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「え……ええっ!? どうして!? 南が!? 俺の裸!?」
まさかそんなことを言われるとは思っていなかった藤岡は狼狽して、声を上ずらせた。
「私はお前に全裸を見られたんだ! だからお前は私に全裸を見られる! これで平等だ!」
「そ、そんな……」
「そんなもこんなもない! 本当なら乙女の神聖なる裸と野郎の裸じゃ釣り合いなんて取れないところを、特別にそれで許してやるって言っているんだ!
このカナ様の女神の如きご慈悲に感謝して、素直に脱げぃ!」
カナはまるでタミフルを飲用して発狂したかのように声を荒げ、藤岡を捲くし立てた。
藤岡としてはたまったもんじゃない。これなら風呂覗きの変態と罵られて、黄金の右でもお見舞いされた方がマシだった。
「み……南、それはちょっと……マズイって言うか……。それに男の裸なんて見ても楽しくないよ!?」
放っておけば今にも飛び掛ってきて、己の浴衣を剥ぎそうな勢いのカナを何とか諌めんとする。
と、言うのも藤岡君、今脱がされたらとってもヤバイ。いや、今じゃなくても女子の前で脱ぐのはヤバイのだが。
なぜなら今は藤岡君の息子がいきり立ったままなのだ。
そりゃ、想い人の裸をみて、すぐに息子の屹立が収まるなんてことはないわけで。
寧ろ、過去に類を見ないほど、痛いぐらいにカチンコチンになってしまっているわけで。
「……藤岡は私のを見て楽しかったのか?」
と、突然カナは尋ねた。
「いや……それは……」
正直、全く嬉しくなんてなかったといえば嘘になる。股間の様子が、それを証明している。
「じゃあ、楽しくなかった?」
「いや……そんなことも……」
「……っ!! とにかく脱げ~っ!!!」
ついにカナは飛び掛って、もつれて仰向けに倒れた藤岡の浴衣に手をかけ、無理やりに引っ張る。
まさかそんなことを言われるとは思っていなかった藤岡は狼狽して、声を上ずらせた。
「私はお前に全裸を見られたんだ! だからお前は私に全裸を見られる! これで平等だ!」
「そ、そんな……」
「そんなもこんなもない! 本当なら乙女の神聖なる裸と野郎の裸じゃ釣り合いなんて取れないところを、特別にそれで許してやるって言っているんだ!
このカナ様の女神の如きご慈悲に感謝して、素直に脱げぃ!」
カナはまるでタミフルを飲用して発狂したかのように声を荒げ、藤岡を捲くし立てた。
藤岡としてはたまったもんじゃない。これなら風呂覗きの変態と罵られて、黄金の右でもお見舞いされた方がマシだった。
「み……南、それはちょっと……マズイって言うか……。それに男の裸なんて見ても楽しくないよ!?」
放っておけば今にも飛び掛ってきて、己の浴衣を剥ぎそうな勢いのカナを何とか諌めんとする。
と、言うのも藤岡君、今脱がされたらとってもヤバイ。いや、今じゃなくても女子の前で脱ぐのはヤバイのだが。
なぜなら今は藤岡君の息子がいきり立ったままなのだ。
そりゃ、想い人の裸をみて、すぐに息子の屹立が収まるなんてことはないわけで。
寧ろ、過去に類を見ないほど、痛いぐらいにカチンコチンになってしまっているわけで。
「……藤岡は私のを見て楽しかったのか?」
と、突然カナは尋ねた。
「いや……それは……」
正直、全く嬉しくなんてなかったといえば嘘になる。股間の様子が、それを証明している。
「じゃあ、楽しくなかった?」
「いや……そんなことも……」
「……っ!! とにかく脱げ~っ!!!」
ついにカナは飛び掛って、もつれて仰向けに倒れた藤岡の浴衣に手をかけ、無理やりに引っ張る。
これでも一応は運動神経に秀でる男子たる藤岡ならば、そんなカナを力任せに引き剥がすことも可能だった。
しかし、吐息が掛からんほどに近付く顔、肌に触れる洗い立ての長い黒髪のくすぐったい感触、
そして何よりも密着した柔らかい身体の感触は藤岡から抵抗する力という力を奪ってしまった。
「ちょ……南、危ないって……」
「お前が脱がないなら私が脱がすぞぅ!」
押し付けられる柔らかい感触、今までで一番近くで聞くかもしれない吐息混じりの声、そしてモゾモゾと己の身体に這い蹲る細い指の感触――それらに蹂躙され、藤岡は……とうとうキレた。
「さあ潔く脱げ……って、わっ!!」
カナは突然力任せに己の身体が押し返されるのを感じた。
そして目の前には半身を起き上がらせ、俯く藤岡。髪で隠れ、その表情はカナからは窺えない。
「南は……」
藤岡の手がカナの両肩を掴んだ。
「南は……何もわかってない」
「ぇ……ふじ……おか?」
いきなりの豹変振りに驚いたカナは身体を硬直させた。
さっきまでうろたえて声を上ずらせていたはずの藤岡が、今では重苦しいトーンで自分に語りかける。
「俺が……南の裸を見て、どんな気持ちになったか。そして俺が今どんな状態になっているか。南はわかっていないよ」
「ちょっと……お前、どうしたんだ?」
カナが目を丸くして尋ねても、藤岡は問いかけに反応する素振りすら見せない。
「わかった、南の言うとおりにする。 取るよ――『責任』を」
すると藤岡は立ち上がり、己の浴衣に手をかけた。
しかし、吐息が掛からんほどに近付く顔、肌に触れる洗い立ての長い黒髪のくすぐったい感触、
そして何よりも密着した柔らかい身体の感触は藤岡から抵抗する力という力を奪ってしまった。
「ちょ……南、危ないって……」
「お前が脱がないなら私が脱がすぞぅ!」
押し付けられる柔らかい感触、今までで一番近くで聞くかもしれない吐息混じりの声、そしてモゾモゾと己の身体に這い蹲る細い指の感触――それらに蹂躙され、藤岡は……とうとうキレた。
「さあ潔く脱げ……って、わっ!!」
カナは突然力任せに己の身体が押し返されるのを感じた。
そして目の前には半身を起き上がらせ、俯く藤岡。髪で隠れ、その表情はカナからは窺えない。
「南は……」
藤岡の手がカナの両肩を掴んだ。
「南は……何もわかってない」
「ぇ……ふじ……おか?」
いきなりの豹変振りに驚いたカナは身体を硬直させた。
さっきまでうろたえて声を上ずらせていたはずの藤岡が、今では重苦しいトーンで自分に語りかける。
「俺が……南の裸を見て、どんな気持ちになったか。そして俺が今どんな状態になっているか。南はわかっていないよ」
「ちょっと……お前、どうしたんだ?」
カナが目を丸くして尋ねても、藤岡は問いかけに反応する素振りすら見せない。
「わかった、南の言うとおりにする。 取るよ――『責任』を」
すると藤岡は立ち上がり、己の浴衣に手をかけた。
「ぇ……ちょっと……こ、これは……」
カナはその『信じられないモノ』を見ると、即座に恥ずかしそうに目を伏せた。
「そんな汚いものを見るように目を逸らさないでよ。見たいって言ったのは南のほうでしょ?」
藤岡の声はまるで人格が入れ替わったかのように冷たかった。
「そうは言ったけど……まさかこんな……」
「これでわかったかな? 俺が南の裸を見てどう思ったか。そしてどうなったか」
無論、カナが目にしたのははち切れんばかりに膨張してしまった藤岡の息子だ。
「どうしてお前、こんなにしてるんだ……?」
「『どうして』だって? 南もおかしなことを聞くね。大好きな女の子のあんな姿を見て、こうならない男はいないよ」
「大好きって……」
今度こそカナはまともに前を、藤岡の顔を見れなくなった。
過去に告白じみたラブレターをもらったこともあったが、今は状況が全然違う。
己の局部を晒しての愛の告白だなんて異常な状況、まともに受け入れられる方がどうかしている。
「さっき南はこう聞いたよね。『私の裸を見て楽しくなかったのか』って。愚問だよ、あれは」
「あれはそういうつもりで聞いたんじゃなくて……」
形勢逆転。先程まで散々カナに攻め立てられていたはずの藤岡は、何のスイッチが入ったのか、カナをこれでもかと追い詰める。
「いいよ。俺だって男だ。一度責任を取ると言った以上、南が納得するなら何だってするよ――」
「…………」
「南がきっと俺なんかに裸を見られて恥ずかしかったって言うなら、それ以上の恥辱を俺に与えてくれてもいい――」
「…………」
「何なら……男がこういうときに、好きな女の子に対して抱いた劣情をどう慰めるのか、南の目の前で実践してみせようか――」
カナはその『信じられないモノ』を見ると、即座に恥ずかしそうに目を伏せた。
「そんな汚いものを見るように目を逸らさないでよ。見たいって言ったのは南のほうでしょ?」
藤岡の声はまるで人格が入れ替わったかのように冷たかった。
「そうは言ったけど……まさかこんな……」
「これでわかったかな? 俺が南の裸を見てどう思ったか。そしてどうなったか」
無論、カナが目にしたのははち切れんばかりに膨張してしまった藤岡の息子だ。
「どうしてお前、こんなにしてるんだ……?」
「『どうして』だって? 南もおかしなことを聞くね。大好きな女の子のあんな姿を見て、こうならない男はいないよ」
「大好きって……」
今度こそカナはまともに前を、藤岡の顔を見れなくなった。
過去に告白じみたラブレターをもらったこともあったが、今は状況が全然違う。
己の局部を晒しての愛の告白だなんて異常な状況、まともに受け入れられる方がどうかしている。
「さっき南はこう聞いたよね。『私の裸を見て楽しくなかったのか』って。愚問だよ、あれは」
「あれはそういうつもりで聞いたんじゃなくて……」
形勢逆転。先程まで散々カナに攻め立てられていたはずの藤岡は、何のスイッチが入ったのか、カナをこれでもかと追い詰める。
「いいよ。俺だって男だ。一度責任を取ると言った以上、南が納得するなら何だってするよ――」
「…………」
「南がきっと俺なんかに裸を見られて恥ずかしかったって言うなら、それ以上の恥辱を俺に与えてくれてもいい――」
「…………」
「何なら……男がこういうときに、好きな女の子に対して抱いた劣情をどう慰めるのか、南の目の前で実践してみせようか――」
カナの進退ここに窮まる。藤岡のあと一押しで、陥落――そう思われた時、
「――の……」
カナが小さく何かを呟いたのを藤岡は聞いた。
「?」
「――もの……」
「南、何か言ったかい?」
「こ の バ カ モ ノ ー ッ ! ! 」
「ッ!」
何と、カナは旅館中に響き渡りそうな大声を上げると、立ち上がって黄金の右ローキックを放った。
浴衣が翻り、健康的な太股を晒しながら、キックは美しい弧を描いて藤岡の脚を捉えた。
そして危なかった藤岡。
もし、下手にキックをかわしていようものなら、脚でなく剥き出しのいきり立った息子にキックが命中するところだった。
的確に軸足を捉えられた藤岡は、普通なら女子のキック如きでダメージを受けることもないはずが、余りの驚きで尻餅をついて倒れこんでしまった。
そして興奮したようにハアハアと肩で息をして、目を血走らせているカナ。
その様子を見て、藤岡はさっきまでの鬼畜的別人格はどこへやら、急に波が引くように冷静になった。
(な、何てことを言ってしまったんだ……俺は……!!)
後悔してももう遅い。カナは見るからに怒っているではないか。
(もう駄目だ。俺は喜んで自分のチ○コを晒す変態……。南に嫌われた……)
と、立ち上がったカナが平手打ちの体勢で右手を振り上げた。
「……ッ!!」
藤岡は目を瞑り、来るべき衝撃に身を硬くし、備えた。
が、一向にその平手が振り下ろされる気配はない。
不審に思っておそるおそる目を開けると――そこには何と、ポストのように顔を赤くしたカナがいた。
そして、カナは振り上げた右手をゆっくりと下ろすと、まるで腰から下が液状化してしまったかのように、
ペタリと床に座り込んでしまった。
「――の……」
カナが小さく何かを呟いたのを藤岡は聞いた。
「?」
「――もの……」
「南、何か言ったかい?」
「こ の バ カ モ ノ ー ッ ! ! 」
「ッ!」
何と、カナは旅館中に響き渡りそうな大声を上げると、立ち上がって黄金の右ローキックを放った。
浴衣が翻り、健康的な太股を晒しながら、キックは美しい弧を描いて藤岡の脚を捉えた。
そして危なかった藤岡。
もし、下手にキックをかわしていようものなら、脚でなく剥き出しのいきり立った息子にキックが命中するところだった。
的確に軸足を捉えられた藤岡は、普通なら女子のキック如きでダメージを受けることもないはずが、余りの驚きで尻餅をついて倒れこんでしまった。
そして興奮したようにハアハアと肩で息をして、目を血走らせているカナ。
その様子を見て、藤岡はさっきまでの鬼畜的別人格はどこへやら、急に波が引くように冷静になった。
(な、何てことを言ってしまったんだ……俺は……!!)
後悔してももう遅い。カナは見るからに怒っているではないか。
(もう駄目だ。俺は喜んで自分のチ○コを晒す変態……。南に嫌われた……)
と、立ち上がったカナが平手打ちの体勢で右手を振り上げた。
「……ッ!!」
藤岡は目を瞑り、来るべき衝撃に身を硬くし、備えた。
が、一向にその平手が振り下ろされる気配はない。
不審に思っておそるおそる目を開けると――そこには何と、ポストのように顔を赤くしたカナがいた。
そして、カナは振り上げた右手をゆっくりと下ろすと、まるで腰から下が液状化してしまったかのように、
ペタリと床に座り込んでしまった。
「えーと……南?」
「…………」
「その、俺、どうかしてた。ゴメン」
俯く真っ赤なポストに、冷静さを取り戻した藤岡は、慌てて浴衣で己の股間を隠し、言葉少なに謝罪を口にした。
「でも俺が南のことを好きだっていうのは決して嘘じゃないし、南のあんな姿をみてこんなにしちゃったのも事実なんだ。
きっと……幻滅されたと思うけど……やっぱり自分の気持ちには嘘がつけなかった。……ゴメンよ」
「…………」
懸命に言葉ばをつむいでも何も返ってこない。今のカナに、もう何を言っても無駄かもしれない。そう思った藤岡は、
「……部屋に戻るね」
そう言い残し、立ち去ろうとした。すると、
「藤岡の方だよ……」
黙りこくっていたはずのカナが意を決したように口を開いた。
「わかっていないのは……藤岡の方だよ」
「え……?」
「私がお前にあんな姿を見られて……どんな気持ちになったか。わかっていないのは藤岡の方だよ」
カナの顔は、もう茹で上がってしまいそうだ。
「…………」
「その、俺、どうかしてた。ゴメン」
俯く真っ赤なポストに、冷静さを取り戻した藤岡は、慌てて浴衣で己の股間を隠し、言葉少なに謝罪を口にした。
「でも俺が南のことを好きだっていうのは決して嘘じゃないし、南のあんな姿をみてこんなにしちゃったのも事実なんだ。
きっと……幻滅されたと思うけど……やっぱり自分の気持ちには嘘がつけなかった。……ゴメンよ」
「…………」
懸命に言葉ばをつむいでも何も返ってこない。今のカナに、もう何を言っても無駄かもしれない。そう思った藤岡は、
「……部屋に戻るね」
そう言い残し、立ち去ろうとした。すると、
「藤岡の方だよ……」
黙りこくっていたはずのカナが意を決したように口を開いた。
「わかっていないのは……藤岡の方だよ」
「え……?」
「私がお前にあんな姿を見られて……どんな気持ちになったか。わかっていないのは藤岡の方だよ」
カナの顔は、もう茹で上がってしまいそうだ。
「南……」
「恥ずかしくて……とにかく恥ずかしくて……もうこのまま温泉に住んじゃおうかと思ったくらいだよ」
「そうだったんだ……」
「でも……何ていうか、不思議と嫌な気分はしなくて……寧ろ身体の芯の方がこう、何か熱くなってくるような気がして……、何がなんだかわからなくなって、風呂を出て部屋に戻っても居てもたってもいられなくなって……、 気付いたらここにいた……。
そんな私の気持ちをわかっていないのは藤岡の方だよ」
ぽつぽつと隠していたはずの本心を吐露するカナに対し、藤岡は己を恥じた。
どうして自分だけが耐え難い気まずさと戸惑いを抱え込んだなんて思っていたのだろう? それはカナの方も同じだったのだ。
事故とはいえあんな状況に遭遇して、どう自分の気持ちを処理していいかわからなくなって、悶々としていたのはカナも同じだったのだ。
そして藤岡は目の前で小さくなって、座り込み、顔を茹蛸のように赤くして、搾り出すように己の心情を吐露するカナが、普段は誰よりも活発で、休むことなんて知らないと思うくらいに暴れまわって、台風の目のように周囲を巻き込む元気なカナが、自分という異性に己の裸体を見られたことによって、ここまで動揺し、壊れそうになっているカナが、本当にもうたまらなくどうしようもないくらいに愛おしくなってしまった。
そして気付いた時には、目の前のカナを力いっぱいに抱きしめてしまっていた。
「恥ずかしくて……とにかく恥ずかしくて……もうこのまま温泉に住んじゃおうかと思ったくらいだよ」
「そうだったんだ……」
「でも……何ていうか、不思議と嫌な気分はしなくて……寧ろ身体の芯の方がこう、何か熱くなってくるような気がして……、何がなんだかわからなくなって、風呂を出て部屋に戻っても居てもたってもいられなくなって……、 気付いたらここにいた……。
そんな私の気持ちをわかっていないのは藤岡の方だよ」
ぽつぽつと隠していたはずの本心を吐露するカナに対し、藤岡は己を恥じた。
どうして自分だけが耐え難い気まずさと戸惑いを抱え込んだなんて思っていたのだろう? それはカナの方も同じだったのだ。
事故とはいえあんな状況に遭遇して、どう自分の気持ちを処理していいかわからなくなって、悶々としていたのはカナも同じだったのだ。
そして藤岡は目の前で小さくなって、座り込み、顔を茹蛸のように赤くして、搾り出すように己の心情を吐露するカナが、普段は誰よりも活発で、休むことなんて知らないと思うくらいに暴れまわって、台風の目のように周囲を巻き込む元気なカナが、自分という異性に己の裸体を見られたことによって、ここまで動揺し、壊れそうになっているカナが、本当にもうたまらなくどうしようもないくらいに愛おしくなってしまった。
そして気付いた時には、目の前のカナを力いっぱいに抱きしめてしまっていた。
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