピー・エンド 作:江沢 稽 6.あねいもうと ※作者の依頼により削除 7.仇討ち・flashback 8.已むを得ず、無題 9.午前二時四十分の亡霊 2007/12/3 会員、執筆参加者によるメール投票と「ポチッと感想」による投票により 大賞、読者賞、トリック賞が決まりました。 皆様、ご協力、ありがとうございました!
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    競作TOP ご案内 ★競作一覧★ 競作6 終了 窮地で始まるミステリ 競作5 終了 グランドホテルでミステリ 競作4 終了 実体験を元にしたミステリ 競作3 終了 地名シリーズミステリ 競作2 終了 共通の謎ミステリ 競作1 終了 書き出し統一ミステリ 電脳ミステリ作家クラブ CMWC
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  • 競作1 終了
    CMWC NONEL COMPETITION 1 書き出しは全て同じ文から始まるミステリ!  全ての作品は、以下の文章から始まります。 ここに××がなかった。 あるはずのものが、あるべき場所にないのは なんだか気持ちが悪い。  ××とは何か? そしてなぜ気持ちが悪いのか……?  それぞれから続くミステリをお楽しみ下さい。  作品リスト 番号 / 作品名 / 作者名 切断されし両手/ 富山敬 Green-eyed Monster/ ジョゼファン(塩瀬絆斗) 消えたマジシャン、残されたシルクハット/ 雨沢流那 あの部屋の秘密/ 已岬佳泰 薔薇のパズル/ 橘 音夢 福田家の疑惑/ 多田野小五郎 『人喰い館の殺人』事件/ 九竜一三 優しい雨(改稿版)/ 久遠絵理 投票は締めきりました。 各投票の結果はこちら
  • 競作4 終了
    CMWC NONEL COMPETITION 4 事実は小説よりも奇なり? 実体験を元にしたミステリに挑戦!  実際に作者自身が経験したエピソードを盛り込んだミステリです 作品公開&投票期間 2004/08/10  ~2004/08/31(23 59 59まで) 結果発表 2004/09/03 作品リスト 番号 / 作品名 / 作者名 / 原稿用紙枚数 1千切れた子供~ある霊感とその要因における『ノエシス』の解明~(塩瀬絆斗)37 2夏祭り(已岬佳泰)10 3日記(水乃 蒼)89 4時の猶予(葦野 真)70 5コールハイムの殺意(富山 敬)86 6闇の嘶き(橘 音夢)23 7見えない女(久遠絵理)46 813番テーブルのガム(雨沢流那)36 9戻り来るもの(九竜一三)43 作品公開&投票期間2004/08/10 ~2004/08/31...
  • 競作5 終了
    CMWC NONEL COMPETITION 5 名探偵、殺人犯が一同に集結!グランドホテルでミステリ! 隣の部屋は名探偵?、それとも凶悪犯なのかも!? 同じ舞台で繰り広げられる様々なミステリをお楽しみください。 作品公開・投票期間 (終了しました)  2005/11/29~2006/1/6(23 59 59まで) ルール説明 ☆共通の「グランドホテル」を舞台とすること ☆あらかじめ宿帳に登録された他作品のキャラクターを登場させること。  ※「グランドホテル」の地図、及び事前に登録された宿帳はこちら 作品リスト 番号 / 作品名 / 作者名 / 原稿用紙枚数 1木曜スペシャル!艶芸寺環のスーパーイリュージョン!今夜あなたは奇跡の目撃者!檜垣晋祐135 2アジールの守護者塩瀬絆斗95 3模範解答水乃蒼140 4ゲームの名は殺人守屋堤二171 5...
  • 競作TOP
    電脳ミステリ作家クラブ CMWC NONEL COMPETITION  ここはCMWCによる競作の作品展示ページです。CMWCでは年に一回程度、毎回異なるテーマで競作イベントを開催します。  開催期間中は、会員はもちろん、会員以外の方も出品された作品を読むことができます。また感想を書いたり、投票もできます。どうぞ、ご一緒にお楽しみ下さいませ。 ※これだけは必ずお守り下さい!※ 作品の著作権は全て作者にあります。 無断での引用・転載は、たとえ一部でも禁止します。 アイディアやプロットの盗用も厳禁です。  尚、イベント終了後の作品についても、読むことができます。ただし、作者の都合によりリンク先の変更や削除、または一部限定の公開に変更されることがあります。ご了承下さいませ。 限定公開作品について  末尾に★印が付いた作品は、登録した電ミスのメンバーで、閲...
  • 已むを得ず、無題
    CMWC NONEL COMPETITION6 已むを得ず、無題 作:塩瀬絆斗 1、Re レッドラム・マ・イ  制服に身を包んだ警官が俺を見ていた。それは疑惑以外のなにものでもなかった。 「どういうことだね?」  その手は肩口の無線機に置かれていた。  ――どういうことか? だって?  俺が知りたい。  俺は小言をバラバラと撒き散らす親を無視するみたいに目をそらした。その、開かれたドアの向こうへ。  空気が悪いのは仕方がない。部屋は半地下室だった。薄汚い打ちっぱなしのコンクリートの壁が閉塞感を煽るのだ。  俺と警官、ユウリの三人は部屋に入ったすぐのところで馬鹿みたいに立ち尽くしていた。  俺たちを呆けさせるもの。それは無残な肉塊だった。どうしようもない、それは抜け殻だった。部屋に足を踏み入れて左手前の隅、そこに男は転がっていた。まるで打ちひしがれた人間み...
  • 日記帳
    CMWC NONEL COMPETITION2 日記帳 作:現川竜北 ※注意※ 本作品は、森博嗣「幻惑の死と使途」 エラリー・クイーン「チャイナ橙の謎」 綾辻行人「黒猫館の殺人」 佐藤友也「水没ピアノ」 鮎川哲也「達也が嗤う」  についてのネタバレを含みます。 未読の方はご注意下さい。 月*日 今日から日記を書く事にした。一応本屋という生業なだけに、ただの日記ではつまらないから、ちょっと小説風にしたつもりである。 大きな地震でも起きれば窒息死。それが私の運命である。人生の最後を紙の集まりに看取られるというのもなかなか面白いかもしれない。出来れば私の大好きな推理小説に囲まれて死ねると最高だ。そんな馬鹿な妄想をしながら、私はぼんやりとレジに座っていた。私にとって一番高い山はエベレストではなく、この本の山である。これを全て踏破、ならぬ読破するには何百年かかるだろう...
  • 奇妙なクラブ
    CMWC NONEL COMPETITION 2 奇妙なクラブ 作:塩瀬絆斗 ~前編~  あ、ちょっと待って下さい。ここから先は“クラブ”の方のほうが話が分かると思うのですが……。クラブ員ではありませんよね? いえ、決して怪しい者じゃございません。おや、そのお顔は興味がおありですか? ……まあ、いいでしょう。聞くだけ聞いていって下さい。つまらない話は聞けないと思いますよ。なにしろ、全国から面白い話が集まっていますからね。ささ、どうぞ。お入りなさい。  四月の初め、私はとある店のラウンジにいた。自由に話が出来る場所だ。ここは広い部屋になっており、壁は床から一メートルくらいの高さからガラス張りになっていた。白を基調とした場所で、とても明るかった。緑も豊富で、壁際にはたくさんの観葉植物が植えられていた。それらの葉は天井から降り注ぐ光を受けてきらきらとしていた。きっ...
  • アンハッピー・エンド2
    CMWC NONEL COMPETITION6 アンハッピー・エンド(後編) 作:江沢 稽 「究」の章  病院ですべて話す、という加寿内を信じて、依頼人と私は穴にいた二人の搬送された病室の一室にいた。病院まで私はつき添いとして救急車に同乗していった。怪我人から目を離すな、という指示に従う意味でもこれは好都合だった。法螺貝の婆さんには加寿内から連絡がいったのだろう。  狭い病室のベッドにいるのは二人。私たちが穴の底にいるのを発見した男女だ。女性のほうは穴居純子。髪の長いこのキャリアウーマンを絵に描いたような利発そうな女性は、金成満の有能なブレーンの一人だという。気の弱そうな男性のほうは、やはり金成家の書生。名前は下部久というらしい。加寿内から聞かされた新しい情報はそれくらいのものだった。  気まずい空気が漂うなか、ようやく探偵が到着した。 「どうも、お二人ともお...
  • 編集のテスト
    このページは誰でも自由に編集できます。 メンバー以外でもOKのはず。一度試して下さい。 改行も自動に設定してあるため、ブログのように普通に文章が打ち込めますが、コメント欄を作る場合などは右上のプラグインボタンを押して、各パーツを入れる必要があります。 慣れるまでこれがなかなか大変かも(^。^;)。 編集履歴が残るので、誰が編集したかはわかることになっています。 以上、追記08/03/08 久遠でした。 さらに追記。 wiki構文が苦手な方は、とりあえず何か文章(作品でも可)を入れてみて下さい。 文章の最後に 「#comment(,title_msg=感想,nsize=20,size=60,vsize=5)」をコピペしたらコメント欄が作れます。「」は取り除いて下さいね。 08/03/09 久遠でした。 うーん -- 久遠 (2008-03-09 1...
  • コメントログ
    テストだよー。おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい - 久遠 2008-03-05 13 38 05 このようにレスを付けることも出来ます! - 久遠 2008-03-05 21 13 07 名前は一番後ろにくっつきますよー。 - 久遠 2008-03-07 10 26 01 このように、自由煮込めんと欄を作ることも出来ます。 -- (久遠) 2008-03-08 10 24 50 煮込めんと、って(笑)。に、コメント、の変換ミスです(笑) -- (久遠) 2008-03-08 10 25 15
  • 已むを得ず、無題3
    CMWC NONEL COMPETITION6 已むを得ず、無題 作:塩瀬絆斗 これまで推測していた《釣針の五種類》によれば、この記号の並びは「AIUE」を表しているのだ。躊躇うことはなかった。今の俺にはどんなことでもが手がかりとなっているのだから。この四つの記号は「ダイスケ」を示すに違いない。そして、この推測は先ほど考えた段階的複雑性にも合致しているように思えたのだ。四つの記号の一番最後のものは「け」であるが、「か行」は《直線形状》を除外してはじめの行である。つまり、この行に相当する記号は段階的複雑性において初期的な役割を担っているのではないか。「け」の《中心形状》は、Zの斜めの棒が上下の棒に対して垂直をとっている形になっている。他 の《中心形状》と比較すると複雑性の面では最も初期に位置しているだろう事が容易に想像できるのだ。それは「だ」にもいえることで、俺が手に入れている...
  • 13番テーブルのガム
    CMWC NONEL COMPETITION4 13番テーブルのガム 雨沢流那 【問題編】  13番カウンターの椅子にくっついていた、ガム――全ての事件は、そこから始まった。少なくとも、僕にとっては。  というか、本来的には「事件」なんて言ってしまうほどたいそうな出来事ではないかもしれない。けれど、退屈な日常を送る一般市民である僕にとってそれは、紛うことなき「事件」であり、そしてその発端は全て、13番カウンターのガムなのである。  全ての発端となる、「ガム」に関する事件――というより、出来事が起こったのは、今から二週間ばかり遡ったある日の晩である。それは、フリーター一年目の僕が、大阪ミナミはアメリカ村、三角公園のすぐそばのラーメン屋「瑞雄亭」に勤め始めた二日目のことだったので、よく覚えている。  その日は比較的忙しかった――今から思えば。というのも、当時は...
  • 陰気な日曜の前に
    作:多田野 小五郎  始まりは、今月の十九日の月曜日。それは、鉛色の雲がどんよりと垂れ下がった実に不快な夕暮れ時のことだった。  僕は、都心から離れたある小さな町の小学校に教育実習で通っていて、下宿へ帰る電車を待つ間の三十分を潰すために、いつも駅前の本屋に立ち寄っていた。  そういう規則正しい生活を送るのも、あと二週間である。自堕落が染み付いた体がやっと時間に捕らわれることに慣れてきた頃、また、自堕落に戻る。取りあえずは、これも単位を取るためには仕方ない日々だと納得していた。  本屋の外観は古臭いが、最近内装を変えたらしく、新品の什器が並ぶ明るい雰囲気の店になっている。中は思ったよりも広い。客は常時七、八人は入っていて、少々の間なら立ち読みしていても目立つことはなかった。  その日、ふと奇妙な客に、注意を奪われた。  喪服のような黒いスーツを着た男で、彼が中に入ってくる...
  • 競作3 終了
    CMWC NONEL COMPETITION 3 「都道府県名or地名+?+謎」に挑戦! クイーンの国名シリーズに対抗して?(笑)、地名シリーズに挑戦!  さてさて、どんな場所のどんな謎が飛び出すやら……  乞うご期待! 作品公開・投票期間 (終了しました)  2005/11/29~2006/1/6(23 59 59まで)  尚、クイーンの作品同様、地名の出てくる場所が舞台になっているとは限りません。また、誰もが知っている地名であれば、都道府県名以外でも可とします。 作品リスト 番号 / 作品名 / 作者名 / 原稿用紙枚数 青森毒林檎の謎(塩瀬絆斗)73 和歌山廃村の謎(檜垣晋祐)80 東京都市伝説の謎(橘 音夢)36本人依頼により削除 瀬戸内海 首なし殺人の謎(多田野小五郎)39 大阪くいだおれ男の謎(九竜一三)53 長崎ポッペンの謎(雨沢流那)34 ...
  • 13番テーブルのガム2
    CMWC NONEL COMPETITION4 13番テーブルのガム 雨沢流那 【解答編】 「――っていうか、真相を教えてくださいよ!」  僕がそういうと藪神は、ちょっと困ったように首を傾げた。 「うーん、捜査上の秘密を漏らすわけにはいかないしなぁ」  おいおい、ここまで話しといてそれかい。っつーか、元々常識はずれなんだからそこも外れてくれ! 「うーん、どうしようかなぁ……」そう言って藪神はお腹に手を当てる。「実はまだちょっと、食べたり無いんですよねぇ。でも今手持ちが無くって。ぎょうざでも食べたいんだけどなぁ。まぁ、話さずにとっとと帰って、家で何か食べようっと」  うぉい!! ってか公然と賄賂(?)を要求してるよ、コイツ!!   だが、背に腹は変えられない。僕は店長の方を見上げる。さすがに店長も、話の続きが気になるのだろう、黙って目配せした。それを受けて僕...
  • アンハッピー・エンド
    CMWC NONEL COMPETITION6 アンハッピー・エンド(前編) 作:江沢 稽  「窮」の章  窮地だ! まさかこんなことになるとは。  穴の底に取り残された。  穴居純子(あない・じゅんこ)は右脚の痛みに顔をしかめながら、どうしようと頭をかきむしった。長くてきれいな自慢の黒髪はもうぼさぼさだ。手も痛い。きっとさっきの衝撃で痛めたのだ。  この薄暗く冷たい空間にもう半日もいる。穴の底から見上げる空は能天気に青い。天窓のような丸く切り取られた空に向かい、助けを呼ぶ台詞を叫び続けているが誰も来ない。もうとっくに声は枯れてハスキーになっている。カラオケを歌いすぎたときのようにのどが熱い。熱いのはのどだけではない。折れた脚は醜いほどに腫れているし、かなり熱を持っている。買い換えたばかりの携帯電話も見事にぽっきりと折れてしまっている。  それにしても、助けを...
  • 消えたマジシャン、残されたシルクハット
    CMWC NONEL COMPETITION1 消えたマジシャン、残されたシルクハット 作:雨沢流那 (問題編)  そこにはマジシャンがいなかった。あるべきはずのモノが、あるべきはずのところにないのは、気持ち悪い。  いや、本当はそうでないのだ。気持ち悪いのはただ、誰一人として入ることも出ることも出来ないはずの部屋に、ぽつんとシルクハットだけが転がっているという事実。雪深き土地の別荘の一室、真っ赤な絨毯に立派な暖炉、それしかない部屋の真ん中に残された、シルクハット――。  けれど私には、なによりマジシャンがいないということこそが、おかしいことのように思えた。なぜならそのシルクハットが、マジシャン無しで存在することなど、今まで一度も見たこともなかったから。 「シルクハットは、マジシャンの必須アイテム。私がこれをはずすのは、眠る時と、お風呂に入る時と……お客様を驚かす...
  • 沖縄守神の謎
    CMWC NONEL COMPETITION3 沖縄守神の謎 作:野坂橋象 プロローグ シーサー  シーサー。シーサーとは沖縄の守神といわれている獅子ライオンのことである。しかし、本来は沖縄をのための守神ではなく、集落や家のためにいるものである。  そう、守神には人を守る力がある・・・・・・・・・・。 第一章 現場  「で、被害者の身元は?」 「はい。え~っと名前は虎野剛(とらのたける)。年齢は28歳。沖縄から観光の目的で来たと思われます。死因は頭部をフライパンで殴られた物と思われます。死亡推定時刻は16時から17時の間だと思われます。そのとき、容疑者はみんなアリバイがありません。」 「ふん、観光か・・・・・・。で、容疑者は?」 「あちらの宿舎にいます。みんな被害者の仲間で沖縄から観光の目的で来ました。」 「まあとりあえず。仏さんをみせてくれ。」 ...
  • 取り越し苦労
    作:奥山うゐの 今し方、私は奇妙な光景を見た。場所は全国有数の床面積を誇るA書店の二階、文庫本売り場でのことであった。そこが私の職場であった。無闇に長いレジ台の端っこにいて、精算をしたり、案内をしたり、そこから抜け出て、本棚の合い間を回り、掃除をしたり、本を片付けたりするのが仕事であった。 で、最前・・・・・・客観的に言えば、平成十*年の四月七日の午後二時頃、私がレジ台から離れ、本棚の間を回り、ある本棚の通路に来たとき、その奇妙な光景を見たのであった。奇妙さの手始めはその人物の格好であった。季節柄、花粉避けのマスクは珍しくなかったが、濃いグラサンと目深のニット帽子は他より幾分に際立っていた。男らしいことは身体の服装で知れたが、顔はついに見えなかった。 私が見たとき、その不審な人物は尋常な行動をしていた。目当ての本を探すような動き。彼がうろうろとしている辺りは、世界名作の一角...
  • 千切れた子供
    CMWC NONEL COMPETITION4 千切れた子供 ~ある霊感とその要因における 『ノエシス』の解明~ 塩瀬絆斗 0、千切れた子供  よく覚えている。といってどこまでも細かく覚えているのではない。小学二年生の終わり頃だった。  校舎の二階の廊下は濃い紫色をしていた。中央にはオレンジ色の破線が走っている。踊り場からは直角に二つの廊下が出ていて、他にトイレ、階段、特別教室への入り口が面していた。  そこを通りかかった。  何をしようとしてどこに行こうとしていたのか分からない。放課後だった。しかし、それにしては人気がなさ過ぎたような気がする。廊下はしーんと静まり返っていた。もしかすると、放課後はいつもああだったのかもしれない。一緒にいたのは岡嶋孝太と響隆法<ひびきりゅうほう>だった。  最初に「それ」を見つけたのは僕だった。何かが視界の隅でちらち...
  • 岩手河童伝説の謎
    CMWC NONEL COMPETITION3 岩手河童伝説の謎 作:現川竜北 自分の地元、岩手県をテーマにしたものです。岩手といってすぐに思いつくものがこの「河童」でした。拙いものですが、宜しければお読み下さい。  茶柱が立った。  ゲンを担ぐほうではないが、机の上に置いたお茶を眺めると三角は気分が良くなった。ビジネスホテルに泊まるのも久し振りである。ぐるっと部屋を見渡してみても昔に比べれば格段に設備が良くなっている。三角が駆け出しの記者だったころに泊まったビジネスホテルはとても狭く、ベッドが部屋の3/1を占領しているようなものだった。その分安かったのだが。それに比べればこれなど普通のホテルと大した差はないように思える。値段は少々高めだが、非常に快適である。  岩手県遠野市に派遣が決まったのはつい先日のことだった。  狭いデスクに精一杯資料を広げながら原稿を書...
  • 生き返った男
    CMWC NONEL COMPETITION6 生き返った男 作:有沢翔治      一  居酒屋「鴎」のカウンター席で馴染みの客が楽しそうに話している。わたしは後ろを振り向いた。別にうるさかったわけじゃない。わたしが見たかったのはその奥にあるトイレなのである。明かりはまだついていた。いつもならここの店のおばさん、新井三重子に言って隣のコンビニまで駆けていくのだが……。  よりによって今日は合コンである。しかもタイプの男が目の前にいるのだ。名前は森田俊章といって、温厚な顔つきをしている。少しぽっちゃりしているのが珠に瑕だが、誰でも少しぐらいの欠点があるだろう。女らしく見せようと我慢して嫌いなスカートをはいてきた甲斐があった。  しかしそのせいでトイレに行きにくくなってしまったのも確かである。漏らしちゃったらどうしよう、と真剣に悩んでいると、 「あれ? 浅香先輩。飲み物空...
  • 已むを得ず、無題2
    CMWC NONEL COMPETITION6 已むを得ず、無題 作:塩瀬絆斗 3、デコード≒ブリタニカコピー  見れば見るほど奇妙な記号群だった。蛇の男は丁寧にも俺に上下の向きを示したと見える。わざわざ自分の目の前で紙を半回転させて俺に手渡したのだ。記号は釣り針のような鉤型が多く見受けられた。俺はこれを《釣針暗号》と名づけることにした。  いや、しかしなによりの優先事項はこの部屋から脱出することだ。  俺は暗号の紙をポケットへ仕舞うとドアを叩いた。もしかしたら外には誰もいないのではないかという希望が少しだけ――まさしく針の先端ほどだけあった。 「出してくれ」 「黙れ!」  向こう側からドアが蹴られ、大きな音がした。 「頼む。彼女が待っているんだ」 「静かにしてろ。……分かってくれ。お前を逃がすわけにはいかないんだ」  意外な言葉だった。何か押し殺したよ...
  • 午前二時四十分の亡霊
    CMWC NONEL COMPETITION6 午前二時四十分の亡霊 作:橘 音夢  その日はうだるような暑さで畑の草も伸び放題になっていた。祖母の家の座敷に座わらされ、何をしていいのか判らないまま庭の横にある小さな野菜畑をぼんやりと眺めていると、畑の中に誰かがいるのが見えた。祖母だ。いつものように鎌を右手に茄子の枝に手をかけていた。突然、祖母は両手で胸を押さえるようにして苦しそうに顔を歪めた。手から鎌が離れ、祖母の体がゆっくりと倒れて野菜の海に呑み込まれていく。幼心にも、それが普通でないことは判ったのだろう。  四歳の私は傍らに座っていた母の手を引きながら、「お祖母ちゃんが倒れた! お祖母ちゃんが倒れた! 早く助けてあげて!」と喚き散らした。だが、母は私が何を言ってるのか判らなかったらしい。 「何を言ってるの? 静かにしなさい。お祖母ちゃんはあそこよ」  困ったような...
  • 青森毒林檎の謎
    CMWC NONEL COMPETITION3 青森毒林檎の謎 作:塩瀬絆斗 ~前編~ (1)   まず言っておかなければならないのは、私はなにも崇高な(?)青森県民の方々に対しても、また美しい宝石のような果実の林檎に対しても如何なる恨みすら持っていないということである。何しろ事情が事情であるから、このような、ある人が見れば誹謗だ、中傷だと叫ばれても仕方のない題名を付けなければならなかったのである(これを読んでいる諸君にはこの言葉の意味がよくお分かりだろう)。しかし、この事情というのを差し置いても、今回私がここに紹介する事件において、この林檎というものがとても重要な役割を担っているのである。そしてこの事件というのが、とても不可解で、尚且つ(これは重大なことであるが)悲劇的な物語なのである。私は未だに多くのことを考えさせるこの事件に対し、ある種の敬意を表してもいる。更に...
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