月明かりの照らす崩壊都市。
可視化されるほどに濃密な、鋼の如き圧迫感。
その地は、この都市において最も重厚な威圧感に満ちた一角だ。
その地は、この鎌倉市において最も死の冷たさに満ちた一面だ。
そんな只中にあって、彼方を見つめ屹然と立つ女が一人。
穢れ無きシルクのドレスに身を包み、紅き瞳だけが夜闇に茫洋と浮かんで。
瓦礫の塔より見下ろす荒廃都市。白く輝く、月さえも覆い隠す巨影。
その輪郭が揺らめいた刹那に。
「───どうやら仕込みは終わったようね、アサシン」
口を開くと同時に。
女の隣に出現する、高い痩身の影があった。
白き髑髏面の、赤い瞳だけが夜に輝く黒衣の影だ。
それは直前まで何の姿も気配もなく、しかし今は確かな実像を伴って女の隣に立っていた。
微かに笑みの気配を湛えた女の口調とは裏腹に、その影はどこまでも徹底した無感情の声のまま。
「如何に肥大化しようとも、獣の思考は東西を問わず同じもの。まして本能さえ狂わされた畜生ならば尚のこと。
機械的な思考回路を誘導するだけの些末事、忍であれば下忍であろうと容易かろうよ」
「適材適所、やっぱりお前を引き入れて正解だったわね。
ほら、私ってば貴人でしょう? だからこの手の細かい作業は苦手でねぇ」
「クラスの違いによる得手不得手なら認識している。自虐か皮肉かは知らんが詰まらん冗談はその霊基だけにしておけ」
「うわ、酷い。これ半ば本気の忠告だけど、お前はもうちょっと他人を立てるということを知ったほうがいいわね。それじゃ忍者の雇用先にも困るでしょ」
「生憎、誰かに使役される立場に甘んじるつもりはないのでな」
二人の会話の間にも、周囲には鉄の強度を持った威圧そのものが重くのしかかっている。
それは二人がもたらす敵意の具現───ではない。
少なくともアサシンの側にそれだけの質量を持った殺意など出せないし、レミリアはそもそも敵意に類した感情を一切表に出していない。
この圧を放出している者は、彼方に。
二人が見つめる視線の先、最早誰もが死に絶えた大地に聳え立つ、正体不明の巨影に他ならなかった。
「それで、お前が言っていた方針だけれど。本気なの?」
「何を今さら」
逡巡の欠片も見せず、アサシンが返す。
「我ら二人であれの討伐は根本的に不可能。弱体化の目途もなく、そもそも近寄ることさえ困難至極。
我としては魔力切れによる消滅を待ちたかったのだがな」
「もう言ったはずだけど、それは下策中の下策よ。確かにマスターが存在しない以上いつかは消え去るでしょうけど、それまでにこの都市は百度も千度も滅びるでしょうね。
いいえ、あるいは幾万幾億? そもそもアレの保有する性質からして、数日どころか数年単位で現界し続ける可能性だってあり得る」
「故に物理的に討たねば止まらない。ああ、既に聞き及んでいる。ならば」
アサシンは表情の伺えぬ仮面の下、何かを思うかのように。
「導かれる答えは一つしかあるまい。貴様はこれを不可能と断じたが、現状最も可能性があるのはこの方策なのだから」
彼方を、都市を二度覆った規格外の魔力爆発が発生した都市中心核を見つめ、赤い瞳が輝いて。
「化け物には、化け物をぶつけてやればいい」
………。
……。
…。
────────────────────────────────────。
▼ ▼ ▼
そこには既に、戦場の波乱など微塵も存在してはいなかった。
静寂だけが辺りを満たしていた。開戦の号砲も銃火の轟きも、剣を交える甲高い金属音も全く存在しない。
周囲に見えるのは夥しい数のクレーターと、焼かれ切り裂かれた無残な建物の残骸だけだった。それだけが、まるで無人の廃墟に取り残された石榑であるかのように、ただ静かに転がっているだけなのだった。
無音の舞台に上がるのは、一際巨大なクレーターの底で跪く赤騎士・エレオノーレと、
ただそれを睥睨する、剣を構えた赤薔薇王・ストラウス。
そのような風景の中、二人の戦いは続いていた。
そう、"戦いはまだ終わってなどいない"。
ここには一切の音が存在しないというのに、未だ戦いは終わらず、信じがたいことにむしろ熾烈極まる様相を呈しているのだった。
「──────ッ」
膝をつく赤騎士は、今や凄惨たる有り様だった。
体中が血に塗れ、負った傷は数えきれないほど。既に左腕と右脚はまともに動かず、右手の挙動も怪しいものだ。数多の敵を切り裂いてきた軍式サーベルはとうの昔に根本から叩き折られ、用を為さずにそこらへ打ち捨てられている。
これまでの戦いにおいて、損傷どころか纏う軍服にさえ一切の傷をつけずに戦ってきたこの炎魔が、今や瀕死の状態にまで追い込まれていた。
付けられた傷の数は百や二百では利かないほどであり……翻って、それだけの攻撃を許しておきながら未だに致命傷を回避しているという事実が、紅蓮の赤騎士の持つ技量と戦術眼の凄まじさを物語ってはいるのだが。
「おのれ───」
そのような気休めが一体何になるというのか。
見上げる視線の先、静謐のままに直立不動を貫く男の影は、まるで損耗の気配を見せない。射抜くような瞳は、まるでこちらの動きをつぶさに観察しているかのような無感動さで。
敵手に対して傷一つ負わせられないという、今までとは真逆の立場に置かれた。あまつさえ自分を脅威とすら思われず弄ばれた。
許せぬ、許せるわけがないだろう。
故にザミエルは渾身の力を振り絞り───これまでと全く同じ、戦いが始まってから一度として通じなかった攻撃を敢行するのだった。
「図に乗るなァッ!!」
叫びと共に腕が振るわれて、背後の空間が激震する。
空間が揺れ、捻じ曲がり、赤熱する砲塔が中空より現れる。それが次々と連鎖していき、見上げる限りの広大な空間全てに口が開いては無数の魔力弾がストラウスを照準した。
シュマイザー、パンツァーファウスト、至近距離で爆ぜる銃火の嵐に炸裂弾の槍衾。
溢れだす凄まじいまでの熱量が大気を歪める。地表を溶かし、空気を灼熱させ、なおも上昇を続ける熱は天井知らずに火力を増大させていく。
そして放たれる、怒涛なまでの鉄火の雨。
ドーラ列車砲を運用するために戦った数千もの英霊たち。その魂が寄り集まり、軍団規模の群体英霊として機能しているのがこの絨毯爆撃の正体だ。
その一つ一つが、サーヴァントの一撃に匹敵する弾幕である。通常の英霊ならば相対した時点で詰みも同然であり、例え同格に至ろうともこの奔流を凌ぐのは至難の技であるはずだというのに。
「ぬるい」
世界を埋め尽くさんばかりに放たれた、音速を遥か超過する大火力の噴流は───しかし、羽虫を払うかのように振るわれた腕の前で全てが掻き消された。
文字通りに、何の衝撃もなく、最初から存在しなかったかのように。
都市を壊滅させるに足るほどの爆撃は、しかしストラウスの髪を揺らすことさえできずに。
「ぐ、おおおおおおォォッ!?」
次瞬、無拍子で放たれたストラウスの斬撃がザミエルを襲う。
間合いも何もあったものではない遠間からの一撃。しかしそれは当然であるかのように、空間的に離れているはずのザミエルを一切のタイムラグもなく切り裂かんと迫る。
咄嗟に展開する炎熱障壁───摂氏数万度にも及び、生半な相手ならば触れた側が即座に蒸発する規模の防御壁である───が三十二層まで何の抵抗もなく断割され、寸での回避に成功したザミエルの肩口を抉る。
宙に舞う、血と肉片。
あまりに一方的な攻防ではあるが、しかし致命傷を避けたというだけで超絶の技量であり、彼女であるからこそ"この程度"で済んだと言うべきだろう。
秒毎に訪れる致死の一撃を回避し続け、肩で息をするザミエルにストラウスが語りかける。
「なるほど、存外にしぶとい」
「ぐ、あぁ!?」
再度放たれる斬撃に、ザミエルは左方向へと咄嗟のステップを踏んで───その瞬間には、いつの間にか傍まで移動を終えたストラウスの右手が、ザミエルの首を鷲掴みにしていた。
ぎり、と絞められる握力に苦悶の声が漏れる。今この瞬間もザミエルの総身は赤熱し、九千度を超える極熱を身体に纏わせているにも関わらず、その腕は蒸発は愚か溶けもせず、振り払おうと必死の抵抗を見せるザミエルの尋常ならざる怪力を以てしても微動だにしない。
持ち上げられる体、抵抗すら許されない体勢。
だが、この状態ならば───刹那に思考したザミエルは瞬時に聖遺物を起動、自分ごとストラウスを覆い包むように無数の砲塔を展開して釣瓶撃つ。
これまでと同じ変わり映えのしない攻撃だ。着弾して爆発するという、何ともありふれた攻撃手段。ただしその爆発には、「地球表面そのものを呑みこむまでに成長し得る疑似創造の力が付与された」という枕詞が付く。
世界に亀裂が生じ、そこから目も潰れんばかりの極光が溢れ出た。数瞬遅れて解き放たれたドーラ列車砲の一撃が空間さえも圧壊させながら熱量を放出したのだ。白色の光が視界を覆いつくし、鼓膜が破れるどころか人体程度ならそれだけで粉砕されるだろうほどの轟音が響き渡った。
それは、この戦いが始まって以来初となる、戦闘で生じた爆音だった。
ザミエルは遂に、ストラウスの想定を上回る攻撃を成し遂げたのだ。
けれど。
「なん……だと……?」
視覚と聴覚が狂わされる大破壊が収まって───そこには先と何も変わらない、首を掴まれ吊るされるザミエルと右手だけを伸ばすストラウスという構図が継続していた。
何も、何も変わっていない。自爆も覚悟で放った起死回生の一撃でさえ、この男には通用しないというのか。
「やられたな。できる限り被害は抑えたが、それでもこの区画は消し飛ばされたか」
流石は黄金の近衛か、という声に、ザミエルは半ば無自覚に畏怖の感情を覚えた。
ストラウスの言う通り、確かに周囲一帯は先の一撃により吹き散らかされている。既に壊滅的な破壊を受けてはいたが、その上から更に大破壊を受け地面は融点を迎えて液状化し、散らばる瓦礫すら残っていない。
だがそれだけだ。肝心要たるこの男に対して一切の有効打を与えられていない。いくら他のものを消し飛ばそうと、この男を殺せなければ意味はない。
けれど、それでも。
「貴様、は……。
貴様は、何を、考えている……?」
指で押し潰される気管で無理やりに言葉を発する。対する男は、無言。
腑に落ちない疑念があった。それは、"何故この男は早く自分を殺さないのか"、ということ。
これまでの戦闘で嫌というほど理解させられた。今の自分とこの男では、圧倒的な戦力差が存在すると。曲がりなりにも自分は格上を相手に生き延びてきたが、それもストラウスが間断なく攻め立てることがなかったが故のことである。つまりは本気を出されなかったということであり、その事実が不可解に過ぎて同時に腹立たしい。
愚弄しているのか、とさえ考える。騎士の尋常なる決闘を汚す愚か者、まさかこの赤薔薇王がと疑ってしまうほどに。
「逆に問おうか。お前はいつまで、こんなところで遊んでいるつもりだ?」
しかし、問い返されたのは全く予想もしていなかった事柄で。
怪訝に細められる目が、掴み上げるストラウスを見下ろした。
「お前が死線の蒼と接触したことは既に聞き及んでいる。夕刻における由比ヶ浜のタワーマンション崩落はお前の仕業だろう。
そこで何を吹き込まれ何を選択したか。そして真実を聞かされて尚、未だに"お前という個我"を保ち続けたその強度と理由を、私は見極めようと考えていたのだがな」
心底より呆れ果てたと言わんばかりに頭を振る。
その視線は崩壊し尽くした周囲を睥睨して。
「その結果がこれか。死線の蒼は貴様を死神と呼んでいたが、このザマでは過大評価も良いところだな。
そこらを這いずる屍食鬼と何ら変わるまい。あの白化と良い勝負だ。
破壊のみを願われ顕象された死線の蒼でさえ己が最善を尽くしたというのに、お前のその体たらくは一体何だというのだ赤騎士。ムスペルヘイムの忌み名が泣くぞ」
「誰に……何を……ッ!
説法している気だ貴様……!」
じっとこちらを見据えるストラウスに、しかしザミエルが返すは殺意と敵意の感情のみ。
それは如何な窮地においても衰えを知らず、そもそもザミエル自身がそうした理屈を許せなかった。
「遊びだと……!? この地を覆う桃園の正体を知った上で尚もそのような世迷言を吐けるなら、巫山戯ているのは貴様のほうだ……!
現実に向き合うことさえ諦めた塵屑共の集う痴れた阿片窟、彼奴らはよりにもよって我らを斯様な吐き溜まりへ投げ落とした!
これで何も感じぬようであれば、其奴は英霊どころか人間ですらない。生かす価値もない下賤な塵芥に過ぎない……!」
「その激情の帰結こそが、この大破壊であるのだと?」
「言うまでもない! 我が身は聖杯戦争への勝利という事実を以て黄金螺旋階段へと至り、頂上にて一切を睥睨する第四盧生を討ち果たそう!
それがための闘争だ! 私のやるべきことは何も変わらない、そして貴様らのすべきこととて何も変わるまい!
勝ち残った一人だけが栄光の高みへと手をかける。我らを愚弄した運命に決着を付けることができる!
故に私は───!」
「万仙の王を討ち果たすため、聖杯へと至ろうとしていたのか。鎌倉に集った全てのマスター、全てのサーヴァントをお前の炎にくべることで」
それは赤騎士が持つ極大の自負。
己は黄金以外の何者にも負けはしないという、世界そのものを見下すに等しい傲慢極まる自尊の念。
そして事実、そう確信するに相応しいだけの実力を有するザミエルの宣誓を前にして。
「不可能だ。お前に奴は倒せまい」
至極単純な、そして絶対的に揺るがすことのできない事実を言い放った。
「何……だと……?」
「聞こえなかったか? ならばもう一度言ってやろう。お前は、奴には、敵わない。
お前だけではない。狂乱なりし白騎士も、万物一切に終焉の幕を下ろす黒騎士も、彼方に坐する第一盧生も、そしてこの私も。どう足掻いても奴に傷一つ付けることなどできはしまい」
「……語るに落ちたか赤薔薇王。まさか貴様が、知った顔で諦めを口にするとはな。
ならばその魂を私に明け渡せ。エイヴィヒカイトの術式をまさか知らぬとはほざくまい……!」
「知っているとも。殺した者の魂を吸い上げ、その質量分己が力を増大させる魔術式。
なるほど確かに、お前が私の魂を貪れば相応の強化には繋がるだろうな。あるいはこの聖杯戦争において、文字通りの最強となれる程度には」
エイヴィヒカイトによる強化の上限は、サーヴァントとしての霊基総量ではなく本人の格に依存する。
故にザミエルがストラウスを殺害し、その魂を取り込むことに成功したならば、爆発的な強化が見込めるはずだ。
黒幕への反抗を諦め戦いを放棄するならば、せめて我が糧となって現状打破の役に立て───ザミエルが言っているのはつまりそういうことであり、そのどこまでも勝利しか見ていない姿勢はある意味では尊敬さえ覚えるほどのものだけど。
「訂正しようか。二つだ」
しかしこの場合、的が外れていると言わざるを得ない。
戦うだの戦わないだの、勝つだの負けるだの、そのようなものを論ずる段階はとうの昔に過ぎ去っているのだから。
「一つ目。何度も繰り返すがお前は決して第四盧生を倒すことができない。
強さや魔力の問題ではない。そもそもこの聖杯戦争に召喚されたという"強制協力"が成立している時点で、勝敗という概念は消えている。
奴を物理的に打倒できる可能性が僅かでもあるならば、最初からこの都市において廃神として顕現などしないのだ。
そして二つ目だが……」
一旦目を伏せ、そして。
「そもそも、私は一度も"諦めた"などとは言っていない」
これまでに倍するほどの覇気と共に、決然と言い放った。
その瞬間だった。
落雷のように空気が哭いた。
ザミエルの眼前を、膨大な熱量そのものが横薙ぎに通過した。
それが地表を通過しただけで、溶解した地面は直下の地殻ごと粉砕された。
「な───ぐぁッ!?」
首を絞めつけていた万力が如し拘束から解放され、後方へ弾き飛ばされたザミエルは衝撃に揺れる視界の中で"それ"を目撃した。
それは、"砲弾"だった。
だが、果たしてそれを砲弾と呼んでいいものか。
今しがた眼前を駆け抜けた砲弾は直径5mを優に超えた大きさだった。通常、弩級戦艦で運用される主砲ですら40~50cm程度のものでしかなく、ザミエルが使用する歴史上最大規模たるドーラ列車砲でさえ砲口径は80cmしか存在しない。
明らかに人類史において使用された兵器ではあり得なかった。そのような巨大物を、極超音速で射出する技術が存在するかどうかさえ。
そしてザミエルは、その攻撃に見覚えがあった。
忘れるはずもない。それは、先刻他ならぬ自分こそが殺し合った対敵であるのだから。
すなわち。
「第一盧生……甘粕、正彦……!」
その強さを己は知っている。
その愚かさを己は知っている。
意志の魔人、遍く光を追い求める人類賛歌の狂人。
否応なく高まる戦火の気配に、とうとう堪えきれず自らも手を出したか。
「流石に、相殺しきれないか」
おもむろに声が響く。
咄嗟に振り返れば、そこには今しがたの砲撃で付いたと思しき凄惨たる崩壊の痕。
刻まれた溝は荒廃した地平線までを綺麗な直線を描いていて、金属で形作られた砲弾が大地や赤薔薇王という障害にも軌道を乱さず破壊を刻んだことを意味している。
だがしかし、その軌跡は途中で綺麗に二股に分かれ、まさにその地点より彼の声は届けられた。
声は静かに、されどその姿は凄絶さを伴って。
悠然と歩いてくる。その身は凶弾の直撃を受けて、微かな疲弊の色こそあれど、しかし傷の一つもなく。
いいや、もしくは"斬った"のか。あの刹那に行われた破壊を見切って、砲弾の直撃に体ごと押し込まれても尚、両断してみせたのか。
何という不条理。何という非常識であるのか。
ザミエルが一度殺し合った時ですら、あの砲弾の直撃は自身の死を想起させた。その時でさえ放たれた砲弾の大きさ自体は極めて常識的な代物であったことを鑑みれば、先の一撃はかつての数十倍ですら利かぬ威力を誇っていたに違いない。
そして単純な事実として、ザミエルの見立ては正しかった。
エイヴィヒカイトに位階が存在するように、彼方の戦艦の主・
甘粕正彦が扱う邯鄲法にもまた術法としての階梯が存在する。階梯が一つ上がれば扱える力の総量は次元違いに増大し、同じ術者の技であっても低位から放たれた術と高位から放たれた術では雲泥の差が生じる。
先の砲弾は序詠破急終の五つに分類される熟練深度のうち急段、すなわち終段を除けば最も高位に位置する階梯から放たれた一撃である。
創法の形により砲弾を創形し、解法の崩による物質崩壊の理を乗せ、咒法の射で高速射出する。このように三つ以上の力を複合するのは急段以降でなくば不可能であり、その意味であれば先の一撃は範囲こそ絞られているものの今聖杯戦争において甘粕が放ったどの攻撃よりも強力な代物であった。例えば先刻彼がリトルボーイでさえ創法の形と咒法の散の二つしか組み合わせない詠段、すなわち下から数えて二つ目の極めて低位の力による攻撃であり、それですら一都市を壊滅させて余りある威力を誇っていたと言えば、ストラウスが行った所業が如何に度外れているかが理解できるはずだ。彼が咄嗟に創形と相反する性質の力場へと魔力を転化させ物理エネルギーそのものを消失させていなかったら、極限まで圧縮・集束された一撃は地殻など薄紙のように貫き星の中心核にまで巨大な穴を穿っていたかもしれない。
「形成───極大火砲・狩猟の魔王!!」
だが、それが一体どうしたという?
戦力差は理解した。己が武装が奴には通じないということも、純然たる力の多寡で敗北を喫しているのだということも分かる。
だが狂おしく希求する我が渇望の深度において道を譲るなどありえない。
挑めば死ぬ? ならば潔く死ねば良かろう。
黄金に侍る不敗の戦鬼が臆病風に吹かれて逃亡したなどと、それこそ笑えぬ冗談だ。恥を晒すくらいなら死に晒せという矜持は、配下のみならず己にもまた適用される。
そして───ああそもそも。
「どこを見ている───我が忠義の焔を甘く見るなァ!!」
そもそも、自分は未だ敗北を認めてなどいない。
気勢に振り向くストラウスの総身を、漆黒に染まった炎が瞬時に包み込んだ。完璧なタイミング、完璧な入りの一撃であった。事実として一切の防御行動を取れなかったストラウスの全身は現在進行形で炎上を続けている。対魔力スキルを持たなければ如何なサーヴァントであれど即死する威力の焔を受けて、これはある種当然の結果ではあった。
そのはずなのだが。
「どうも語弊があったようだが」
それは最早、人の形を取った燃焼という形容が最も相応しい有り様だった。
万象焼き尽くす領域に手をかけた超高熱による消滅と、夜の一族において尚魔人と称されたストラウスの強靭に過ぎる再生力とが拮抗したがために生み出された光景である。
今や数百万度という常軌を逸した温度の炎に巻かれ、赤そのものを身に纏ったストラウスは落ち着いた、けれどもそれが故に底冷えのする声で語りかける。
「私としてはお前を侮ったことなど一瞬足りとてないのだがな。ああ、実のところお前の相手をするのも結構ぎりぎりなんだ。
油断をすればすぐこの有り様と来た。ああ、今なら私を倒せるかもしれんな? 少なくとも可能性は零ではないぞ」
「ならば───!」
「だから」
ふっ、とストラウスを構成する魔力が急激に薄まっていく。
それはまるで炎が明滅するように、今まさに眼前で燃えているはずのストラウスの存在が不確かに薄らいでいくのだ。
何故か───決まっている。
「お前と奴、同時に二人を相手にしては流石に私も命が危うい。
無意味に生を繋げるつもりはないが、だからと言って無駄死にする趣味もないのでね。ここは退かせてもらおう」
「貴様、逃げるつもりか……ッ!
この私を侮辱し、あまつさえ情をかけ尻尾を巻くなど許すとでも……!」
「その理由はお前こそが熟知しているはずだ。
死線の蒼よりもたらされた真実、この都市を覆う桃園の姿。その事実を以て何を選択すべきか、今一度よく考えておくといい」
その言葉を最後に。
蝋燭の火が吹き散らされるように、纏わりついた炎ごとストラウスの姿は消失した。
光が乱舞するでも、大地を揺らす鳴動が起こるでもなく。
何の音も動きもなく、最初からそこには何もいなかったかのように、ストラウスは消えてなくなってしまった。
後に残されるのは、静寂。
己一人が残されたという、ザミエルにとってはこれ以上ない屈辱であり。
「……逃げ遂せられると思ったか。この私を前にして!」
到底、許せるはずなどなかった。
「真実、選択、ああ知ったことかよ、そのような些末事。
貴様にどのような思惑があろうとも関係ない。薄汚いその思想諸共、蒸発して失せるがいい!」
そして宙に刻まれる、炎で構成されたルーン文字。
それは今まで彼女が行使してきた輪郭不確かな魔法陣ではない。幾万の魂によって構成された、確かな形を持つ一軍の砲塔だった。
それが証拠に、見るがいい。ただ出現したというだけで吹き荒れる炎熱の嵐。ザミエルを中心とした周囲数百メートルが、泡立つように溶解して物質としての形を失っていく。
逃がすつもりなどない、何としても彼奴を戦場へと引き摺り戻す。そして名誉を賭けた決闘の果てに、我が誇りを取り戻すのだ。
頭を占めるはそれ一つきり。最早聖杯戦争の行く末も、何もかもが彼女にとっては些末事だった。
何しろ、どのような道を辿ろうとも最後に行き着く結末など決まりきっている。ザミエルにしろ赤薔薇王にしろ、最後に立っていた一人だけが黄金螺旋階段の果てへと辿り着き、否応なく己が真実を突きつけられるのだ。
ならば今、この都市がどうなろうとも構うことはなし。ストラウスがどこに隠れ潜んでいようとも関係ないよう、ザミエルは鎌倉そのものを覆い尽くす域の炎を、未だ避難の勧告すらマスターに行うことなく行使しようとして。
中空に刻まれた空間の断裂から、凄まじいまでの熱量を顔を出し──────
「───風よ、吹き荒べ!」
声が───
響いた瞬間、ザミエルは己が肉体を狙い墜落した風の鉄槌を横へ飛ぶことで回避した。次瞬、打ち砕かれる直下の地面。飛び散る瓦礫と穿たれる穴隙の深さが、その一撃の威力の程を物語っていた。
危うげなく着地するザミエルと同時に、静かに降り立つ一人の影。
それは清廉なる気配を露わに、輝き放つ白光なる鎧を身に纏って。
───悠然と、屹然と、その戦意を口にする。
「ザミエル・ツェンタウァ。三騎士が一角、炎熱の恐怖。
お前が何を望むのか、私は知らない」
「けれど、その炎を以て我が盟友たちを殺そうと言うならば」
聖剣を携え現れる、蒼銀なりし騎士の王。
既に風王の戒めは解き放たれ、右手に構えるは眩き黄金の光剣なれば。
「無辜の民を、幼子を、無慈悲に焼き尽くさんとするならば」
「いざ、星の輝きを以て───私は、お前を討ち果たそう」
都市滅ぼす炎魔の化身に、その切っ先を突きつける。
迷いはなく、恐れもなく。
ただ、勇猛なる騎士の誓いの下に。
「……久しいな。騎士のセイバーよ」
一瞬だけ面食らい、次いで苦笑して、ザミエルは感慨深く呟く。
それは、かつて一度目にした姿だった。
聖杯戦争の本戦が開始し、最初に出会ったサーヴァントだった。
我が"剣"を振るうに値すると確信できるほどの格を持つ英霊、その最初の一人。
故にこれは、あの時の再演に他ならず。
「最早因縁も守るべきものも朽ち果てた。この都市は死に体だ、今や貴様の守護など何の意味も為しはしまい。
それでも尚、私に剣を突き立てるか、蒼銀の騎士王よ」
「無論、言われるまでもなく」
共に宝具として顕現し、敵手を食らう刃として相対する。
これが解き放たれる時とは、すなわちどちらか一方が地に伏せる瞬間に他ならず。
アーサーとエレオノーレは、今この時だけは一切のしがらみを忘れ、共に二人の"騎士"として対峙する。
───そして。
───そして、なお、彼らの物語は紡がれる。
星々が空にあろうとも、
太陽が消え去ろうとも、
誰かの"願い"を誰かの元へ届けるだろう。
既に終わった物語。
今に語られる物語。
それは、今はただ英雄たちの賛歌として紡がれる。
これは、英霊たちの物語。
これは、人間たちの物語。
故に、都市に"それ"は顕現する。
故に、異形の叫びは都市全土を震撼させる。
空に月はあれども───
それは決して、無垢なる白色の女王などではなく───
『▂▂▅▆▆▂▅▆▂▅▆▇▇▇▇▇▅▆▆▆▇▇▇──────!!!!」
空を───
空を、覆い尽くすものがある。
それは影だ。
それは這い寄る白色だ。
暗がりにだけ在るはずの、見えぬはずの。
天にまします巨いなる月の光さえも遮って、
其は、暗がりの異形と現れる。
其は、忌まわしき白と現れる。
あらゆる音が消えていた。
赤騎士と蒼銀の騎士が対峙する烈風が如き怒気の発露も。
彼方より駆動を続ける漆黒の威容誇る戦艦の機械音も
終末の様相を呈する都市全域の喧騒も、何もかも。
全てが消えた。
その時が来た瞬間に、忽然と。
沈黙の時は一秒、それとも二秒。
誰も知る者はいなかったけれど、時は来た。
誰も止めることはできず、その意思もなく。
───約束された時が来たのか。
───誰が、誰に対して、どんな約束をした?
……誰も。
誰もいない。答える者はこの都市にはいない。
だから、その時は訪れる。
チク・タク。
無音は、静かに告げる。
チク・タク。
足掻くのをやめろと嗤いながら。
チク・タク。
それは、まるで"神"のように。
故に、その時は来た。
『▂▂▅▆▆▂▅▆▂▅▆▇▇▇▇▇▅▆▆▆▇▇▇──────!!』
それは這い寄る白色だ。
暗がりにだけあるはずの、見えぬはずの。
それは立ちあがる怪物だ。
荒廃した大地にて、巨躯を顕す白色の巨影。
その真実を知る者はいない。
禁じられた忌み名、狂乱の果てに至る者。
全てを置き去り、全てを忘れ去り、呪わしき記憶を欺瞞の檻に閉じ込めた者。
三騎士たる鋼鉄と炎魔ですら、この姿を知りはすまい。
死を具現する世界において、なお凶兆たる災禍の獣と称された魔軍の長。
ある意味で最も弱く、最も脆きその身を砕かれることで再誕する、現世界において求道の神に近き最たる器。
───禁じられた名。
───それは、殺戮の王たるフェンリス・ヴォルフ。
────────────────────────。
───それは、巨いなるもの。
───それは、恐怖そのもの。
恐怖をもたらす者。
万物一切の区別なく、
あらゆるものへとその咢を振るう白狼。
幾年月の果てにヴェルトールよりこの都市へと顕現した、
それは、巨大な物質ならざる歪みの極致。
頭頂まで300mは下らない、夜天の月さえ覆い隠す埒外の巨体。
巨大にして恐怖と畏怖を湛える者。
あまりの威容を前にして「黙示録の青ざめた騎士」と声を発した聖職者は、ベルリンの崩落と共に姿を消した。
恐怖の白。
星輝く夜よりなお眩く、しかして不浄たる白骨の戦奴よりなお昏い異形の影よ。
お前は何だ。お前は誰だ。
神の如き威容を湛える巨いなるものよ。
うねり、歪み、這い寄る超大な狼骨よ。
外殻に刻み込まれた紋様は古なるルーンの秘蹟か、あるいは何かの魔術式か。
それを読み解いた者は既に生きてはいない。挑んだフィラデルフィアの魔女は発狂し、哀れな死者と化した。
その姿は人狼にも似て、
その姿は人狼とは異なり、
ああ、これは何だ。この影を構成するものは。
───それは恐怖だ。
───恐怖と共に簒奪された、数多の魂によって織り成す白影だ。
第二次大戦の終結時、ベルリンそのものを錬成陣として魂を吸い上げ、黄金へと至る魔術儀式が存在した。
墓の王は世界の果てへ去り、随伴した三人の騎士もまた不死不滅たる黄金の鬣と化した。
今や英霊の座にさえ存在を刻まれ、絶大な畏れを以て世界を震撼させたその者を、こう呼んだ。
『▂▂▅▆▆▂▅▆▂▅▆▇▇▇▇▇▅▆▆▆▇▇▇──────!!』
空が震える。
大音量の咆哮が迸る。
地から影のように滲みだして朧の巨体を形成したシュライバーは、殺戮の王は、叫ぶ。
呪うように。呪うように。
鳴り響く咆哮。都市を揺るがす、音ならざる絶叫。
それは鼓膜ではなく、魂そのものを揺さぶる振動だった。魔性の存在領域に到達した聖遺物の使徒は、呼気や視線でさえ他者の魂を打ち砕く。
轟音は、その身が風を切る音なのか。
それとも、怪物の咆哮そのものが風となるのか───
「これは、まさか……!」
焦燥の色さえ滲ませて、
アーサー・ペンドラゴンが危急の声を上げる。
今や全ての音が消えてしまった戦場の只中で、厳かに、聖剣を構えたままに。
その声音は、明らかに、現れ出でた巨影を知っていて。
───今この場所に、このタイミングで顕現した、だと?
───お前は、何を破壊するつもりなのだ。
───僕達全員をか。哀れなる狂した獣よ、お前は。
───同胞の姿さえ見えてはいないのか。それとも、同胞さえ手にかけるのがお前のやり方とでも言うつもりか。
彼は既に聞き及んでいる。大隊長たる三騎士の一角、白騎士のシュライバーを。
それは致命的に思考が破綻していて、あらゆる道理をそこに求めることが叶わない。
ならば、と納得するものがある。セオリーさえ通じはしないなら、この瞬間に顕れることもまた、奴にとっては当然の結果なのではないかと。
───不可解なる影なる者よ。殺意にのみ塗れる狂戦士よ。
───それでも、僕は、お前に屈するわけにはいかないのだ。
───僕には、それが許されてはいない。
───例え、万象立ち塞がろうとも。
「よもやこのような渾沌の坩堝にまで迷い出たか、シュライバー」
その声に、一瞬の忘我より引き戻されて。アーサーは不遜に佇むザミエルを振り返る。
先ほどまでは凄惨たる傷痕を晒していた四肢はいつの間にかその強靭さを取り戻し、全身に刻まれた損傷が秒単位で治癒していく。無論、そこには相応の魔力消費があるだろうが、サーヴァントの基準に照らし合わせても明らかに異常な回復速度である。
長期戦は不利、対敵に時間を与えてはいけない。
その理屈は、思考以前の経験として容易に導き出すことができたのだけれど。
「随分と見苦しいな。それが貴様の真の姿かよ。
肥大化した外殻など見せかけに過ぎん。内に閉じこもりひたすらに接触を拒むその様、醜くはあるがなるほど確かに強力ではある。
それはそれでハイドリヒ卿の御前に舞う戦奴として相応しいか。しかし騎士としてはあまりに救いようがない」
「……」
存在圧がもたらす空間振さえ抑え込む、鉛が如き重圧が降り立ったこの地にて。
ザミエルはただ静かに、呆れたような苦笑するかのような口調で呟きを漏らす。
それは何かを諦めたように、あるいは何かを受け入れたようにも見えて。
あるいはその所作さえもが、内なる畏怖の震えを覆い隠すためのものだったのかもしれない。
「動くなよ。念のため言っておくが、私は貴様を逃がすつもりなど毛頭ない。
例えこの場で奴が暴れまわろうともだ。それで死ぬならそれまでの器、我が黄金に捧げる忠義の一端としてせめて華々しく散るがいい」
「……それは此方の台詞だ。いざ、死力を尽くして来るがいい!」
そして舞台は元の光景へと還る。
そこにあったのは先程と寸分たがわぬ状況だけ。騎士王は聖剣を突きつけ、赤騎士は紅蓮の業火を纏い。
次瞬、掻き消えるは両者の姿。
白き巨影見下ろす死地にて、今こそ二人の騎士は雌雄を決するべく刃を交えたのだった。
………。
……。
…。
──────────────────────────────。
「……そんな、馬鹿な……」
アサシンは、
スカルマンは、その仮面を被った叢は。
白き死の仮面を被ってさえいなければ、きっと顔面を蒼白にさせていただろう。
その精神を汚染されてさえいなければ、きっと全身を恐怖に震えさせただろう。
そして今も、顔と心さえ失ってしまった彼女はそれでも、
わずかに残った自我を恐怖に侵食されて。
「あれは、何故あれほどのものが……我が見たものでさえ小康状態の産物であったと……?
それでも、この上昇率は……道理としてあり得るはずが……」
彼女は見てしまった。
あれは、何だ。
この都市の中心部にまで続く街路に、粛々と時限式の魔力罠を設置して。
その爆破によって巨影をここまで導いた叢は、彼奴を脅威と認識しながらも、それでもどこか心の中で軽んじていた節があったのかもしれない。
攻撃の意思を見せた瞬間、あの巨影は真なる暴威を露わとして。
ああ、あれを前にしては、叢が恐れ戦いを避けた蹲る影など、文字通りの影でしかなくて。
今なら分かる。否応なく、肌に突き刺さる質量さえ獲得した殺意の波濤を前にして。
常人ならばそれだけで致死に相当するであろう思念の嵐を一身に受けて、心失ったはずの精神さえも恐怖に支配されたまま。
「ランサー……あれは、貴様は最初から、これを知って……
……ランサー……? どこへ……行った……?」
………。
……。
…。
──────────────────────────────。
「……ようやく」
「ようやく分かったわ。あなた、そもそも最初から"聖杯戦争なんてするつもりがなかった"のね」
銀光に照らされて。
同じく、銀糸のような髪を僅かにたなびかせた少女がひとり。
それはひとり、荒野が如し路地に立ち尽くして。
それはひとり、今まさに去りゆく誰かの背中を見送っていた。
誰か。決まっている。
少女が従えるサーヴァントひとり、黄金の気配だけを此処に残して。
彼は去った。何のためか?
彼は行った。誰の下へか?
遍く人類種が手にした輝きを収める箱庭を携えて。
彼は───
「冷酷無慈悲な王。苛烈なりし暴君。慈悲持たぬ人類の裁定者。
けれど、あなたはそれほどに冷たくはあっても、決して嘘は吐かなかった」
「なら、私は……」
少女は───イリヤスフィールはただ、もう姿さえ見えない彼を見送って。
彼方にて顕現するであろう"神"を、待ち続けて───
………。
……。
…。
──────────────────────────────。
───昏き星々の下。
───盲いた月の瞳に見下ろされし都市にて。
現出した1000フィートもの巨影に、崩壊都市の全域が恐怖に揺れていた。
あらゆる者たちが動きを止めた。
人とサーヴァントの区別なく、誰も彼もが彼方を見上げ、心弱き者に至っては震えあがりさえして。
誰も彼もが声を失った。
誰も彼もが表情を消し去った。
ただ、ただ、巨いなるものが立つのを見て。
許されざる呪詛の眼光は届かずとも、
嘆くが如き、叫ぶが如き咆哮は耳に届き。
しかし。
しかし、それら廃せる者たちの只中にあって。
瓦礫の塔にただひとり。
際限なき恐怖渦巻く最中にあって、
ただひとり、表情少なげに空を見つめる少女がいた。
ただひとり、何も変わらず高みへ降り立つ女がいた。
もしも彼女を見る者があれば、
四肢から伸びて歪む黒影を目にしただろう。
もしも彼女を見る者があれば、
その黒影が白狼の"手"に酷似して、
煽動し、這いうねることに気付いただろう。
しかし、気付く者はいない。
誰も彼もが死に絶えて、既にこの地には誰もいないのだから。
レミリアが誰を見つめているのかさえ、気付く者はここにはいない。
「……はじまり、おしまい」
「これではじまり。
これでおしまい。
貴方たちが選んでしまうのは、果たしてどちら?」
レミリア・スカーレットは静かに告げる。
恐怖に縛られ恐怖が具現した都市の中で、僅かも表情を崩すことなく。
静かに、静かに。
揺らめく巨影へと。違う。
咆哮する怪物へと。違う。
彼女が語りかけるは、その目前へと顕現するであろう"神"に対して。
「英雄王。
貴方は、人形劇でも始めるのかしら?」
「赤薔薇王。
貴方は、この世界でも終わらせるのかしら?」
「万能なりし、けれども全能に非ざる貴方たち。
そんな玩具で何をするの。
貴方たちの前に、神さまなんていないのに」
「血潮満ちた尊き彼らの物語さえ終わらせる、大きな人形ひとつの踊り。
ああそれとも、彼らは実存に非ざる廃せる者なのだと、貴方たちは嘲笑うのかしら?」
表情が変わる。
静かなそれは、今、確かに微笑んで。
言葉も同じ。
静かなそれは、今、確かに柔らかく。
「いいえ。いいえ。
そうではない。だって彼らの物語はまだ紡がれるのだから。
これは、彼らの物語。
これは、人間の物語。
時に惑い、時に怯えて、それでも立ち止まることのない人々の。
蒼天と星空の下で繰り広げられる物語」
「神も怪物も、時代遅れの英霊も、何もかもを必要としない。
それは、今を生きる人間たちの、希望に溢れた物語」
「既に終わった物語の残骸から、それでも生まれる命たちの賛歌なのだから」
故に、"それ"は来るだろう。
神ならぬ人の身で、それでも彼は《巨神》を駆って。
───二つ目の巨いなるものが。
───再び、この都市へと。
異形の都市───
月を覆い隠され暗く染まる空。
そして、鮮血の如く染まった赫色の大地。
そして、時を忘れて白光をもたらす星々。
都市に投げかけられる二つの光。
星々の白と、燃え盛る大地の赫。
月の白光は既に都市から消えて、
入れ替わりに細む天眼は煌々と。
ああ、来る、来る。月の瞳たる赫眼はそれを呼ぶ。
それは深淵の黒だ。
それは恒星の蒼だ。
夜の色とも空の色とも異なる色を纏って。
───もう一つの巨いなるものが。
───黄金の意志に導かれて。
───来る。来る。来る。
───誰にも、止めることはできない。
二つ目の時が来た。
白狼とは違い、誰も導いていないのに。
……誰も。
誰も導いてなどいない。浅慮にも白狼を誘導した髑髏面を騙る少女でも、
穢れた奇跡を追い求める、世界の果てにおいてタタリを導いた者ですらなく。
それは一人の自由意思だ。
廃せる駒の一つと成り果て、けれども尽きせぬ人の意思だけは絶やさずにいた一人の王だ。
故に、その時は訪れる。
白狼の巨影に引き続いて、二体目の巨いなる影として。
『───────────────』
都市全土が凍る。
既に誰もが動きを止めていて、では何を、次なる者は凍りつかせているのか。
時か。物質か。
否、それが凍らせるのは"こころ"だ。
恐怖さえをも呑みこんで"こころ"を。
凍りつかせるが故に、人々は恐怖に支配された肉体を再駆動させることが叶う。
『───────────────』
それは立ちあがる巨人だ。
現実に在り得ざる体躯を備えた蒼黒の鋼。
それは巨影の前に顕れる。
恐怖もたらす殺戮の王、フローズ・ヴィトニルの眼前へと。
揺れる大気を引き裂いて。
震える大地を踏み砕いて。
ああ、何もかも終わらせるものが来る。
破壊もたらすもう一柱の神よ。
恐れさえも打ち砕く強き神よ。
其は、何をも赦しはしないだろう。
それは誰かのための物語さえ終わらせてしまう。
終焉の黒。夜の如く。
断罪の蒼。神の如く。
───崩れた都市中心区域をなおも砕いて。
───それは、姿を見せる。
声と共に。
『▅▆▆▆▅▆▇▇▇▂▅▅▆▇▇▅▆▆▅──────!!』
星々が揺れる。
大音量の咆哮が迸る。
それは虚ろに響く声なき声。
巨影たるシュライバーの咆哮と同じもの。
巨いなるものが来た。
人類種を殺し尽くす死世界の獣、強大なるその者さえも滅ぼす神、ひとつ。
それは巨大───
それは異形───
蒼色を纏う、蠢く黒い鋼。
それは確かに質量を持って、虚空から。
────────────。
───黒鋼の巨躯が。
───星々の白光さえも吸って。
───蠢く黒鋼の中心に。
───燃える都市と同じ、赫の瞳がふたつ。
それは巨人だった。
それは影ではない。
確かに、圧倒的なまでの質量が伴っていた。白狼にさえ匹敵するほどの巨大な異形。
大きく前へ踏み出して、ひとつ。
咆哮の振動や揺らぎではなく超質量で以て、
地上に在るあらゆるものを、踏み潰すのだ。
砕く。砕く。
砕く。圧壊させ、破壊し尽くす蒼黒の巨人。
白影を前に怯むことなく、見る者に。
万象一切を破壊し得るとさえ思わせる巨人。
放たれる音は咆哮の他にも無数に、無数に。
軋み擦れる金属音は異邦の交響曲にも似て。
───泣き叫ぶがいい小さき者共よ。今夜、此処に神はいない。
───けれど、今、この都市に巨いなる神はいた。
蠢き流れる黒鋼を肉として。
蒼色に瞬く燐光を鎧として。
それは、儚く揺れる白影よりも遥かに人型を思わせる。
頭部から広げられた両腕にまで渡り上半身を覆うのは、鋭く尖った黒棘の群れ。
幾百の剣を突き立てられた巨人の如き威容。
鋭き黒棘はひとつひとつが風を裂き、空間を切断していく。
見よ。それが証に、巨人が進む跡には───
夜の色が───
白色に削り取られていく───
巨大な脚が振り上げられる。
一歩、再びそれは前へと進む。巨影へと。
蠢く影の凶獣へと向けて。
その巨躯を進めるのだ。前へ、ただ前へと。
何のためか。
砕くためだ。
白き巨影たる殺戮の王を、砕くため。
『幻想、夢、願い。それは時に人を惑わす』
『しかし、虚ろに落ちぬまま歩みを進める者もいる』
『その理由と根源が、貴様に理解できるか?』
何処からか声が聞こえる。
それは誰の声であるのか。
それは蒼色の燐光纏う黒鋼の巨人から響く。
声。それは声だ。
声。それは人の身から放たれるもの。
悠然と、泰然と。
何もかもを冷ややかに見つめる者の声だ。
自らの万能たるを知る者の声だ。
遍く千里、人の紡ぐ遍く未来を見通す賢王が如き英雄の声だ。
けれど、ひとの身から放たれる声に似て。
しかし、巨人の内に誰が在るというのか。
ならば聞くがいい。
巨人の裡の奥深くに響くものが何であるのか。
音。音。
響き渡った男の声以外にも───
数限りなく突き立つ黒の剣軋む音以外にも。
ああ、聞こえる。ああ、確かに。
機関のもたらす駆動音が微かに。
『万仙にうち沈む夢は、逆しまに浮かぶ永遠の黒の城とはなるまい』
『貴様の慟哭は、決して』
『愛などではないのだから』
───黒鋼の左手が───
───巨影へと伸びる───
『故にこそ、貴様は我が討ち果たそう』
『その影諸共、いざや砕ける時が来たのだ』
───────────────!!
………。
……。
…。
そして彼らは此処に降り立つ。
骸の体躯は嘆きを湛え、
鋼の体躯は賛歌を奏で。
慟哭は崩壊する都市へと降り注ぐ。
狼が如き影の異形と、人が如き鋼の異形が並び立つ。
人なる身から比類なき不死英雄へと拡大変容を果たし、あるいは万能なる者が数億の日々の果てに生み出した機関文明の果てを手に。
異なる二つの窮極を携え、彼らは都市に降り立った。
何かもが相反し、白光と漆黒の両極となりて対峙する巨大異形。
両者に共通する性質はただ一つ。
───無敵。
───物理破壊は不可能。
『C-3/鎌倉市街地跡/一日目・禍時』
【セイバー(
アーサー・ペンドラゴン)@Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ】
[状態]魔力消費(大)、全身にダメージ、疲労(大)
[装備]風王結界
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:
キーアを聖杯戦争より脱出させる。
0:
すばるの身の安全の確保も含め、都市そのものを消そうとするアーチャー(エレオノーレ)を討滅する。
1:キャスターの言を信じ成すべきことを成す。
2:巨人と巨狼にも適時対処したいところだが……
[備考]
衛宮士郎、アサシン(
アカメ)を確認。その能力を大凡知りました。
キャスター(
壇狩摩)から何かを聞きました。
傾城反魂香にはかかっていません。
セイバー(
藤井蓮)と情報を共有しました。
【ランサー(
レミリア・スカーレット)@東方project】
[状態] 《奪われた者》、単独行動、胸に貫通傷(大)
[装備] スピア・ザ・グングニル、《この胸を苛む痛み》
[道具] なし
[所持金] なし
[思考・状況]
基本行動方針:玩弄されるがままに動かざるを得ない。しかし───
0:あーあーやっちゃったやっちゃった、どうなんのよこれ。
1:強制の綻びを利用し、少しでも自分の思うように動きたい。
2:『現戦力では太刀打ちできない敵性存在に対抗するため協力者を確保する』、これで誤魔化せるあたり結構チョロかったりするのかしら?
3:このアサシンについては、まあ何とかなるでしょ
[備考]
【叢@閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-】
[令呪]三画
[状態]スカルマスク着用、デミ・サーヴァント化。精神汚染、視界の端で黒い秒針が廻っている。
[装備]包丁、槍(破損)、秘伝忍法書
[道具]
スカルマンのコート
[所持金]極端に少ない
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手にし黒影様を蘇らせる……?
0:は?
1:最適行動で以て聖杯戦争を勝ち抜く。
2:ランサー(
レミリア・スカーレット)を利用し、厄介な敵陣営を排除したい。
3:聖杯を求めないというレミリアの言葉に疑念。
[備考]
イリヤの姿を確認しました。マスターであると認識しています。
アーチャー(
ギルガメッシュ)を確認しました。
エミリー・レッドハンズをマスターと認識しました。
※
スカルマンと霊基融合しデミ・サーヴァントとなりました。叢固有の自我が薄れつつあります。
ランサー(
レミリア・スカーレット)と一時的な協力関係を結びました。
【
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】
[令呪]二画、魔力消費(中)、疲労(中)
[状態]健康、盲目
[装備]
[道具]
[所持金]黄金律により纏まった金額を所持
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手にし、失った未来(さき)を取り戻す。
0:もう何もツッコまないわよ
1:ある程度はアーチャーの好きにやらせる。
[備考]
両目に刻まれた傷により視力を失っています。肉体ではなく心的な問題が根強いため、治癒魔術の類を用いても現状での治療は難しいです。
【
ギルガメッシュ@Fate/Prototype】
[状態]健康、《巨神》搭乗。
[装備]《巨神》
[道具]
[所持金]黄金律により纏まった金額を所持
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争を勝ち抜き、自分こそが最強の英霊であることを示す。
0:?????
1:赤薔薇王との盟により、人の生み出した神威によって鉄槌を下す。
2:世界を救うべきは誰か、己も含め真贋を見極める。
[備考]
叢、
乱藤四郎がマスターであると認識しました。
如月の姿を捕捉しました。
バーサーカー(
ウォルフガング・シュライバー)を確認しました。
[装備][道具][所持金][思考]
一切必要なし。此処に在るはただ殺戮するのみの厄災である。
[備考]
彼が狂乱の檻に囚われ続ける限り、何者もその生を断つことはできない。
※エイヴィヒカイトの生み出す巨大な随神相が顕現。
▼ ▼ ▼
恐怖を振りまいてなお蠢動を続ける白影と、
砕けた大地を割って新たに出現した巨人と、
その中間、地上に立って───
アイは見上げていた。鋭く。
呆然と、否、確かに意思の光を瞳に湛えて。
───見上げていた。
───私は、その、蒼と黒の巨人の姿を。
こんなにも巨大なものが実在する。
疑問、不可解、少女の内側にある違和感が膨れ上がっていく。
見つめる視線は険しく───
けれど、それは不可解なる感情によるものではない。
それは、己が抱える渇望によるものだった。
「私は……」
呟く、呆然と。少女の意思は確かにあって、けれど圧倒的な質量が理屈を無視した畏怖を叩き込んでくるために。
思考は鈍麻していた。その有り様は白痴か夢遊病者の如く、不確かになって。
それでも。
それでも、アイは自らが定義した"夢"に従って動こうとする。
この場を訪れたのは、
すばるを助けるという目的のためだ。
そのための出奔だった。その最中、都市そのものを消し去ろうとする赤騎士の姿を認め、故に騎士のセイバーは彼女を討ちに行った。
アイが行かせたのだ。今この瞬間、サーヴァントの守りを欠くというこれ以上にない危険な状態になることも構わずに。
何故なら彼女を放っておけば、
すばる諸共全員が殺されてしまうから。
それはダメだ。それはいけない。自分の安全などよりも、ずっとずっと優先されねばならないことだった。
そうしてアイはセイバーを出撃させ、そして今。
見上げていた。巨大な影と、それに立ち向かう巨人の姿を。
巨いなる神。
神。アイの住まう世界にその概念はない。
神は十五年前に死に絶えた。故に、これはアイ個人の記憶から呟かれた言葉だ。幼き頃、寝物語に聞かされた絵本に描かれた神さまのお話。
神。輝けるもの。遥かな空の高みに在って人を赦すもの。尊きものか。
───神。
───目に見えない尊いもの。
───それは、人智及ばぬ業を揮うもの。
───そして罰を与えるものでもある。
そう少女に言ったのは誰だったか。
今はもう思い出せない。
蒼黒の巨人。
これが、その"神"なのか───
『▂▅▆▇▇▇▇▇▅▆▆──────!!』
咆哮は再び。
空が裂ける。
巨大な二つの怪物が接近していくのが見える。
歩いているからだ。
進んでいるからだ。
それは今まさに、戦いを始めようとするかのように。
「待ってください!
暴れられたら困るんです! 今、この辺りには
すばるさんが……!」
声は、咆哮と軋む金属音の中に消える。
それでも、ただ、ただ、叫ぶ。
「声が出せるなら! きっと耳だってあるはずです、そうでしょう!?」
轟音。
轟音。
巨人の歩行によって周辺は無差別に砕かれていく。
進むだけで大規模な土石流が発生する。
立っていられないほどの破壊の嵐の中、アイは動いた。
声が出たからには、そう。自分は何かができるはず。
恐怖は消えていた。
巨影を目にして硬直した意識と体は、この蒼黒の巨人を前に霧散して。
───そう、動く。この体は動くのだ。
───ならばすべきことがある。自分には、成し遂げなければならないことが。
故に動く。何ができるのだとか、方法論とか、今はそんなことを考えている場合ではない。
ただ助けるのだ。
そのためにこそ自分は在って、誰かを助けられない自分に存在価値などないのだから。
そう、決意を固めた。
その瞬間だった。
「いや、そこは拙い」
え、と思った瞬間には誰かに抱えられて。
目に見える景色が急速に遠のいたかと思ったその時には、一瞬前まで自分のいた場所に巨大な瓦礫が降り注いでいた。
そして私はその人を見る。
今、私を抱えて飛翔する、柔らかな表情を浮かべた誰かを。
「えと、あなたは……」
「私に敵対の意志はない。手短に話そうか、いつ次弾が来てもおかしくないのでね」
その人は少し離れたところに降り立つと、丁寧に手を離して降ろしてくれた。
噂に聞く地震とさえ思える振動の中、私は何とか立ち上がると、その人を見上げる。
「君のことは知っている。先刻、八幡宮で起こった戦闘、そこに私も介入させてもらった」
「ハチマングウ……もしかして、セイバーさんたちと」
「直接は顔を会せなかったけどね。けれど、だからこそ君達のスタンスもある程度は分かっているつもりだ」
そして、その人は。
何でもない風に。まるでちょっとしたお使いでも頼むような気軽さで。
「頼みたいことがある。なに、簡単なことだよ」
そんなことを、私に言ってきたのだ。
「君にはこれから、世界を救ってもらいたい」
私の"夢"そのものである、奇跡の具現を。
『C-3/鎌倉市街地跡/一日目・禍時』
【アーチャー(
ローズレッド・ストラウス)@ヴァンパイア十字界】
[状態] 魔力消費(小)
[装備] 魔力で造られた黒剣
[道具] なし
[所持金] 纏まった金額を所持
[思考・状況]
基本行動方針:終わらせる。
1:最善の道を歩む。
[備考]
鎌倉市中央図書館の書庫にあった資料(主に歴史関連)を大凡把握しました。
鎌倉市街の電子通信網を支配する何者かの存在に気付きました。
如月の情報を得ました。
笹目ヤヤ&ライダー(
アストルフォ)と同盟を結びました。
廃校の校庭にある死体(
直樹美紀)を確認しました。
B-1,D-1,D-3で行われた破壊行為を認識しました。
『幸福』を確認しました。
廃校の資料室に安置されていた資料を紐解きました。
確認済みのサーヴァント:
ランサー(
No.101 S・H・Ark Knight)、アーチャー(東郷美森)、バーサークセイバー(針目縫)、ライダー(
ドンキホーテ・ドフラミンゴ)
真名を把握したサーヴァント:
アーチャー(エレオノーレ)、ライダー(マキナ)、ライダー(
アストルフォ)、アサシン(
スカルマン)、バーサーカー(シュライバー)、ランサー(レミリア)
【
アイ・アスティン@神さまのいない日曜日】
[令呪] 三画
[状態] 疲労(中)、魔力消費(大)
[装備] 銀製ショベル
[道具] 現代服(収納済み)
[所持金] 寂しい(他主従から奪った分はほとんど使用済み)
[思考・状況]
基本行動方針:脱出の方法を探りつつ、できれば他の人たちも助けたい。
0:騎士さんと一緒に
すばるを追いかける……はずだったんですけど。
1:"みんな"を助けたかった。多分、そういうことなんだと思う。
2:ゆきの捜索をしたいところだが……
3:生き残り、絶対に夢を叶える。 例え誰を埋めようと。
4:ゆきさん大丈夫なんですかね? ちゃんと生き残ってるんですかね?
5:ゆき、
すばる、
キーアとは仲良くしたい。アーチャー(
東郷美森)とは、仲良くなれたのだろうか……?
[備考]
キーア&セイバー(
アーサー・ペンドラゴン)と邂逅しました。
現在セイバー(
アーサー・ペンドラゴン)と行動を共にしています。
最終更新:2019年06月23日 15:23