「もう逃げられんぞ」
「リザードマン風情が言ってくれる」
説明しよう!隠し鉱山に乗り込んだクロコダインとマチルダは
モーティマーを追い詰めていた
(ナレーション:大塚芳忠)
余裕綽々な台詞とは裏腹にモーティマーの顔は引き攣っている
何しろモーティマーの繰り出す魔法の悉くがグレイトアックスの一振りで
打ち消されてしまうのだ
まさにチート
「フ、どうやら私も奥の手を出さなくてはいけないようですね」
お、なんか男■デ■ー■みたいなことを言い出しましたよ奥さん
「ドロシーちゃん、カムヒア!」
モーティマーがパチンと指を鳴らすと
洞窟の一つからMS06ザクの駆動音のようなSEを響かせて
赤銅色の外骨格を持つ馬車ほどもある蠍の胴体から
燃えるような赤毛の見目麗しい女性の上半身を生やしたモンスターが現れた
「ほう、蠍女(スコルピオーネ)か」
「さあドロシーちゃん、やっておしまい!」
「鬼謝―――――――――――――――ッ!!!」
金属的な
それでいてどこか艶っぽい咆哮をあげて突進するドロシーちゃん
唸りをあげて繰り出される鋏をグレイトアックスで受け止めると
ドドンッ!
地響きとともにクロコダインの両足が5サントほど地面にめり込む
「おおう!なかなかのパワーだ」
思わず太い笑みを浮かべる鰐
普段は紳士だがやはりクロコダイン
強敵と書いて「とも」と呼ぶノリが大好きなのだ
「旦那、こっちはあらかた片付いたよ」
巨大ゴーレムで雑魚の皆さんを蹴散らしていたマチルダが声をかける
「おお、すまん。いや久方ぶりに歯ごたえのある相手なのでな」
蠍女の繰り出す両手の鋏と尻尾の毒針の嵐のような連撃を
グレイトアックス一本で捌きながらまだまだ余裕たっぷりな鰐
「ところでモーティマーは?」
「あ…?」
ついバトルに熱中して首魁の存在を失念していた鰐だった
「はっはっはっ今日のところは私の負けのようだ」
そしていつの間にか坑道のてっぺんに移動しているモーティマー
「二度と会うこともないだろうがごきげんよう!」
葉巻の火を導火線に着火し飛行魔法で飛び去るモーティマー
「ドロシーちゃん、君のことは忘れないよー」
彼方から軽薄な声が届くと同時に坑道に仕掛けられた火の秘薬が爆発する
小はミニクーパー大は九○式戦車ほどの岩塊が
捨てられた仔犬のような表情で空を見上げて立ち尽くす蠍女を押しつぶし
クロコダインとマチルダに迫る
「唸れ!真空の斧ッ!!」
グレイトアックスにはめ込まれた宝玉が輝き
斧の刃から生じた突風が竜巻となって舞い上がる
「出・力・最・大!!!」
クロコダインの小宇宙(コスモ)が燃える
荒れ狂う真空の刃が落下する巨岩を砕き切り裂き磨り潰し
無害な小石にして吹き散らす
突風が収まるとそこには掠り傷一つない一人と一匹
「さて、引き上げるとするかい」
「一寸待て」
あちらこちらとその辺を歩き回っていたクロコダインは
当たりをつけた場所の巨岩をどかしていくと
体節の方々から紫色の血を流してぐったりしているドロシーちゃんを引っ張り出す
「放っときなよそんな奴」
マチルダ姐さんは身内以外には割りとシビアである
「拳を交えるのも何かの縁だ、見殺しにするのも忍びない」
どこまでも男前な鰐
んでもって数日後
「あ~熱いねえまったく」
ウエストウッドの森の小さな家では朝からマチルダの機嫌が悪い
「どうしろというのだ…」
なんともいえない表情のクロコダインの隣りには
「一生ついていきます」といった顔のドロシーちゃんがぴったりと寄り添っている
そして反対側では
「旦那、いや兄貴!どうか俺を舎弟にしてやっておくんなせえ!!」
マチルダを逃がしたことがばれて処刑されかかっていたところを助けられた
ブロンディが土下座していた
「いいこと考えた!俺と兄貴とフーケで3Pやれば俺達穴きょうだ…」
JET!
マチルダのジェットアッパーが炸裂した
今宵はこれまで
最終更新:2008年07月16日 17:18