「じゃあ、帰るのは明日の夜になるから。夕飯のことは大丈夫よね。
ご飯とお味噌汁は作らなきゃいけないけど・・・。チアキもカナを手伝ってあげてね」
「大丈夫です、ハルカ姉さま。安心して行って来てください」
ハルカ姉さまがバレー部の助っ人として、遠征試合にでることが決まったのは一昨日のことだ。
なんでも選手の一人が急な怪我になったらしい。
どうしても落とせない試合だからということで、速水先輩に電話でずっと説得されていたのだ。
「大丈夫だよ、ハルカ。私がちゃんと面倒見るから」
「なんだよ、急に保護者面するなよ」
「まあ、喧嘩しちゃだめよ」
ご飯とお味噌汁は作らなきゃいけないけど・・・。チアキもカナを手伝ってあげてね」
「大丈夫です、ハルカ姉さま。安心して行って来てください」
ハルカ姉さまがバレー部の助っ人として、遠征試合にでることが決まったのは一昨日のことだ。
なんでも選手の一人が急な怪我になったらしい。
どうしても落とせない試合だからということで、速水先輩に電話でずっと説得されていたのだ。
「大丈夫だよ、ハルカ。私がちゃんと面倒見るから」
「なんだよ、急に保護者面するなよ」
「まあ、喧嘩しちゃだめよ」
ハルカ姉さまが用意しておいてくれたおかずを温め、炊いたご飯とお味噌汁を用意して夕飯を作った。
結局味噌汁も全部私が作ることになったが。
夕食後、いつものドラマを見終わると、カナは買ってきた漫画雑誌を読み始めた。
私はちょっと迷っていた。カナにどうしても聞いてみたいことがある。
それもカナだけがいるときに聞いてみたい質問が。
もちろんハルカ姉さまがいないときはあるけれど、いつもはそれは短い時間であるし、いつも迷っているうちに聞きそびれてしまう。
今日はそれを聞く絶好の機会なのだが・・・。どうしても言い出してはつまずくことを繰り返していた。
結局味噌汁も全部私が作ることになったが。
夕食後、いつものドラマを見終わると、カナは買ってきた漫画雑誌を読み始めた。
私はちょっと迷っていた。カナにどうしても聞いてみたいことがある。
それもカナだけがいるときに聞いてみたい質問が。
もちろんハルカ姉さまがいないときはあるけれど、いつもはそれは短い時間であるし、いつも迷っているうちに聞きそびれてしまう。
今日はそれを聞く絶好の機会なのだが・・・。どうしても言い出してはつまずくことを繰り返していた。
「おい、カナ」
「ん、なんだよ?」
「カナって・・・いや、いいや」
「なんだよ、さっきから。言いたいことがあるならはっきり言えよ」
漫画雑誌から顔を上げて、私を見てから、改めて聞きなおした。
よっぽど普通じゃない表情になっていたのだろうか?
「どうしちゃったんだ、チアキ? 心配事? 言ってみなさいよ」
「一度聞いてみたかったんだけど・・・カナって・・・お父さんやお母さんののこと覚えてるのか?」
「ん、なんだよ?」
「カナって・・・いや、いいや」
「なんだよ、さっきから。言いたいことがあるならはっきり言えよ」
漫画雑誌から顔を上げて、私を見てから、改めて聞きなおした。
よっぽど普通じゃない表情になっていたのだろうか?
「どうしちゃったんだ、チアキ? 心配事? 言ってみなさいよ」
「一度聞いてみたかったんだけど・・・カナって・・・お父さんやお母さんののこと覚えてるのか?」
一瞬言葉に詰まり、しばらく考えてからカナは真面目に答えた。
「うーん、私もまだ物心が付くか付かないかの頃だったからねえ。
覚えてることといえば・・・あんたに話したことなかったっけ?」
「ちゃんと聞いたことはないよ」
「自分でも顔とか覚えているつもりなんだけど、ほら、おばあちゃん家にアルバムがあったでしょ。
あとからあれでみた写真の姿を、元から覚えているように錯覚しているだけかもしれない」
いつもは絶対に出ない話題。あの事故のことについてもカナは喋ってくれた。
「その時のこともほとんど覚えていないよ。何もわかってなかったし。
ただ、ずっとハルカが泣いていたことだけは覚えている。
自分が悲しいというより、そのせいで私も悲しかったな」
カナもこれについては話したくないみたいだ。
なんだか必死で言葉を引き出そうとしているみたいに見えた。
「ハルカもチアキがお父さんたちのことを知らないのはかわいそうだと言っていたことがあったよ」
そうなんだ・・・。ハルカ姉さまとカナはそんなことを話していたことがあったんだ・・・。
なんだろう。ちょっと悔しかった。嫉妬してるのだろうか。
なんだか私だけが仲間はずれみたいな気がした。
「うーん、私もまだ物心が付くか付かないかの頃だったからねえ。
覚えてることといえば・・・あんたに話したことなかったっけ?」
「ちゃんと聞いたことはないよ」
「自分でも顔とか覚えているつもりなんだけど、ほら、おばあちゃん家にアルバムがあったでしょ。
あとからあれでみた写真の姿を、元から覚えているように錯覚しているだけかもしれない」
いつもは絶対に出ない話題。あの事故のことについてもカナは喋ってくれた。
「その時のこともほとんど覚えていないよ。何もわかってなかったし。
ただ、ずっとハルカが泣いていたことだけは覚えている。
自分が悲しいというより、そのせいで私も悲しかったな」
カナもこれについては話したくないみたいだ。
なんだか必死で言葉を引き出そうとしているみたいに見えた。
「ハルカもチアキがお父さんたちのことを知らないのはかわいそうだと言っていたことがあったよ」
そうなんだ・・・。ハルカ姉さまとカナはそんなことを話していたことがあったんだ・・・。
なんだろう。ちょっと悔しかった。嫉妬してるのだろうか。
なんだか私だけが仲間はずれみたいな気がした。
「だから、ごめん。私もあんまり喋れることはないよ。チアキには悪いんだけど」
「別に・・・・別に謝ることはないよ」
「チアキも遠慮しないでハルカに聞けば良いのに」
「それは・・・」
「チアキはやさしいからな」
カナが急に涙ぐんだ。別にそんなつもりじゃ・・・。
「わ、私は別に」
私もなんだか涙がでてきた。カナが私の肩を抱きよせて、カナの胸に顔があたるような感じになる。
「でもチアキも良かったね。こんないい姉達にめぐまれて」
「お前も数に入っているのか?」
私も泣きながら言う。
ひとしきりそんな状態が続いたろうか。しばらくしてカナが言った。
「あ、もうこんな時間。
ハルカにはちゃんと寝かせるように言われてるんだけどね、もうちょっと起きていていいよ」
「急に理解ある姉を演じても遅いんだよ、この野郎。
それにいつも私はちゃんと寝てるじゃないか」
「まあまあ、ちょっとゲームでもやろうよ」
カナが笑った。私もなんだか嬉しくなってコントローラーを手に取った。
「別に・・・・別に謝ることはないよ」
「チアキも遠慮しないでハルカに聞けば良いのに」
「それは・・・」
「チアキはやさしいからな」
カナが急に涙ぐんだ。別にそんなつもりじゃ・・・。
「わ、私は別に」
私もなんだか涙がでてきた。カナが私の肩を抱きよせて、カナの胸に顔があたるような感じになる。
「でもチアキも良かったね。こんないい姉達にめぐまれて」
「お前も数に入っているのか?」
私も泣きながら言う。
ひとしきりそんな状態が続いたろうか。しばらくしてカナが言った。
「あ、もうこんな時間。
ハルカにはちゃんと寝かせるように言われてるんだけどね、もうちょっと起きていていいよ」
「急に理解ある姉を演じても遅いんだよ、この野郎。
それにいつも私はちゃんと寝てるじゃないか」
「まあまあ、ちょっとゲームでもやろうよ」
カナが笑った。私もなんだか嬉しくなってコントローラーを手に取った。
おしまい
- あれ、おかしいなw目から汗がwww -- 名無しさん (2008-11-26 23:52:25)
- あれ、僕も目から鼻水が -- なみへい頭 (2009-04-10 17:31:16)
- あれ、僕も目から海水が・・・ -- 名無し (2009-04-25 00:32:52)
- あれ、目からコーヒーが・・・ -- 名無しさん (2009-09-07 15:02:18)
- すまん。目から焼き肉のタレが…はい、すいません。 -- 名無しさん (2009-09-07 18:49:04)
- あれ、目から速水が…… -- 名無しさん (2011-01-07 11:11:37)