プロローグ『深炎』
『本日未明都内某所で希望崎学園に通う山乃端一人さんが遺体で発見されました、警察は殺人事件と見て調査を続ける方針です、続きまして都内で開催される闘技大会イグニッション・ユニオンについてです、総合エンターティメント配信サービス会社C3ステーションの……』
私、拳条朱桃は腕を組んで姫代学園の学生寮のテレビでそのニュースを見ていた。
「闘技大会かぁ……」
私はつぶやいた。
誰かにいっているわけでもなく心からの声が漏れた。
闘技大会、もとより興味がなかったわけでない
強者との闘い、それは私の成長にもなるだろう
私は弱い
裸繰埜と戦っても今の私では歯が、いや手が届かない
「でもなぁ……二人でかぁ」
イグニッション・ユニオンは二人での参加が必須
残念ながら二人で戦うことが私にはできない
友達はいるけど戦うとなると……
誰か戦い方を教われればいいんだけど
私はチャンネルを変えた
「あれ? この人」
『どうもみなさーんこんにちは! イグニッション・ユニオン広報を務めますアイドルの進道ソラでーす』
きらびやかな衣装を着て登場したのは進道ソラ、C3ステーション所属の大人気アイドル
どうやらさっきのニュースでやっていたイグニッション・ユニオンの特番のようだ。
テレビでよく出てる。
『最強の二人を待ってます! それでは聞いてください! イグニッション・ユニオン
イメージソング【深炎】聞いてください!!』
「あぁいい曲だなぁ、今度ダウンロードしよう」
季節は夏、日差しも高くなってきた。
「クーラーそろそろつけようかな」
今年の夏はとてもあつくなる気がした。
最終更新:2021年04月01日 20:11