プロローグ『正解』
『本日未明都内某所で希望崎学園に通う山乃端一人さんが遺体で発見されました、警察は殺人事件と見て調査を続ける方針です、続きまして都内広がる不審な噂がなんでもタロットカードが……』
私、拳条朱桃は腕を組んで姫代学園の学生寮のテレビでそのニュースを見ていた。
「許せない……」
私はつぶやいた。
誰かにいっているわけでもなく心からの声が漏れた。
私は悪が許せなかった。
必要悪も絶対悪も悪という悪を嫌った。
「私はどうして……」
なぜ正義を実行できないのか、こんなにも悪を嫌い街に駆り出したというのに……なにもできなかった。
悪を倒したい、私は強く願った。
「ん? これは?」
ふと気づくと机の上にカードが置かれていた、さっきまではなかったはずなのに。
「んっ!?」
手に取ると“流れて”きた。
『タロットカードを20枚集めるバトルロイヤル』
『“強い望み”のある者にしかこのカードは現れない』
『20枚全て集めた者はなんでも望みを叶えれる』
『相手を殺すまたは相手の望みを叶えて殺すのみでしかカードを奪えない』
などなど頭の中に“流れて”きた。
「望み……なんでも……」
この世の悪を無くすことも……?
お父さんを生き返らせることも……?
『以上を受け入れるならばこのカードを体にかざして中に入れなさい、拒否するならばそのまま手を離せばよい』
私はすぐさまカードを手放した。
カードは光輝いて消えてしまった。
常識的に考えたら当たり前のことだ。
人を殺して、他人の望みを潰してまで叶えたい望みなどあるものか。
もしも、望みの為にこのカードに手を伸ばすなんて。
それは愚か者のすることだ。
最終更新:2020年08月28日 23:45