「そうして僕たちは、あの世界に形作られた」

 その声は、濃淡の海にぽたりと落ちた。
 寄せては返す波の音を聞きながら、すばるはただ、傍らの少年と共に白磁の浜辺に座り込んでいた。

「前にも言ったはずだ。僕達聖杯戦争参加者の、本来想定された用途自体が既に真っ当じゃなかった。
 どう推論を重ねても馬鹿げた結論しか出てこない。だって前提そのものが間違っていたんだから」

「それを、みなとくんは知っていたの?」

「ああ。あの街で君と最初に出会った……そう、確か君のアーチャーが消滅した時だったか。
 あの後、君の前から僕が消えようとしたその瞬間に、純粋空間の崩落と共に手が届いたんだ。とは言っても、知り得たことは大して多くはなかったけど」

 自嘲めいた笑みを浮かべるみなとに、すばるは何も返すことができなかった。
 言葉なく、続きを促す。

「タタリ……僕たちを構成するのは物質ではなく思念だ。人の想像、無意識の海から生まれた人の夢そのもの。
 だからその存在や輪郭は常に不安定だし、ちょっとしたことですぐに揺らいでしまう。
 例えば、そうだな。すばる、君は"自分が自分でない"と考えたことはないかい?」

「えっと、それは……」

 押し黙ってしまう。みなとの言葉は詩的に過ぎてよく分からない。
 彼の言葉は荒唐無稽で、けれど否定しかねる要素が含まれているのもまた事実。
 そう、その想像は、確かに───

「僕がまだ"僕"として形を保っていた頃、つまりはマスターとして戦っていた頃の話だけど。
 僕が戦ったマスターの一人に、君より少し年上の女の子がいてね。僕は問いかけたんだよ」

 みなとはまるで、謳うように。

「"きみは誰?"、ってね」

 そんなことを、言った。

「その時の僕は理解していなかったけど、彼女にとって……いいや、僕達全員にとってその言葉は致命のものだったんだ。
 自分は特定の一個人であるという強い指向性を有して初めて成立するタタリは、だからこそ否定の言葉には呆気ないほど脆い」

 みなとと相対したマスターの少女───直樹美紀───は、そんな些細な疑問の声一つで、途端に存在が揺らぎ致命崩壊を引き起こす寸前まで追い込まれた。
 早期に真実に到達した赤薔薇王や英雄王が他者にその事実を伝えられなかったことには、そういった事情がある。彼らほどの意思と魂の強度が無ければ、そもそも事実の一端を理解した時点で構成思念が崩壊してしまう。
 彼らはそれを承知していたし、伝え聞いた赤騎士も同じこと。その全てを知った上で、死線の蒼はこの舞台を茶番と断じたのだ。

「真実を理解した上で尚、自我を保っていられた人間も中にはいた。きみが知ってる中では、《英雄王》ギルガメッシュに《盲打ち》壇狩摩が該当するね。
 他には《赤薔薇王》ローズレッド・ストラウスに《死線の蒼》玖渚友、《赤騎士》エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルグトワイス・H・ピースマン。そういえば甘粕正彦も名前だけは知っているんだっけ? まあともかくとしてだ」

 みなとは向き直り。

「けど当然、そんなの耐えられない人間のほうが遥かに多い。僕が会った女の子……直樹美紀もそうだけど、実際にこれが原因で消滅したマスターもいる。
 きみたちとは直接面識はなかったろうけど、笹目ヤヤはその典型だね。アティ・クストスは、確かキーアという少女の知己だったかな」

 みなとは訥々と語る。その口調はあまりに静かで、無感にさえ思えて。
 けれど、何も感じてないなんて、そんなことはあり得ない。何故なら語るみなと自身、そうした矛盾と自己の否定を乗り越えられるような精神的強者ではないのだから。

「彼女らだって決して弱い人間じゃなかった。しっかりとした自意識や、強い目的意思を携えていた。
 それでも耐えられなかったんだ。人は、人が思うほど強くはなれない」

 それは、耐え得た者の大半がサーヴァント、すなわち英霊の側にあるという事実が端的に指し示している。
 どれだけ崇高な覚悟を持とうとも、一朝一夕で人の心は変わらない。
 ある日何かの決意をしようとも、それで体が歴戦の兵になるなどあり得ない。強さを得るには弛まぬ鍛錬と努力が必要であるし、そうでない者はそもそも生まれつきから強さを持ち合わせている。
 心とて同じだ。悲劇的な出来事や心を砕く痛苦があり、それを受け容れ乗り越えようと決意すること。それ自体は確かに尊ばれることだが、しかしそれだけで強い心が得られるかと言えば全くそうではない。

「でも、だったら……」

「なんできみは今も自我を保っていられるか、なんて。そんなことは簡単だよ。
 きみは二度もシャルノスの束縛を打ち破った。それはきみが可能性の狭間で揺れる不確定の存在であり、同時にカケラ集めの旅を経て生を知り愛を知り老いを知り死を知り虚無を経て《空》への収束を目指す、ある意味では《奇械》と同質の存在だからだ。
 キーアはそもそもが《奪われた者》であり、その運命を十年に渡って自覚していた。アイ・アスティンは……そうだね。彼女が抱いた夢もまた、それだけの重さを持っていたんだろう」

 それは決して一朝一夕の代物ではなかった。
 すばる自身が誰よりも分かる。仲間と共にカケラ集めをしていたあの日々は、決して軽くも薄くもない。
 それは事実……なのだけれど。

「だけどこれで分かっただろう。"すばる"は別の時空に今も存在して、すばるという個我を持つきみは顕象された夢のカタチでしかない。
 けれど、僕はあえて"すばる"と呼ぼう。きみは……」

 みなとは振り向き、笑った。
 儚くも強い意思が込められた、それが最上の答えなのだと確信した笑みで。

「きみはもう、"ここ"から出ないほうがいい」

 そんなことを、言ったのだった。










 ここは、瑕疵なき完璧な世界だった。

 どこか南国を思わせる美しい砂浜に、豊饒の季節を示す緑黄色の葉を揺らす木々。その向こうにある森は、黄金の海であるかのように華やかに色づいている。空はもう間もなく日の出を迎えようとしている黄昏時。水平線が銀色に輝き、雲は薔薇色。まだ群青色の天空には星が煌めき、薄い三日月が浮かんでいる。波は穏やかに浜へ打ち寄せ、その規則正しい音が耳に心地よかった。

 まるで絵葉書のような世界。気が付けばすばるはここにいて、隣には何故かみなともいて。そうして今までぽつり、ぽつりと話してきて。
 綺麗なところだと思う。けれど、ここから出ないほうがいいとは、一体。

「ここは何もない世界だ」

 みなとが言う。感慨も無さそうな声音だった。

「ここはね、これだけの世界なんだ。今、僕達が見ている景色が、この世界の全てだ。これ以外には何もない。どこにも行けない。時間もない」
「これだけ……?」
「ああ。これだけの光景が、ずっとこのまま続くだけの世界だ。月は空に浮かんで日は昇らず、波は静かに寄せるまま」

 すばるは呆然とした。なんて美しい、箱庭のような永遠。

「亜種異聞神座《無間大紅蓮地獄》。諧謔の理ならぬ永遠の刹那たる者が第七の天を握った事象世界。可能性なきが故に抑止も自滅因子も生まれ得ない、生きながらに死んだ宇宙の姿だよ」

 呟くみなとの言葉は、いっそ自虐めいた響きさえ伴って。

「ここには時間さえ存在しない。だから外の世界ではどうやったって近く消えるしかない君も、ここでならずっと生きていける。
 僕達は永遠だ。この世界が何も変わらないように、ここにいる僕達も何も変わらない。
 歳は取らないしお腹も空かない。怪我もしないし死にもしない、心だって摩耗しない。ずっと今の僕達のまま、同じ自我と感性のまま過ごしていける。
 ここでは、それが叶ってしまう」

 みなとは語る。それだけが、すばるの生き永らえる唯一の方法であるのだと。

「みなとくん……本当に、それしかないの?」
「ないね」

 一瞬の間もなく断言される。

「君達は最初から"存在しなかった"人間だ。だから生きるか死ぬかとか、そんなこと以前の問題なんだよ。
 何をどうしたって君は消える。ルーラーのマスターの思惑が叶おうが叶うまいが、彼らを倒そうが倒すまいが、いずれにせよ消滅する運命は変わらない。
 聖杯が通常の大聖杯ならリソースを使って受肉することも叶うだろうけど、実物がアレでは僅かな余命を夢に沈められるだけだ」

 もっと生きたい? ならば生きればよかろう。お前はお前の世界の中で、お前の世界が消え去るまで存分に人生を謳歌できるのだ。
 そう嘯かれ夢に落とされる未来が見えるかのようだ。慈愛に満ちた月の瞳に見つめられ、すばるという名の廃神はその存在を断たれるに相違ない。

「でもここは違う。ここなら、君は消えない。
 泡沫のように消えてしまう定めだろうと、時間が進まなければその終わりに辿りつくこともない。
 停滞したモラトリアムだ。何も得ることはないけど、何も失うことがない。
 だから、すばる。お"願い"だ」

 みなとは、顔を上げて。

「僕と、このまま一緒に……」

 最後まで言うことは、できなかった。

「みなとくん」

 すばるの表情は、何も変わってはいなくて。

「ありがとう。みなとくんはずっと、わたしのことを心配してくれてたんだね」

 けれど、尽きせぬ想いがそこには一つ。

「……すばる」
「確かに、みなとくんの言ってることは分かるよ。わたしだって消えたくない。まだ、生きていたい。
 だから、もしもここにあおいちゃんやいつきちゃん、ひかるちゃんにななこちゃんに会長や、パパとママや、アイちゃんやキーアちゃんや他にもいっぱいいたなら、きっとここを出たくないって泣いちゃってたと思う」

 けれどそうではない。ここには、何もない。
 何もないからこそ美しい世界であり、永遠なのだろう。あるいは都合の良い夢もあるのかもしれないが、少なくともこの都市に在る「都合の良い夢」は人を破滅にしか導かない。

「あの街には……現実には、まだアイちゃんとキーアちゃんがいる。やれることも、動ける足も、わたしにはまだある。
 それにね。全部が嘘だったとしても、あそこでわたしが感じたことは、わたしだけが持ってるわたしの真実なんだと思うんだ」

 例え始まりが偽物だったとしても、その自分が見聞きし考え、感じたものは嘘ではない。
 それだけは全ての個我が持つたった一つの真実であり、確かな一つの世界に他ならない。
 そしてそれは、少年こそが理解しているものだったから。

「……そうだね。きっと君はそう言うだろうと思ってた」

 この世界は永遠だ。時間という概念がないから、心も体も変化することがない。
 そう、だからこそ、すばるが心変わりをすることは、もう永遠にないと分かっている。
 分かっているからこそ、そして最初から分かっていたからこそ、みなとは笑った。

「人は永遠を生きられない。誰もがそれを望むけれど、叶うことは決してない。
 神でさえも、自壊衝動の発露として自滅因子を生み出してしまう。世界だとて、永遠を望んでしまえば剪定事象として消滅する。
 それが幸福なのか、それとも不幸なのかは、僕には分からないけれど」

 それでも今、小さな選択の結果として、外の世界へ行くことを決意したすばるがいる。
 何もかもが嘘で形作られたあの世界で、きっとそれだけが本物なのだろう。

「行こう、すばる。どこまでも一緒に。
 僕は君を愛している」

「うん、一緒に行こう、みなとくん。
 わたしも───」

 そこで、すばるは満面の笑みを浮かべて。

「わたしも、みなとくんが大好きだよ」

 そして、二人は光に包まれた。





   ▼  ▼  ▼






 そうして三人は都市へ降り立つ。

 最も強き者が勝ち残ったわけではない。
 最も飢えた者が生き残ったわけではない。
 最も気高き者が選ばれたわけではない。

 少女らは弱く、狂してもおらず、そして市井の幼子でしかあり得ない。
 それでも、彼女らはここに来た。
 誰しもが眠りにつき、誰しもが夢に溺れたこの背徳の都にて。
 それでも理想に否を突きつけ、己が想いと共に万仙陣の反逆者として立ち上がった。

 チク・タクと、時を奏でる音はもう必要ない。
 螺旋の果ては、すぐそこにあるのだから。





   ▼  ▼  ▼





 そして───





 ───黄金螺旋階段。

 ───最後の一段を、昇りきる。

「……」

 そこは螺旋階段の果て。暗闇の幽閉の間。
 そこにはただ玉座だけがある。石榑の、時の王が座るただひとつの座。
 チク・タクと、時を奏でる響きがする。
 大公爵も少年王もそこにはなく、ただ、無貌の王が嘲笑を浮かべるばかり。

 見るがいい、この空の果てを。
 見るがいい、空より遠く失われた、太陽が如き赫の光を。

 双眸を───

 虚空に浮かぶ三眼、すなわち。
 月の、瞳を───



『よろしい』

『足掻いてみせたか』

アリス・カラー。《魔弾》の魔名を持つ者よ』

『世界の敵、最後の希望』




 夢界領域収束
 夢界領域拡大
 夢界領域変容

 ■の不在証明を確認
 お前たちは失敗した

 その《願い》は叶わない
 制限時間内に消去する
 制限時間内に鏖殺する


「……ここに来れたのは、お前の差し金あってか」

 少年は吐き捨てた。
 奇妙な鋭さを持つ少年だった。
 それは刃にも似て、銃弾にも似て、何もかもを貫通する鋭さを持つ気配だった。

 仮面を脱ぎ捨てた男だ。
 自らの世界を救おうと、笑みの仮面の張り付けていた世界救済者の姿はどこにもない。
 今はただ、尽きせぬ憤怒の結果として一周した無感を表情とする少年が、そこにいるだけ。

「お前は終わりにするつもりか。
 人の希望とやらを、打ち砕いたか」



『無論』

『今や英霊は砕け散った』

『世界の果てで消えゆくのみ』



「へえ……」

 言葉とは裏腹に一切の表情を動かさず、少年は答えてみせた。
 話はまだ終わっていないと、言葉なく告げていた。

「気付いているか。鎌倉に三人、マスターだった連中が再顕現したぜ」

 気付いていないはずなどない。月の瞳は全てを見ている。
 太陰の中心で眠りにつく仙王と全く同じに。

「あの日の続きだ。ディーがお前と契約を成したのと同じく、俺だってお前と誓約を結んだんだぜ。
 俺が階段を昇りきり、第三等廃神たるあいつらの内の誰かが二度目の顕現を果たした時、ディーと交わした契約の全てを取り消す。まさか反故にするつもりじゃねえだろうな」

 返答はない。
 ただ、赫の双眸は無言。
 その意味するところを少年は理解できる。なるほど、無言。傲慢なまでの沈黙は、どんな言葉よりも雄弁に物語っていた。
 契約の破棄を。
 少女らを含めた現世界の廃棄を。

 利用価値を見出さない。
 存在意義を見出さない。
 ただ、観察の終わった実験体を捨て去るのみであると。
 可能性の一片たりとも残さず、すべて、ここで終わらせるという意思。

 言葉なく。
 双眸は、そう物語っていた。

「……だろうな。死人の俺に黄金螺旋階段は昇れない。ここにたどり着いたのも、結局はお前がそう仕組んだからだろうが」

 しかし、と少年は続ける。

「だがそうだとしても、終わりにするにはまだ早いだろう。
 お前の目的は愛の不在証明。だったらあの三人はうってつけの観察対象だろ。違うか?」

『さて』



「……脈なしか。まあそうだろうさ。お前は本物だ。東方より来たる賢者、虚空より降り立つ数理の神に他ならない。
 俺みたいな半端な異能使いとは違う。不確定要素の恐ろしさなんざ、嫌というほど分かってる」

 そこで完全に、諧謔の色を消し去って。

「潰す気だろ、あいつらを」



『言葉にするまでもない』

『既に証明は為された』

『生も、死も』

『さして代わり映えはしない』

『花が枯れるように、人は死ぬ』

『すべて。そう、すべて』

『あらゆるものは意味を持たないのだから』



「流石。他人の生死と、花が朽ちて墜ちる様を区別しない。
 ロードと言われるのも、まあ納得ってもんだぜ」



『ならば、どうする?』



「こうするだけだ」

 少年の右腕が───

 怪奇なる光を纏い、奇矯なる鋼を身に纏っていた。
 ある種の数式を演算する際に発せられる、それはクラッキング光と呼ばれるもの。

 そして───
 鋼を駆ける、白き雷電がひとつ───

 それは通常の現象数式とは異なり、そして少年が持つ異能の顕現とも違う。
 それはただひとりの雷電王が作り上げた、人の身をもって神の座に上がる禁忌の機関。
 インガノックテクノロジーとは異なり、《結社》の回路技術とも異なり、虚空の黄金瞳にさえ関与せず。それは雷の鳳が遺した永劫の呪詛の一欠片。

 その、名は───



雷電装神(テスラ・マシン)

『そうか。君のサーヴァントが遺したものか』



「できれば使うなって言われちゃいたんだけどな。こうなったら仕方ねえだろ」

 少年の右手を覆う武骨な鋼。そして握られるのは長径50cmを超える巨大な銃だった。
 蒼の内蔵機関が垣間見えるその鋼は、今や膨大な雷電を放出し、暗がりの周囲を白く染め上げている。

 幾万の怒りを込めて。
 幾万の憤怒を負って。
 少年の持つ巨大銃は、その内実を象徴するかのような白雷を伴って。

精神破壊(ゲーティア)じゃ無理だろうな。
 現実歪曲(ソロモン)でも届かない。
 確率操作(アリス)は……さて、本当に《魔弾》になれば話は別だが」

 少年は、今や雷そのものと化していた。
 影の連なりたる紫影の頂上には、溢れ出る無数の雷電が迸るばかり。少年の戦意に呼応するが如く、それは光放つ希望の弾丸として降り立つ。此処に星の輝きはなく、ティシュトリアの星剣もなく、故に彼が手にするは勇壮なりしペルクナスの遺物であるものか。

 魔弾アリス、モード《神殺しのマトリクス・エッジ》。拡大変容展開、仮想名《天使銃(Angel Bullet)》。
 それはたった五発の弾丸。かつて遺された彼自身の遺骸から、西方の魔女に見つからぬよう掘り出した、それは彼の《起源》を埋め込んだ銃弾。
 神が賽子を振らないのだとしても。それでも人は、自らが望む結果となるまで賽を投げ続けることができるから。

「俺達の世界を、願いを、日常を。お前の戯れの餌食にされてたまるもんかよ。
 禍々しきもの、冷酷なるアルヴァ=アヴァン・エジソン。
 その悪逆、魔手、悪意と侮蔑の悉く。俺が今、ここで」



『ほう。今、ここで?』



「食い止める」





 ───右手を、前へ。
最終更新:2019年12月15日 21:06